JP3147697B2 - 釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品または美術工芸品の製造方法 - Google Patents
釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品または美術工芸品の製造方法Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、釉薬を焼付けて彩色
を施してなる釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品ま
たは美術工芸品の製造方法に関するものである。
を施してなる釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品ま
たは美術工芸品の製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、七宝などの釉薬を焼付けて彩色を
施したブローチなどの貴金属製装飾品および花盛器など
の貴金属製美術工芸品は、Ａｇ、Ａｕ、Ｋ１４金合金、
Ｋ１８金合金などの貴金属を溶解鋳造または鍛造して所
定の形状に成形した貴金属製装飾品基体または美術工芸
品基体の表面に釉薬を塗布したのち焼成し、最後に表面
仕上げ研磨して作製していた。
施したブローチなどの貴金属製装飾品および花盛器など
の貴金属製美術工芸品は、Ａｇ、Ａｕ、Ｋ１４金合金、
Ｋ１８金合金などの貴金属を溶解鋳造または鍛造して所
定の形状に成形した貴金属製装飾品基体または美術工芸
品基体の表面に釉薬を塗布したのち焼成し、最後に表面
仕上げ研磨して作製していた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般に、釉薬
は金属表面に対する濡れ性が悪く、焼成して得られた彩
色部は金属表面に対する密着性が十分でないところか
ら、仕上げ研磨工程で時々剥離することがあり、彩色部
が剥離すると、装飾品または美術工芸品としては価値が
無くなるので廃棄またはリサイクルに回さなければなら
ず、特に基体が貴金属で出来ている場合は大きな損失と
なる。さらに、貴金属製装飾品基体または美術工芸品基
体の釉薬焼付けを施す面が滑らかで垂直状態にある面に
釉薬で模様または絵を描こうとすると垂れて、思うよう
に模様または絵を描くことができないなどの課題があっ
た。
は金属表面に対する濡れ性が悪く、焼成して得られた彩
色部は金属表面に対する密着性が十分でないところか
ら、仕上げ研磨工程で時々剥離することがあり、彩色部
が剥離すると、装飾品または美術工芸品としては価値が
無くなるので廃棄またはリサイクルに回さなければなら
ず、特に基体が貴金属で出来ている場合は大きな損失と
なる。さらに、貴金属製装飾品基体または美術工芸品基
体の釉薬焼付けを施す面が滑らかで垂直状態にある面に
釉薬で模様または絵を描こうとすると垂れて、思うよう
に模様または絵を描くことができないなどの課題があっ
た。
【０００４】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
かかる観点から、釉薬で模様または絵を描きやすく、ま
た焼付けられた釉薬が研磨工程で剥離すること無く貴金
属製装飾品または美術工芸品を製造するべく研究を行っ
た結果、貴金属造型用可塑性組成物を焼成して多孔質貴
金属焼結体基体からなる貴金属製装飾品基体または美術
工芸品基体を作製し、この多孔質貴金属焼結体基体から
なる貴金属製装飾品基体または美術工芸品基体の表面に
釉薬を塗布する時に釉薬が垂れて絵付け時に失敗するこ
とが無く、さらに焼成して得られた彩色部は密着性に優
れ、仕上げ研磨工程で剥離することがなく釉薬焼付け貴
金属製装飾品または美術工芸品を製造することができる
という知見を得たのである。
かかる観点から、釉薬で模様または絵を描きやすく、ま
た焼付けられた釉薬が研磨工程で剥離すること無く貴金
属製装飾品または美術工芸品を製造するべく研究を行っ
た結果、貴金属造型用可塑性組成物を焼成して多孔質貴
金属焼結体基体からなる貴金属製装飾品基体または美術
工芸品基体を作製し、この多孔質貴金属焼結体基体から
なる貴金属製装飾品基体または美術工芸品基体の表面に
釉薬を塗布する時に釉薬が垂れて絵付け時に失敗するこ
とが無く、さらに焼成して得られた彩色部は密着性に優
れ、仕上げ研磨工程で剥離することがなく釉薬焼付け貴
金属製装飾品または美術工芸品を製造することができる
という知見を得たのである。
【０００５】この発明は、かかる知見にもとづいてなさ
れたものであって、 （１）貴金属造型用可塑性組成物を成形して成形体を作
製し、この成形体を焼成して得られた密度比が６０〜９
５％である多孔質貴金属焼結体基体の表面に釉薬を塗布
したのち焼成する釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾
品の製造方法、 （２）貴金属造型用可塑性組成物を成形して成形体を作
製し、この成形体を焼成して得られた密度比が６０〜９
５％である多孔質貴金属焼結体基体の表面に釉薬を塗布
したのち焼成する釉薬焼付け貴金属焼結体からなる美術
工芸品の製造方法、に特徴を有するものである。
れたものであって、 （１）貴金属造型用可塑性組成物を成形して成形体を作
製し、この成形体を焼成して得られた密度比が６０〜９
５％である多孔質貴金属焼結体基体の表面に釉薬を塗布
したのち焼成する釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾
品の製造方法、 （２）貴金属造型用可塑性組成物を成形して成形体を作
製し、この成形体を焼成して得られた密度比が６０〜９
５％である多孔質貴金属焼結体基体の表面に釉薬を塗布
したのち焼成する釉薬焼付け貴金属焼結体からなる美術
工芸品の製造方法、に特徴を有するものである。
【０００６】この発明の方法により釉薬焼付け貴金属焼
結体からなる装飾品または美術工芸品を製造する際に、
仕上げの表面研磨工程で彩色部が剥離しなくなるのは、
多孔質貴金属焼結体の細孔に彩色部の一部が食い込ん
で、彩色部がアンカー効果により貴金属焼結体に強固に
密着することによるものと考えられ、また絵付けに際し
て釉薬が垂れるなど失敗することが無くなるのは、密度
比：６０〜９５％の多孔質貴金属焼結体基体に釉薬の一
部が多孔質貴金属焼結基体に吸収されることによるもの
であると考えられる。
結体からなる装飾品または美術工芸品を製造する際に、
仕上げの表面研磨工程で彩色部が剥離しなくなるのは、
多孔質貴金属焼結体の細孔に彩色部の一部が食い込ん
で、彩色部がアンカー効果により貴金属焼結体に強固に
密着することによるものと考えられ、また絵付けに際し
て釉薬が垂れるなど失敗することが無くなるのは、密度
比：６０〜９５％の多孔質貴金属焼結体基体に釉薬の一
部が多孔質貴金属焼結基体に吸収されることによるもの
であると考えられる。
【０００７】
【実施例】実施例１ 純銀粉末：８０ｗｔ％、セルロース系水溶性バインダ
ー：５ｗｔ％、界面活性剤：２ｗｔ％、油脂：０．５ｗ
ｔ％を含有し、残部が水および不可避不純物からなる貴
金属造型用可塑性組成物でハート形状の成形体を作製
し、この成形体を電気炉で９００℃、２時間保持の条件
で焼成することにより純銀製多孔質焼結基体を作製し
た。この純銀製多孔質焼結基体の表面に、釉薬を塗布し
たが釉薬が垂れることはなかった。その後、釉薬を塗布
した純銀製多孔質焼結基体を電気炉で８００℃、１０分
保持の条件で焼成することにより彩色部を有する釉薬焼
付け貴金属焼結体を製造し、この釉薬焼付け貴金属焼結
体の表面をバレル研磨して鏡面仕上げを試みたところ、
彩色部に何等の剥離も生じなかった。
ー：５ｗｔ％、界面活性剤：２ｗｔ％、油脂：０．５ｗ
ｔ％を含有し、残部が水および不可避不純物からなる貴
金属造型用可塑性組成物でハート形状の成形体を作製
し、この成形体を電気炉で９００℃、２時間保持の条件
で焼成することにより純銀製多孔質焼結基体を作製し
た。この純銀製多孔質焼結基体の表面に、釉薬を塗布し
たが釉薬が垂れることはなかった。その後、釉薬を塗布
した純銀製多孔質焼結基体を電気炉で８００℃、１０分
保持の条件で焼成することにより彩色部を有する釉薬焼
付け貴金属焼結体を製造し、この釉薬焼付け貴金属焼結
体の表面をバレル研磨して鏡面仕上げを試みたところ、
彩色部に何等の剥離も生じなかった。
【０００８】従来例１ 溶解鋳造して得られたハート形状の純銀製溶製基体の表
面に、釉薬を塗布し、電気炉で８００℃、１０分保持の
条件で焼成することにより彩色部を有する釉薬焼付け貴
金属溶製体を製造し、この釉薬焼付け貴金属溶製体の表
面をバレル研磨して鏡面仕上げを試みたところ、彩色部
に２３箇所の剥離が見られた。
面に、釉薬を塗布し、電気炉で８００℃、１０分保持の
条件で焼成することにより彩色部を有する釉薬焼付け貴
金属溶製体を製造し、この釉薬焼付け貴金属溶製体の表
面をバレル研磨して鏡面仕上げを試みたところ、彩色部
に２３箇所の剥離が見られた。
【０００９】実施例２ 純白金粉末：８５ｗｔ％、セルロース系水溶性バインダ
ー：４．７ｗｔ％、界面活性剤：１．９ｗｔ％、油脂：
０．５ｗｔ％を含有し、残部が水および不可避不純物か
らなる貴金属造型用可塑性組成物でハート形状の成形体
を作製し、この成形体を電気炉で１６００℃、２時間保
持の条件で焼成することにより純白金製多孔質焼結基体
を作製した。この純白金製多孔質焼結基体の表面に、釉
薬を塗布したが釉薬が垂れることはなかった。その後、
釉薬を塗布した純白金製多孔質焼結基体を電気炉で１２
８０℃、１０分保持の条件で焼成することにより彩色部
を有する釉薬焼付け貴金属焼結体を製造し、この釉薬焼
付け貴金属焼結体の表面をバレル研磨して鏡面仕上げを
試みたところ、彩色部に何等の剥離も生じなかった。
ー：４．７ｗｔ％、界面活性剤：１．９ｗｔ％、油脂：
０．５ｗｔ％を含有し、残部が水および不可避不純物か
らなる貴金属造型用可塑性組成物でハート形状の成形体
を作製し、この成形体を電気炉で１６００℃、２時間保
持の条件で焼成することにより純白金製多孔質焼結基体
を作製した。この純白金製多孔質焼結基体の表面に、釉
薬を塗布したが釉薬が垂れることはなかった。その後、
釉薬を塗布した純白金製多孔質焼結基体を電気炉で１２
８０℃、１０分保持の条件で焼成することにより彩色部
を有する釉薬焼付け貴金属焼結体を製造し、この釉薬焼
付け貴金属焼結体の表面をバレル研磨して鏡面仕上げを
試みたところ、彩色部に何等の剥離も生じなかった。
【００１０】従来例２ 溶解鋳造して得られたハート形状の純白金製溶製基体の
表面に、釉薬を塗布し、電気炉で１２８０℃、１０分保
持の条件で焼成することにより彩色部を有する釉薬焼付
け貴金属溶製体を製造し、この釉薬焼付け貴金属溶製体
の表面をバレル研磨して鏡面仕上げを試みたところ、彩
色部に１７箇所の剥離が見られた。
表面に、釉薬を塗布し、電気炉で１２８０℃、１０分保
持の条件で焼成することにより彩色部を有する釉薬焼付
け貴金属溶製体を製造し、この釉薬焼付け貴金属溶製体
の表面をバレル研磨して鏡面仕上げを試みたところ、彩
色部に１７箇所の剥離が見られた。
【００１１】
【発明の効果】上述のように、この発明の方法による
と、釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品または美術
工芸品は、彩色部の基体に対する密着性が優れているの
で、バレル研磨して鏡面仕上げする工程で彩色部が剥離
することがなく、また効率よく釉薬焼付け装飾品または
美術工芸品を提供することができ、装飾産業上優れた効
果をもたらすものである。
と、釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品または美術
工芸品は、彩色部の基体に対する密着性が優れているの
で、バレル研磨して鏡面仕上げする工程で彩色部が剥離
することがなく、また効率よく釉薬焼付け装飾品または
美術工芸品を提供することができ、装飾産業上優れた効
果をもたらすものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C23D 5/00 B22F 3/24
Claims (2)
- 【請求項１】 貴金属造型用可塑性組成物を成形して成
形体を作製し、この成形体を焼成して得られた密度比が
６０〜９５％である多孔質貴金属焼結体基体の表面に釉
薬を塗布したのち焼成することを特徴とする釉薬焼付け
貴金属焼結体からなる装飾品の製造方法。 - 【請求項２】 貴金属造型用可塑性組成物を成形して成
形体を作製し、この成形体を焼成して得られた密度比が
６０〜９５％である多孔質貴金属焼結体基体の表面に釉
薬を塗布したのち焼成することを特徴とする釉薬焼付け
貴金属焼結体からなる美術工芸品の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP03296495A JP3147697B2 (ja) | 1995-01-30 | 1995-01-30 | 釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品または美術工芸品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP03296495A JP3147697B2 (ja) | 1995-01-30 | 1995-01-30 | 釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品または美術工芸品の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08199373A JPH08199373A (ja) | 1996-08-06 |
| JP3147697B2 true JP3147697B2 (ja) | 2001-03-19 |
Family
ID=12373606
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP03296495A Expired - Fee Related JP3147697B2 (ja) | 1995-01-30 | 1995-01-30 | 釉薬焼付け貴金属焼結体からなる装飾品または美術工芸品の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3147697B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN110257828B (zh) * | 2019-06-06 | 2021-04-06 | 浙江开尔新材料股份有限公司 | 一种裂纹图案珐琅板的制备方法 |
-
1995
- 1995-01-30 JP JP03296495A patent/JP3147697B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH08199373A (ja) | 1996-08-06 |
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