JP3144593U - 揺動椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】腰掛シートが円弧上を円滑に揺動する、静音性に優れ、安価に製造できる揺動椅子を提供する。
【解決手段】揺動椅子1は、腰掛シート30と、腰掛シート30の下面に設けられた上方に位置する点Aを中心とした球面bの一部分をなす凸面41aを有する突出体40と、突出体40の凸面41aに接触して突出体40が球面bに沿って揺動可能なように案内する旋回自在キャスタ20と、椅子の支持体10とを備えている。旋回自在キャスタ20は、その旋回軸22の中心軸aが球面bの中心Aを通過するように配置されており、腰掛シート30が旋回自在キャスタ20のローラ25により印加された力の方向に案内される。旋回自在キャスタ20の代わりにボールキャスタを使用した揺動椅子に比較して、突出体40の揺動が円滑であり、揺動に伴って発生するノイズが大幅に低下する。また、安価な旋回自在キャスタを用いているため、安価に椅子を製造できる。
【選択図】図2

Description

本考案は、使用者が腰を掛ける腰掛シートがその上方に位置する点を中心として揺動可能なように構成された揺動椅子に関する。
長時間椅子に座り続けたときの腰部疲労の回復、腰痛の予防や緩和、或いはリハビリテーションにおける腰部の訓練等のために好適に使用される椅子として、使用者が腰を掛ける腰掛シートがその上方に位置する点、好ましくは身体の重心の近傍に位置する点、を中心として円弧上を揺動運動するように構成された揺動椅子が従来から知られている。
このような椅子として、特許文献1(実開平2−51540号公報)には、腰掛シートと、該腰掛シートの下面に設けられた下方に向いた凸面を有する上部支持球面板と、上部支持球面板の下側に配置された上部支持球面板の凸面に対応する凹面を有する球面案内基板とを有する揺動運動椅子が記載されている。上部支持球面板が球面案内基板上を滑動することにより、上部支持球面板が腰掛シートの上方に位置する点を中心に揺動する。好ましい構成では、上部支持球面板の揺動を円滑にする目的で、球面案内基板の凹面上にボールキャスタが配置され、ボールキャスタ上で上部支持球面板が揺動する。
また、特許文献2(特表平7−503392号公報)にも、シート部(腰掛シート)と、該シート部の下側に下方に向かって凸面状に形成された皿状のシートシェルと、該シートシェルを揺動可能に軸承する軸受をヘッド部に有する中間部材と、この中間部材に連結された脚部とを備えた同様の能動型動的シート装置(揺動椅子)が記載されている。軸受として、一つ又は多数のケージ内に回転可能に軸承された多数のボール、すなわち多数のボールキャスタが用いられ、ボールキャスタ上でシートシェルがシート部の上方に位置する点を中心に揺動する。
これらの公報に記載されているような、腰掛シートの下面に設けられた腰掛シートより上方に位置する点を中心とした球面の一部分をなす凸面を有する突出体(特許文献1の椅子における上部支持球面板、特許文献2の椅子におけるシートシェル)と、この突出体の凸面に接触して突出体が上記球面に沿って揺動可能なように案内する案内部材(特許文献1の椅子における球面案内基板又はボールキャスタ、特許文献2の椅子におけるボールキャスタ)とを備えた揺動椅子によると、腰掛シートが使用者によって印加された力の方向と同じ方向に傾動し、腰掛シートの自由回転も可能である。
従って、この種類の揺動椅子によると、使用者に椅子に座りながらにして腰振り動作と同様の動作をさせることができ、また使用者が姿勢を保とうとして腰掛シートを中立位置に復帰させる際に腰部筋肉を使用するため、効率良く腰部疲労の回復、腰痛の予防や緩和、或いはリハビリテーションにおける腰部の訓練等の効果を得ることができる。さらに、腰掛シートの揺動には身体の重心位置の移動をほとんど伴わないため、初めてこの種類の椅子を使用する使用者でも安全かつ容易に椅子を使用することができる。なお、「中立位置」の語は、腰掛シートに周方向に向かう外力が加わっていないときに椅子の各部材(例えば腰掛シート)が占める位置を意味する。
実開平2−51540号公報 特表平7−503392号公報
しかしながら、特許文献1の椅子のように、突出体の凸面に対応する凹面を有する球面案内基板を案内部材として使用すると、凸面と凹面との間に発生する摩擦のため、腰掛シートの円滑な揺動運動が達成されない。また、案内部材としてボールキャスタを使用しても、椅子に座った使用者の体重により突出体及びボールキャスタが変形し、この変形がボール上の突出体の滑動及びボールの回転における摩擦抵抗を増大させるため、腰掛シートの揺動運動が満足できるほど円滑であるとはいえない。その上、ボールキャスタがボールの回転時に極めて大きなノイズを発生するため、部屋内で複数人がこの種類の椅子を使用した場合には、大きすぎるノイズにより、例えばデスクワークやリハビリテーションの進行が妨げられる。
この大きなノイズを解消するために、磁場装置、油圧装置等を使用して腰掛シートを浮上させることが考えられるが、椅子が大型になる上に高価になる。また、真球面を得るための精密な球面加工も椅子を高価にする。
そこで、本考案の課題は、腰掛シートの揺動運動の円滑性を向上させることができ、静音性に優れ、安価に製造することができる揺動椅子を提供することである。
上述の課題を解決する本考案の揺動椅子は、腰掛シートと、該腰掛シートの下面に設けられている上記腰掛シートの上方に位置する点を中心とした球面の一部分をなす凸面を有する突出体と、該突出体の凸面に接触して上記突出体が上記球面に沿って揺動可能なように案内する案内部材と、該案内部材が取り付けられている上記案内部材と上記突出体とを介して上記腰掛シートを支持する支持体とを備えた揺動椅子であって、上記案内部材が、上記突出体の凸面に接触しているローラと、該ローラを回転自在に連結しているヨークと、該ヨークを旋回自在に連結し且つ上記支持体に固定されている旋回軸とを有する旋回自在キャスタであり、上記旋回軸の中心軸が上記球面の中心を通過していることを特徴とする。
本考案の揺動椅子では、上記突出体の凸面を上記腰掛シートの上方に位置する点を中心点とした球面の一部分となるように構成し、旋回自在キャスタをその旋回軸の中心軸が上記球面の中心点を通過するように配置しているため、使用者により腰掛シートに力が印加されると、旋回自在キャスタのローラに支持された突出体及びこの突出体に連結された腰掛シートが印加された力の方向に傾動し、同時に旋回自在キャスタのヨークが旋回軸を中心として突出体及び腰掛シートの移動方向と同じ方向にローラが向くように旋回する。ヨークの旋回の間中、ローラが突出体の凸面に接触した状態で回転し続け、ヨークの旋回終了後も、ローラが突出体の凸面に接触した状態で突出体の移動が停止するまで回転し続ける。従って、突出体が旋回自在キャスタのローラにより安定に力が印加された方向に案内され、上記球面に沿って揺動運動することができる。旋回自在キャスタは、通常は台車や椅子を移動させるためにこれらの脚部に取付けられており、旋回自在キャスタが平面上を二次元的に移動しているが、本考案では旋回自在キャスタを突出体の凸面(球面)を案内するために使用しており、旋回自在キャスタの使用目的が通常の使用目的とは異なっている。その上、旋回自在キャスタのローラと突出体の凸面との接触面積が、ボールキャスタのボールと突出体の凸面との接触面積に比較して大きいため、椅子に座った使用者の体重による突出体及び旋回自在キャスタの変形が小さくなり、変形による摩擦抵抗の増大が抑制され、突出体の上記球面に沿った揺動運動がボールキャスタを案内部材として使用した場合より円滑になることがわかっている。
本考案の好ましい形態では、上記旋回自在キャスタが少なくとも3個設けられており、円に沿ってほぼ等間隔に配置されている。各々の旋回自在キャスタは、その旋回軸の中心軸が上記球面の中心を通過するように配置されている。この好ましい構成では、中立位置にある突出体が旋回自在キャスタにより安定に支承され、360°全周方向に安定且つ円滑に揺動可能である。
本考案の揺動椅子によると、腰掛シートの下面に設けられた突出体の凸面を腰掛シートの上方に位置する点を中心点とした球面の一部分となるように構成し、椅子の突出体が揺動可能なように案内する案内部材として、通常は平面上を2次元的に移動する目的で使用される旋回自在キャスタを使用し、旋回自在キャスタをその旋回軸の中心軸が上記球面の中心を通過するように配置しているため、突出体が旋回自在キャスタのローラにより力が印加された方向に案内され、上記球面に沿って揺動運動することができる。しかも、突出体の上記球面に沿った揺動運動がボールキャスタを案内部材として使用した場合より円滑になる。また、旋回自在キャスタ自体が静音性に優れる上に、突出体の移動が安定且つ円滑であるため、突出体の揺動運動の際に発生するノイズをボールキャスタを案内部材として使用した場合に比較して大幅に低下させることができる。さらに、安価な旋回自在キャスタを使用しているため、揺動椅子を安価に製造することができる。
以下、本考案の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1の(a)は本実施の形態の揺動椅子の正面図であり、(b)は側面図である。
本実施の形態の揺動椅子1は、支持体10、案内部材としての旋回自在キャスタ20、腰掛シート30、及び腰掛シート30の下面に設けられた突出体40を主要な構成要素として有している。
支持体10は、床面上に載置される円盤状の脚部11と、脚部11の上面側に円に沿ってほぼ等間隔で設けられた垂直に伸びている4本の支柱部12と、支柱部12の先端に設けられた円筒状の台部13とから構成されている。台部13の外周面には、腰掛シート30の両側方に向かった後に上方に向かって伸びている一対の肘掛用アーム14が設けられており、肘掛用アーム14の先端には肘掛15が取り付けられている。台部13の外周面にはさらに、腰掛シート30の後方に向かった後に上方に向かって伸びている背もたれ用アーム16が設けられている。背もたれ用アーム16の先端には両側方に伸びている背もたれ支持部17が設けられており、この背もたれ支持部17に背もたれ18が取り付けられている。
図2は、図1(a)のI−I線における概略断面図を示しているが、理解の容易のため、肘掛用アーム14、肘掛15、背もたれ用アーム16、背もたれ支持部17、及び背もたれ18が省略されている。
図2に示されているように、円筒状の台部13の頂面は円筒の内側に向かって下方に傾斜しており、この頂面上に円に沿ってほぼ等間隔に4個の旋回自在キャスタ20が配置されている。本実施の形態の揺動椅子1では、各々の支柱部12の上方に当たる位置に、各1個の旋回自在キャスタ20が配置されている。
旋回自在キャスタ20は、ローラ25と、該ローラ25を回転軸24を介して回転自在に連結しているヨーク23と、該ヨーク23を旋回自在に連結している旋回軸22と、旋回軸22が固定されている取付板21とを備えている。取付板21をボルト(図示せず)で支持体10の台部13の頂面上に固定することにより、旋回軸22が取付板21を介して支持体10の台部13に固定されている。そして、各々の旋回軸22の中心軸aから偏心した位置にローラ25の回転軸24が配置され、ヨーク23が旋回軸22を中心として首振りするようになっている。さらに、全ての旋回自在キャスタ20が、その旋回軸22の中心軸aが腰掛シート30の上方に位置する点Aを通過するように配置されている。
旋回自在キャスタ20のローラ25上には、腰掛シート30の下面に設けられた突出体40が載置されている。
腰掛シート30は、矩形状の着座板32と着座板32の上面に取り付けられたクッション材31とから構成されている。クッション材31は、後縁に近づくにつれて厚くなるように形成されている。このことにより、クッション材上に座った使用者の姿勢が良好に保たれ、また使用者が腰掛シート30を後方に移動させやすくなる。突出体40は、ドーム状部41とこのドーム状部41の周縁に設けられたフランジ部42とから構成されており、フランジ部42をボルト(図示せず)で着座板32の下面に固定することにより、突出体40が腰掛シート30の下面に固定されている。そして、突出体40のドーム状部41の下方に向いた凸面41aは、上述した全ての旋回自在キャスタ20の旋回軸22の中心軸aが通過する点Aを中心とした球面bの一部分をなすように構成されており、ドーム状部41の下端の位置には、下方に伸びる突起部51が設けられている。突起部51は、突出体40及び腰掛シート30が傾斜したときに支持体10の台部13の内周面に衝突可能な長さを有している。突起部51と支持体10の台部13の内周面との衝突により、腰掛シート30が支持体10から脱落するのが防止され、また腰掛シート30が傾斜しすぎて使用者が転倒するのが防止される。
本実施の形態の揺動椅子1において、中立位置にある腰掛シート30に座っている使用者が腰掛シート30に対して周方向に向かう力(図2では、腰掛シート30の後方に向かう力)を印加すると、旋回自在キャスタ20のローラ25に支持された突出体40が中立位置から点Aを中心とした球面bに沿って力が印加された方向に傾動するが、同時に旋回自在キャスタ20のヨーク23が旋回軸22を中心として突出体40の移動方向と同じ方向にローラ25が向くように旋回する。ヨーク23の旋回の間中、ローラ25が突出体40のドーム状部41の凸面41aに接触したままであり、突出体40及び突出体40に連結された腰掛シート30は安定且つ円滑に力が印加された方向に案内される。使用者が周方向に向かう力を印加するのを停止するか、或いは突起部51が支持体10の台部13の内周面に衝突すると、周方向への傾動が停止する。図2の仮想線は、突起部51が支持体10の台部13の内周面に衝突したときの、旋回自在キャスタ20、腰掛シート30、突出体40及び突起部51の状態を示している。
椅子の使用者が腰部筋肉を使用して腰掛シート30を中立位置に復帰させるような力を腰掛シート30に印加すると、旋回自在キャスタ20のローラ25に支持された突出体40が点Aを中心とした球面bに沿って中立位置に復帰する方向に傾動するが、同時に旋回自在キャスタ20のヨーク23が旋回軸22を中心として突出体40の移動方向と同じ方向にローラ25が向くように旋回する。ヨーク23の旋回の間中、ローラ25が突出体40のドーム状部41の凸面41aに接触したままであり、突出体40及び突出体40に連結された腰掛シート30は安定且つ円滑に中立位置に案内される。
本実施の形態の揺動椅子1によると、突出体40及び突出体40に連結された腰掛シート30が、360°全周方向へ揺動可能であり、また自由回転も可能である。
以上、本考案の一実施形態について説明したが、本考案はこの実施形態に限定されず、本考案の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
例えば、旋回自在キャスタ20は、水平な円に沿ってほぼ等間隔に配置する必要がなく、腰掛シート30の前縁近傍に配置される旋回自在キャスタ20を他の旋回自在キャスタ20より下方に位置させても良い。このようにすると、腰掛シート30の後方への揺動距離を前方への揺動距離より長くすることができる。また、腰掛シート30と突出体40とを伸縮可能な連結体で連結し、腰掛シート30と球面bの中心Aとの距離を調節可能にしても良い。このようにすると、球面bの中心Aを使用者の身体の重心の近傍に配置することができるため、使用者の体格に合わせた腰部筋肉の訓練が可能になる。
また、突出体40及び腰掛シート30の周方向への急激な傾動を抑制するために、オイルダンパ、ガスダンパ等のショックアブソーバを介して突出体40と支持体10とを連結することができる。このショックアブソーバは、圧縮方向の減衰力が小さいほど好ましく、圧縮方向の減衰力を有していない(圧縮フリー)のが特に好ましい。腰掛シート30が周方向に向かう際には、その速度がショックアブソーバの伸張時の減衰力により遅くなり、腰掛シート30が中立位置に復帰する際には、ショックアブソーバの減衰力が働かないため、使用者が姿勢を保とうとして腰掛シートを中立位置に復帰させる際に腰部筋肉を使用する目的が妨げられない。さらに、肘掛15及び背もたれ18は、必要に応じて設ければ良く、これらを腰掛シート30の両側縁及び後縁に取り付けても良い。支持体10の形状も、用途に応じて適宜変更することができる。
本考案の揺動椅子は、コンピュータ操作等の一般事務用椅子、リハビリテーション用椅子のほか、腰部筋肉の訓練のための健康機器、ゆりかごなどにも好適に使用することができる。
本考案の一実施形態の揺動椅子を示す概略図であり、(a)は正面図を、(b)は側面図を示している。 図1(a)のI−I線における概略断面図である。
符号の説明
1 揺動椅子
10 支持体
20 旋回自在キャスタ(案内部材)
21 取付板
22 旋回軸
23 ヨーク
24 回転軸
25 ローラ
30 腰掛シート
40 突出体
41 ドーム状部
41a 凸面
42 フランジ部
A 球面の中心
a 旋回軸の中心軸
b 球面

Claims (2)

  1. 腰掛シートと、
    該腰掛シートの下面に設けられている、前記腰掛シートの上方に位置する点を中心とした球面の一部分をなす凸面を有する突出体と、
    該突出体の凸面に接触して前記突出体が前記球面に沿って揺動可能なように案内する案内部材と、
    該案内部材が取り付けられている、前記案内部材と前記突出体とを介して前記腰掛シートを支持する支持体と
    を備えた揺動椅子であって、
    前記案内部材が、前記突出体の凸面に接触しているローラと、該ローラを回転自在に連結しているヨークと、該ヨークを旋回自在に連結し且つ前記支持体に固定されている旋回軸とを有する旋回自在キャスタであり、前記旋回軸の中心軸が前記球面の中心を通過していることを特徴とする揺動椅子。
  2. 前記旋回自在キャスタが少なくとも3個設けられており、円に沿ってほぼ等間隔に配置されている、請求項1に記載の揺動椅子。

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