JP3126621B2 - 積層フイルム - Google Patents

積層フイルム

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JP3126621B2 JP07066087A JP6608795A JP3126621B2 JP 3126621 B2 JP3126621 B2 JP 3126621B2 JP 07066087 A JP07066087 A JP 07066087A JP 6608795 A JP6608795 A JP 6608795A JP 3126621 B2 JP3126621 B2 JP 3126621B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層フイルムに関し、更
に詳しくは塗膜の耐削れ性、離型特性に優れた離型フイ
ルム等に有用な積層フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートやポリエチ
レンナフタレート等からなるポリエステルフイルムは、
離型フイルム(例えば工程離型用、粘着剤保護用等)等
の工程材料として広く使用されている。
【0003】上記の工程離型用の離型フイルムとは、例
えば塩化ビニルシートやポリウレタンシート等の樹脂シ
ートを製造する工程に用いるフイルムであり、かかる工
程では、離型フイルムの表面に例えばポリウレタンゾル
の水性液を塗布し、加熱乾燥により離型フイルム上にポ
リウレタンシートを形成させた後、離型フイルムからポ
リウレタンシートを剥離する等により樹脂シートが製造
される。
【0004】また、粘着剤保護用の離型フイルムとは、
例えば粘着剤層を表面層に有する粘着テープ等の表面を
保護するために用いるフイルム(保護フイルム)であ
る。
【0005】かかる離型フイルムとしてポリエステルフ
イルムをそのまま用いることは、ポリエステルフイルム
が種々の樹脂や粘着剤に対する離型特性が十分ではない
ので難しい。このため、通常ポリエステルフイルムの表
面に離型性塗膜を塗設した積層フイルムが離型フイルム
として用いられている。
【0006】ポリエステルフイルムに離型性塗膜を塗設
するための塗布剤は種々開発されているが、塗設をポリ
エステルフイルムの製造工程中で行う場合、環境保全或
いは防災上の理由で通常は水性塗布剤が使用される。し
かしながら、水性塗布剤を用いた従来の離型性塗膜に
は、塗膜が削れ易い欠点や塗膜表面の離型特性が不十分
となる欠点があり、これらの欠点を同時に解決した離型
性塗膜は未だ開発されていない。
【0007】例えば、シリコーン系樹脂とバインダー樹
脂とを単にブレンドした組成物を含む水性塗布剤を用い
て塗設した離型性塗膜は、シリコーン系樹脂とバインダ
ー樹脂との相溶性が悪いため塗膜の耐削れ性が悪く、塗
膜表面の離型特性も十分なものとはいえない。また、主
鎖がアクリレート系ポリマーであり側鎖がシリコーン系
ポリマーであるグラフトポリマーを含有する水性塗布剤
を用いた離型性塗膜(特開平3−99827号公報)で
は、塗膜の耐削れ性が不足する問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来の欠点を解消し、塗膜の耐削れ性、塗膜表面の離
型特性に優れた積層フイルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、
主鎖がポリエステル系ポリマー鎖であり側鎖がシリコー
ン系ポリマー鎖であるシリコーン変性ポリエステル重合
体を含む水性液を塗布し、乾燥、延伸してつくられた塗
設け、その上に更にシリコーン樹脂を含む離型層を
設けた離型フイルムに用いる積層フイルムによって達成
される。以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】[ベースフイルム]本発明においてベース
フイルムにはポリエステルフイルムを用いるが、ベース
フイルムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分
とグリコール成分からなる線状ポリエステルである。
【0011】このジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェ
ニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸等を挙げることができ、特にテレフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0012】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサ
ンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエ
チレングリコール、ビスフェノール等を挙げることがで
き、特にエチレングリコールが好ましい。
【0013】かかるポリエステルのうち、ポリエチレン
テレフタレート或いはポリエチレン―2,6―ナフタレ
ートの単独重合体が、高ヤング率である等の機械的特性
に優れ、耐熱寸法安定性がよい等の熱的特性等に優れた
フイルムが得られるため好ましい。
【0014】上述のポリエステルは、ポリエステルフイ
ルムと塗膜との接着性をより良好なものとする等のた
め、上記ジカルボン酸成分或いはグリコール成分等を共
重合したポリエステルであってもよく、更に三官能以上
の多価化合物をポリエステルが実質的に線状となる範囲
(例えば5モル%以下)で少量共重合したポリエステル
であってもよい。
【0015】かかるポリエステルは常法によりつくるこ
とができる。また、ポリエステルの固有粘度が0.45
以上であるとフイルムの剛性が大きい等の機械的特性が
良好となるため好ましい。
【0016】上記のポリエステルには、フイルムの滑り
性を良好なものとするため、滑剤として平均粒径が0.
01〜20μm程度の有機や無機の微粒子を、例えば
0.005〜20重量%の配合割合で含有させることが
好ましい。かかる微粒子の具体例として、シリカ、アル
ミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸
化チタン、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜
鉛、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポ
リスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコー
ン樹脂粒子等を好ましく挙げることができる。
【0017】前記微粒子以外にも着色剤、公知の帯電防
止剤、酸化防止剤、有機滑剤(滑り剤)、触媒、蛍光増
白剤、可塑剤、架橋剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を必
要に応じて添加することができる。
【0018】本発明において水性液を塗布するフイルム
には、水性液を塗布した後に延伸可能なフイルムを用い
るが、かかるフイルムとして未延伸フイルム、一軸延伸
フイルムまたは延伸可能な二軸延伸フイルムを用いるこ
とができる。かかるフイルムは従来から知られている方
法で得ることができる。例えば、前記ポリエステルを押
出機にて溶融しフイルム状に押出し、回転冷却ドラムに
て冷却することにより未延伸フイルムを得ることがで
き、該未延伸フイルムを縦方向あるいは横方向に一軸延
伸することにより一軸延伸フイルムを得ることができ
る。また、延伸可能な二軸延伸フイルムは、縦方向また
は横方向の一軸延伸フイルムを横方向または縦方向に逐
次二軸延伸する方法、或いは未延伸フイルムを縦方向と
横方向に同時二軸延伸する方法で得ることができる。
【0019】上記の延伸温度はポリエステルの二次転移
点(Tg)−10℃以上とすることが好ましい。また、
延伸倍率は一軸延伸フイルムの場合は一軸方向に2〜8
倍、延伸可能な二軸延伸フイルムの場合は夫々の方向に
2〜8倍、特に2〜6倍とすることが好ましい。
【0020】[シリコーン変性ポリエステル重合体]本
発明においては、ポリエステルフイルムの少なくとも片
面に、シリコーン変性ポリエステル重合体を含む水性液
を塗布し、乾燥、延伸してつくられた塗膜を設ける。こ
のシリコーン変性ポリエステル重合体(変性共重合体)
とは、主鎖がポリエステル系ポリマー鎖であり側鎖がシ
リコーン系ポリマー鎖の共重合体である。該変性共重合
体は、例えばポリマー鎖中に官能基を有するポリエステ
ル系ポリマーと、その官能基と反応し得る官能基を少な
くとも片方の末端に有するシリコーン系ポリマーとを反
応させることにより得られる。
【0021】上記ポリエステル系ポリマーの鎖中の官能
基やシリコーン系ポリマー少なくとも片方の末端の官能
基としては、例えば、水酸基(−OH)、カルボキシル
基(−COOH)、アミノ基(−NH2 )、イソシアネ
ート基(−NCO)、ブロックドイソシアネート基(−
N=C(C2 5 )(CH3 ))、不飽和鎖式炭化水素
基(ビニル基(−CH=CH2 )、アリル基(−CH2
CH=CH2 )等)、ヒドロキシメチル基(−CH2
H)、アルコキシ基(−OCH3 、−OC2 5 等)、
アルコキシメチル基(−CH2 OCH3 、−CH2 OC
2 5 等)、ポリオキシアルキレン基(例えば−O(C
2 CH2 O)n−H)、オキシラン基(下記式(I)
で示される基)、オキサゾリン基(下記式(II)で示さ
れる基)、ハイドロジェンシラン基(−SiH)等を挙
げることができる。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】尚、上記の官能基は、例えばブロックドイ
ソシアネート基として−NHCOON=C(C2 5
(CH3 )、アルコキシメチル基として−CONHCH
2 OCH3 、−CONHCH2 OC2 5 で示されるよ
うに、上記で示した官能基を末端に有する基であっても
よい。
【0025】また、変性共重合体はポリマー鎖中にトリ
メトキシシリル基(−Si(OCH 3 3 )を有するポ
リエステル系ポリマーに、シランカップリング剤を縮合
反応させて得られるポリシロキサンの末端を結合させる
ことによっても得ることができる。尚、変性共重合体は
上記以外の製法で得られたものでもよい。
【0026】変性共重合体におけるポリエステル系ポリ
マー主鎖(E)とシリコーン系ポリマー側鎖(S)の重
量割合は、重量比で、E/S=10/90〜90/10
が好ましく、E/S=20/80〜80/20が更に好
ましい。このE/Sが10/90未満では塗膜の耐削れ
性が不足し、E/Sが90/10を超えると塗膜表面の
離型特性が不足することがあるため好ましくない。尚、
本発明に用いる変性共重合体はその一部が架橋剤で架橋
されたものであってもよい。
【0027】[ポリエステル系ポリマー]変性共重合体
をつくるのに用いるポリエステル系ポリマーは、ジカル
ボン酸成分とグリコール成分とを構成成分とする線状ポ
リエステルであり、ポリマー鎖中の末端基以外の部分に
おいて複数の官能基を有するポリマーである。
【0028】この官能基としては、例えば水酸基、カル
ボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ブロックド
イソシアネート基、不飽和鎖式炭化水素基(ビニル基、
アリル基等)、ヒドロキシメチル基、アルコキシ基、ア
ルコキシメチル基、ポリオキシアルキレン基、オキシラ
ン基、オキサゾリン基等を挙げることができる。
【0029】ポリエステル系ポリマーを構成するジカル
ボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテ
レフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、5−Na
スルホイソフタル酸、マレイン酸、フマール酸等を挙げ
ることができる。
【0030】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリア
ルキレンオキシド共重合体、ビスフェノール・アルキレ
ンオキシド付加体等を挙げることができる。
【0031】ポリエステル系ポリマーは、塗膜の耐削れ
性を優れたものにするため上記構成成分からなる共重合
ポリマーであることが好ましい。また、変性共重合体の
水性液中での分散性や溶解性を優れたものにするため親
水基を有する成分を共重合したものであることが好まし
い。この親水基としては例えばアルコキシ基、水酸基、
アミノ基、スルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリオキ
シメチレン基、ヒドロキシメチル基等を挙げることがで
き、特にスルホン酸アルカリ金属塩基が好ましい。かか
る親水基を有する共重合成分としては、例えばスルホン
酸アルカリ金属塩基を有する芳香族ジカルボン酸を挙げ
ることができる。
【0032】ポリエステル系ポリマーの平均分子量は5
00〜35,000、特に800〜25,000である
ことが好ましい。平均分子量が500未満であると塗膜
の耐削れ性が低下することがあり、35,000を超え
ると塗膜表面の離型特性が低下することがあり好ましく
ない。
【0033】[シリコーン系ポリマー]変性共重合体を
つくるのに用いるシリコーン系ポリマーは、ポリシロキ
サン或いはポリジメチルシロキサンを骨格とし、少なく
とも片方の末端にポリエステル系ポリマー鎖中の官能基
と反応し得る官能基を有するシリコーン系ポリマーであ
る。
【0034】この官能基としてはアルコキシ基、アルコ
キシメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル
基、オキシラン基、ポリオキシアルキレン基、不飽和鎖
式炭化水素基(ビニル基、アリル基等)、水酸基、カル
ボキシル基、ハイドロジェンシラン基、アミノ基、イソ
シアネート基、ブロックドイソシアネート基、オキサゾ
リン基等を挙げることができる。
【0035】また、シリコーン系ポリマーには水性液中
での変性共重合体の分散性や溶解性を良好なものとする
ために親水基が含まれていることが好ましい。この親水
基としてはアルコキシ基、ヒドロキシメチル基、メトキ
シメチル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸塩基、カル
ボン酸塩基、ポリオキシメチレン基等を挙げることがで
きる。
【0036】シリコーン系ポリマーの平均分子量は50
0〜50,000、特に800〜25,000であるこ
とが好ましい。平均分子量が500未満であると塗膜表
面の離型特性が低下し、50,000を超えると塗膜の
耐削れ性が不足するようになる。
【0037】[水性液]本発明においてはベースフイル
ムに塗膜を塗設するため前記の変性共重合体を含む水性
液を用いる。この水性液は、変性共重合体の水溶液、エ
マルジョン、ディスパージョン等であることが好まし
い。水性液には塗膜とベースフイルムとの密着性を調節
すること等の目的で、バインダー樹脂を加えることがで
きる。このバインダー樹脂としては、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、
ビニル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリエー
テル樹脂、水溶性樹脂(例えばセルロース系樹脂)、シ
リコーン樹脂等を挙げることができる。
【0038】更に、水性液には前記成分以外に滑剤(無
機や有機の微粒子)、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防
止剤、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、滑
り剤(潤滑剤)、紫外線吸収剤等を添加することができ
る。
【0039】水性液中の全固形物成分当たりの変性共重
合体の比率は50〜100重量%であることが好まし
い。この比率が50重量%未満では塗膜の離型特性や、
シリコーン樹脂層を塗膜上に更に積層する場合に塗膜と
シリコーン樹脂層との接着性が不足する。
【0040】水性液中の全固形分濃度は1〜30重量
%、特に2〜20重量%とすることが好ましい。尚、水
性液には少量の有機溶剤が含まれていてもよい。
【0041】[塗膜の塗設]本発明においては、ポリエ
ステルフイルムの少なくとも片面に、前記水性液を塗布
し、加熱乾燥、延伸することにより塗膜を塗設するが、
水性液の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用
でき、例えばグラビアコート法、リバースロールコート
法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート
法、オフセットグラビアコート法、マイヤーバーコート
法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナ
イフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独また
は組み合わせて適用することができる。水性液のWET
塗布量は走行しているフイルム1m2 当り1〜20g、
特に2〜12gが好ましい。塗布量がこの範囲にあると
乾燥が容易になり、かつ塗布斑が生じ難いので好まし
い。
【0042】本発明において、水性液を塗布するポリエ
ステルフイルムには、前記の未延伸フイルム、一軸延伸
フイルムまたは延伸可能な二軸延伸フイルムを用いるこ
とができるが、このうち一軸延伸フイルム、特に縦方向
の一軸延伸フイルムを用いると塗膜の耐削れ性が良好な
ものになり、かつ効率良く積層フイルムを製造できるた
め好ましい。例えば、ポリエステルを押出機にて熱溶融
し、シート状に押出し冷却して未延伸フイルムとし、こ
の未延伸フイルムを縦方向に2〜8倍延伸して一軸延伸
フイルムとした後、水性液を塗布し、加熱乾燥し、次い
でで横方向に2〜9倍延伸し、必要なら更に縦方向や横
方向に再延伸及び/又は熱処理して塗膜の耐削れ性が良
好な積層フイルムをつくることができる。
【0043】塗設した塗膜の厚さは0.005〜3μ
m、特に0.01〜1μmが好ましい。塗膜の厚さが
0.005μmよりも薄いと離型特性が不足することが
あり、3μmを超えると塗膜が耐削れ性が不足すること
があるため好ましくない。
【0044】尚、塗膜を塗設したポリエステルフイルム
の厚さは、一軸延伸フイルムでは2〜500μm、二軸
延伸フイルムでは2〜300μmが好ましい。
【0045】[乾燥及び延伸温度]本発明で水性液を塗
布した後、乾燥させる温度は70〜120℃とすること
が塗液を迅速に乾燥させることができるため好ましい。
この乾燥のための加熱はポリエステルフイルムを延伸す
る過程の加熱を兼ねことができる。また、ポリエステル
フイルムの延伸温度は80〜170℃、熱処理温度は1
20〜260℃とすることができる。
【0046】[シリコーン樹脂層]本発明においては、
更に優れた離型特性を有する積層フイルムとするため、
塗膜の上に更にシリコーン樹脂を含む離型層を設けるこ
とができる。このシリコーン樹脂には例えば付加重合或
いは縮合重合により得られるポリジメチルシロキサン系
重合体を挙げることができる。尚、塗膜との接着性が良
好な離型層として、前記変性共重合体においてシリコー
ン系ポリマー単位(S)とポリエステル系ポリマー単位
(E)の重量比が、S/E≧50/50のポリマーを用
いることもできる。かかる離型層は、例えばシリコーン
樹脂を有機溶剤に溶解した溶液を塗膜の上に塗布し、加
熱して溶媒を蒸発させることにより積層することができ
る。
【0047】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明する。各特性値は下記の方法で測定した。尚、平均分
子量は数平均分子量を示す。
【0048】1.離型特性 フイルムサンプルの塗膜塗設面に塩化ビニルゾルを塗布
し、乾燥して塩化ビニル層を塗設した。次いで、塩化ビ
ニル層を補強するため塩化ビニル層表面に粘着テープを
貼り付け、サンプルを72mm幅に切断した後、引張り
試験機にて塗膜表面と塩化ビニル層との剥離強度(g/
72mm)を測定した。得られた剥離強度から離型特性
を評価した。
【0049】2.耐削れ性 フイルムサンプル2枚を塗膜塗設面と塗膜非塗設面とが
向き合うように重ね合わせ、145g/cm2 の荷重下
で繰返し摩擦した後に塗膜表面の状態を観察して下記の
ランク付けを行う。 A:塗膜表面が殆ど変化していない ……耐削れ性良好 B:塗膜表面が少し削られている ……耐削れ性やや
良好 C:塗膜表面がかなり削られている ……耐削れ性不良
【0050】3.離型層の接着性 塗膜塗設面にシリコーン離型層を積層したフイルムサン
プルを用い、離型層面に綿布を重ね、学研式摩耗試験器
にて荷重200gを加えて離型層面と綿布面とを300
回往復摺動させた後、離型層摺動面の外観変化を観察し
て5段階で評価した。尚、5段階評価(5:良好〜1:
劣る)で評価が3以上であれば実用上支障とならない。
【0051】[実施例1]固有粘度0.62のポリエチ
レンテレフタレートを押出機にて溶融し、フイルム状の
溶融ポリマーをダイスから冷却ドラム上に押出し急冷し
て未延伸フイルムとし、次いで、該未延伸フイルムを縦
方向に3.6倍延伸して一軸延伸フイルムとした。この
一軸延伸フイルムの片面に、酸成分が2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸(23モル%)、テレフタル酸(67モ
ル%)及び5−Naスルホイソフタル酸(10モル
%)、グリコール成分がエチレングリコール(61モル
%)、ネオペンチルグリコール(23モル%)、ジエチ
レングリコール(10モル%)及びトリメチロールプロ
パン(6モル%)の共重合ポリエステル(E−1:平均
分子量18,600)51重量部と、カルボキシル基の
酸価が41、エポキシ価が965であり片末端にブロッ
クドイソシアネート基を有するポリジメチルシロキサン
をアルカリで中和したカリウム塩(S−1:平均分子量
4,650)49重量部とを反応させて得られた変性共
重合体(K−1:平均分子量36,900)75重量
%、平均粒径48nmの酸化珪素11重量%並びにポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル14重量%から
なる組成物の4重量%水性液をキスロールコーターで塗
布した。次いで、この塗布フイルムを101℃で乾燥し
た後、横方向に3.7倍延伸し、229℃で熱処理して
厚さ51μm、塗膜の厚さは0.032μmの積層フイ
ルムをつくった。この積層フイルムの特性を表1に示
す。
【0052】[実施例2〜8、比較例1〜3]塗液の組
成、塗膜厚さを表1に記載のように変更した以外は実施
例1と同様にして得た積層フイルムまたは単層フイルム
の特性を表1に示す。
【0053】[実施例9]実施例1で得た積層フイルム
の塗膜表面に、下記式(III)の構造を有するポリジメチ
ルシロキサン6重量部と、下記式(IV) の構造を有する
架橋剤4重量部とをメチルエチルケトン/トルエン溶媒
90重量部に溶解した溶液をバーコーターで塗布し、1
10℃で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、厚さ7μmの
架橋したシリコーン樹脂離型層を塗設した。この離型層
の接着性を評価した結果、良好(評価:5)なものであ
った。
【0054】
【化3】
【0055】上記式(III)で(m=3(側鎖のビニル基
の数が1分子当り3)であり、平均分子量が約9,00
0である。
【0056】
【化4】
【0057】上記式(IV) で、m=3(側鎖のビニル基
の数が1分子当り3)であり、平均分子量が約7,50
0である。
【0058】[比較例4]比較例2で得た積層フイルム
の塗膜表面に、実施例9と同様にして架橋したシリコー
ン樹脂離型層を塗設した。この離型層の接着性を評価し
た結果、不良(評価:2)であった。
【0059】
【表1】
【0060】表1の塗膜組成において[K−2]、[K
−3]、[K−4]及び[K−5]は、それぞれ下記の
重合体である。
【0061】[K−2]:E−2(E−1と成分比率が
同一で平均分子量が16,500の共重合ポリエステ
ル)50重量部と、S−1(平均分子量4,650)5
0重量部とを反応させて得られた変性共重合体(平均分
子量:33,000) [K−3]:E−2(E−1と成分比率が同一で平均分
子量が16,500の共重合ポリエステル)49重量部
と、S−2(S−1と成分比率が同一で平均分子量が
3,130のシリコーン系ポリマー)51重量部とを反
応させて得られた変性共重合体(平均分子量:32,9
40) [K−4]:酸価41のカルボキシル基、及びエポキシ
価965のエポキシ基を有するポリジメチルシロキサン
のアルカリ中和カリウム塩(平均分子量:8,860) [K−5]:メタクリル酸メチル(43モル%)、アク
リル酸ブチル(8モル%)、アクリル酸メチル(34モ
ル%)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(8モル
%)、アクリルアミド(4モル%)及びN−メチロール
アクリルアミド(3モル%)から得られた共重合体(A
−1:平均分子量19,100)50重量%と酸価が3
8、エポキシ価が764の片末端にブロックドイソシア
ネート基を有するポリジメチルシロキサンのアルカリ中
和ナトリウム塩(S−3:平均分子量2,330)50
重量%とを反応させて得られる共重合体(平均分子量:
37,950)
【0062】
【発明の効果】本発明において塗膜を構成するシリコー
ン変性ポリエステル重合体は、主鎖がベースフイルムと
の密着性に優れたポリエステル系ポリマー鎖であり、側
鎖が離型特性及びシリコーン樹脂層との接着性に優れた
シリコーン系ポリマー鎖であって、かつポリエステル系
ポリマー鎖とシリコーン系ポリマー鎖とが互いに結合し
たものである。このため、本発明の積層フイルムは塗膜
の耐削れ性に優れ、かつ塗膜表面の離型特性及びシリコ
ーン樹脂層との接着性に優れたものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−4654(JP,A) 特開 昭60−167995(JP,A) 特表 平3−504520(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 C09J 7/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に、主鎖がポリエステル系ポリマー鎖であり側鎖がシリ
    コーン系ポリマー鎖であるシリコーン変性ポリエステル
    重合体を含む水性液を塗布し、乾燥、延伸してつくられ
    た塗膜設け、その上に更にシリコーン樹脂を含む離型
    層を設けた離型フイルムに用いる積層フイルム。
  2. 【請求項2】 工程離型用または粘着剤保護用の離型フ
    イルムに用いる請求項1記載の積層フイルム
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