JP3141479B2 - 耐炎性ポリエステルの製造方法 - Google Patents
耐炎性ポリエステルの製造方法Info
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Description
維、フィルム、ボード等の成型品を提供し得る耐炎性ポ
リエステルの製造方法に関するものである。
する種々の成型品において難燃化が要求特性として挙げ
られ、様々な研究が行なわれている。線状ポリエステル
から製造される成型品においても、耐炎性付与剤をポリ
マー製造時に添加して共重合あるいはブレンドさせる方
法や、成型時にポリエステル中に練り込む方法、さらに
は成型品を後加工して耐炎性を付与する方法等が提案さ
れている。
場合、最も簡便でしかも得られる成型品の諸性能を損な
わないという点で、ポリマー製造時に耐炎性付与剤を添
加して共重合させる方法が有利であり、この耐炎性付与
剤としてはリン化合物が多く用いられている。リン化合
物としては例えば、リン酸トリフェニル等のリン酸エス
テル類あるいはベンゼンホスホン酸誘導体のようなホス
ホン酸類等が挙げられるが、これらの化合物をポリエス
テル重縮合時に添加すると、 触媒の失活が起きて反応時間が大幅に延長してしまう エーテル結合が生成して得られるポリエステルの融点
が低下してしまう ポリエステルが三次元化してゲル化する ポリエステル製造工程中にリン化合物が飛散してしま
って、耐炎性付与効果が得られない 飛散したリン化合物によって環境が汚染される 等の問題があった。
5−41610号公報には、特定のリン化合物を共重合
し耐炎性ポリエステルを製造する方法が開示されてい
る。しかしこの公報中のリン化合物は高価なため、工業
的に耐炎性ポリエステルを製造するには不適当である。
め特定の不飽和カルボン酸を共重合しておいたポリエス
テルに特定のリン化合物を反応させる方法により、安価
な耐炎性ポリエステルを得る方法が開示されている。し
かし、同公報に開示されている反応方法は、高活性で不
安定な不飽和カルボン酸を高温下で共重合させたり、P
−H結合を有する不安定なリン化合物を高温下で反応さ
せる等、かなり激しい条件で反応を行なっているので、
生成した耐炎性ポリエステルは一部三次元化していて、
繊維やフィルムへの加工操業性の低下や繊維・フィルム
物性の低下が認められることがある。さらに、上記のよ
うな激しい反応のため、不飽和カルボン酸中の不飽和結
合がリン化合物の導入反応まで未反応のまま保存される
かどうかもわからないし、高温でリン化合物を添加する
ためポリエステルを分解してしまうこともあるという問
題があった。
解決するためになされたものであって、その目的は、優
れた耐炎性並びに諸物性を有する繊維、フィルムおよび
ボード等の成型品を提供し得る耐炎性ポリエステルの安
価な製造方法を提供することにある。
の本発明は、ポリエステル形成用原料と共に、不飽和カ
ルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と有機リン
化合物を反応させ、さらに重縮合を行なって耐炎性ポリ
エステルを製造する方法において、未反応有機リン化合
物が少なくなった時点で亜鉛化合物もしくはコバルト化
合物を添加するところに要旨を有する。
に不飽和カルボン酸と有機リン化合物を反応させて、ポ
リエステル重縮合反応に対する活性を持つリン化合物誘
導体を生成させ、これをポリエステル主鎖中に導入する
反応において、亜鉛化合物もしくはコバルト化合物を使
用するものである。これは、未反応の有機リン化合物が
残存していると、次のポリエステル重縮合工程において
使用される触媒化合物を還元して、重縮合反応時間を大
幅に長びかせたり、生成ポリエステルに無用な着色をも
たらすことを防ぐためである。以下本発明を詳述する。
ル形成用原料とは、ポリエステルを製造するために必要
不可欠である、ジオール類とジカルボン酸またはそのエ
ステル、あるいはオキシカルボン酸であり、これらを任
意に組み合わせて使用することができる。これらは特に
限定はされないが、ジオール類の具体例としては、エチ
レングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロ
ピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が
挙げられる。
酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,5-
ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン
酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2,5-ジブロモテ
レフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸等の脂肪
族または脂環族ジカルボン酸等が挙げられ、これらの1
種または2種以上を混合して用いることができる。また
オキシカルボン酸成分としては、4-オキシ安息香酸、4-
ヒドロキシエトキシ安息香酸、オキシピバリン酸等が挙
げられる。本発明において使用される不飽和カルボン酸
もしくはそのエステル形成性誘導体(以下これらを合わ
せて不飽和カルボン酸類と言うことがある)とは、重合
性不飽和結合を有するモノカルボン酸または多価カルボ
ン酸もしくはそれらのエステル形成性誘導体であって、
具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、クロトン酸、クロ
トン酸メチル、クロトン酸エチル、マレイン酸、マレイ
ン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸、
フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、メサ
コン酸、メサコン酸ジメチル、メサコン酸ジエチル、シ
トラコン酸、シトラコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエ
チル、無水シトラコン酸、イタコン酸、イタコン酸ジメ
チル、イタコン酸ジエチル、無水イタコン酸等が挙げら
れる。これらの中でも、マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸等のジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導
体が好ましく使用される。
は、ポリエステル主鎖中に導入され、耐炎性を付与する
ものであって、リン化合物単独ではエステル形成能を持
たずポリエステル中に導入することができないため、不
飽和カルボン酸類と反応させてリン化合物誘導体を生成
させることが必要となる。
具体的に例示すると、ジメチルホスフィンオキシド、ジ
エチルホスフィンオキシド、ジプロピルホスフィンオキ
シド、ジブチルホスフィンオキシド、ジフェニルホスフ
ィンオキシド等のホスフィンオキシド;
ンホスフィネート、メチルエタンホスフィネート、エチ
ルエタンホスフィネート、メチルプロパンホスフィネー
ト、エチルプロパンホスフィネート、メチルブタンホス
フィネート、エチルブタンホスフィネート、メチルベン
ゼンホスフィネート、エチルベンゼンホスフィネート等
のホスフィン酸誘導体;9,10- ジヒドロ-9- オキサ-10-
ホスファフェナンスレン-10-オキシド(以後HCAと省
略する)等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルホ
スフィンオキシド、ジエチルホスフィンオキシド、ジプ
ロピルホスフィンオキシド、ジブチルホスフィンオキシ
ド、ジフェニルホスフィンオキシド、HCAが好ましく
使用される。
単独ではエステル形成能を持たないため、不飽和カルボ
ン酸類と反応させてリン化合物誘導体を生成させること
が必要であるが、この反応を100%完結させるのはな
かなか困難である。しかし、未反応のリン化合物が反応
系内に残存していると、次のポリエステル重縮合工程に
おいて使用される触媒化合物を還元して、重縮合反応時
間を大幅に長びかせたり、生成ポリエステルに無用な着
色をもたらす原因となる。本発明では、未反応リン化合
物によるこのようなデメリットを防ぐ方法として、亜鉛
化合物もしくはコバルト化合物の添加が有用であること
を見出した。
鉛、シュウ酸亜鉛、乳酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜
鉛、ナフテン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ステアリン酸亜
鉛、チオシアン酸亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛アセチルアセト
ネート等が挙げられるが、酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、乳
酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネートの使用が好ましい。
また、コバルト化合物としては、酢酸コバルト、シュウ
酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン
酸コバルト、ステアリン酸コバルト、炭酸コバルト、コ
バルトアセチルアセトネート等が挙げられ、酢酸コバル
ト、シュウ酸コバルト、ナフテン酸コバルト、コバルト
アセチルアセトネート等の使用が特に好ましい。
物は、そのままの固形状でも使用できるが、エチレング
リコールや1,4-ブタンジオール等のグリコール類等に溶
解した溶液として使用することが好ましい。これらの亜
鉛およびコバルト化合物の使用量は、未反応リン化合物
の量によって適宜選択されるが、未反応リン化合物に対
して0.1 〜5.0 倍モル、特に好ましくは 0.2〜2.0 倍モ
ルである。使用量が0.1 倍モルより少ないとリン化合物
との反応が不充分となり、リン化合物が残存してしま
う。また、使用量が5.0 倍モルを超えることは、何のメ
リットもないだけでなく、ポリエステルの耐加水分解性
や耐熱安定性を悪化させる原因となるので好ましくな
い。
物と不飽和カルボン酸の反応が95%以上終了してから重
縮合触媒を加えるまでの間であれば任意の時期で構わな
いが、重縮合触媒が未反応リン化合物によって還元され
るのを防ぐために、重縮合触媒の添加前でなければなら
ない。また、リン化合物と不飽和カルボン酸もしくはそ
のエステル形成性誘導体との反応率は、31PNMRの測
定で求めることが好ましく推奨される。もし反応率が95
%以下であれば、未反応リン化合物の量が多いのである
から、その安定化に要する亜鉛やコバルト化合物の量も
増やす必要がある。結果的に亜鉛やコバルト化合物と未
反応リン化合物との反応生成物の量が増えてポリマー中
に粒子として析出してくるが、これは紡糸やフィルム化
等の時、ノズル詰まりや異物となり成形加工性を困難に
するだけでなく、繊維およびフィルム等の性能低下の原
因となるので好ましくない。また特にコバルト化合物を
使用する場合は、その使用量が多くなると得られたポリ
マーはコバルト特有の紫色から青紫色に着色し、成形品
への応用範囲が狭小化する。さらには、未反応の不飽和
カルボン酸成分も増量することから、高温下での重縮合
反応中に三次元化してポリマーの成形加工性に悪影響を
及ぼし、得られる成形品の性能低下をもたらす。
そのエステル形成性誘導体とリン化合物の反応比は、実
質的には等モルで行なうことが好ましいが、いずれかが
20モル%の範囲内で過不足があっても構わない。しかし
この過不足が20モル%を超えると、耐炎性ポリエステル
の製造が困難となるだけでなく、得られる繊維やフィル
ムの物性低下を引き起こすことがある。
ステル中のリン原子の量として 500〜50000 ppm が好ま
しい。特に好ましくは1000〜10000ppmである。リン原子
の量が500ppmより少ない場合、ポリエステルに所望の耐
炎性を付与することができず、50000ppmを超えて使用す
ると、製造コストが高価なものとなる、ポリエステルを
製造する際の操業性が低下する、得られる繊維やフィル
ムの物性低下を引き起こす等の悪影響があるため好まし
くない。
リン化合物との反応は、ポリエステル形成用原料のエス
テル化あるいはエステル交換反応と共に行なわれ、その
時の反応系の温度は260℃以下、好ましくは240℃
以下である。これは、不飽和カルボン酸類とリン化合物
がいずれも比較的不安定な化合物であるので、ポリエス
テルの重縮合における過酷な条件下では、分解してしま
ったり、副反応を誘起して後からの操業性を低下させて
しまうためである。
料のエステル化あるいはエステル交換反応を促進するた
めに、公知の触媒を共存させることもできる。エステル
化触媒としては、有機アミン化合物、酢酸ナトリウム等
のアルカリ金属塩、酢酸カルシウム等のアルカリ土類金
属塩、酢酸スズ、チタニウムテトラブトキシドが挙げら
れ、エステル交換反応触媒の具体例としては、酢酸リチ
ウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウ
ム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウ
ム、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、チタニウ
ムテトラブトキシド、シュウ酸チタニルカリウム等の金
属化合物が挙げられる。
下で、200〜260℃で行なわれ、エステル交換反応
は、常圧、100〜240℃で行なわれる。亜鉛および
コバルト化合物を添加した後は、公知の方法で重縮合反
応を行ない、耐炎性ポリエステルを生成する。触媒とし
て酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、タングステン
酸等の金属化合物を用い、1mmHg以下の高真空下で24
0〜320℃で重縮合を行なうことができる。
に際しては、通常用いられる添加剤、例えば酸化チタ
ン、カーボンブラック等の顔料や、熱分解防止剤や耐光
剤等の安定剤、可塑剤等を用いることもできる。また、
リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等もしくはそのエス
テルを耐炎性付与の目的とは別にポリエステルの熱分解
抑制剤あるいは着色防止等の目的で添加することができ
る。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお実施例中では、次の評価方法を採用した。
ン酸もしくはそのエステル形成性誘導体との反応率は、
所定時間後反応させた後の反応生成物を 250℃で加圧下
にメタノール分解した後、バーリアン(株)社製NMR
XL-300 装置を使用して31Pの測定結果から求めた。
クロロエタンの混合溶媒(重量比3:2)中30℃で測
定して求めた。
り紡糸・延伸して得た糸をメリヤス編みとして、その1
gを長さ10cmに丸めて径10mmφの針金コイル中に挿入
し、45°の角度に保持したまま下端から点火して火源を
遠ざけ、消火した場合には再点火を繰り返し、全試料を
燃焼するのに要した点火回数を求め、5個の試料につい
ての平均値で表した。従って耐炎性は数値の大きいもの
ほど優れていることになる。
A41.8g、イタコン酸25.2gおよびトリエチルアミン
3.8gからなる混合物をオートクレーブ中2.5kg/cm2 加
圧下240 ℃で2.5 時間エステル化反応を行なった。エス
テル化反応終了物のHCAとイタコン酸の反応率は95.8
%であった。この反応系に酢酸亜鉛二水和物0.52gを加
え、10分間撹拌後三酸化アンチモン0.65gを重縮合触媒
として加え、70分で系の温度を 275℃まで昇温して、こ
の間に系の圧力を徐々に減じて0.15mmHgとし、この条件
下で重縮合を95分間行なった。得られたポリマーは極限
粘度が0.61、 リン残存率は、98.5%であった。また、耐
炎性は 5.0回であった。同様にして重合した結果を表1
にまとめた。
1030gからなる混合物オートクレーブ中窒素ガス雰囲気
下 194℃で3時間反応を行なった。反応生成物の反応率
は99.3%であった。この反応混合物中へコバルトアセチ
ルアセトネート0.26gを加え10分間撹拌した後、テレフ
タル酸1203g、トリエチルアミン 3.8gおよび三酸化ア
ンチモン0.55gを加え2.5kg/cm2 の加圧下 240℃で2時
間エステル化を行なった。続いて、実施例1に準じて重
縮合を行なった。少し青味を帯びたポリマーが得られそ
の極限粘度は0.66であった。また、リン残存率は99.6%
で耐炎性は 5.3回であった。表2に同様にして重合した
結果をまとめて示した。
チル38.3gおよびエチレングリコール1040gからなる混
合物をオートクレーブ中で窒素ガスを流しながら加熱撹
拌して反応温度が 110℃に達した時点で2規定のナトリ
ウム−エチレングリコキシド溶液1.2ml を加え加熱・昇
温を続けた。反応温度が 180℃となった時点で反応生成
物をサンプリングしたところ、反応率は99.1%であっ
た。次いで酢酸亜鉛二水和物0.24gを加え10分間撹拌し
た後、テレフタル酸1221g、トリエチルアミン 3.8gお
よび二酸化ゲルマニウム0.53gを加え2.5kg/cm2 の加圧
下、240℃で2時間エステル化を行なった後、実施例1
に準じて重縮合を行なった。得られたポリマーは極限粘
度が0.67であった。また、リン残存率は99.3%で耐炎性
は 5.1回であった。表3に同様にして重合した結果をま
とめて示した。
を予め加熱エステル化して得られた溶液およびジエチル
ホスフィンオキシド20.5gをオートクレーブ中に仕込み
110℃に加熱撹拌した。2規定のナトリウムエトキシド
−エタノール溶液0.48mlを加え加熱昇温して、反応温度
を 180℃とした。この時点でサンプリングした試料の反
応率は98.1%であった。続いて酢酸コバルト四水和物0.
23gを加え10分間撹拌した後、テレフタル酸1252g、ト
リエチルアミン 3.8gおよび三酸化アンチモン0.55を加
え2.5kg/cm2 の加圧下に 240℃で2時間エステル化を行
なった後、実施例1に準じて重縮合を行なった。得られ
たポリマーは淡い青紫色に着色していた。ポリマーの極
限粘度は0.64でリン残存率は98.6%であった。また耐炎
性は 4.8回であった。同様にして重合した結果を表4に
示した。
トリエチルアミン3.8gからなる混合物をオートクレー
ブ中で2.5kg/cm2 の加圧下 243℃で2時間エステル化反
応を行なった。次いで三酸化アンチモン0.55gを加え、
実施例1に準じて重縮合を行なった。得られたポリマー
は極限粘度が0.68であった。また耐炎性は 1.3回であっ
た。
使用した以外は、比較例1と全く同様にエステル化およ
び重縮合を行なった。得られたポリマーの極限粘度は0.
67であった。また、耐炎性は 1.2回であった。
ルおよびエチレングリコールから反応率の異なる反応生
成物を製造し、所望するリン含量となるようにテレフタ
ル酸を加え、重縮合触媒として三酸化アンチモンもしく
は二酸化ゲルマニウムを用いて、実施例1と同様に95分
間重縮合を行った。結果をまとめて表5に示した。
く、常法による繊維やフィルムへの成形・加工は困難で
あった。また、三酸化アンチモンを重縮合触媒として使
用したポリマーは黒味を帯びた灰色に着色していた。
g、エチレングリコール1030gおよびトリエチルアミン
3.8gからなる混合物をオートクレーブ中窒素ガス雰囲
気下 190℃で3時間加熱反応させた。この反応生成物の
反応率は91.3%であった。酢酸コバルト四水和物3.15g
を加え10分間撹拌後、さらに二酸化ゲルマニウム0.63g
を加えた。オートクレーブ内を2.5kg/cm2 に加圧し、24
0 ℃で2時間エステル化反応を行なった。次いで実施例
1に準じて95分間重縮合を行なった。得られたポリマー
は濃青紫色に着色していた。ポリマーの極限粘度は0.65
でリン残存率は95.6%であった。また耐炎性は 5.1回で
あった。
g、テレフタル酸1207g、エチレングリコール1030gお
よびトリエチルアミン 3.8gからなる混合物をオートク
レーブ中で 190℃で3時間加熱反応させた。この反応生
成物の反応率は90.8%であった。酢酸亜鉛二水和物2.93
gを加え10分間撹拌した。続いて2.5kg/cm2 に加圧し24
0 ℃で2時間エステル化反応を行なった。三酸化アンチ
モン0.72gを加え実施例1に準じて95分間重縮合を行な
った。得られたポリマーは白濁していた。ポリマーの極
限粘度は0.64でリン残存率は96.3%であった。また耐炎
性は 5.0回であった。
トリエチルアミン3.8gからなる混合物をオートクレー
ブ中2.5kg/cm2 の加圧下、240 ℃で2時間エステル化を
行なった。続いて酢酸亜鉛二水和物0.54gを加え実施例
1と同様に95分間重縮合を行なった。着色も濁りもない
ポリマーが得られた。ポリマーの極限粘度は0.63であっ
た。
トリエチルアミン3.8gからなる混合物を参考例1と全
く同様にしてエステル化を行なった。次いで、エチレン
グリコール中、酢酸亜鉛二水和物2.19gとHCA4.32g
の混合物を30分間加熱還流した時に生じる白色沈殿を単
離し、精製乾燥させた亜鉛とHCAのコンプレックス1.
23gを加え、実施例1と同様に95分間重縮合を行なっ
た。得られたポリマーは白濁していた。また、極限粘度
は0.21で常法による成形・加工は全く不可能であった。
に活性のある亜鉛化合物もHCAと反応すると非常に安
定なコンプレックスを形成し、生成したコンプレックス
は重縮合反応に対して不活性であることを示している。
このことは、本発明における耐炎性ポリエステルの製造
において、未反応リン化合物が亜鉛やコバルト化合物と
反応してコンプレックスを形成して安定化し、三酸化ア
ンチモンや二酸化ゲルマニウム等の重縮合触媒に対して
不活性となり、通常のポリエステルと同様に重縮合が行
なえることを示すものである。
テレフタラート(BHETと略す)10gに0.1 モルのH
CA−エチレングリコール溶液1mlおよび0.05モルの三
酸化アンチモン−エチレングリコール溶液1mlを加え減
圧下に窒素ガス置換を3回行ない完全に空気を排除す
る。窒素ガス雰囲気下に保ったまま枝付試験管を230 ℃
に加熱したオイルバス中に浸け、BHETが均一融解し
た後、数分で溶液は灰色〜灰黒色に濁り、30分後には黒
色の沈殿が試験管の底にたまった。この黒色の沈殿は分
析の結果金属アンチモンであることがわかった。
A−エチレングリコール溶液1mlおよび0.1 モルの酢酸
亜鉛二水和物−エチレングリコール溶液1mlを加え窒素
置換した後オイルバスに浸け、BHETが均一溶解して
10分後に、完全に脱気した0.05モルの三酸化アンチモン
−エチレングリコール溶液1mlを窒素ガス雰囲気下で加
えた。溶液を3時間放置したが着色も濁りも全く生じな
かった。
触媒の1つである三酸化アンチモンを金属アンチモンへ
と還元することを示した。この結果は、本発明の耐炎性
ポリエステルの製造において、未反応のリン化合物が存
在すれば、重縮合触媒を金属へと還元して、生成した触
媒金属がポリエステルの重縮合系に不溶となって重縮合
反応に対して不活性となることを明らかにしている。一
方、参考例4の結果は、亜鉛化合物の効果を示したもの
で、三酸化アンチモン触媒を加える前にHCAを酢酸亜
鉛で安定化することにより三酸化アンチモンの金属への
還元が起こらなくなることを示している。
料中へのリン酸成分導入反応において、亜鉛化合物もし
くはコバルト化合物の添加によって未反応リン化合物を
安定化できるため、上記導入反応後にポリエステルを重
縮合する際の未反応リン化合物による重縮合触媒への悪
影響が防止され、着色のない、耐炎性に優れたポリエス
テルを安価に製造することができるようになった。
Claims (1)
- 【請求項1】 ポリエステル形成用原料と共に、不飽和
カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と有機リ
ン化合物を反応させ、さらに重縮合を行なって耐炎性ポ
リエステルを製造する方法において、未反応有機リン化
合物が少なくなった時点で亜鉛化合物もしくはコバルト
化合物を添加することを特徴とする耐炎性ポリエステル
の製造方法。
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JP03360591A JP3141479B2 (ja) | 1991-12-28 | 1991-12-28 | 耐炎性ポリエステルの製造方法 |
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JP2007063467A (ja) * | 2005-09-01 | 2007-03-15 | Toyobo Co Ltd | ポリエステル組成物およびそれからなるポリエステル包装材料 |
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