JP2006034376A - 金属製品及び金属製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体Bと、金属の地金体Mとをロウ付け接合した金属製品Sを製造する金属製品の製造方法において、金属粘土焼成体B及び地金体Mの接合部の表面を研磨する表面処理工程と、金属粘土焼成体B及び地金体Mの少なくともいずれか一方の接合部の表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、金属粘土焼成体B及び地金体Mの少なくともいずれか一方の接合部の表面にロウ剤を付設するロウ剤付設工程と、金属粘土焼成体B及び地金体Mの接合部同士を着接し、ガスバーナでこの接合部分を加熱してロウ剤を溶融させる加熱工程とを備えた。
【選択図】 図1
Description
ところが、このような指環を金属粘土で一体にして製造する場合、リングが金属粘土なので強度が弱く、また、リングの質感などの外観品質も地金に比較して劣り、そのため、ヘッドのみを金属粘土で形成し、リングは金属の地金体で形成したい要請がある。
図17に示すように、この従来の金属製品Saはベルトのバックルであり、金属粘土としての金粘土を表面の装飾部100として、金属の地金体であるステンレス鋼製のプレート101に接合したものである。この金属製品Saを製造するときは、リング102,リング軸支体103とタング104を取り外したプレート101上で、金粘土でプレート101の表面及び側面を全面被覆し彫塑して、金粘土製飾り板に造形する。それから、プレート101の表面及び側面に被覆した金粘土を乾燥させ、約1000℃,60分間で金粘土を焼成し、金粘土を装飾部100としてプレート101に固着させる。
金属の地金体としては、金属粘土と同種の金属あるいは異種の金属等種々の金属が用いられる。地金体の金属が貴金属若しくは貴金属合金である場合、アクセサリーに適する。
上記金属粘土焼成体及び地金体の接合部の表面を研磨する表面処理工程と、該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にロウ剤を付設するロウ剤付設工程と、該金属粘土焼成体及び地金体の接合部同士を着接し、ガスバーナで該接合部分を加熱してロウ剤を溶融させる加熱工程とを備えた構成としている。
これにより、接合部の表面を研磨するので、接合面の表面粗さが小さくなり、そのため、接合面同士が密着し易くなり、この密着した金属粘土焼成体及び地金体間に毛細管現象によりロウ剤が浸透するのでこれらを強固に接合することができる。この場合、フラックスは、ガスバーナの熱により酸化しようとする金属表面に作用して酸化を防止するとともに酸化が生じても酸化膜を除去するように機能する。
この場合、上記ロウ剤付設工程において、ロウ剤を接合部の表面の際に付設したことが有効である。ロウ剤が接合部の際から毛細管現象により内部に浸透していくので、ロウ剤が確実に満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
銀ロウは、銀及び銅をベースに、ロウの伸びを良くするために亜鉛,カドミュウム,錫などを添加した合金である。純銀10に対する銅の重量比(2,3,5,7,9)により、2分ロウ,3分ロウ,5分ロウ,7分ロウ,9分ロウと分類される。図2に、各種のロウ剤の融点と流動点(ロウが流れ出す温度)を示す。
順次流動点が低くなるロウ剤を用いるので、先に用いたロウ剤が流動して先に接合した金属粘土焼成体と地金体とが分離してしまう事態が防止される。
そして、本発明の金属製品の製造方法によれば、金属粘土焼成体と地金体との接合部同士を密着し易くして、この密着した金属粘土焼成体及び地金体間にロウ剤を毛細管現象により良好に浸透させて、これらを強固に接合することができ、金属粘土焼成体と地金体とをロウ付け結合する際、確実に結合できるようにすることができる。
図1には、本発明の第一の実施の形態に係る金属製品Sを示す。この金属製品Sは、ヘッド2とリング3とからなる指環1であり、金属粘土である銀粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体Bをヘッド2とし、地金体Mとしての銀合金をリング3とし、このヘッド2とリング3とをロウ剤Rによりロウ付け接合したものである。
第一の実施の形態においては、ヘッド2とリング3を接合するロウ剤Rとして、5分ロウを用いた。
(A)ヘッド2の作成
銀粘土(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー650粘土タイプ」)を用い、10gを手で球状に丸め、その表面にピンセットの先端で毛羽立った毛糸のような凹凸を形成する。それから、ドライヤーで乾燥し、リング3との接合部4をヤスリで削って平面にする。その後、電気炉で、800℃で5分間保持し、焼成する。
銀合金(例えば、株式会社コモキン社製「SV950(銀95重量%,銅5重量%)」の平角線(幅4mm,厚さ1.2mm))を用い、所要の長さに切断して輪状に折曲し、端部同士を2分ロウを用いて溶接し、ヤスリで表面仕上げする。
(1)表面処理工程
図3及び図4に示すように、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の接合部4,5のうち少なくとも金属粘土焼成体Bの接合部4の表面をヤスリで研磨する。実施の形態では、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の両方の接合部4,5をヤスリで研磨する。望ましくは、接合部4,5を磨きヘラ等で鏡面にしておく。表面を鏡面状にしておくと、加熱工程でロウ剤Rが金属粘土焼成体Bへ染み込むことが抑えられ、異素材同士のロウ付けが可能となる。
図3及び図5に示すように、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の少なくともいずれか一方の接合部4,5の表面にフラックスFを塗布する。実施の形態では、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の両方の接合部4,5の表面にフラックスFを塗布する。フラックスFは例えばホウ砂からなり、ロウ付けの際に地金体Mに酸化膜が形成されるのを防止している。
詳しくは、X型ピンセットなどでリング3を固定し、接合部4,5にフラックスFを塗る。
図3及び図6に示すように、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の少なくともいずれか一方の接合部4,5の表面にロウ剤Rを付設する。実施の形態では、地金体M(リング3)の接合部5の表面にロウ剤Rを付設する。この場合、ロウ剤Rは、接合部5の表面の複数箇所に付設し、かつ、接合部5の表面の際6に付設する。実施の形態において、ヘッド2とリング3とを接合するロウ剤Rとして、銀ロウの5分ロウを用いた。
詳しくは、X型ピンセットなどでリング3を固定し、5分ロウを接合部5の上下、左右の4箇所に置く。このとき、接合部5の「際」にロウ剤Rを置くようにする。
図3及び図7に示すように、金属粘土焼成体B(ヘッド2)及び地金体M(リング3)の接合部4,5同士を着接し、ガスバーナ7でこの接合部4,5を加熱してロウ剤Rを溶融させる。
詳しくは、フラックスFを塗ったヘッド2の接合部4を、リング3の接合部5と合わせる。ヘッド2は、保持具(図示せず)を使用して保持し、精度高く重ね合せる。角度を変えて異なり具合を点検し、傾かないように注意する。
この状態で、ガスバーナ7に着火し、炎の勢いでロウ剤Rが動かないように注意しながら、最初はやさしい炎をリング3全体に当ててフラックスFの水分を蒸発させ、安定させる。この場合、加熱初期に、ガスバーナ7の炎が当たる割合を接合部4,5を境にして体積の大きい方を多くする。ガスバーナ7の炎が熱放出の大きい体積の大きい方に当たることから、熱の供給が体積の大小に応じて行なわれ、そのため、接合部4,5での熱が均等化し、ロウ剤Rの溶融がムラなく行なわれ、両者を確実に接合することができる。
その後、ガスバーナ7の火力を上げる。炎をリング3全体に当ててから、横方向から接合部4,5に集中して炎を当てる。ロウがきらっと光り、接合部4,5に染み込んだらロウ付けが完了する。
また、ロウ剤Rを接合部4,5の表面の複数箇所に付設しているので、複数箇所で、ロウ剤Rが溶融して金属粘土焼成体B及び地金体M間に毛細管現象により浸透していくので、ロウ剤Rが満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
更に、ロウ剤Rを接合部5の表面の際6に付設したので、ロウ剤Rが接合部5の際6から毛細管現象により内部に浸透していくことから、ロウ剤Rが確実に満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
図3に示すように、加熱工程で接合された金属粘土焼成体B及び地金体Mを冷却する。詳しくは、金属製品Sをピンセットでつまんで水槽に入れ、水冷する。その後、布で水分を拭き取る。
図3に示すように、接合された金属粘土焼成体B及び地金体Mの表面を整える。この工程では、金属製品Sを希硫酸に数分間浸けて酸化膜とフラックスFを洗った後、数分間かけて十分に流水に当てて水洗いする。
詳しくは、蓋を閉めることができるガラス製の容器に、顆粒状の硫酸を大さじ4杯入れ、400cc,50℃以下のぬるま湯で溶いて希硫酸を作成する。この希硫酸に金属製品Sを入れ、数分間浸けて酸洗いし、酸化膜とフラックスFを洗う。
それから、ステンレスピンセットで金属製品Sを取り出し、すぐに流水を当てて、揺らしながら十分に水洗いする。タイマーをセットし5分間を目安に水に浸ける。しっかりとロウ付けができているか確認する。
図9に示すように、リング3のヘッド2は、銀粘土からなる金属粘土焼成体Bをプレート状に形成し、これらのプレート8を積み重ねて形成されている。
詳しくは、先ず、銀粘土(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー650粘土タイプ」)を用い、適量を球状にし、これを指で潰してプレート8にする。球の大きさ、潰し方を変えて5,6枚作る。
注射器様の樹脂製シリンジ(図示せず)を用意し、シリンジの吐出口にカッターで適宜に切り込みを入れる。切り込みの入れ方で吐出される銀粘土の引き目模様が変化し、ペンダントトップ10の表情が変化する。
銀粘土(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー スロードライ」)を用い、キッチン用ラップフィルムを三重〜四重にして、銀粘土を包み、手の温かさで柔らかくなるまで練り込む。練り込みが不十分だと、次に行なうシリンジへの詰め込み,押し出しができないので、状態を見ながら行なう。
金合金のK18線(直径2mm)をおおよそ2mmずつニッパーでカットし、適当な大きさのものを選り分ける。木炭にグラインダで深さ1〜2mmの窪みをいくつか掘っておく。窪みに切断したK18線を1個ずつ入れ、空気をあまり送り込まないガスバーナの細い炎を当て続けると、溶解して回りながら球状に丸まる。このように地金を溶解させて所謂「釈迦玉」を作成する。
(1)表面処理工程
図11に示すように、金属粘土焼成体B(本体11)及び地金体M(装飾ボール12)の接合部4,5のうち少なくとも金属粘土焼成体Bの接合部4の表面をヤスリで研磨する。実施の形態では、金属粘土焼成体Bの接合部4をグラインダを用いてヤスリで研磨する。望ましくは、金属粘土焼成体Bの接合部4を鏡面にしておく。表面を鏡面状にしておくと、加熱工程でロウ剤Rが金属粘土焼成体Bへ染み込むことが抑えられ、異素材同士のロウ付けが可能となる。
(2)フラックス塗布工程
図11に示すように、グループ毎にフラックスFを塗布する。この際、金属粘土焼成体B(本体11)及び地金体M(装飾ボール12)の少なくともいずれか一方の接合部4,5の表面にフラックスFを塗布する。実施の形態では、金属粘土焼成体Bの接合部4の表面及び地金体Mの接合部5の表面にフラックスFを塗布する。フラックスFは例えばホウ砂からなり、ロウ付けの際に地金体Mに酸化膜が形成されるのを防止している。全ての窪みに筆でフラックスFを塗る。
図11に示すように、グループ毎にロウ剤Rを付設する。金属粘土焼成体B(本体11)及び地金体M(装飾ボール12)の少なくともいずれか一方の接合部4,5の表面にロウ剤Rを付設する。実施の形態では、金属粘土焼成体B(本体11)の接合部4の表面にロウ剤Rを付設する。この場合、ロウ剤Rは、接合部4の表面の複数箇所に付設し、かつ、接合部4の表面の際に付設する。例えば、窪み(接合部4)の際にロウ剤Rを2箇所ずつフィットするように置く。
この場合、グループの処理順に流動点が低くなるロウ剤Rを用い、2箇所ずつ3回に分けて行なう(可能ならば1回あるいは2回でロウ剤Rを付設してよい)。例えば、グループG1では5分ロウを用い、グループG2では7分ロウを用い、グループG3では9分ロウを用いる。あるいは、グループG1では5分ロウを用い、グループG2でも5分ロウを用い、グループG3では7分ロウを用いる等である。
また、この場合、ガスバーナ7でロウ剤Rを半溶融し、冷却後、再びフラックスFを塗布してよい。即ち、窪みにフラックスFを塗り、ロウ剤Rを置き、炎を当ててあらかじめ溶かしておく半溶かしを行なう。水冷後、水分を拭き取って、窪みにフラックスFを塗る。このロウ剤Rを半溶融させて再び硬化させておくと、ロウ剤Rの定着が良くなる。
図11に示すように、グループ毎にこの工程を行なう。窪み(接合部4)に装飾ボール12をフィットするように置く。そして、ガスバーナ7でこの接合部4,5を加熱してロウ剤Rを溶融させる。炎の勢いでロウ剤Rが動かないように注意しながら、最初はやさしい炎を全体に当ててフラックスFの水分を蒸発させ、安定させる。この場合、加熱初期に、ガスバーナ7の炎が当たる割合を接合部4,5を境にして体積の大きい方を多くする。ガスバーナ7の炎が熱放出の大きい体積の大きい方に当たることから、熱の供給が体積の大小に応じて行なわれ、そのため、接合部4,5での熱が均等化し、ロウ剤Rの溶融がムラなく行なわれ、両者を確実に接合することができる。
その後、ガスバーナ7の火力を上げる。炎を全体に当ててから、横方向から接合部4,5に集中して炎を当てる。ロウがきらっと光り、接合部4,5に染み込んだらロウ付けが完了する。
また、ロウ剤Rを接合部4,5の表面の複数箇所に付設しているので、複数箇所で、ロウ剤Rが溶融して金属粘土焼成体B及び地金体M間に毛細管現象により浸透していくので、ロウ剤Rが満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
更に、ロウ剤Rを接合部4の表面の際に付設したので、ロウ剤Rが接合部4の際から毛細管現象により内部に浸透していくことから、ロウ剤Rが確実に満遍なく浸透し、そのため、より一層両者を強固に接合することができる。
また、地金体Mを複数のグループに分け、グループ順に、フラックス塗布工程,ロウ剤付設工程,加熱工程,冷却工程を行ない、各ロウ剤付設工程において、グループの処理順に流動点が低くなるロウ剤Rを用いたので、先に用いたロウ剤Rが流動して先に接合した金属粘土焼成体Bと地金体Mとが分離してしまう事態が防止され、この点でも、両者を確実に強固に接合することができる。
図11に示すように、グループ毎にこの工程を行なう。加熱工程で接合された金属粘土焼成体B及び地金体Mを冷却する。詳しくは、金属製品Sをピンセットでつまんで水槽に入れ、水冷する。その後、布で水分を拭き取る。
図11に示すように、接合された金属粘土焼成体B及び地金体Mの表面を整える。この工程では、金属製品Sを希硫酸に数分間浸けて酸化膜とフラックスFを洗った後、数分間かけて十分に流水に当てて水洗いする。また、最後に、研磨を行なう。
この金属製品は、図13に示すように、1対のリング3に絹糸状で極細に搾り出した銀粘土をヘッド2として盛り付け、焼成によりリング3間に架設接合した指環1である。また表面には、石20が付設される。極細銀地金を一点一点ロウ付けしながら造形しても、絹糸のレースのような質感を表現することはできない。また、ワックスで造形しても、このような繊細さは得られないと思われる。この参考例は、シリンジを使用し、微細で柔らかく、優雅なラインを思うがままに造形できるものである。
地金体Mとして、銀合金(SV950)丸線2mmφを使用する。長さは、作りたいリング3のサイズよりも1〜2号大きいサイズで計算する。ロウ付け後、2つのリング3を開く角度によってもサイズは変わる。図14(a)に示すように、予め作成した2つの丸線リング3の夫々の接合部3aをロウ付けする。ロウは2分ロウを使用する。2つのリング3をV字型にロウ付けするため、それぞれの接点の位置,開き角度を決める。開く角度によって、指環1の幅が変わる。接合部3aを精密ヤスリ・平ヤスリで斜めにヤスリがけし、2つを密着させる。ブランケットで2つのリング3の開き具合を調節する。接合部3aを密着させ、フラックスFを含ませた筆でロウ剤Rを運び、リング3の接合部3aにフィットさせる。ガスバーナの炎を当ててフラックスFを溶かし、安定させる。炎をリング3全体に当て、温度が上がってきたらガスバーナの炎を強めて、接合部3aに集中して当てる。ロウがきらっと光り、染み込んだらロウ付けが完了する。ピンセットでつまんで水冷し、水分を拭き取る。
銀粘土と、2分ロウでロウ付けした地金体Mを一緒に焼成する場合は、上記のどの焼成温度・時間を選択しても安心だが、750℃で10分間焼成することが望ましい。
例えば、5分ロウ(流動点は755℃)を使用し、750℃で10分間、780℃で5分間焼成すると、いずれの場合もリング3の接合部3aの5分ロウは溶けてしまう。更に流動点が低い7分ロウ,9分ロウ,早ロウのいずれのロウもこの場合のロウ付けには使用できない。
そして、リング3の接合部3aのロウ目が見えなくなるように、ヤスリがけする。リング3同士の外側の境目は、研磨した後、スポンジ研磨材320〜600番で磨く。リング3内側もスポンジ研磨材で研磨する。
図14(b)に示すように、リング3にコルク粘土21を盛る。木芯棒にクッキングシートを1周貼り込み、縦にマスキングテープを真っ直ぐに貼る。その中央部分にリング3を通す。リング3の開き具合のボリュームに合せてコルク粘土21(中子材)を取り出し、水を補いながら両端が細くなるように形づくる。V字型に開いた部分にコルク粘土21を盛り付ける。コルク粘土21の盛り付け方で、ヘッド2の大きさや表情が大きく変わるので、念を入れて作業する。コルク粘土21は焼成中に消失する。
また、リング3の際の部分は、カッターでコルク粘土21を切り取り、リング3枠が見えるようにする。この場合、地金のリング3にコルク粘土21がぎりぎりに届く程度に留める。後でシリンジから押し出す銀粘土がより広い面でリング3枠と接することができるようにスペースを設けておく。最後に、水を補いながら指で全体の形を整える。滑らかな丸みをもたせるようにする。形が定まったらそのまま1日程度乾燥させれば理想的である。
図14(c)に示すように、上記のようなシリンジを用い、リング3枠部分の境目に両側とも銀粘土(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー650シリンジタイプ」)をぐるっと盛り付ける。まず、最初に、金属粘土とリング3枠との際を埋めておく。リング3枠に金属粘土が確実に密着するようにする。
シリンジの先端をランダムに動かしながら、コルク粘土21の上へ絹糸のレース柄を盛り付けながら描いていく。盛り付けが薄すぎる所がないように、どこも平均的に盛り付ける。シリンジは使い切らず、目盛り一つ程度残しておき、次の石枠の固定に使用する。
この場合、地金体Mのリング3枠や下地の金属粘土が見えなくなるくらいに、透き間無くシリンジ線を盛り付ける。SV950のリング3枠と純銀の銀粘土は異素材同士なので、しっかりと接着させるためには接点を広く取ることが必要である。特にリング3枠との際には入念にシリンジ線を盛り付ける。最後に、筆で整形する。目に見えて高く飛び出しているラインは、水を含ませた筆で押えて整える。リング3枠との際も筆でなじませ、スムーズになるように整えておく。
図14(d)に示すように、予め用意した大小5個の石枠22を絹糸柄の中に埋まるように設ける。石枠22の石留めの爪23部分だけが表面に出る高さにすると、デザイン的に美しい仕上がりとなる。
木芯棒に差し込んだまま箱にリング3を入れ、ドライヤーの熱風を当てて、完全に乾燥させる。この場合、20分以上乾燥させる。乾燥が十分でないまま焼成すると、亀裂が入ることがあるので注意する。
図14(d)に示すものを、電気炉に入れ、焼成する。焼成方法は上記と同様である。これにより、コルク粘土21は消失し、図14(e)に示すようになる。焼成後は、全体を研磨して銀肌を出す。
次に、図14(e)に示すように、石20を石枠22に入れ、爪23を倒して固定する。SV980の石枠22の爪23部分は、とても柔らかく、折れやすいので、慎重に作業する。ここで失敗すると、作り直しになってしまう。ルーペで見て、爪23上部が宝石のガードル部分より上にフィットしているか、真上から見て、爪23が石20側に寄っているだけでなく、石20の内側をしっかりと押えた状態か確認する。このようにして、図13に示すような指環1が完成する。
この金属製品は、図15及び図16に示すように、ロストワックス法で鋳造した地金体Mとしての銀のリング3に銀粘土24(例えば、相田化学工業株式会社製の「アートクレイシルバー油性ペースト」)を竹串などで盛り付け(図16(a))、これを電気炉で焼成し(図16(b))、中央に石25を取り付けた指環1である。リング3の表面に形成されたヘッド2が、あたかも彫金技法による「エッチング」を施したように見え、極めて外観品質の良いものとなる。
B 金属粘土焼成体
M 地金体
R ロウ剤
F フラックス
1 指環
2 ヘッド
3 リング
4 接合部
5 接合部
6 際
7 ガスバーナ
8 プレート
10 ペンダントトップ
11 本体
12 装飾ボール
G1,G2,G3 グループ
Claims (10)
- 金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と、金属の地金体とをロウ付け接合したことを特徴とする金属製品。
- 金属粘土を焼成して形成される金属粘土焼成体と、金属の地金体とをロウ付け接合した金属製品を製造する金属製品の製造方法において、
上記金属粘土焼成体及び地金体の接合部のうち少なくとも上記金属粘土焼成体の接合部の表面を研磨する表面処理工程と、
該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、
該金属粘土焼成体及び地金体の少なくともいずれか一方の接合部の表面にロウ剤を付設するロウ剤付設工程と、
該金属粘土焼成体及び地金体の接合部同士を着接し、ガスバーナで該接合部分を加熱してロウ剤を溶融させる加熱工程とを備えたことを特徴とする金属製品の製造方法。 - 上記ロウ剤付設工程において、ロウ剤を接合部の表面の複数箇所に付設したことを特徴とする請求項2記載の金属製品の製造方法。
- 上記ロウ剤付設工程において、ロウ剤を接合部の表面の際に付設したことを特徴とする請求項3記載の金属製品の製造方法。
- 上記加熱工程において、加熱初期に、ガスバーナの炎が当たる割合を接合部を境にして体積の大きい方を多くしたことを特徴とする請求項2,3または4記載の金属製品の製造方法。
- 上記金属粘土が銀粘土であって、上記地金体が貴金属若しくは貴金属合金である場合、ロウ剤として銀及び銅を含有した銀ロウであって5分ロウを用いたことを特徴とする請求項2,3,4または5記載の金属製品の製造方法。
- 上記金属粘土焼成体に、複数個の地金体を接合した金属製品の製造方法において、
上記地金体を複数のグループに分け、該グループ順に、上記フラックス塗布工程,ロウ剤付設工程,加熱工程を行ない、
上記各ロウ剤付設工程において、上記グループの処理順に流動点が低くなるロウ剤を用いたことを特徴とする請求項2,3,4または5記載の金属製品の製造方法。 - 上記金属粘土が銀粘土であって、上記地金体が貴金属若しくは貴金属合金である場合、ロウ剤として銀及び銅を含有した銀ロウを用いたことを特徴とする請求項7記載の金属製品の製造方法。
- 上記ロウ剤付設工程の後に、ガスバーナで該ロウ剤を半溶融し、冷却後、再びフラックスを塗布し、その後、上記加熱工程を行なうことを特徴とする請求項2,3,4,5,6,7または8記載の金属製品の製造方法。
- 上記加熱工程で接合された金属粘土焼成体及び地金体を冷却する冷却工程と、
該接合された金属粘土焼成体及び地金体の表面を整える後処理工程とを備えたことを特徴とする請求項2,3,4,5,6,7,8または9記載の金属製品の製造方法。
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