JP3143323U - 排気ガス浄化機能を有する鞍乗型車両 - Google Patents

排気ガス浄化機能を有する鞍乗型車両 Download PDF

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Abstract

【課題】車両のレイアウトを良好に維持しつつ、排気管内に複数の触媒を収容して排気ガスの浄化機能を向上する車両を提供する。
【解決手段】排気ガス浄化機能を有する鞍乗型車両であって、車体フレーム10に対して固定されたエンジン30と、エンジン30より前側にて延設された後、曲折して車両進行方向後方に向けて延設される排気管50と、排気管50内に上流側触媒と下流側触媒とを備え、排気管50における上流側触媒を収容する上流側触媒収容部51と、下流側触媒を収容する下流側触媒収容部とは、離間して配置され、エンジン30の少なくとも一部は、上流側触媒収容部51と下流側触媒収容部の間に配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本考案は、内燃機関の駆動により排出される排気ガスを、触媒内を流通させて浄化する機能を有する鞍乗型車両に関し、特に排気管をエンジンの側方や下方に配設する車両に関する。
自動二輪車などの鞍乗型車両には、エンジンが車体フレームに懸架又は載置されて、車体フレームに対して固定されているものがある。このような車両では、一般に車体の重心がその中央付近にくるように、重量の大きいエンジンは車体の中央に配置され、車両の操作性、安定性が向上されるようなっている。そのため、このようにエンジンが車体フレームに固定されている車両では、車体の中央に乗車する搭乗者の下方にエンジンが位置するようになる。また、一般にエンジンに接続される排気管は、エンジンの前部から前方に延設された後、曲折してエンジンの下方又は側方を通って車体の後方にまで延設されている。
一方、鞍乗型車両には、排気管内に触媒を収容し、触媒の作用により排気ガス中のHC、NOx、COの量を低減し浄化した上で、排気ガスを排出するものがある(例えば、特許文献1)。このような車両では、排気ガスの流通方向へ或る程度の長さを有する触媒を、排気管内の複数個所に配置して排気ガスがその流通過程において触媒に接する機会を増やすとともに、排気ガスが、排気管内の流通過程でその温度が低下する前に触媒を流通するように、触媒を排気上流側に配置することが、排気ガスの浄化機能を向上させる上で好ましい。
特開平10−169435号公報
しかしながら、上述したようなエンジンが車体フレームに対して固定されている鞍乗型車両において、エンジンの側方又は下方に配設されている排気管内に複数の触媒を収容して、排気ガスの浄化機能を向上することには、車両のレイアウト上問題があった。
つまり、排気ガスが触媒を流通する際の流通抵抗を低減するために、排気管の触媒を収容する部分の内径は、排気管のそれ以外の部分の内径に比べて大きくする必要がある。ところが、排気管をエンジン下方に配設して、その部分に触媒を収容すると、内径を大きくした分だけ最低地上高が低くなる。また、排気管をエンジンの側方に配設して、その部分に触媒を収容すると、エンジン周辺の車幅が拡大し、エンジンの上方において乗車している搭乗者の乗車姿勢に不具合を生じる虞がある。
また、排気管内に配置される複数の触媒のすべてを、内燃機関から離れている位置、例えば車両後部に位置する部分に配置することも考えられるが、この場合、排気管の流通過程で温度が低下した排気ガスが触媒を流通することとなり、排気ガスの浄化機能が低下してしまう。
本考案は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンジンが車体フレームに対して固定されている鞍乗型車両であって、良好な車両のレイアウトを維持しつつ、排気管内に複数の触媒を収容して排気ガスの浄化機能を向上する車両を提供することにある。
上記課題を解決するために、本考案に係る鞍乗型車両は、排気ガス浄化機能を備える鞍乗型車両であって、車体フレームに対して固定されたエンジンと、当該エンジンに接続され、該エンジンより前側にて延設された後、曲折して車両進行方向後方に向けて延設される排気管と、前記排気管内に配置される複数の触媒と、を備え、前記排気管は、前記複数の触媒のうち少なくとも一つを収容する上流側触媒収容部と、前記複数の触媒の残りを収容し、前記上流側触媒収容部から離間した位置であって該上流側触媒収容部より下流側に配置される下流側触媒収容部と、を備え、前記上流側触媒収容部と前記下流側触媒収容部の間に前記エンジンの少なくとも一部が配置されていることを特徴とする。
ここで、エンジンの一部とは、エンジンのクランクケースや、シリンダブロック、シリンダヘッド、該クランクケースや該シリンダブロック、該シリンダヘッドにおける側方又は下方、上方に突出する部分などである。クランクケースは、クランクシャフトのみを収納するものに限られず、変速機構を収納するものも含む。また、エンジンの一部は、上流側触媒収容部と下流側触媒収容部とを結ぶ線分上にあるだけでなく、例えば、車両の側面視において上流側触媒収容部と下流側触媒収容部との間に位置するようにしてもよい。
本考案によれば、複数の触媒を排気管内に収容しているので、排気ガスの浄化機能を向上させることができている。さらに、排気ガスの流通断面積を一定にするために、上流側触媒収容部と下流側触媒収容部の内径を排気管の他の部分に比べ大きく形成する場合であっても、エンジンの少なくとも一部を挟んで上流側触媒収容部と下流側触媒収容部とを配置するので、車両の車幅の拡大や、最低地上高の減少、他の装置との干渉などが抑制され、良好な車両のレイアウトを実現できる。
また、本考案の一態様では、前記排気管は、前記エンジンに接続され、前記エンジンより前側に延設された後、曲折されて車両進行方向後方に向けて前記エンジンの下方にて延設され、前記上流側触媒収容部は、前記エンジンの最下端位置より車両進行方向前方に配置され、前記下流側触媒収容部は、前記エンジンの前記最下端位置より車両進行方向後方に配置されることを特徴とする。ここで、エンジンの最下端位置とは、例えば、エンジン下部に位置するクランクケースの下面において下方に突出した部分などである。この態様によれば、車両の最低地上高を減少させることなく、排気管内に複数の触媒を配置できる。
また、本考案の一態様では、前記上流側触媒収容部は、前記エンジンのクランクケースの車両進行方向前方に配置され、前記下流側触媒収容部は、前記エンジンのクランクケースより車両進行方向後方に配置されることを特徴とする。この態様によれば、車両の最低地上高を減少させることなく、排気管内に複数の触媒を配置できる。
また、この態様では、前記排気管は、前記エンジンに接続され、前記エンジンより前側に延設された後、曲折されて車両進行方向後方に向けて前記エンジンのクランクケースの下方にて延設されてもよい。この態様によれば、車幅を拡大することなく、排気管を配設することができる。
また、本考案の一態様では、前記排気管内の排気ガスに二次空気を供給する二次空気供給管をさらに備え、前記二次空気供給管は、前記エンジンの下面より上方において配設されて、前記排気管における前記エンジンのクランクケースより車両進行方向前方に配設されている部分に接続されることを特徴とする。この態様によれば、排気ガスに二次空気を供給しているので、排気ガスの浄化機能をさらに向上させることができる。また、二次空気供給管の配設によっても、車両の最低地上高が減少することがなく、良好な車両のレイアウトを維持できる。
また、この態様では、前記二次空気供給管は、前記上流側触媒収容部における前記上流側触媒より下流側に接続されてもよい。この態様によれば、二次空気供給管の配設によっても、車両の最低地上高が減少することがなく、良好な車両のレイアウトを維持できる。
また、本考案の一態様では、前記エンジンのシリンダブロックは、該シリンダブロックの頂部を車両進行方向前方に向けて傾斜する姿勢で配置されることを特徴とする。この態様によれば、エンジンの頂部の高さを低減させて、搭乗者の乗車姿勢の安定性を確保することができる。また、シリンダブロック下方に排気管を配設することにより、排気管と他の装置との干渉を回避することができる。
また、この態様では、前記エンジンは、4サイクルエンジンであってもよい。この態様によれば、エンジンの上部に取り付けられた排気ポートに、排気管が接続される。そのため、排気管をエンジンの下方に配設する場合には、排気管におけるエンジンとの接続部分からエンジンの下方に至る部分を長くすることができ、上流側触媒収容部の配設スペースを十分に確保することが出来る。
また、この態様では、前記上流側触媒収容部は、前記エンジンの最前端より車両進行方向後方に配置されてもよい。この態様によれば、上流側触媒収容部の車両前方への突出を抑制することができ、上流側触媒収容部の耐久性を向上させることができる。
また、この態様では、前記上流側触媒収容部は、排気ガスの流通方向に延伸する形状を有し、車両進行方向前方に傾斜する姿勢で配置されてもよい。この態様によれば、上流側触媒収容部の車両前方への突出を抑制することができ、上流側触媒収容部の耐久性を向上させることができる。
また、本考案の一態様では、前記上流側触媒収容部は、該上流側触媒収容部内にて前記触媒を支持する胴部を有し、前記胴部は、該胴部の中心線が車幅方向中心から離間して配置されることを特徴とする。この態様によれば、走行中に、前車輪から後方へ巻き上げられる路面の水や砂塵等が上流側触媒収容部に接触するのを防止することができ、上流側触媒の温度低下を抑制し、且つ、上流側触媒収容部の耐久性を向上させることができる。
また、この態様では、前記上流側触媒収容部の胴部全体は、車幅方向中心より側方に偏った位置に配置されてもよい。この態様によれば、走行中に、前車輪から後方へ巻き上げられる路面の水や砂塵等が上流側触媒収容部に接触するのを防止することができ、上流側触媒の温度低下を抑制し、且つ、上流側触媒収容部の耐久性を向上させることができる。
また、本考案の一態様では、前記上流側触媒収容部の胴部全体は、前記エンジンの側面の少なくとも一部より車幅方向内側に配置されることを特徴とする。ここで、エンジンの側面とは、エンジンのクランクケースやシリンダブロックの車幅方向外方の端面などである。この態様によれば、上流側触媒収容部の後方にエンジンが位置するので、上流側触媒収容部近傍における走行風の流れが抑制され、上流側触媒の温度低下を抑制することができる。
また、本考案の一態様では、車体の前側を覆うカバーを備え、前記カバーの少なくとも一部は、前記上流側触媒収容部の車両進行方向前方に配置されることを特徴とする。この態様によれば、前車輪から後方へ巻き上げられる路面の水や砂塵等が上流側触媒収容部に接触することをカバーが防止するので、上流側触媒の温度低下を抑制し、且つ、上流側触媒収容部の耐久性を向上させることができる。
また、本考案の一態様では、前記上流側触媒収容部の胴部全体は、前車輪の車軸を含む水平面より下方に配置されることを特徴とする。この態様によれば、走行中に上下に揺動する前車輪と、上流側触媒収容部との干渉が回避され、上流側触媒収容部の耐久性を向上させることができる。
また、本考案の一態様では、前記排気管は、前記エンジンとの接続部分から前側に延設された後、曲折して前記エンジンのシリンダブロックの側方にて車両進行方向後方に向けて配設され、前記上流側触媒収容部は、前記エンジンの前記シリンダブロックの車両進行方向前方に配置されることを特徴とする。この態様によれば、排気管をエンジンの側方に配設する車両において、排気ガスの流通断面積を排気ガスの全区間に亘って等しくするために、上流側触媒収容部の内径を排気管の他の部分より大きくする場合であっても、車幅の拡大を抑制し、搭乗者の乗車姿勢の安定性を確保することができる。
また、本考案の一態様では、前記排気管は、前記エンジンとの接続部分から前側に延設された後、曲折して前記エンジンのシリンダブロックの側方にて車両進行方向後方に向けて配設され、前記エンジンのクランクケースは、前記シリンダブロックより車両進行方向後方に位置する後部を有し、前記下流側触媒収容部は、前記エンジンの前記シリンダブロックより車両進行方向後方であって、前記クランクケースの前記後部上方に配置されることを特徴とする。この態様によれば、排気管をエンジンの側方に配設する車両において、排気ガスの流通断面積を排気ガスの全区間に亘って等しくするために、下流側触媒収容部の内径を排気管の他の部分より大きくする場合であっても、車幅の拡大を抑制し、搭乗者の乗車姿勢の安定性を確保することができる。
以下、本考案の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本考案の一実施形態に係る排気ガス浄化機能を有する鞍乗型車両を説明するための図である。図1は本考案に係る鞍乗型車両の一実施形態である自動二輪車1の外観側面図であり、図2は当該自動二輪車1の正面図である。図3は自動二輪車1に搭載され、排気ガスを浄化する排気管50及び消音器40の斜視図である。
図1及び図2において、自動二輪車1の車体フレーム10はメインフレーム11を有している。メインフレーム11は車体の前半部にて、車体の前方(同図においてFrが示す方向)から斜め下方に向けて延設されており、その前端部にはヘッドパイプ27が設けられている。ヘッドパイプ27は、サスペンションを有するフロントフォーク5を回動自在に軸支している。フロントフォーク5の上端部には車幅方向に延設されるハンドル9が取り付けられており、ハンドル9の左右の両端にはグリップ7が取り付けられている。フロントフォーク5の下端部には前車輪23が軸支されている。走行中にはフロントフォーク5は、前車輪23とともに伸縮し、走行中の衝撃を緩衝している。また、フロントフォーク5は前車輪23を上方から覆うフロントフェンダ22を支持している。
また、車体フレーム10はシートレール12を有しており、シートレール12は、メインフレーム11の中途部11aに接続され、該中途部11aから車両進行方向後方斜め上方に向けて延設されている。シートレール12の上方にはシート13が配置されている。さらに、車体フレーム10はバックステー14を有しており、該バックステー14はメインフレーム11の後端部に接続され、該後端部から車両進行方向後方斜め上方に向けて延設されている。バックステー14の後端部はシートレール12に接続している。
メインフレーム11の後端部には、下方に垂下するリヤアームブラケット17が取り付けられている。メインフレーム11の後部下方にはエンジン30が配置されており、エンジン30は、自動二輪車1における車両進行方向の中央付近に位置している。エンジン30は、メインフレーム11の中途部11b、11cにて懸架されるとともに、リヤアームブラケット17に支持されて、車体フレーム10に対して固定されている。搭乗者が自動二輪車1に乗車した場合には、エンジン30の略上方に、シート13の車両進行方向前方に着座する搭乗者が位置するようになる。
メインフレーム11の前部下方には、ラジエータ24が配置されている。ラジエータ24は、エンジン30の冷却水通路と連結しており、内部にエンジン30を冷却する冷却水を流通させて、走行風によって該冷却水を冷却している。ラジエータ24は、給排パイプ24bを介してリザーバタンク24aと連通している(図2参照)。ラジエータ24は、ラジエータ24及びエンジン30の冷却水通路内の冷却水量がその温度変化に起因して増減した場合には、リザーバタンク24aに一時的に冷却水を貯めたり、あるいは、リザーバタンク24aから冷却水を吸い出している。
リヤアームブラケット17にはリヤアーム19の一端部がピボット軸4にて取り付けられている。リヤアーム19の他端部は後車輪21を軸支しており、リヤアーム19はリヤアームブラケット17に設けられたピボット軸4を支点として、後車輪21とともに車体フレーム10に対して上下に揺動可能となっている。リヤアーム19の中途部にはリヤサスペンション18の一端が取り付けられている。その他端はシートレール12に取り付けられて、リヤサスペンション18は、走行中のリヤアーム19の揺動に応じて伸縮することにより、走行中に搭乗者が受ける衝撃を緩衝している。
車体フレーム10は、車体カバー6及びレッグシールド8により覆われている。レッグシールド8は車体カバー6の前方に取り付けられており、前方が開口した正面視略矩形の形状である(図2参照)。また、レッグシールド8は、前方に向かうに従い徐々に内側に絞り込まれる形状を有している。なお、図2には、レッグシールド8の稜線8b、8cが示されている。
エンジン30は、単気筒4サイクルエンジンであり、内部にシリンダを有するシリンダブロック32と、該シリンダブロック32の下部に取り付けられ、内部にクランクシャフト及び変速機構を収納するクランクケース31とを備えている。シリンダブロック32の上部には、シリンダを上方から覆うシリンダヘッド33が取り付けされている。シリンダヘッド33には、エンジン30内に空気及び燃料を導入する吸気ポートが形成されている。吸気ポートにはマニホールドが接続されており、マニホールドの上流側にはインジェクタが取り付けられたスロットルボディ35が接続されている。スロットルボディ35は、シリンダヘッド33の後方且つクランクケース31の上方に配置されている。シリンダヘッド33の内部には吸気ポートから供給された燃料を、空気とともに燃焼する燃焼室が形成されている。燃料の燃焼により発生する排気ガスは、シリンダヘッド33の前部に形成された排気ポートからエンジン30の外に排出される。シリンダブロック32は、その頂部を前方に向けて傾斜した姿勢で配置されている。そのため、シリンダブロック32及びシリンダヘッド33の下方には、後述する排気管50等を配設するスペースが設けられている。エンジン30は、その幅方向の中心が車両の車幅方向中心に位置するように配置されている(図2参照)。
シリンダヘッド33に形成される排気ポートには、排気管50が接続されている。排気管50は、排気ポートから車両進行方向前方斜め下方に向けて延設された後、屈曲し、車両進行方向後方斜め下方に向けて延設されている。その後、さらに曲がりクランクケース31の下方において車両進行方向後方に向けて延設されている。
排気管50のクランクケース31より後方部分は、後車輪21の側方に配置される消音器40に収容されている。図3に示すように、消音器40内は、第1隔壁41及び第2隔壁42によって、前方から順に1次膨張室43、3次膨張室45、2次膨張室44に区画されている。排気管50の下流側の端部は、1次膨張室43にて開口しており、排気ガスを1次膨張室43内へ排出している。1次膨張室43と2次膨張室44、及び、2次膨張室44と3次膨張室45は、それぞれ配管46を介して連通している。また、3次膨張室45にはテールパイプ47が配設されており、該テールパイプ47は第2隔壁42を貫通して、その端部は消音器40の外側に向かって開口している。
図3に示すように、排気管50には、上流側触媒収容部51と、当該上流側触媒収容部51より下流側に配置される下流側触媒収容部52とが設けられている。上流側触媒収容部51は、その内部に主として還元作用をなす上流側触媒51aを有している。下流側触媒収容部52は、その内部に主として酸化作用をなす下流側触媒52aを有している。上流側触媒51a及び下流側触媒52aはともにハニカム状の金属から構成され、このハニカム状の金属は、その側面を円筒状の外壁部材により包まれている。この外壁部材は触媒内の排気ガスの流通抵抗を低減するために、それぞれ排気管50の他の部分より大径に形成されている。
上流側触媒収容部51は、排気管50の他の部分より大径に形成される筒状の胴部51fを有している。胴部51fの内周面は、上流側触媒51aの外壁部材の外周面に接して、上流側触媒51aを保持している。胴部51fの上流側には、下流に向かうに従って漸次径が大きくなる上流側テーパ部51cが連設され、胴部51fの下流側には、下流に向かうに従って徐々に径が小さくなる下流側テーパ部51dが連設されている。下流側テーパ部51dのさらに下流側には、管状の下流側管部51eが連設されている。下流側管部51eの下流端部には管状の配管部53が接続されている。
下流側触媒収容部52は、下流に向かうに従って漸次径が大きくなる上流側テーパ部52cと、下流に向かうに従って漸次径が小さくなる下流側テーパ部52dとを有している。上流側テーパ部52cの下流側端部は、下流側触媒52aを包む外壁部材の上流側端部に接合されて下流側触媒52aを保持し、下流側テーパ部52dの上流側端部は、下流側触媒52aを包む外壁部材の下流側端部に接合されて、下流側触媒52aを保持している。
図1に示すように、上流側触媒収容部51は、クランクケース31の前方且つシリンダブロック32の下方であって、上流側触媒収容部51全体がシリンダヘッド33の最前端部33aを含む鉛直面より後方に位置するように配置されている。また、上流側触媒収容部51の胴部51fは、シリンダブロック32から離間し、その軸線方向が傾斜してシリンダブロック32内のシリンダの軸線方向と平行に配置され、前車輪23の車軸23aを含む水平面より低い位置に配置されている。これにより、上流側触媒51aを他の装置や、上下に揺動する前車輪23などと干渉させることなく配置することができる。また、上流側触媒51aが排気ガスの流通経路の上流側に配置されているため、高温の排気ガスが上流側触媒51aを流通し、上流側触媒51aにおける排気ガス浄化機能が向上している。
また、図2に示すように、上流側触媒収容部51の胴部51f全体はクランクケース31の側端面31aより車幅方向内側に位置するとともに、車幅方向中心より側方に偏った位置に配置されている。上流側触媒収容部51の前方にはレッグシールド8の下部が位置している。これにより、走行中に路面の水や砂塵等が上流側触媒収容部51に当ることを防止でき、上流側触媒の活性化温度の維持、耐久性を向上させることができている。
下流側触媒収容部52は、上流側触媒収容部51から離間して配置されており、これらの触媒収容部の間にクランクケース31が位置している。すなわち、下流側触媒収容部52は、配管部53を介して上流側触媒収容部51に連結している。配管部53は、クランクケース31の下方に位置し、エンジン30の下端面となるクランクケース31の下面に沿って配設されている。
配管部53の径は、上流側触媒51a及び下流側触媒52aより小径であり、この配管部53がクランクケース31の下面に沿って配設されることにより、車両の最低地上高が維持されている。下流側触媒収容部52は、後車輪21の側方に配置される消音器40内に収容されており、このため、下流側触媒52aの活性化温度が維持しされやすくなっている。
排気管50には排気ガスに二次空気を供給する二次空気供給管60が接続されている。二次空気供給管60の下流側(排気管50側)は、クランクケース31より前方、且つ、当該クランクケース31の下面より上方にて配設されて、その下流側端部60aは排気管50のクランクケース31より前方に配設されている部分に接続されている。具体的には、二次空気供給管60の下流側端部60aは、上流側触媒収容部51における下流側テーパ部51dの下流側の端部から下流側管部51eに亘って接続されている(図3参照)。二次空気供給管60は、上流側触媒収容部51との接続部分から車幅方向内側に向けて延設された後、屈曲して車両の上方に向けて延設されている。その後さらに屈曲し、二次空気供給管60の上流側端部は、エンジン30の側方に配置されるリードバルブアッシ61に接続されている(図1及び図2参照)。
リードバルブアッシ61は、逆止弁を備えており、二次空気の排気管50への流入を許容し、逆方向への流れを抑制している。リードバルブアッシ61は、配管63を介してエアクリーナ(不図示)に接続されており、エアクリーナを流通し浄化された二次空気を、排気ガスに供給している。リードバルブアッシ61とエアクリーナとを連結する配管63の側壁には開口が形成されており、その開口にはスロットルボディ35の下部に取り付けられた箱状のレゾネータ65が接続されている。レゾネータ65には排気管50へ流入する二次空気の一部が配管63から流入しており、二次空気の脈動により生じる空気の干渉が抑制されて、空気騒音が低減されている。
以上説明した鞍乗型車両によれば、上流側触媒収容部51と下流側触媒収容部52とが離間して配置され、その間にクランクケース31が位置しているので、車両の最低地上高を維持しつつ、排気管50内に二つの触媒を収容することにより、排気ガスの浄化機能を向上することができている。
なお、本考案は上記実施形態に限られるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上流側触媒収容部51をエンジン30の前方に配置するとともに、配管部53をクランクケース31の上方且つシリンダブロック32の側方に配設して、下流側触媒収容部52をクランクケース31の上方に配置するようにしてもよい。図4はこの形態に係る鞍乗型車両の側面図である。同図において、図1乃至図3と同一箇所については同一符号を付し、以下において詳細な説明を省略する。
図4において、自動二輪車2のシリンダブロック32は前方に傾斜した姿勢で配置されている。また、シリンダブロック32の上部にはシリンダヘッド33が取り付けられている。シリンダブロック32の下部にはクランクケース31が取り付けられている。クランクケース31の前部31aは、クランクケース31とシリンダブロック32との結合部分より前方に位置している。シリンダヘッド33の前方に設けられた排気ポートには排気管50が接続されており、排気管50の上流側触媒収容部51は、シリンダブロック32及びシリンダヘッド33の下方であって、クランクケース31の前部31aの上方に設けられるスペースに配置されている。また、上流側触媒収容部51は、シリンダブロック32の側面より車幅方向内側に配置されている。これにより、車幅を拡大ことなく、上流側触媒収容部51を配置できている。
また、下流側触媒収容部52も自動二輪車2の車幅を拡大することのないように配置されている。具体的には、自動二輪車2のシリンダブロック32の下部に取り付けられたクランクケース31の後部31bは、クランクケース31とシリンダブロック32との結合分より後方に位置しており、クランクケース31の後部31b上方にもスペースが設けられている。排気管50の配管部53は、シリンダブロック32の車幅方向外側の側壁に隣接して配置されている。配管部53の下流側の端部に下流側触媒収容部52は連結されており、シリンダブロック32の後方且つクランクケース31の後部31b上方に設けられるスペースに配置されている。これにより、下流側触媒収容部52が車幅を拡大することのないように、下流側触媒収容部52と上流側触媒収容部51との間にシリンダブロック32が配置されている。
以上説明した自動二輪車2においても、良好な車両のレイアウトを維持しつつ、排気管50内に2つの触媒を有すことにより、排気ガス浄化機能を向上させることが出来ている。
本考案の一実施形態による自動二輪車の外観側面図である。 上記自動二輪車の正面図である。 上記自動二輪車に搭載される排気管及び消音器の斜視図である。 本考案の他の実施形態による自動二輪車の側面図である。
符号の説明
1 自動二輪車、2 自動二輪車、4 ピボット軸、5 フロントフォーク、6 車体カバー、8 レッグシールド、9 ハンドル、7 グリップ、10 車体フレーム、11 メインフレーム、12 シートレール、13 シート、14 バックステー、17 リヤアームブラケット、18 リヤサスペンション、19 リヤアーム、21 後車輪、22 フロントフェンダ、23 前車輪、24 ラジエータ、27 ヘッドパイプ、30 エンジン、31 クランクケース、32 シリンダブロック、33 シリンダヘッド、35 スロットルボディ、40 消音器、41 第1隔壁、42 第2隔壁、43 1次膨張室、44 2次膨張室、45 3次膨張室、46 配管、47 テールパイプ、50 排気管、51 上流側触媒収容部、52 下流側触媒収容部、53 配管部、60 二次空気供給管、61 リードバルブアッシ、63 配管、65 レゾネータ。

Claims (17)

  1. 排気ガス浄化機能を備える鞍乗型車両であって、
    車体フレームに対して固定されたエンジンと、
    前記エンジンに接続され当該エンジンより前側にて延設された後、曲折して車両進行方向後方に向けて延伸する排気管と、
    前記排気管内に配置される複数の触媒と、を備え、
    前記排気管は、前記複数の触媒のうち少なくとも一つを収容する上流側触媒収容部と、前記複数の触媒の残りを収容し、前記上流側触媒収容部から離間した位置であって該上流側触媒収容部より下流側に配置される下流側触媒収容部と、を備え、
    前記上流側触媒収容部と前記下流側触媒収容部の間に前記エンジンの少なくとも一部が配置されている、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  2. 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
    前記排気管は、前記エンジンに接続され、前記エンジンより前側に延設された後、曲折されて車両進行方向後方に向けて前記エンジンの下方にて延設され、
    前記上流側触媒収容部は、前記エンジンの最下端位置より車両進行方向前方に配置され、
    前記下流側触媒収容部は、前記エンジンの前記最下端位置より車両進行方向後方に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  3. 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
    前記上流側触媒収容部は、前記エンジンのクランクケースの車両進行方向前方に配置され、
    前記下流側触媒収容部は、前記エンジンのクランクケースより車両進行方向後方に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  4. 請求項3に記載の鞍乗型車両において、
    前記排気管は、前記エンジンに接続され、前記エンジンより前側に延設された後、曲折されて車両進行方向後方に向けて前記エンジンのクランクケースの下方にて延設される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の鞍乗型車両において、
    前記排気管内の排気ガスに二次空気を供給する二次空気供給管をさらに備え、
    前記二次空気供給管は、前記エンジンの下面より上方において配設されて、前記排気管における前記エンジンのクランクケースより車両進行方向前方に配設されている部分に接続される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  6. 請求項5に記載の鞍乗型車両において、
    前記二次空気供給管は、前記上流側触媒収容部における前記上流側触媒より下流側に接続される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の鞍乗型車両において、
    前記エンジンのシリンダブロックは、該シリンダブロックの頂部を車両進行方向前方に向けて傾斜する姿勢で配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  8. 請求項7に記載の鞍乗型車両において、
    前記エンジンは、4サイクルエンジンである、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  9. 請求項7に記載の鞍乗型車両において、
    前記上流側触媒収容部は、前記エンジンの最前端より車両進行方向後方に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  10. 請求項7に記載の鞍乗型車両において、
    前記上流側触媒収容部は、排気ガスの流通方向に延伸する形状を有し、車両進行方向前方に傾斜する姿勢で配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  11. 請求項1乃至4のいずれかに記載の鞍乗型車両において、
    前記上流側触媒収容部は、該上流側触媒収容部内にて前記触媒を支持する胴部を有し、
    前記胴部は、該胴部の中心線が車幅方向中心から離間して配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  12. 請求項11に記載の鞍乗型車両において、
    前記上流側触媒収容部の胴部全体は、車幅方向中心より側方に偏った位置に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  13. 請求項1乃至4のいずれかに記載の鞍乗型車両において、
    前記上流側触媒収容部の前記胴部全体は、前記エンジンの側面の少なくとも一部より車幅方向内側に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  14. 請求項1乃至4のいずれかに記載の鞍乗型車両において、
    車体の前側を覆うカバーを備え、
    前記カバーの少なくとも一部は、前記上流側触媒収容部の車両進行方向前方に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  15. 請求項1乃至4のいずれかに記載の鞍乗型車両において、
    前記上流側触媒収容部の胴部全体は、前車輪の車軸を含む水平面より下方に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  16. 請求項1に記載の鞍乗型車両において、
    前記排気管は、前記エンジンとの接続部分から前側に延設された後、曲折して前記エンジンのシリンダブロックの側方にて車両進行方向後方に向けて配設され、
    前記上流側触媒収容部は、前記エンジンの前記シリンダブロックより車両進行方向前方に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
  17. 請求項1又は16に記載の鞍乗型車両において、
    前記排気管は、前記エンジンとの接続部分から前側に延設された後、曲折して前記エンジンのシリンダブロックの側方にて車両進行方向後方に向けて配設され、
    前記エンジンのクランクケースは、前記シリンダブロックより車両進行方向後方に位置する後部を有し、
    前記下流側触媒収容部は、前記エンジンの前記シリンダブロックより車両進行方向後方であって、前記クランクケースの前記後部上方に配置される、
    ことを特徴とする鞍乗型車両。
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