JP2781445B2 - 人間工学的椅子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は独立特許請求の範囲の大概念に記載されてい
る椅子に関する。

（従来の技術） 事務用椅子にして、その座部が一方においては架台の
上に回転自在に軸持され、他方においては一つの方向、
すなわち前方または後方に傾斜するように調節し得る椅
子は周知である。この型の椅子の周知のものは、長時間
座っていると、あまりに剛く、作業時あるいは座位置変
更の必要時着座姿勢の人体の解剖学組織の状態をそれほ
ど重要視してはいない。このような周知の作業用椅子は
長時間、一定の姿勢をとらせるので作業員が長時間この
椅子に座って作業すると疲労を伴うことになる。このよ
うな椅子は、体重の移動に関連して周期的に姿勢を変更
する必要性を全然考慮に入れたものでない。

FR−PS 1 170 615にはたとえば歯科医が使用し得るス
ツールを開示しており、座部を担持するその脚の細い下
端がゴムブロックを通して突出するようになっている。
前記座部はこのような構造によって横方向に傾斜し、か
つゴムブロックの作用によって常にその出発位置に復帰
せしめられる。脚の下端にゴムブロックを配置すること
によって、座部が傾斜する時に作用するこの長さが大と
なり、転倒が生じる。歯科医は両方の手で治療を行って
いるので転倒を防ぎようがなく望ましくない。したがっ
てこのような配置においては、脚の傾斜角を非常に狭い
範囲にとどめる必要がある。

US−PS 5 230 909には、継手スリーブによって相互に
堅く連結された二つの同様な半部分よりなるスツールが
記載されている。この場合は座部の横方向傾斜およびそ
の弾性復帰は考えられていない。この構成ではスツール
部材の構造は型の費用を安くし、特に型抜き工程を容易
にするためのものである。

（発明が解決しようとする課題） 本発明の目的は回転自在に軸持された座部を有し、着
席部がその着座位置を任意の方向に変更することがで
き、傾斜角度と共に増加する復元力がいずれの側方の傾
向に相当し、さらに特定の傾斜位置から座部の回転可能
性を自動的に不可能とするようになった椅子を提供する
ことである。この場合普通の、すなわち回転しないよう
に形成された椅子を、座面が横方向に傾斜し得るように
することによって、電話機にアクセスする時の到達距離
が大となるように改良し、同時に腰掛けたままで、その
時に適した体重の移動および位置の変更によって背筋お
よび下肢筋の訓練を行い得るようにすべきである。

（課題を解決するための手段） 前記問題を解決するための手段は独立特許請求の範囲
の特徴部分の組み合わせに記載されており、好適な実施
例は関連請求項に示されている。

次に添付図面によって本発明の実施例を説明する。

（実施例） 第１図に示されたスツールは架台１と、該架台の上に
回転自在に軸持された座部２とを有している。架台１は
床上の台板３の上に支持され、かつその実際の用途に応
じて種々の構造のものとなすことができ、たとえばロー
ラを備えたものでも良い。座部２は椅子張りした座面４
を有し、かつ下方に突出した円筒形脚部分５を備え、こ
の脚部分は架台１の上方に突出した管状上方部分６の中
に入れ子式に収まっている。架台１の中に配置された持
ち上げ装置７はたとえばガスばねを囲繞し、ピストン８
によって座部２を随意に昇降せしめ得るようになってい
る（寸法ａ）。

前記座部２の持ち上げ装置は周知のものであり、普通
の型のものに対応して、本発明の範囲内において種々の
変型を行うことができる。

本装置の場合特徴である、架台１と座部２との間の継
手連結、すなわち第１図および第２図においてＧによっ
て示した連結部分については第２図〜第７図を参照して
後で説明する。

第２図〜第４図は第１の好適な実施例を示す。これに
よれば、座面４を直接担持する構造は連結部分Ｇにおい
て、脚部分５は二つの同軸をなす管状の、なるべくはわ
ずかに円錐形を呈する上下中空体脚部分5a,5bに分割さ
れている。上下中空体脚部分5a,5bの対向する端面は内
方に曲げて中央開口を画成している。脚部分5a,5bの端
面は、弾性クッション９によって相互に分離されてい
る。クッション９は、ハンマー形状の頭部を形成する内
側肩10が中央開口内に突入し、かつその外周部分は、外
方に向って連続的に広がるリング11を有している。この
リングはその機能から考えて以後制動リングと以後称す
ることとする。

ねじ12は座金13,14および15を介して両方の脚部分5a,
5bと、弾性クッション16,17およびテフロン円板T,T2,T3
とを保持する。第２図および第３図に示される如く、リ
ング状に形成された各テフロン円板は両脚部分5a,5bの
相対する低摩擦回転を可能にするように配置されてい
る。この場合上方テフロン円板T1は両座金14,17の間に
配置され、ねじ12およびこれに結合されたナット12aに
相対的に上方脚部分5aの回転を可能にするようになって
いる。第２テフロン円板T2はクッション肩10および上方
クッション17の間に位置し、かつ第３テフロン板T3はク
ッション９の中央部分と、その上に位置する上方脚部分
5aの端面との間に配置され、上方脚部分5aおよび下方脚
部分5bの相対する軽い回転を可能にするようになってい
る。

中央区域Ｍを構成する部材をこのように配置すること
によって次のような機能が得られる。

下方円筒部分５を二つの脚部分5a,5bに分割し、かつ
これらを弾性的に、たとえばゴムよりなるクッション9,
16、および17によって結合することにより、上方脚部分
5aは下方脚部分5bに対して回転し得るばかりではなく、
任意の方向に傾斜し、この時座面４の各点は、中点を継
手区域Ｇ、すなわちクッション９のほぼ中心にある中心
点を有する仮想球面に沿って移動する。このように座面
４があらゆる方向に揺動し得るようになっているため
に、座者が腰掛けようとする時に、生理学的に正しい位
置を取ることができ、かつこの時得られる位置は弾性復
元力を有するように行われる座部の揺振動運動によって
数回に亙って任意の方向に変化し、たとえば疲労および
緊張が生じるのを阻止し、かつこのスツールを背部の予
防医学的健康保全訓練器具として役立てることができ
る。作業員が座ったままで仕事をする場合は、長時間に
亙って完全に動かずに仕事を続けるものではなく、その
途中で絶えず身体を動かし、したがって座者の体重が変
位するから、このような場合は弾性的揺動継手−軸受に
よって、座部２はその時の座位置とは関係なく各運動に
対して自動的に適合することが特に重要である。

前記の如き動きを効果的に行わせるための前提は、傾
斜に影響をおよぼす外力が除かれた時に、座面４が常に
クッション9,10および17の弾性的復元力によって、第１
および第２図に示されたその静止位置に動かされるよう
になっていることである。

第３図には中央区域Ｍの部材の働きが示されている上
方脚部分5aが角度αだけ傾斜すれば、両方のクッション
９および16、場合によっては上方クッション17も片側が
圧縮され、それによって前述の復元力が発生する。同時
に第１図および第２図の静止位置においてはクッション
リング11と非圧縮的に接触する上方脚部分5aの縁区域Ｒ
によっても、このクッションリングが圧縮され、緑区域
Ｒとリング11との間の摩擦によって座部分２の回転が制
動される。

このような構造に基づく本発明は、独立特許請求の範
囲によって限定された発明の中で種々の変型を行うこと
ができる。第５図においては、上方脚部分5aと下方脚部
分5bとの間に分割されたクッション18が配置され、この
中間面内にテフロン円板T4が配置されている。残りの部
分は前に第２図および第３図において使用された参照記
号によって示されており、かつこの時説明した働きを有
している。

特に簡単なかつ安価な実施例は第６図に示さている。
この場合は脚部分5a,5bの相互に向かい合った正面の間
だけにテフロン円板T5が挿入され、なおこの場合は脚部
分5a,5bの結合はナット20を有するねじ19によって行わ
れ、該ねじおよびナットは脚部分のウエブ21,22によっ
て支持されており、かつこの実施例においてはねじが自
体弾性を有しているために、弾性的に変形し得る鋼製ば
ねと考えることができる（揺動角度α）。ねじ12および
ナット12aに対する上方脚部分5aの回転可能性はこの場
合もテフロン円板T1によって保証される。

弾性復帰部材、すなわち第２図〜第５図の場合はゴム
弾性クッションによって形成され、第６図の場合はバネ
鋼片によって形成される部材は、たとえば第７図に示さ
れる如くコイルばねとし、その端部が架台１および座部
２内に配置された対応する形のばね座金24,25の中に入
るようになすことができる。コイルばね23の下端は摺動
板T6の上に触坐し、かつコイルばねの上端はばね座金24
の中に堅く碇着されるようにする。

継手装置は何れの場合においても必ずしも脚の中央部
分に配置するものとは限らない。脚部分の分割面は、こ
れを座面の下方、20−30センチメートルの所、なるべく
は25センチメートルの所においた時に最適の結果が得ら
れる（第１図に示された距離ｈ）。

前記テフロン円板の代わりに他の摺動部材、たとえば
対圧力ころ軸受を挿入することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による回転スツールの略展開図、第２図
は垂直負荷を受けた時のスツールの中央部分、すなわち
架台と座部との推移区域を示す図、第３図は座部が傾斜
した時の同じ中央区域を示す図、第４図は中央区域を形
成する部品の展開図、第５図および第６図は変形構造の
略断面図、第７図は中央区域の変型されたスツールの側
面図。 １…架台、２…座部、４…座面、5a,5b…脚部分、７…
持ち上げ装置、９…クッション、10…肩、11…リング、
12…ねじ、16…クッション、17,18…クッション。

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】床の上に支持するための下方架台（１）
   と、該架台（１）の上に配置された座部（２）とを有す
   る人間工学的椅子にして、該座部（２）が座面（４）か
   ら下方に突出して架台に軸持された柱状の脚（５）を有
   し、該脚（５）が前記座面（４）の下方で前記座部
   （２）と前記架台（１）の下方部分（３）との間の区域
   において上脚部分（5a）と下脚部分（5b）とに分割さ
   れ、かっこの分割区域（Ｇ）に設けられた弾性継手装置
   は、負荷時に前記挫部（２）が横方向に仮想球面に沿っ
   て揺動可能とし、無負荷時該座部（２）が弾性復元力の
   作用でその揺動中心位置に復帰するように構成され、而
   して前記上脚部分（5a）は、少なくとも前記揺動中心位
   置で前記下脚部分（5b）に関して回転可能となった人間
   工学的椅子。
2. 【請求項２】前記継手装置が椅子の座面の下方、ほぼ20
   −30センチメートルの所に位置し、かつ少なくとも一つ
   のクッション（9,18）を有し、該クッションの上に座部
   （２）を把持する上方脚部分（5a）が、摩擦の小さな摺
   動部材T1−T4を介して、たとえば摺動円板またはころ軸
   受によって回転自在に軸持されている請求項１記載の椅
   子。
3. 【請求項３】継手装置が重なった３個のクッションにし
   て、中央ねじ（12）によって結合された、密実な材料弾
   性クッション（9,16,17）を有し、該クッションのうち
   外方の二つ（16,17）が、柱状中空体として形成された
   脚部分（5a,5b）の内部に位置し、これに反し中央のク
   ッション（９）が両脚部分（5a,5b）の端面の間に位置
   し、かつ上方脚部分（5a）の方に向いたその面が摩擦が
   少ない材料、たとえばポリテトラフルオルエチレンより
   なる摺動板（13）を有している請求項２記載の椅子。
4. 【請求項４】中央クッション（９）がねじ（12）の方に
   向いたその中央区域内にリング状隆起（10）を有し、該
   隆起が上方クッション（17）の方に向いた面に摺動円板
   T2を担持している請求項３記載の椅子。
5. 【請求項５】中央クッション（９）がその周辺区域にお
   いて、両脚部分（5a,5b）の制限輪郭Ｒに適合して、制
   動リングを形成するように広がり、該リングが直接的
   に、すなわち低摩擦摺動円板を介することなく両方の縁
   区域に触圧し、上方脚部分（5a）が傾斜した時に前記制
   動リング（11）が圧縮され、したがって両脚部分（5a,5
   b）の縁区域Ｒと接触して上方脚部分（5a）の回転を阻
   止するようになっている請求項４記載の椅子。
6. 【請求項６】前記脚がほぼその中央区域において、すな
   わちほぼ半分の高さにおいて分割され、両方の脚部分
   （5a,5b）の重なった正面が仮想円錐面に沿った座面
   （４）の運動を可能にし、さらに両方の脚部分（5a,5
   b）が弾性的に曲げられた復帰部材（9,18,19,23）によ
   って結合され、該復帰部材が脚部分において他の部材に
   回転自在に軸持されている請求項１記載の椅子。
7. 【請求項７】復帰部材が弾性材料、なるべくは鋼よりな
   る棒（19）またはコイルばね（23）である請求項６記載
   の椅子。