JP4727178B2 - 金属製品及び金属製品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、指環やブローチ等のアクセサリーを初めとする種々の金属製品及び金属製品の製造方法に係り、特に、金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と金属の地金体とを接合してなる金属製品及び金属製品の製造方法に関する。
従来から、アクセサリーとして、例えば、金属製の指環が知られているが、これは、例えば、指に嵌められるリングとヘッドとを一体に鋳造して製造したり、金属の地金を切削する等して製造しているが、近年においては、銀粘土などの金属粘土が普及し、この金属粘土を用いた技術では、リングとヘッドを一体に成形して焼成して製造している。
ところが、このような指環を金属粘土で一体にして製造する場合、リングが金属粘土なので強度が弱く、また、リングの質感などの外観品質も地金に比較して劣り、そのため、ヘッドのみを金属粘土で形成し、リングは金属の地金体で形成したい要請がある。
このような要請に応えるために、例えば、特開2004−49791号公報(特許文献1)に記載の従来技術の適用が考えられる。
図17に示すように、この従来の金属製品Saはベルトのバックルであり、金属粘土としての金粘土を表面の装飾部100として、金属の地金体であるステンレス鋼製のプレート101に接合したものである。この金属製品Saを製造するときは、リング102,リング軸支体103とタング104を取り外したプレート101上で、金粘土でプレート101の表面及び側面を全面被覆し彫塑して、金粘土製飾り板に造形する。それから、プレート101の表面及び側面に被覆した金粘土を乾燥させ、約1000℃,60分間で金粘土を焼成し、金粘土を装飾部100としてプレート101に固着させる。
特開2004−49791号公報
然しながら、上記従来の金属製品の製造方法にあっては、金属粘土の装飾部100を地金体のプレート101の外周に折り曲げ付設し、プレート101と一体に焼成しているが、焼成して出来上がった製品においては、金属粘土焼成体(装飾部100)は、外周に折り曲げた部分が地金体(プレート101)に係合して地金体に保持されており、金属粘土焼成体が地金体に直接接合していないので、係合が緩くなるとがたついたり外れ易くなるという問題があった。そのため、この技術を採用しにくいという問題がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、金属粘土焼成体を地金体に直接接合させる金属製品及び金属製品の製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の金属製品は、金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と、金属の地金体とをロウ付け接合した構成としている。これにより、金属粘土焼成体が地金体に直接接合される。即ち、本発明は、予め金属粘土焼成体を作成しておき、この金属粘土焼成体を地金体にロウ付けにより直接接合させるという技術であり、従来なかった技術を提供するものである。
ここで、金属粘土とは、金属粉末,金属合金粉末から選ばれる一種以上の粉末80〜95重量%と、有機系バインダ0.02〜5重量%及び残水部から構成されるものであり、種々のものが市販されている。有機系バインダとしては、例えば水溶性セルロース樹脂,澱粉などが混合して用いられる。金属粘土の金属が貴金属若しくは貴金属合金である場合、アクセサリーに適する。貴金属とは、金,銀及び白金族(Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)を指す。
金属の地金体としては、金属粘土と同種の金属あるいは異種の金属等種々の金属が用いられる。地金体の金属が貴金属若しくは貴金属合金である場合、アクセサリーに適する。
具体的には、上記金属粘土を銀粘土で構成し、上記地金体を貴金属若しくは貴金属合金で構成し、上記ロウ剤として銀及び銅を含有した銀ロウを用いた構成とした。
そして、必要に応じ、上記銀ロウとして、5分ロウを用いた構成とした。
また、この接合においてはロウ付け技術を適用するが、金属粘土焼成体はポーラスなので、容易には接合できず、地金体との相が悪いが、本発明は、以下に、金属粘土焼成体と地金体とをロウ付け結合する際、確実に結合できるようにした金属製品の製造方法を提供する。
本発明は、上記目的を達成するため、金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と、金属の地金体とをロウ付け接合した金属製品を製造する金属製品の製造方法において、
上記金属粘土焼成体及び地金体の接合部の表面を研磨する表面処理工程と、該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にロウ剤を付設するロウ剤付設工程と、該金属粘土焼成体及び地金体の接合部同士を着接し、ガスバーナで該接合部分を加熱してロウ剤を溶融させる加熱工程とを備えた構成としている。
これにより、接合部の表面を研磨するので、接合面の表面粗さが小さくなり、そのため、接合面同士が密着し易くなり、この密着した金属粘土焼成体及び地金体間に毛細管現象によりロウ剤が浸透するのでこれらを強固に接合することができる。この場合、フラックスは、ガスバーナの熱により酸化しようとする金属表面に作用して酸化を防止するとともに酸化が生じても酸化膜を除去するように機能する。
そして、必要に応じ、上記ロウ剤付設工程において、ロウ剤を接合部の表面の複数箇所に付設した構成としている。複数箇所で、ロウ剤が溶融して金属粘土焼成体及び地金体間に毛細管現象により浸透していくので、ロウ剤が満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
この場合、上記ロウ剤付設工程において、ロウ剤を接合部の表面の際に付設したことが有効である。ロウ剤が接合部の際から毛細管現象により内部に浸透していくので、ロウ剤が確実に満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
また、必要に応じ、上記加熱工程において、加熱初期に、ガスバーナの炎が当たる割合を接合部を境にして体積の大きい方を多くした構成としている。ガスバーナの炎が熱放出の大きい体積の大きい方に当たることから、熱の供給が体積の大小に応じて行なわれ、そのため、接合部での熱が均等化し、ロウ剤の溶融がムラなく行なわれ、両者を確実に接合することができる。
更に、必要に応じ、上記金属粘土が銀粘土であって、上記地金体が貴金属若しくは貴金属合金である場合、ロウ剤として銀及び銅を含有した銀ロウであって5分ロウを用いた構成としている。これにより確実に接合を行なうことができる。
銀ロウは、銀及び銅をベースに、ロウの伸びを良くするために亜鉛,カドミュウム,錫などを添加した合金である。純銀10に対する銅の重量比(2,3,5,7,9)により、2分ロウ,3分ロウ,5分ロウ,7分ロウ,9分ロウと分類される。図2に、各種のロウ剤の融点と流動点(ロウが流れ出す温度)を示す。
また、必要に応じ、上記金属粘土焼成体に、複数個の地金体を接合した金属製品の製造方法において、上記地金体を複数のグループに分け、該グループ順に、上記フラックス塗布工程,ロウ剤付設工程,加熱工程を行ない、上記各ロウ剤付設工程において、上記グループの処理順に流動点が低くなるロウ剤を用いた構成としている。
順次流動点が低くなるロウ剤を用いるので、先に用いたロウ剤が流動して先に接合した金属粘土焼成体と地金体とが分離してしまう事態が防止される。
この際、上記金属粘土が銀粘土であって、上記地金体が貴金属若しくは貴金属合金である場合、ロウ剤として銀及び銅を含有した銀ロウを用いたことが有効である。これにより確実に接合を行なうことができる。
そしてまた、必要に応じ、上記ロウ剤付設工程の後に、ガスバーナで該ロウ剤を半溶融し、冷却後、再びフラックスを塗布し、その後、上記加熱工程を行なう構成としている。先の加熱によりロウ剤の定着が良くなり、再度の加熱によりロウ剤が溶融して金属粘土焼成体及び地金体間に満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
また、必要に応じ、上記加熱工程で接合された金属粘土焼成体及び地金体を冷却する冷却工程と、該接合された金属粘土焼成体及び地金体の表面を整える後処理工程とを備えた構成としている。仕上がりを良くし、品質を向上させることができる。
本発明の金属製品及び金属製品の製造方法によれば、予め金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と、金属の地金体とをロウ付け接合したので、金属粘土焼成体を地金体に直接接合させることができ、従来金属粘土焼成体の分野にはなかった新しい技術を提供できた。
そして、本発明の金属製品の製造方法によれば、金属粘土焼成体と地金体との接合部同士を密着し易くして、この密着した金属粘土焼成体及び地金体間にロウ剤を毛細管現象により良好に浸透させて、これらを強固に接合することができ、金属粘土焼成体と地金体とをロウ付け結合する際、確実に結合できるようにすることができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る金属製品及び金属製品の製造方法について詳細に説明する。
図1には、本発明の第一の実施の形態に係る金属製品Sを示す。この金属製品Sは、ヘッド2とリング3とからなる指環1であり、金属粘土である銀粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体Bをヘッド2とし、地金体Mとしての銀合金をリング3とし、このヘッド2とリング3とをロウ剤Rによりロウ付け接合したものである。
ロウ付けするロウ剤Rとしては、銀ロウが用いられる。銀ロウは、銀及び銅をベースに、ロウの伸びを良くするために亜鉛,カドミュウム,錫などを添加した合金である。純銀10に対する銅の重量比(2,3,5,7,9)により、2分ロウ,3分ロウ,5分ロウ,7分ロウ,9分ロウと分類される。図2に、各種のロウ剤Rの融点と流動点(ロウが流れ出す温度)を示す。
第一の実施の形態においては、ヘッド2とリング3を接合するロウ剤Rとして、5分ロウを用いた。
次に、この金属製品Sの製造方法を、図3に示す工程図を用いて説明する。
(A)ヘッド2の作成
銀粘土(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー650粘土タイプ」)を用い、10gを手で球状に丸め、その表面にピンセットの先端で毛羽立った毛糸のような凹凸を形成する。それから、ドライヤーで乾燥し、リング3との接合部4をヤスリで削って平面にする。その後、電気炉で、800℃で5分間保持し、焼成する。
(B)リング3の作成
銀合金(例えば、株式会社コモキン社製「SV950(銀95重量%,銅5重量%)」の平角線(幅4mm,厚さ1.2mm))を用い、所要の長さに切断して輪状に折曲し、端部同士を2分ロウを用いて溶接し、ヤスリで表面仕上げする。
(C)ヘッド2とリング3の接合
(1)表面処理工程
図3及び図4に示すように、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の接合部4,5のうち少なくとも金属粘土焼成体Bの接合部4の表面をヤスリで研磨する。実施の形態では、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の両方の接合部4,5をヤスリで研磨する。望ましくは、接合部4,5を磨きヘラ等で鏡面にしておく。表面を鏡面状にしておくと、加熱工程でロウ剤Rが金属粘土焼成体Bへ染み込むことが抑えられ、異素材同士のロウ付けが可能となる。
詳しくは、ヘッド2とリング3のロウ付け部分である接合部4,5を夫々平らにヤスリがけして、ぴったりとフィットさせる。金属同士の結合部分が大きいほど、しっかりとしたロウ付けができるようになる。具体的には、平らにする面を決め、リング3の上にヘッド2をのせ、幅を油性ペンでリング3にマークする。ヘッド2の幅よりも大きい面積の接合部5を作ると、完成後の外観が美しくないので注意する。ヘッド2のヤスリ面と同じ幅のヤスリ面をリング3にも作る。平・中目ヤスリで平滑にする。
(2)フラックス塗布工程
図3及び図5に示すように、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の少なくともいずれか一方の接合部4,5の表面にフラックスFを塗布する。実施の形態では、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の両方の接合部4,5の表面にフラックスFを塗布する。フラックスFは例えばホウ砂からなり、ロウ付けの際に地金体Mに酸化膜が形成されるのを防止している。
詳しくは、X型ピンセットなどでリング3を固定し、接合部4,5にフラックスFを塗る。
(3)ロウ剤付設工程
図3及び図6に示すように、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の少なくともいずれか一方の接合部4,5の表面にロウ剤Rを付設する。実施の形態では、地金体M(リング3)の接合部5の表面にロウ剤Rを付設する。この場合、ロウ剤Rは、接合部5の表面の複数箇所に付設し、かつ、接合部5の表面の際6に付設する。実施の形態において、ヘッド2とリング3とを接合するロウ剤Rとして、銀ロウの5分ロウを用いた。
詳しくは、X型ピンセットなどでリング3を固定し、5分ロウを接合部5の上下、左右の4箇所に置く。このとき、接合部5の「際」にロウ剤Rを置くようにする。
(4)加熱工程
図3及び図7に示すように、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の接合部4,5同士を着接し、ガスバーナ7でこの接合部4,5を加熱してロウ剤Rを溶融させる。
詳しくは、フラックスFを塗ったヘッド2の接合部4を、リング3の接合部5と合わせる。ヘッド2は、保持具(図示せず)を使用して保持し、精度高く重ね合せる。角度を変えて異なり具合を点検し、傾かないように注意する。
この状態で、ガスバーナ7に着火し、炎の勢いでロウ剤Rが動かないように注意しながら、最初はやさしい炎をリング3全体に当ててフラックスFの水分を蒸発させ、安定させる。この場合、加熱初期に、ガスバーナ7の炎が当たる割合を接合部4,5を境にして体積の大きい方を多くする。ガスバーナ7の炎が熱放出の大きい体積の大きい方に当たることから、熱の供給が体積の大小に応じて行なわれ、そのため、接合部4,5での熱が均等化し、ロウ剤Rの溶融がムラなく行なわれ、両者を確実に接合することができる。
その後、ガスバーナ7の火力を上げる。炎をリング3全体に当ててから、横方向から接合部4,5に集中して炎を当てる。ロウがきらっと光り、接合部4,5に染み込んだらロウ付けが完了する。
この場合、表面処理工程で、接合部4,5の表面を研磨しているので、接合面の表面粗さが小さくなり、そのため、接合面同士が密着し易くなり、この密着した金属粘土焼成体B及び地金体M間にロウ剤Rが毛細管現象により浸透するのでこれらを強固に接合することができる。
また、ロウ剤Rを接合部4,5の表面の複数箇所に付設しているので、複数箇所で、ロウ剤Rが溶融して金属粘土焼成体B及び地金体M間に毛細管現象により浸透していくので、ロウ剤Rが満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
更に、ロウ剤Rを接合部5の表面の際6に付設したので、ロウ剤Rが接合部5の際6から毛細管現象により内部に浸透していくことから、ロウ剤Rが確実に満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
(5)冷却工程
図3に示すように、加熱工程で接合された金属粘土焼成体B及び地金体Mを冷却する。詳しくは、金属製品Sをピンセットでつまんで水槽に入れ、水冷する。その後、布で水分を拭き取る。
(6)後処理工程
図3に示すように、接合された金属粘土焼成体B及び地金体Mの表面を整える。この工程では、金属製品Sを希硫酸に数分間浸けて酸化膜とフラックスFを洗った後、数分間かけて十分に流水に当てて水洗いする。
詳しくは、蓋を閉めることができるガラス製の容器に、顆粒状の硫酸を大さじ4杯入れ、400cc,50℃以下のぬるま湯で溶いて希硫酸を作成する。この希硫酸に金属製品Sを入れ、数分間浸けて酸洗いし、酸化膜とフラックスFを洗う。
それから、ステンレスピンセットで金属製品Sを取り出し、すぐに流水を当てて、揺らしながら十分に水洗いする。タイマーをセットし5分間を目安に水に浸ける。しっかりとロウ付けができているか確認する。
最後に、ヘッド2及びリング3を個々に研磨を繰り返しながら仕上げていく。形状の違いに合せた研磨方法で丁寧に磨き込む。最後に洗剤でよく洗う。小型グラインダ(図示せず)による研磨を行なっても良く、また、手で磨いて仕上げてもよい。スポンジ研磨材を320〜600番,800〜1000番の順にかけ、最後に研磨剤を布に付けて磨く。
ヘッド2は小型グラインダで研磨するのが望ましい。例えば、砥石の粗い順に付け替えて磨き、磨きヘラをかけ、糸バフに付け替え、これに研磨剤を付けて磨いて表面の光沢を鈍く仕上げる。あるいは、ステンレスブラシを付けて研磨し、磨きヘラをかけ、研磨剤で磨く順で行ない、表面の光沢を強くする仕上りにすることもでき、適宜に行なう。
リング3においても、砥石の粗い順に付け替えて磨き、フェルトに付け替えて磨き、更に研磨剤を付けた糸バフに付け替えて仕上げる。最後に、洗剤を付けた歯ブラシでリング3全体を洗う。
図8及び図9には、本発明の第二の実施の形態に係る金属製品Sを示す。この金属製品Sは、ヘッド2とリング3とからなる指環1であり、金属粘土である銀粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体Bをヘッド2とし、地金体Mとしての銀合金をリング3とし、このヘッド2とリング3をロウ剤Rによりロウ付け接合したものである。実施の形態において、ヘッド2とリング3を接合するロウ剤Rとして、5分ロウを用いた。
この金属製品Sである指環1の製造方法は、上記第一の実施の形態とは、ヘッド2の作成の仕方が異なっている。この指環1のヘッド2は以下のようにして作成される。
図9に示すように、リング3のヘッド2は、銀粘土からなる金属粘土焼成体Bをプレート状に形成し、これらのプレート8を積み重ねて形成されている。
詳しくは、先ず、銀粘土(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー650粘土タイプ」)を用い、適量を球状にし、これを指で潰してプレート8にする。球の大きさ、潰し方を変えて5,6枚作る。
次に、クッキングペーパーを波打たせ、プレート8の曲がり具合に合ったところで乾燥させる。即ち、クッキングペーパーに載せたまま箱に入れ、ドライヤーの温風を当て、完全に乾燥させる。乾燥が十分でないと、焼成時に割れることがあるので注意する。
それから、プレート8にスポンジ研磨材をかけて表面と線を滑らかにする。力を入れすぎて割らないようにする。次に、プレート8の大小や組合わせ順,向きなどを確認し、ペーストタイプの銀粘土を塗って、積み重ねていく。箱に入れ、ドライヤーの温風を10分以上当てて完全に乾燥させる。
十分に乾燥したら、プレート8とプレート8の全ての透き間に小さくちぎったセラミックファイバー製のブランケット(図示せず)を軽く詰め、ブランケットで軽く包み込む。そして、焼成を電気炉で行なう。設定温度を800℃とし、5分間保持する。
このようにして作成されたヘッド2をリング3にロウ付けにより接合する。ロウ付け方法は上記第一の実施の形態と同様である。この第二の実施の形態においても、上記と同様の作用,効果を奏する。
次に、本発明の第三の実施の形態に係る金属製品Sを示す。この金属製品Sは、図10に示すように、本体に複数(実施の形態では6個)の装飾ボールを接合したペンダントトップ10であり、金属粘土である銀粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体Bを本体11とし、地金体Mとしての金合金(K18)を装飾ボール12とし、この装飾ボール12を本体11にロウ剤Rによりロウ付け接合したものである。
次に、このペンダントトップ10の製造方法について、図11に示す工程図を用いて説明する。この方法の特徴は、図12に示すように、地金体M(装飾ボール12)を2個ずつの複数(実施の形態では3グループ)のグループ(G1,G2,G3)に分け、グループ順に、フラックス塗布工程,ロウ剤付設工程,加熱工程,冷却工程を行なう。以下詳細に説明する。
(A)本体11の作成
注射器様の樹脂製シリンジ(図示せず)を用意し、シリンジの吐出口にカッターで適宜に切り込みを入れる。切り込みの入れ方で吐出される銀粘土の引き目模様が変化し、ペンダントトップ10の表情が変化する。
銀粘土(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー スロードライ」)を用い、キッチン用ラップフィルムを三重〜四重にして、銀粘土を包み、手の温かさで柔らかくなるまで練り込む。練り込みが不十分だと、次に行なうシリンジへの詰め込み,押し出しができないので、状態を見ながら行なう。
クッキングシートの上で、練り込んだ銀粘土を手の平で転がし、棒状にしてシリンジに入れる。すぐにシリンジのピストンを差し込む。一度差し込んだら、やり直さないようにする。やり直すと、ピストンと銀粘土の間に空気が入り押し出せなくなる。空気(気泡)が入った場合は、シリンジの先端から竹串や楊子を差し込み、同時にピストンを押して空気を抜く。
クッキングシートの上で、ゆっくりとピストンを押して金属粘土を押し出す。まず、手で、ペンダントのチェーンを入れるバチカン枠を形作る。それから、全体を造形する。ピストンを押し出しながら全体のラインを描いていく。形を変えたい場合は、手で形状を手直しする。
その後、クッキングシートに載せたまま箱に入れ、20分以上ドライヤーの温風を当てて完全に乾燥させる。乾燥が十分でない状態で焼成すると、割れることがあるので注意する。ドライヤーの温風で形が崩れないように、浮いた部分の下にセラミックファイバー製のブランケットを挟んだり、上へ向かう輪の部分などが倒れないように楊子やストローを通して支えにする。
次に、装飾ボール12の固定位置(接合部4)を決める。装飾ボール12をあしらうバランスのいい位置を決め、油性ペンで6箇所をマークする。焼成前の作品はとても割れやすいので、力を加えないように注意する。グラインダに切削ラウンドをセットし、回転数をあらかじめ下げておく。そして、手で十分に支えながら、マークした箇所に切削ラウンドを軽く押し当てながら、深さ1mm程度の窪み(接合部4)を少しずつ掘っていく。最後に、精密ヤスリでペンダントのラインを手直しする。飛び出したラインなどを平滑にする。
このものを焼成する。焼成は、電気炉で行なう。設定温度を870℃とし、10分間保持する。電気炉に入れる際、必ず立体的な部分にブランケットをふんわりと詰めて、熱で形状が崩れることを防ぐ。ブランケットはきつく詰め込むと、その箇所だけ高温になって焼成ムラが出るので、必ずふんわりと詰める。
(B)装飾ボール12の作成
金合金のK18線(直径2mm)をおおよそ2mmずつニッパーでカットし、適当な大きさのものを選り分ける。木炭にグラインダで深さ1〜2mmの窪みをいくつか掘っておく。窪みに切断したK18線を1個ずつ入れ、空気をあまり送り込まないガスバーナの細い炎を当て続けると、溶解して回りながら球状に丸まる。このように地金を溶解させて所謂「釈迦玉」を作成する。
(C)本体11と装飾ボール12の接合
(1)表面処理工程
図11に示すように、金属粘土焼成体B(本体11)及び地金体M(装飾ボール12)の接合部4,5のうち少なくとも金属粘土焼成体Bの接合部4の表面をヤスリで研磨する。実施の形態では、金属粘土焼成体Bの接合部4をグラインダを用いてヤスリで研磨する。望ましくは、金属粘土焼成体Bの接合部4を鏡面にしておく。表面を鏡面状にしておくと、加熱工程でロウ剤Rが金属粘土焼成体Bへ染み込むことが抑えられ、異素材同士のロウ付けが可能となる。
次に、地金体M(装飾ボール12)を2個ずつの複数(実施の形態では3グループ)のグループ(G1,G2,G3)に分け、グループ順に、フラックス塗布工程,ロウ剤付設工程,加熱工程,冷却工程を行なう。以下、各工程について説明する。
(2)フラックス塗布工程
図11に示すように、グループ毎にフラックスFを塗布する。この際、金属粘土焼成体B(本体11)及び地金体M(装飾ボール12)の少なくともいずれか一方の接合部4,5の表面にフラックスFを塗布する。実施の形態では、金属粘土焼成体Bの接合部4の表面及び地金体Mの接合部5の表面にフラックスFを塗布する。フラックスFは例えばホウ砂からなり、ロウ付けの際に地金体Mに酸化膜が形成されるのを防止している。全ての窪みに筆でフラックスFを塗る。
(3)ロウ剤付設工程
図11に示すように、グループ毎にロウ剤Rを付設する。金属粘土焼成体B(本体11)及び地金体M(装飾ボール12)の少なくともいずれか一方の接合部4,5の表面にロウ剤Rを付設する。実施の形態では、金属粘土焼成体B(本体11)の接合部4の表面にロウ剤Rを付設する。この場合、ロウ剤Rは、接合部4の表面の複数箇所に付設し、かつ、接合部4の表面の際に付設する。例えば、窪み(接合部4)の際にロウ剤Rを2箇所ずつフィットするように置く。
この場合、グループの処理順に流動点が低くなるロウ剤Rを用い、2箇所ずつ3回に分けて行なう(可能ならば1回あるいは2回でロウ剤Rを付設してよい)。例えば、グループG1では5分ロウを用い、グループG2では7分ロウを用い、グループG3では9分ロウを用いる。あるいは、グループG1では5分ロウを用い、グループG2でも5分ロウを用い、グループG3では7分ロウを用いる等である。
また、この場合、ガスバーナ7でロウ剤Rを半溶融し、冷却後、再びフラックスFを塗布してよい。即ち、窪みにフラックスFを塗り、ロウ剤Rを置き、炎を当ててあらかじめ溶かしておく半溶かしを行なう。水冷後、水分を拭き取って、窪みにフラックスFを塗る。このロウ剤Rを半溶融させて再び硬化させておくと、ロウ剤Rの定着が良くなる。
(4)加熱工程
図11に示すように、グループ毎にこの工程を行なう。窪み(接合部4)に装飾ボール12をフィットするように置く。そして、ガスバーナ7でこの接合部4,5を加熱してロウ剤Rを溶融させる。炎の勢いでロウ剤Rが動かないように注意しながら、最初はやさしい炎を全体に当ててフラックスFの水分を蒸発させ、安定させる。この場合、加熱初期に、ガスバーナ7の炎が当たる割合を接合部4,5を境にして体積の大きい方を多くする。ガスバーナ7の炎が熱放出の大きい体積の大きい方に当たることから、熱の供給が体積の大小に応じて行なわれ、そのため、接合部4,5での熱が均等化し、ロウ剤Rの溶融がムラなく行なわれ、両者を確実に接合することができる。
その後、ガスバーナ7の火力を上げる。炎を全体に当ててから、横方向から接合部4,5に集中して炎を当てる。ロウがきらっと光り、接合部4,5に染み込んだらロウ付けが完了する。
この場合、表面処理工程で、接合部4,5の表面を研磨しているので、接合面の表面粗さが小さくなり、そのため、接合面同士が密着し易くなり、この密着した金属粘土焼成体B及び地金体M間にロウ剤Rが毛細管現象により浸透するのでこれらを強固に接合することができる。
また、ロウ剤Rを接合部4,5の表面の複数箇所に付設しているので、複数箇所で、ロウ剤Rが溶融して金属粘土焼成体B及び地金体M間に毛細管現象により浸透していくので、ロウ剤Rが満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
更に、ロウ剤Rを接合部4の表面の際に付設したので、ロウ剤Rが接合部4の際から毛細管現象により内部に浸透していくことから、ロウ剤Rが確実に満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
更にまた、ロウ剤付設工程の後に、ガスバーナ7でロウ剤Rを半溶融し、冷却後、再びフラックスFを塗布し、その後、加熱を行なうので、先の加熱によりロウ剤Rの定着が良くなり、再度の加熱によりロウ剤Rが溶融して金属粘土焼成体B及び地金体M間に満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
また、地金体Mを複数のグループに分け、グループ順に、フラックス塗布工程,ロウ剤付設工程,加熱工程,冷却工程を行ない、各ロウ剤付設工程において、グループの処理順に流動点が低くなるロウ剤Rを用いたので、先に用いたロウ剤Rが流動して先に接合した金属粘土焼成体Bと地金体Mとが分離してしまう事態が防止され、この点でも、両者を確実に強固に接合することができる。
(5)冷却工程
図11に示すように、グループ毎にこの工程を行なう。加熱工程で接合された金属粘土焼成体B及び地金体Mを冷却する。詳しくは、金属製品Sをピンセットでつまんで水槽に入れ、水冷する。その後、布で水分を拭き取る。
(6)後処理工程
図11に示すように、接合された金属粘土焼成体B及び地金体Mの表面を整える。この工程では、金属製品Sを希硫酸に数分間浸けて酸化膜とフラックスFを洗った後、数分間かけて十分に流水に当てて水洗いする。また、最後に、研磨を行なう。
次に、本願発明者が発明をした参考例を挙げる。
この金属製品は、図13に示すように、1対のリング3に絹糸状で極細に搾り出した銀粘土をヘッド2として盛り付け、焼成によりリング3間に架設接合した指環1である。また表面には、石20が付設される。極細銀地金を一点一点ロウ付けしながら造形しても、絹糸のレースのような質感を表現することはできない。また、ワックスで造形しても、このような繊細さは得られないと思われる。この参考例は、シリンジを使用し、微細で柔らかく、優雅なラインを思うがままに造形できるものである。
(1)丸線リングの製作
地金体Mとして、銀合金(SV950)丸線2mmφを使用する。長さは、作りたいリング3のサイズよりも1〜2号大きいサイズで計算する。ロウ付け後、2つのリング3を開く角度によってもサイズは変わる。図14(a)に示すように、予め作成した2つの丸線リング3の夫々の接合部3aをロウ付けする。ロウは2分ロウを使用する。2つのリング3をV字型にロウ付けするため、それぞれの接点の位置,開き角度を決める。開く角度によって、指環1の幅が変わる。接合部3aを精密ヤスリ・平ヤスリで斜めにヤスリがけし、2つを密着させる。ブランケットで2つのリング3の開き具合を調節する。接合部3aを密着させ、フラックスFを含ませた筆でロウ剤Rを運び、リング3の接合部3aにフィットさせる。ガスバーナの炎を当ててフラックスFを溶かし、安定させる。炎をリング3全体に当て、温度が上がってきたらガスバーナの炎を強めて、接合部3aに集中して当てる。ロウがきらっと光り、染み込んだらロウ付けが完了する。ピンセットでつまんで水冷し、水分を拭き取る。
この際、溶けにくい2分ロウを使う理由を説明する。本参考例では、2つの地金体Mのリング3のロウ付け後に金属粘土でヘッド2部分を造形してリング3枠に重ね合わせ、電気炉で焼成して結合させる。その際の焼成温度の設定と焼成時間のあらましは、650℃で30分間、700℃で15分間、750℃で10分間、780℃で5分間が適当といえる。いずれの設定もリング3の接合部3aを2分ロウでロウ付けした820℃に対して低い温度で、安全な焼成温度・時間といえる。したがって、リング3のロウ付け完了部分のロウを再び溶かさないように、流動点が一番高い2分ロウを選択した。
銀粘土と、2分ロウでロウ付けした地金体Mを一緒に焼成する場合は、上記のどの焼成温度・時間を選択しても安心だが、750℃で10分間焼成することが望ましい。
例えば、5分ロウ(流動点は755℃)を使用し、750℃で10分間、780℃で5分間焼成すると、いずれの場合もリング3の接合部3aの5分ロウは溶けてしまう。更に流動点が低い7分ロウ,9分ロウ,早ロウのいずれのロウもこの場合のロウ付けには使用できない。
接合したリング3を、5,6分間希硫酸に浸けて、フラックスFと酸化膜を洗う。水洗いして、しっかりとロウ付けができているか確認する。ロウ付けが不十分だと、次の工程でリング3を開くときに剥離するおそれがある。次に、ロウ付けが済んだリング3を手で押し広げて、好みの間隔にする。リング3を芯金棒に差し込み、木槌でやさしくたたいて少しずつ全体のゆがみを直していく。ロウ付け後の地金がなまっている状態のときに真円形にする。
そして、リング3の接合部3aのロウ目が見えなくなるように、ヤスリがけする。リング3同士の外側の境目は、研磨した後、スポンジ研磨材320〜600番で磨く。リング3内側もスポンジ研磨材で研磨する。
(2)ヘッド2の造形
図14(b)に示すように、リング3にコルク粘土21を盛る。木芯棒にクッキングシートを1周貼り込み、縦にマスキングテープを真っ直ぐに貼る。その中央部分にリング3を通す。リング3の開き具合のボリュームに合せてコルク粘土21(中子材)を取り出し、水を補いながら両端が細くなるように形づくる。V字型に開いた部分にコルク粘土21を盛り付ける。コルク粘土21の盛り付け方で、ヘッド2の大きさや表情が大きく変わるので、念を入れて作業する。コルク粘土21は焼成中に消失する。
また、リング3の際の部分は、カッターでコルク粘土21を切り取り、リング3枠が見えるようにする。この場合、地金のリング3にコルク粘土21がぎりぎりに届く程度に留める。後でシリンジから押し出す銀粘土がより広い面でリング3枠と接することができるようにスペースを設けておく。最後に、水を補いながら指で全体の形を整える。滑らかな丸みをもたせるようにする。形が定まったらそのまま1日程度乾燥させれば理想的である。
(3)シリンジでヘッド2を作成
図14(c)に示すように、上記のようなシリンジを用い、リング3枠部分の境目に両側とも銀粘土(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー650シリンジタイプ」)をぐるっと盛り付ける。まず、最初に、金属粘土とリング3枠との際を埋めておく。リング3枠に金属粘土が確実に密着するようにする。
シリンジの先端をランダムに動かしながら、コルク粘土21の上へ絹糸のレース柄を盛り付けながら描いていく。盛り付けが薄すぎる所がないように、どこも平均的に盛り付ける。シリンジは使い切らず、目盛り一つ程度残しておき、次の石枠の固定に使用する。
この場合、地金体Mのリング3枠や下地の金属粘土が見えなくなるくらいに、透き間無くシリンジ線を盛り付ける。SV950のリング3枠と純銀の銀粘土は異素材同士なので、しっかりと接着させるためには接点を広く取ることが必要である。特にリング3枠との際には入念にシリンジ線を盛り付ける。最後に、筆で整形する。目に見えて高く飛び出しているラインは、水を含ませた筆で押えて整える。リング3枠との際も筆でなじませ、スムーズになるように整えておく。
(4)石枠を埋め込む
図14(d)に示すように、予め用意した大小5個の石枠22を絹糸柄の中に埋まるように設ける。石枠22の石留めの爪23部分だけが表面に出る高さにすると、デザイン的に美しい仕上がりとなる。
(5)乾燥
木芯棒に差し込んだまま箱にリング3を入れ、ドライヤーの熱風を当てて、完全に乾燥させる。この場合、20分以上乾燥させる。乾燥が十分でないまま焼成すると、亀裂が入ることがあるので注意する。
(6)焼成
図14(d)に示すものを、電気炉に入れ、焼成する。焼成方法は上記と同様である。これにより、コルク粘土21は消失し、図14(e)に示すようになる。焼成後は、全体を研磨して銀肌を出す。
(7)石留め
次に、図14(e)に示すように、石20を石枠22に入れ、爪23を倒して固定する。SV980の石枠22の爪23部分は、とても柔らかく、折れやすいので、慎重に作業する。ここで失敗すると、作り直しになってしまう。ルーペで見て、爪23上部が宝石のガードル部分より上にフィットしているか、真上から見て、爪23が石20側に寄っているだけでなく、石20の内側をしっかりと押えた状態か確認する。このようにして、図13に示すような指環1が完成する。
次に、本願発明者が発明をした別の参考例を挙げる。
この金属製品は、図15及び図16に示すように、ロストワックス法で鋳造した地金体Mとしての銀のリング3に銀粘土24(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー油性ペースト」)を竹串などで盛り付け(図16(a))、これを電気炉で焼成し(図16(b))、中央に石25を取り付けた指環1である。リング3の表面に形成されたヘッド2が、あたかも彫金技法による「エッチング」を施したように見え、極めて外観品質の良いものとなる。
尚、上記実施の形態において、金属製品Sは、指環1やペンダントトップ10に限定されるものではなく、どのような金属製品Sであっても良いことは勿論である。また、金属の種類も上記の銀や金に限定されない。
以上説明したように、本発明によれば、例えば銀粘土においてその焼成体に地金体(金属)をロウ付けできるので、銀粘土の装飾品分野において、銀粘土ならではの繊細で優雅なライン,質感の造形表現を生かしながら、強度的に弱い点を克服し、極めて実用的な装飾品,宝飾品を提供できるようになった。即ち、銀粘土細工において、強度を克服し、実用性を向上させ、より美しい完成度にし、品質の高い装飾品,宝飾品として認知できるようになった。そのため、銀粘土創作者にとっては、今までの技術的限界を克服でき、また、彫金・ジェエリー創作者にとっては、魅力ある分野となり、今後、画期的な技術として発展することが期待できる。
本発明の第一の実施の形態に係る金属製品を示す斜視図である。 本発明において用いられるロウ剤(銀ロウ)の性状を示す表図である。 本発明の第一の実施の形態に係る金属製品の製造方法を示す工程図である。 本発明の第一の実施の形態に係る金属製品の製造方法に係り表面処理工程を示す図である。 本発明の第一の実施の形態に係る金属製品の製造方法に係りフラックス塗布工程を示す図である。 本発明の第一の実施の形態に係る金属製品の製造方法に係りロウ剤付設工程を示す図である。 本発明の第一の実施の形態に係る金属製品の製造方法に係り加熱工程を示す図である。 本発明の第二の実施の形態に係る金属製品を示す斜視図である。 本発明の第二の実施の形態に係る金属製品の製造方法に係りヘッドの製造を示す図である。 本発明の第三の実施の形態に係る金属製品を示す斜視図である。 本発明の第三の実施の形態に係る金属製品の製造方法を示す工程図である。 本発明の第三の実施の形態に係る金属製品の製造方法に係り本体に対する装飾ボールの取り付け状態を示す分解斜視図である。 金属製品の参考例を示す斜視図である。 金属製品の参考例の製造方法を示す工程図である。 金属製品の別の参考例を示す斜視図である。 金属製品の別の参考例の製造方法を示す工程図である。 従来の金属製品の一例を示す断面図である。
符号の説明
S 金属製品
B 金属粘土焼成体
M 地金体
R ロウ剤
F フラックス
1 指環
2 ヘッド
3 リング
4 接合部
5 接合部
6 際
7 ガスバーナ
8 プレート
10 ペンダントトップ
11 本体
12 装飾ボール
G1,G2,G3 グループ

Claims (11)

  1. 金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と、金属の地金体とをロウ剤でロウ付け接合した金属製品であって、上記金属粘土を銀粘土で構成し、上記地金体を貴金属若しくは貴金属合金で構成し、上記ロウ剤として銀及び銅を含有した銀ロウを用いたことを特徴とする金属製品。
  2. 上記銀ロウとして、5分ロウを用いたことを特徴とする請求項1記載の金属製品。
  3. 金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と、金属の地金体とをロウ剤でロウ付け接合した金属製品であって、上記金属粘土を銀粘土で構成し、上記地金体を貴金属若しくは貴金属合金で構成し、上記ロウ剤として銀及び銅を含有した銀ロウを用いた金属製品を製造する金属製品の製造方法において、
    上記金属粘土焼成体及び地金体の接合部のうち少なくとも上記金属粘土焼成体の接合部の表面を研磨する表面処理工程と、
    該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、
    該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にロウ剤を付設するロウ剤付設工程と、
    該金属粘土焼成体及び地金体の接合部同士を着接し、ガスバーナで該接合部分を加熱してロウ剤を溶融させる加熱工程とを備えたことを特徴とする金属製品の製造方法。
  4. 上記銀ロウとして、5分ロウを用いたことを特徴とする請求項3記載の金属製品の製造方法。
  5. 金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と、金属の地金体とをロウ付け接合した金属製品であって、上記金属粘土焼成体に、複数個の地金体を接合した金属製品を製造する金属製品の製造方法において、
    上記金属粘土焼成体及び地金体の接合部のうち少なくとも上記金属粘土焼成体の接合部の表面を研磨する表面処理工程と、
    該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、
    該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にロウ剤を付設するロウ剤付設工程と、
    該金属粘土焼成体及び地金体の接合部同士を着接し、ガスバーナで該接合部分を加熱してロウ剤を溶融させる加熱工程とを備えるとともに、
    上記地金体を複数のグループに分け、該グループ順に、上記フラックス塗布工程,ロウ剤付設工程,加熱工程を行ない、
    上記各ロウ剤付設工程において、上記グループの処理順に流動点が低くなるロウ剤を用いたことを特徴とする金属製品の製造方法。
  6. 上記金属粘土が銀粘土であって、上記地金体が貴金属若しくは貴金属合金である場合、ロウ剤として銀及び銅を含有した銀ロウを用いたことを特徴とする請求項5記載の金属製品の製造方法。
  7. 上記ロウ剤付設工程において、ロウ剤を接合部の表面の複数箇所に付設したことを特徴とする請求項3乃至6何れかに記載の金属製品の製造方法。
  8. 上記ロウ剤付設工程において、ロウ剤を接合部の表面の際に付設したことを特徴とする請求項7記載の金属製品の製造方法。
  9. 上記加熱工程において、加熱初期に、ガスバーナの炎が当たる割合を接合部を境にして体積の大きい方を多くしたことを特徴とする請求項3乃至8何れかに記載の金属製品の製造方法。
  10. 上記ロウ剤付設工程の後に、ガスバーナで該ロウ剤を半溶融し、冷却後、再びフラックスを塗布し、その後、上記加熱工程を行なうことを特徴とする請求項3乃至9何れかに記載の金属製品の製造方法。
  11. 上記加熱工程で接合された金属粘土焼成体及び地金体を冷却する冷却工程と、
    該接合された金属粘土焼成体及び地金体の表面を整える後処理工程とを備えたことを特徴とする請求項3乃至10何れかに記載の金属製品の製造方法。
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