JP3169795B2 - 写真フイルム用下引きフイルム - Google Patents

写真フイルム用下引きフイルム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真フイルム用下引きフ
イルムに関し、更に詳しくはポリエステルフイルムに、
制電性に優れ、かつ写真用感光剤層との接着性に優れた
ゼラチン層を積層した写真フイルム用下引きフイルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフイルム、特にポリエチレ
ンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用いた
ポリエステルフイルムは、写真フイルム用下引きフイル
ム等の写真材料用として広く使用されている。
【0003】しかしながら、かかるポリエステルフイル
ムは帯電し易く、帯電によりフイルム表面にゴミやほこ
りが付着し易い欠点がある。
【0004】かかる帯電による欠点を改良するため、ポ
リエステルフイルムの表面に低分子帯電防止剤や高分子
帯電防止剤等を含む制電性塗膜を塗設する方法等が提案
され実用化されている。
【0005】この低分子型の帯電防止剤としては、例え
ばスルホン酸塩基を有する長鎖アルキル化合物(特開平
4―28728号公報)等のような界面活性剤型のアニ
オン系帯電防止剤が知られており、また高分子型の帯電
防止剤としては、主鎖にイオン化された窒素元素を有す
るポリマー(特開平3−255139号公報、特開平4
−288127号公報、特開平6−172562号公
報)や、スルホン酸塩変性ポリスチレン(特開平5−3
20390号公報)等が知られている。
【0006】しかし、このような低分子型の帯電防止剤
を用いた制電性塗膜では、帯電防止剤が塗膜中を移動し
て表面に集積し、隣接するフイルム表面に転写(背面転
写)するため、フイルム転写面の表面エネルギーが変化
し、種々の塗膜を積層する際の接着性に悪影響を及ぼす
問題や、制電性が経時的に悪化するという問題がある。
一方、高分子型の帯電防止剤を用いた制電性塗膜では、
低湿度の状態では制電効果が低下し易いため帯電防止剤
を多量に配合する必要があり、また膜厚の厚い制電性塗
膜を形成させることが必要であるため経済的でなく、ま
た、写真用感光剤層を積層する際の接着性が不足する問
題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の問題点を解消し、制電性に優れ、表面エネ
ルギー変化が少なく、かつ写真用感光剤層との接着性に
優れたゼラチン層を積層した写真フイルム用下引きフイ
ルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、ポリエステルフイルム(E層)の少なくとも
片面に、下記式(I)で示される構成単位(i)60〜
98モル%、下記式(II)で示される構成単位(ii)0
〜25モル%及び下記式(III)で示される構成単位(ii
i)2〜15モル%の共重合体(A)を3〜60重量%含
むゼラチン層(Z層)を積層した写真フイルム用下引き
フイルムによって達成される。
【0009】
【化4】
【0010】
【化5】
【0011】[式(II)中、R1 、R2 はHまたはC
3 ;Xは炭素数が1〜6の飽和炭化水素基を示す。]
【0012】
【化6】
【0013】[式(III)中、R1 、R2 はHまたはCH
3 ;R3 は炭素数が2〜10アルキレン基;R4
5 、R6 はHまたは炭素数が1〜5の飽和炭化水素
基;Yはハロゲンイオン、アルキルサルフェートイオ
ン、アルキルスルホネートイオンまたはナイトレートイ
オンを示す。] 以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】[ポリエステルフイルム]本発明において
ポリエステルフイルム(E層)を構成するポリエステル
は、ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる線状ポ
リエステルである。
【0015】このジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェ
ニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸等を挙げることができ、特にテレフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0016】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサ
ンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げ
ることができ、特にエチレングリコールが好ましい。
【0017】上述のポリエステルは、ポリエステルフイ
ルムとゼラチン層(Z層)との接着性をより良好なもの
とする等のため、上記ジカルボン酸成分或いはグリコー
ル成分等を共重合したポリエステルであってもよく、更
に三官能以上の多価化合物をポリエステルが実質的に線
状となる範囲(例えば5モル%以下)で少量共重合した
ポリエステルであってもよい。
【0018】かかるポリエステルのうち、ポリエチレン
テレフタレートもしくはポリエチレン―2,6―ナフタ
レートの単独重合体または共重合成分を30モル%以下
の割合で含むポリエチレンテレフタレートもしくはポリ
エチレン―2,6―ナフタレート共重合体が高ヤング率
である等の機械的特性に優れ、耐熱寸法安定性がよい等
の熱的特性等に優れたフイルムが得られるため好まし
い。
【0019】かかるポリエステルは常法によりつくるこ
とができる。また、ポリエステルの固有粘度が0.45
以上であるとフイルムの剛性が大きい等の機械的特性が
良好となるため好ましい。
【0020】上記のポリエステルには、フイルムの滑り
性を良好なものとするため、滑剤として平均粒径が0.
01〜1μm程度の有機や無機の微粒子を、例えば0.
001〜1重量%の配合割合で含有させることが好まし
い。かかる微粒子の具体例として、炭酸カルシウム、酸
化カルシウム、酸化アミルニウム、酸化チタン、グラフ
ァイト、カオリン、シリカ、アルミナ、酸化珪素、酸化
亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、アクリル
樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒
子、シリコーン樹脂粒子等を好ましく挙げることができ
る。
【0021】前記微粒子以外にも着色剤、帯電防止剤、
酸化防止剤、有機滑剤、触媒、蛍光増白剤、可塑剤、架
橋剤、滑り剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を必要に応じ
て添加することができる。尚、帯電防止剤として共重合
体(A)を用いることもできる。
【0022】ポリエステルフイルムの厚さは、延伸後に
20〜500μm、特に、50〜200μmとなるもの
が好ましい。また、ポリエステルフイルムの光線透過率
は80%以上であることが好ましい。
【0023】本発明に用いるポリエステルフイルムは、
従来から知られている方法で製造することができる。例
えば、前記ポリエステルを溶融し冷却ドラム上にキャス
トして未延伸フイルムとし、次いで該未延伸フイルムを
縦方向に延伸し、続いて横方向に延伸することで製造で
きる。さらに縦方向及び/又は横方向に再度延伸するこ
ともできる。延伸処理はポリエステルの二次転移点(T
g)より高い温度で、夫々の方向に2倍以上、さらには
3倍以上延伸することで行うのが好ましい。その際、面
積延伸倍率は8倍以上、さらには9倍以上とするのが望
ましい。面積延伸倍率の上限は、35倍、さらには30
倍とするのが好ましい。延伸後に熱処理して配向結晶化
を完結させることもできる。
【0024】[ゼラチン]本発明においては、ポリエス
テルフイルムの少なくとも片面に共重合体(A)を含む
ゼラチン層(Z層)を積層するが、このゼラチンは牛、
豚、羊、鯨等の真皮のコラーゲンや骨のオセインから得
ることができる。真皮からゼラチンを得るには、例え
ば、真皮を石灰漬けし、脱毛した後、更に石灰漬けし、
水洗、酸中和、水洗、抽出、凝固、切断、乾燥の工程を
経て得ることができる。骨からゼラチンを得るには、例
えば、塩酸でリン酸カルシウム分を除去してオセインを
取り除き、以後、真皮の場合と同様にして得ることがで
きる。
【0025】[共重合体(A)]ゼラチン層に配合する
共重合体(A)は、前記式(I)で示される構成単位
(i)60〜98モル%、前記式(II)で示される構成
単位(ii)0〜25モル%及び前記式(III)で示される
構成単位(iii)2〜15モル%の共重合体であり、構成
単位(i)が80〜95モル%、構成単位(ii)が2〜
15モル%及び構成単位(iii)が5〜10モル%である
とフイルムの制電性や耐熱性がより優れたものとなるた
め好ましい。
【0026】この構成単位(i)は単量体としてエチレ
ンを用いて得られる単位であり、構成単位(ii)は例え
ば単量体としてメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸
ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の
アクリル酸系単量体を用いて得られる単位である。
【0027】また、構成単位(iii)は前記式(III)で示
されるものであるが、式(III)におけるR3 の好ましい
例としては、プロピレン基(−(CH2 3 −)、ブチ
レン基(−(CH2 4 −)等のアルキレン基を挙げる
ことができ、R4 、R5 、R 6 の好ましい例としては、
メチル基(CH3 −)、エチル基(C2 5 −)等のア
ルキル基を挙げることができる。また、Yの好ましい例
としては、Cl、Br、F、I等のハロゲンイオン、C
3 OSO3 、C2 5 OSO3 等のアルキルサルフェ
ートイオン、CH3 SO3 、C2 5 SO3 等のアルキ
ルスルホネートイオン、NO3 等のナイトレートイオン
を挙げることができる。
【0028】構成単位(iii)の具体例としては、例えば
下記式(III-1)、式(III-2)を挙げることができ
る。
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】尚、共重合体(A)の平均分子量は2,0
00〜50,000であることが好ましい。平均分子量
が2,000未満ではフイルムの耐熱性が不足すること
があり、50,000を超えると水性塗液中への分散性
や溶解性が不良となることがある。
【0032】[ゼラチン層(Z層)]本発明において
は、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に共重合体
(A)を3〜60重量%含むゼラチン層(Z層)を積層
するが、共重合体(A)の配合割合が3重量%未満では
制電性が不足し、60重量%を超えるとゼラチン層の写
真用感光剤層との接着性やゼラチン層の耐水性が不良と
なる。
【0033】ゼラチン層には共重合体(A)以外にバイ
ンダー樹脂を含有させることができる。このバインダー
樹脂には、例えば共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹
脂、セルロース系樹脂、ビニル樹脂、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等を
用いることができる。
【0034】更に、ゼラチン層には前記成分以外にフィ
ラー、界面活性剤、酸化防止剤、着色剤、顔料、蛍光増
白剤、可塑剤、架橋剤、滑り剤、紫外線吸収剤、共重合
体(A)以外の帯電防止剤等を添加することができる。
【0035】[ゼラチン層の塗設]本発明においては、
ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、ゼラチン層
を積層するが、積層する方法としては、例えばゼラチン
層の構成成分を含む水性塗液または有機溶剤溶液等の塗
液をポリエステルフイルムの表面に塗布した後、加熱し
て乾燥或いは溶剤を除去し塗設する方法を挙げることが
できる。塗液は通常、1〜40重量%の濃度で使用する
が、特に2〜20重量%とすることが好ましい。
【0036】塗液の塗工には、例えばグラビアコータ
ー、リバースロールコーター、ダイコーター等を用いる
ことができる。塗設したゼラチン層の厚さは0.01〜
10μm、特に0.015〜5μmが好ましい。厚さが
0.01μm未満であると制電性や接着性が不足し、1
0μmを超えると透明性が低下することがある。
【0037】塗液を塗布するポリエステルフイルムに
は、未延伸フイルム、一軸延伸フイルムまたは二軸延伸
フイルムを用いることができるが、塗液に水性塗液を用
いる場合は、一軸延伸フイルムに水性塗液を塗布した
後、乾燥し、更に二軸方向の延伸することがゼラチン層
の耐削れ性が良好なものになり、かつ効率良く塗工でき
るため好ましい。例えば、ポリエステルを押出機にて熱
溶融し、シート状に押出し冷却して未延伸フイルムと
し、この未延伸フイルムを縦方向に2〜8倍延伸して一
軸延伸フイルムとした後、水性塗液を塗布し、加熱乾燥
し、次いでで横方向に2〜9倍延伸し、必要なら更に縦
方向や横方向に再延伸及び/又は熱処理してゼラチン層
の耐削れ性が良好な積層フイルムをつくることができ
る。
【0038】塗液として有機溶剤溶液を用いる場合は、
二軸延伸ポリエステルフイルムに塗布することが好まし
い。
【0039】[プライマー被覆層(P層)]本発明にお
いては、ポリエステルフイルム(E層)の少なくとも片
面に、プライマー被覆層(P層)を設け、該プライマー
被覆層の上に、更にゼラチン層(Z層)を積層すること
ができる。
【0040】このプライマー層(P層)を構成する樹脂
としては共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂樹脂、
アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、セル
ロース系樹脂、ビニル樹脂等を挙げることができる。
【0041】この共重合ポリエステル樹脂はジカルボン
酸成分とグリコール成分からなる線状ポリエステルであ
り、ジカルボン酸成分としては例えばテレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフエ
ニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、フェニルイ
ンダンジカルボン酸、5−Kスルホイソフタル酸等を挙
げることができる。また、グリコール成分としては例え
ばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘ
キサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキシド
付加体、水添ビスフェノールA−アルキレンオキシド付
加体、ポリエリレングリコール等を挙げることができ
る。
【0042】アクリル樹脂はアクリル系モノマーを共重
合して得られる共重合体である。このアクリル系モノマ
ーとは、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸
ブチル、アクリルニトリル、アクリル酸、アクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリル酸グリ
シジル、2−ヒドロキシエチルアクリレート等である。
アクリル樹脂にはこの他に共重合成分として酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、スチレン等の不飽和モノマー用いるこ
とができ、架橋型の成分を用いることもできる。
【0043】アクリル変性ポリエステル樹脂はポリエス
テル鎖とアクリル重合体鎖とが結合した樹脂であり、前
記の共重合ポリエステル樹脂の存在下で前記のアクリル
系モノマーを共重合させることにより得ることができ
る。
【0044】ポリウレタン樹脂はポリエーテル又はポリ
エステル、ポリイソシアネート、鎖延長剤、親水基含有
モノマー等からつくられる。
【0045】この他、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹
脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、ビニル樹脂等通
常知られている樹脂を用いることができる。これらの樹
脂は単独又は混合して使用することができる。更に、P
層には滑剤としてシリカ、アルミナ、酸化チタン、カー
ボン等の無機微粒子、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アク
リル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹
脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機微粒子を
配合して用いることもできる。
【0046】P層には前記成分以外に界面活性剤、酸化
防止剤、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、
滑り剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を配合することが
できる。尚、帯電防止剤として共重合体(A)を用いる
こともできる。
【0047】ポリエステルフイルムの表面に、P層を積
層する方法としては、例えばP層の構成成分を含む水性
塗液または有機溶剤溶液等の塗液をポリエステルフイル
ムの表面に塗布した後、加熱して乾燥或いは溶剤を除去
し塗設する方法を挙げることができる。
【0048】この塗液は通常、1〜30重量%の濃度で
使用するが、特に2〜20重量%の濃度が好ましい。塗
液は溶剤系の溶液であってもよく、水性塗液であっても
よいが、ポリエステルフイルムの製膜工程中で塗布する
場合は水性塗液を用いることが好ましい。ポリエステル
フイルムに水性塗液を塗布する場合は、例えば縦方向に
一軸延伸したフイルムの少なくとも片面に、水性塗液を
グラビアコーター、リバースロールコーター、ダイコー
ター等によって塗布した後、乾燥し、更に横方向に延伸
することにより塗設するのがP層の耐削れ性が良好なも
のになり、かつ効率良く塗工できるため好ましい。水性
塗液の塗布量は、WETで1〜20g/m2 、特に2〜
12g/m2 が好ましい。このP層の厚さは0.01〜
1μm、特に0.015〜0.4μmが好ましい。
【0049】[写真フイルム用下引きフイルム]本発明
の写真フイルム用下引きフイルムの構成は、ポリエステ
ルフイルム(E層)/ゼラチン層(Z層)の2層構造ま
たはゼラチン層(Z層)/ポリエステルフイルム(E
層)/ゼラチン層(Z層)の3層構造であるが、プライ
マー被覆層(P層)を積層する場合は、E層/P層/Z
層の3層構造、Z層/P層/E層/Z層の4層構造、Z
層/P層/E層/P層/Z層の5層構造を挙げることが
できる。
【0050】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。各特性値は下記の方法で測定した。尚、例中の
平均分子量は数平均分子量を意味する。
【0051】1.表面固有抵抗値(制電性) フイルムのゼラチン層(Z層)の表面固有抵抗値を23
℃、42%RHの条件で振動容量型電位差測定器(タケ
ダ理研(株)製・TR−84M型)を用いて測定した。
尚、表面固有抵抗値が1×109 〜1×1012Ωの範囲
であれば、フイルムの制電性が優れたものとなる。
【0052】2.接着性 (イ)感光性乳剤の調製 1Nの臭化アンモニウム溶液10ml、1Nのヨウ化カ
リウム0.5ml、ゼラチン6g及び水40mlを混合
し、40〜50℃に保って撹拌しながら1Nのアンモニ
ア性硝酸銀溶液10mlを2分かけて滴下し感光性乳剤
を調製した。
【0053】(ロ)接着性の評価 サンプルフイルムのゼラチン層(Z層)表面に、上記
(イ)で調製した感光性乳剤を塗布し、乾燥して3μm
の感光性被膜を形成させた。この感光性被膜を形成させ
たサンプルをPH11の水酸化ナトリウム水溶液に32
℃で2分間浸漬し、次いでPH4.2の酢酸水溶液(酢
酸ナトリウム1%含有)に32℃で2分間浸漬し、更に
水洗した後、1日風乾した。この風乾したサンプルの感
光性被膜面にセロテープを貼付けハンドロールで密着さ
せた後、セロテープを300mm/分の速度で剥離した
際の剥離状況を観察し下記の基準により接着性を評価し
た。 A:セロテープ粘着面と感光性被膜面の間で剥離(接着
性良好) B:Z層が部分的に凝集破壊し、セロテープ粘着面にZ
層の一部が付着した状態で剥離(接着性やや良好) C:セロテープにZ層全体が付着した状態でZ層とE層
間で剥離またはセロテープにZ層全体が付着した状態で
Z層とP層間で剥離(接着性不良)
【0054】3.表面エネルギー(表面エネルギー安定
性) 帯電防止剤の塗膜表面へのブリードの程度を表面エネル
ギー安定性にて評価した。即ち、表面エネルギーがE0
dyne/cm のブランクフイルム(塗膜を塗設しないポリエ
ステルフイルム)の片面と、サンプルフイルムの塗膜塗
設面とを重ね、5 kg/cm2 の荷重を加えた状態で48
℃、70%RHの雰囲気で18時間保持した後剥離し、
ブランクフイルムのサンプルフイルムとの接触面の表面
エネルギー(E1 dyne/cm )を測定し、得られた測定結
果から下記の基準により表面エネルギー安定性を評価し
た。 A: E1 /E0 ≧0.950(表面エネルギー安定性良好) B:0.950>E1 /E0 ≧0.925(表面エネルギー安定性やや良好) C:0.925>E1 /E0 (表面エネルギー安定性不良) 尚、表面エネルギーは、JIS−K6768−1977
の濡れ試験法に準じた濡れ指数を測定する方法により求
めた。
【0055】[実施例1]固有粘度0.65のポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルキシレート(E−1)
を溶融し、冷却ドラム上にキャストして未延伸フイルム
とし、この未延伸フイルムを118℃に加熱し縦方向に
3.3倍延伸して一軸延伸フイルムとした。次いでこの
一軸延伸フイルムの両面に、酸成分としてテレフタル酸
(54モル%)、イソフタル酸(39モル%)及び5−
Kスルホイソフタル酸(7モル%)、グリコール成分と
してエチレングリコール(58モル%)、ネオペンチル
グリコール(25モル%)及びジエチレングリコール
(17モル%)を用いて得られた共重合ポリエステル
(平均分子量:17,500)45重量%、メタクリル
酸メチル成分71モル%、メタクリル酸グリシジル成分
4モル%、アクリル酸エチル成分12モル%、アクリル
酸2−ヒドロキシエチル成分8モル%及びN−メチロー
ルアクリルアミド成分5モル%の共重合体(平均分子
量:76,000)36重量%、ポリエチレンイミン
(平均分子量:8,700)7重量%並びにエチレンオ
キシド・プロピレンオキシド共重合体(平均分子量:
7,250)12重量%からなる組成物の4重量%水性
塗液をグラビアコーターで塗布した。次いで106℃で
乾燥後、121℃で横方向に4.4倍延伸し、209℃
で熱処理してプライマー被覆層(P1)を塗設した積層
フイルム(P層/E層/P層)をつくった。この積層フ
イルムの総厚みは172μm、プライマー被覆層(P
1)の厚みは0.08μmであった。
【0056】更に、このフイルムの両面に小牛の骨から
つくられたオセインゼラチン37重量%、酸化チタン
(平均粒径0.05μm)17重量%及びエチレン成分
85モル%、アクリル酸エチル成分7モル%、前記式
(III −1)で示される成分(−CH2 CH−[(CO
NH)(CH2 3 + (CH3 3 ][CH3
3 -])7モル%の共重合体(K−1、平均分子量:
5,250)31重量%及びエチレンオキシド・プロピ
レンオキシド共重合体(平均分子量:6,550)15
重量%からなる組成物の8重量%水性塗液をリバースロ
ールコーターで塗布し、110℃で2分間乾燥してゼラ
チン層(Z1)を形成させた積層フイルム(Z層/P層
/E層/P層/Z層)をつくった。このゼラチン層の厚
さは0.82μmであった。得られた積層フイルムの特
性を表1に示す。
【0057】[実施例2〜7及び比較例1〜2]P層と
Z層の組成及び厚みを表1に示すように変更した以外は
実施例1と同様にして積層フイルムを得た。これらのフ
イルムの特性を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1の結果から明らかなように、本発明の
写真フイルム用下引きフイルムは制電性、写真感光剤層
との接着性、表面エネルギー安定性に優れたものであっ
た。尚、表1において[P2]、[Z2]、[Z3]及
び[Z4]は下記の組成物を示す。
【0060】[P2]:酸性分としてテレフタル酸(5
4モル%)、イソフタル酸(39モル%)及び5−Kス
ルホイソフタル酸(7モル%)、グリコール成分として
エチレングリコール(58モル%)、ネオペンチルグリ
コール(25モル%)及びジエチレングリコール(17
モル%)を用いて得られた共重合ポリエステル(平均分
子量:17,500)40重量%、メタクリル酸メチル
成分71モル%、メタクリル酸グリシジル成分4モル
%、アクリル酸エチル成分12モル%、アクリル酸2−
ヒドロキシエチル成分8モル%及びN−メチロールアク
リルアミド5モル%の共重合体(平均分子量:76,0
00)26重量%、ポリエチレンイミン(平均分子量:
8,700)7重量%、エチレンオキシド・プロピレン
オキシド共重合体(平均分子量:7,800)12重量
%並びに前記の共重合体(K−1)15重量%からなる
組成物
【0061】[Z2]:クジラ皮ゼラチン37重量%、
酸化チタン(平均粒径0.05μm)14重量%、エチ
レン成分85モル%、アクリル酸エチル成分8モル%、
前記式(III −1)で示される成分(−CH2 CH−
[(CONH)(CH2 3 + (CH3 3 ][CH
3 SO3 -])6モル%の共重合体(K−2、平均分子
量:5,950)34重量%並びにエチレンオキシド・
プロピレンオキシド共重合体(平均分子量:6,55
0)15重量%からなる組成物
【0062】[Z3]:メタクリル酸メチル成分61モ
ル%、メタクリル酸グリシジル成分4モル%、アクリル
酸エチル成分22モル%、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル成分8モル%及びN−メチロールアクリルアミド成
分5モル%の共重合体(平均分子量:76,000)3
1重量%、牛骨からつくられたオセインゼラチン37重
量%、酸化チタン(平均粒径:0.05μm)17重量
%及びエチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体
(平均分子量:6,150)15重量%からなる組成物
【0063】[Z4]:メタクリル酸メチル成分61モ
ル%、メタクリル酸グリシジル成分4モル%、アクリル
酸エチル成分22モル%、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル成分8モル%及びN−メチロールアクリルアミド成
分5モル%の共重合体(平均分子量:85,000)2
1重量%、牛骨からつくられたオセインゼラチン37重
量%、酸化チタン(平均粒径:0.05μm)17重量
%、C1123SO3 K10重量%及びエチレンオキシド
・プロピレンオキシド共重合体(平均分子量:6,15
0)15重量%からなる組成物
【0064】
【発明の効果】本発明においては、特定組成のゼラチン
層を用いるため、制電性に優れ、表面エネルギー変化が
少なく、写真用感光剤層との接着性に優れた写真フイル
ム用下引きフイルムを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03C 1/89 G03C 1/89 (56)参考文献 特開 平6−138582(JP,A) 特開 昭62−288831(JP,A) 特開 昭57−198451(JP,A) 特開 昭62−45603(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/91 G03C 1/89

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルム(E層)の少なく
    とも片面に、下記式(I)で示される構成単位(i)6
    0〜98モル%、下記式(II)で示される構成単位(i
    i)0〜25モル%及び下記式(III)で示される構成単
    位(iii)2〜15モル%の共重合体(A)を3〜60重
    量%含むゼラチン層(Z層)を積層した写真フイルム用
    下引きフイルム。 【化1】 【化2】 [式(II)中、R1 、R2 はHまたはCH3 ;Xは炭素数
    が1〜6の飽和炭化水素基] 【化3】 [式(III)中、R1 、R2 はHまたはCH3 ;R3 は炭
    素数が2〜10アルキレン基;R4 、R5 、R6 はHま
    たは炭素数が1〜5の飽和炭化水素基;Yはハロゲンイ
    オン、アルキルサルフェートイオン、アルキルスルホネ
    ートイオンまたはナイトレートイオンを示す。]
  2. 【請求項2】 ポリエステルフイルム(E層)の少なく
    とも片面に、プライマー被覆層(P層)を設け、該プラ
    イマー被覆層の上に、更にゼラチン層(Z層)を積層し
    た請求項1記載の写真フイルム用下引きフイルム。
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