JP4297591B2 - 焼結体の装飾方法及び装飾焼結体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば金属粘土やセラミック粘土により作製される焼結体の装飾効果を容易に高めることができる焼結体の装飾方法及び装飾焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】
指輪、ブローチなどのアクセサリーや装飾品を作製する際に、その装飾効果を高めるために異なる色彩を有する異種の金属やセラミックなどを接合する手法が広く用いられている。
例えば銀色の指輪やブローチなどのアクセサリーに金色のデザイン部分をアクセントとして装飾する場合などは、純銀又は銀合金で母材となるアクセサリーを造形し、別途に金又は金合金にて色彩パーツを造形し、両者をろう材などで接合したり、或いは予め母材の表面に溝等を刻設しておいてその溝内に金又は金合金を叩き込む(象眼法)方法が一般的に知られている。
さらに、金や銀その他の薄膜を形成して彩色する方法として、メッキや箔付け等の手法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の手法は、何れも専門的で特殊な設備や熟練した技術が必要であって、特にメッキなどは工業的には有効な手段であるが、工芸やクラフト等における手法としては、到底適用不可能な手法であった。
また、特にアクセサリーでは手や指が頻繁に接触するために強固に定着させる必要があるが、市販の有色金属薄膜を母材表面に付着させる箔付けでは、その付着強度は合成樹脂等の接着剤に依存するものであり、爪等の引っかかり等によって剥がれてしまうこともあった。しかも溶剤による歪みや溶剤の乾燥時の収縮によりシワになってしまうことがあり、極めてデリケートな熟練した作業を要し、接着剤の硬化に長時間を要するという問題もあった。さらには、熱や接着剤の劣化等の要因によっても剥がれが生ずることがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記に鑑み提案されたもので、金属粉末又はセラミック粉末の一種以上を含有する組成物を所望の形状に造形又は物品に付着させて乾燥固化させた造形体又は物品付着物を、その金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で焼成し、冷えてその焼結体の収縮が完了する前に、任意形状に加工した有色金属薄膜をその焼結体の表面に加圧しながら擦り付けることを特徴とする焼結体の装飾方法に関するものである。
また、前記焼結体の装飾方法において、あらかじめ可塑性を有している状態の造形体又は物品付着物の表面に、任意形状に加工した有色金属薄膜を付着させて乾燥固化し、乾燥固化した造形体又は物品付着物をその金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で焼成することを特徴とする焼結体の装飾方法も提案する。
また、前記焼結体の装飾方法において、あらかじめ乾燥固化させた造形体又は物品付着物の表面に、任意形状に加工した有色金属薄膜を付着させた状態で、その金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で焼成することを特徴とする焼結体の装飾方法も提案する。
【0005】
また、金属粉末又はセラミック粉末の一種以上を含有する組成物を焼成した焼結体を加熱し、冷えてその焼結体の収縮が完了する前に、任意形状に加工した有色金属薄膜をその焼結体の表面に加圧しながら擦り付けることを特徴とする焼結体の装飾方法も提案する。
また、金属粉末又はセラミック粉末の一種以上を含有する組成物を所望の形状に造形又は物品に付着させ、乾燥固化させた造形体又は物品付着物を、その金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で焼成して焼結体を得た後、再び加熱し、冷えてその焼結体の収縮が完了する前に、任意形状に加工した有色金属薄膜をその焼結体の表面に加圧しながら擦り付けることを特徴とする焼結体の装飾方法も提案する。
前記焼結体の装飾方法において、あらかじめ焼結体の表面に任意形状に加工した有色金属薄膜を付着させた状態で加熱することを特徴とする焼結体の装飾方法も提案する。
【0006】
さらに、前記焼結体の装飾方法にて製造されたものであることを特徴とする装飾焼結体も提案する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の焼結体の装飾方法は、前述のように金属粉末又はセラミック粉末を含有する組成物を加熱し、加熱した焼結体の収縮が完了する前に任意形状に加工した有色金属薄膜を焼結体の表面に加圧しながら擦り付けて定着させる。
即ち有色金属薄膜は、加熱する以前に所定位置に予め付着させておいても良いし、加熱以後に位置合わせしつつ加圧させながら擦り付けるようにしても良い。また、加熱する以前にあっては、金属粘土又はセラミック粘土が可塑性を有する時点にて加圧して有色金属薄膜を所定位置に付着させるようにしても良いし、金属粘土又はセラミック粘土を乾燥固化させた後に水のり等にて有色金属薄膜を所定位置に付着(貼着)させるようにしても良い。
【0008】
金属粘土又はセラミック粘土の造形体又は物品付着物が可塑性を有している時点では、何等接着剤等を用いなくても有色金属薄膜を所定位置に位置させて加圧するだけで容易に付着させることができる。
【0009】
金属粘土又はセラミック粘土の造形体又は物品付着物を乾燥固化させた後に有色金属薄膜を所定位置に貼着させるための水のりとしては、水と、アラビアガム、デンプン、CMC、セルロース、デキストリンなどの粘着性を示す物質から選ばれる一種又は二種以上との混合物を30〜70%濃度になるように混合して水のり状に調整したものを用いることができる。この水のりの濃度が30%より薄い場合には大部分が染み込んでしまうために密着性が低くなり、絵柄がずれて所定位置へ有色金属薄膜を固定することが困難となる。また、濃度が70%より濃い場合には粘性が高いため筆などで塗り難くなり、また過剰に塗布されがちになる。そのために、貼り付けた有色金属膜にシワが生じ易い。
この水のりを、乾燥固化させた金属粘土又はセラミック粘土の造形体又は物品付着物の所定位置に塗布し、その上から有色金属薄膜を被せるように貼着させても良いし、予め有色金属薄膜の裏面に前記水のりを塗布しておいて乾燥固化させた金属粘土又はセラミック粘土の造形体又は物品付着物の所定位置に貼着させても良い。何れの方法でも有色金属薄膜はシワにならずに綺麗に貼着させることができる。
【0010】
このように前述の水のりを用いて乾燥固化させた金属粘土又はセラミック粘土の造形体又は物品付着物の表面に有色金属薄膜を貼着した後、或いは金属粘土又はセラミック粘土の造形体又は物品付着物が可塑性を有している時点で有色金属薄膜を所定位置に位置させて加圧して付着させた後、電気炉などで金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で加熱すると、金属粉末又はセラミック粉末が焼結し、多孔質の焼結体を形成するが、水のりは燃焼、分解(消失)する。有色金属薄膜又はそれを構成する金属は焼結体を構成する粒子間に介在するようになり、一層密着する。さらに、加熱後、焼結体の収縮が起こり、焼結体を構成する粒子間はより間隔が狭くなるが、有色金属薄膜はその間隔(粒子間)により深く入り込むこととなる。そして、焼結体の収縮が完了する前に彫金用工具(キサゲ)やメノウヘラで加圧しながら擦り付けることにより、有色金属薄膜は粒子間により深く、より確実に入り込むことになり、収縮が完了すると、有色金属薄膜は極めて強固に焼結体表面に定着(物理的に接合)したものとなる。したがって、得られた装飾焼結体は、その後に表面を研磨材やステンブラシなどで磨いても有色金属薄膜が剥がれたり脱落することがない。
【0011】
また、前述のように有色金属薄膜を予め付着させておくことなく、焼結体の収縮が完了する前に有色金属薄膜を位置合わせしつつ加圧させながら擦り付ける手法では、前述の予め有色金属薄膜を付着させておく手法に比べて有色金属薄膜の定着強度は若干劣るが、焼結体の収縮が完了する前に彫金用工具(キサゲ)やメノウヘラで加圧しながら擦り付けることは同様であるから、有色金属薄膜は同様に極めて強固に焼結体表面に定着(物理的に接合)したものとなる。また、この手法では、有色金属薄膜自体には殆ど熱履歴が与えられないので、使用する有色金属薄膜の種類によっては熱処理により生ずる色彩の変化を抑制することができる。
【0012】
焼結体が冷却した後にも前述の水のりを用いて有色金属薄膜を付着(貼着)させ、再度加熱し、再度加熱した焼結体の再収縮が完了する前に彫金用工具(キサゲ)やメノウヘラで加圧しながら有色金属薄膜を焼結体の表面に加圧しながら擦り付けすれば、有色金属薄膜は極めて強固に定着させることができる。
焼結後に再加熱する場合には有色金属薄膜を構成する金属の融点に応じて再加熱温度、時間を設定する必要がある。例えば有色金属薄膜として金箔を用いる場合には、800℃前後の温度で2〜4分程度であることが望ましい。このような条件では、仮に水のりを用いていたとしても水のりは燃焼、分解して消失する。
金箔を構成する一部の金粒子が焼結体表面の粒子間に分散するため、水のりを用いていなくても金箔は焼結体の表面に見掛け上、付着した状態となる。
このように焼結体の冷却以後にも、再度加熱して有色金属薄膜を定着させることができるので、加工の自由度が大きいものであり、例えば所望の焼結体を得た後に新たにデザインを付加したい場合などに容易に対応することができ、より大きな満足感を得ることができる。
【0013】
このように本発明の焼結体の装飾方法は、多孔質である焼結体の収縮を効率よく利用するものであり、彫金等の手法のように予め母材に溝等を刻設しておく必要がなく、或いは希酸や研磨材等で表面を荒らしておく必要がないし、熟練した技術も必要としない。またメッキのような特殊な設備も必要ないし、別途に色彩パーツを作製してろう材にて接合する必要もなく、工芸やクラフト等の手法に抵抗なく適用することができるものである。
【0014】
本発明に使用する金属粉末又はセラミック粉末の一種以上を含有する組成物については、特に限定するものではなく、例えば金属粉末としては、貴金属等の金属単体の粉末、合金粉末、金属酸化物粉末等でも良く、セラミック粉末としては、シリカ、アルミナ、ジルコニウム等の金属酸化物又はガラス粉末等の一種以上からなるもので良く、これらにバインダーを添加して粘土状として所望の形状に造形しても良いし、スラリー状として適宜物品に塗り付けるようにしても良い。バインダーも特に限定するものではないが、金属粉末に対しては水溶性セルロース系樹脂0.022〜3.0wt%と、デンプン0.02〜3.0wt%又はフェニルプロパンを骨格とする構成単位体が縮合してなる網状高分子などの粘稠剤0〜0.5wt%とからなるバインダーを用いることが望ましい。またセラミック粉末に対してはカオリン、ベントナイト等の粘土物質と水等を混合してなるバインダーを用いることが望ましい。これらは、市販の陶磁器用の粘土や釉薬等の使用を示唆するものである。即ち市販の陶磁器用の粘土や釉薬等を本発明における金属粉末又はセラミック粉末を含有する組成物として用いても良い。さらに、市販の絵付け用陶器や素焼き陶磁器を本発明における焼結体として用いるようにしても良い。
【0015】
尚、粘土状にした組成物の造形法、スラリー状にした組成物の塗り付け法についても特に限定するものではなく、その後、例えば50〜80℃で1時間程度乾燥するが、この乾燥条件も一例に過ぎず、何等制限されるものではない。
【0016】
そして、使用した金属粉末、セラミック粉末に応じて設定される温度雰囲気にて造形体又は物品付着物を加熱(焼成)する。
焼成条件は、特に限定するものではなく、例えば金属粉末又はセラミック粉末の融点(mp)より70℃低い温度以下〔≦(mp−70)〕で30分〜1時間、或いはそれ以上の時間加熱して焼成しても良いし、金属粉末又はセラミック粉末の融点から融点より70℃低い温度雰囲気〔(mp−70)〜mp〕にて急速加熱して焼成しても良い。或いはガスバーナーを用いて急速加熱して焼成しても良い。
【0017】
【実施例】
[実施例1]
平均粒径20μmの純Ag粉末92wt%、メチルセルロース0.8wt%、デンプン0.6wt%、水6.6wt%からなる造形用粘土組成物を調製した。そして、この造形用粘土組成物を指輪に成形(造形)し、80℃×20分の条件にて乾燥した。
この乾燥造形体を電気炉にて850℃で20分焼成した。
得られた焼結体(指輪)のトップ部に筆で水とデンプンのりを1:2で混合した水のりを塗り付け、厚さ14μmの金箔を絵柄状に加工(切断)したものを水のりの塗り付け部分の上に置き、ティッシュペーパーで軽く押さえた。
その後、金箔を貼着した指輪を電気炉にて800℃で3分加熱した後、熱が冷めないうちにメノウヘラを用いて加圧しながら擦り付けて金箔を強固に定着させた。
この指輪をステンブラシにて全体を磨くと、指輪の梨肌状に白くなっていた部分(酸化膜)が銀色になり、金箔部を同時に磨いても金箔は剥がれることなく接合していた。
【0018】
[実施例2]
前記実施例1にて使用した造形用粘土組成物を帯状のブローチに成形(造形)し、80℃×20分の条件にて乾燥した。
この乾燥造形体を電気炉にて850℃で20分焼成した。
得られた焼結体(ブローチ)の縁部に筆で水とデンプンのりを1:2で混合した水のりを塗り付け、厚さ14μmの金箔を絵柄状に加工(切断)したものを水のりの塗り付け部分の上に置き、乾いたティッシュペーパーで軽く押さえた。
その後、金箔を貼着したブローチを電気炉にて800℃で3分加熱した後、熱が冷めないうちにメノウヘラを用いて加圧しながら擦り付けて金箔を強固に定着させた。
このブローチをステンブラシにて全体を磨くと、ブローチの梨肌状に白くなっていた部分(酸化膜)が銀色になり、金箔部を同時に磨いても金箔は剥がれることなく接合していた。
【0019】
[実施例3]
前記実施例1にて使用した造形用粘土組成物を、銀濃度が80%になるように水で希釈してペースト状組成物とし、これを葉っぱの上に塗布して葉型ブローチとし、80℃×20分の条件にて乾燥した。
この乾燥造形体を電気炉にて850℃で20分焼成した。
得られた焼結体(葉型ブローチ)に筆で水とデンプンのりを1:2で混合した水のりを塗り付け、厚さ14μmの金箔を絵柄状に加工(切断)したものを水のりの塗り付け部分の上に置き、乾いたティッシュペーパーで軽く押さえた。
その後、金箔を貼着した葉型ブローチを電気炉にて800℃で3分加熱した後、熱が冷めないうちにメノウヘラを用いて加圧しながら擦り付けて金箔を強固に定着させた。
この葉型ブローチをステンブラシにて全体を磨くと、葉型ブローチの梨肌状に白くなっていた部分(酸化膜)が銀色になり、金箔部を同時に磨いても金箔は剥がれることなく接合していた。
【0020】
[実施例4]
前記実施例1にて使用した造形用粘土組成物をシリンジに充填し、シリンジからひも状に押し出されてくる粘土を編み重ねてかご状の成形品を作り、80℃×20分の条件にて乾燥した。
この乾燥造形体を電気炉にて850℃で20分焼成した。
得られた焼結体(かご状の成形品)のメッシュ部に筆で水とデンプンのりを1:2で混合した水のりを塗り付け、厚さ14μmの金箔を絵柄状に加工(切断)したものをかご状の成形品のメッシュ部の上に置き、乾いたティッシュペーパーで軽く押さえた。
その後、金箔を貼着したかご状の成形品を電気炉にて800℃で3分加熱した後、熱が冷めないうちにメノウヘラを用いて加圧しながら擦り付けると、かご状の成形品のメッシュ部の凹凸に対しても金箔を隙間なく綺麗に且つ強固に定着させることができた。
このかご状の成形品をステンブラシにて全体を磨くと、かご状の成形品の梨肌状に白くなっていた部分(酸化膜)が銀色になり、金箔部を同時に磨いても金箔は剥がれることなく接合していた。
【0021】
[実施例5]
前記実施例1にて使用した造形用粘土組成物を、銀濃度が80%になるように水で希釈してペースト状組成物とし、これを故意にシワを作った紙の上に塗布して板状の造形品とし、80℃×20分の条件にて乾燥した。
この乾燥造形体を電気炉にて850℃で20分焼成した。
得られた焼結体(シワを有する板状品)のシワ部分に筆で水とデンプンのりを1:2で混合した水のりを塗り付け、厚さ14μmの金箔を線状に加工(切断)したものをシワ部分の上に置き、乾いたティッシュペーパーで軽く押さえた。
その後、金箔を貼着した板状品を電気炉にて800℃で3分加熱した後、熱が冷めないうちにメノウヘラを用いて加圧しながら擦り付けると、板状品のシワ部分の凹凸に対しても金箔を隙間なく綺麗に且つ強固に定着させることができた。
このシワを有する板状品をステンブラシにて全体を磨くと、板状品の梨肌状に白くなっていた部分(酸化膜)が銀色になり、金箔部を同時に磨いても金箔は剥がれることなく接合していた。
【0022】
[実施例6]
ホウ珪酸ガラス粉末、メチルセルロース、カオリン、水からなるセラミック粘土組成物を調製した。そして、この造形用粘土組成物を指輪に成形(造形)し、80℃×20分の条件にて乾燥した。
この乾燥造形体を電気炉にて900℃で60分焼成した。
得られた焼結体(指輪)のトップ部に筆で水とデンプンのりを1:2で混合した水のりを塗り付け、厚さ14μmの金箔を絵柄状に加工(切断)したものを水のりの塗り付け部分の上に置き、ティッシュペーパーで軽く押さえた。
その後、金箔を貼着した指輪を電気炉にて850℃で3分加熱した後、熱が冷めないうちにメノウヘラを用いて加圧しながら擦り付けて金箔を強固に定着させた。
この指輪を接合強度確認のためステンブラシにて全体を磨くと、金箔は剥がれることなく接合していた。
【0023】
[実施例7]
市販の絵付け用陶器皿の中央と縁部に筆で水とデンプンのりを1:2で混合した水のりを塗り付け、厚さ14μmの金箔を絵柄状に加工(切断)したものを水のりの塗り付け部分の上に置き、ティッシュペーパーで軽く押さえた。
その後、金箔を貼着した皿を電気炉にて800℃で5分加熱した後、熱が冷めないうちにメノウヘラを用いて加圧しながら擦り付けると、金箔を強固に定着させることができた。
この皿を接合強度確認のためステンブラシにて全体を磨くと、金箔は剥がれることなく接合していた。
【0024】
前記実施例1にて使用した造形用粘土組成物を30mm×40mm×1.5mmに成形し、80℃×20分の条件にて乾燥した。
この乾燥造形体を電気炉にて850℃で20分焼成した。
得られた焼結体に、20mm×20mmに加工した厚さ14μmの金箔を絵柄状に加工(切断)したものを乗せた状態で電気炉にて800℃で3分加熱した後、表1に示す条件にて磨きヘラを用いて金箔を加圧しながら擦り付け、その定着性を評価し、表1にその結果を併せて示した。
【表1】
Figure 0004297591
表1より明らかなように、金箔を焼結体の上に置いて800℃で3分加熱した場合では、焼結体を取り出してから3分以内に加圧しながら擦り付ければ焼結体の表面へ金箔を強固に定着できることが確認された。
【0025】
以上本発明の実施例を示したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。例えば前記実施例では、有色金属薄膜として金箔のみを用いた例を示したが、その他市販のどのような種類の箔を用いるようにしても良い。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の焼結体の装飾方法は、特殊な設備や熟練した技術を必要とすることなく、工芸やクラフト等の手法に抵抗なく適用することができるものであって、金属粘土やセラミック粘土により作製される焼結体の装飾効果を容易に高めることができる。
【0027】
また、本発明の装飾焼結体は、焼結体の収縮に際して焼結体を構成する粒子間が狭くなるが、有色金属薄膜はその粒子間に深く入り込んだものとなり、収縮が完了すると、有色金属薄膜は極めて強固に焼結体表面に定着(物理的に接合)したものとなる。したがって、本発明の装飾焼結体は、表面を研磨材やステンブラシなどで磨いても有色金属薄膜が剥がれたり脱落することがない。

Claims (7)

  1. 金属粉末又はセラミック粉末の一種以上を含有する組成物を所望の形状に造形又は物品に付着させて乾燥固化させた造形体又は物品付着物を、その金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で焼成し、冷えてその焼結体の収縮が完了する前に、任意形状に加工した有色金属薄膜をその焼結体の表面に加圧しながら擦り付けることを特徴とする焼結体の装飾方法。
  2. あらかじめ可塑性を有している状態の造形体又は物品付着物の表面に、任意形状に加工した有色金属薄膜を付着させて乾燥固化し、乾燥固化した造形体又は物品付着物をその金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で焼成することを特徴とする請求項1に記載の焼結体の装飾方法。
  3. あらかじめ乾燥固化させた造形体又は物品付着物の表面に、任意形状に加工した有色金属薄膜を付着させた状態で、その金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で焼成することを特徴とする請求項2に記載の焼結体の装飾方法。
  4. 金属粉末又はセラミック粉末の一種以上を含有する組成物を焼成した焼結体を加熱し、冷えてその焼結体の収縮が完了する前に、任意形状に加工した有色金属薄膜をその焼結体の表面に加圧しながら擦り付けることを特徴とする焼結体の装飾方法。
  5. 金属粉末又はセラミック粉末の一種以上を含有する組成物を所望の形状に造形又は物品に付着させ、乾燥固化させた造形体又は物品付着物を、その金属粉末又はセラミック粉末の融点以下で焼成して焼結体を得た後、再び加熱し、冷えてその焼結体の収縮が完了する前に、任意形状に加工した有色金属薄膜をその焼結体の表面に加圧しながら擦り付けることを特徴とする焼結体の装飾方法。
  6. あらかじめ焼結体の表面に任意形状に加工した有色金属薄膜を付着させた状態で加熱することを特徴とする請求項4又は5に記載の焼結体の装飾方法。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の方法にて製造されたものであることを特徴とする装飾焼結体。
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