JP3154503B2 - 内燃機関制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、自動車又は船外機等
に用いられる内燃機関制御装置に関し、特に発電出力減
少時の蓄電器過放電によるシステムダウンを防止した内
燃機関制御装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図７は一般的な内燃機関制御装置を示す
ブロック図である。図において、１は内燃機関の回転に
同期回転して交流電圧を出力する発電機、２は発電機１
からの交流電圧を直流電圧に変換する整流器、３は発電
機１からの出力電力を蓄える蓄電器、４は内燃機関のカ
ム軸やクランク軸に設けられて回転数Ｄを検出する回転
検出器、５は蓄電器３から出力される電圧Ｖを検出する
電圧検出器、６は回転数Ｄ及び電圧Ｖを含む各種信号に
基づいて内燃機関の制御パラメータを操作する制御回
路、７は制御回路６からの駆動信号Ａにより駆動される
アクチュエータである。

【０００３】尚、回転検出器４からは、内燃機関の回転
に同期したクランク角基準位置信号が生成され、制御回
路６に入力されている。又、図示しない種々の検出器か
ら、内燃機関の運転状態を示す各種信号が制御回路６に
入力されている。又、アクチュエータ７は、燃料ポン
プ、イグニションコイル及びスロットル等のみならず、
電磁サスペンション及び起動モータ等の種々の駆動要素
を含んでいる。

【０００４】次に、図７に示した一般的な内燃機関制御
装置の動作について説明する。制御回路６は、電圧Ｖ、
回転数Ｄ、クランク角基準位置信号及び種々の運転状態
を含む各種信号に基づいてアクチュエータ７(例えば、燃
料ポンプ及びイグニションコイル)を駆動し、燃料噴射タ
イミング及び点火タイミングを演算制御する。これによ
り、内燃機関は所望の回転数となるように最適に制御さ
れる。

【０００５】このとき、発電機１は、内燃機関の運転に
より回転し、蓄電器３を充電すると共に、直接又は蓄電
器３を介して制御回路６を駆動する。制御回路６は、回
転数Ｄ及び電圧Ｖ並びに種々の運転状態等を示す各種信
号に基づいて、アクチュエータ７に対する駆動信号Ａを
出力する。例えば、蓄電器３の電圧Ｖが低いときには、
イグニションコイル(図示せず)に対する駆動信号Ａの通
電時間を長くして点火電圧を確保する。

【０００６】通常、アイドリング時や船外機のトローリ
ング時など、回転数Ｄが所定回転数以下の状態において
は、発電機１の出力電流が低下してシステム全体の所要
消費電流を下回ることがある。この場合、システムへの
電流不足分は、蓄電器３からの給電により補われる。し
かし、このような状態を長時間に亙って継続すると、電
流不足分が蓄電器３の給電能力を上回り、蓄電器３から
所定電圧が得られなくなって、最後には制御回路６を含
むシステムの動作が全て停止してしまう。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来の内燃機関制御装
置は以上のように、回転数低下時における蓄電器３の出
力電圧低下に対して有効な対策を施していないので、シ
ステムがダウンするおそれがあるという問題点があっ
た。

【０００８】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、所定回転数以下の発電不足時に
おけるシステムダウンを防止した内燃機関制御装置を得
ることを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明に係る内燃機関
制御装置は、内燃機関に同期して回転する発電機と、発
電機の出力電力を蓄える蓄電器と、内燃機関の回転数を
検出する回転検出器と、蓄電器の電圧を検出する電圧検
出器と、回転数及び電圧を含む各種信号に基づいて内燃
機関の制御パラメータを操作する制御回路と、制御回路
からの駆動信号により駆動されるアクチュエータとを備
えた内燃機関制御装置において、アクチュエータは、燃
料ポンプからなり、制御回路は、回転数が所定回転数以
下であるか否かを判定する回転数判定手段と、回転数が
所定回転数以下のときに蓄電器の電圧が所定電圧以下で
あるか否かを判定する電圧判定手段と、電圧が所定電圧
以下のときに駆動信号によるアクチュエータの消費電流
を低減させる電流制限手段とを含み、消費電流の低減時
におけるアクチュエータによる燃料供給量は、内燃機関
の所要燃料以上に設定されたものである。

【００１０】

【作用】この発明においては、回転数の低い発電能力低
下時に、蓄電器の電圧が所定電圧以下となったときに
は、アクチュエータ即ち燃料ポンプに対する駆動信号の
消費電流を低減させ、内燃機関の動作に必要な所要燃料
を確保しつつ、システムダウンを防止する。

【００１１】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図１はこの発明の一実施例の制御回路を示すブロ
ック図であり、７、Ｄ、Ｖ及びＡは前述と同様のもので
ある。又、装置の全体構成は図７に示した通りである。

【００１２】図１において、61は回転数Ｄ及び電圧Ｖ並
びに他の運転状態を含む各種信号を取り込むための入力
インタフェース、62は入力インタフェース61を介した各
種信号を取り込むマイクロコンピュータ、63はマイクロ
コンピュータ62から生成される駆動信号Ａをアクチュエ
ータ７に送出するための出力インタフェース、64はマイ
クロコンピュータ62からの制御信号Ｃによりアクチュエ
ータ７の消費電流を切換える切換回路である。ここで
は、アクチュエータ７として、燃料ポンプを対象として
いる。

【００１３】制御回路６内のマイクロコンピュータ62
は、回転数Ｄが所定回転数以下であるか否かを判定する
回転数判定手段と、回転数Ｄが所定回転数以下のときに
蓄電器３の電圧Ｖが所定電圧以下であるか否かを判定す
る電圧判定手段と、電圧Ｖが所定電圧以下のときにアク
チュエータ７の消費電流を低減させる電流制限手段とを
含んでいる。

【００１４】図２は制御回路６内の切換回路64の具体的
構成の一例を示す回路図であり、10は制御信号Ｃにより
動作する切換スイッチ、11〜13は切換スイッチ10の共通
接点及び一対の切換接点、14は切換スイッチ10の出力端
子、15は切換接点13と出力端子14との間に挿入された電
流制限用の抵抗器である。

【００１５】共通接点11は電源入力端子に接続され、通
常時に共通接点11と導通される切換接点12は出力端子14
に直接接続され、電流制限時に共通接点11と導通される
切換接点13は抵抗器15を介して出力端子14に接続されて
いる。この場合、電源入力端子とアクチュエータ７との
間に切換スイッチ10が挿入されているが、切換スイッチ
10は、アクチュエータ７と直列に接続されていればよ
く、アクチュエータ７とグランドとの間に挿入されても
よい。

【００１６】次に、図３のフローチャート及び図７を参
照しながら、図１及び図２に示したこの発明の一実施例
の動作について説明する。図３はマイクロコンピュータ
62の処理手順を示しており、まず、内燃機関の回転数Ｄ
を検出し(ステップS1)、アイドリング時又はトローリン
グ時に相当する所定回転数以下であるか否かを判定する
(ステップS2)。

【００１７】もし、回転数Ｄが所定回転数以下であれ
ば、通常運転走行時ではなく、発電能力が低い状態であ
ることが認識される。続いて、蓄電器３(図７参照)の電
圧Ｖを検出し(ステップS3)、所定電圧以下であるか否か
を判定する(ステップS4)。

【００１８】通常運転走行中は、ステップS2において回
転数Ｄが所定回転数以上であることが判定され、又、蓄
電器３の残り蓄電量が十分であれば、ステップS4におい
て電圧Ｖが所定電圧以上であることが判定される。従っ
て、切換回路64内の共通接点11と切換接点12との導通が
保持され、マイクロコンピュータ62で演算された駆動信
号Ａは、そのままアクチュエータ７に印加される。例え
ば、駆動信号Ａにより、イグニションコイルの通電時
間、燃料の噴射量、又は、スロットルの空気流量等が調
節される。

【００１９】一方、ステップS4において電圧Ｖが所定電
圧以下であることが判定された場合は、蓄電器３の残り
蓄電量が減少している状態であることが認識されるの
で、マイクロコンピュータ62は、消費電流を制限するた
めの制御信号Ｃを出力する。これにより、切換回路64内
の切換スイッチ10が切換動作して共通接点11が切換接点
13と導通し、駆動信号Ａが抵抗器15を介してアクチュエ
ータ７に印加されるようになる。従って、駆動信号Ａに
よるアクチュエータ７の消費電流は、減少して制限され
ることになる(ステップS5)。

【００２０】この場合、消費電流制限対象となるアクチ
ュエータ７が燃料ポンプであり、燃料供給量が通常より
減少するが、アイドリング時やトローリング時において
は、所要燃料に対して十分な余裕があるため、内燃機関
の動作に必要な最小限の燃料が確保されるので、特に問
題はない。又、消費電流に特に寄与するアクチュエータ
７は燃料ポンプであることから、燃料供給量の減少によ
る消費電流の制限効果は著しい。この結果、蓄電器３の
消費電力が節減されるため、蓄電器３の過放電が防止さ
れると共に、内燃機関の動作を停止することなく、制御
回路６を含むシステムは動作を続けることができる。

【００２１】尚、上記実施例では、消費電流を制限する
ために切換スイッチ10を用いたが、図４のように、制御
信号Ｃにより開放される常閉接点を用いてもよい。図４
において、16は抵抗器15の両端間を短絡する常閉接点、
17は制御信号Ｃにより付勢されて常閉接点16を開放させ
る励磁コイルである。この場合、アクチュエータ７が電
源入力端子と抵抗器15との間に挿入されているが、前述
のように、抵抗器15とグランドとの間に挿入されてもよ
い。

【００２２】又、制御信号Ｃを切換用のレベル反転信号
としたが、オンオフを繰り返すパルス信号としてもよ
い。図５はパルス信号からなる制御信号Ｃを用いた場合
の一例を示し、18は制御信号Ｃによりオンオフされるト
ランジスタである。トランジスタ18のコレクタは電源入
力端子及びアクチュエータ７に接続され、エミッタは接
地されている。この場合、制御信号Ｃがオフのときは通
常の駆動信号Ａがアクチュエータ７に印加され、電流制
限時には、制御信号Ｃによりトランジスタ18がオンオフ
され、駆動信号Ａによるアクチュエータ７の消費電流が
実質的に減少する。

【００２３】更に、蓄電器３の電圧Ｖが所定電圧以下と
判定されたときにアクチュエータ７の消費電流を制限し
たが、電流制限ステップS5を実行しても電圧Ｖが復帰せ
ず低下し続ける場合、最終的には内燃機関の最低限の動
作を保証することができなくなる。

【００２４】例えば、電圧Ｖが動作下限電圧に相当する
第２の所定電圧以下のときに、燃料ポンプに対する駆動
信号Ａに抵抗器15を挿入すると、電流制限が効きすぎ
て、供給燃料吐出量が最低限動作の要求量以下となって
しまい、内燃機関が停止してしまう。従って、電圧Ｖが
動作保証電圧以下のときには、電流制限即ち抵抗器15の
挿入を回避し、燃料供給量を確保する必要がある。

【００２５】図６は動作保証するようにしたこの発明の
他の実施例の動作を示すフローチャートである。この場
合、電圧Ｖが所定電圧範囲内か否かを判定し(ステップS
6)、所定電圧範囲内と判定されたときのみ電流制限ステ
ップS5を実行する。尚、所定電圧範囲は、前述のステッ
プS4での判定基準として用いた所定電圧を第１の所定電
圧とし、第１の所定電圧より低い最低動作電圧を第２の
所定電圧として、第１の所定電圧以下及び第２の所定電
圧以上の範囲により規定される。

【００２６】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、内燃機
関に同期して回転する発電機と、発電機の出力電力を蓄
える蓄電器と、内燃機関の回転数を検出する回転検出器
と、蓄電器の電圧を検出する電圧検出器と、回転数及び
電圧を含む各種信号に基づいて内燃機関の制御パラメー
タを操作する制御回路と、制御回路からの駆動信号によ
り駆動されるアクチュエータとを備えた内燃機関制御装
置において、アクチュエータは、燃料ポンプからなり、
制御回路は、回転数が所定回転数以下であるか否かを判
定する回転数判定手段と、回転数が所定回転数以下のと
きに蓄電器の電圧が所定電圧以下であるか否かを判定す
る電圧判定手段と、電圧が所定電圧以下のときに駆動信
号によるアクチュエータの消費電流を低減させる電流制
限手段とを含み、消費電流の低減時におけるアクチュエ
ータによる燃料供給量は、内燃機関の所要燃料以上に設
定され、発電能力が低下し且つ蓄電器電圧が所定電圧以
下となったときに消費電流を有効に節減するようにした
ので、内燃機関の動作に必要な所要燃料を確保しつつ、
システムダウンを未然に防止できる内燃機関制御装置が
得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の制御回路を示すブロック
図である。

【図２】図１内の切換回路の具体的構成の一例を示す回
路図である。

【図３】図１内のマイクロコンピュータの処理手順を示
すフローチャートである。

【図４】図１内の切換回路の第２の構成例を示す回路図
である。

【図５】図１内の切換回路の第３の構成例を示す回路図
である。

【図６】この発明の他の実施例のマイクロコンピュータ
の処理手順を示すフローチャートである。

【図７】一般的な内燃機関制御装置を示すブロック図で
ある。

【符号の説明】

１ 発電機 ３ 蓄電器 ４ 回転検出器 ５ 電圧検出器 ６ 制御回路 ７ アクチュエータ 62 マイクロコンピュータ 64 切換回路 Ｄ 回転数 Ｖ 電圧 Ａ 駆動信号 Ｃ 制御信号 S2 回転数を判定するステップ S4 電圧を判定するステップ S5 電流を制限するステップ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関に同期して回転する発電機と、
   前記発電機の出力電力を蓄える蓄電器と、前記内燃機関
   の回転数を検出する回転検出器と、前記蓄電器の電圧を
   検出する電圧検出器と、前記回転数及び前記電圧を含む
   各種信号に基づいて前記内燃機関の制御パラメータを操
   作する制御回路と、前記制御回路からの駆動信号により
   駆動されるアクチュエータとを備えた内燃機関制御装置
   において、前記アクチュエータは、燃料ポンプからなり、 前記制御回路は、 前記回転数が所定回転数以下であるか否かを判定する回
   転数判定手段と、 前記回転数が所定回転数以下のときに前記電圧が所定電
   圧以下であるか否かを判定する電圧判定手段と、 前記電圧が所定電圧以下のときに前記駆動信号による前
   記アクチュエータの消費電流を低減させる電流制限手段
   とを含み、 前記消費電流の低減時における前記アクチュエータによ
   る燃料供給量は、前記内燃機関の所要燃料以上に設定さ
   れた ことを特徴とする内燃機関制御装置。
2. 【請求項２】 前記電圧判定手段は前記回転数が所定回
   転数以下のときに前記電圧が所定電圧範囲内である否か
   を判定し、前記電流制限手段は前記蓄電器の電圧が前記
   所定電圧範囲内のときに前記アクチュエータの消費電流
   を低減させることを特徴とする請求項１の内燃機関制御
   装置。