JP3140065B2 - スパークプラグ用中心電極の製造方法 - Google Patents

スパークプラグ用中心電極の製造方法

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JP3140065B2
JP3140065B2 JP03002011A JP201191A JP3140065B2 JP 3140065 B2 JP3140065 B2 JP 3140065B2 JP 03002011 A JP03002011 A JP 03002011A JP 201191 A JP201191 A JP 201191A JP 3140065 B2 JP3140065 B2 JP 3140065B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパークプラグ用中心
電極、とくに先端部の外周側に外側電極が配設される中
心電極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、スパークプラグ用中心電極の
製造方法として、ニッケル合金製のカップ内に銅芯を封
入した複合成形体を形成し、この複合成形体の径を細く
するための押出加工工程途中で、複合成形体の先端面に
同芯の径小とした突部を切削により形成し、この突部の
外周に貴金属製の円板を嵌め合わせて電気溶接にて複合
成形体に円板を接合した後に、再び押出加工によって複
合成形体の径をさらに細くして所望の形状の中心電極を
得る方法があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のスパ
ークプラグ用中心電極の製造方法においては、切削加工
により複合成形体の先端面に突部を形成していたので、
突部の径や軸方向寸法が各成形品によって不揃いであっ
た。
【0004】また、従来のスパークプラグ用中心電極の
製造方法においては、突部の外周に貴金属製の円板を溶
接してこの溶接部分の形状を整えることなく、押出成形
を行っているので、成形終了時の押出成形体の先端部で
貴金属が斜めになるという不具合があった。
【0005】この結果、従来のスパークプラグ用中心電
極の製造方法においては、生産個数に対する不良率が多
く、生産性を向上できなかった。
【0006】本発明は、突起部の径や軸方向寸法を均一
化し、且つ貴金属の斜めになることを防いで、スパーク
プラグ用中心電極の生産性を向上した製造方法の提供を
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1(A)に
示すように、(a)耐熱、耐食性の第1金属を塑性加工
することによって、開口部および閉端部を持つカップを
形成するとともに、前記閉端部の端面に前記カップと同
芯状で前記閉端部より径の小さい突起部を形成する第1
工程と、図1(B)に示すように、(b)前記突起部の
外周に貴金属製の環状板を嵌め合わせて、前記カップと
前記環状板とを接合する第2工程と、図1(C)に示す
ように、(c)良熱伝導性の第2金属製の芯材を前記カ
ップ内に嵌め込むとともに、前記閉端部、前記突起部お
よび前記環状板の形状を、金型の内周形状およびピンの
端面形状に応じて整えて複合成形体を形成する第3工程
と、図1(D)に示すように、(d)前記複合成形体を
前記環状板が接合された側から押出加工することによっ
て、前記複合成形体より径の小さい押出成形体を形成す
るとともに、この押出成形体の先端部の側面に貴金属部
分を形成する第4工程とを備えた技術手段を採用した。
【0008】
【作用】本発明は、図1(A)に示すように、耐熱、耐
食性の第1金属から開口部1および閉端部2を持つカッ
プ3が塑性加工によって形成され、閉端部2の端面に同
芯状に閉端部2より径の小さい突起部4が常に均一の径
となるように形成される。
【0009】そして、図1(B)に示すように、突起部
4の外周に貴金属製の環状板5を嵌め合わせた後に、カ
ップ3の閉端部2の端面に環状板5が接合される。
【0010】つづいて、図1(C)に示すように、良熱
伝導性の第2金属製の芯材7をカップ3内に殴打部材6
により叩き込むことによって芯材7がカップ3内に封入
され、このとき、閉端部2および環状板5の形状が金型
8によって整えられて複合成形体9が形成される。
【0011】さらに、図1(D)に示すように、複合成
形体9より径の小さい押出成形体10が押出加工によっ
て形成されると、押出成形体10の先端部の側面に貴金
属部分11が斜めにならずに形成される。
【0012】
【発明の効果】本発明は、図1に示すように、塑性加工
によって閉端部2の先端面に突起部4を形成しているの
で、突起部4形状の均一化を図ることができる。このた
め、貴金属製の環状板5が突起部4に案内されて正しく
閉端部2の先端面に接合されるので、環状板5がずれる
ことはない。また、押出成形体10の先端部の側面に形
成される貴金属部分11の斜めになることを防止でき
る。このため、スパークプラグ用中心電極の生産個数に
対する不良率を軽減できるので、スパークプラグ用中心
電極の生産性を向上することができる。
【0013】
【実施例】本発明のスパークプラグ用中心電極の製造方
法を図2ないし図12に示す実施例に基づき説明する。
図2ないし図9は本発明の第1実施例を採用した内燃機
関に取りつけられるスパークプラグ用中心電極の製造工
程を示した図である。
【0014】初めに、耐熱性および耐食性に優れたニッ
ケルまたはニッケル合金(インコネル600:Fe8
%、Cr16%、Cu0.2%、Ni75.8%)等の
第1金属製の素材から円柱状のビレット(図示せず)を
切断する。このビレットを金型12内に挿入してパンチ
13で平行打ちすることによって、図2に示すように、
一端面に円弧状のコーナー14を持つ弾丸状のビレット
15を形成する。
【0015】つぎに、このビレット15を金型16内に
挿入してパンチ17で穿つことによって、図3に示すよ
うに、一端面の中心に下孔18を持つ弾丸状のビレット
19を形成する。
【0016】このビレット19を金型20内に挿入して
ビレット19の下孔18をさらにパンチ22で穿つこと
によって、図4に示すように、第1金属製のカップ21
を形成する。なお、このカップ21には開口部23およ
び閉端部24が形成され、その閉端部24の先端面には
カップ21と同一軸芯の突起部25がピン26との間で
形成される。この突起部25は、閉端部24より径が小
さく断面形状が円形状を呈するもので、パンチ22の殴
打力によりビレット19の先端面が塑性変形することに
よって形成される。以上が本発明の第1工程に相当す
る。
【0017】そして、図5に示すように、カップ21の
突起部25の形状に見合う形状の小孔28を持つ金、白
金またはそれらの合金等の貴金属製の円環板(環状板)
29を、カップ21の突起部25で案内しながらカップ
21の突起部25の外周に嵌め合わせる。そして、カッ
プ21の閉端部24と円環板29とを抵抗溶接等により
接合することによって、カップ21の閉端部24の先端
面に円環板29を固着する。以上が本発明の第2工程に
相当する。
【0018】つづいて、図6に示すように、先端部にカ
ップ21の凹所30の深さより少し長い軸方向寸法で円
柱状の軸部31、および他端部に軸部31より径の大き
い円板部32を持つ良熱伝導性の銅または銅合金等の第
2金属製のビレット(芯材)33を、(ビレット33の
軸部31の外周面が凹所30の内周面に接触するよう
に)カップ21の凹所30内に緊密的に嵌め込んで嵌合
体34を形成する。このため、ビレット33は、円板部
32がカップ21の凹所30より突出した状態でカップ
21に保持される。
【0019】そして、カップ21の凹所30内にビレッ
ト33を嵌め込んだ嵌合体34をパンチ(殴打部材)3
5で平行打ちしながら金型36内に打ち込むことによっ
て、図7に示すように、カップ37の閉端部38、突起
部39および円環板40の形状が金型36の内周形状お
よびピン41の端面形状に応じて整えられた複合成形体
42を形成する。このため、円環板40は、閉端部38
の先端側方に広がった偏平形状となる。以上が本発明の
第3工程に相当する。
【0020】つづいて、複合成形体42を金型43内に
挿入してパンチ44で押し込んで押出加工することによ
って、図8に示すように、複合成形体42より径が小さ
く、先端部の側面に円筒状の貴金属部分45を持つ押出
成形体46を形成し、さらに押出加工等の塑性加工によ
って、図9に示すように、押出成形体46を径小にし
て、一端部に押出成形体46より径の小さい胴部47、
および他端部に胴部47より径の大きい鍔状部48を持
つ押出成形体49を形成する。なお、この押出成形体4
9の胴部47の先端部の側面には、周囲に斜めにずれた
箇所のない円筒状の貴金属部分50が形成される。以上
が本発明の第4工程に相当する。
【0021】図10はこの実施例の製造方法によって製
造された中心電極51を持つスパークプラグ52の火花
放電部を示した図である。
【0022】なお、53は中心電極51を保持する筒状
絶縁体であり、54は絶縁体53を保持する取付金具で
ある。また、55は取付金具54の先端面に接合され、
中心電極51の外周側に配設された複数の外側電極であ
る。
【0023】したがって、この実施例の製造方法におい
ては、このように塑性加工によって閉端部24の先端面
に突起部25を形成するものは、金型20の形状が変化
しない限り、同様な形状の突起部25の再現性に優れる
ため、突起部25形状の均一化を図れる。このため、円
環板29が突起部25に案内されて正しく閉端部24の
先端面に接合されるので環状板29がずれることはな
い。
【0024】また、押出成形体49の先端部に形成され
る貴金属部分50のずれを防止できるので、図10に示
すように、中心電極51の貴金属部分56が斜めに形成
されることはない。
【0025】このため、中心電極51の生産個数に対す
る不良率を飛躍的に軽減できるので、中心電極51の生
産性を著しく向上することができる。また、外側電極5
5の放電面と対設する中心電極51の周側の異常消耗を
防止することができる。
【0026】図11および図12は本発明の第2実施例
を示し、第1金属製カップの成形工程の変形例である。
【0027】図2で形成したビレット15を、図11に
示すように、金型57内に挿入してパンチ17で下孔1
8を穿つことによって、下端面の軸心にピン26との間
で突起部25が形成されたビレット58を形成する。そ
して、図12に示すように、このビレット58を金型5
9に挿入して下孔18をパンチ22で穿つことによって
第1金属製カップ21を形成する。このように、第1実
施例では、カップ21を形成しながら突起部25を形成
したが、その前工程で突起部25を形成しても良い。
【0028】(変形例) 本実施例では、第2金属製の
カップの閉端部と貴金属製の円環板との接合方法として
抵抗溶接を用いたが、その接合方法として抵抗溶接以外
の電気溶接や鑞付け等の接合方法を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグ用中心電極の製造方法
を示した断面図である。
【図2】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第1実
施例を示した断面図である。
【図3】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第1実
施例を示した断面図である。
【図4】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第1実
施例を示した断面図である。
【図5】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第1実
施例を示した断面図である。
【図6】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第1実
施例を示した断面図である。
【図7】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第1実
施例を示した断面図である。
【図8】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第1実
施例を示した断面図である。
【図9】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第1実
施例を示した断面図である。
【図10】本発明にかかるスパークプラグの主要部構造
を示した断面図である。
【図11】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第2
実施例を示した断面図である。
【図12】スパークプラグ用中心電極の製造工程の第2
実施例を示した断面図である。
【符号の説明】
1 開口部 2 閉端部 3 カップ 4 突起部 5 環状板 6 殴打部材 7 芯材 8 金型 9 複合成形体 10 押出成形体 11 貴金属部分
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01T 13/00 - 21/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)耐熱、耐食性の第1金属を塑性加
    工することによって、開口部および閉端部を持つカップ
    を形成するとともに、前記閉端部の端面に前記カップと
    同芯で前記閉端部より径の小さい突起部を形成する第
    1工程と、 (b)前記突起部の外周に貴金属製の環状板を嵌め合わ
    せて、前記カップと前記環状板とを接合する第2工程
    と、 (c)良熱伝導性の第2金属製の芯材を前記カップ内に
    嵌め込むとともに、前記閉端部、前記突起部および前記
    環状板の形状を、金型の内周形状およびピンの端面形状
    に応じて整えて複合成形体を形成する第3工程と、 (d)前記複合成形体を前記環状板が接合された側から
    押出加工することによって、前記複合成形体より径の小
    さい押出成形体を形成するとともに、この押出成形体の
    先端部の側面に貴金属部分を形成する第4工程とを備え
    たスパークプラグ用中心電極の製造方法。
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