JP3148175B2 - 無鉛の稠密乃至極稠密光学バリウムクラウンガラス - Google Patents

無鉛の稠密乃至極稠密光学バリウムクラウンガラス

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JP3148175B2 JP03034598A JP3034598A JP3148175B2 JP 3148175 B2 JP3148175 B2 JP 3148175B2 JP 03034598 A JP03034598 A JP 03034598A JP 3034598 A JP3034598 A JP 3034598A JP 3148175 B2 JP3148175 B2 JP 3148175B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1.60〜1.6
5の屈折率nd 及び49〜60のアッベ数νd を有する
無鉛の稠密乃至極稠密光学バリウムクラウンガラスに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、ガラス成分PbO及びAs23
は環境汚染物として論議の的となっているため、消費製
品や光学機器の製造業者の中には、PbOを含有せず、
さらにまたAs23 を含有しないガラスのみの使用に
転換しようとする者が出ている。従って、特定の光学的
性質を有するそのようなガラスが市場で入手可能となら
ねばならない。また、軽量ガラス部材、即ち低密度のガ
ラスの製造においては、PbOを配合しないことも望ま
れる。単に、酸化鉛を1つ又はそれ以上の成分で置換す
るだけでは、光学的性質及びガラス技術上の性質はPb
Oの影響を受けるため、一般に、そのような所望の性質
を再現することは困難である。従って、それに代って、
ガラス組成についての新たな開発もしくは広範囲な変更
が必要となる。
【0003】種々の仕様が特許文献に既に示されてお
り、上記光学値を有する種々の無鉛ガラスが開示されて
いる。しかしながら、これらのガラスは著しい欠点を有
する。例えば、特開昭60−221338号には、主と
してY23 、La23 、B23 及びLi2 Oから
成るガラスが記載されているが、例えばSiO2 は単に
任意成分でしかない。Y23 含量は20重量%まで、
La23 含量は52重量%までとされているが、これ
によってガラスは高価なものとなり、また連続生産プロ
セスにとって非経済的である。幾つかの例では非常にB
23 含量が高く(50重量%まで)、またLi2 Oが
存在しているが、これによってガラスのの耐薬品性は劣
ったものとなり、これはその後の処理をさらに困難にす
ると共に、それらの用途を制限することにもなる。同様
のことは、特開昭53−92816号や特開昭54−1
59428号に記載のLi2 O含有ガラスについても言
える。Li2 Oはガラスの結晶化安定性を低下させる。
特開平3−5341号に記載のガラスもまたLi2 Oの
添加を必要としており、さらにまた比較的に高い割合で
La23 を含有している。
【0004】La23 及びY23 に関する同様の状
況(不利益)は、Nb25 についても言える。この酸
化物はガラスバッチの価格を押し上げ、従って製造コス
トを著しく増大させる。それはドイツ特許DE 1 4
96 524号や特開平6−107425号に記載のガ
ラスの決定的な構成要素となっている。DE 1 49
6 524号に記載のガラスは著しく高い屈折率(1.
65以上)を有する。特開平6−107425号に記載
のガラスにおいては、光学値は広範囲にわたって変化し
ている。これらのガラスにおいては、幾つかの例におい
ては非常に高いアルカリ金属酸化物含量(30重量%ま
で)により及ぼされる耐薬品性及び結晶化安定性に対す
る著しい悪影響を改善するために、Nb25 は必須で
ある。特開平5−17176号に提案されているガラス
はSrOを必要としており、この成分を20重量%まで
の量で含有する。SrOの光学的性質に対する影響は、
BaO及びCaOのそれとほぼ同様であるが、BaOや
CaOはかなり安価な原料でもってガラス中に添加でき
るので、経済的生産にとってSrOを削除することが有
利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記したよ
うな従来技術の問題に鑑みなされたものであり、その目
的とするところは、良好な溶融及び加工特性と、良好な
耐薬品性と、失透上限における粘度が1,000dPa
・s以上であるような高い結晶化安定性を有し、また、
1.60〜1.65の屈折率nd 及び49〜60のアッ
ベ数νd を有する無鉛の稠密もしくは極稠密光学バリウ
ムクラウンガラスを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の基本的態様によれば、酸化物基準で以下の
組成 SiO2 38〜45重量%、B23 5〜10重量%、 BaO 29〜42重量%、ZnO 0〜10重量%、 CaO 0〜5重量%、 BaO+ZnO+CaO 35〜50重量%、 TiO2 1〜5重量%、ZrO2 0.5〜3重量%、 (SiO2+TiO2+ZrO2)/(BaO+ZnO+CaO) 0.84〜 1.35、 La23 0〜2.5重量%、Al23 1〜3.5重量%、 La23+Al23 2.5〜3.5重量%、 Na2O 0〜2重量%、K2O 0〜6重量%、 Na2O+K2O 0〜7重量%からなり 、必要に応じて慣用量の清澄剤を含有すること
を特徴とする1.60〜1.65の屈折率nd及び49
〜60のアッベ数νdを有する無鉛の稠密もしくは極稠
密光学バリウムクラウンガラスが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のガラスは、38〜45重
量%のガラス形成剤SiO2 を含有する。SiO2 含量
が上記範囲より低い場合、ガラスの結晶化安定性及び転
移温度が低下し、逆に高い場合、ガラスの溶融性が損わ
れ、また屈折率が低くなる。他のガラス形成剤はB2
3 であり、5〜10重量%の量で存在する。この最小限
の含量はガラスの適切な溶融性を確保するために必要で
ある。上記最大限の含量は、それを超えると所定の屈折
率が得られなくなり、また耐薬品性に悪影響を及ぼすた
め超えるべきではない。
【0008】ガラスはまた、29〜42重量%のBaO
を含有する。BaOの含量が上記範囲より少ない場合、
所定のアッベ数が得られなくなり、一方、上記範囲より
高い含量では失透傾向が増大する。結晶化安定性及び耐
薬品性を改善するために、ガラスはまた5重量%以下の
量のCaO及び10重量%以下の量のZnOを含有でき
る。但し、BaO、ZnO及びCaOの合計量は35〜
50重量%の範囲内にあるべきであり、さもないと上記
結晶化安定性及び耐薬品性が再び悪影響を受ける。この
合計量は最大49重量%に制限することが特に好まし
い。所望の光学値を得るために、ガラスは1〜5重量%
の量のTiO2 及び0.5〜3重量%の量のZrO2
含有する。
【0009】個々の成分の絶対量に加えて、本発明の本
質的特徴はSiO2 、TiO2 及びZrO2 の合計量と
BaO、ZnO及びCaOの合計量の重量比、(SiO
2 +TiO2 +ZrO2 )/(BaO+ZnO+Ca
O)にある。この比率は本発明の新規なガラスの非常に
良好な耐薬品性にとって極めて重要であり、0.84〜
1.35の範囲内になければならない。0.84未満の
重量比の場合、耐薬品性、特に耐酸性が低下する。本発
明の新規なガラスは、従って極めて耐酸性に優れている
(実施例7及び9参照:耐酸性=1.0)。これと対照
的に、比較し得る基本ガラス組成を有するがPbOを含
有し、かつ上記比率の値が0.81である市販の極稠密
バリウムクラウンガラスSSK2は、比較的に低い耐酸
性である耐酸性クラス51.3に属する。一方、上記比
率が1.35を超えると、ガラスの溶融性が低下する。
これはB23 及びNa2 O及び/又はK2 Oの含量を
増大することにより補償できるが、これらの含量を増大
する結果として、まず第一に、結晶化安定性が損われ、
第二に所望の光学的性質が他の不利益を受け入れる以外
達成困難となる。上記比率の上限は1.34に限定する
ことが特に好ましい。
【0010】ガラスはまた、Al23 を1〜3.5重
量%含有する。この成分の量小含量は、ガラスの良好な
結晶化安定性のためにも、また良好な耐薬品性のために
も必要である。一方、上記最大含量を超えると溶融性が
低下する。さらに、ガラスはLa23 を2.5重量%
以下の量で含有でき、それによってまた耐薬品性が改善
される。しかしながら、この成分の含量が2.5重量%
を超えると、ガラスは溶融困難となり、さらに、高価な
成分La23 を過剰に含有するとガラスが不必要に高
価なものとなる。これらの理由のために、La23
Al23 の合計量は3.5重量%以下、2.5重量%
以上とすべきである。この合計量は特に好ましくは2.
7〜3.4重量%である。
【0011】溶融性を改善するために、ガラスはさらに
2重量%以下の量のNa2 O及び6重量%以下の量のK
2 Oを含有してもよい。但し、K2 OとNa2 Oの合計
量は7重量%を超えるべきではなく、さもないと耐薬品
性及び結晶化安定性が低下する。Li2 Oは完全に除か
れるべきである。Na2 OとK2 Oの合計量は、特に好
ましくは0〜6.4重量%である。一方ではSiO2
23 の合計量、他方ではLa23 、Al23
2 O及びNa2 Oの合計量のバランスされた含量によ
り、ガラスの結晶化安定性は優れたものとなる。例え
ば、本発明の好適な態様においては、SiO2 +B23
の合計量は45〜50重量%の範囲内にあり、それと
同時に、La23 +Al23 +Na2 O+K2 Oの
合計量は10重量%を超えるべきではない。これによっ
て、ガラスの結晶化安定性は特に優れたものとなる。
【0012】本発明の基本的な態様で特定された前記範
囲内には、ガラス成分のバランスされた組合せにより特
に良好な溶融及び加工特性を示す好適な組成範囲のガラ
スが含まれている。これは、酸化物基準で以下の組成範
囲である。 SiO2 38〜43重量%、B23 5〜9重量%、 BaO 29〜40重量%、ZnO 0〜9重量%、 CaO 0〜5重量%、TiO2 1〜5重量%、 ZrO2 0.5〜3重量%、La23 0〜2.5重量%、 Al23 1〜3.5重量%、Na2 O 0〜2重量%、 K2 O 0〜5.5重量%、 BaO2 +ZnO+CaO 35〜50重量%、 La23 +Al23 2.5〜3.5重量%、 Na2 O+K2 O 0〜7重量%、 (SiO2 +TiO2 +ZrO2 )/(BaO+ZnO+CaO) 0.84 〜1.35。 これらのガラスは、1.60〜1.63の屈折率nd
び49.5〜54のアッベ数νd を有する極稠密バリウ
ムクラウンガラスである。
【0013】ガラス品質をさらに改善するために、それ
自体公知の1つ又はそれ以上の清澄剤を、ガラスを清澄
化するためにバッチ(混合物)に通常の量で添加するこ
とができる。これによって、泡や筋のない特に良好な
「内部」品質を有するガラスが得られる。使用される清
澄剤がAs23 ではなく、それに代ってガラス品質を
損うことなく加えることができる例えばSb23 が用
いられれば、その場合、本発明に係る新規な無鉛ガラス
はさらにヒ素フリーでもある。本発明のさらに好適な態
様においては、ガラスは以下の清澄剤:Sb23 +F
- 0.1〜0.5重量%、但し、Sb23 は0〜
0.5重量%でF- は0〜0.5重量、を含有し、これ
によって優れた内部ガラス品質が得られる。F-は例え
ばKFとして添加される。
【0014】
【発明の効果】本発明に係る新規なガラス組成範囲は、
かくして前記した光学的性質を有する別のグループの無
鉛の稠密乃至極稠密バリウムクラウンガラスを提供す
る。これらのガラスは、以下のような利点を有する。上
記ガラスは、非常に良好な耐薬品性(これは研削や磨き
などのその後の処理や、ガラスの潜在的用途にとって決
定的に重要である)、非常に高い結晶化安定性(これは
比較的大きな溶解装置、例えば光学タンクでガラス製造
を可能とする)、及び良好な「内部」ガラス品質を有す
る。また、一つには幾つかの高価な成分を用いる必要が
ないためにガラスを低コストで製造できる。ガラスがP
bOを含有しないということは、前記した環境保護の理
由からだけでなく、ガラスの密度を低減し、それらの転
移温度を上昇させることによって得られる有利な効果の
点からも重要である。さらに有利な点は、本発明のガラ
スはPbOを含有しないだけでなく、好適な態様におい
てはAs23 も含有しないことにある。
【0015】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されな
いことはもとよりである。
【0016】実施例1〜9 好適な組成範囲内にある本発明の9つの実施例の新規な
ガラスを慣用の原料から製造した。溶融の一例(実施例
9)を表1に示す。
【表1】 この溶融例により得られたガラスの特性は、下記表2の
実施例9に示されている。
【0017】各ガラスの組成(酸化物基準の重量%表
示)及び基本的な特性である屈折率及びアッベ数、並び
に幾つかの実施例については他の特性も表2に示す。本
発明の新規なガラスは以下のようにして製造した。すな
わち、酸化物用の原料、好ましくは炭酸塩及び硝酸塩を
計量し、これに清澄剤Sb23 を加えてよく攪拌し
た。ガラスバッチを連続溶解装置中で約1,300〜
1,350℃で溶融し、次いで清澄化し、充分に均質化
した。ガラスは1,220℃の注型温度で所望の寸法に
成形した。
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウヴェ、コルベルク ドイツ連邦共和国、55252 マインツ、 フレッセルヴェーク 1 (72)発明者 アルヴィン、ヴァイツェル ドイツ連邦共和国、55120 マインツ、 ヴェストリング 283 (56)参考文献 特開 平3−5341(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 1/00 - 14/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物基準で以下の組成 SiO2 38〜45重量%、B23 5〜10重量%、 BaO 29〜42重量%、ZnO 0〜10重量%、 CaO 0〜5重量%、 BaO+ZnO+CaO 35〜50重量%、 TiO2 1〜5重量%、ZrO2 0.5〜3重量%、 (SiO2+TiO2+ZrO2)/(BaO+ZnO+CaO) 0.84〜 1.35、 La23 0〜2.5重量%、Al23 1〜3.5重量%、 La23+Al23 2.5〜3.5重量%、 Na2O 0〜2重量%、K2O 0〜6重量%、 Na2O+K2O 0〜7重量%からなり 、必要に応じて慣用量の清澄剤を含有すること
    を特徴とする1.60〜1.65の屈折率nd及び49
    〜60のアッベ数νdを有する無鉛の稠密もしくは極稠
    密光学バリウムクラウンガラス。
  2. 【請求項2】 La23 、Al23 、Na2 O及び
    2 Oの合計量が10重量%以下であり、SiO2 とB
    23 の合計量が45〜50重量%であることを特徴と
    する請求項1に記載の無鉛の稠密もしくは極稠密光学バ
    リウムクラウンガラス。
  3. 【請求項3】 酸化物基準で以下の組成 SiO2 38〜43重量%、B23 5〜9重量%、 BaO 29〜40重量%、ZnO 0〜9重量%、 CaO 0〜5重量%、TiO2 1〜5重量%、 ZrO2 0.5〜3重量%、La23 0〜2.5重量%、 Al23 1〜3.5重量%、Na2O 0〜2重量%、 K2O 0〜5.5重量%からなり 、必要に応じて慣用量の清澄剤を含有し、1.
    60〜1.63の屈折率nd及び49.5〜54のアッ
    ベ数νdを有することを特徴とする請求項1又は2に記
    載の無鉛の稠密もしくは極稠密光学バリウムクラウンガ
    ラス。
  4. 【請求項4】 BaO、ZnO及びCaOの合計量が3
    5〜49重量%であることを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれか一項に記載の無鉛の稠密もしくは極稠密光学
    バリウムクラウンガラス。
  5. 【請求項5】 La23 とAl23 の合計量が2.
    7〜3.4重量%であることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれか一項に記載の無鉛の稠密もしくは極稠密光
    学バリウムクラウンガラス。
  6. 【請求項6】 Na2 OとK2 Oの合計量が0〜6.4
    重量%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれ
    か一項に記載の無鉛の稠密もしくは極稠密光学バリウム
    クラウンガラス。
  7. 【請求項7】 重量比(SiO2 +TiO2 +ZrO
    2 )/(BaO+ZnO+CaO)が0.84〜1.3
    4であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一
    項に記載の無鉛の稠密もしくは極稠密光学バリウムクラ
    ウンガラス。
  8. 【請求項8】 清澄剤としてSb23 を0〜0.5重
    量%、F- を0〜0.5重量%、Sb23 +F -
    0.1〜0.5重量%の合計量で含有することを特徴と
    する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の無鉛の稠密
    もしくは極稠密光学バリウムクラウンガラス。
  9. 【請求項9】 不可避不純物を除きヒ素酸化物を含有し
    ないことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に
    記載の無鉛の稠密もしくは極稠密光学バリウムクラウン
    ガラス。
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