JP5629263B2 - 装飾金属焼結物品の製造方法および装飾金属焼結物品 - Google Patents

装飾金属焼結物品の製造方法および装飾金属焼結物品 Download PDF

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Description

本発明は、宝飾品、装飾品、装身具などに用いる銅と銅合金とから選ばれる1種以上の銅粉末及び水を少なくとも含有する銅ペーストと、銀と銀合金とから選ばれる1種以上の銀粉末及び水を少なくとも含有する銀ペーストとを用いた装飾金属焼結物品の製造方法および装飾金属焼結物品に関する。
近年、カップに注いだコーヒーとミルクだけで絵を描くカフェアート(Coffee ART)が持てはやされている。このようなカフェアート技法によって形成される一時的な模様、所謂カフェアート調模様は大変美しいものである。
従来、異なる色合いや見栄えを有する異種貴金属からなる装飾金属焼結物品を製作するための技法としては、例えば象嵌や木目金といった伝統的な彫金技法は知られているが、異種貴金属が極めて複雑に絡み合う模様、例えばカフェアート調模様を形成した装飾金属焼結物品を得る技法は確立されていない。
貴金属粉末を含有する可塑性組成物を用いて、異なる色の金属の焼結体を組み合わせた装飾金属焼結物品を作る方法としては、例えば、特許文献1〜3に開示される方法が提案されている。
なお、特許文献1〜3では、銅を貴金属類に含めて記載しているが、銅は、金、銀、白金属元素である一般的な貴金属類に比較して著しく耐腐食性(耐酸化性)が劣るという特性を有している。すなわち、銅および銅合金は、酸化雰囲気中(大気中)で加熱すると酸化する特性を有している。
特許文献1には、第1の“貴金属粉末を含有する可塑性組成物”を造形し、複数の貫通穴を形成し、該貫通穴に別の色を呈する“貴金属粉末を含有する可塑性組成物”を詰め込み、各可塑性組成物がそれぞれ露出するように切断して焼結する方法と、それぞれ異なる色を呈する“貴金属粉末を含有した可塑性組成物”をプレート状として複数重ね合わせ、巻回してロール状とし、これを切断して焼結する方法とが提案されている。
特許文献2に記載の手法は、第1の貴金属粉末を含有する可塑性組成物をプレート状とし、所望の領域のプレート部分を除去し、除去したプレート部分に別の色を呈する第2の貴金属粉末を含有する可塑性組成物を詰め込んで焼結する方法である。
特許文献3に記載の手法は、焼結によって各々異なった色を呈する複数の貴金属可塑性組成物をブロック又はプレート状に予備成形し、これらを表裏模様が異なるように組み合わせて焼結する方法である。
しかし、これらの特許文献1〜3に記載の技術は、いずれも前記可塑性組成物が塑性変形できるいわば粘土状態で大雑把な組み合わせで接合する方法であって、接合面積(接合部分)が小さいと(少ないと)焼成後に分離してしまうため、接合面積(接合部分)が広い(多い)デザインの装飾金属焼結物品にしか適用できず、デザインに大きな制約があるもので、前記特許文献1〜3の何れの方法も、異なる色合いを有する異種金属が極めて複雑に絡み合うカフェアート調模様を形成する技法とは到底成り得ないものであった。
また、これらの特許文献1〜3には、その焼成条件について、十分に明確な記載がなされていない。特に特許文献3には、焼成雰囲気についての一切の記載が認められない。
前記特許文献1および前記特許文献2には、純金粉末を含有する可塑性組成物は空気中、すなわち酸化雰囲気で焼結を行い、金75.0重量%、銀12.5重量%、銅12.5重量%の割合で混合した、いわゆるK18の合金金属を含有する可塑性組成物の場合は、アルゴンガス雰囲気中で焼結を行うことが記載されている。すなわち、銅をわずかに12.5重量%しか含まないK18の如き合金金属を含有する可塑性組成物でさえ、不活性雰囲気中で焼結を行わなければならないことが開示されている。
しかし、これらの特許文献1および特許文献2は何れも、異なる色を呈する金属粉末の可塑性組成物を物理的に組み合わせた状態で焼成する発明を提案しているにもかかわらず、例えば純金を含有する酸化雰囲気で焼成を行う可塑性組成物Aと、K18のごとき銅を含む不活性雰囲気中で焼成を行う可塑性組成物Bとを組み合わせた状態では、いかなる条件で焼成すべきかの開示は無い。
また、前記特許文献1〜3の出願人が発行している参考資料によると、錫(スズ)と銅との合金である青銅(ブロンズ)の粉末を含む可塑性組成物の造形体を焼成するには、アルミ箔の上に炭(すみ)などの還元剤を敷いた状態の上に青銅造形体を設置し、ステンレス容器をかぶせた状態で860℃まで加熱して1〜3時間程度焼成する方法が記載されている。
特許第2932648号公報 特許第2924139号公報 特許第3389613号公報
上記のように、貴金属粉末を含有する可塑性組成物を用いる特許文献1〜3に記載の技術においては、異種金属からなる装飾金属焼結物品を製作できるものの、大雑把な組み合わせで接合する方法であって、微細で流れるような模様を形成するのは極めて難しく、デザインに大きな制約があり、上記特許文献1〜3記載の何れの方法も、異なる色合いを有する異種金属が極めて複雑に絡み合うカフェアート調模様を形成する技法とは到底成り得ないものであった。
従って、上記特許文献1〜3に記載の技術によっては、従来から所望されていた複雑に絡み合い微細で流れるようなカフェアート調模様を施した装飾金属焼結物品を製作することは困難であった。特に、このような模様を有する装飾金属焼結物品は、例えばカルチャースクールや学校などにおいて、手軽に製作できるものではなかった。
さらに、前述のように、銅および銅合金から選ばれる1種以上の銅粉末を含有する銅含有可塑性組成物の焼成条件は、不活性雰囲気中、すなわち還元雰囲気中で基本的に行うことは知られているものの、これら銅含有可塑性組成物と焼成中大気で酸化されない耐酸化性の性質を有する銀などの貴金属粉末を含有する貴金属含有可塑性組成物と組み合わせた複合造形体を、その造形をそこなわずに焼成して装飾金属焼結物品を得るためには、如何なる条件や手順で焼成すべきか具体的には知られていない。
そこで、本発明者らは、上記に鑑みて、赤銅(しゃくどう)色の銅、青銅(ブロンズ)、白銅(はくどう)などの多くの色合いのものが知られている銅と銅合金とから選ばれる1種以上の銅粉末、有機バインダ及び水を少なくとも含有する銅ペーストと、銀と銀合金とから選ばれる1種以上の銀粉末、有機バインダ及び水を少なくとも含有する銀ペーストとを組み合わせて製作された宝飾品、装飾品、装身具などに用いる装飾金属焼結物品の製造方法および装飾金属焼結物品を提供することを検討した結果、本発明に至ったもので、その本発明の目的は、銅ペーストを焼成してなる銅焼成部分と、銀ペーストを焼成してなる銀焼成部分とからなる模様を備えた装飾金属焼結物品の製造方法および装飾金属焼結物品を提供することにある。
すなわち、本発明の請求項1に係る装飾金属焼結物品の製造方法は、
銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末と有機バインダと水とを含有し、該水の含有量が10〜35重量%である銅ペーストと、
銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末と有機バインダと水とを含有し、該水の含有量が10〜35重量%である銀ペーストと、を用いて、前記銅ペーストの上面と前記銀ペーストの上面とを交互に並べて配置し、
前記銅ペーストの上面と前記銀ペーストの上面の並びを変形させることにより模様を描いて模様ペーストを形成し、その後該模様ペーストを乾燥させることにより模様部材を製作する[模様部材製作工程]と、
製作された前記模様部材を加工して、装飾物を形成する[装飾物形成工程]と、
前記装飾物を焼成して装飾物焼成体を得る[焼成体製作工程]と、
を含むことを特徴とするものである。
かような装飾金属焼結物品の製造方法によれば、それぞれ特定の濃度で水を含む銅ペーストと銀ペーストとを交互に配置し、少なくともその上面の並びを変形させるだけでカフェアート調模様などの模様を描くことができるので、従来の粘土状の可塑性組成物を用いた方法よりも極めて容易に美麗な模様を描くことができる。従って、高度な技量を要さないため、カルチャースクールなどで容易に美麗な模様が描かれた装飾金属焼結物品を製作できることは勿論のこと、例えば学校などの教育現場での教材としても気軽に利用できる。
上記した“銅ペーストと銀ペーストとを交互に配置”とは最も広義に解釈されるべきであって、如何なる限定解釈もされないものとする。即ち、例えば銀ペーストの平面上の少なくとも一部に銅ペーストを積層したものや、銅ペーストの平面上の少なくとも一部に銀ペーストを積層した場合も含み(積層するペーストの形状は問わず、例えば直線状、矩形等の多角形状、環状、円形状等の形状とすることができる。)。また、銅ペーストと銀ペーストとを同一平面上に交互に並べて配置したものであってもよい。
模様が施された装飾物の焼成は、還元雰囲気でも酸化雰囲気でもよい。還元雰囲気による焼成は、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスを焼成中に流し続けなければならないことや炭素などの還元剤を装飾物と一緒に密封容器に入れて外部から加熱するなど、煩雑な手間がかかるので、酸化雰囲気(大気焼成)で行うのが好ましい。装飾物の焼成を酸化雰囲気で行うには、前記銅ペースト中の銅および銅合金から選択される1種以上の銅粉末を平均粒径10μm以下の銅粉末に限定することが特に好ましい。また、大気焼成でペーストを乾燥させたものの中の有機バインダの焼散・除去を行った後に、さらに還元焼成で銀粉末と銅粉末の焼結を強固に行うことも好ましい。このようにすることで、焼成後に表面の酸化膜が極めて少なく酸洗いが不要となる。
なお、上記した本発明の“銀合金”とは、銀の含有量が80重量%以上の合金を意味し、例えば日本の品位検定制度で認められている銀の品位950、品位925、品位900および品位800のものが挙げられる。このような“銀合金”としては、例えば、耐硫化性能を向上させた銀−Pd合金などが挙げられる。なお、酸化銀を含まない銀合金が好ましい。酸化銀を含まないことにより、ポーラスなものになることを回避することができる。
一方、上記した本発明の“銅合金”とは、銅の含有量が80重量%以上の合金を意味し、例えば青銅(ブロンズ)、砲金、白銅等が挙げられる。なお、酸化銅を含まない銅合金が好ましい。酸化銅を含まないことにより、酸化銀と同様に、ポーラスなものになることを回避することができる。
また、本発明においては、大気焼成は、大気中で焼成することを意味し、酸化雰囲気での焼成と同義である。また、還元雰囲気は、炭素等の還元剤(加熱時に銅造形体より酸化しやすい物)を乾燥後の装飾物(即ち乾燥装飾物)と一緒に密封容器に入れて外部から加熱する内部状態を含み、アルゴンガス雰囲気などの不活性雰囲気と同義に扱い、これらを含むものとする。
本発明の請求項2に係る装飾金属焼結物品の製造方法は、全体に対する水の含有量が10〜35重量%となるように、銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末及び有機バインダを含有する組成物に対して水を混合し、前記銅ペーストを製作する[銅ペースト製作工程]と、
全体に対する水の含有量が10〜35重量%となるように、銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末及び有機バインダを含有する組成物に対して水を混合し、前記銀ペーストを製作する[銀ペースト製作工程]と、を含むことを特徴とするものである。
かような請求項2の装飾金属焼結物品の製造方法によれば、銅ペースト及び銀ペーストのそれぞれにおいて含ませる水の量を特定の範囲内で設定可能となる。従って、銅ペースト及び銀ペーストのそれぞれに含まれる水の量を所望の量に変化させることにより描ける模様が異なるため、様々な模様を気軽かつ容易に描くことが可能となる。
本発明の請求項3に係る装飾金属焼結物品の製造方法は、前記[模様部材製作工程]において行われる乾燥は、少なくとも初期においては、前記模様ペースト近傍に室温の風を送って乾燥を促進させて行うことを特徴とする。
かような請求項3の装飾金属焼結物品の製造方法によれば、銅の酸化を抑制し、大きな変形を回避することができる。
初期から自然乾燥を行うと、銅の酸化が進み好ましくない。また、初期から加熱乾燥を行うと大きな変形が生じやすく好ましくない。ある程度乾燥が進めば、自然乾燥や加熱乾燥を行っても差し支えない。
ある程度乾燥が進んだ場合の加熱乾燥は、乾燥機、電気炉、ドライヤーなどで容易に行うことができる。加熱乾燥は、好ましくは乾燥温度80〜120℃で乾燥時間20〜40分である。
模様部材製作工程における乾燥は、後工程の装飾物形成工程において模様部材を曲げ加工等を行わず、乾燥状態で装飾物を形成するのに支障がない場合には、完全に乾燥を行ってよい。その際の乾燥の完了状態は、好ましくは、80〜120℃に加熱された乾燥装飾物から水蒸気が出ていない状態をいう。その確認は、例えば80〜120℃に加熱された前記乾燥装飾物にガラス板やステンレス板を近づけて結露が生ずるかどうかで判断できる。結露が生じなければ乾燥終了とみなしてよい。
また、前述した室温の風を送って乾燥を促進させて初期乾燥が進んだ後には、自然乾燥でもできるが、1日以上行うことが特に好ましい。乾燥した確認は、ドライヤーなどで加熱し、前述の如く結露しないことを確認することによって行われる。
本発明の請求項4に係る装飾金属焼結物品の製造方法は、前記[焼成体製作工程]が、室温から大気焼成で350℃〜450℃に達したら加熱源から前記装飾物を直ちに取り出し、または温度350℃〜450℃に維持された加熱源に投入して大気焼成し5分〜30分後に加熱源から前記装飾物を取り出し、次いで還元雰囲気焼成で、室温から700℃〜800℃まで加熱、その後その温度を30分〜9時間保持することを特徴とする。
かような請求項4に係る装飾金属焼結物品の製造方法によれば、大気焼成にて乾燥装飾物を焼成することで、含まれる有機バインダの焼散・除去を行った後に、さらに還元焼成で銀粉末と銅粉末の焼結を強固に行う。このようにすることで、装飾物表面の酸化膜が極めて少なく酸洗いが不要となる。
なお、還元雰囲気焼成の具体的な方法は特に制限されないものの、例えば密閉した耐熱性容器(例えばステンレス製、アルタイト製等)内で炭素とともに焼成することにより還元雰囲気焼成ができる。
本発明の請求項5に係る装飾金属焼結物品の製造方法は、上記した請求項1又は2において、銅ペーストに含まれる銅および銅合金から選択される1種以上の銅粉末は、平均粒径0.1〜4.0μmの第1銅粉末を25〜75重量%含有し、残部が平均粒径4.0μmを越えて平均粒径10μm以下の第2銅粉末からなる銅混合粉末であり、銀ペーストに含まれる銀および銀合金から選択される1種以上の銀粉末は、平均粒径0.1〜4.0μmの第1銀粉末を25〜75重量%含有し、残部が平均粒径4.0μmを越えて平均粒径40μm以下の第2銀粉末からなる銀混合粉末であり、前記[焼成体製作工程]の全体が、大気焼成されることを特徴とするものである。
かような請求項5の装飾金属焼結物品の製造方法によれば、大気焼成するため、従来のように還元雰囲気による焼成を行わないので、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスを焼成中に流し続けなければならない煩雑な手間や炭素などの還元剤を乾燥装飾物と一緒に密封容器に入れて外部から加熱するなどの煩雑な手間などが、回避でき、カルチャースクールなどで気軽に適用できるようになる。
また、請求項5の装飾金属焼結物品の製造方法によれば、銅ペーストに含まれる銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末を平均粒径10μm以下の銅粉末に限定すると共に、銅ペーストおよび銀ペーストに含まれる粉末を、それぞれ平均粒径が異なる特定の混合粉末とし、当該銅ペーストと当該銀ペーストとを組み合わせて模様形成・乾燥を施した乾燥装飾物を、所定の焼成温度と焼成時間で大気焼成しても、その造形を“そこなわずに”焼成できて、銅ペースト焼成部分(銅造形焼成部分)も銀ペースト焼成部分(銀造形焼成部分)も工芸や装飾用の焼結物品に必要な一定の強度を得ることができる。
これらの銅ペーストと銀ペーストとは、それぞれに平均粒径が異なる特定の混合粉末を用いたものであり、焼成後の線収縮率も同程度に低く抑えることができ、装飾物焼成体において一方の収縮が大きすぎて焼成後に剥がれたり形状を損なったりすることがない。
大気焼成によって銅ペースト焼成部分の表面が極薄く酸化しても、内部まで酸化の影響を受けることがない。そのため、簡単に銅ペースト焼成部分の表面の酸化膜が剥離でき、見栄えも工芸や装飾用の装飾金属焼結物品として十分に通用するものが得られる。なお、銀造形焼成部分については、銀ペースト中の銀合金成分によっては希に還元雰囲気で行った方が好ましい場合もあるが、一般的には大気焼成しても、特に支障なく行うことができる。
したがって、従来のように還元雰囲気による焼成を行わないので、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスを焼成中に流し続けなければならない煩雑な手間や炭素などの還元剤を乾燥装飾物と一緒に密封容器に入れて外部から加熱するなどの煩雑な手間などが、回避でき、カルチャー教室などで気軽に適用できるようになる。
また、本発明では、銅ペーストと銀ペーストとを組み合わせて形成した乾燥装飾物を同時に(一度に)大気焼成するため、焼成設備を何度も使用することがないので、極めて効率的である。
なお、本発明に係わる銅、銅合金、銀、銀合金の“平均粒径”とは、中位径、中径、メディアン径、メジアン径または50%粒径とも言い、通常D50で表示されるもので、累積曲線の50%に対応する粒径を意味する。具体的には3本のレーザー散乱光検出機構を持つレーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製)を用い、測定条件を[粒子透過性:反射]と[真球/非球形:非球形]としたときに(粒子透過性の設定を反射に、真球/非球形の選定を非球形に設定したときに)測定される粒度分布のD50の値とする。
本発明の請求項6に係る装飾金属焼結物品の製造方法は、前記[焼成体製作工程]が、焼成温度660〜770℃、焼成時間3〜40分であることを特徴とするものである。
かような請求項6の装飾金属焼結物品によれば、銅造形体単独の焼成や銀造形体単独の焼成に比べて低い温度にてかつ短い時間にて焼成を実施することが特に好ましい。
大気焼成では、電気炉を前記焼成温度に予熱しておき、その温度に保持された電気炉に前記装飾物を投入し、所定の温度を保持して前記焼成時間後に取り出して急冷すればよい。
本発明の請求項7に係る装飾金属焼結物品は、前記請求項1又は2に記載の製造方法により製造されたことを特徴とするものである。
かような請求項7の装飾金属焼結物品は、赤銅(しゃくどう)色の銅、青銅(ブロンズ)、白銅(はくどう)などの多くの色合いを備える銅ペーストの焼成品と白銀色、銀色などの色合いを備える銀ペーストの焼成品との色合いのコントラストが明確で、カフェアート調模様などの模様が表現され、宝飾品、装飾品、装身具などとして見栄えも十分で工芸や装飾用の焼成物品として十分に通用するものとなる。
本発明の装飾金属焼結物品の製造方法によれば、銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末と有機バインダと水とを含有し、該水の含有量が10〜35重量%である銅ペーストと、銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末と有機バインダと水とを含有し、該水の含有量が10〜35重量%である銀ペーストと、を交互に配置し、交互に配置された前記銅ペースト及び前記銀ペーストの少なくとも上面の並びを変形させることにより模様を描き、その後乾燥させることにより模様部材を製作する模様部材製作工程と、製作された前記模様部材を加工して、装飾物を形成する装飾物形成工程と、前記装飾物を焼成して装飾物焼成体を得る焼成体製作工程と、を含むことにより、高度で特殊な技法を習得することなく極めて容易に、カフェアート調模様等の模様が描かれた装飾金属焼結物品を得ることができる。
銅ペースト及び銀ペーストを交互に配置した様子の一例を模式的に表した図である。 銅ペースト及び銀ペーストを用いた場合に描かれる模様の一例を模式的に表した図である。 銅ペースト及び銀ペーストを用いた場合に描かれる模様の一例を模式的に表した図である。 水分含有量を変化させた銅ペースト及び銀ペーストを用いた場合に描かれる模様の一例を模式的に表した図である。 水分含有量を変化させた銅ペースト及び銀ペーストを用いた場合に描かれる模様の一例を模式的に表した図である。 水分含有量を変化させた銅ペースト及び銀ペーストを用いた場合に描かれる模様の一例を模式的に表した図である。 水分含有量を変化させた銅ペースト及び銀ペーストを用いた場合に描かれる模様の一例を模式的に表した図である。 実施例1において、型内に銀含有可塑性組成物を詰めた様子を模式的に表した図である。 実施例1において、銀含有可塑性組成物が詰められた型内に、銅ペーストを配置する様子を模式的に表した図である。 実施例1において、銀含有可塑性組成物が詰められた型内に、銅ペースト及び銀ペーストを交互に並べる様子を模式的に表した図である。 実施例1において、銀含有可塑性組成物に、銅ペースト及び銀ペーストが交互に並べられた様子を模式的に表した図である。 実施例1において、針を用いて、銅ペースト及び銀ペーストが交互に並べられた上面の並びを変形させて、模様を描く様子を模式的に表した図である。 実施例1において、交互に並べられた銅ペースト及び銀ペーストに対して、模様が描かれた様子を模式的に表した図である。 図13に示したものを乾燥させて型から取り出した模様部材を模式的に表した図である。 実施例1において、得られた模様部材を所望の形状に加工する様子を模式的に表した図である。 実施例1において、得られた模様部材を所望の形状に切断し、装飾物を形成した様子を模式的に表した図である。 実施例1において、得られた装飾物を焼成して焼成体を得、当該焼成体を加工して装飾金属焼結物品を製作する様子を模式的に表した図である。 実施例2において製作した装飾金属焼結物品を模式的に表した図である。
まず、本発明において、銅ペースト及び銀ペーストについて説明する。
銅ペーストは、銅および銅合金から選択される1種以上の銅粉末と有機バインダと水とを含有する。このような銅ペーストは、上記銅粉末と有機バインダと水とを混合し、ペースト状にすることで得られるものである。ここで、銅ペーストに含まれる水の量は10〜35重量%、好ましくは15〜30重量%である。
また、銀ペーストは、銀および銀合金から選択される1種以上の銀粉末と有機バインダと水とを含有する。このような銀ペーストは、上記銀粉末と有機バインダと水とを混合し、ペースト状にすることで得られるものである。ここで、銀ペーストに含まれる水の量は10〜35重量%、好ましくは15〜30重量%である。
好ましく使用される、銅ペーストに含まれる銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末は、平均粒径0.1〜4.0μmの第1銅粉末を25〜75重量%含有し、残部が平均粒径4.0μmを越えて平均粒径10μm以下の第2銅粉末からなる銅混合粉末である。
また、好ましく使用される、銀ペーストに含まれる銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末は、平均粒径0.1〜4.0μmの第1銀粉末を25〜75重量%含有し、残部が平均粒径4.0μmを越えて平均粒径40μm以下の第2銀粉末からなる銀混合粉末である。
前述のように銅は、赤銅(しゃくどう)色を有し、銅合金としては、錫(スズ)との銅合金である青銅(ブロンズ)、ニッケルとの銅合金である白銅(はくどう)など多くの色合いのものが知られている。
また、銀は、白銀(しろがね)色を有し、銀合金としては、例えば、前述した日本の品位検定制度で認められている銀の品位950、品位925、品位900および品位800のものやPdを1%添加した銀−Pd合金などを用いることができる。
これらの銅粉末、銅合金粉末、銀粉末、銀合金粉末としては、アトマイズ粉、還元粉など製造方法は特に指定はないが、粒子が球状に近い形状であることが好適に使用される。
前記のそれぞれ平均粒径が異なる特定の混合粉末を含有する銅ペーストと銀ペーストとを組み合わせて乾燥及び加工して得られた装飾物は、大気焼成可能であり、銅ペースト部分が乾燥及び焼成されてなる銅造形焼成部分も、銀ペースト部分が乾燥及び焼成されてなる銀造形焼成部分も、工芸や装飾用の焼結物品に必要な一定の強度を得ることができ、さらに焼成後のそれぞれの焼成体(造形焼成部分)の収縮も概ね同一であるため、焼成体において一方の収縮が大きすぎて焼成後に剥がれたり形状を損なうことがない。
また、大気焼成によって銅造形焼成部分の表面が極薄く酸化しても、内部まで酸化の影響を受けることがない。そのため、急冷や酸洗い、磨きなどにより簡単に銅造形焼成部分の表面の酸化膜が剥離でき、見栄えも十分工芸や装飾用の装飾金属焼結物品として十分に通用するものが得られる。
また、銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末についても、銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末についても、より好ましくは、平均粒径0.5〜4.0μmの第1銅粉末を25〜75重量%含有し、残部が平均粒径4.0μmを越えて平均粒径10μm以下の第2銅粉末からなる銅混合粉末、および平均粒径0.5〜4.0μmの第1銀粉末を25〜75重量%含有し、残部が平均粒径4.0μmを越えて平均粒径30μm以下の第2銀粉末からなる銀混合粉末がよい。
さらに好ましくは、平均粒径2.0〜3.0μmの第1銅粉末を30〜70重量%含有し、残部が平均粒径5〜10μmの第2銅粉末からなる銅混合粉末、および平均粒径2.0〜3.0μmの第1銀粉末を30〜70重量%含有し、残部が平均粒径5〜20μmの第2銀粉末からなる銀混合粉末がよい。
前記有機バインダとしては、特に限定するものではないが、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース(カルボキシメチルセルロース)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどのセルロース系バインダ、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸系バインダ、澱粉、片栗粉、小麦粉、ブリティシュガム、キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、プルランなどの多糖類系バインダ、ゼラチンなどの動物系バインダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのビニル系バインダ、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系バインダ、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコールなどのその他樹脂系バインダなどから一種以上のバインダを選択して使用するのが好ましい。セルロース系バインダにおいては、特に水溶性のセルロース系バインダを用いることが最も好ましい。
さらに必要により、添加物として前記有機バインダに下記の物質を加えてもよい。すなわち添加物としては、有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸、クエン酸)、フタル酸−n−ジオクチル、フタル酸−n−ジプチルなどの有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,3ブチレングリコール)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)、フェニルプロパンを骨格とする構成単位体が縮合してなる網状高分子であるリグニン、流動パラフィンおよび油脂からなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合物(例えば、オレイン酸を多く含むオリーブ油)などが挙げられる。これら添加物は、可塑性を改善する目的で添加されたり、造形時に銅ペーストや銀ペーストが手に付着しないようにする目的で添加されたりする。さらに、上記添加物であるリグニンやグリセリンは、適度な保水性を与える。
さらに添加物として、アニオン系、カチオン系、ノニオン系などの界面活性剤が挙げられる。上記界面活性剤は、銀粉末や銅粉末と有機バインダと水との混合性が良くなるという作用や保水性を向上させる作用を果たす。
前記有機バインダのうち、水溶性のセルロース系バインダは、可塑性を付与する作用を果たす。また、前記有機バインダのうち、ポリエチレンオキサイドは、低濃度で高い粘性を与え、液状での接着性を向上する作用を果たす。また、アルギン酸ナトリウムは、前記グリセリンと同様に適度な保水性を与えるが、密着向上作用にも寄与する。さらに、ポリアクリル酸エステル及びポリアクリル酸は、粘着性をより強固にする作用を果たす。
水溶性のセルロース系バインダについては、前述のように可塑性を付与する作用を果たすが、水溶性のセルロース系バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどが用いられ、水に溶解して用いる。
上述した水溶性のセルロース系バインダを有機バインダとして用いる銅ペースト及び銀ペーストにおける有機バインダの量として、より好ましい様態としては、有機バインダの合計量が、水を除いた固形分表示で0.1〜4重量%の範囲内であることが望ましい。この場合、有機バインダの量が0.1重量%より少ないと、均質な銅ペースト及び銀ペーストとすることが難しい。また、塗着、乾燥後の強度が弱くなるといった不都合がある。有機バインダの量が4重量%を越えると、収縮率が大きくなり、ひび割れが生じやすくなる。したがって、有機バインダの量は0.1〜4重量%が望ましい。
ポリエチレンオキサイドを用いる場合には、分子量10万〜数百万のポリエチレンオキサイドを0.1〜3重量%の範囲内のものを用いることが望ましい。
また、界面活性剤を用いる場合には、0.03〜3重量%の範囲内であることが望ましく、油脂を用いる場合には、0.1〜3重量%の範囲内であることが望ましい。
さらに、上記のように、本発明における銅ペースト及び銀ペーストに含まれる水の量は、10〜35重量%であり、好ましくは15〜30重量%である。それぞれのペーストに含まれる水の割合は同一であってもよいし、必要に応じて異なるものとしてもよい。
銅ペースト及び銀ペーストにそれぞれ含まれる、銅粉末及び銀粉末の量は特に制限されず、上記の水や有機バインダの含有割合に応じて適宜設定すればよい。ただし、銅粉末及び銀粉末の含有量が少なすぎると、収縮が大きくなり、焼結にも支障を生じ、多すぎると、その分、有機バインダ及び水の割合が少なくなって、造形に支障を生ずる。
また、焼結促進剤としてBi、Se、Sb、In、Sn、Zn粉末又はそれらの合金粉末を加えても良い。
さらに、密着性向上剤として炭酸鉛、炭酸リチウム、酸化亜鉛、リン酸、炭酸ナトリウム、酸化バナジウム、珪酸ナトリウム、リン酸塩などから選ばれる金属化合物粉末又はガラス粉末を加えても良い。
また、可塑性を改善する目的で、リグニンの如きフェニルプロパンを骨格とする構成単位体が縮合してなる網状高分子、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,3ブチレングリコール、流動パラフィン、アルコール類、油脂、フタル酸、フタル酸−n−ジオクチル、フタル酸−n−ジブチル、ポリビニルアルコールを加え、必要に応じて界面活性剤、表面活性剤を加えても良い。
さらに、焼成時の変形を防止する目的で酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加しても良い。これは、金属酸化物によって焼結を遅らせることで、有機バインダが燃焼した際に発生するガスなどが外部へ拡散するための通路を形成する効果がある。
次に、以上の銅ペーストと銀ペーストとを組み合わせて装飾金属焼結物品を得る、本発明の装飾金属焼結物品の製造方法における[模様部材製作工程]、[装飾物形成工程]、[焼成体製作工程]についてそれぞれ説明する。
[模様部材形成工程]
この工程では、はじめに、上記の銅ペースト及び銀ペーストを交互に配置する。
ここで、本発明において上記のように、「銀ペースト及び銅ペーストを交互に配置する」とは最も広義に解釈されるべきであって、如何なる限定解釈もされないものとする。即ち、例えば銀ペーストの上面の少なくとも一部に銅ペーストを積層したもの(積層する銅ペーストの形状としては、例えば直線状、矩形等の多角形状、環状、円形状等の形状とすることができる。)とすることができる。図1に、型内に、銅ペースト及び銀ペーストを交互に配置した一例を示す。図1の型内において、銀ペースト部分は白色で、銅ペースト部分はドット柄で示している。
また、銅ペーストの上面の少なくとも一部に銀ペーストを積層してもよい。なお、一方のペーストの上面の少なくとも一部に他方のペーストを積層する場合、積層数は特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意に設定できる。
また、銅ペーストと銀ペーストとを同一平面上に交互に並べて配置したもの等であってもよい。このような場合にも、その配置及びそれぞれのペーストの形状に限定は無く、銅ペースト及び銀ペーストが交互に配置されていればよい。即ち、例えば銅プレート及び銀プレートをそれぞれ袋等に入れて交互に搾り出すことにより、同一平面上に交互に配置することができる。さらに、交互に重ねて搾り出すことにより、網掛けのような形状とすることもできる。
また、例えば装飾金属焼結物品として指輪等のリング形状のものを製作する場合、例えば予めリング状に形成された土台(例えば上記の銀粉末及び有機バインダを少なくとも含有する、粘土状の組成物(即ち、銀含有可塑性組成物)により形成することができる。)の表面に、上記の銅ペースト及び銀ペーストを所望の形態にて交互に配置すればよい。
銅ペースト及び銀ペーストを交互に配置する場合、型内に配置してもよく、型を用いずに配置してもよい。ただし、銅ペースト及び銀ペーストに含まれる水分量が多い場合、型を用いないと厚さの制御が困難になる可能性があるため、型内に当該銅ペースト及び銀ペーストを交互に並べて配置することが好ましい。型を用いる場合、その型を構成する材料に特に制限は無いが、可撓性を有するものが好ましい。このような材料を型として用いることにより、型を弯曲させて模様部材(後述する。)を容易に取り外すことができる。このような材料としては例えばシリコン等が挙げられ、具体的には例えばアグサジャパン社製「ブルーミックス」等を用いることができる。また、型としては、上記の銀含有可塑性組成物によって作製されたものを用いることもできる。
また、型を用いる場合、型の形状は特に制限されず、所望の形状を有する型を用いればよい。さらに、例えば「プレート」や「棒状部材」のような、厳密には「型」とは言えないものでも、本発明の効果を著しく損なわないものであれば用いることができる。
次に、上記のように交互に配置された銅ペースト及び銀ペーストの少なくとも上面の並びを変形させる。このような上面の並びを変形させる方法に特に制限は無い。例えば、針、竹串、爪楊枝、針金、目打ち、千枚通し、ナイフ、へら、スパチュラ等の先端が尖った形状や平板状の先端を有する棒状器具を用いて、配置された銅ペースト及び銀ペーストの少なくとも上面の並びを変形させる方法が挙げられる。具体的には、当該器具の先端部を上面から底部に向けて突き刺し、そして所望の形状を有するように当該器具を移動させることにより、模様を描くことができる。このような器具を用いる場合、器具の数は任意であり、その移動の方向も制限されない。
また、上記のような器具を用いずに模様を描くこともできる。具体的には、例えば銅ペースト及び銀ペーストに含まれる水分量が多く、型を用いて銅ペースト及び銀ペーストを交互に配置している場合には、息やドライヤーの風で模様を描くことができる。筆を用いて並びを変形させて模様を描いてもよい。さらに、配置された型を傾けたり、揺らしたり、振動を与えることにより模様を描くこともできる。ただし、型を傾けすぎると上記の並びのみならず、銅ペースト及び銀ペーストの配置そのものが全て変形してしまう可能性があるため、わずかな角度にて傾けることが好ましい。
そして、以上のようにして模様を描くことにより、模様ペーストを形成することができる。
ここで、銅プレート及び銀プレートが型内に交互に配置されたものに対して針を用いて模様を形成する場合に、形成可能な模様の一例を、図2〜図7を参照しながら具体的に説明する。
図2は、型内に紙面横方向に銅ペースト(ドット柄で示される部分)及び銀ペースト(白色で示される部分)を同一平面上に交互に並べて配置し、当該平面に対して垂直となるように5本の針を平行に並べ、交互に並べて配置されたペーストに対してその配置された並びと交差する方向に移動させた場合に形成される模様を模式的に示す図である。図2に示す模様を形成する際、左半分は紙面上から下方向に、右半分は紙面下から上方向に、それぞれ5本の針を移動させている。図2に示すように、左半分では銀ペーストが下方向に尾を引くように、また、右半分では銀ペーストが上方向に尾を引くように模様が描かれている。
また、図3は、銅ペーストを型内に一面に配置した後、その上面の一部に円形状(環状)となるように銀ペースト及び銅ペーストを交互に並べて積層し、図の上部から下方向に針を移動させた場合に形成される当該積層された部分の模様を模式的に示した図である。このような厚み方向に積層した銅ペースト及び銀ペーストを用いても、複雑な形状の模様を極めて容易に形成することができる。
さらに、銅ペースト及び銀ペーストに含まれる水分割合によって描くことが可能な模様について、図4〜図7を参照して説明する。図4〜図7は、それぞれ、水分含有量を変化させた銅ペースト及び銀ペーストを用いた場合に描かれる模様を模式的に表した図である。図4〜図7において用いられている銅ペースト及び銀ペーストに含まれる水分割合について、下記表1に示す。
Figure 0005629263
図4〜図7に示すように、ペーストに含まれる水分量が増加するほど、銅ペースト及び銀ペーストにより形成される模様が不規則なものとなることがわかる。従って、はっきりとした模様を形成したい場合には例えば図4や図5の含有量にて、また、不規則な模様を形成したい場合には例えば図7の含有量にて、銅ペースト及び銀ペーストに含まれる水の含有量を決定すればよい。
本工程で用いる銅ペースト及び銀ペーストは、例えば市販されているものを用いてもよいが、模様部材形成工程の前に、予め銅ペースト及び銀ペーストを製作する、[銅ペースト製作工程]及び[銀ペースト製作工程]を設けてもよい。即ち、全体に対する水の含有量が10〜35重量%となるように、銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末及び有機バインダを含有する組成物に対して水を混合し、前記銅ペーストを製作する銅ペースト製作工程と、全体に対する水の含有量が10〜35重量%となるように、銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末及び有機バインダを含有する組成物に対して水を混合し、前記銀ペーストを製作する銀ペースト製作工程と、の少なくとも2工程を、模様部材形成工程の前に設けることができる。
次に、上記のように模様が形成された銅ペースト及び銀ペースト(即ち模様ペースト)を乾燥させて模様部材を製作する。
乾燥手段、乾燥条件等の乾燥方法に特に制限は無いが、少なくとも乾燥初期には、上記模様ペースト近傍に室温の風を送って乾燥を促進させる乾燥を行うことが好ましい。具体的には、例えば型内部に模様ペーストが形成されている場合、模様ペーストの表面に平行な方向にドライヤー等を用いて気流を形成させることが好ましい。このようにすることで模様ペーストの上面近傍にて気流(空気の乱れ)が生じ、その結果、間接的に模様ペーストを乾燥させることができる。
乾燥初期の自然乾燥は、水分の多い状態で銅を放置するので、銅の酸化が進み好ましくない。加熱乾燥は、乾燥初期で行うと部材の変形が生じやすいので好ましくない。しかし、ある程度乾燥がすすみ、例えば型から取り出せる状態になれば、加熱乾燥や自然乾燥を行ってもよい。
前述のように、上記模様ペースト近傍に室温の風を送って乾燥を促進させて行う場合、銅ペースト及び銀ペーストの水分量が多い場合には、直接風を当てると形成した模様が変形するので直接風を当てない方が好ましい。他方、銅ペースト及び銀ペーストの水分量が少ない場合には、直接風を当てても形成した模様が変形することがないので、直接風を当てても差し支えない。よって、本発明における、乾燥を促進させるために室温の風を送る上記模様ペースト近傍とは、直接風が当たる場合や当該部材に直接風が当たらない場合も含み広義に解するものとする。
模様部材製作工程における乾燥は、上記のように、後工程の装飾物形成工程において模様部材を曲げ加工等を行わず、乾燥状態で装飾物を形成するのに支障がない場合には、完全に乾燥させてよい。
ある程度乾燥が進んだ状態、例えば型から取り出せる状態になった後は、乾燥温度80〜180℃、乾燥時間10〜60分の加熱乾燥とすることができる。加熱乾燥を行う場合、加熱乾燥は、乾燥機、電気炉、ドライヤーなどで行うことができ、好ましくは乾燥温度80〜120℃で乾燥時間20〜40分である。
乾燥の完了状態は、好ましくは、80〜120℃に加熱された前記装飾物(乾燥装飾物)から水蒸気が出ていない状態をいう。その確認は、例えば80〜120℃に加熱された前記乾燥装飾物にガラス板やステンレス板を近づけて結露が生ずるかどうかで判断できる。結露が生じなければ乾燥終了とみなしてよい。
同様に、ある程度乾燥が進んだ状態、例えば型から取り出せる状態になった後に、自然乾燥を行うことができるが、その場合1日以上行うことが特に好ましい。乾燥した確認は、ドライヤーなどで加熱し、前述の如く結露しないことを確認することによって行われる。さらに必要に応じて、乾燥後にヤスリやサンドペーパー等で乾燥装飾物に更に加工を加える。
以上のようにして、模様部材を製作することができる。
ただし、この時点では、模様部材は必ずしも完全に乾燥している必要は無く、例えば銅ペースト及び銀ペーストが型内に配置されている場合、当該型から配置された銅ペースト及び銀ペースト(即ち模様ペースト)が取り外せる程度に乾燥していればよい。例えば、後工程の装飾物形成工程において模様部材を曲げ加工してリング状とする場合には、当該型から模様ペーストが取り外せる程度に乾燥していればよい。
ただし、このように完全に乾燥させない場合、後述する装飾物形成工程と焼成体製作工程との間で、完全に模様部材を乾燥させる工程を設けることが特に好ましい。
なお、例えば付箋紙、ラップフィルム等の付着防止帯を巻回した木芯棒の当該付着防止帯外周面に、銅ペースト及び銀ペーストを交互に配置して並びを変形させた後に乾燥等することにより、リング状の模様部材を直接形成することもできる。このようにすることで、簡単な工程でリング状の模様部材(即ち装飾物)を形成することができる。
以上のように、銅ペースト及び銀ペーストを用い、それらを交互に配置することにより、銅含有可塑性組成物や銀含有可塑性組成物を単純に用いては為し得なかった複雑な形状の模様を容易に形成することができる。
[装飾物形成工程]
この工程では、前記[模様部材製作工程]を経て得られた模様部材を加工し、装飾物を形成する。
模様部材から装飾物を形成する具体的な手法は特に限定されるものではなく、どのように模様部材を加工してもよい。必ずしも立体的な造形をしなくてもよく、平坦状のままでもよい。
この装飾物形成工程は、前記特許文献1では単にプレートを巻回して円筒状の混合体を作製するだけであって、実質的に行われない工程である。また、この装飾物形成工程は、例えば所望の形状に上記の模様部材を切断するのみ等、労力的にも殆ど必要なく極めて容易に実施できる。
なお、装飾物の具体的な形態としては特に制限されるものではなく、例えば指輪(リング)、ブローチ、ペンダント、ピアス等の形態とすることができる。
また、用いる模様部材は、そのまま(即ち平板状のまま)用いて装飾物を形成してもよく、両端角を削り、長手方向に垂直な方向の断面が丸みを有する(即ち、断面が円弧形状を有する)形状に加工したものを用いて装飾物を形成してもよい。また、より均一な平板形状となるように四辺を切断し、得られた平板形状の模様部材を装飾物として用いてもよい。さらに、はじめに平板状(帯状)の模様部材を製作し、当該模様部材をリング状に繋げて装飾物を形成してもよい。具体的には、型から模様部材を取り外した後、例えば湿らせたハンドタオル等を用いて模様部材を柔らかくし、その後模様部材を木芯棒に巻回して模様部材の両端を接合することにより、リング状の装飾物を形成することができる。このようにすることで、美麗な模様が施された装飾物を形成することができる。
また、例えば形成する装飾物がリングである場合、当該リングの内側には銀プレートを設けるようにすることが好ましい。即ち、銅ペースト及び銀ペーストを交互に配置する場合に、土台として銀含有可塑性組成物からなる銀プレートを用い、この土台上に銅ペースト及び銀ペーストを交互に配置することが好ましい。このように配置することで、リングの内側に銀プレートを設けることができ、当該リングを指に嵌めた場合に銅が皮膚に接することを防止することができ、銅の錆びや緑青の発生を防止することができると共に、リング自体の強度を増すことができる。
[焼成体製作工程]
この工程では、前記[装飾物形成工程]を経た装飾物を焼成して装飾物焼成体を得る。
前述のように装飾物の焼成は、還元雰囲気での焼成でも大気焼成(酸化雰囲気)でもよい。
大気焼成の場合は、660〜770℃にて3〜40分、好ましくは700〜750℃にて10〜15分で焼成することが特に好ましく、銅含有可塑性組成物の造形体を焼成する場合に比べて低い温度、短い時間にて焼成する。
ちなみに、銅含有可塑性組成物のみの造形物の大気焼成の条件としては、粉末が純銅である銅含有可塑性組成物の焼成温度は、990℃×3分〜6分、980℃×4分〜15分、970℃×5分〜30分、950℃×5分〜40分、850℃×10分〜50分、800℃×30分〜60分、が目安であり、好ましくは850℃〜980℃、さらに好ましくは950℃〜970℃である。
大気焼成の場合は、電気炉を前記焼成温度に予熱しておき、その温度に保持された電気炉に前記装飾物を投入し、所定の温度を保持して前記焼成時間後に取り出して急冷すればよい。この場合、従来のように還元雰囲気による焼成を行わないので、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスを焼成中に流し続けなければならない煩雑な手間や炭素などの還元剤を装飾物と一緒に密封容器に入れて外部から加熱するなどの煩雑な手間などが回避でき、カルチャースクールなどで気軽に適用できるようになる。
なお当然、還元性雰囲気でも同様の温度で焼成できるのは無論であるが、好ましくは前記焼成温度をより高く、前記焼成時間をより長くするとよい。
さらに、例えば、有機バインダを燃焼させるために前半を大気焼成し、後半を還元雰囲気で焼成してもよい。この場合の一例を挙げると、前半の大気焼成が室温から350℃〜450℃に達したら電気炉等の加熱源から前記装飾物を直ちに取り出し、または温度350℃〜450℃に維持された電気炉等の加熱源に投入して大気焼成し5分〜30分後に加熱源から前記装飾物を取り出し、次いでこの大気焼成した装飾物と炭素などの還元剤と一緒に入れて密封したステンレス容器を電気炉に投入し、室温から700℃〜800℃まで加熱、その後その温度を30分〜9時間保持することによって還元雰囲気焼成することができる。
なお、前述の温度350℃〜450℃に維持された電気炉等の加熱源に投入した際には、炉内温度が一時的に低下するが、電気炉のサーモスタット等の自動温度調節器にてすぐに温度350℃〜450℃に維持される。
アルゴンガス雰囲気での焼成は、電気炉にアルゴンガスを流通して大気が入り込まないようにして焼成することを意味し、還元雰囲気焼成の一態様である。
[表面酸化膜除去工程]
この工程は、必ずしも必要ではない。前記[焼成体製作工程]において、炭素などの還元剤と一緒に入れて密封したステンレス容器を用いて還元焼成し、そのまま容器内で室温まで冷却した場合は、酸化膜が生じないので、この表面酸化膜除去工程を省略できる。
前記[焼成体製作工程]の全体を大気焼成した場合には、この工程を行うのが好ましい。この工程では、前記装飾物焼成体を急冷または酸洗いまたは磨きを行って表面に形成された酸化膜を除去する。
この急冷、酸洗い、磨きについては、この種の貴金属含有可塑性組成物の焼成技術としては、公知の技術であって、酸洗いは、硫酸水素ナトリウムなどの酸洗い用固形酸剤(市販品)の水溶液や希硫酸に5〜10分程度つけて必要に応じてブラシなどで研磨してすぐに水洗する。磨きは、磨きへら、糸バフ、リューター、サンドペーパー、ステンレスブラシなど各種の磨き材料が市販されているので、適宜にこれらを用いて研磨する。
[実施例1]
(銅ペースト形成工程)
銅含有可塑性組成物を構成する銅粉末は、純銅であり、平均粒径2.5μmの第1銅粉末50重量%(45重量%)と、平均粒径10μmの第2銅粉末50重量%(45重量%)とを混合した銅混合粉末を用意した。この銅混合粉末90重量%と、有機バインダとしてのメチルセルロース1.20重量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.30重量%及び水8.50重量%とを十分に混合して粘土状の銅含有可塑性組成物とした。
そして、得られた銅含有可塑性組成物10gをビニル袋に入れ、水の終濃度が18.3重量%となるように水を混合し、ペースト状の銅ペーストを製作した。
(銀ペースト形成工程)
銀含有可塑性組成物を構成する銀粉末は、純銀であり、平均粒径2.5μmの第1銀粉末50重量%(46重量%)と、平均粒径20μmの第2銀粉末50重量%(46重量%)とを混合した銀混合粉末を用意した。この銀混合粉末92重量%と、有機バインダとしてのデンプン0.7重量%、セルロース0.8重量%、残部を水とした水溶性バインダを十分に混合して粘土状の銀含有可塑性組成物とした。
そして、得られた銀含有可塑性組成物10gをビニル袋に入れ、水の終濃度が16.3重量%となるように水を混合し、ペースト状の銀ペーストを製作した。
(模様部材製作工程)
はじめに、アグサジャパン社製「ブルーミックス」を用いて、シリコン型を製作した。そして、製作したシリコン製の型の底部に、上記製作した銀含有可塑性組成物を厚さ1mmとなるように詰め、さらに銀含有可塑性組成物の表面に筆を用いて水を塗布した。このように銀含有可塑性組成物の表面に水を塗布することにより、後述する銀ペーストや銅ペーストを交互に並べて配置する際に、ペーストと銀含有可塑性組成物内との親和性を向上させ、ペーストが空気(気泡)を巻き込むのを防止することができる。
型10内底部に銀含有可塑性組成物1を詰めた様子を模式的に表したものを図8に示す。
次に、一角を切断した上記銅ペーストが充填された袋11を用いて、銀含有可塑性組成物1の上表面に対して銅ペースト2を配置した。その様子を図9に示す。
そして、図10に示すように、一角を切断した上記銀ペーストが充填された袋12を用いて、銀含有可塑性組成物1上に銅ペースト2及び銀ペースト3を交互に並べて配置した。この作業を繰り返し、最終的に、型10の内部に、銀含有可塑性組成物を土台として、銅ペースト及び銀ペーストが交互に並んで配置された型13が得られた。その様子を図11に示す。
銅ペースト及び銀ペーストが交互に並んで配置された型13に対して振動を与え、さらに、真空脱泡器(加藤産業社製「真空保存庫 VSタイプ」)を用いて、両ペースト内に存在する気泡を脱泡した。なお、この操作により銅ペースト及び銀ペーストの表面には気泡が発生したため、当該気泡は水で塗らした筆を用いて潰した。
次に、針14を用いて、型13内に存在する銅ペースト及び銀ペーストの上面の並びを変形させた。その様子を図12に示す。針14は、型13の底部まで突き刺された状態で移動され、そして、型13内の一端壁から他端壁まで動かした後、壁に平行な方向に針14を少しずらしてさらに他端壁から一端壁に動かされ、再び一端壁から他端壁まで動かす、所謂往復して動かしている。このように針14を、型13内に形成されている銀ペースト及び銅ペーストの全面に渡って移動させて模様を形成した(図13参照)。その後、ドライヤーの冷風で約3時間半乾燥させ型15から取り外し、さらに、ドライヤーの温風で30分間完全に乾燥させて、図14に示す模様部材16を製作した。
(装飾物形成工程)
模様部材16の表面に対して棒ヤスリで表面を平坦化した。その後、図15に示すように、模様部材16の縁部を、のこぎり(オルファ社製「アートナイフ プロ」)を用いて切断した。そして、模様部材16の上面に型紙17を置き、模様部材16の上表面に型紙17の形状を鉛筆で書き写した。
書き写された型紙17の形状に沿って模様部材16を上記のこぎりによって切断し、さらに切り口を上記棒ヤスリで削って形を整え、裏側上部にチェーン取付部材を銀ペーストで接着させ装飾物18を形成した。
(焼成体製作工程)
装飾物18を、耐火性のセラミックスファイバーからなるボード(商品名:カオウールボード)に配置し、電気炉を用いて大気焼成を行った。大気焼成の条件としては、電気炉に装飾物18を入れた後室温から450℃まで昇温し、その後直ちに取り出した。
次いで、この大気焼成した装飾物18を、炭を入れたアルタイト容器に、炭の上面から1cm程度の位置に埋没させて密封した。これを電気炉に投入し、室温から780℃に炉内温度が達したら、この温度を8時間保持した(還元雰囲気での焼成)。8時間焼成後に電気炉から取り出し、すぐに装飾物焼成体(即ち装飾金属焼結物品)を容器から取り出し冷却した。
その後、表面に対して酸洗いと研磨を行い、チェーンを取り付け、最終的に得られた装飾物焼成体(装飾金属焼結物品)を得た。得られた装飾物焼成体19を図17に示す。図17に示すペンダント状の装飾金属焼結物品(装飾物焼成体)19においては、黒色で示した部分が銅であり、白色で示した部分が銀である。図17に示すように、装飾金属焼結物品19の表面には鮮やかなカフェアート調模様が形成されていた。
[実施例2]
実施例1で製作した銀含有可塑性組成物、銅ペースト及び銀ペーストを用い、装飾金属焼結物品として指輪を製造した。
はじめに、銀含有可塑性組成物をひも状に伸ばし、さらに約1mm厚に伸ばして帯状の銀含有可塑性組成物を形成した。そして、付箋紙を巻回した木芯棒に、形成した帯状の銀含有可塑性組成物をさらに巻回して乾燥させた。乾燥させた銀含有可塑性組成物表面に水を塗布し、上記の銅ペースト及び銀ペーストを交互に並べて配置した。その後、実施例1と同様にして針を用いて模様を描き、乾燥させた。乾燥後木芯棒から取り外し、その後は実施例1と同様にして装飾金属焼結物品を製作した。製作した装飾金属焼結物品を図18に示す。図18に示す装飾金属焼結物品20は、その内周側に銀プレートが設けられ、外周表面には鮮やかなカフェアート調模様が形成されていた。
19 装飾金属焼結物品(ペンダント)
20 装飾金属焼結物品(指輪)

Claims (7)

  1. 銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末と有機バインダと水とを含有し、該水の含有量が10〜35重量%である銅ペーストと、
    銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末と有機バインダと水とを含有し、該水の含有量が10〜35重量%である銀ペーストと、を用いて、前記銅ペーストの上面と前記銀ペーストの上面とを交互に並べて配置し、
    前記銅ペーストの上面と前記銀ペーストの上面の並びを変形させることにより模様を描いて模様ペーストを形成し、その後該模様ペーストを乾燥させることにより模様部材を製作する模様部材製作工程と、
    製作された前記模様部材を加工して、装飾物を形成する装飾物形成工程と、
    前記装飾物を焼成して装飾物焼成体を得る焼成体製作工程と、
    を含むことを特徴とする装飾金属焼結物品の製造方法。
  2. 全体に対する水の含有量が10〜35重量%となるように、銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末及び有機バインダを含有する組成物に対して水を混合し、前記銅ペーストを製作する銅ペースト製作工程と、
    全体に対する水の含有量が10〜35重量%となるように、銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末及び有機バインダを含有する組成物に対して水を混合し、前記銀ペーストを製作する銀ペースト製作工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の装飾金属焼結物品の製造方法。
  3. 前記模様部材製作工程において行われる乾燥は、少なくとも初期においては、前記模様ペースト近傍に室温の風を送って乾燥を促進させて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾金属焼結物品の製造方法。
  4. 前記焼成体製作工程が、室温から大気焼成で350℃〜450℃に達したら加熱源から前記装飾物を直ちに取り出し、または温度350℃〜450℃に維持された加熱源に投入して大気焼成し5分〜30分後に加熱源から前記装飾物を取り出し、次いで還元雰囲気焼成で、室温から700℃〜800℃まで加熱、その後その温度を30分〜9時間保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾金属焼結物品の製造方法。
  5. 前記銅ペーストに含まれる銅と銅合金とから選択される1種以上の銅粉末は、平均粒径0.1〜4.0μmの第1銅粉末を25〜75重量%含有し、残部が平均粒径4.0μmを越えて平均粒径10μm以下の第2銅粉末からなる銅混合粉末であり、
    前記銀ペーストに含まれる銀と銀合金とから選択される1種以上の銀粉末は、平均粒径0.1〜4.0μmの第1銀粉末を25〜75重量%含有し、残部が平均粒径4.0μmを越えて平均粒径40μm以下の第2銀粉末からなる銀混合粉末であり、
    前記焼成体製作工程の全体が、大気焼成で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾金属焼結物品の製造方法。
  6. 前記焼成体製作工程が、焼成温度660〜770℃、焼成時間3〜40分であることを特徴とする請求項5に記載の装飾金属焼結物品の製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする装飾金属焼結物品。
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