JP3152481B2 - ニオブ酸リチウム単結晶薄膜とその製造方法 - Google Patents
ニオブ酸リチウム単結晶薄膜とその製造方法Info
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Description
子を始めとして、各種光学材料に好適に用いられる膜厚
のニオブ酸リチウム単結晶薄膜とその製造方法に関す
る。
ザ光の短波長化の研究が盛んに行われている。それは、
レーザ光の短波長化により、光ディスク、レーザープリ
ンター等の光学機器に応用した場合に、記録密度や感光
感度を著しく向上させることができるからである。特
に、入射させたレーザ光の波長を1/2に変換できる第
2高調波発生(SHG)素子の研究は盛んである。
は、従来、高出力のガスレーザを光源として、非線形光
学結晶のバルク単結晶が用いられてきた。しかし、光デ
ィスク装置、レーザプリンタ等の装置を小型化する要求
が強いこと、ガスレーザは光変調のため外部に変調器が
必要である。これに対して、最近、直接変調が可能で安
価である半導体レーザがガスレーザに代わって用いられ
るようになってきた。それに伴い、数mW〜数十mWの
低い光源出力で高い変換効率を得る必要から、薄膜導波
路型のSHG素子が脚光を浴びている。
光学材料としては、従来、ニオブ酸リチウムバルク単結
晶にTi等を拡散させることにより屈折率を変化させた
層を導波路にしたものや、タンタル酸リチウム基板上に
高周波スパッタ法により形成させたニオブ酸リチウム薄
膜を導波路としたものなどが知られている。しかし、こ
れらの材料は、結晶性に優れ高い変換効率を有するニオ
ブ酸リチウム薄膜の作製が困難であった。
造する方法としては、液相エピタキシャル法が好適であ
ると考えられる。そして、ニオブ酸リチウム薄膜を得る
ための液相エピタキシャル法としては、例えば、「Appl
ied Physics Letters 」Vol.26、No. 1,January p8
−10(1975)には、タンタル酸リチウム基板上に、Li
2O、V2O5をフラックスとし、光導波路用ニオブ酸リチウ
ム薄膜を液相エピタキシャル成長法により形成して、光
を導波させた例が記載されている。
タンタル酸リチウムを基板上に、Li 2O、V2O5をフラック
スとして、液相エピタキシャル成長法により光導波路用
ニオブ酸リチウム薄膜を形成する方法が記載されてい
る。
は、基板上に、Mgを含有したニオブ酸リチウム・タン
タル酸リチウム固溶体薄膜単結晶を、Li2O、V2O5をフラ
ックスとして、液相エピタキシャル成長法により形成す
る方法が記載されている。
ル酸リチウム基板上に、結晶性に優れたニオブ酸リチウ
ム単結晶を形成することができないばかりでなく、SH
G素子の製造に必要な膜厚のニオブ酸リチウム単結晶薄
膜を得ることが困難で、実用化が難しいという問題点が
あった。
必要な膜厚とは、入射させるレーザ光と第2高調波との
位相整合を図るために、波長(λ)の基本波長光と波長
(λ/2)の第2高調波長光との実効屈折率を一致させ
るに足りる膜厚のことである。特に、タンタル酸リチウ
ム基板とニオブ酸リチウム単結晶薄膜とからなる半導体
レーザ用SHG素子を作成する場合、実効屈折率を一致
させるためには、研磨により除去される分を考慮する
と、5μm以上の厚さのニオブ酸リチウムの単結晶薄膜
が必要である。
チウム基板上にSHG素子などの光学デバイスを作成す
るために必要な膜厚で、しかも光学特性の優れたニオブ
酸リチウム単結晶薄膜を実用的に製造する技術というの
は確立されていなかった。このような従来技術が抱えて
いる問題点について種々研究した結果、このような問題
が生ずるのは、第1に、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の
格子定数が、タンタル酸リチウム基板の格子定数より小
さく、作製時に結晶格子に歪みが発生するからであるこ
とを知見した。
解決するために、ニオブ酸リチウム単結晶に、NaやM
gを含有させることにより、ニオブ酸リチウム単結晶の
光損傷(強い光を照射すると結晶の屈折率が変化するこ
と)を防止し、かつニオブ酸リチウム基板の格子定数を
調整してタンタル酸リチウム基板の格子定数に整合(格
子整合)させることにより、SHG素子などの光学デバ
イスを作成するために必要な膜厚で、しかも光学特性に
優れたニオブ酸リチウム単結晶薄膜を実用的に製造する
方法を、先に特願平1−242285号として提案し
た。
技術は、それ以前にも、例えば「Journal of Crystal G
rowth 54」(1981) 572ー576 に、Y−カットのニオブ
酸リチウム基板上に膜厚20μmのナトリウム含有ニオ
ブ酸リチウム薄膜単結晶を形成した例が報告されてお
り、また、「Journal of Crystal Growth 84」(1987)
409−412 には、Yカットのタンタル酸リチウム基板上
にナトリウム含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成し
た例が報告されている。
では、Na含有によりニオブ酸リチウム単結晶の格子定
数が変化することは記載されているものの、SAW(Su
rface Acoustic Wave )デバイスに関する技術であり、
光学特性やタンタル酸リチウム基板と“格子整合させる
と光学特性に優れた膜”が得られることについては、何
の示唆もない。また、これらの刊行物に示されたニオブ
酸リチウム単結晶薄膜は、前者のものは基板にニオブ酸
リチウムを用いており、また、後者のものはタンタル酸
リチウム基板に形成させているものの、薄膜と基板との
格子整合がなされていないなどにより、いずれも本願の
目的とする光学材料用として使用する事はできない。
基板上にリチウムフェライト膜を液相エピタキシャル成
長法で形成する際、リチウムをNaで置換し格子定数を
基板とマッチングさせ、歪みのないリチウムフェライト
膜を形成する方法が記載されている。しかしながらこの
技術は、リチウムフェライトに関する技術であって、本
発明が対象としているようなニオブ酸リチウム単結晶薄
膜ではなく、本発明のものとおなじ光学材料の分野で使
用することはできない。
は、結晶の開始を極めて緩やかにすることにより結晶を
徐々に成長させ、格子歪みのない液相エピタキシャル結
晶を得る技術が記載されている。しかしこの技術は、半
導体薄膜を製造するための技術であり、タンタル酸リチ
ウム基板上にニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成するた
めの技術ではない。
従来技術では薄膜の格子定数を変化させること、基板と
薄膜の格子定数を一致させること、およびゆるやかな結
晶エピタキシャル成長によって歪の少ない薄膜を作製す
る方法が知られている。また、本発明者らが先に提案し
た先行技術では、ニオブ酸リチウム基板上にMg もしく
はNa を添加してお互いの格子定数を一致させる方法に
ついて提案されている。
と、上記各技術の場合、共通した技術課題のあることが
判った。それは、基板とその上にエピタキシャル成長さ
せた薄膜について、それらが室温においてもなお格子定
数が完全に一致しているかというとそうではなく、ほと
んどのものが、高温域では一致しているものの室温では
不一致となり、そのためにファセットを発生するばかり
か、結晶性も低下させる場合もあるということである。
すなわち、従来は、タンタル酸リチウム基板とその上に
育成したニオブ酸リチウム単結晶薄膜との格子定数が、
室温においても完全に一致するニオブ酸リチウム薄膜の
形成技術は確立されていないのが実情である。そこで、
本発明の目的は、上述した解決を必要とする課題、すな
わち、室温でも格子定数が一致し結晶性の高い厚膜のニ
オブ酸リチウム単結晶薄膜を製造する技術を確立するこ
とにある。
実現するべく鋭意研究した結果、ファセットを解消し、
結晶性を向上させるためには育成後の室温条件(5〜50
℃) 下でタンタル酸リチウム基板とニオブ酸リチウム単
結晶薄膜と格子定数が一致するように、薄膜組成と育成
温度とを最適化することが有効であることを見出し、本
発明を完成した。
基板をニオブ酸リチウム薄膜育成用溶融体と接触させる
ことにより、この基板上にニオブ酸リチウムの単結晶薄
膜をエピタキシャル成長させる方法において、前記溶融
体として、主としてLi2O, V2O5, Nb2O5 については、添
付図面の図2に示すLi2O−V2O5−Nb2O5 3成分系三角図
(モル%)において、点A(44.49 , 46.58 , 8.93)、
点B(40.30 , 50.65, 9.05)、点C(39.61 , 45.89 ,
14.50 )、点D(43.88 , 43.06 , 13.06 )で囲まれ
る範囲内の組成とし、かつNa2O、MgO については、それ
ぞれモル比で、Na2O/Li2Oが 2.0/98.0〜93.5/6.5 、
MgO /Nb2O5 が0.2 /99.8〜40.0/60.0の条件を満たす
範囲の組成からなるものを用い、この溶融体の温度を 9
00〜1100℃に保持して前記基板を接触させることによ
り、ニオブ酸リチウムの単結晶薄膜のa軸の格子定数
と、タンタル酸リチウム基板のa軸の格子定数とが室温
時において一致するニオブ酸リチウム単結晶薄膜を育成
させることを特徴とするニオブ酸リチウム単結晶薄膜の
製造方法を提案する。
オブ酸リチウム単結晶薄膜の特徴は (ただし、式中のLNはニオブ酸リチウムである。)と
なる。なお、前記タンタル酸リチウム基板の少なくとも
表面の一部には、後述する異種元素を添加してもよく、
また、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を育成する温度とし
ては、935 〜945 ℃の範囲内が好ましく、そして、ニオ
ブ酸リチウム単結晶薄膜は、タンタル酸リチウム基板の
(0001)面に育成させることが好適である。
ブ酸リチウム単結晶薄膜を液相エピタキシャル成長法に
より析出させる際、溶融体として、主としてLi2O、V
2O5、Nb2O5 、Na2O、MgO からなり、Na2O、MgO を除く
前記 Li2O 、V2O5、Nb2O5 の組成範囲が、図2に示すLi
2Oモル%−V2O5モル%−Nb2O5 モル%の3成分系の三角
図において、点A(44.49 , 46.58 , 8.93)、点B(4
0.30 , 50.65 , 9.05)、点C(39.61 , 45.89 , 14.50
)、点D(43.88 , 43.06 , 13.06 )の4組成点で囲
まれる範囲内にあり、しかも前記Na2O、MgO の組成範囲
は、それぞれモル比でNa2O/Li2Oが 2.0/98.0〜93.5/
6.5 、モル比でMgO /Nb2O5 が0.2 /99.8〜40.0/60.0
を満たす組成範囲内にあるものを用いることが必要であ
る。
O5、Nb2O5 、Na2O、MgO からなるものとする理由を以下
に説明する。
て作用し、ニオブ酸リチウム単結晶の液相エピタキシャ
ル成長の実現に寄与する化合物である。
結晶薄膜に含有させることにより、ニオブ酸リチウム単
結晶薄膜のa軸の格子定数を大きくする効果を有し、ニ
オブ酸リチウム単結晶薄膜のa軸の格子定数をタンタル
酸リチウム基板のa軸の格子定数に合わせるのに有効に
用いられ、しかも厚い膜厚を有するニオブ酸リチウム単
結晶薄膜を得るのに有効である。
g のみでは上述したLT基板とLN薄膜とを格子整合さ
せることができす、一方、Na のみではこの両者の格子
整合は可能であるが光損傷を防止することができないか
らである。なお、このMg は、光損傷を防止する効果が
あることが知られている。
単結晶薄膜にNa とMg をともに含有させることが必要
であり、従って、上述したように、溶融体の組成として
はLi 2O、V2O5、Nb2O5 の他に、格子整合を容易に行わせ
るためにNa2OとMgO を含有することが必要となるのであ
る。
薄膜中に含有させることにより、ニオブ酸リチウム単結
晶薄膜のa軸の格子定数が大きくなるが、これはNa イ
オン、Mg イオンあるいはこれらの原子が、ニオブ酸リ
チウム結晶格子にドープされるか、あるいはニオブ酸リ
チウム結晶格子を構成するイオンあるいは原子と置換さ
れることに起因するものである。
2O5 の組成範囲としては、モル%表示のLi2O−V2O5−Nb
2O5 3成分系の三角図において、点A(44.49 , 46.58
, 8.93) 、点B(40.30 , 50.65 , 9.05) 、点C(39.
61 , 45.89 , 14.50)、点D(43.88 , 43.06 , 13.06)
の4組成点で囲まれる組成領域内にあり、かつ前記Na
2O、MgO の組成範囲は、それぞれモル比で、Na2O/Li2O
が 2.0/98.0〜93.5/6.5、モル比でMgO /Nb2O5 が 0.
2/99.8〜40.0/60.0の条件を満たす範囲内にあること
が必要であり、さらに育成温度を 900〜1100℃にするこ
とが必要である。
上記4点で囲まれた組成としなければならない理由は、
この範囲を外れた組成では、ファセットが発生しやす
く、光学的特性に優れた良質なニオブ酸リチウム単結晶
薄膜を得ることができないからてある。
な範囲と限られる理由は、 Na2O/Li2O: 2.0/98 〜 93.5/6.5 上記範囲よりNa2Oの割合が外れる場合、タンタル酸リチ
ウム基板とニオブ酸リチウム単結晶薄膜を格子整合させ
ることが困難なためである。 MgO /Nb2O5 : 0.2/99.8 〜 40.0/60.0 上記範囲よりMgO の割合が低い場合は、Mgの光損傷防止
効果が不充分となり、上記範囲よりMgO の割合が高い場
合はニオブ酸マグネシウム系の結晶が析出してニオブ酸
リチウム単結晶薄膜が得られないからである。
理由は、タンタル酸リチウムの方がニオブ酸リチウムよ
りも熱膨張率が大きいため、1100℃を超えると本発明に
よる溶融体では格子整合のとれた結晶を析出させること
が困難であり、また、900 ℃未満ではファセットが発生
してしまうからである。なお、この育成温度の好ましい
範囲は 935〜945 ℃である。以下、本発明についてさら
に詳細に説明する。
は、タンタル酸リチウムが有利である。それは、前記タ
ンタル酸リチウム基板の結晶系は、ニオブ酸リチウム単
結晶に類似しておりエピタキシャル成長させやすく、さ
らに前記タンタル酸リチウム基板は市販されているた
め、品質のよいものが安定して入手できるからである。
本発明のタンタル酸リチウム基板には、少なくともその
表面の一部に、異種元素を含有させることが望ましい。
は、このことにより、基板の屈折率を変化させることが
でき、基板と薄膜導波層との屈折率差を大きくすること
ができるからである。
異なる元素を意味し、なかでも金属元素であることが望
ましい。
(Mg)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(C
r)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)など
から選ばれる少なくとも1種が望ましい。
基板の特定箇所(導波路形成部分)に、前記異種元素を
添加することにより、屈折率が非形成部分に比べて相対
的に低いパターンを形成することにより、該基板に、ニ
オブ酸リチウム単結晶薄膜(スラブ状)を形成するだけ
で、前記パターン部分に形成されたニオブ酸リチウム単
結晶薄膜が導波路となるので、導波路形成のための加工
工程を省くことができる。
部分に比べて相対的に低くする方法としては、導波路形
成部分の基板屈折率を下げるか、非形成部分の基板屈折
率を上げることが望ましい。
げる作用を有する異種元素としては、Ti,Cr,N
d,Fe,Niなどが、また屈折率を下げる作用を有す
る異種元素としては、Mg,Vなどが有利である。
成に影響する特性、例えば表面粗度などを殆ど変化させ
ずにその表面屈折率のみを変えられるため、通常の基板
と同等の特性を有する薄膜を同様の条件にて製造するこ
とができる。
は、以下に示す組成範囲が望ましい。 Ti;0.2 〜30モル% Cr;0.02〜20モル% Fe;0.02〜20モル% Ni;0.02〜20モル% Nd;0.02〜10モル% Mg;0.1 〜20モル% V ;0.05〜30モル% 上記の含有量は、異種元素/(LiTaO3+異種元素)×1
00、で計算されたものである。
より組成割合が多いと基板の結晶性が低下してしまい、
また上記範囲より組成割合が少ないと屈折率が変化しな
いためである。
示す範囲内とすることが好適である。 Ti;1.0 〜15モル% Cr;0.2 〜10モル% Fe;0.2 〜10モル% Ni;0.2 〜10モル% Nd;0.5 〜5モル% Mg;2.0 〜10モル% V ;1.0 〜15モル%
の添加の方法としては、原子、イオン、酸化物など種々
の形態で含有させることができる。例えば、熱拡散、イ
オン交換、イオン注入法などの他に液相エピタキシャル
成長法、タンタル酸リチウムバルク単結晶の原料中に予
め異種元素を混合しておく方法、などを用いることがで
きる。
入法を使用した場合は、異種元素の拡散層が形成される
が、この拡散層の厚さは0.01〜20μmとすること
が望ましい。この理由は、拡散層の厚さが0.01μm
未満では、異種元素が拡散されていない基板部分にまで
拡がる導波光の割合が多くなるため、基板として要求さ
れる屈折率を満足することができず、一方、20μmを
越えると基板の結晶性が悪くなり光導波路として十分な
特性が得られないからである。
の少なくとも表面の一部特定個所に前記異種元素を添加
した後、タンタル酸リチウム基板と格子整合されたニオ
ブ酸リチウム単結晶薄膜を形成することが望ましい。
板を加熱した後、加熱状態のままニオブ酸リチウム薄膜
育成用溶融体, すなわち液相エピタキシャル成長用の溶
融体に接触させることが望ましい。それは、熱拡散させ
た後に冷却させ、再度液相エピタキシャル成長のために
基板を加熱すると、基板の結晶性が低下するからであ
る。前記熱拡散は、溶融体の加熱時に同一炉内にて、基
板の予備加熱と同時に行うことが好ましい。
とが望ましい。この理由は、850 ℃より低い温度では拡
散が起きず、また、1000℃より高い温度では基板の結晶
性が低下し、またLiの外拡散が生じるからである。前
記熱拡散に要する時間は、0.5 〜20時間が望ましい。
浸漬して接触させる前に、タンタル酸リチウム基板を予
め予備加熱しておくことが望ましい。その理由は、前記
タンタル酸リチウム基板は、非常に熱衝撃に弱いからで
ある。予備加熱時間は、20〜60分であることが望まし
い。また、予備加熱は、溶融液表面から5〜15mmの位置
にて行うことが望ましい。
ム基板のa軸の格子定数を、異種元素を添加して調整す
ることにより、ニオブ酸リチウム結晶のa軸の格子定数
に合わせることにより格子整合を行うことにある。
ために、第1に前記タンタル酸リチウム基板のa軸の格
子定数を小さくする方法がある。この方法のためには、
基板中に、Ti原子あるいはTi イオンを含有させるこ
とが望ましい。それは、Ti原子あるいはTi イオン
は、タンタル酸リチウム基板のa軸の格子定数を小さく
する効果を有するからである。
はTiイオンを含有させる場合、その含有量はタンタル
酸リチウム単結晶に対して 0.2〜30モル%であることが
望ましい。その理由は、Ti原子あるいはイオンの含有
量が 0.2モル%より少ない場合は、ニオブ酸リチウム単
結晶と格子整合できるほど格子定数が小さくならず、一
方、30モル%を越える場合には、逆に格子定数が小さ
くなりすぎ、いずれの場合もタンタル酸リチウム基板と
ニオブ酸リチウムとの格子整合が得られないからであ
る。
としては、CZ(チョクラルスキー)法が望ましい。ま
た、その原料としては、例えば炭酸リチウム、五酸化タ
ンタル、酸化チタン、五酸化バナジウムを用いることが
できる。
料を、白金−ロジウムるつぼ、またはイリジウムるつぼ
の中で加熱溶解させ、タンタル酸リチウム単結晶を引き
上げる方法が有利である。前記るつぼはイリジウム製の
方が、結晶中に不純物が混入しないので光学材料の作成
には望ましい。
リチウム基板のa軸の格子定数を、Na などの異種元素
を添加することにより大きくして格子整合を図ってもよ
い。
酸リチウム単結晶薄膜と前記タンタル酸リチウム基板の
a軸の格子定数を同時に変化させることが好ましい。そ
れは、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜のa軸の格子定数を
大きくすると同時に、タンタル酸リチウム基板のa軸の
格子定数を小さくすれば、基板や薄膜に含有される異種
元素の量を低減させることができ、結晶性を向上させる
ことができるからである。
ッジが面取りされていることが望ましい。エッジが面取
りされていないと、エッジ部分に微細なきずができ熱衝
撃でクラックが発生するからである。面取りは、R面、
C面いずれでもよい。
は、0.5 〜2.0 mmであることが望ましい。0.5 mmより薄
い基板はクラックが発生しやすく、2.0 mmより厚い基板
は焦電効果(加熱による放電効果)がより顕著になり、
加熱や研磨により帯電するため、研磨屑などが付着して
スクラッチが発生し易いからである。
述したタンタル酸リチウム基板上に形成するニオブ酸リ
チウム単結晶薄膜育成用原料組成物は、その酸化物とし
ての組成割合が、上述した溶融体の組成範囲内になるよ
うに選択される。この原料成分としては、酸化物もしく
は加熱により酸化物に変化する化合物が望ましく、例え
ば、Na2CO3、Nb2O5、Li2CO3、V2O5、MgO の組成物など
の他に、NaNbO3、NaVO3 、LiNbO3、LiVO3 なども使用で
きる。
としては、Li2O、V2O5、Nb2O5 、Na 2O、MgO の他に、ネ
オジム(Nd)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、ニッケル
(Ni)、コバルト(Co)、チタン(Ti)から選ばれる少
なくとも1種の酸化物を使用することができる。これら
(Nd, Rh, Zn, Ni, Co, Ti, Crなど)の元素は、ニオブ
酸リチウム単結晶薄膜に含有させることにより、屈折率
や格子定数をかえる作用を有するからである。
ることが望ましい。このRhの含有量が20モル%を越え
ると、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の光学的特性が低下
するからであり、一方、0.05モル%より低いと、屈折率
が殆ど変化しないからである。このRhの含有量は、な
かでも0.1 〜10モル%が好適である。
ることが望ましい。このZnの含有量が30モル%を越え
る場合は、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の光学的特性が
低下するからであり、一方、0.02モル%より低いと、屈
折率が殆ど変化しないからである。このZnの含有量
は、なかでも 0.5〜15モル%が好適である。
ることが望ましい。このNiの含有量が20モル%を越え
ると、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の光学的特性が低下
するからであり、一方、0.10モル%より低いと、屈折率
が殆ど変化しないからである。このNiの含有量は、な
かでも 1.0〜10モル%が好適である。
ることが望ましい。このCoの含有量が20モル%を越え
ると、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の光学的特性が低下
するからであり、一方、0.05モル%より低いと、屈折率
が殆ど変化しないからである。このCoの含有量は、な
かでも 0.1〜10モル%が好適である。
ることが望ましい。このCrの含有量が20モル%を越え
ると、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の光学的特性が低下
するからであり、また0.02モル%より低いと、屈折率が
殆ど変化しないからである。このCrの含有量は、なか
でも 0.2〜10モル%が好適である。
ることが望ましい。このTiの含有量が30モル%を越え
ると、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の光学的特性が低下
するからであり、一方、 0.2モル%より低いと、屈折率
が殆ど変化しないからである。このTiの含有量は、な
かでも 1.0〜15モル%が好適である。
ることが望ましい。このNdの含有量が10モル%を越え
ると、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の光学的特性が低下
するからであり、一方、0.02モル%より低いと、屈折率
が殆ど変化しないからである。このNdの含有量は、な
かでも 0.5〜5モル%が好適である。
ことが望ましい。このVの含有量が30モル%を越える
と、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜中に構造の異なる結晶
が析出して光学的特性が低下するからであり、一方、0.
05モル%より低いと、屈折率が殆ど変化しないからであ
る。このVの含有量は、なかでも 1.0〜15モル%が好適
である。
波層に前記Cr,Nd,Ti,V,Rh,Zn,Ni,
Coなどの異種元素を含有させた場合、前記ニオブ酸リ
チウム単結晶薄膜の格子定数と屈折率が同時に変化する
ため、必要に応じて前記異種元素の含有量を調整するこ
とが望ましい。
理;前記原料組成物は、加熱溶融して 900〜1100℃の温
度範囲に保持された溶融体とする。なお、溶融体をこの
温度範囲に保持する理由は、タンタル酸リチウムの方が
ニオブ酸リチウムよりも熱膨張率が大きいため、1100℃
を超えると本発明による溶融体では格子整合のとれた結
晶を析出させることが困難であり、一方、900 ℃未満で
はファセットが発生してしまうからである。前記加熱溶
融は、空気雰囲気下あるいは酸化雰囲気下で行うことが
望ましい。
基板上にニオブ酸リチウム単結晶をエピタキシャル成長
させるに当たって、前記溶融体を過冷却状態とした後、
タンタル酸リチウム基板を接触させ育成させることが望
ましい。
速度は、 0.5〜300 ℃/時であることが望ましい。また
本発明では液相エピタキシャル成長終了後の冷却の速度
は、0.5〜300 ℃/時であることが望ましい。そして、
この冷却は、 400℃から指数関数的に冷却させることが
好ましい。
て、タンタル酸リチウム基板のキュリー点の温度では、
一定の時間その温度に保持するか、 0.1〜5℃/分の速
度で緩冷却させることが望ましい。この理由は、前記キ
ュリー点における結晶の相転移に伴うクラックの発生を
防止するためである。なお、このタンタル酸リチウム基
板のキュリー点は、異種元素を含有させることにより変
化するが、一般には650℃である。
成長させる前に、6〜48時間攪拌しておくことが望ま
しい。それは、攪拌時間が短いと、溶融体中に溶解しき
れない結晶核が存在し、この結晶核を中心に結晶成長す
るため、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の表面に凹凸が発
生し、結晶性が低下するからである。
て、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の成長面としては、タ
ンタル酸リチウム基板の(0001)面を使用すること
が望ましい。前記タンタル酸リチウム基板の(000
1)面とは、タンタル酸リチウムのc軸に垂直な面を指
す。ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の成長面として、タン
タル酸リチウム基板の(0001)面を使用することが
望ましい理由は、前記タンタル酸リチウムは結晶構造が
六方晶(図1参照)であり、前記(0001)面はa軸
のみで構成されるため、前記(0001)面を成長面と
することでニオブ酸リチウム単結晶薄膜のa軸の格子定
数を変えるだけで比較的容易に格子整合できるからであ
る。
ブ酸リチウム単結晶薄膜のa軸の格子定数を、前記タン
タル酸リチウム基板の 99.92〜100.03%にすることが望
ましい。格子定数が上記範囲を外れた場合、タンタル酸
リチウム基板とニオブ酸リチウム単結晶薄膜のa軸の格
子の相違が大きくなり、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の
結晶格子に歪みが発生するため、光学材料として使用可
能なニオブ酸リチウム単結晶薄膜を充分に厚く形成でき
ない。
格子定数が 5.1538 Åの場合、ニオブ酸リチウム単結晶
のa軸の格子定数は、5.150 〜5.155 Åの範囲が好適で
ある。
育成の際には、タンタル酸リチウム基板を回転させるこ
とが望ましい。これはタンタル酸リチウム基板を回転さ
せることにより、特性及び膜厚が均一な結晶ができるか
らである。その回転は水平状態にて行われることが望ま
しい。また、回転速度は、50〜150 rpm であることが望
ましい。
基板は、少なくとも片面は光学研磨あるいは化学エッチ
ングされていることが望ましい。タンタル酸リチウム基
板のニオブ酸リチウム単結晶薄膜形成面の面粗度は、J
IS B0601、Rmax =80〜1000Aであることが望
ましい。この理由はRmax の値を80Aより小さくするこ
とは極めて困難であり、また、Rmax の値が1000Aより
大きくなると、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の結晶性が
低下するからである。
ム基板と溶融体との接触時間、溶融体の温度を適当に選
択することで、タンタル酸リチウム基板上に析出するニ
オブ酸リチウム単結晶薄膜の厚みを制御することができ
る。
ウム単結晶薄膜の成長速度は、0.01〜2.0 μm/分が望
ましい。これ以上成長速度が速い場合、ニオブ酸リチウ
ム単結晶薄膜にうねりが発生し、またこれより成長速度
が遅い場合、薄膜の育成に時間がかかるからである。
の後、タンタル酸リチウム基板、ニオブ酸リチウム単結
晶薄膜の表面からフラックスを除去することが望まし
い。すなわち、フラックスが残留すると、液相エピタキ
シャル成長後のタンタル酸リチウム基板およびニオブ酸
リチウム薄膜の冷却工程において、フラックス中に溶解
しているニオブ酸リチウム薄膜成分が析出し、フラック
スが残留した部分のみの膜厚が厚くなるため、結果とし
て、膜面内の膜厚が不均一になるからである。このフラ
ックス除去処理は、タンタル酸リチウム基板に形成され
たニオブ酸リチウム単結晶薄膜を50〜5000 rpmで回転さ
せることによっても可能である。前記フラックスの除去
のための回転に要する時間は、5〜60分であることが
望ましい。
板上に形成された本発明にかかるニオブ酸リチウム(L
N)単結晶薄膜については、 の組成を示すものが得られる。
回折により行われる。すなわち、格子定数は、Cu−2
θ=45〜90°に検出されるニオブ酸リチウムの15
本のピークの2θの値とその面指数を用い、最小二乗法
により算出する。なお、測定においてはSiを内部標準
として使用する。
膜を、SHG素子として使用する場合には、前記ニオブ
酸リチウム単結晶薄膜の常光屈折率no、異常光屈折率
neは、波長が0.83μmのレーザー光源(基本波
長)に対して、それぞれ2.25≦n0≦2.40の範囲、 2.0
<ne<n0−0.01なる範囲、また、発生する第2高波
長(0.415 μm)に対して異常光屈折率neが前記第2
高調波に対する常光屈折率noより小さい範囲であるこ
とが望ましい。
ンタル酸リチウム単結晶が、電気光学効果、非線形光学
効果など光学的に有用な諸特性を持つためには、その製
造工程にてキュリー点以上の温度に加熱して電界をか
け、結晶をポーリング(分極)することが必要である。
また、異種元素を含有させたニオブ酸リチウムやタンタ
ル酸リチウムなどの単結晶は、容易にポーリングできな
いことが知られている。
られるニオブ酸リチウム単結晶薄膜については、基板で
あるタンタル酸リチウムが分極状態であっても、また、
分極反転により電気的に中和されていても、常に分極さ
れた状態にあり、極めて優れた電気光学効果、非線形光
学効果などの諸特性を示す。
晶薄膜とタンタル酸リチウム基板は、ポーリング工程を
必要としないため、容易に製造でき、またポーリング工
程が不要であることから、従来はポーリング処理が困難
であった異種元素を含有したタンタル酸リチウム基板も
使用できるという利点を持つ。
板上に形成されたニオブ酸リチウム単結晶薄膜は、タン
タル酸リチウム基板とニオブ酸リチウム薄膜の格子定数
を完全に一致させることができる。従って、光導波路と
して好適な性質を持ち、ポーリング工程が不要で、なお
かつ従来よりも厚い膜が得られるため、薄膜導波路型S
HG素子の構成材料として最適であるだけでなく、光偏
向器、光変調器、マルチモードの光デバイスに使用でき
る。
g、Na2CO3:11.8g、MgO:0.25g秤量(Li2CO3:44.6
モル%、V2O5:46.5モル%、Nb2O5 : 8.9モル%、Na2C
O3を Li2CO3 に対して29.8モル%、MgO を前記溶融物組
成から析出可能なLiNbO3の理論量に対して5モル%添加
{ MgO/(LiNbO3+MgO ) *100 =5モル%を満たすよ
うにMgO を添加})した混合物を白金ルツボに入れ、エ
ピタキシャル成長育成装置中で空気雰囲気下で1050℃ま
で加熱してルツボの内容物を溶解させ、20時間撹伴し
た。
冷却速度で1000℃まで、さらに1時間当りに60℃の冷却
速度で 938℃まで徐冷した後、タンタル酸リチウム単結
晶(a軸の格子定数 5.1538 )の(0001)面を光学
研磨したものを基板材料として、溶融体中に100 rpm で
回転させながら10分間浸漬した。
げ、回転数 1000rpmで30秒間溶融体上で溶融体を振り切
った後、室温まで徐冷し、基板材料上に約16μmの厚さ
のNa 、Mg 含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を得た。
薄膜中に含有されていたNa 、Mg の量は、それぞれ
2.5モル%、および 1.6モル%であった。また薄膜の格
子定数(a軸)は 5.156、入射光波長1.15μmで測定し
た屈折率は 2.238±0.001 であった。
g、Na2CO3:9.1 g、MgO:0.25g秤量(Li2CO3:40.6
モル%、V2O5:49.9モル%、Nb2O5 :9.5 モル%、Na2C
O3をLi2CO3に対して25.4モル%、MgO を前記溶融物組成
から析出可能なLiNbO3の理論量に対して5モル%添加
{ MgO /(LiNbO3+MgO )*100 =5モル%を満たす
ようにMgO を添加})した混合物を白金ルツボに入れ、
エピタキシャル成長育成装置中で空気雰囲気下で1050℃
まで加熱してルツボの内容物を溶解させ、19時間撹伴し
た。
冷却速度で1000℃まで、さらに1時間当りに60℃の冷却
速度で 938℃まで徐冷した後、タンタル酸リチウム単結
晶(a軸の格子定数 5.1538 )の(0001)面を光学
研磨したものを基板材料として、溶融体中に100 rpm で
回転させながら10分間浸漬した。
げ、回転数1000 rpmで30秒間溶融体上で溶融体を振り切
った後、室温まで徐冷し、基板材料上に約17μmの厚さ
のNa 、Mg 含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を得た。
薄膜中に含有されていたNa 、Mg の量は、それぞれ
2.0モル%、および 5.2モル%であった。また薄膜の格
子定数(a軸)は 5.153、入射光波長1.15μmで測定し
た屈折率は 2.230±0.001 であった。
g、Na2CO3: 4.9g、MgO:0.36g秤量(Li2CO3:40.8
モル%、V2O5:46.0モル%、Nb2O5 :13.2モル%、Na2C
O3をLi2CO3に対して14.9モル%、MgO を前記溶融物組成
から析出可能なLiNbO3の理論量に対して5モル%添加
{ MgO /(LiNbO3+MgO )*100 =5モル%を満たす
ようにMgO を添加})した混合物を白金ルツボに入れ、
エピタキシャル成長育成装置中で空気雰囲気下で1050℃
まで加熱してルツボの内容物を溶解させ、21時間撹伴し
た。
冷却速度で1000℃まで、さらに1時間当りに60℃の冷却
速度で 940℃まで徐冷した後、タンタル酸リチウム単結
晶(a軸の格子定数 5.1538 )の(0001)面を光学
研磨したものを基板材料として、溶融体中に100 rpm で
回転させながら10分間浸漬した。
げ、回転数1000rpm で30秒間溶融体上で溶融体を振り切
った後、室温まで徐冷し、基板材料上に約9μmの厚さ
のNa 、Mg 含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を得た。
薄膜中に含有されていたNa 、Mg の量は、それぞれ
2.2モル%、および 3.5モル%であった。また薄膜の格
子定数(a軸)は 5.154、入射光波長1.15μmで測定し
た屈折率は 2.234±0.001 であった。
g、Na2CO3: 8.3g、MgO:0.35g秤量(Li2CO3:43.3
モル%、V2O5:43.7モル%、Nb2O5 :13.0モル%、Na2C
O3をLi2CO3に対して22.1モル%、MgO を前記溶融物組成
から析出可能なLiNbO3の理論量に対して5モル%添加
{ MgO /(LiNbO3+MgO )*100 =5モル%を満たす
ようにMgO を添加})した混合物を白金ルツボに入れ、
エピタキシャル成長育成装置中で空気雰囲気下で1050℃
まで加熱してルツボの内容物を溶解させ、20時間撹伴し
た。
冷却速度で1000℃まで、さらに1時間当りに60℃の冷却
速度で 939℃まで徐冷した後、タンタル酸リチウム単結
晶(a軸の格子定数 5.1538 )の(0001)面を光学
研磨したものを基板材料として、溶融体中に100 rpm で
回転させながら10分間浸漬した。
げ、回転数1000 rpmで30秒間溶融体上で溶融体を振り切
った後、室温まで徐冷し、基板材料上に約13μmの厚さ
のNa 、Mg 含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を得た。
薄膜中に含有されていたNa 、Mg の量は、それぞれ
2.1モル%、および 2.4モル%であった。また薄膜の格
子定数(a軸)は 5.154、入射光波長1.15μmで測定し
た屈折率は 2.236±0.001 であった。
g、Na2CO3: 9.7g、MgO:0.3 g秤量(Li2CO3:42.7
モル%、V2O5:45.8モル%、Nb2O5 :11.5モル%、Na2C
O3をO3をLi2CO3に対して25.6モル%、MgO を前記溶融
物組成から析出可能なLiNbO3の理論量に対して5モル%
添加{ MgO/(LiNbO3+MgO )*100 =5モル%を満た
すように MgOを添加})した混合物を白金ルツボに入
れ、エピタキシャル成長育成装置中で空気雰囲気下で10
50℃まで加熱してルツボの内容物を溶解させ、19.5時間
撹伴した。
冷却速度で1000℃まで、さらに1時間当りに60℃の冷却
速度で 940℃まで徐冷した後、タンタル酸リチウム単結
晶(a軸の格子定数 5.1538 )の(0001)面を光学
研磨したものを基板材料として、溶融体中に 100 rpmで
回転させながら10分間浸漬した。
げ、回転数1000 rpmで30秒間溶融体上で溶融体を振り切
った後、室温まで徐冷し、基板材料上に約7μmの厚さ
のNa 、Mg 含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を得た。
薄膜中に含有されていたNa 、Mg の量は、それぞれ
1.7モル%、および 4.8モル%であった。また薄膜の格
子定数(a軸)は 5.153、入射光波長1.15μmで測定し
た屈折率は 2.232±0.001 であった。
g、Na2CO3: 8.5g、MgO:0.3 g秤量(Li2CO3:43.7
モル%、V2O5:45.0モル%、Nb2O5 :11.3モル%、Na2C
O3を Li2CO3 に対して22.4モル%、MgO を前記溶融物組
成から析出可能なLiNbO3の理論量に対して5モル%添加
{ MgO/(LiNbO3+MgO )*100 =5モル%を満たすよ
うにMgOを添加})した混合物を白金ルツボに入れ、
エピタキシャル成長育成装置中で空気雰囲気下で1050℃
まで加熱してルツボの内容物を溶解させ、18.5時間撹伴
した。
冷却速度で1000℃まで、さらに1時間当りに60℃の冷却
速度で 940℃まで徐冷した後、タンタル酸リチウム単結
晶(a軸の格子定数 5.1538 )の(0001)面を光学
研磨したものを基板材料として、溶融体中に 100 rpmで
回転させながら10分間浸漬した。
げ、回転数1000rpm で30秒間溶融体上で溶融体を振り切
った後、室温まで徐冷し、基板材料上に約6μmの厚さ
のNa 、Mg 含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を得た。
薄膜中に含有されていたNa 、Mg の量は、それぞれ
1.7モル%、および 4.9モル%であった。また薄膜の格
子定数(a軸)は 5.153、入射光波長1.15μmで測定し
た屈折率は 2.232±0.001 であった。
ロッキングカーブの半価幅を測定した結果を図3に示
す。
てポ−リング処理なしで分極していた。
g、Na2CO3: 2.5g、MgO:0.5 g秤量(Li2CO3:39.2
モル%、V2O5:42.3モル%、Nb2O5 :18.5モル%、Na2C
O3をLi2CO3に対して 8.6モル%、MgO を前記溶融物組成
から析出可能なLiNbO3の理論量に対して5モル%添加
{ MgO/(LiNbO3+MgO )*100 =5モル%を満たすよ
うにMgO を添加})した混合物を白金ルツボに入れ、エ
ピタキシャル成長育成装置中で空気雰囲気下で1050℃ま
で加熱してルツボの内容物を溶解させ、19時間撹伴し
た。
冷却速度で1000℃まで、さらに1時間当りに60℃の冷却
速度で 938℃まで徐冷した後、タンタル酸リチウム単結
晶(a軸の格子定数 5.1538 )の(0001)面を光学
研磨したものを基板材料として、溶融体中に 100 rpmで
回転させながら5分間浸漬した。
げ、回転数 1000 rpm で30秒間溶融体上で溶融体を振り
切った後、室温まで徐冷し、基板材料上に約13μmの厚
さのNa、Mg 含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を得
た。
薄膜中に含有されていたNa 、Mg の量は、それぞれ
0.6モル%、および 0.8モル%であった。また薄膜の格
子定数(a軸)は 5.150、入射光波長 1.15 μmで測定
した屈折率は 2.240±0.001 であった。
g、Na2CO3: 4.0g、MgO:0.24g秤量(Li2CO3:43.0
モル%、V2O5:48.6モル%、Nb2O5 : 8.4モル%、Na2C
O3を LiNbO3 に対して 11.5 モル%、MgO を前記溶融物
組成から析出可能なLiNbO3 の理論量に対して5モル%
添加{ MgO/( LiNbO3 +MgO )*100 =5モル%を満
たすようにMgO を添加})した混合物を白金ルツボに入
れ、エピタキシャル成長育成装置中で空気雰囲気下で10
50℃まで加熱してルツボの内容物を溶解させ、21時間撹
伴した。
冷却速度で1000℃まで、さらに1時間当りに60℃の冷却
速度で 850℃まで徐冷した後、タンタル酸リチウム単結
晶(a軸の格子定数 5.1538 )の(0001)面を光学
研磨したものを基板材料として、溶融体中に100 rpm で
回転させながら5分間浸漬した。
げ、回転数1000rpm で30秒間溶融体上で溶融体を振り切
った後、室温まで徐冷し、基板材料上に約17μmの厚さ
のNa 、Mg 含有ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を得た。
薄膜中に含有されていたNa 、Mg の量は、それぞれ
2.5モル%、および 4.5モル%であった。また薄膜の格
子定数(a軸)は 5.157、入射光波長1.15μmで測定し
た屈折率は 2.234±0.001 であった。
オブ酸リチウム単結晶薄膜について結晶性をX線ロッキ
ングカ−ブ法による半価幅を測定し、その結果を表1に
示した。また薄膜育成後表面を電子顕微鏡によりファセ
ットの有無を観察した。
i、Cr、Fe、Ni、Nd、Mg、Vの膜をフォトリ
ソグラフィ−及びRFスパッタ法により形成し、これを
850〜950 ℃で熱拡散することにより0.01μm〜20μm
の厚さの拡散層を形成した。さらに実施例1と同様に、
半価幅とファッセトの有無を調べた。これを表2に示
す。
育成した。この結果を表3に示す。
ンタル酸リチウム基板上に結晶性が良く、ファセットの
ないニオブ酸リチウム単結晶薄膜を容易に形成すること
ができ、従って、SHG素子をはじめとして光学デバイ
ス構成材料として有用である。
るタンタル酸リチウム基板の(0001)面を示す模式
図である。
図である。各組成点は(Li2Oのモル%、V2O5のモル%、
Nb2O5 のモル%)で表される。 ( Li2O V2O5 Nb2O5 ) A( 44.49 , 46.58 , 8.93 ) B( 40.30 , 50.65 , 9.05 ) C( 39.61 , 45.89 , 14.50 ) D( 43.88 , 43.06 , 13.06 )
リチウム単結晶薄膜のX線ロッキングカ−ブの半価幅を
測定した結果図である。
Claims (5)
- 【請求項1】主要成分として、Li2O−V2O5−Nb2O5 の3
成分を、添付図面の図2に示す三角図(モル%)におい
て、点A(44.49 , 46.58 , 8.93)、点B(40.30 , 5
0.65, 9.05)、点C(39.61 , 45.89 , 14.50 )、点D
(43.88 , 43.06 , 13.06 )で囲まれる範囲内で含み、
単結晶薄膜のa軸の格子定数調整成分としてNa2O、MgO
をそれぞれモル比で、Na2O/Li2Oが 2.0/98.0〜93.5/
6.5 、MgO /Nb2O5 が0.2 /99.8〜40.0/60.0の条件を
満たして含有してなる溶融体を、LT基板上に液相エピ
タキシャル成長させることにより得られるニオブ酸単結
晶薄膜であって、この薄膜が、 (ただし、式中のLNはニオブ酸リチウムである。)の
組成を示すことを特徴とするニオブ酸リチウム単結晶薄
膜。 - 【請求項2】タンタル酸リチウム基板をニオブ酸リチウ
ム薄膜育成用溶融体と接触させることにより、この基板
上にニオブ酸リチウムの単結晶薄膜をエピタキシャル成
長させる方法において、前記溶融体として、主としてLi
2O、V2O5、Nb2O5 については、添付図面の図2に示すLi
2O−V2O5−Nb2O5 3成分系三角図(モル%)において、
点A(44.49 , 46.58 , 8.93)、点B(40.30 , 50.65
, 9.05)、点C(39.61 , 45.89 , 14.50 )、点D(4
3.88 , 43.06 , 13.06 )で囲まれる範囲内の組成と
し、かつNa2O、MgO については、それぞれモル比で、Na
2O/Li2Oが 2.0/98.0〜93.5/6.5 、MgO /Nb2O5 が0.
2 /99.8〜40.0/60.0の条件を満たす範囲の組成からな
るものを用い、この溶融体の温度を 900〜1100℃に保持
して前記基板を接触させることにより、ニオブ酸リチウ
ムの単結晶薄膜のa軸の格子定数と、タンタル酸リチウ
ム基板のa軸の格子定数とが室温時において一致するニ
オブ酸リチウム単結晶薄膜を育成させることを特徴とす
るニオブ酸リチウム単結晶薄膜の製造方法。 - 【請求項3】前記タンタル酸リチウム基板の少なくとも
表面の一部に、異種元素を添加することを特徴とする請
求項2に記載の製造方法。 - 【請求項4】ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を育成する温
度は、935〜945℃の範囲内とすることを特徴とする請求
項2に記載の製造方法。 - 【請求項5】ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を、タンタル
酸リチウム基板の(0001)面に育成させることを特
徴とする請求項2に記載の製造方法。
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JP03064592A JP3152481B2 (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | ニオブ酸リチウム単結晶薄膜とその製造方法 |
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JP3447796B2 (ja) * | 1994-03-25 | 2003-09-16 | 日本碍子株式会社 | 電気光学品の製造方法 |
CN1293018C (zh) * | 2005-06-24 | 2007-01-03 | 陕西师范大学 | 铌酸镁微波介质陶瓷及其制备方法 |
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