JP6735825B2 - 椅子及び座の支持機構 - Google Patents

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Description

本発明は、事務用回転椅子等に好適に適用され得る椅子に関するものである。
従来、オフィスや家庭等にて着座者が長時間快適な着座姿勢を維持することを目的とした事務用回転椅子をはじめとした椅子が多く考案されている(例えば、特許文献1参照)。
これらの事務用回転椅子は、着座者が作業を進める上で心地良いと感じた動作が可能なように、着座者の主に後傾、前傾動作に応じて座や背凭れが傾動し得るように構成されていたり、着座者の所要の姿勢が実現され得る位置に座および背凭れを固定し得るように構成されたりしている。
ところで、長時間事務用回転椅子に着座している着座者は通常、自らが快適とされる姿勢で静止しているように傍目には見られることがあるものの、実際には所要の姿勢から常に腰部および臀部、ひいては大腿部を動作させることにより、当該事務用回転椅子による快適な着座姿勢を保っていることが明らかとなってきた。
具体的に説明すると、多くの着座者は、一見自らにとって快適な着座姿勢にて静止しているように見られるものの、実際には、おおむね快適とされる姿勢における腰部および臀部の位置を平面視中心として面方向におけるあらゆる方向すなわち前後方向並びに左右方向に動作しながら、自らの着座による快適さを維持していることがわかってきた。加えて斯かる動作がスムーズに行える状態にある方が、着座者が違和感を覚えることも無く、さらには着座中の執務の作業効率の向上にも資するということがわかってきた。
それ故、着座者の上述したような挙動を好適にサポートし得るような機能を備えることが、現在の椅子には求められているということができる。
このようなコンセプトに近いものとして、特許文献2に示すような座の支持機構を備えたものを挙げることができる。
特開2012−010938号公報 特表平10−513374号公報
しかしながら、かかる特許文献2の支持機構は、着座者が前後左右に重心を移動させるにつれて、座は支柱の下端を支点に回動することでさらに支柱に掛かる倒れモーメントが大きくなるので、着座者がある適切な姿勢で静止するためには足で踏ん張る必要が出てくる。しかも、前後左右何れの方向に座を倒しても同じ挙動をするため、スツールには適するかも知れないが、執務椅子の場合、前と後ろでは着座者の体の動きが異なるし、前後と左右でも着座者の体の動きが異なるのが通例であることから、着座者の体の動きに適切に対応したサポートができるとは言い難い。
また、着座者が足で踏ん張ると、脚の下端がキャスタで支持されている場合にキャスタが逃げるおそれがあり、椅子の安定した利用が困難となる。特に、支柱を介して座が下端を支点とした回動動作を行うのみであるから、座の回動軌跡と着座者の膝から下の動きとが合致せず、前傾すれば足が突っかえるといった具合に不適切なサポート状態になり易い。
さらに、かかる支持機構は、着座者が着座することによって支柱が下降して下端が床に接地する構造であるため、座る度に座が沈み込む不具合があり、接地した状態で支柱が揺動することで床が傷つき易いという問題がある。加えて上記特許文献のものでは、座の動作は座及び当該座の下端との距離によって自ずと設定されることで、必ずしも当該距離を中心とした動作が、着座者にとって快適な動作で有るか否かは確かではない。
本発明は、上記のような課題を解消することを目的としており、着座者の体の動きに対応した最適に近いサポートができ、姿勢を変化させて重心を移動させてもその後の姿勢で安定して使用することができ、その結果、着座者が長時間着座していても快適な着座感を得ることが可能で、ひいては高い作業効率を安定して維持し得る椅子を提供することを目的とするものである。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明に係る椅子は、床面から立設される脚と、この脚の上方に設けられた座と、前記脚と前記座との間に介在し前記座を少なくとも前後方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能に支持する支持機構とを備え、前記支持機構が、前記座が所定の基準位置から動作したときに当該座の動作方向先端側を下向きに傾斜させる座傾斜機能を備えるものであり、前記基準位置から前記座が移動方向に動作したときに前記座を前記基準位置へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備えたことを特徴とする。
ここで、「所定の軌跡」とは、座の特定箇所を、水平移動量と座面傾斜角と上下移動量とを関連づけた作動面上を連続的に動作させ得る軌跡を指す。その特定箇所は例えば重心位置がわかり易いが、重心以外の位置でも同じことである。換言すれば、当該所定の軌跡に沿った座の動作により、座の平面視の位置によってそれぞれ決められた唯一の上下移動量及び座面傾斜角が設定され、それらの位置に座が反復継続して案内されることとなる。
すなわち本願発明者は、着座者自身が着座している基準位置を中心として少なくとも前後へ腰部や臀部、大腿部を所定寸法動かしているが、この動かしたときに座が水平移動しながら傾斜するとともに、さらに基準位置に戻ろうとする揺れ戻し力が自然に得られるように座を動作させることにより、着座者のさらなる快適さを促し、ひいてはより疲れ難く作業効率を向上させ得るという利点に初めて着目することにより本発明に想到し得たものである。

このようなものであれば、着座者が重心を移動させても、ガイド面の軌跡と復帰力発生機構とを適宜設定することにより、支持機構に大きな倒れモーメントが掛からないようにすることが容易となるので、着座者がある適切な姿勢で静止するにあたって足で踏ん張る必要性を低減することができる。しかも、前後方向に加えて左右方向にもフォロワーをガイド面に沿わせることにより、最適に近い軌跡を与えることができるため、執務椅子のように前と後ろで着座者の体の動きが異なっても、或いは前後と左右で着座者の体の動きが異なっても、着座者の体の動きに適切に対応したサポート状態を実現することができる。加えて本発明によれば、ガイド面およびフォロワーを適宜設計することで着座者にとってより快適となるような座の動作を設定することができるので、着座者の体の動きに適切に対応したサポート状態を実現することができる。
また、着座者が足で踏ん張ってバランスをとる必要性が低いため、脚の下端がキャスタで支持されていてもキャスタが逃げるおそれが低減し、椅子の安定した利用が可能となる。特に、上記の支持機構によって支持された座は、床近くの特定の支点回りに単調な回動動作をしない設定ができるため、座の回動軌跡と着座者の膝から下の動きとを合致させ、前傾しても足が突っかえないような適切なサポート状態を実現することが容易となる。
さらに、かかる支持機構であれば、着座者が着座する度に座が沈み込むこといった不具合を生じることもなく、支柱の下端を床に接地させて回動させる場合のような不都合を伴うこともない。
以上により、本発明の椅子は、着座者の重心移動により座面が傾くと傾いた方向に座が移動するため、着座者の体の動きに極めて良好にフィットし、着座時の着座者の姿勢を好適に維持するのみならず、着座中の着座者の動きをも好適にサポートし得るものとなる。具体的には、着座時の着座者の人体の構造に起因する動作傾向を踏まえた上で当該動作を好適にサポートし得る椅子を構成することができる。その結果本発明によれば、着座者が長時間着座していても快適な着座感を得ることができ、ひいては高い作業効率を安定して維持し得る椅子を提供することができる。
また、座が移動するに従い基準位置に戻そうとする復帰力が働くため、着座者はロッキングチェアに着座しているがごとくゆらゆらとした心地良さを得ることができる。
加えて本発明は、脚に対し座を水平回転可能に支持する回転支持機構を設けているので、以上の基本的作用効果に加えて、作業中の着座者の動作により好適に追従し得るようにすることができる。
また、ガイド面を一体に成形されたものとし、複数のフォロワーがガイド面に沿って前後および左右いずれの方向にも動作し得るように構成することにより支持機構と回転支持機構とを一体に構成しているので、回転支持機構をよりコンパクトに構成することができる。
座の上下昇降機構を採用する場合に、かかる支持機構を上下昇降機構と融合した複雑な構造とせずにコンパクトに構成するためには、脚が上下昇降機構を備え、座が前記上下昇降機構の上方に設けられて、前記支持機構が前記上下昇降機構と前記座との間に介在していることが好ましい。
復帰力発生機構をより簡素な構成にて実現するようにするためには、復帰力発生機構を、基準位置からの座の動作に伴い座の重心を上昇させる重心移動機構とすることが望ましい。この場合、発生する復帰力は着座者の体重に応じて変化する為、着座者にとって好適な復帰力を得ることができる。すなわち、体重が軽ければ小さい復帰力が得られ、体重が重ければ大きい復帰力が得られる。
重心移動機構をより簡素に構成するためには、支持機構を、フォロワーを複数有するものとし、これら複数のフォロワーが座の動作時に上昇するフォロワーと下降するフォロワーが常に存在するようにガイド面を設定するようにすればよい。
スムーズな座の動作を実現し得るようにするためには、ガイド面を、概略円錐形状をなしたものとすることが望ましい。
ここで、概略円錐形状とは、フォロワーが接し得る部分が円錐の外周面の形状をなしていれば円錐台形状でも良いことは勿論である。またガイド面とフォロワーの上下関係も問わない。すなわちガイド面は、下方向に面するフォロワーに接し得る山形形状をなしたものであっても、上方向に面するフォロワーに接し得るボウル形状であっても良い。
そしてガイド面に対してフォロワーが安定して接することにより座が安定して支持されるようにするためには、フォロワーが三箇所以上でガイド面に接する構成とすればよい。
また、本発明に係る椅子は、床面から立設される脚と、この脚の上方に設けられた座と、前記脚と前記座との間に介在し前記座を少なくとも前後方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能に支持する支持機構とを備え、前記支持機構が、前記座が所定の基準位置から動作したときに当該座の動作方向先端側を下向きに傾斜させる座傾斜機能を備えるものであり、前記基準位置から前記座が移動方向に動作したときに前記座を前記基準位置へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備えるとともに、支持機構を、所定の軌跡に沿って前後方向および左右方向にそれぞれ独立した支持構造によって支持するようにしたことを特徴とする。
これにより、上述した基本的作用効果に加えて、座の前後左右の動作をそれぞれよりスムーズに行い得るようにすることができる。
着座者の動きに座の動きを適切に対応させるためには、座の動作角度及び動作距離を、前後方向が左右方向よりも大きくなるように設定したり、座の動作角度を、前方向よりも後方向の方が大きくなるように設定したりすることが好適である。
ここで、動作角度及び動作距離は、それぞれ動作範囲内での最大傾斜角度及び最大移動距離をいう。以下同様である。
そして、そして平面視においてよりコンパクトな椅子を構成するためには、支持機構を、座を前後方向に動作可能に支持する前後支持部および当該前後支持部とは別体に構成され座を左右方向に支持する左右支持部を有するものとし、復帰力発生機構を、前後方向の復帰力を発生させる前後復帰部および当該前後復帰部とは別体に構成された左右方向の復帰力を発生させる左右復帰部を有するものとすることが好ましい。
そして左右方向よりも前後方向への動作を大きく且つ頻繁に行う着座者の挙動を鑑みれば、前後支持部は、左右支持部よりも上方に設けて、より着座者に近く位置付けておくことが望ましい。
正確且つスムーズなフォロワーの動作を実現するためには、ガイド面を上向き又は下向きの山形形状をなすように構成することが好ましい。
そして、座の急な動作によって着座者に不要な「怖さ」や違和感を与えないようにするためには、支持機構を、フォロワーの動作端に近接するに従いフォロワーの動作を緩慢にする緩慢部を有したものとすることが望ましい。
また、座の急な動作に起因する不要な衝撃や騒音を着座者に与えないようにするためには、支持機構を、動作端におけるガイド面の端部とフォロワーとの衝突による衝撃を回避または吸収するショックレス部を有したものとすることが望ましい。
椅子の移動のし易さを実現するため、脚は、床面に転動可能に接地するキャスタを有するものとすることが望ましい。つまり特表平10−513374号公報のように着座時に床面に対して摩擦力によりグリップしてしまう要素が接地してしまうものであると、座ったまま移動することができないという問題があった。それに対し本発明では、着座時において座が傾斜した状態であってもキャスタには水平方向の力が加わり難いことから別途床面に対し摩擦力を発生させるものも必要がなく、その結果、所要のときには着座者は座ったまま移動することができる。
支持機構単体で上記の座の挙動を実現するためには、支持機構は、座を少なくとも前後方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能に支持するものであって、前記座が所定の基準位置から動作したときに当該座の移動方向先端側を下向きに傾斜させる軌跡を描くように構成するとともに、前記基準位置から前後方向に移動した前記座への支持箇所を前記基準位置へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備え、前記脚に対し前記座を水平回転可能に支持する回転支持機構を有し、前記ガイド面は一体に成形されたものであり、前記複数のフォロワーがガイド面に沿って前後および左右いずれの方向にも動作し得るように構成することにより前記支持機構と前記回転支持機構とを一体に構成していることが有効である。
或いは、支持機構は、座を少なくとも前後方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能に支持するものであって、前記座が所定の基準位置から動作したときに当該座の移動方向先端側を下向きに傾斜させる軌跡を描くように構成するとともに、前記基準位置から前後方向に移動した前記座への支持箇所を前記基準位置へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備え、前記支持機構が、前記所定の軌跡に沿って前後方向および左右方向にそれぞれ独立して動作可能に支持することが有効である。
具体的な実施の態様としては、座の移動方向の先端側に近接するに従い動作を緩慢にする緩慢部を有している態様や、座の動作端における部材同士の衝撃を回避又は吸収するショックレス部を有している態様をなすものが挙げられる。
本発明は、以上説明した構成であるから、着座者が長時間着座していても快適な着座感を得ることができ、ひいては高い作業効率を安定して維持し得る椅子を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る外観図。 同正面図。 同側面図。 同実施形態に係る要部の斜視図。 同分解斜視図。 同上。 同実施形態に係る動作説明図。 同上。 同実施形態に係る作用説明図。 同上。 同実施形態の変形例に係る説明図。 同他の変形例に係る模式的な平断面図。 同他の変形例に係る説明図。 本発明の第二実施形態に係る正面図。 同実施形態に係る分解斜視図。 同上。 同実施形態に係る動作説明図。 同実施形態の変形例に係る正面図。
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る椅子は、オフィスや家庭にて好適に使用することができる事務用回転椅子と称されるものである。
当該椅子は、図1〜図8に示すように、床面から立設される脚1と、この脚1の上方に設けられた座3と、背凭れ4とを主に有している。
脚1は、平面視放射状に形成された脚羽根11と、この脚羽根11の下側に取り付けられ床面に転動可能に接地するキャスタ12と、脚羽根11の中央から立設される脚支柱13と、この脚支柱13に内装されて座3を昇降可能に支持する昇降機構であるガススプリング14と、脚支柱13の上端近傍において、脚支柱13に対しガススプリング14のロッドを相対回転可能として座3を水平回転可能に支持する回転支持機構16と、ガススプリング14上端に設けられたプッシュボタン17を押圧することによりガススプリング14を伸縮させて座3の上下位置を調節するための操作レバー15とを有している。
座3は、本実施形態では背凭れ4と一体的に形成された板状をなす座本体30を主体とし、この座本体30の上面を座面3aとしつつ、下面側には下方から支持されるための座受31が取り付けられたものである。
ここで本実施形態に係る椅子は、脚1と座3との間に介在した支持機構2が、座3が所定の基準位置(S)から動作したときに当該座3の動作方向先端側を下向きに傾斜させる座傾斜機能たる座傾斜機構Qを備えるものであり、基準位置(S)から前後又は左右方向に移動した座3を基準位置(S)へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構をさらに備えたことを特徴とする。
支持機構2は単体で上記の座3の挙動を実現すべく、本実施形態では図1〜図6に示すように、脚1と座3との間に介在し座3を前後方向および左右方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面23a、23b、25a、25bおよびこのガイド面23a、23b、25a、25bに追従したスライド動作を行うフォロワー24a、24b、26a、26bを有しこれらガイド面23a、23b、25a、25bおよびフォロワー24a、24b、26a、26bの相対動作により座3を動作可能に支持するものである。そして座3が所定の基準位置(S)から動作したときに当該座3の移動方向先端側を下向きに傾斜させる軌跡を描くように構成するとともに、基準位置(S)から前後方向に移動した座3への支持箇所を基準位置(S)へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備えているものとしている。また、着座者の上方からの荷重(重心移動による荷重)が座3に入力されることによって、動作方向先端側を下向きに傾斜角度を増しながら進行方向への移動距離を増すように座3を案内するものである。
支持機構2は、脚1の上端部分から座受31の下端部分に亘って構成されている。具体的には脚1の上端部分と、座受31の下端部分と、これら脚1の上端部分および座受31の下端部分に介在する支持筐体20とによって構成されているものである。この支持機構2は、脚1の上端部分と支持筐体20の下半分の領域とに亘り座3を左右方向に動作可能に支持する前後に一対の左右支持部21が構成されるとともに、座受31の下端部分と支持筐体20の上半分の領域とに亘り座3を前後方向に動作可能に支持する左右一対の前後支持部22が構成されている。すなわちこれら左右支持部21および前後支持部22とは平面視重複する位置に重ねられ且つそれぞれ独立して別体に構成されている。そして本実施形態では前後支持部22が背凭れ4に一体に構成されている座3を直接的に支持していることから、本実施形態では前後支持部22に背凭れ4が間接的に取り付けられている構成をなしているが勿論、支持筐体20の上半分の領域に背凭れ4を直接的に取り付ける態様とする構成を妨げない。
左右支持部21は、座3を左右方向に3.4°傾斜可能に支持するためのものであり、支持筐体20の下半分の領域に形成された左右ガイド穴23と、脚1の上端部に形成され両端が左右ガイド穴23に挿入される左右支持軸24とを有している。この左右支持軸24の前後両端には、左右ガイド穴23内をスムーズに動作し得るように構成された左フォロワー24aと右フォロワー24bとが設けられている。そして左右ガイド穴23においてこれら左フォロワー24aと右フォロワー24bに接する面が、左ガイド面23aおよび右ガイド面23bである。そしてこれら左ガイド面23aおよび右ガイド面23bは、あらかじめ設定された所定の軌跡に沿うべく上向きの山形形状をなしている。すなわち本実施形態では、左ガイド面23aと左フォロワー24aとによって左支持構造を構成している。また右ガイド面23bと右フォロワー24bとによって右支持構造を構成している。
そして本実施形態では、斯かる上向きの山形形状を、基準位置(S)を含む一定の動作範囲を第1領域23a1、23b1とし、その動作範囲を越えて動作端近傍に至る範囲を第2領域23a2、23b2として、第1領域23a1、23b1ではフォロワー24a、24bを介し協働して座3の高さ方向への重心移動を小さく抑えつつ(したがって基準位置(S)への復帰力を小さく抑えつつ)かつ座3の傾斜角度を小さく抑えつつ座3を基準位置(S)から離れる方向へガイドし、第2領域23a2、23b2に入るとフォロワー24a、24bを介し協働して座3の高さ方向への重心移動をより大きくしつつ(したがって基準位置への復帰力をより高めつつ)かつ座3の傾斜角度をより大きくしつつ座3を基準位置(S)から離れる方向へガイドするように設定されている。すなわち本実施形態では、これら第1領域23a1、23b1から第2領域23a2、23b2へとフォロワー24a、24bが従動するに従い、座3の動き易さが復帰力の増大により徐々に緩慢になるように構成することにより、緩慢部を構成している。換言すれば、前記緩慢部は、第1領域23a1、23b1及び第2領域23a2、23b2からなる。第1領域23a1、23b1と第2領域23a2、23b2は連続性のものであるため境界位置は明示し難いが、座3の高さ方向への重心移動率が低から高へ切り替わる位置を持って境界位置と捉えることができる。
なお本実施形態では左側のガイド穴23の左端に位置する動作端および右側のガイド穴23の右端に位置する動作端においては座の傾斜角度を一定に保ちながら急峻に座3の重心Gを持ち上げる方向に変更することで、左フォロワー24a及び右フォロワー24bが左右ガイド穴23の左右両端面に実用上殆ど接触しないようにするショックレス部Rを構成している。これにより、動作端における左フォロワー24a及び右フォロワー24bと左右ガイド穴23の端面との衝突を回避せしめている。なお、左右ガイド穴23を連続させて一体的に設けても良い。
前後支持部22は、左右支持部21よりも上方に設けて、より着座者に近く位置付けておくことで着座者の動きにより反応しやすく設定されたものであり、座3を前方へ8°、後方へ10°傾斜させ得るよう支持するためのものであり、支持筐体20の上半分の領域に形成された前後ガイド穴25と、座受31の下端部に形成され両端が前後ガイド穴25に挿入される前後支持軸26とを有している。この前後支持軸26の左右両端には、前後ガイド穴25内をスムーズに動作し得るように構成された前フォロワー26aと後フォロワー26bとが設けられている。そして前後ガイド穴25においてこれら前フォロワー26aと後フォロワー26bに接する面が、前ガイド面25aおよび後ガイド面25bである。そしてこれら前ガイド面25aおよび後ガイド面25bは、あらかじめ設定された所定の軌跡に沿うべく上向きの山形形状をなしている。すなわち本実施形態では、前ガイド面25aと前フォロワー26aとによって前支持構造を構成している。また後ガイド面25bと後フォロワー26bとによって後支持構造を構成している。
そして本実施形態では、斯かる上向きの山形形状を、基準位置(S)を含む一定の動作範囲を第1領域25a1、25b1とし、その動作範囲を超えて動作端近傍に至る範囲を第2領域25a2、25b2とし、第1領域25a1、25b1ではフォロワー26a、26bを介して協働して座3の高さ方向への重心移動を小さく抑えつつ(したがって基準位置(S)への復帰力を小さく抑えつつ)かつ座3の傾斜角度を小さく抑えつつ座3を基準位置(S)から離れる方向へガイドし、第2領域25a2、25b2に入るとフォロワー26a、26bを介し協働して座3の高さ方向への重心移動をより大きくしつつ(したがって基準位置(S)への復帰力をより高めつつ)かつ座3の傾斜角度をより大きくしつつ座3を基準位置(S)から離れる方向へガイドするように設定されている。すなわち本実施形態では、これら第1領域25a1、25b1から第2領域25a2、25b2へとフォロワー26a、26bが従動するに従い、座3の動き易さが復帰力の増大により徐々に緩慢になるように構成することにより、緩慢部を構成している。換言すれば、前記緩慢部は、第1領域25a1、25b1及び第2領域25a2、25b2からなる。第1領域25a1、25b1及び第2領域25a2、25b2は連続性のものであるため境界位置は明示し難いが、座3の高さ方向への重心移動率が低から高へ切り替わる位置をもって境界位置と捉えることができる。
なお本実施形態では前後ガイド穴25の前後の動作端においては座の傾斜角度を一定に保ちながら急峻に座3の重心Gを持ち上げる方向に変更することで、前フォロワー26a及び後フォロワー26bが前後ガイド穴25の前後両端面に接触しないように衝撃を回避又は吸収するショックレス部Rを構成している。これにより、動作端における前フォロワー26a及び後フォロワー26bと前後ガイド穴25の端面との衝突を回避せしめている。なお、前後ガイド穴25を連続させて一体的に設けても良い。
座3の前後動作を具体的に説明すると、基準位置(S)にある座3が前方へ揺動する際、後フォロワー26bが上り方向に傾斜した第1領域25b1を従動する一方、前フォロワー26aは下り方向に傾斜した第1領域25a1を従動する。これにより、基準位置(S)近傍での座3の前方向の動作に対しては殆ど復帰力が働かない。しかる後、座3が基準位置(S)から前方へさらに動作することにより、前後のフォロワー26a、26bはそれぞれ上り方向に傾斜した第2領域25a2、25b2にさしかかると座3の重心Gの上昇度合いが大きくなるにつれて復帰力が増していく。そして動作端近傍では斜度を座3の傾斜角度を一定に保ちながら急峻に座3の重心Gを持ち上げる方向に変更するように構成することにより、ショックレス部Rが形成されている。換言すれば、ショックレス部Rは、部材同士の衝突による衝撃を回避するためのものである。
また、基準位置(S)にある座3が後方へ揺動する際、後フォロワー26b、前フォロワー26aともに上り方向に傾斜した第1領域25a1、25b1を従動し、さらに揺動すると、更に斜度が大きく構成された第2領域25a2、25b2にさしかかる。しかる後、動作端近傍では、斜度を座3の傾斜角度を一定に保ちながら急峻に座3の重心Gを持ち上げる方向に変更するように構成することにより、ショックレス部Rが形成されている。
すなわち本実施形態では、前後左右に自由に動作する座3の動作角度及び動作距離が、前後方向が左右方向よりも大きくなるように設定している。更に具体的には座3の前後方向の動作角度に関し、前方向よりも後方向の方が大きくなるように設定している。
ここで本実施形態では特に図7および図8に示すように、左ガイド面23a、右ガイド面23b、前ガイド面25aおよび後ガイド面25bに追従し、左フォロワー24a、右フォロワー24b、前フォロワー26aおよび後フォロワー26bが相対動作するときの前後左右方向の座面3aの動きが、あらかじめ設定された所定の軌跡に沿うように構成されている。この所定の軌跡とは、本実施形態では基準位置(S)を中心として座3が前方へ8°、後方へ10°、そして左右方向へそれぞれ3.4°傾斜し得る動作範囲に沿って形成される。またこの所定の軌跡による座3の移動寸法について説明する。座3は、前方へ8°傾動したときには水平方向前方へ50mm且つ上方へ4mm動作する。また座3は、後方へ10°移動したときには水平後方へ50mm且つ上方へ6.5mm動作する。そして左右方向の動作端においては、基準位置(S)より水平方向に30mm且つ上方へ1.8mm動作する。
図7では、ガイド面23a、23bに設定された所定の基準位置(S)から左右方向に動作したときの座3の挙動を示している。同図に示すように、左右支持部21により座面3aが左右に動作したとき、左右の支持点すなわち左右のフォロワー24a、24bの間にある座3の重心Gの位置が実線で示す基準位置(S)にあるときの重心Gの位置から若干上昇するように、左ガイド面23aおよび右ガイド面23bの位置および形状が調整されている。これにより、左右に動作したときには自ずと座3を基準位置(S)へ戻す方向の復帰力が発生する。すなわち本実施形態では、この左ガイド面23aおよび右ガイド面23bが復帰力発生機構のうち左右方向の復帰力を発生させる左右復帰部であり、基準位置(S)からの座3の動作に伴い座3の重心Gを上昇させる重心移動機構Pとして機能している。加えて同図において左右に動作した座面3aは、動作先端側よりも動作基端側の持ち上げ量が多くなるように左ガイド面23aおよび右ガイド面23bの位置および形状が調整されており、その結果、動作先端側が下降する姿勢となっている。すなわち本実施形態ではこの左ガイド面23aおよび右ガイド面23bが、座傾斜機構Qの役割も担っている。
図8では、ガイド面25a、25bに設定された所定の基準位置(S)から前後方向に動作したときの座3の挙動を示している。同図に示すように、前後支持部22により座面3aが前後に動作したとき、前後の支持点すなわち前後のフォロワー26a、26bの間にある座3の重心Gの位置が実線で示す基準位置(S)にあるときの重心Gの位置から若干上昇するように、前ガイド面25aおよび後ガイド面25bの位置および形状が調整されている。これにより、前後に動作したときには自ずと座3を基準位置(S)へ戻す方向の復帰力が発生する。すなわち本実施形態では、この前ガイド面25aおよび後ガイド面25bが復帰力発生機構のうち前後方向の復帰力を発生させる前後復帰部であり、基準位置(S)からの座3の動作に伴い座3の重心Gを上昇させる重心移動機構Pとして機能している。加えて同図において前後に動作した座面3aは、動作先端側よりも動作基端側の方が持ち上げ量が多くなるように前ガイド面25aおよび後ガイド面25bの位置および形状が調整されており、その結果、動作先端側が下降する姿勢となっている。すなわち本実施形態ではこの前ガイド面25aおよび後ガイド面25bが、座傾斜機構Qの役割も担っている。
すなわち本実施形態では、支持機構2を構成しているこれら左ガイド面23a、右ガイド面23b、前ガイド面25a、後ガイド面25bおよび左フォロワー24a、右フォロワー24b、前フォロワー26a、後フォロワー26bにより、復帰力発生機構たる重心移動機構Pおよび座傾斜機構Qを構成している。
加えて本実施形態では、左右のガイド面23a、23b、前後のガイド面25a、25bともに上述の通り第1領域23a1、23b1、25a1、25b1並びに第2領域23a2、23b2、25a2、25b2を設けることで、基準位置(S)近傍における座3の動作時には各フォロワー24a、24b、26a、26bは第1領域23a1、23b1、25a1、25b1に案内されることで基準位置(S)への揺れ戻し力が着座者には感じ難い程度にしか働かず、他方、前後左右の動作端近傍では各フォロワー24a、24b、26a、26bが第2領域23a2、23b2、25a2、25b2に案内されるために揺れ戻し力が強力に働く。これにより、着座者は基準位置(S)近傍での心地良い座3の動作を体感でき、また座3を動作端近傍としても基準位置(S)への強力な揺れ戻しのために再び基準位置(S)近傍での心地良い動作へと案内されるという安心感を得ることできる。
続いて図9及び図10では、座3の前傾時における着座者の特に下半身の挙動について説明する。通常着座者が着座時に椅子を前傾(或いは後傾)させると、同図に示すように膝NE、足首AN、臀部近傍HPのうち、特に足首ANを主たる回動支点として動こうとする。しかしながら従来の椅子では座を前後動作させる回動支点が、自ずと座の下側であり且つ座3の近傍となっているため、座が大きく降下する動作を前後動作に併せて行っていた。そのため上記動作を行おうとする着座者にとっては臀部近傍HPが当該動作よりも降下して膝NEを必要以上に屈曲させてしまうような感覚を無意識に覚えていたのが現状であった。
そこで本実施形態に係る椅子は、同図に示すように座3の前傾時に重心移動機構Pが作用することにより上記足首ANを主たる回動支点とした動作に沿った臀部近傍HPの浮上しようとする動きに近似した座3の動作を実現している。併せて、座傾斜機構Qの作用により、座3の前端部分が着座者の膝NE近傍に不要に干渉してしまうことをも有効に回避せしめている。
また本実施形態では、座3の左右方向の動作に関しても上記図9及び図10に準じた動作を行い得る。それ故に着座者の足首ANを回動支点とした膝NE、臀部近傍HPの動作に準ずるかのように座3が重心Gを上昇させながら且つ動作基端よりも動作先端が低くなるよう動作するため、着座者の膝NE、臀部近傍HPに違和感を与えたり不要な負担を掛けてしまったりするという不具合が起こることは無い。
以上のように、本実施形態に係る椅子は、座3を前後方向および左右方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面23a、23b、25a、25bおよびこのガイド面23a、23b、25a、25bに追従したスライド動作を行うフォロワー24a、24b、26a、26bを有しこれらガイド面23a、23b、25a、25bおよびフォロワー24a、24b、26a、26bの相対動作により座3を動作可能に支持する支持機構2を備え、当該支持機構2が、座3が所定の基準位置(S)から動作したときに当該座3の動作方向先端側を下向きに傾斜させる座傾斜機能たる座傾斜機構Qを備えるものであり、基準位置(S)から前後又は左右方向に移動した座3を基準位置(S)へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構をさらに備えたことを特徴とする。
斯かる構成により、本実施形態に係る椅子は、ガイド面23a、23b、25a、25bの軌跡と復帰力発生機構たる重心移動機構Pとを適宜設定することにより、着座時の着座者の姿勢が好適に維持されるのみならず、着座中の着座者の動きをも好適にサポートし得るものとなっている。すなわち、着座者が前後左右に重心を移動させても、フォロワー24a、24b、26a、26bをガイド面23a、23b、25a、25bに沿わせることにより、最適に近い軌跡を形成しつつ、支持機構2に大きな倒れモーメントが掛からないように設計しているので、着座者がある適切な姿勢で静止するにあたって足で踏ん張る必要性を低減せしめている。加えて、前後方向と左右方向にそれぞれ適した軌跡を与えることができるため、前と後ろで着座者の体の動きが異なっても、或いは前後と左右で着座者の体の動きが異なっても、着座者の体の動きに適切に対応したサポート状態を実現している。加えて本実施形態によれば、ガイド面およびフォロワーが適宜設計されることで着座者にとってより快適となるような座の動作が設定され、着座者の体の動きに適切に対応したサポート状態を実現せしめている。
また、着座者が足で踏ん張ってバランスをとる必要性が低いため、脚1の下端がキャスタ12で支持されていてもキャスタ12が逃げるおそれが低減し、椅子の安定した利用が実現されている。特に、上記の支持機構2によって支持された座3は、床近くの特定の支点回りに単調な回動動作をしない設定ができるため、座3の回動軌跡と着座者の膝から下の動きとが合致或いは近接し、前傾しても足が突っかえないような適切なサポート状態を実現している。
さらに、かかる支持機構2により、着座者が着座する度に座および脚が沈み込むこといった不具合を生じることもなく、支柱の下端を床に接地させて回動させる場合のような不都合を伴うこともない。以上により、本発明の椅子は、座面3aが傾くと傾いた方向に座3が移動するため、着座者の体の動きに極めて良好にフィットせしめている。
つまり本実施形態によれば、着座者が長時間着座していても快適な着座感を得ることができ、ひいては高い作業効率を安定して維持し得る椅子が実現されている。
加えて本実施形態では、脚1がガススプリング14を擁する上下昇降機構を備え、座3が上下昇降機構の上方に設けられて、支持機構2が上下昇降機構と座3との間に介在するようにしているので、かかる支持機構2を上下昇降機構と融合した複雑な構造とせずにコンパクトな構成を実現している。
加えて本実施形態では、復帰力発生機構を、基準位置(S)からの座3の動作に伴い座3の重心Gを上昇させる重心移動機構Pとすることにより、復帰力発生機構をより簡素な構成にて実現している。特に本実施形態ではこの重心移動機構Pと上述した座傾斜機構Qによる動作とが相まって、座面3aを前傾させるような動作においても着座者の足がつかえてしまうような姿勢となり難いので、着座時のさらなる快適さの向上を実現している。
また本実施形態では脚1が、座3を水平方向に回転可能に支持する回転支持機構16を有しているので、作業中の着座者の動作により好適に追従し得る。
そして本実施形態では、支持機構2を、所定の軌跡に沿って少なくとも前後方向および左右方向にそれぞれ独立して動作可能に支持するようにしているので、座3の前後左右の動作をそれぞれよりスムーズに行い得るようになっている。
加えて本実施形態では、座3の動作角度及び動作距離を、前後方向が左右方向よりも大きくなるように設定することにより、着座者の動きに座3の動きを適切に対応させるとともに、座3の動作角度を前方向よりも後方向の方が大きくなるように設定することで、着座者の動きに座3の動きを更に適切に対応せしめている。
そして本実施形態では支持機構2を、座を前後方向に動作可能に支持する前後支持部22および当該前後支持部22とは別体に構成され座を左右方向に動作可能に支持する左右支持部21を有するものとし、復帰力発生機構を、前後方向の復帰力を発生させる前後復帰部および当該前後復帰部とは別体に構成された左右方向の復帰力を発生させる左右復帰部を有するものとしているので、個々の構成部分の構成を簡素なものとしながら快適な着座姿勢が維持できるようになっている。特に本実施形態では前後支持部22および左右支持部21を平面視重複する位置に重層して設けることで、椅子全体が平面視においてよりコンパクトなものとなっている。
そして前後支持部22を、左右支持部21よりも上方に設けることにより、左右方向よりも前後方向への動作を大きく且つ頻繁に行う着座者の挙動により追従し得るものとなっている。
加えて本実施形態では、ガイド面23a、23b、25a、25bを上向きの山形形状をなすように構成することにより、正確且つスムーズなフォロワー24a、24b、26a、26bの動作を実現せしめ、より快適な着座感の提供に寄与している。
特に本実施形態では、脚1がキャスタ12を有するものとすることにより、座3が前後左右に動作しても椅子が容易に移動してしまうことを防止する一方で、所要のときには着座者は座ったまま椅子ごと移動することができる。つまり、特表平10−513374号公報のように着座時に座3を動作させるために床面に対して摩擦力によりグリップさせる要素が必要ない。
特に本実施形態では、支持機構2単体で上記の座3の挙動を実現すべく、支持機構2は、座3の下面を前後方向の2箇所で直接又は間接に支持する前ガイド面25a及び前フォロワー26aからなる前支持構造並びに後ガイド面25b及び後フォロワー26bからなる後支持構造と、座3の下面を左右方向の2箇所で直接又は間接に支持する左ガイド面23a及び左フォロワー24aからなる左支持構造並びに右ガイド面23b及び右フォロワー24bからなる右支持構造とを組み合せて、座3への支持箇所を前後左右に移動させるものであって、前記支持箇所が移動に従い当該座3の移動方向先端側を下向きに傾斜させる軌跡を描くように構成するとともに、基準位置(S)から前後又は左右方向に移動した座3への支持箇所を基準位置(S)へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構をさらに備えているものとしている。
具体的な実施の態様として本実施形態では、基準位置(S)から前後支持部22による前後の支持箇所が前方向へ移動するに伴って、前側の支持箇所が後側の支持箇所よりも相対的に低くなり、基準位置(S)から前後の支持箇所が後方向への移動に伴って、座3の後側の支持箇所が前側の支持箇所よりも相対的に低くなるように構成しているもの、或いは、基準位置(S)から左右支持部21による左右の支持箇所が左方向へ移動するに伴って、左側の支持箇所が右側の支持箇所よりも相対的に低くなり、基準位置(S)から左右の支持箇所が右方向へ移動するに伴って、座3の右側の支持箇所が左側の支持箇所よりも相対的に低くなるように構成している構成を適用している。ここで「支持箇所」とは勿論、前後左右のガイド穴23a、23b、25a、25bと前後左右のフォロワー24a、24b、26a、26bとの接点或いは接触部分であることはいうまでもない。また、座3の動作の課程で、接点或いは接触部分が上下に変化することもある。特に、着座者の重心が支持箇所の間に無い場合に、接点或いは接触部分が上下に変化し得る。
なお、着座者が前後左右に重心を移動させても、座3が前後方向の2箇所に設けた支持箇所の間に重心が位置する限り、或いは、座が左右方向の2箇所に設けた支持箇所の間に重心が位置する限り、支持機構2に大きな倒れモーメントが掛からないように設計することが容易となるので、着座者がある適切な姿勢で静止するにあたって足で踏ん張る必要性を低減することができる。しかも、前後方向と左右方向にそれぞれ適した軌跡をガタツキ無く与えることができるため、執務椅子のように前と後ろで着座者の体の動きが異なっても、或いは前後と左右で着座者の体の動きが異なっても、着座者の体の動きに適切に対応したサポート状態を実現することができる。
特に本実施形態では、支持機構2単体で上記の座3の挙動を実現すべく、支持機構2は、脚1と座3との間に介在し座3を前後方向および左右方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面23a、23b、25a、25bおよびこのガイド面23a、23b、25a、25bに追従したスライド動作を行うフォロワー24a、24b、26a、26bを有しこれらガイド面23a、23b、25a、25bおよびフォロワー24a、24b、26a、26bの相対動作により座3を動作可能に支持するものであり、座3が所定の基準位置(S)から動作したときに当該座3の移動方向先端側を下向きに傾斜させる軌跡を描くように構成するとともに、基準位置(S)から前後方向に移動した座3への支持箇所を基準位置(S)へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備えているものとしている。
そして本実施形態では、支持機構2を、フォロワー24a、24b、26a、26bの動作端に近接するに従いフォロワーの動作を緩慢にする低反発面23a1、23b1、25a1、25b1及び高反発面23a2、23b2、25a2、25b2からなる緩慢部を有したものとしているので、座3の意図しない急な動作によって着座者に不要な「怖さ」や違和感を与えてしまうことを有効に回避している。
併せて本実施形態では、支持機構を、動作端におけるガイド面23a、23b、25a、25bの端部とフォロワー24a、24b、26a、26bとの衝突による衝撃を回避又は吸収するショックレス部Rを有したものとしているので、座3の急な動作に起因する不要な衝撃や騒音を着座者に与えないようにしている。
以下、本発明の変形例並びに他の実施形態について説明していく。以下の実施形態において、上記実施形態の構成要素に相当するものに対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
<変形例>
図11では、上記実施形態に開示した支持筐体20に変わる支持筐体20Fを図示している。すなわち上記実施形態では支持筐体20により左右支持部21および前後支持部22が平面視重複する位置に位置付けられるようにこれら前後支持部22及び左右支持部21を構成する各部分を上下方向に重層する構成としたが、当該支持筐体20Fは、前後支持部22及び左右支持部21を上下方向に重複させるように設けた構成としている。なお当該変形例の場合、椅子の脚1上端近傍部分や座受31近傍部分の構成は、当該支持筐体20Fの形状に応じるように適宜変形されることはいうまでもない。
当該構成により前後一対の左右支持部21と左右一対の前後支持部22とが同じ高さ位置で構成されることにより、上記第一実施形態同様の動作を実現しつつ上下方向にコンパクトな椅子を提供し得る。
さらに図12では、上記実施形態に開示した支持筐体20に変わる支持筐体20Nの模式的な平断面を図示している。すなわち上記実施形態では支持筐体20により左右支持部21および前後支持部22が平面視重複する位置に位置付けられるようにこれら前後支持部22及び左右支持部21を構成する各部分を上下方向に重層する構成としたが、当該支持筐体20Nは、前後支持部22及び左右支持部21をそれぞれ内外に入れ子状に平面視、正面視(図示せず)とも重複させるように設けた構成としている。なお当該変形例の場合、椅子の脚1上端近傍部分や座受31近傍部分の構成は、当該支持筐体20Nの形状に応じるように適宜変形されることはいうまでもない。
当該構成によっても上記同様、前後一対の左右支持部21と左右一対の前後支持部22とが同じ高さ位置で構成されることにより、上記第一実施形態同様の動作を実現しつつ上下方向にコンパクトな椅子を提供し得る。
そして図13(a)、(b)では、上記ショックレス部Rの他の変形例を示している。すなわち座3が基準位置(S)へ向けて付勢するように、前後のフォロワー26a、26bに対し椅子の固定部分に設けられた引張コイルバネ等の弾性手段R1を接続することにより、上記同様のショックレス部Rを構成している態様を示している。また同図(a)、(b)では、弾性手段R1の付勢方向を異ならせた態様としているが、何れも座3が基準位置(S)となるよう前後のフォロワー26a、26bを付勢している点は同様である。
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態に係る椅子は、回転椅子として好適に利用され得るものである。当該椅子は、床面に接地する脚1と、この脚1の上方に設けられた座3とを有している点は上記実施形態同様である。また、座3については本実施形態では図示の便宜上、板状をなす座受31のみを図示しているが、上記実施形態同様の態様をなす座3を適用しても良い。当該座3については、上記実施形態に係る座3とは異なり背凭れ4を一体的に設けない態様のものを適用してもよく、既存の構成のものを広く適用し得る。
また脚1については座3を回転可能に支持する脚1の一部としての回転支持機構16を有さない構成である以外は上記実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。そして本実施形態に係る椅子は、脚1の上端部分から座受31に亘って支持機構が構成されている点は上記実施形態同様である。
しかしながら本実施形態に係る椅子は、当該支持機構の構成が上記実施形態とは異なることにより、併せて復帰力発生構および座傾斜機能たる座傾斜機構Qも異なった態様として構成されている。
すなわち本実施形態に係る椅子は、脚1と座3との間に介在し座3を前後方向および左右方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座3を動作可能に支持する支持機構とを有している点は上記実施形態同様であるが、ガイド面が一体に成形されたガイド曲面83であり、複数のフォロワーたる摺接フォロワー82がガイド曲面83に沿って前後および左右いずれの方向にも動作し得るように構成することにより上記実施形態と同じ作用をなす支持機構としての役割に加え、座3を水平方向に回転可能に支持する回転支持機構としての役割をも担い得るガイド支持機構8を有しているものである。
ガイド支持機構8は、図14〜図17に示すように、脚1と座との間に介在し座を前後方向および左右方向に動作させるための所定の軌跡に沿って座3を動作可能に支持できるよう、概略円錐形状又は円錐台形状をなすガイド曲面83を有するガイド板81とこのガイド曲面83上を何れの方向にも摺動し得る摺接フォロワー82とを有する構造を適用したものである。このガイド支持機構8は、脚1の上端部分および座受31の下端部分に介在するように構成されているものである。
ガイド板81は、脚1の上端部に固定された硬質素材からなるものであり、外縁近傍部分を平面視略真円形状下方に凹ませ、さらに凹ませた部分に囲まれた箇所を中央部分へ向けて漸次高くなるよう概略円錐台形状に隆起させた形状をなす。そして外縁近傍部部分を凹ませることにより形成された立面部分を摺接フォロワー82の動作範囲を規制する規制壁84とし、この規制壁84に囲まれた曲面をガイド曲面83としている。このガイド曲面83の形状は、具体的には、ガイド板81の外周近傍から中央へ近づくにつれ漸次斜度が大きくなるような曲面形状をなしている。なお、ガイド板81中央は本実施形態では平面状に構成されているが当該平面部分には摺接フォロワー82が乗り上げ得ないように設定されている。また、ガイド曲面83と規制壁84は曲面で連続する連続部を有しており、この連続部により摺設フォロワー82が動作端に近接するに従いフォロワーの動作を緩慢にする緩慢部を形成し、さらに摺接フォロワー82が規制壁84と衝突による衝撃を回避又は吸収するショックレス部Rを形成している。
摺接フォロワー82は、座受31に対し、本実施形態では少なくとも安定して自立し得る三つ以上の数である六箇所に、平面視正六角形の各頂点に該当する相対位置となるように、換言すれば真円の外形線上に等間隔に配され得る相対位置となるように配置されている。この摺接フォロワー82は、ガイド曲面83に摺接する概略球形状をなすフォロワー本体85と、このフォロワー本体85に下端部分を支持されるとともに上端部分が座受31に固定された座支持柱86とを有している。
以下、本実施形態における座3の動作について説明する。図14では、座受31のみ図示しているが座3が自重により静止している所定の基準位置(S)、図17では座3が何れかの方向に動作したときの座受31の挙動を示している。本実施形態では、図17に示す状態のみならず座3が基準位置(S)から動作するときは何れの方向であっても重力に反する動作となる。具体的には、これら六つの摺接フォロワー82が座の動作時に上昇する摺接フォロワー82と下降する摺接フォロワー82が常に存在するようにガイド面たるガイド曲面83が設定されている。これにより本実施形態の構成では、座受31の重心Gの位置が基準位置(S)から上昇する。そしてこのとき座3には自ずと基準位置(S)へ戻す方向の重力による復帰力が掛かる。すなわち本実施形態では、このガイド曲面83および摺接フォロワー82が復帰力発生機構であり、且つ、基準位置(S)からの座3の動作に伴い座3の重心Gを上昇させる重心移動機構Pとして機能している。加えて動作した座受31は、動作先端側が下降する姿勢となっている。これは上述した通り、ガイド曲面83が概略円錐台形状をなしていることに起因する。すなわち本実施形態ではこのガイド曲面83が、座傾斜機構Qの役割も担っている。
<変形例>
上記の本実施形態では六つの摺接フォロワー82がそれぞれ座受31に固着された態様を開示したが勿論図18に示すように、摺接フォロワー82に別途スプリング87を配するようにしてもよい。
本変形例では摺接フォロワー82は、上記実施形態同様のフォロワー本体85および座支持柱86に加え、この座支持柱86と座受31との間に介在したスプリング87を更に有している。このスプリング87は、上端部分が座受31側に固定され下端部分が座支持柱86の上端に固定された圧縮コイルバネを内装したものである。これにより着座者が着座時に掛かる衝撃を緩和するとともに、よりスムーズな座3の動作にも資するものとなっている。
また図18に示すように、摺接フォロワー82の数は六つに限られないことは勿論であり、自立可能に構成できる三つ以上であれば、六つよりも多い数の摺接フォロワー82を同心円状に配しても良い。なお同変形例では十八個の摺接フォロワー82を同心円状に配している。
以上のような構成とすることにより、本実施形態並びに変形例に係る椅子によっても、上記第一実施形態同様の作用効果を奏し得るものとなっている。
特に本実施形態では、ガイド面を一体に成形されたガイド曲面83とし、複数のフォロワーたる摺接フォロワー82がガイド曲面83に沿って前後および左右いずれの方向にも自由に摺接動作し得るように構成することで上記実施形態同様の支持機構と上記実施形態では脚1の一構成要素であった回転支持機構16と同様の回転支持機構とを一体に構成することにより、椅子全体をよりコンパクトなものとせしめている。
そして本実施形態では、摺接フォロワー82を複数、具体的には三つ以上有するものとし、これら複数の摺接フォロワー82が、座3の動作時に上昇する摺接フォロワー82と下降する摺接フォロワー82とが常に存在するようにガイド曲面83を設定することで、上記実施形態同様の重心移動機構Pをより簡素に構成せしめている。
加えて本実施形態では、ガイド面たるガイド曲面83を、概略円錐形状をなしたものとすることスムーズな座3の動作を実現し得るようにしている。
特に本実施形態では、摺接フォロワー82が常に三箇所以上でガイド曲面83に接する構成とすることで、ガイド曲面83に対して摺接フォロワー82が安定して接することにより座受31ひいては座3が安定して支持されるようになっている。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、フォロワーとガイド面の関係は入れ替えても良い。
また、少なくも前後方向の動作をガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能にすればよく、左右方向の動作を不可能に構成する、または別の手段で動作させても良い。左右動作させる為の左右支持部の例として、所定の軌跡に沿って揺動するリンク機構を用いた左右支持部、前後方向に伸びる軸を支点に左右に回転揺動する左右回転支持部などが挙げられる。
また、上記実施形態では背凭れを設けたものにおいては座に一体的に設けられた態様のもののみを開示したが勿論、座とは別体に設けられたもの、さらには座と背凭れとが別体に設けられつつも、座の動作に応じて背凭れが動作し得るシンクロチルト機構を設けた態様であっても良い。特に、前後支持部および/または座に背凭れを設けると簡素な構成でシンクロチルト機構を得ることができる。
また、後傾動作時に着座者の踵の浮き上がりを解消するには、座の前部を折り曲げるベンディング機能を備えても良い。この場合、前後支持部と関連付けて座を前後方向の3箇所で支持させても良い。
そして上記各実施形態では肘を開示していなかったが勿論、上記各実施形態は肘を設けることを妨げない。特に、脚の上端部近傍より直接又は間接に肘を設けたものであれば、座の動作に連動して肘が前後左右に動作しないので、着座者にさらなる安心感を与えることができる。
加えて上記実施形態では復帰力発生機構の構成として何れも重心移動機構Pとして開示していたが勿論、座を基準位置へ復帰させ得る構成であればバネ等の弾性手段を設けることを妨げない。
更に、座又は背凭れと、支持機構との間、若しくは支持機構内において、座の動作端に到達した際の衝突感を緩衝する「緩衝手段」を設けても良い。具体的には、座の下面側に設けられた接触部と、支持機構の外壁に設けられた被接触部との何れかに設けた緩衝部材や、支持機構においてガイド穴の端部に設けられフォロワーと接触する弾性部材等が挙げられる。
そして上記各実施形態では座を基準位置に保持するのはもっぱら座の自重を利用したものであったが、当該基準位置を任意に設定できるような「基準位置保持手段」を設けても良い。具体的には、座に設けられ座の重心位置を調整可能なバランサーといったものが考えられる。また着座者が着座していないときに座を基準位置に固定し着座時にロックが解除されるようなロック手段を支持機構の一部として設けても良い。このようなものであれば、着座前の座の不要な揺動を抑えて着座者が容易に基準位置にある座に着座し得るとともに、着座によりロックが解除されることで着座者は所望の座り心地を得ることができる。
また、座の具体的な形状や素材といったその他の詳細な構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、事務用回転椅子等に好適に適用され得る椅子に適用することができる。
1・・・脚
16・・・回転支持機構
2・・・支持機構
21・・・左右支持部
22・・・前後支持部
3・・・座
4・・・背凭れ
8・・・支持機構(ガイド支持機構)
81・・・ガイド板
82・・・フォロワー(摺接フォロワー)
83・・・ガイド面(ガイド曲面)
G・・・重心
P・・・復帰力発生機構(重心移動機構)
Q・・・座傾斜機構(座傾斜機構)
S・・・基準位置

Claims (22)

  1. 床面から立設される脚と、
    この脚の上方に設けられた座と、
    前記脚と前記座との間に介在し前記座を少なくとも前後方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能に支持する支持機構とを備え、
    前記支持機構が、前記座が所定の基準位置から動作したときに当該座の動作方向先端側を下向きに傾斜させる座傾斜機能を備えるものであり、
    前記基準位置から前記座が移動方向に動作したときに前記座を前記基準位置へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備えるとともに、
    前記脚に対し前記座を水平回転可能に支持する回転支持機構を有し、
    前記ガイド面は一体に成形されたものであり、前記複数のフォロワーがガイド面に沿って前後および左右いずれの方向にも動作し得るように構成することにより前記支持機構と前記回転支持機構とを一体に構成していることを特徴とする椅子。
  2. 脚が上下昇降機構を備え、座が前記上下昇降機構の上方に設けられて、前記支持機構が前記上下昇降機構と前記座との間に介在している請求項1記載の椅子。
  3. 前記復帰力発生機構が、前記基準位置からの前記座の動作に伴い前記座の重心を上昇させる重心移動機構である請求項1又は2記載の椅子。
  4. 前記支持機構が、前記フォロワーを複数有するものであり、これら複数のフォロワーが前記座の動作時に上昇するフォロワーと下降するフォロワーが常に存在するように前記ガイド面が設定される請求項1〜3のいずれかに記載の椅子。
  5. 前記ガイド面が、概略円錐形状をなしたものである請求項1〜4のいずれかに記載の椅子。
  6. 前記フォロワーが、前記ガイド面に三箇所以上接したものである請求項1〜5の何れかに記載の椅子。
  7. 床面から立設される脚と、
    この脚の上方に設けられた座と、
    前記脚と前記座との間に介在し前記座を少なくとも前後方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能に支持する支持機構とを備え、
    前記支持機構が、前記座が所定の基準位置から動作したときに当該座の動作方向先端側を下向きに傾斜させる座傾斜機能を備えるものであり、
    前記基準位置から前記座が移動方向に動作したときに前記座を前記基準位置へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備えるとともに、
    前記支持機構が、前記所定の軌跡に沿って前後方向および左右方向にそれぞれ独立して動作可能に支持することを特徴とする椅子。
  8. 脚が上下昇降機構を備え、座が前記上下昇降機構の上方に設けられて、前記支持機構が前記上下昇降機構と前記座との間に介在している請求項7記載の椅子。
  9. 前記復帰力発生機構が、前記基準位置からの前記座の動作に伴い前記座の重心を上昇させる重心移動機構である請求項7又は8記載の椅子。
  10. 前記脚に対し前記座を水平回転可能に支持する回転支持機構を有している請求項7〜9の何れかに記載の椅子。
  11. 座の動作角度及び動作距離は、前後方向が左右方向よりも大きくなるように設定している請求項7〜10の何れかに記載の椅子。
  12. 座の動作角度は、前方向よりも後方向の方が大きくなるように設定している請求項11記載の椅子。
  13. 前記支持機構が、座を前後方向に動作可能に支持する前後支持部および当該前後支持部とは別体に構成され前記座を左右方向に支持する左右支持部を有するものであり、
    前記復帰力発生機構が、前後方向の復帰力を発生させる前後復帰部および当該前後復帰部とは別体に構成された左右方向の復帰力を発生させる左右復帰部を有するものである請求項7〜12の何れかに記載の椅子。
  14. 前記前後支持部が、前記左右支持部よりも上方に設けられている請求項13に記載の椅子。
  15. 前記ガイド面が上向き又は下向きの山形形状をなす請求項13又は14記載の椅子。
  16. 前記支持機構が、前記フォロワーの動作端に近接するに従い前記フォロワーの動作を緩慢にする緩慢部を有している請求項1〜15の何れかに記載の椅子。
  17. 前記支持機構が、動作端におけるガイド面の端部とフォロワーとの衝突による衝撃を回避または吸収するショックレス部を有している請求項1〜16の何れかに記載の椅子。
  18. 前記脚が、床面に転動可能に接地するキャスタを有するものである請求項1〜17の何れかに記載の椅子。
  19. 座を少なくとも前後方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能に支持するものであって、前記座が所定の基準位置から動作したときに当該座の移動方向先端側を下向きに傾斜させる軌跡を描くように構成するとともに、前記基準位置から前後方向に移動した前記座への支持箇所を前記基準位置へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備えるとともに、
    前記脚に対し前記座を水平回転可能に支持する回転支持機構を有し、
    前記ガイド面は一体に成形されたものであり、前記複数のフォロワーがガイド面に沿って前後および左右いずれの方向にも動作し得るように構成することにより前記支持機構と前記回転支持機構とを一体に構成していることを特徴とする座の支持機構。
  20. 座を少なくとも前後方向に動作させるための所定の軌跡に沿って形成されたガイド面およびこのガイド面に追従したスライド動作を行うフォロワーを有しこれらガイド面およびフォロワーの相対動作により座を動作可能に支持するものであって、前記座が所定の基準位置から動作したときに当該座の移動方向先端側を下向きに傾斜させる軌跡を描くように構成するとともに、前記基準位置から前後方向に移動した前記座への支持箇所を前記基準位置へ戻す方向の復帰力を移動量に応じて発生させる復帰力発生機構を更に備えるとともに、
    前記支持機構が、前記所定の軌跡に沿って前後方向および左右方向にそれぞれ独立して動作可能に支持することを特徴とする座の支持機構。
  21. 前記座の移動方向の先端側に近接するに従い動作を緩慢にする緩慢部を有している請求項19又は20記載の座の支持機構。
  22. 前記座の動作端における部材同士の衝突による衝撃を回避または吸収するショックレス部を有している請求項18〜21の何れかに記載の座の支持機構。
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