JPWO2009060954A1 - 金属熱成形体、その製造方法、及び模様金属板材の製造方法 - Google Patents

金属熱成形体、その製造方法、及び模様金属板材の製造方法 Download PDF

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Abstract

金属熱成形体を製造する際に、加熱工程で表面から進行する酸化の防止を、安価、容易、且つ確実に実行することができる技術を提供する。大気中で加熱することにより酸化する金属が含まれている金属熱成形体の製造方法において、被加熱処理体の露出面に、銀粉末及び有機系バインダを含む銀粉含有組成物を塗布する工程と、塗布された前記被加熱処理体を大気中で加熱することによって、該金粉含有組成物の作用により空気流通を抑制されて熱成形される工程と、大気加熱後に得られた金属熱成形体からその加熱によって形成された前記銀粉含有組成物の焼結被覆物を少なくとも一部除去する工程とを、含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、加熱して成形される金属製品に係わり、大気中で加熱することによって表面から進行する酸化を抑制することができる金属熱成形体の製造技術に関する。
約400年前の江戸時代を起源とする日本独自の金属加工技術として、木目金(もくめがね)という手法が知られている。この木目金とは、銅、銀、金等の色調の違う地金を何枚も重ね合わせて拡散接合させて一枚の地金にしたものをいい、その表面に様々な加工方法を用いて視覚的興趣に富んだ美麗な模様を創ることができるものである。例えば木目金にタガネで凹凸を作り凸部分をヤスリ取ったり金槌で平坦にする作業を繰り返して独自の模様を形成できる。さらに、これを緑青液で煮込んで着色することも可能である。このような木目金は、主に武士の刀を飾る装飾品(鍔)の技術として広まり、現代では、日本以外でもアメリカをはじめ世界各国でも行われており、金属工芸作家、ジュエリー作家などの製作者もいるが、この技術自体が充分に知られている、或いは普及しているとは到底言い難い。
このような色調を異にする複数枚の金属板を重ね合わせて模様を形成する技術において、拡散接合させる際の酸化を防止する目的で、空気(酸素)の侵入を阻止するために、重ね合わせた金属板の周縁に、炭ととの粉を混ぜたものを塗り付けて加熱する手法が採られている。
また、重ね合わせた前記金属板の周縁に炭ととの粉を塗り付ける方法に代わる手法として、幾つかの提案がなされている。例えば特許文献1には、赤色の銅板、金色の銅合金板および銀色のステンレス鋼板を交互に多段に重ね合わせ、重ね合わせた金属板を補助鉄板で包囲し密封溶接することにより外気から遮断し、これを加熱炉で800〜850℃に加熱して冶金的に積層接着(すなわち、拡散接合)して多層クラッド鈑を得ることが開示されている。
また、特許文献2には、ステンレス鋼等の耐蝕鋼板と、これとは異色相の銅合金板、すなわち、黄銅、青銅、赤銅、アビシニアゴールド、マンハイムゴールド、ニユルンベルクゴールド等とを重ね合わせ、これを鋼製囲板で密封したものを800〜900℃に加熱して拡散接合し、表面に異色金属相を有する板状クラッド材を得る例が示されている。具体的には、ステンレス鋼板と黄銅板とを重ね合わせたものを、5mmの薄鋼板で包囲密封し、加熱炉に入れて800℃に加熱した後圧延して板状クラッド材を得ることが示されている。他の例として、ステンレス鋼板とCu86.4%、Zn11.2%、Sn1.4%およびAu0.1%の組成のアビシニアゴールド板とを重ね合わせたものを、5mmの薄鋼板で包囲密封し、加熱炉に入れて850℃に加熱した後圧延して板状クラッド材を得ることや、ステンレス鋼板とCu96%、Al5%およびFe1%の組成のアルミニウムゴールド板とを重ね合わせたものを、1mmの薄鋼板で包囲密封し、加熱炉に入れて800℃に加熱した後圧延して板状クラッド材を得ることが開示されている。
同様に、特許文献3には、フェライト系またはオーステナイト系ステンレス鋼等の不銹性金属板と、Cu−Zn系合金板、Cu−Sn系合金板、Cu−Au系合金板、Cu−Al系合金板等の装飾用金属板とを重ね合わせ、その接合部継ぎ目を溶接等の手段で密封(実施例では、5mm厚の薄鋼板で包囲密封)し、外気の侵入を阻止した状態で加熱炉に入れ800〜900℃にまで加熱し拡散接合することが開示されている。
さらに、特許文献4は、予め所要面に錫または亜鉛の鍍金を施した鋼板に銅または銅合金板を重ね合わせて、その合わせ目周辺からの外気の侵入を阻止した状態で加熱圧延することによって、鍍金金属の溶融点近傍の低温で拡散接合することが示されている。具体的には両面に錫鍍金を施した鋼板の両側に銅板を重ね合わせたものを、1mm厚さの薄鋼板にて包み込み、継ぎ目を溶接して密封して加熱炉中に入れ200℃に加熱した後、圧延して複合板を得ることが示されている。また、両面亜鉛鍍金した鋼板の両側に真鍮板を重ね合わせたものを、1mm厚さの薄鋼板で被覆して約450℃に加熱した後、圧延して複合板を得ることが開示されている。
特公昭57−4434号公報 特公昭55−36031号公報 特公昭55−1986号公報 特公昭34−6416号公報
しかしながら、前記炭ととの粉の混合物を塗り付ける方法では、充分に拡散接合が行われずに、加熱炉から出した際に、或いはその後の加工において、部分的に金属板と金属板が離れてしまったり、完全に離反したり、或いはバラバラになることがあった。
また、前記特許文献1に記載の手法では、重ね合わせた複数枚の金属板を補助鉄板で包囲し密封溶接することにより外気から遮断しているが、複数枚の金属板を加圧した状態で、補助鉄板で包み込む作業は、極めて困難な作業を必要とすると共に、密封溶接も高度の技量が必要である。結局、特殊な設備装置と高度な技量を必要とするものであった。
同様に、特許文献2〜特許文献4に記載の手法においても、複数枚の金属板の周囲を薄鋼板にて包囲し密封溶接することにより外気から遮断しているが、同様に複数枚の金属板を加圧した状態で、その周囲を薄鋼板で包囲する作業は、極めて困難な作業を必要とすると共に、密封溶接も高度の技量が必要である。結局、特殊な設備装置と高度な技量を必要とするものであった。
そもそも拡散接合させる際の外気の侵入を阻止しようとする意図は、前述のように重ね合わせた複数の金属板間の合わせ目に酸素が侵入して金属板材が酸化することを防止しようとするものであるから、加熱する雰囲気を、空気中ではなく、アルゴンガスやヘリウムガス等の不活性ガスや窒素ガス等を充満した雰囲気中で行うことにより、金属板材の酸化を防止することは可能である。
しかし、この方法は、不活性ガス等を充満させることにより酸化防止状態を形成するものであるため、不活性ガス等の供給設備や特殊な加熱設備などが必要となり、また加熱時間が8時間〜10時間かける場合は、その間不活性ガス等を流し続けることになり、製造コストが著しくかかるものである。
また、厚み0.03mm程度のチタン含有ステンレス製の袋材の内部に、重ね合わせた複数枚の金属板材と酸素消費用の炭を入れて加熱することにより、袋材内部の酸素が消費されて酸化を防止することが可能である。
しかし、この方法は、高価且つ入手困難なチタン含有ステンレス製袋材の内部を酸化防止状態とするものであるため、製造コストが著しくかかるものであった。
そこで、本発明は、前記問題点を解消し、大気中で加熱すると酸化による影響を受け易い金属熱成形体において、そのような酸化を抑制することができる金属熱成形体の製造技術を提案することを目的とする。さらに、安価で容易に、且つ確実に拡散接合を行うことができ、視覚的興趣に富んだ美麗な模様を形成することができる模様金属板材の製造方法を提案することを目的とする。
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、大気中で加熱することにより酸化する金属が含まれている被加熱処理体の露出面に、銀粉末及び有機系バインダを含む銀粉含有組成物を被覆する工程と、被覆された前記被加熱処理体を大気中で加熱するとことによって熱成形する工程と、大気中で加熱した後に得られた金属熱成形体からその加熱によって形成された前記銀粉含有組成物の焼結被覆物を少なくとも一部除去する工程とを、含むことを特徴とする金属熱成形体の製造方法に関するものである。
このように発明が構成されることにより、前記被加熱処理体を加熱する工程において、前記銀粉含有組成物は、焼結して前記露出面を緻密に覆う被膜となり、酸素の侵入を防止する。さらに、有機系バインダが熱分解することにより露出面の近傍が還元性雰囲気になり、この露出面から内部に進行する酸化を抑制することができる。
なお、被加熱処理体の露出面に、銀粉含有組成物を被覆させる方法としては、ペースト状にした銀粉含有組成物を筆や刷毛等で塗布する方法が一般的であるがこれに限定されるものではない。
本発明の“大気中で加熱することにより酸化する金属が含まれている被加熱処理体”とは、複数の金属板を重ね合わせて拡散接合させるもの、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅可塑性組成物や銅粉含有ペースト組成物の如く、大気雰囲気で拡散接合、焼成、焼結等の加熱処理をすると酸化の影響を受け易いものであって、金属のみからなる物や金属と有機物、無機物等の他の物とで形成されている物など種々の物がある。よって、この被加熱処理は、本発明においては最も広義に解するものとする。
また、本発明の“熱成形”は、加熱処理によって生ずる拡散接合、焼成、焼結等を意味し、拡散接合の如く外面的には変化がなくとも内部的に変化しているものから、一部が燃焼したり化学変化をきたすものまで含み、やはり本発明においては最も広義に解するものとする。
本発明は、前記の方法において、前記被加熱処理体は、色調を異にする複数枚の金属板を重ね合わせその重ね合わせ方向に押圧した状態のものであって、前記露出面は、少なくとも前記複数枚の金属板の合わせ目の周縁を指し、前記熱成形は、前記合わせ目が拡散接合することを意味することを特徴とする金属熱成形体(すなわち、模様形成用金属板材)の製造方法をも提案する。
JISの定義では、拡散接合とは、「母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法」となっている。本発明者の知見によると、拡散接合において、最も重要な条件は、加熱温度、押圧して接触させること、それに酸化防止であり、そのうち、加熱温度の設定並びに押圧して接触させることに関してはそれぞれ常法に準じて行うもので、結局のところ、酸化防止を如何に簡易に且つ確実に実施できるかということが重要である。この手法として、上記の本発明を見出したものである。
前述の従来技術において、金属板を重ね合わせて被加熱処理体とし、その周縁に炭ととの粉の混合物を塗り付ける方法は、塗り付けた直後や加熱炉に入れる直前には粘土状であるが、加熱炉内にて炭が燃焼すると、酸素は消費されるものの、その塗り付け形状を維持できないため、酸素が侵入して金属板が酸化し、拡散接合が不充分となる。
これに対し、本発明では、前記した被加熱処理体における重ね合わせた複数の金属板間の合わせ目周縁を銀粉含有組成物で覆うので、加熱炉内にて有機系バインダが燃焼して酸素が消費され、残る銀粉は銀粉同士が焼結して塗り付け形状を維持するため、酸素の侵入を防止して良好に拡散接合された金属熱成形体が得られる。
得られた金属熱成形体は、模様形成用金属板材として好適に使用できる。得られた金属熱成形体から、その加熱によって形成された前記銀粉含有組成物の焼結被覆物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができるが、得られた金属熱成形体の後工程(模様形成用金属板材の仕上げ行程)または模様金属板材を製作する初期工程で、通常行われる金属熱成形体を圧延や金槌で打ち延ばしをする行程の際に、その衝撃で自然に剥離される。
本発明は、前記の方法において、重ね合わせ押圧した上記複数枚の金属板は、それぞれの金属板の重ね合わせ前に圧延された方向が同じ方向となるように揃えられたことを特徴とする金属熱成形体の製造方法をも提案する。
通常、使用する金属板は、角棒、丸棒等の塊からローラー等で圧延して板状とする。このローラー圧延加工により、使用する金属板は強度に関して異方性が生じる。すなわち、ローラーで延ばした方向と異なる方向には、ローラーで延びにくくなる。無理をして延ばそうとすると地金が割れるおそれが生じる。したがって、例えば、それぞれの金属板の重ね合わせ前に圧延された方向に一致するように、それぞれの金属板の側面の一箇所に、糸ノコで少し印をつけ、その印が同じ方向を向くように揃えて重ね合わせ、それぞれの金属板の重ね合わせ前に圧延された方向が同じ方向となるように揃えて積み重ねることが望ましい。これにより、拡散接合させた金属熱成形体(すなわち、模様形成用金属板材)をさらに圧延加工して木目金などの模様金属板材にする際に、その付けた印に従って圧延することにより割れが生じないようにすることが出来る。
本発明は、前記の方法にて製造された金属熱成形体(すなわち、模様形成用金属板材)の表面に、少なくとも色調を異にする金属に至る深さで任意の形状の凹状部を形成する操作と、前記凹状部が形成された表面を圧延して平坦化する操作とを行って所望の模様を形成することを特徴とする模様金属板材の製造方法をも提案する。
この模様金属板材の製造方法は、少なくとも前記の凹状部の形成と平坦化とを行って、所望の模様を形成するものであるが、必要に応じて色上げ(煮込み着色)や表面保護処理等の公知の操作を追加するようにしてもよい。
本発明は、前記の方法において、前記被加熱処理体は、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅可塑性組成物を造形したものであって、前記露出面は、前記銅可塑性組成物の表面を指し、前記熱成形は、前記銅可塑性組成物の銅又は銅合金が焼結することを意味することを特徴とする金属熱成形体の製造方法をも提供する。
これにより、銅粉末等が含まれる銅可塑性組成物を、任意形状に造形してから、その表面全体に銀粉含有組成物を被覆して、加熱されることになる。これにより、銅可塑性組成物は、造形された任意形状を維持した状態で焼結するとともに、その表面は前記銀粉含有組成物の焼結被覆物により表面酸化が防止される。得られた金属熱成形体からの前記銀粉含有組成物の焼結被覆物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができる。
なお、銀、金、白金やこれらの合金から選択される貴金属粉末と有機系バインダとを含む貴金属可塑性組成物と、前記銅可塑性組成物とを組み合わせて造形した前記被加熱処理体においては、前記銅可塑性組成物の露出面のみに、銀粉末及び有機系バインダを含む銀粉含有組成物を被覆する。これは、貴金属可塑性組成物を大気中で加熱しても、有機系バインダは燃焼しても貴金属粉末は酸化されることなく焼結物となるためである。さらに、前記貴金属可塑性組成物に前記銀粉含有組成物を被覆して加熱すると、銀粉含有組成物と同質の貴金属可塑性物質の場合には、貴金属可塑性組成物の貴金属と前記銀粉含有組成物の銀とが一体になった焼結品となりやすく、前記銀粉含有組成物の焼結被覆物のみを剥離することが困難になるためである。
本発明は、前記の方法において、前記被加熱処理体は、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅粉含有ペースト組成物を被加飾部材の表面の一部/又は全部に付着させたものであって、前記露出面は、付着させた前記銅粉含有ペースト組成物の表面を指し、前記熱成形は、前記銅粉含有ペースト組成物の銅粉末又は銅合金粉末が前記被加飾部材上で焼結することを意味することを特徴とする金属熱成形体の製造方法をも提供する。
これにより、加飾部材の表面に付着させた銅粉含有ペースト組成物の上に、銀粉含有組成物が被覆され、加熱されることになる。これにより、銅粉含有ペースト組成物は、前記銀粉含有組成物の焼結被覆物により表面酸化が防止され、その表面形状を維持した状態で焼結することになる。得られた金属熱成形体からの前記銀粉含有組成物の焼結被覆物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができる。
前記被加飾部材は、陶磁器、ガラス等のセラミック材料、銀、金等の貴金属板または貴金属焼結体、フェライト系またはオーステナイト系ステンレス鋼等の不銹性金属板など、更には銅、Cu−Zn系合金、Cu−Sn系合金、Cu−Au系合金、Cu−Al系合金等の大気中での加熱によって酸化されやすい金属板または焼結体等の無機材料が挙げられる。当然、大気中での加熱によって酸化されやすい金属板を前記被加飾部材として用いる場合には、前記銅粉含有ペースト組成物の表面のみならず、その被加飾部材にも銀粉含有組成物を被覆して熱成形を行うのが好ましい。
被加飾部材の表面上に焼結した銅又は銅合金の銅焼結膜は、その成分の違いによって、例えば、緑青、硫酸銅、明礬及び水の配合組成を適宜に調製した煮込み液で酸化被膜を人工的に形成して着色する煮込み着色を行うことができる。着色される色合いは、銅の成分比により異なり、例えば、銅は柿朱、赤銅は青味がかった黒、四分一(銅75wt%、銀wt25%の合金)は、グレイ、真鍮は金茶色になる。したがって、銅粉末又は銅合金粉末の組成を変えた各種銅粉含有ペースト組成物を被加飾部材の表面に模様を形成する如く付着させて、それを焼結させて常法の煮込み着色を行うことによって、希望する色々な色合いを有する模様を形成でき、言わば絵の具感覚で被加飾部材の表面上に模様を形成することができる。
本発明は、前記の方法において、銀粉末は、平均粒径2.2〜3.0μmの粉末を30〜70重量%含有し、残部が平均粒径5〜20μmの粉末であることを特徴とする金属熱成形体の製造方法をも提案する。
使用する銀粉末は、特にその粒度を限定するものではないが、上記の比較的粒度の小さな銀粉末と比較的粒度の大きな銀粉末とを組み合わせて使用することが望ましい。
本発明は、前記の方法において、有機系バインダは、水を除いた固形分表示でデンプン0.02〜3.0wt%と水溶性セルロース系樹脂0.02〜3.0wt%とを含有することを特徴とする金属熱成形体の製造方法をも提案する。
使用する有機系バインダは、特に限定するものではないが、上記の2種のバインダを組み合わせて使用することが望ましい。
本発明は、前記の方法において、水溶性セルロース系樹脂は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする金属熱成形体の製造方法をも提案する。
本発明は、前記の方法にて製造されたものであることを特徴とする金属熱成形体をも提案する。
本発明の金属熱成形体の製造方法は、極めて簡単な方法でありながら、大気中(すなわち、空気中)の加熱成形時における酸化が抑制された金属熱成形体を得ることができる。つまり、加熱雰囲気を不活性(又は還元性)に調整することなく、高品質の金属熱成形体を得ることができる。
また本発明の金属熱成形体として模様形成用金属板材を製造する方法においては、重ね合わせた複数の金属板を押圧して接触させた状態で、複数の金属板の合わせ目周縁を銀粉含有組成物で覆って加熱するものであって、拡散接合において最も重要な条件である、周縁からの酸化防止がこの銀粉含有組成物で覆うことにより果たされるため、安価で容易に、且つ確実に拡散接合させることができ、その後の表面への加工によって美麗な模様を形成することができる。
また、前記従来の方法のように、極めて困難な作業や高度な技量を必要とすることなく、さらに高価な設備なども不要であり、空気中で安価な設備と材料を用いて実施できるものであって、実用的価値が極めて高いものである。
また、色調を異にする複数枚の金属板を重ね合わせて得られた金属熱成形体(すなわち、模様形成用金属板材)は、重ね合わせた金属板の合わせ目周縁に銀焼結体が付着したものとなり、各金属板は充分に拡散接合しているため、その後の加工において金属板が剥離したりバラバラになることがない。
さらに、本発明の模様金属板材の製造方法は、前述のように安価で容易に、且つ確実に拡散接合させた金属熱成形体(すなわち、模様形成用金属板材)を用いるものであって、この種の技術の発展や啓蒙に極めて大きな貢献を果たす。特に、各種の工芸品やアクセサリーなどの装飾加工やデザインの分野における素材として広く提供することができる。
また、前記被加熱処理体が銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅可塑性組成物を造形したものである本発明の金属熱成形体の製造方法は、任意形状に造形した銅可塑性組成物の露出面に単に銀粉含有組成物を被覆して加熱するだけで、銅可塑性組成物の銅又は銅合金が酸化されるのを抑制して、銅又は銅合金が焼結して任意形状を維持した銅焼結品を簡単に作製することができ、極めて困難な作業や高度な技量を必要とすることなく、さらに高価な設備なども不要であり、空気中で安価な設備と材料を用いて実施できるものである。したがって、造形された任意形状を維持した状態で銅可塑性組成物の酸化を抑制して簡単に焼結することが出来るので、各種の工芸品やアクセサリーなどの装飾加工やデザインの分野において、広く利用できる金属熱成形体の製造方法である。
さらに、前記被加熱処理体が、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅粉含有ペースト組成物を被加飾部材の表面の一部/又は全部に付着させたものである本発明の金属熱成形体の製造方法は、付着させた前記銅粉含有ペースト組成物の露出面に単に銀粉含有組成物を被覆して加熱するだけで、銅粉含有ペースト組成物の銅又は銅合金が酸化されるのを抑制して、銅又は銅合金が焼結して任意形状を維持した銅焼結品を被加飾部材の表面上に簡単に形成することができ、極めて困難な作業や高度な技量を必要とすることなく、さらに高価な設備なども不要であり、空気中で安価な設備と材料を用いて実施できるものである。
銅粉末又は銅合金粉末の組成を変えた各種銅粉含有ペースト組成物を被加飾部材の表面に模様を形成する如く付着させて、それを焼結させて前述した煮込み着色を行うことによって、希望する色々な色合いを有する模様を形成でき、言わば絵の具感覚で被加飾部材の表面上に模様を形成することができる。したがって、被加飾部材の表面上に模様を形成した状態で各種銅粉含有ペースト組成物の酸化を抑制して簡単に焼結することが出来るので、各種の工芸品やアクセサリーなどの装飾加工やデザインの分野において、広く利用できる金属熱成形体の製造方法である。
(a)実施例1における加熱炉から出した状態の模様形成用金属板材を示す斜視図、(b)その断面図である。 (a)実施例2における銀ペーストを塗着する以前の状態を示す分解斜視図、(b)加熱炉から出した状態の模様形成用金属板材を示す断面図である。
符号の説明
1 模様形成用金属板材
2 銅板
3 銀板
4 支持板
5 針金
6 印
7 との粉
8 銀ペーストの焼結被覆物
9 角型鋼材
10 挿通孔
11 ボルト
12 締め付けナット
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る金属熱成形体に使用する原材料である金属板、及び銀粉含有組成物について説明する。
第1実施形態に係る金属熱成形体は、色調を異にする複数枚の金属板を押圧した状態で重ね合わせ、これら金属板の合わせ目の周縁に、銀粉含有組成物を塗布(被覆)し、加熱成形をすることにより得られる。
この被覆された銀粉含有組成物は、加熱により合わせ目の周縁に成膜して大気遮断する。なお、この銀粉含有組成物により被覆されるのは、前記した合わせ目周縁に限定されるわけではなく、大気に接触して酸化する可能性がある露出面の全体が被覆されるのが望ましい。
第1実施形態に使用する金属板(地金)は、銅板、銀板、或いは赤銅(しゃくどう、銅に金が3%含有)、四分一(しぶいち、銅に銀が4分の1含有、朧銀おぼろぎん)、真鍮、銅単体、十八金などの「色金(いろがね)」等が好適に用いられ、或いはステンレス鋼板なども使用することができ、また特に枚数を限定するものではないが、数十枚程度の金属板を重ね合わせて用いる。
また、この金属板としては、焼きなまし処理をしていないものが好適に用いられる。通常、結晶材料は、原子がもっとも密に並んだ方向にすべることにより、塑性変形を起こす。すべり面上で、すでにすべった領域とまだすべっていない領域との境界線にはひずみが集中している。この境界線のことを転位という。転位は、高温焼きなしや熱サイクル焼きなましにより、密度の低減をはかることが行われている。固体中での原子の拡散は、格子または体拡散、表面拡散、粒界拡散、転位拡散が並列的に起こりうる。転位拡散は、転位線にそって原子が拡散移動する。そのため、使用する金属板としては、焼きなまし処理をしていない転位線の密度の高いものが拡散接合しやすく好適に用いられる。また、金属板の表面を紙ヤスリなどで荒らすと、より一層表面に転位が増える。
通常、使用する金属板は、角棒、丸棒等の塊からローラー等で圧延して板状とする。このローラー圧延加工により、使用する金属板は強度に関して異方性が生じる。すなわち、ローラーで延ばした方向と異なる方向には、ローラーで延びにくくなる。無理をして延ばそうとすると地金が割れるおそれが生じる。したがって、例えば、それぞれの金属板の重ね合わせ前に圧延された方向に一致するように、それぞれの金属板の側面の一箇所に、糸ノコで少し印をつけ、その印が同じ方向を向くように揃えて重ね合わせ、それぞれの金属板の重ね合わせ前に圧延された方向が同じ方向となるように揃えて積み重ねることが望ましい。これにより、拡散接合させた模様形成用金属板をさらに圧延加工して木目金などの模様金属板材にする際に、その付けた印に従って圧延することにより割れが生じないようにすることが出来る。
なお、これらの金属板は、全てが均一な厚みである必要はなく、異なる厚みの金属板を用いてもよい。また、一般的には方形(四角形)状の金属板を用いるが、特に限定するものではない。
さらに、これらの金属板は、製造に先立って、必要に応じて酸化皮膜を除去したり、脱脂処理を施すことが望ましい。
金属板表面の酸化皮膜の除去については、特に限定するものではないが、例えば希硫酸に入れて酸化皮膜を除去する方法等がある。この酸化皮膜は拡散接合を妨げるので、希硫酸から出すときには空気に触れないように、すばやく水に入れることが望ましい。特に銅は酸化しやすいので、十分に注意する。また、脱脂処理についても、特に限定するものではないが、例えば中性洗剤を入れた洗浄液の中に金属板を入れ、超音波洗浄をし、脱脂する方法等がある。脱脂した後は、よく水洗し、洗剤を流す。
本発明に使用する銀粉含有組成物は、銀粉末と有機系バインダとを混ぜてなるものであり、加える水や溶媒の量によりペースト状や粘土状になったりする。
銀粉末としては、銀粉及び銀合金粉のうち少なくとも一方からなり、粒径1〜100μm(マイクロメーター)のものが全体の90%以上を占めるものが好ましい。特に平均粒径が5〜30μm(マイクロメーター)で適度に分布しているものが望ましい。これは、大きな粒子間に小さな粒子が混在し、巨大粒子間の空隙を微粒子が埋めることにより、高密度の、したがって低収縮率の焼結体(層)を得ることができる。
特に、銀粉末は、平均粒径2.2〜3.0μmの粉末を30〜70重量%含有し、残部が平均粒径5〜20μmの粉末とするのがより好ましい。
有機系バインダは、特に限定するものではないが、少なくとも水溶性セルロース系樹脂、ブリティシュガム、キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、ポリエリレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、水溶性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、熱可塑性樹脂や、油性バインダから選択される一種以上を使用することが好ましい。
前記有機バインダのうち、水溶性セルロース系樹脂及びブリティッシュガムは、可塑性を付与すると共に金属板(周縁)への密着性を向上する作用を果たす。ポリエチレンオキサイドは、低濃度で高い粘性を与え、液状での接着性を向上する作用を果たす。グリセリンは、適度な保水性を与える。アルギン酸ナトリウムは、グリセリンと同様に適度な保水性を与えるが、密着向上作用にも寄与する。ポリアクリル酸エステル及びポリアクリル酸は、粘着性をより強固にする作用を果たす。前記油性バインダは、アクリル系樹脂などの高分子有機系結合材料が好ましく使用される。
有機系バインダとして、特に望ましくは、水を除いた固形分表示でデンプン0.02〜3.0wt%と水溶性セルロース系樹脂0.02〜3.0wt%を用いる。このうち水溶性セルロース系樹脂については、前述のように可塑性の付与、金属板への密着性を向上する作用を果たすが、デンプンは、銀粉末組成物を乾燥した時の乾燥強度を増大させる。しかし、有機系バインダとしてデンプンのみを用いると、塗着時に生地割れが発生し易くなる。そこで水溶性セルロース系樹脂を併用することにより、これらの問題を解消できる。デンプンは、前記の通り粘土組成物中の水を除いた固形分表示で0.02〜3.0wt%を含有するのであるが、0.02wt%より少ないと、乾燥時の強度不足をまねき易くなる。また、3wt%を越えると、塗着時、生地割れが発生し易くなる。また、収縮率も増大する。一方、水溶性セルロース系樹脂も前記の通り、水を除いた固形分表示で0.02〜3.0wt%を含有するのであり、0.02wt%より少ないと、可塑性を付与する効果が充分に発揮されない。3wt%を越えると、収縮率が増大する。このような水溶性セルロース系樹脂としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が用いられ、水に溶解して用いる。
上記デンプンや水溶性セルロース系樹脂から構成される有機バインダの量としては、デンプンと水溶性セルロース系樹脂の合計量が0.1〜4wt%の範囲内であることが望ましい。有機バインダの量が0.1より少ないと、形状保持が難しい。また、塗着、乾燥後の強度が弱くなるといった不都合がある。有機バインダの量が4wt%を越えると、収縮立が大きくなり、ひび割れが生じやすくなる。したがって、有機バインダの量は0.1〜4wt%が適当である。
水は必要量加えるものとし、少なすぎると硬くなって塗り難く、多すぎると金属板の周縁から毛細管現象にて侵入し易くなる。この銀粉含有組成物は、水の含有量により、粘土状でもペースト状でもスラリー状にも調製できるが、ペースト状として筆や刷毛等で塗布することが望ましい。
焼結促進剤としてBi、Se、Sb、In、Sn、Zn粉末又はそれらの合金粉末を加えても良い。
さらに、密着性向上剤として炭酸鉛、炭酸リチウム、酸化亜鉛、リン酸、炭酸ナトリウム、酸化バナジウム、珪酸ナトリウム、リン酸塩等から選ばれる金属化合物粉末又はガラス粉末を加えても良い。
また、可塑性を改善する目的で、リグニンの如きフェニルプロパンを骨格とする構成単位体が縮合してなる網状高分子、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,3ブチレングリコール、流動パラフィン、アルコール類、油脂、フタル酸、フタル酸−n−ジオクチル、フタル酸−n−ジブチル、ポリビニルアルコールを加え、必要に応じて界面活性剤、表面活性剤を加えても良い。
次に、第1実施形態に係る金属焼結体の製造方法を、製造手順に沿って説明する。
まず、第1の工程として、前記した複数枚の異なる金属板を重ね合わせ、重ね方向に押圧して接触させる。
次に、第2の工程として、重ね合わせた金属板を押圧して接触させた状態で、合わせ目周縁を前記した銀粉含有組成物で覆って、これを乾燥する。
続いて、第3の工程として、大気下で、重ね合わせた金属板の融点以下の温度にて加熱し、重ね合わせた金属板を拡散接合させる。
〔第1の工程〕
前記のように準備した複数の金属板を重ね合わせ、重ね方向に押圧して金属板相互を接触させる。重ね合わせる際に、それぞれの金属板の重ね合わせ前に圧延された方向に一致するように積み重ねる。例えば、圧延された方向に一致させてそれぞれの金属板の側面の一箇所に、糸ノコで少し印をつけ、その印が同じ方向を向くように揃えて重ね合わせる方法があるが、特に限定するものではない。これにより、拡散接合させた模様形成用金属板をさらに圧延加工して木目金などの模様金属板材にする際に、その付けた印に従って圧延することにより割れが生じないようにすることが出来る。
重ね合わせた金属板を、重ね方向に押圧して相互に接触させる方法としては、後述する第3の工程における加熱中にも押圧力が除かれないような方法にて行う必要があるが、
(A)例えば厚手の鋼材や角型鋼材等を用いて重ね合わせた金属板を上下から挟んでボルトナットを用いて締め付ける方法と、
(B)重ね合わせた金属板を押圧して接触した状態で針金等を用いて押圧力を維持する方法がある。
前記(A)の方法は、挟んだ厚手の鋼材や角型鋼材ごと後述する第3の工程にて加熱炉に入れる方法であって、特に限定するものではないが、比較的面積の大きな模様金属板材を創作する場合に好適である。
前記(B)の方法は、重ね方向に押圧するために例えば万力等の治具を用いるが、その治具は加熱炉に入れられない場合に針金等にてその押圧力を維持しようとするものであって、特に限定するものではないが、比較的面積の小さな模様金属板材を創作する場合に好適である。
前記(A)の方法では、第3の工程における加熱中に厚手の鋼材や角型鋼材と、それと接触する最上層、最下層の金属板とが接合しないように、予めとの粉などを塗布しておくことが望ましい。
また、重ね合わせた金属板を厚手の鋼材や角型鋼材の間に挟んで上下からボルトナットを用いて締め付ける際に、仮止めの目的で、粘着テープ等を周縁に貼り付けて重ね合わせた金属板を包むように保持してもよい。
前記(B)の方法では、前記のように針金を用いるので、針金が最上層、最下層の金属板に食い込まないように、最上層の金属板の上側、最下層の金属板の下側に厚手の支持板を配設することが望ましい。この支持板としては、特にその材質を限定するものではないが、例えば金属板として銅板や銀板を選択した場合には、ステンレスを用いるよりも膨張係数が近い鉄材の方が適している。また、前記(A)の方法と同様に、支持板と金属板が接合しないように、予め支持板にとの粉などを塗布することが望ましい。
また、この方法では、前記のように例えば万力等の治具を用いて重ね方向に押圧するのであるが、その押圧力を維持するために重ね合わせた金属板を予め針金等にて巻き締めて簡易な締め付け固定を行った後、万力等の治具にて強固に締め付け押圧を行い、この状態を針金等にて維持する。なお、重ね合わせた金属板がバラバラにならないように、針金等にて巻き締める以前に、前記(A)の方法における粘着テープにより包持してもよい。
〔第2の工程〕
前記第1の工程にて重ね合わせた金属板の合わせ目周縁に粘着テープを貼り付けている場合にはこれを取り除き、予め調製した前記銀粉含有組成物、好ましくはペースト状の銀粉含有組成物を、合わせ目周縁に塗布して乾燥する。塗布量としては、乾燥後に厚み0.1〜0.5mmとなるように塗布する。
銀粉含有組成物は、前述のようにペースト状として筆や刷毛等にて合わせ目周縁に塗布することが望ましいが、粘度が低すぎる場合には、周縁から銀粉含有組成物が金属板と金属板との微小な隙間に入り込み、拡散接合を妨げてしまう場合がある。また、前記第1の工程による押圧が充分でない場合にも、金属板と金属板との間に銀粉含有組成物が入り込み、拡散接合を妨げることがあるので、強固に締め付け押圧することが重要である。
また、塗布後の乾燥は、室温下に放置してもよいし、電気炉等の加熱炉の予熱を用いて行うようにしてもよい。
〔第3の工程〕
空気中(大気下)で、重ね合わせた金属板の融点以下の温度にて熱処理し、重ね合わせた金属板を拡散接合させる。
加熱方法としては、窯や電気炉等の加熱炉に入れて加熱する方法が好適である。また、使用した金属板の種類によって加熱温度は異なるが、銀粉含有組成物の特性から加熱温度は、600〜900℃、好ましくは730〜800℃、加熱時間は30分〜20時間、好ましくは3〜10時間加熱すればよい。
この加熱状態において、前記第2の工程にて塗布した銀粉含有組成物中の大部分を占める銀粉末は焼結し、わずかに残存する水分は蒸散し、微量の有機系バインダは焼失(酸化して分解)するが、その際、酸素が消費されるので、銀粉含有組成物で覆われた金属板の周囲は、酸化防止状態となり、良好な拡散接合が果たされる。
前記第1の工程における(A)の方法では、厚手の鋼材や角型鋼材ごと加熱炉に入れているので、この第3の工程の後、厚手の鋼材や角型鋼材を外して各金属板が拡散接合している金属熱成形体を得る。
前記第1の工程における(B)の方法では、針金等で巻き締めた状態で加熱炉に入れているので、この第3の工程の後、針金や支持板などを外して各金属板が拡散接合している金属熱成形体を得る。
本発明の金属熱成形体の製造方法により得られた金属熱成形体は、模様形成用金属板材であって、拡散接合させるための上記加熱によって前記銀粉含有組成物の焼結被覆物が外面にある状態である。この焼結被覆物の金属熱成形体からの除去は、冷えてからカッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができるが、上述の針金や支持板などを外す際に、一部が自然に剥離され、また必要によって行われる金属熱成形体の後工程(模様形成用金属板材の仕上げ行程)または下記で述べる模様金属板材を製作する初期工程で、通常行われる金属熱成形体をローラーで圧延する際や金槌で打ち延ばしをする際に、その衝撃で自然に剥離される。
本発明の金属熱成形体の製造方法により得られた上記模様形成用金属板材を用いて、次の如き色々な手法によって所望の模様を形成した模様金属板材を製造することができる。
例えば、この模様形成用金属板材の表面に、少なくとも色調を異にする金属に至る深さで任意の形状の凹状部を形成する操作と、前記凹状部が形成された表面を圧延して平坦化する操作とを行って所望の模様を形成する。
具体的一例を示すと、バーナー等にて模様形成用金属板材を金槌等にて打ち延ばし、硬くなったら適宜に熱しながら金槌等にて打ち延ばした後、ドリルや金属ヤスリ、或いは各種の彫刻刀などを用いて少なくとも色調を異にする金属に至る深さの所望の凹状部を形成する。例えばドリルでは円形状の凹状部ができ、金属ヤスリでは帯状の凹状部が形成される。これらの凹状部の配置や組み合わせによって、形成される模様が全く異なったものになる。この所望の模様を形成した状態でも、例えば銀と銅の組み合わせでも、色合い的に面白く、また銅を酸化させて黒色化させても、コントラストが際立って面白いものとなる。
その後、必要に応じて色上げ(着色)処理や表面保護処理等を施すようにしてもよい。色上げ(煮込み着色)処理として、常法通り、砥石、朴炭、朴炭粉などで前記模様金属板を磨き、さらに脱脂を行った後、例えば色上げ用の煮込み液は、使用した金属板によって配合が異なり、緑青、硫酸銅、明礬、水の配合組成を適宜に変更して調製すればよい。この色上げ処理では、銅は茶色になり、煮込むと赤色となる。赤銅は煮込むと漆っぽい黒色になることが知られている。また、これらの色上げ処理の前に、模様金属板材を例えば指輪等の装飾品に加工する処理工程を経るようにしてもよい。
模様形成の他の一例と示すと、模様形成用金属板材を、周面に凹凸を形成した圧印ロールにかけて圧印加工を施し、模様形成用金属板材の表面に直線形の凹状部を複数条形成する。凹状部以外の凸状部については、平面研削により除去してもよい。この圧印加工を用いる方法では、平行に色調の異なる金属部が表れた模様形成板材が得られる。
なお、この方法では、圧印ロールに代えて圧印プレス板を用いてもよく、圧印ロール又は圧印プレス板の圧印面を種々デザインすることにより複雑な形状の模様を形成することができる。
このような圧印加工という機械的手段を用いた場合には、複雑な形状の模様でも機械的に再現することができるので、大量生産に適用してもよし、この圧印加工の後に更にドリル等を用いて任意の凹状部を形成してもよい(すなわちベース加工として前記圧印加工を適用してもよい)。
模様形成の更なる他の一例を示すと、模様形成用金属板材の表面の所望箇所にマスキングを施し、マスキングされていない部分の表面を腐蝕液にて腐蝕除去した後、マスキングを取り除いて表面が平坦になるまでこれを圧延する。このようなマスキングを用いる方法(広義のエッチング)では、所望箇所とそれ以外(背景部分)との色調の異なる模様形成板材が得られる。
なお、この方法では、マスキングを施すに際して、公知のけがき−剥離法、写真製版法等を用いてもよく、その場合にはマスキングとしてマスカント(耐薬品性皮膜)や感光性樹脂などが用いられる。また、腐蝕液としては、使用した金属板の種類に応じて硝酸、塩酸、シアン化ナトリウム、王水などが適宜に使用される。さらに、マスキングを取り除く際には、有機溶剤に浸漬する方法、マスキングが感光性樹脂であれば苛性ソーダ溶液に浸漬する方法などが適宜に採用される。
このようなエッチングという化学的手段を用いると、前述のドリルや金属ヤスリを用いて凹状部を形成する物理的労力が必要ないので、腕力等が非力な作業者でも所望の模様形成を行うことができる。
<第2実施形態>
次ぎに、本発明の第2実施形態に係る金属熱成形体について説明する。
第2実施形態に係る金属熱成形体は、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅可塑性組成物を任意の形状に造形し、この造形体の表面(大気に露出する露出面)全体に、銀粉含有組成物を塗布(被覆)し、大気の下で加熱した後にこの銀粉含有組成物の被覆を除去することにより得られる。
第2実施形態において使用される銀粉含有組成物は、第1実施形態で使用したものと同じであるので、詳細な説明を省略する。
第2実施形態において使用される銅可塑性組成物は、銅粉及び銅合金粉のうち少なくとも一方からなる銅粉末と、有機バインダとを含有する。銅粉末及び有機バインダについては以下に詳述するが、既に各種の銅可塑性組成物が市販されており、それを用いるようにしてもよい。
前記銅粉末は、特に限定するものではないが、平均粒径20μm以下の粒子で、最大で100.0μm程度、最小で0.3μm程度の粉末が好ましく、アトマイズ粉、還元粉など製造方法は特に指定はないが、粒子が球状に近い形状であることが好適に使用される。
前記有機バインダとしては、特に限定するものではないが、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース(カルボキシシメチルセルロース)等のセルロース系バインダ、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系バインダ、澱粉、小麦粉、ブリティシュガム、キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、プルラン等の多糖類系バインダ、ゼラチン等の動物系バインダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニル系バインダ、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系バインダ、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール等のその他樹脂系バインダなどから一種以上のバインダを選択して使用するのが好ましい。セルロース系バインダにおいては、特に水溶性のセルロース系バインダを用いることが最も好ましい。
さらに必要により、添加物として前記有機バインダに下記の物質を加えてもよい。すなわち添加物としては、有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸、クエン酸)、フタル酸−n−ジオクチル、フタル酸−n−ジプチル等の有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,3ブチレングリコール)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)、フェニルプロパンを骨格とする構成単位体が縮合してなる網状高分子であるリグニン、流動パラフィンおよび油脂からなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合物(例えば、オレイン酸を多く含むオリーブ油)などが挙げられる。これら添加物は、可塑性を改善する目的で添加されたり、造形時に銅可塑性組成物が手に付着しないようにする目的で添加されたりする。さらに、上記添加物であるリグニンやグリセリンは、適度な保水性を与える。
さらに添加物としてアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤が挙げられる。上記界面活性剤は、金属粉末とバインダとの混合性が良くなるという作用や保水性を向上させる作用を果たす。
前記有機バインダのうち、水溶性のセルロース系バインダは、可塑性を付与する作用を果たす。また、前記有機バインダのうち、ポリエチレンオキサイドは、低濃度で高い粘性を与え、液状での接着性を向上する作用を果たす。また、アルギン酸ナトリウムは、前記グリセリンと同様に適度な保水性を与えるが、密着向上作用にも寄与する。さらに、ポリアクリル酸エステル及びポリアクリル酸は、粘着性をより強固にする作用を果たす。
有機バインダとして、好ましくは、水を除いた固形分表示で澱粉0.02〜3.0wt%と水溶性のセルロース系バインダ0.02〜3.0wt%を用いるとよい。このうち水溶性のセルロース系バインダについては、前述のように可塑性を付与する作用を果たすが、澱粉は、銅可塑性組成物を乾燥した時の乾燥強度を増大させる作用を果たす。しかし、有機バインダとして澱粉のみを用いると、塗着時に生地割れが発生し易くなる。そこで水溶性のセルロース系バインダを併用することにより、これらの問題を解消できる。この澱粉は、前記の通り銅可塑性組成物中の水を除いた固形分表示で0.02〜3.0wt%を含有するのであるが、0.02wt%より少ないと、乾燥時の強度不足をまねき易くなり、また3.0wt%を越えると、塗着時、生地割れが発生し易くなり、収縮率も増大する。一方、水溶性のセルロース系バインダも前記の通り、水を除いた固形分表示で0.02〜3.0wt%を含有するのであり、0.02wt%より少ないと、可塑性を付与する効果が充分に発揮されず、また3.0wt%を越えると、収縮率が増大する。このような水溶性のセルロース系バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が用いられ、水に溶解して用いる。
上述した澱粉と水溶性のセルロース系バインダとを有機バインダとして用いる銅可塑性組成物中における有機バインダの量として、より好ましい様態としては、有機バインダの合計量が、水を除いた固形分表示で0.1〜4wt%の範囲内であることが望ましい。この場合、有機バインダの量が0.1wt%より少ないと、均質な銅可塑性組成物とすることが難しい。また、塗着、乾燥後の強度が弱くなるといった不都合がある。有機バインダの量が4wt%を越えると、収縮率が大きくなり、ひび割れが生じやすくなる。したがって、有機バインダの量は0.1〜4wt%が望ましい。
ポリエチレンオキサイドを用いる場合には、分子量10万〜数百万のポリエチレンオキサイドを0.1〜3wt%の範囲内のものを用いることが望ましい。
また、界面活性剤を用いる場合には、0.03〜3wt%の範囲内であることが望ましく、油脂を用いる場合には、0.1〜3重量%の範囲内であることが望ましい。
水は必要量加えるものとし、少なすぎると硬くなって造形し難く、多すぎると形状が保てなくなる。この銅可塑性組成物は、水の含有量により、粘土状でもペースト状でもスラリー状にも調製できる。
前記好適な組成では、銅又は銅合金の粉末は75〜99wt%であるが、少なすぎると、収縮が大きくなり、焼結にも支障を生じ、多すぎると、その分、有機バインダ及び水の割合が少なくなって、造形に支障を生ずる。
次に、第2実施形態に係る金属焼結体の製造方法について説明する。
まず、第1の工程として、前記した銅粉末等が含まれる銅可塑性組成物を所望の形状に造形する。
次に、第2の工程として、造形された銅可塑性組成物の露出表面の全体に、前記した銀粉含有組成物を塗布(被覆)し、これを乾燥させる。
なお、銀、金、白金やこれらの合金から選択される貴金属粉末と有機系バインダとを含む貴金属可塑性組成物と、前記銅可塑性組成物とを組み合わせて造形した被加熱処理体においては、銅可塑性組成物の露出面のみに、銀粉末及び有機系バインダを含む銀粉含有組成物を被覆する。これは、貴金属可塑性組成物を大気中で加熱しても、有機系バインダは燃焼しても貴金属粉末は酸化されることなく焼結物となるためである。
さらに、貴金属可塑性組成物に銀粉含有組成物を被覆して加熱すると、銀粉含有組成物と同質の貴金属可塑性組成物の場合には、貴金属可塑性組成物の貴金属と前記銀粉含有組成物の銀とが一体になった焼結品となりやすく、銀粉含有組成物の焼結被覆物のみを剥離することが困難になるためである。
続いて、第3の工程として、大気下で、銅可塑性組成物を加熱して焼結体にするとともに、その表面の銀粉含有組成物の被覆を焼結させる。
加熱方法としては、窯や電気炉等の加熱炉に入れて加熱する方法が好適である。また、使用した銅又は銅合金の種類によって加熱温度は異なるが、銀粉含有組成物の特性も考慮して加熱温度は、600〜900℃、好ましくは730〜800℃、加熱時間は30分〜20時間、好ましくは3〜10時間加熱すればよい。加熱炉内にて銅可塑性組成物内の有機系バインダと銀粉含有組成物内の有機系バインダとが、それぞれ燃焼して酸素が消費され、銅可塑性組成物内の銅粉末又は銅合金粉末相互が焼結すると共に、銀粉含有組成物においても銀粉同士が焼結して塗り付け形状を維持するため、酸素の侵入を防止して良好に金属熱成形体である銅可塑性組成物の焼結体が得られる。
そして、第4の工程として、この銀粉含有組成物の焼結被覆物を除去し、銅可塑性組成物の焼結体(金属熱成形体)を得る。
得られた銅可塑性組成物の焼結体からの前記銀粉含有組成物の焼結被覆物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができる。これは、銀粉含有組成物と銅可塑性組成物とでは、焼結するタイミング、速度が異なっており、さらに焼結による線収縮率が異なっているためと思われる。
この焼結体は、銀粉含有組成物の焼結被覆物により空気から遮断された状態でかつ、銅可塑性組成物や銀粉含有組成物に含まれる有機バインダの燃焼反応による還元性雰囲気下で熱成形されたものであるので、酸化が抑制された良好な表面性状を備えている。
<第3実施形態>
次ぎに、本発明の第3実施形態に係る金属熱成形体について説明する。
第3実施形態に係る金属熱成形体は、被加飾部材の表面に、銅粉含有ペースト組成物を付着させ、さらにその大気側の露出面に銀粉含有組成物を塗布(被覆)し、大気の下で加熱した後にこの銀粉含有組成物の被覆を除去することにより得られる。なお、付着させる銅粉含有ペースト組成物は、被加飾部材の表面の一部である場合も、全体である場合もある。
第3実施形態において使用される銀粉含有組成物は、第1及び第2実施形態で使用したものと同じであるので、詳細な説明を省略する。
第3実施形態において使用される被加飾部材は、陶磁器、ガラス等のセラミック材料、銀、金等の貴金属板または貴金属焼結体、フェライト系またはオーステナイト系ステンレス鋼等の不銹性金属板など、更には銅、Cu−Zn系合金、Cu−Sn系合金、Cu−Au系合金、Cu−Al系合金等の大気中での加熱によって酸化されやすい金属板または焼結体等の無機材料が挙げられる。
第3実施形態において使用される銅粉含有ペースト組成物は、銅粉及び銅合金粉のうち少なくとも一方からなる銅粉末と、必要により加えられるBi,Se,In,Sn,Zn及びそれらの合金からなる群から選択される一種以上の焼結促進剤と、同様に必要により加えられる炭酸リチウム、酸化亜鉛、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸化バナジウム、炭酸鉛、ガラス粉末からなる群から選択される一種以上の密着向上剤とからなる無機粉末と、水性バインダー又は油性バインダーとを含有する。
この銅粉末は、収縮を抑えるために粒径、形状の揃ったものを使用することが好ましく、粒度は1〜50μm、形状はほぼ球状であることが望ましい。これにより銅粉含有ペースト組成物の収縮が抑えられ、厚塗りが可能になる。この銅粉末は、無機粉末中に70〜99wt%の範囲で含有させる。より好ましくは75〜95wt%の範囲で含有させる。
また銅粉含有ペースト組成物の焼結を促進させるために、前記焼結促進剤を用いてもよい。この焼結促進剤は、粒度が粗すぎるとその効果は低減し、粒度が細かすぎると収縮が大きくなるため、前記貴金属粉末と同様に粒度は1〜50μm、形状はほぼ球状であることが望ましい。この焼結促進剤は、前記無機粉末中に10wt%を超えない範囲、即ち0〜10wt%の範囲で含有させる。より好ましくは0〜5wt%の範囲で含有させる。この焼結促進剤の添加量が10wt%を越えると焼結後、銅焼結膜やその周囲が変色して美観を損なうことがあり、装飾的価値が低下する。
さらに、銅粉含有ペースト組成物の被加飾部材に対する密着性を向上させるために前記密着性向上剤を用いても良い。被加飾部材がセラミック材料や金属焼結体からなる場合は、前記密着向上剤が熱溶融してガラス質になり、釉薬として機能して高い接着性を付与する。
この密着向上剤は、粒度が粗すぎるとその効果は低減し、粒度が細かすぎると収縮が大きくなるため、前記貴金属粉末と同様に粒度は1〜50μm、形状はほぼ球状であることが望ましい。また、この密着向上剤は、これらは無機粉末中に0〜10wt%の範囲(ガラス粉末と上述した他の密着向上剤の両方を併用する場合は合計量が0〜20wt%の範囲)で含有させる。より好ましくはそれぞれ1〜5wt%の範囲、合計量が1〜10wt%の範囲で含有させる。この範囲を越えると焼結後、銅粉末がこの密着向上剤と共に融け出し、銅粉末が溶けた密着向上剤中へ拡散することにより銅焼結膜やその周囲が変色して美観を損なうことがあり、装飾的価値が低下する。
水性バインダとしては、水溶液濃度が1〜10%で800〜10000cpを示す高分子の水溶性有機結合剤の水溶液であり、その配合について限定するものではないが、例えばセルロース類やデキストリン類、グリセリン等を用いることができる。特にデキストリン類を用いることにより、被加飾部材のガラス面や金属面などの撥水性を抑え、接着性を向上することができる。セルロース類やグリセリンは、焼結用組成物に保水性を持たせ、使用感の向上をもたらすと共に前記デキストリン類と同様にガラス面との接着性向上にも寄与する。デキストリン類は水性バインダー中の1〜5%、セルロース類は1〜5%、残りは水と防腐剤の範囲で効果を示す。その他、どのような添加剤を配合しても良い。この水性バインダーは、前記の無機粉末合計量に対して5〜30wt%の範囲で添加し、粘土状或いは泥奬状の焼結用組成物とする。この水性バインダーの添加量が5wt%より少ないと混練できないほど硬くなり、30wt%を越えると流動性が高くなりすぎて厚塗りに適さない。
油性バインダーとしては、アクリル系樹脂などの高分子有機系結合材料を使用する。例えば、油絵の具などに使用されるスキージオイル(商標)などがその代表であるが、特に限定するものではなく、またどのような添加剤を配合しても良い。これも前記水性バインダー同様、800〜10000cpを示す高分子の有機系結合剤を使用し、前記の無機粉末合計量に対して5〜30wt%の範囲で添加し、粘土状或いは泥奬状の焼結用組成物とする。この油性バインダーの添加量が5wt%より少ないと混練できないほど硬くなり、30wt%を越えると流動性が高くなりすぎて厚塗りに適さない。
このように構成される銅粉含有ペースト組成物は、ペースト状又は粘土状にして任意形状で被加飾部材の表面に付着させ、加熱して焼結させることができる。そして、焼結した銅粉含有ペースト組成物は、被加飾部材の表面に対し高い密着(接着)性を示す。
次に、第3実施形態に係る金属熱成形体の製造方法について説明する。
まず、第1の工程として、前記した銅粉含有ペースト組成物を前記被加飾部材の表面の一部/又は全部に、所望の模様になるように、塗布する(付着させる)。
次に、第2の工程として、塗布された銅粉含有ペースト組成物の露出表面の全体に、前記した銀粉含有組成物を塗布(被覆)し、これを乾燥させる。
当然、大気中での加熱によって酸化されやすい金属板または焼結体を前記被加飾部材として用いる場合には、前記銅粉含有ペースト組成物の表面のみならず、その被加飾部材にも銀粉含有組成物を被覆して熱成形を行うのが好ましい。
続いて、第3の工程として、大気下で、銅粉含有ペースト組成物を加熱して焼結体にするとともに、その表面に銀粉含有組成物の被覆を焼結させる。
加熱方法としては、窯や電気炉等の加熱炉に入れて加熱する方法が好適である。また、銅粉含有ペースト組成物の使用した銅又は銅合金の種類によって加熱温度は異なるが、銀粉含有組成物の特性も考慮して加熱温度は、600〜900℃、好ましくは700〜800℃、加熱時間は3分〜1時間、好ましくは5〜30分間加熱すればよい。加熱炉内にて銅粉含有ペースト組成物の水性又は油性バインダと銀粉含有組成物内の有機系バインダとが、それぞれ燃焼して酸素が消費され、銅粉含有ペースト組成物内の銅粉末又は銅合金粉末相互が焼結すると共に、銀粉含有組成物においても銀粉同士が焼結して塗り付け形状を維持するため、酸素の侵入を防止して良好に前記被加飾部材上に銅粉含有ペースト組成物の所望の模様形状の焼結体(金属熱成形体)が得られる。
次いで、第4の工程として、この銀粉含有組成物の焼結被覆物を除去し、前記被加飾部材上に形成された銅粉含有ペースト組成物の焼結体(金属熱成形体)を得る。
得られた銅可塑性組成物の焼結体からの前記銀粉含有組成物の焼結被覆物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができる。これは、銀粉含有組成物と銅粉含有ペースト組成物とでは、焼結するタイミング、速度が異なっており、さらに焼結による線収縮率が異なっているためと思われる。
この焼結体は、銀粉含有組成物の焼結被覆物により空気から遮断された状態でかつ、銅粉含有ペースト組成物や銀粉含有組成物に含まれるバインダの燃焼反応による還元性雰囲気下で熱成形されたものであるので、酸化が抑制された良好な表面性状を備えている。
被加飾部材の表面上に焼結した銅又は銅合金の銅焼結膜は、その成分の違いによって、例えば、緑青、硫酸銅、明礬及び水の配合組成を適宜に調製した煮込み液で酸化被膜を人工的に形成して着色する煮込み着色を行うことができる。着色される色合いは、銅の成分比により異なり、例えば、銅は柿朱、赤銅は青味がかった黒、四分一(銅75wt%、銀wt25%の合金)は、グレイ、真鍮は金茶色になる。したがって、銅粉末又は銅合金粉末の組成を変えた各種銅粉含有ペースト組成物を被加飾部材の表面に模様を形成する如く付着させて、それを焼結させて常法の煮込み着色を行うことによって、希望する色々な色合いを有する模様を形成でき、言わば絵の具感覚で被加飾部材の表面上に模様を形成することができる。
以上の説明において、実施形態に係る金属熱成形体は、加熱する前の被加熱処理体として、色調の異なる複数の金属板を重ね合わせたものを拡散接合させたものと、銅粉末を含む銅可塑性組成物を造形した後に焼結させたものと、被加飾部材の表面に銅粉含有ペースト組成物を付着させて接触面において焼結させたものと、の3例を示した。しかし、これらは例示であって、本発明は、大気の下で加熱すると酸化の影響を受け易い金属熱成形体に広く適用することができる。つまり、被加熱処理体の露出面に銀粉含有組成物を被覆させ、熱処理によりこの露出面に成膜して大気遮断することにより酸化の影響を排除することができる。
<色調が異なる複数の金属板を重ね合わせた被加熱処理体から金属熱成形体を得る場合>
〈使用した原材料〉
使用した金属板は、銅板及び銀板であり、それぞれ焼きなまし処理をしていないものを用意した。
銅板・・・20×20×1mm・・・10枚
銀板(Ag92.5%)・・・20×20×1mm・・・10枚
各銅板、各銀板は、既にローラー加工により強度の異方性があり、積み重ねる金属板の方向を揃えるために、圧延した方向に一致させて各銅板、各銀板の側面の一箇所に、糸ノコで少し印を付けた。
また、各金属板の表面を紙ヤスリや#300位のスポンジヤスリで荒らした後、10%の希硫酸に入れ、酸化皮膜を除去した。さらに、中性洗剤を入れた洗浄液の中に金属板を入れ、超音波洗浄をし、脱脂した後、よく水洗いし、洗剤を洗い流した。
使用した銀粉含有組成物は、平均粒径2.5μmの銀粉末50%(40wt%)、平均粒径20μmの銀粉末50%(40wt%)からなる銀混合粉末(80wt%)を、水溶性バインダとして、でんぷん0.5wt%、セルロース0.7wt%、残部を水として、十分に混ぜ、銀ペースト(銀粉含有組成物)とした。
〈実施例1;模様形成用金属板材の製造1〉
前記金属板(銅板と銀板)を、使用準備として板状に圧延した方向に一致させて、それぞれの側面の一箇所に、糸ノコで少し印をつけ、その印を同じ方向を向くように糸ノコで作った印を揃えながら交互に積み重ね、金属板を押さえるため、厚み4mm程度のL鋼材を切って支持板とした。
支持板(鉄板)と金属板は、接合しないように鉄板にとの粉を塗っておいた。
次に、重ねた金属板を、クランプに固定し、側縁部に粘着テープを貼って重ね合わせ金属板を固定した。
続いて、支持板で挟んだ重ね合わせた金属板を、2mmφの針金で挟み込み、さらに針金ごと万力に固定して強く締め付けた(実圧約12kg/cm2)。
締め付けた状態で、針金をペンチでねじり込んで固定し、押圧力を維持した。
そして、粘着テープを剥がした後、重ね合わせた金属板の合わせ目周縁に前記組成の銀ペースト(銀粉含有組成物)を筆で塗り、2〜3回程度筆を往復させて塗って覆った。
この状態で、銀ペーストを乾燥させた。乾燥膜厚は0.1〜0.3mmであった。
それを針金ごと電気炉に入れ、730〜760℃で10時間加熱した。電気炉の電源を切り、室温下で放冷し、針金を外し、上下の支持板(鉄板)を取って模様形成用金属板材とした。この模様形成用金属板材の加熱炉から出した状態を図1に示した。
なお、図1における符号1は模様形成用金属板材、2は銅板、3は銀板、4は支持板(鉄板)、5は針金、6は印、7はとの粉、8は銀ペーストの焼結被覆物である。
〈実施例2;模様形成用金属板材の製造2〉
前記金属板(銅板と銀板)を、使用準備として板状に圧延した方向に一致させて、それぞれの側面の一箇所に、糸ノコで少し印をつけ、その印を同じ方向を向くように糸ノコで作った印を揃えながら交互に積み重ね、側縁に粘着テープを貼って重ね合わせた金属板を固定した。
2本の角型鋼材の両端にボルトが架け渡されている治具を用意し、角型鋼材の間に重ね合わせた金属板を挟み込んだ。
角型鋼材と金属板は、接合しないように角型鋼材にとの粉を塗っておいた。
続いて、前記2本のボルトにナットを締め込み、角型鋼材間に重ね合わせた金属板を挟み込み、強く締め付けた(実圧約14kg/cm2)。
そして、粘着テープを剥がした後、重ね合わせた金属板の合わせ目周縁に前記組成の銀ペーストを筆で塗り、2〜3回程度筆を往復させて塗って覆った。
この状態で、銀ペーストを乾燥させた。乾燥膜厚は0.1〜0.3mmであった。
それを針金ごと電気炉に入れ、730〜760℃で8時間加熱した。電気炉の電源を切り、室温下で放冷し、上下の角型鋼材を取って模様形成用金属板材とした。この模様形成用金属板材の加熱炉から出した状態を図2に示した。銀ペーストの乾燥膜厚は焼結し焼結被覆物となって模様形成用金属板材を覆っていた。
なお、図2における符号2は銅板、3は銀板、6は印、7はとの粉、8は銀ペーストの焼結被覆物、9は角型鋼材、10はボルトの挿通孔、11はボルト、12は締め付けナットである。
〈模様金属板材の製造〉
前記実施例1,2にて得られた模様形成用金属板材をバーナーにて熱し、軟らかくしたところで、熱いうちに金槌で打ち延ばし、厚さが3mm程度(面積は4〜5倍程度になっている)になるようにした。模様形成用金属板材銀を覆っていたペースト(銀粉含有組成物)の焼結被覆物は、この金槌で打ち延ばし作業で自然に剥離された。
この模様形成用金属板材の表面に、電動ドリルを用いて下の金属面が数段露出する円形状の凹状部を十数カ所に形成し、また金属ヤスリにて下の金属面が数段露出する線状(帯状)の凹状部を無数に形成した。これを金槌で叩いて平らにし、場合によっては表面を削って模様を作っていった。
さらに、糸ノコでの印を確かめて、伸ばしやすい方向に(前述した「使用準備として板状に圧延した方向に」)ローラーをかけ、厚みが1mm程度(面積は60×110mm程度になるように延ばした。この状態で銅は酸化した部分が黒く発色し、銀とのコントラストは鮮やかである。これで、模様金属板の完成であるが、必要により色上げ行程を行う。
色上げ(煮込み着色)工程として、常法通り、砥石、朴炭、朴炭粉などで前記模様金属板を磨き、さらに脱脂を行った後、緑青6g、硫酸銅6g、水2Lにて構成される煮込み液中に沈め、加熱しながら、模様金属板材の発色状況を確認した。銅は赤系(柿朱色)に変色するので、視覚的興趣に富んだ美麗な模様が描かれた模様金属板材が得られる。
〔比較例1〕
前記実施例1における銀ペーストに代えて炭ととの粉を混ぜたものを用いた以外は全く同様にして模様形成用金属板材を作製した。但し、炭ととの粉は、薄く塗り付け難いため、約1〜2mm程度に厚く塗った。
その結果、加熱炉から取り出した状態で、二箇所にて離反し、拡散接合が充分でなかったことが明らかとなった。さらに金槌で打ち延ばす処理を行うことにより、バラバラになることが容易に予測されたので、それ以後の処理は中止した。
〔比較例2〕
前記実施例2における銀ペーストに代えて炭ととの粉を混ぜたものを用いた以外は全く同様にして模様形成用金属板材を作製した。但し、炭ととの粉は、薄く塗り付け難いため、約1〜2mm程度に厚く塗った。
その結果、加熱炉から取り出した状態で、一箇所にて離反し、拡散接合が充分でなかったことが明らかとなった。さらに金槌で打ち延ばす処理を行うことにより、バラバラになることが容易に予測されたので、それ以後の処理は中止した。
<銅粉末を含む銅可塑性組成物を造形した被加熱処理体から金属熱成形体を得る場合>
〈使用した原材料〉
銅粘土(銅可塑性組成物)を構成する銅粉末は、平均粒径5μmの銅粉末50重量%と、平均粒径40μmの銅粉末50重量%とを混合した銅混合粉末を用意した。この銅混合粉末90重量%と、有機バインダーとしてのメチルセルロース1.04重量%、澱粉0.78重量%及び水8.18重量%とを十分に混合して、手やヘラ、さらには型枠にて所望のデザインに造形できる粘土状にした。
〈実施例3〉
銅粘土をローラーで2mm厚にのばし、20×20mmのプレート状に切り抜き、乾燥させた。次に、乾燥させた銅粘土プレート(被加熱処理体)の全体を覆うように銀ペースト(銀粉含有組成物)をスパチュラ(粘土べら)で盛り付けて、厚みが約0.5mmとなるように塗布する。
塗布した銀ペーストが完全に乾燥したところで、セラミックファイバーボードの上に銅粘土プレートを置き、780℃に昇温した電気炉の中で4時間保持し、加熱成形する。この加熱成形により、銅粘土プレートは焼結して銅焼結体(金属熱成形体)となり、銀ペーストも焼結し、銀被膜が銅焼結体の表面に成膜した銀被覆銅焼結体が得られる。
加熱成形が終了したところで、電気炉からこの銀被覆銅焼結体を取り出し、その辺の部分の銀被膜を銅焼結体が見えるまで棒ヤスリ等で削る。そして、銀被膜と銅焼結体との隙間からカッター刃のような先端鋭利なものを差し込んでこの隙間を広げ、ニッパー等で銀被膜をめくり上げて銅焼結体から分離する。この時点で分離された銅焼結体は、目視判断において、その表面に非常に薄い酸化膜が形成されていることが認められる。
次に、薄い酸化膜が表面に形成されている銅焼結体を、5重量%希硫酸水溶液に10分程度浸してから水洗し、ステンレスブラシで全体を磨いた後、スポンジ研磨材で磨き、最後に金属研磨剤を少量つけたシルバークロスで磨き仕上げると、銅金属に特有の赤褐色の光沢が得られる。
加熱成形後、銅焼結体(金属熱成形体)の表面に形成された酸化膜は、非常に薄いために、銅焼結体の寸法を目減りさせることはなかった。
〈比較例3〉
実施例3の場合と対比して、銀ペーストの塗布を実施しないことを除き、共通の処理をして比較例3に係る銅焼結体を得る。この場合、加熱過程において、銅粘土プレートの表面は、常に酸化の影響を受けることになる。
この比較例3に係る銅焼結体は、表面から0.1〜0.3mm程度の酸化膜がぽろぽろとはがれ落ちる程に、厚い酸化膜が形成されている。
さらに、この比較例3に係る銅焼結体を実施例3と同様の磨き仕上げを実施すると最終的に得られるものは実施例3のものと比較してかなり目減りした。
この実施例3及び比較例3の結果から、銅粘土(銅可塑性組成物)に銀ペースト(銀粉含有組成物)を塗布(被覆)することにより、大気中で焼結(熱成形)しても、銅焼結体(金属熱成形体)の表面酸化を効果的に防止することができることが立証された。
これにより、銅粘土(銅可塑性組成物)から銅焼結体(金属熱成形体)を精密に造形することができるといえる。
<被加飾部材の表面に銅粉含有ペースト組成物を付着させた被加熱処理体から金属熱成形体を得る場合>
〈使用した原材料〉
銅ペースト(銅粉含有ペースト組成物)は、平均粒径5.0μmの銅粉末が90.0wt%、焼結促進剤として平均粒径1.0μmのビスマス粉末が1.0wt%、有機バインダとしてスキージオイルOS‐4500(商標)(互応化学工業株式会社製;アクリル酸エステル共重合物の有機溶剤溶解物)が9.0wt%の割合で配合されたものである。
被加飾部材は、特別な加工等を実施していない銀板(20×20×0.5mm)を用いた。
なお、使用した銀ペースト(銀粉含有組成物)は、実施例1,2,3で使用したものと同じものである。
〈実施例4〉
銀板(被加飾部材)の中心に直径10.0mm程度の円を書くように銅ペースト(銅粉含有ペースト組成物)をスパチュラで盛り付け付着させる(この場合、付着させた銅ペーストの重量は0.08gから0.10gであった)。このように、作製された銀板+銅ペーストの積層体を、100℃設定の乾燥機に1時間静置し、乾燥する。
さらに、この乾燥した銅ペーストの上に、銀ペースト(銀粉含有組成物)を塗布し、作製された銀板+銅ペースト+銀ペーストの積層体を、再び100℃設定の乾燥機に1時間静置し、乾燥する。
このように乾燥させた銀板+銅ペースト+銀ペーストの積層体を、セラミックファイバーボードの上に置き、特に雰囲気を調整しない電気炉内において780℃で5分間保持し、加熱成形する。この加熱成形により、銅ペーストは銀板との接触面に焼結して銅付着膜(金属熱成形体)となり、この銅付着膜の接触面の反対面には銀ペーストが焼結した銀被膜により被覆される。
加熱成形が終了したところで、電気炉からこの積層体を取り出し徐冷した後に、磨きヘラなどで、この銀被膜を容易に剥離することができる。これは銅ペーストと銀ペーストの収縮の違いが原因で、若干の隙間又は亀裂が生じていることによる。
そして、この銀被膜の下から現れた銅付着膜(金属熱成形体)の表面は、金属銅に特有の赤褐色を帯びているのが認められる。この実施例4の結果は、次の説明する比較例4A,4Bと対比して最も優れた、表面酸化の防止効果を発揮している。
〈比較例4A〉
実施例4の場合と対比して、銀ペーストの塗布を実施しないことを除き、共通の処理をして比較例4Aに係る銅付着膜を銀板上に焼結させた。
比較例4Aの銅付着膜の表面は、黒色で、厚い酸化膜で覆われていることが認められる。さらに銅付着膜をこの磨きヘラ等で研磨していくと銅付着膜の内部まで酸化が進行しており、金属銅に固有の色を留めていないことが認められた。
この実施例4及び比較例4Aの結果から、銀板(被加飾部材)に銅ペースト(銅粉含有ペースト組成物)を付着させ、さらにその上に銀ペースト(銀粉含有組成物)を塗布(被覆)することにより、大気中で焼結(熱成形)しても、銅付着膜(金属熱成形体)の表面酸化を効果的に防止することができることが立証された。
これにより、銀板(被加飾部材)に銅ペースト(銅粉含有ペースト組成物)を付着させて、緻密な模様を形成することができるといえる。
〈比較例4B〉
実施例4の場合と対比して、銀ペーストの塗布を実施せず、さらに加熱する雰囲気を次の手段にて還元性にしたことを除き、共通の処理をして比較例4Bに係る銅付着膜を銀板上に焼結させた。
この還元性の雰囲気は、用意した蓋付きステンレス製のシャーレに、銀板+銅ペーストの積層体と炭とを入れることにより実現した。
得られた結果は、銀板上の銅付着膜は、その表面に薄い酸化膜が留まって、金属銅の色がほぼ保たれている状態であった。
しかし、問題として次の点が明らかになった。
まず、シャーレ内に存在する酸素と炭が反応して還元性雰囲気を形成する過程において、シャーレの状態とその内部に存在する酸素および炭の量に依存して温度が大きく変化することが認められた。
ステンレスシャーレにステンレスの蓋を置いただけの完全に密閉していない場合、酸素が進入し炭との反応が促進され、シャーレ内が電気炉の設定温度よりも高温となること、更に電気炉から取り出した後もシャーレ内部が熱せられ、必要以上に加熱されることなど温度調節が難しく、その結果、銅付着膜が銀板と部分的に合金化してしまったり、銅付着膜の付着領域が融解して穴となってしまったりする場合があった。
また、ステンレスシャーレにステンレス蓋を溶接密着させ完全に密閉した場合、酸素の量は特定されるが、炭の量が少ないと酸素との反応が十分に行われず、銅ヘ゜ーストの酸化は進行してしまうことから、シャーレの容積(大きさ)や作品の大きさによって、炭の適正量を知る必要があった。
したがって、比較例4Bでは、シャーレと炭を用いた還元雰囲気下での焼成は有効ではあるが、シャーレの大きさ、炭の適正量、酸素の進入度合などを調整する因子が多く存在し、それを知るためには試行錯誤と熟練が必要となる問題がある。
また、シャーレ等の還元容器を準備する必要があり、その大きさにより内部収容できる金属熱成形体の容量が制限される問題もある。
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、大気中で加熱することにより酸化する金属が含まれている被加熱処理体の露出面に、銀粉末及び有機系バインダを含む銀粉含有組成物を被覆する工程と、被覆された前記被加熱処理体を大気中で加熱するとことによって熱成形する工程と、前記大気中で加熱した後に得られた金属熱成形体から、共に加熱された前記銀粉含有組成物の少なくとも一部除去する工程とを、含むことを特徴とする金属熱成形体の製造方法に関するものである。
このように発明が構成されることにより、前記被加熱処理体を加熱する工程において、前記銀粉含有組成物は、焼結して前記露出面を緻密に覆う被膜となり、酸素の侵入を防止する。さらに、有機系バインダが熱分解することにより露出面の近傍が還元性雰囲気になり、この露出面から内部に進行する酸化を抑制することができる。
なお、被加熱処理体の露出面に、銀粉含有組成物を被覆させる方法としては、ペースト状にした銀粉含有組成物を筆や刷毛等で塗布する方法が一般的であるがこれに限定されるものではない。
前述の従来技術において、金属板を重ね合わせて被加熱処理体とし、その周縁に炭ととの粉の混合物を塗り付ける方法は、塗り付けた直後や加熱炉に入れる直前には粘土状であるが、加熱炉内にて炭が燃焼すると、酸素は消費されるものの、その塗り付け形状を維持できないため、酸素が侵入して金属板が酸化し、拡散接合が不充分となる。
これに対し、本発明では、前記した被加熱処理体における重ね合わせた複数の金属板間の合わせ目周縁を銀粉含有組成物で覆うので、加熱炉内にて有機系バインダが燃焼して酸素が消費され、残る銀粉は銀粉同士が焼結して塗り付け形状を維持するため、酸素の侵入を防止して良好に拡散接合された金属熱成形体が得られる。
得られた金属熱成形体は、模様形成用金属板材として好適に使用できる。得られた金属熱成形体から、共に加熱された当該銀粉含有組成物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができるが、得られた金属熱成形体の後工程(模様形成用金属板材の仕上げ行程)または模様金属板材を製作する初期工程で、通常行われる金属熱成形体を圧延や金槌で打ち延ばしをする行程の際に、その衝撃で自然に剥離される。
本発明は、前記の方法において、前記被加熱処理体は、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅可塑性組成物を造形したものであって、前記露出面は、前記銅可塑性組成物の表面を指し、前記熱成形は、前記銅可塑性組成物の銅又は銅合金が焼結することを意味することを特徴とする金属熱成形体の製造方法をも提供する。
これにより、銅粉末等が含まれる銅可塑性組成物を、任意形状に造形してから、その表面全体に銀粉含有組成物を被覆して、加熱されることになる。これにより、銅可塑性組成物は、造形された任意形状を維持した状態で焼結するとともに、その表面は共に加熱された当該銀粉含有組成物が焼結して緻密な被覆となることにより表面酸化が防止される。得られた金属熱成形体からの共に加熱された当該銀粉含有組成物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができる。
なお、銀、金、白金やこれらの合金から選択される貴金属粉末と有機系バインダとを含む貴金属可塑性組成物と、前記銅可塑性組成物とを組み合わせて造形した前記被加熱処理体においては、前記銅可塑性組成物の露出面のみに、銀粉末及び有機系バインダを含む銀粉含有組成物を被覆する。これは、貴金属可塑性組成物を大気中で加熱しても、有機系バインダは燃焼しても貴金属粉末は酸化されることなく焼結物となるためである。さらに、前記貴金属可塑性組成物に前記銀粉含有組成物を被覆して加熱すると、銀粉含有組成物と同質の貴金属可塑性物質の場合には、貴金属可塑性組成物の貴金属と前記銀粉含有組成物の銀とが一体になった焼結品となりやすく、共に加熱された当該銀粉含有組成物のみを剥離することが困難になるためである。
本発明は、前記の方法において、前記被加熱処理体は、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅粉含有ペースト組成物を被加飾部材の表面の一部/又は全部に付着させたものであって、前記露出面は、付着させた前記銅粉含有ペースト組成物の表面を指し、前記熱成形は、前記銅粉含有ペースト組成物の銅粉末又は銅合金粉末が前記被加飾部材上で焼結することを意味することを特徴とする金属熱成形体の製造方法をも提供する。
これにより、加飾部材の表面に付着させた銅粉含有ペースト組成物の上に、銀粉含有組成物が被覆され、加熱されることになる。これにより、銅粉含有ペースト組成物は、共に加熱された当該銀粉含有組成物が焼結により緻密な被膜となり表面酸化が防止され、その表面を維持した状態で焼結することになる。また、得られた金属熱成形体から、共に加熱された当該銀粉含有組成物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができる。
1 模様形成用金属板材
2 銅板
3 銀板
4 支持板
5 針金
6 印
7 との粉
加熱された銀ペース
9 角型鋼材
10 挿通孔
11 ボルト
12 締め付けナット
本発明の金属熱成形体の製造方法により得られた金属熱成形体は、模様形成用金属板材であって、拡散接合させるための上記加熱によって焼結し緻密になった前記銀粉含有組成物が外面にある状態である。この共に加熱された銀粉含有組成物の金属熱成形体からの除去は、冷えてからカッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができるが、上述の針金や支持板などを外す際に、一部が自然に剥離され、また必要によって行われる金属熱成形体の後工程(模様形成用金属板材の仕上げ行程)または下記で述べる模様金属板材を製作する初期工程で、通常行われる金属熱成形体をローラーで圧延する際や金槌で打ち延ばしをする際に、その衝撃で自然に剥離される。
本発明の金属熱成形体の製造方法により得られた上記模様形成用金属板材を用いて、次の如き色々な手法によって所望の模様を形成した模様金属板材を製造することができる。
例えば、この模様形成用金属板材の表面に、少なくとも色調を異にする金属に至る深さで任意の形状の凹状部を形成する操作と、前記凹状部が形成された表面を圧延して平坦化する操作とを行って所望の模様を形成する。
なお、銀、金、白金やこれらの合金から選択される貴金属粉末と有機系バインダとを含む貴金属可塑性組成物と、前記銅可塑性組成物とを組み合わせて造形した被加熱処理体においては、銅可塑性組成物の露出面のみに、銀粉末及び有機系バインダを含む銀粉含有組成物を被覆する。これは、貴金属可塑性組成物を大気中で加熱しても、有機系バインダは燃焼しても貴金属粉末は酸化されることなく焼結物となるためである。
さらに、貴金属可塑性組成物に銀粉含有組成物を被覆して加熱すると、銀粉含有組成物と同質の貴金属可塑性組成物の場合には、貴金属可塑性組成物の貴金属と前記銀粉含有組成物の銀とが一体になった焼結品となりやすく、共に加熱された当該銀粉含有組成物のみを剥離することが困難になるためである。
そして、第4の工程として、この共に加熱された当該銀粉含有組成物を除去し、銅可塑性組成物の焼結体(金属熱成形体)を得る。
得られた銅可塑性組成物の焼結体からの共に加熱された当該銀粉含有組成物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができる。これは、銀粉含有組成物と銅可塑性組成物とでは、焼結するタイミング、速度が異なっており、さらに焼結による線収縮率が異なっているためと思われる。
この焼結体は、加熱された当該銀粉含有組成物により空気から遮断された状態でかつ、銅可塑性組成物や銀粉含有組成物に含まれる有機バインダの燃焼反応による還元性雰囲気下で熱成形されたものであるので、酸化が抑制された良好な表面性状を備えている。
次いで、第4の工程として、共に加熱された当該銀粉含有組成物を除去し、前記被加飾部材上に形成された銅粉含有ペースト組成物の焼結体(金属熱成形体)を得る。
得られた銅可塑性組成物の焼結体からの共に加熱された当該銀粉含有組成物の除去は、カッター刃や磨きヘラなどで容易に剥離することができる。これは、銀粉含有組成物と銅粉含有ペースト組成物とでは、焼結するタイミング、速度が異なっており、さらに焼結による線収縮率が異なっているためと思われる。
この焼結体は、共に加熱された当該銀粉含有組成物により空気から遮断された状態でかつ、銅粉含有ペースト組成物や銀粉含有組成物に含まれるバインダの燃焼反応による還元性雰囲気下で熱成形されたものであるので、酸化が抑制された良好な表面性状を備えている。
〈実施例1;模様形成用金属板材の製造1〉
前記金属板(銅板と銀板)を、使用準備として板状に圧延した方向に一致させて、それぞれの側面の一箇所に、糸ノコで少し印をつけ、その印を同じ方向を向くように糸ノコで作った印を揃えながら交互に積み重ね、金属板を押さえるため、厚み4mm程度のL鋼材を切って支持板とした。
支持板(鉄板)と金属板は、接合しないように鉄板にとの粉を塗っておいた。
次に、重ねた金属板を、クランプに固定し、側縁部に粘着テープを貼って重ね合わせ金属板を固定した。
続いて、支持板で挟んだ重ね合わせた金属板を、2mmφの針金で挟み込み、さらに針金ごと万力に固定して強く締め付けた(実圧約12kg/cm2)。
締め付けた状態で、針金をペンチでねじり込んで固定し、押圧力を維持した。
そして、粘着テープを剥がした後、重ね合わせた金属板の合わせ目周縁に前記組成の銀ペースト(銀粉含有組成物)を筆で塗り、2〜3回程度筆を往復させて塗って覆った。
この状態で、銀ペーストを乾燥させた。乾燥膜厚は0.1〜0.3mmであった。
それを針金ごと電気炉に入れ、730〜760℃で10時間加熱した。電気炉の電源を切り、室温下で放冷し、針金を外し、上下の支持板(鉄板)を取って模様形成用金属板材とした。この模様形成用金属板材の加熱炉から出した状態を図1に示した。
なお、図1における符号1は模様形成用金属板材、2は銅板、3は銀板、4は支持板(鉄板)、5は針金、6は印、7はとの粉、8は共に加熱された銀ペーストである。
〈実施例2;模様形成用金属板材の製造2〉
前記金属板(銅板と銀板)を、使用準備として板状に圧延した方向に一致させて、それぞれの側面の一箇所に、糸ノコで少し印をつけ、その印を同じ方向を向くように糸ノコで作った印を揃えながら交互に積み重ね、側縁に粘着テープを貼って重ね合わせた金属板を固定した。
2本の角型鋼材の両端にボルトが架け渡されている治具を用意し、角型鋼材の間に重ね合わせた金属板を挟み込んだ。
角型鋼材と金属板は、接合しないように角型鋼材にとの粉を塗っておいた。
続いて、前記2本のボルトにナットを締め込み、角型鋼材間に重ね合わせた金属板を挟み込み、強く締め付けた(実圧約14kg/cm2)。
そして、粘着テープを剥がした後、重ね合わせた金属板の合わせ目周縁に前記組成の銀ペーストを筆で塗り、2〜3回程度筆を往復させて塗って覆った。
この状態で、銀ペーストを乾燥させた。乾燥膜厚は0.1〜0.3mmであった。
それを針金ごと電気炉に入れ、730〜760℃で8時間加熱した。電気炉の電源を切り、室温下で放冷し、上下の角型鋼材を取って模様形成用金属板材とした。この模様形成用金属板材の加熱炉から出した状態を図2に示した。共に加熱された銀ペーストの乾燥膜厚は焼結し様形成用金属板材を覆っていた。
なお、図2における符号2は銅板、3は銀板、6は印、7はとの粉、8は共に加熱された銀ペース、9は角型鋼材、10はボルトの挿通孔、11はボルト、12は締め付けナットである。
〈模様金属板材の製造〉
前記実施例1,2にて得られた模様形成用金属板材をバーナーにて熱し、軟らかくしたところで、熱いうちに金槌で打ち延ばし、厚さが3mm程度(面積は4〜5倍程度になっている)になるようにした。模様形成用金属板材を覆って共に加熱されたペースト(銀粉含有組成物)は、焼結しているが、この金槌で打ち延ばし作業で自然に剥離された。
この模様形成用金属板材の表面に、電動ドリルを用いて下の金属面が数段露出する円形状の凹状部を十数カ所に形成し、また金属ヤスリにて下の金属面が数段露出する線状(帯状)の凹状部を無数に形成した。これを金槌で叩いて平らにし、場合によっては表面を削って模様を作っていった。
さらに、糸ノコでの印を確かめて、伸ばしやすい方向に(前述した「使用準備として板状に圧延した方向に」)ローラーをかけ、厚みが1mm程度(面積は60×110mm程度になるように延ばした。この状態で銅は酸化した部分が黒く発色し、銀とのコントラストは鮮やかである。これで、模様金属板の完成であるが、必要により色上げ行程を行う。
色上げ(煮込み着色)工程として、常法通り、砥石、朴炭、朴炭粉などで前記模様金属板を磨き、さらに脱脂を行った後、緑青6g、硫酸銅6g、水2Lにて構成される煮込み液中に沈め、加熱しながら、模様金属板材の発色状況を確認した。銅は赤系(柿朱色)に変色するので、視覚的興趣に富んだ美麗な模様が描かれた模様金属板材が得られる。

Claims (10)

  1. 大気中で加熱することにより酸化する金属が含まれている被加熱処理体の露出面に、銀粉末及び有機系バインダを含む銀粉含有組成物を被覆する工程と、
    被覆された前記被加熱処理体を大気中で加熱することによって熱成形する工程と、
    大気中で加熱した後に得られた金属熱成形体からその加熱によって形成された前記銀粉含有組成物の焼結被覆物を少なくとも一部除去する工程とを、含むことを特徴とする金属熱成形体の製造方法。
  2. 前記被加熱処理体は、色調を異にする複数枚の金属板を重ね合わせその重ね合わせ方向に押圧した状態のものであって、
    前記露出面は、少なくとも前記複数枚の金属板の合わせ目の周縁を指し、
    前記熱成形は、前記合わせ目が拡散接合することを意味することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の金属熱成形体の製造方法。
  3. 重ね合わせ押圧した上記複数枚の金属板は、それぞれの金属板の重ね合わせ前に圧延された方向が同じ方向となるように揃えられたことを特徴とする請求の範囲第2項に記載の金属熱成形体の製造方法。
  4. 請求の範囲第2項又は請求の範囲第3項に記載の方法にて製造された金属熱成形体の表面に、少なくとも色調を異にする金属に至る深さで任意の形状の凹状部を形成する操作と、前記凹状部が形成された表面を圧延して平坦化する操作とを行って所望の模様を形成することを特徴とする模様金属板材の製造方法。
  5. 前記被加熱処理体は、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅可塑性組成物を造形したものであって、
    前記露出面は、前記銅可塑性組成物の表面を指し、
    前記熱成形は、前記銅可塑性組成物の銅又は銅合金が焼結することを意味することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の金属熱成形体の製造方法。
  6. 前記被加熱処理体は、銅粉末又は銅合金粉末が含まれる銅粉含有ペースト組成物を被加飾部材の表面の一部/又は全部に付着させたものであって、
    前記露出面は、付着させた前記銅粉含有ペースト組成物の表面を指し、
    前記熱成形は、前記銅粉含有ペースト組成物の銅粉末又は銅合金粉末が前記被加飾部材上で焼結することを意味することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の金属熱成形体の製造方法。
  7. 上記銀粉末は、平均粒径2.2〜3.0μmの粉末を30〜70重量%含有し、残部が平均粒径5〜20μmの粉末であることを特徴とする請求の範囲第1項,第2項,第3項,第5項,第6項の何れか1項に記載の金属熱成形体の製造方法。
  8. 上記有機系バインダは、水を除いた固形分表示でデンプン0.02〜3.0wt%と水溶性セルロース系樹脂0.02〜3.0wt%とを含有することを特徴とする請求の範囲第1項,第2項,第3項,第5項,第6項,第7項の何れか一項に記載の金属熱成形体の製造方法。
  9. 水溶性セルロース系樹脂は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の金属熱成形体の製造方法。
  10. 請求の範囲第1項〜第9項の何れか一項に記載の方法にて製造されたものであることを特徴とする金属熱成形体。
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