JP3138625B2 - ストレッチ性を有する接着芯地用布帛および接着芯地 - Google Patents

ストレッチ性を有する接着芯地用布帛および接着芯地

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレッチ性を有
すると共に、剪断剛性が小さく、且つ経方向よりも緯方
向の曲げ剛性が大きい接着芯地用布帛および該布帛を用
いた接着芯地に関するものである。本発明の接着芯地
は、紳士用および婦人用のスーツ等に好適に用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】紳士用・婦人用スーツ等に主に用いられ
る接着芯地には、消費安全性、審美性および可縫性の3
項目が要求される。
【0003】このうち消費安全性は、接着強度、収縮
率、引裂強さ、染色堅牢度等の物性値で評価される。こ
れらの物性値は、着用や洗濯などによって芯地が剥離し
たり外観が変化すると変わるので、この様な変化に柔軟
に対応するには、芯地にストレッチ性をもたせることが
必要である。
【0004】また、審美性(保型性)および可縫性(成
型性)は、引張特性、剪断特性、曲げ剛性などの力学特
性値で評価される。なかでも保型性は、経方向の曲げ剛
性に比べて緯方向の曲げ剛性を大きくすることによって
向上し得、その結果、被服全体の皺や折れを少なくし、
美しい外観を得ることができる。また可縫性を向上させ
るには、接着芯地の剪断特性を小さくすることが好まし
く、それによって、アイロン、プレス処理、イセコミな
どが容易になる。
【0005】これらを総合的に勘案すると、紳士用・婦
人用スーツ等の分野に好適な接着芯地としては、スト
レッチ性を有すると共に、経方向の曲げ剛性に比べて
緯方向の曲げ剛性が大きく、且つ剪断剛性が小さい、
という特性を具備するものが望まれる。
【0006】ストレッチ性を有する接着芯地用布帛とし
ては、織物、不織布および編物の三種類に大別される。
このうち織物および不織布の場合は、一般に、緯方向に
比べて経方向の曲げ剛性が大きい為、この様な布帛から
なる芯地を接着した被服は、経方向が硬く緯方向が柔ら
かいといった風合となる傾向にある。これに対して編物
(経編緯糸挿入)の場合は、一般に、経方向に比べて緯
方向の曲げ剛性が大きいものの、剪断剛性は織物などに
比べて大きくなる傾向にある。従って、上記接着芯地に
要求される特性を全て具備するものは未だ得られていな
かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に鑑みてなされたものであり、その課題は、ストレッ
チ性を有すると共に、経方向の曲げ剛性に比べて緯方向
の曲げ剛性が大きく、且つ剪断剛性が小さい、という特
性を全て具備する接着芯地用布帛および接着芯地であっ
て、紳士用スーツや婦人用スーツ等に好適に用いられる
接着芯地用布帛および接着芯地を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明のストレッチ性を有する接着芯地用布帛
とは、経糸として20〜75デニールのポリエステル繊
維糸を、緯糸として潜在捲縮性複合繊維からなる紡績
糸、または該潜在捲縮性複合繊維と他の繊維との混紡紡
績糸を用いると共に、下式(1)で示される前記経糸の
カバーファクターが3.5〜8.0で、下式(2)で示
される前記緯糸のカバーファクターが4.0〜7.0で
あるところに要旨を有するものである。
【0009】
【数2】
【0010】ここで、上記紡績糸において、潜在捲縮性
複合繊維と他の繊維の割合が重量比で15〜60%:8
5〜40%の範囲であるもの;経糸に使用されるポリエ
ステル繊維糸がポリエステル仮撚加工糸であるものは、
いずれも本発明の好ましい態様である。
【0011】また、本発明の接着芯地とは、上記接着芯
地用布帛に熱可塑性樹脂を塗布してなるところに要旨を
有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の接着芯地用布帛の
構成要件について説明する。
【0013】まず、本発明の布帛は、経糸として20〜
75デニールのポリエステル繊維糸を、緯糸として潜在
捲縮性複合繊維からなる紡績糸、または該潜在捲縮性複
合繊維と他の繊維との混紡紡績糸を用いたところに第1
の特徴を有する。
【0014】ここで、本発明に用いられる経糸として
は、20〜75デニールのポリエステル繊維糸を使用す
ることが必要である。繊維の太さが20デニール未満で
は、接着芯地用布帛として使用するには薄すぎ、一方、
75デニールを超えると逆に厚くなりすぎてしまうから
である。より好ましい繊維の太さは30〜50デニール
である。特にストレッチ性を付与すると共に、バルキー
でソフトな風合を得るには、ポリエステル仮撚加工糸の
使用が好ましい。仮撚方法としては、一段ヒーターおよ
び二段ヒーターのいずれを用いても構わないが、優れた
ストレッチ性を得るには一段ヒーターを用いる方が好ま
しい。
【0015】また、本発明に用いられる緯糸としては、
潜在捲縮性複合繊維からなる紡績糸、または該潜在捲縮
性複合繊維と他の繊維との混紡紡績糸のいずれかを使用
することが必要である。この様な緯糸を使用することに
よって、経方向に比べて緯方向の曲げ剛性を大きくする
と共に剪断剛性を小さくするという所期の目的を達成す
ることができるのである。
【0016】このうち潜在捲縮性複合繊維としては、具
体的に、例えばポリエチレンテレフタレートと共重合ポ
リエステル、ポリエステルとポリプロピレン、ポリエチ
レンとポリプロピレン等の組合わせが挙げられる。この
様に、上記潜在捲縮性複合繊維は、少なくとも2種類の
繊維からなることが必要であり、例えば3種類以上の組
合わせを使用することも可能である。このうち、ストレ
ッチ性付与等の観点から好ましいのはポリエチレンテレ
フタレートと共重合ポリエステルの組合わせである。ま
た、潜在捲縮性は、サイドバイサイド型や偏芯シースコ
アー型等の断面形状を有する複合繊維を使用することに
よって得られる。この様な潜在捲縮性複合繊維のデニー
ルは、1.2〜2.5デニールが推奨される。1.2デ
ニール未満では潜在捲縮性複合繊維の捲縮によりストレ
ッチ力が不足してしまい、一方、2.5デニールを超え
るとストレッチ性に優れるものの、紡績糸の番手が太く
なり、接着芯地用布帛としては厚地になり過ぎる。より
好ましくは1.5〜2.0デニールである。
【0017】本発明に用いられる緯糸は、上述した潜在
捲縮性複合繊維のみからなる紡績糸であっても良いし、
或いは上記潜在捲縮性複合繊維と他の繊維との混紡紡績
糸であっても良い。
【0018】上記他の繊維としては、要するに上記潜在
捲縮性複合繊維以外の繊維であれば限定されないが、快
適性等を考慮すれば、セルロース系繊維を使用すること
が推奨される。セルロース系繊維としては、綿、ポリノ
ジック、レーヨン等が挙げられるが、精錬が容易である
こと、寸法安定性に優れること等を考慮するとポリノジ
ックの使用が推奨される。ポリノジック繊維のデニール
としては0.7〜2.0デニールが好ましい。0.7デ
ニール未満では上記潜在捲縮性複合繊維との混合斑が生
じ易くなる。一方、2.0デニールを超えると紡績糸の
番手が太くなるため、接着芯地として厚くなり過ぎる。
より好ましくは1.0〜1.5デニールである。
【0019】この様に本発明の接着芯地用布帛は、緯糸
として上記潜在捲縮性複合繊維からなる紡績糸、または
該複合繊維と他の繊維との混紡紡績糸を使用するところ
に第1の特徴を有しており、該緯糸を上記経糸と交繊す
ることによって得られるものである。
【0020】更に本発明では、上式(1)で示される経
糸のカバーファクター(以下CFと略記する)を3.5
〜8.0、上式(2)で示される緯糸のCFを4.0〜
7.0と定めたところに第2の特徴を有している。接着
芯地用布帛の生機密度も接着芯地のストレッチ性および
風合に重要な影響を及ぼすからである。経糸のCFが
3.5未満の場合には、染色加工時に経糸スリップによ
る目寄りが起こり、一方8.0を超えると、緯伸びのス
トレッチ性が少なくなり、芯地用布帛の風合も硬くな
る。また緯糸のCFが4.0未満の場合には、染色加工
時に緯糸スリップによる目寄りが起こり、一方7.0を
超えると、芯地用布帛の風合が硬くなり、経伸びのスト
レッチ性が少なくなる。より好ましくは経糸のCFを
4.0〜7.0、緯糸のCFを4.5〜6.0とするこ
とが推奨される。
【0021】更に本発明では、一層優れたストレッチ性
を有する接着芯地用布帛の提供を目的として、以下の要
件を具備することが好ましい。
【0022】上記緯糸において、潜在捲縮性複合繊維と
他の繊維の割合は、重量比で15〜60%:85〜40
%の範囲とすることが好ましい。潜在捲縮性複合繊維の
割合が15%未満ではストレッチ性が低下し、一方、6
0%を超えるとストレッチ性は充分であるが、熱可塑性
樹脂を塗布した後の芯地をウールやウール混スーツ地等
に接着プレスしたり或いはドライクリーニングなどのア
イロン仕上やプレス仕上を行う際、耐熱性が低下すると
いう問題が生じる。より好ましくは潜在捲縮性複合繊維
と他の繊維との割合は30〜45%:70〜55%であ
る。
【0023】また、この様な混紡紡績糸の番手は、10
〜80英式綿番手が好ましい。10英式綿番手未満の場
合には接着芯地として厚くなり過ぎる。一方、80英式
綿番手を超えるとストレッチ性が低下してしまう。より
好ましくは20〜70英式綿番手である。
【0024】更に、本発明に使用される緯糸の撚係数a
は2.8〜4.0が好ましい。2.8未満ではエアージ
ェットルームにて製織した場合、甘撚を生じて吹切れを
起こしてしまう。一方、4.0を超えると撚拘束力が強
くなってストレッチ性が得られ難くなる。より好ましく
は3.0〜3.7である。ここで、上記撚係数aは、撚
数をT(t/in)、英式綿番手をNeとするとa=T
/Ne1/2で求められる。
【0025】同様の観点から、本発明に使用される経糸
の撚係数Kは、経糸が無撚りで糊付けする場合等を考慮
すると0〜2200が好ましく、0〜1800がより好
ましい。この場合の撚係数Kは、撚数をT(t/m)、
デニールをDをとするとK=T・D1/2で求められる。
【0026】次に、本発明の接着芯地は、上記接着芯地
用布帛に熱可塑性樹脂を塗布してなるものである。熱可
塑性樹脂としては、接着芯地の製造に通常使用されるも
のであれば特に限定されないが、一般的には、ポリアミ
ド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、
エチレン−酢酸ビニル系共重合体等が使用される。ま
た、接着剤の形態としては上記樹脂を単一成分として使
用しても良いし、或いはこのうちの任意の二成分を選択
し、上層・下層からなる二成分構造体(実公昭56−5
5206号)として使用しても良い。接着性能、耐久性
などを考慮すると二成分構造体の使用が推奨される。
【0027】本発明の接着芯地を製造するには、まず、
上記要件を満足する経糸および緯糸を使用して交織す
る。本発明の作用をより有効に発揮させるには、経糸お
よび緯糸のCFが夫々上記要件を満足する生機を使用す
ることが推奨される。
【0028】次に、液流型染色機で精錬した後、染色加
工を行う。尚、経方向および緯方向に適度のストレッチ
性を付与する方法としては、過度の幅出しをせずに皺を
伸ばす程度のヒートセット等を施す方法が挙げられる。
具体的には、染色前のヒートセット(プレセット)と最
終染色加工時のヒートセット(ファイナルセット)の両
工程にて温度を調整することによって行う。プレセット
の温度としては170〜200℃が好ましく、180〜
190℃がより好ましい。また、ファイナルセットの温
度としては140〜180℃が好ましく、140〜17
0℃がより好ましい。これらのプレセット条件およびフ
ァイナルセット条件を調整することにより、所望のスト
レッチ性を有する接着芯地用布帛(例えば経方向に15
〜25%、緯方向に8〜15%)が得られる。
【0029】次に、この様にして得られた接着芯地用布
帛に熱可塑性樹脂を塗布することにより本発明の接着芯
地が得られる。塗布方法としては、例えば上記接着芯地
用布帛の片面に熱可塑性樹脂を点状に塗布する方法、該
布帛の全体に塗布する方法が挙げられる。曲げ剛性やヒ
ステリシスを損なわない様にするには、前者の方法が推
奨される。
【0030】以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0031】
【実施例】実施例1 表1に記載の経糸および緯糸を使用することにより、実
施例1の接着芯地用布帛および接着芯地を得た。
【0032】具体的には、経糸として、ポリエステル仮
撚加工糸(50デニール/36フィラメント)を使用し
た。
【0033】一方、緯糸として、全酸性成分に対してイ
ソフタール酸:10モル%、イソフタール酸5ナトリウ
ム:2モル%の割合で共重合してなるポリエステルとポ
リエチレンテレフタレートとをサイドバイサイドにした
潜在捲縮性複合繊維(1.8デニール,38mm)を4
0%;ポリノジック(1.0デニール,38mm)を6
0%を均一混紡した紡績糸(40's)を製造した[撚係
数は3.1(撚数25.9T/吋)]。
【0034】この様にして得られた紡績糸を使用し、経
糸密度50本/吋、緯糸密度32本/吋の平織を織成し
た(経糸のCF=4.9,緯糸のCF=5.1)。
【0035】得られた生機を液流型染色機で精錬した
後、染色前のヒートセットを190℃、最終加工時のヒ
ートセットを150℃とし、最終的に190℃の温度で
仕上加工を行うことにより、本発明の接着芯地用布帛を
得た。
【0036】この様にして得られた接着芯地用布帛の片
面に、熱可塑性樹脂(ポリアミド系)を点状に塗布する
(324ケ/インチ2 、樹脂量15g/m2)ことによ
り本発明の接着芯地を得た。
【0037】上記接着芯地を用い、経方向および緯方向
の伸度、曲げ剛性および剪断剛性を以下の要領にて測定
した。
【0038】[伸度] サンプル:接着芯地を幅20cm,長さ5cmの長方
形にカットしたもの 変形様式: 5cmの長さ方向に引張変形を与えた。尚、幅方向の歪
みは、サンプルが横長の長方形の為に近似的にゼロにな
る。
【0039】歪みの速度は4.00×10-3/secで
一定とし、最大荷重:500gf/cmまで引張った
後、変形回復過程に入った。
【0040】伸度の算出法: 伸び/初期長(=引張歪み)で表される測定値を伸度と
した。
【0041】[曲げ剛性」 サンプル: 接着芯地を長さ2.5cm,幅1cmのサイズにカット
し、これを1cmの間隔のチャックに把持して曲げた。
【0042】変形様式: 曲率:−2.5〜+2.5(cm-1)の範囲で等速度曲
率の純曲げを行った(変形速度:0.50cm-1/se
c)。
【0043】曲げ剛性の算出法: 単位長さ当たりの曲げ剛性(gf・cm2/cm)で表
される測定値を曲げ剛性とした。
【0044】[剪断剛性] サンプル:上記伸度測定用サンプルと同じ 変形様式: 伸度測定の場合と同じ変形様式で長さ方向に10gf/
cmの引張変形を与えると同時に、幅方向に剪断変形を
与えた(剪断ずり速度:0.417mm/sec)。
【0045】剪断剛性の算出法: 単位幅当たりの剪断力(gf/cm)/剪断角(deg
ree)で表される測定値を剪断剛性とした。
【0046】更に、得られた接着芯地について、風合の
ソフト感、保型性およびイセコミ性を、夫々、下記の評
価基準にて目視評価した。 ◎:非常に良好 ○:良好 △:不充分 その結果を表1に併記する。尚、以下の比較例1〜3の
結果についても同様に表1に併記した。また、表中に記
載の総合評価とは、上記測定項目の評価結果を総合的に
勘案したものである。
【0047】
【表1】
【0048】表1より明らかな様に、実施例1の接着芯
地は、経方向に25%、緯方向に9.0%の伸度を有
し、経・緯いずれの方向にも優れたストレッチ性を有す
るものであった。また、緯方向の曲げ剛性は経方向に比
べて大きい為、保型性に優れると共に、剪断剛性は非常
に小さい為、イセコミ性等にも優れている。更に、ソフ
ト感に優れる等、紳士用スーツや婦人用スーツ等の接着
芯地として非常に良好なものであった。
【0049】比較例1(綿タイプの織物芯地) 経糸および緯糸として綿(60's)を使用し、経糸密度
70本/吋、緯糸密度31本/吋の平織(経糸のCF=
9.0,緯糸のCF=4.0)を織成し、実施例1と同
様にして比較例1の接着芯地用布帛および接着芯地を得
た。
【0050】表1の結果から明らかな様に、比較例1の
接着芯地は、本発明の様な芯鞘構造を有していない為、
経・緯いずれの方向においてもストレッチ性が弱く、且
つ緯方向の曲げ剛性は経方向に比べて小さく、剪断剛性
も大きくなる他、風合のソフト感にも劣っていた。
【0051】比較例2(ポリエステル加工糸のみよりな
る織物芯地) 経糸および緯糸としてポリエステル仮撚加工糸(50デ
ニール/36フィラメント)を使用し、経糸密度86本
/吋、緯糸密度73本/吋の平織(経糸のCF=8.
3,緯糸のCF=7.1)を織成し、実施例1と同様に
して比較例2の接着芯地用布帛および接着芯地を得た。
【0052】表1の結果から明らかな様に、比較例2の
接着芯地は、経糸および緯糸に仮撚加工糸を使用してい
る為ストレッチ性はあるものの、本発明の様な芯鞘構造
を有していない為、緯方向の曲げ剛性は経方向に比べて
小さく、剪断剛性も大きくなる他、風合のソフト感にも
劣っていた。
【0053】比較例3(ポリエステル・アクリルを用い
た経編緯糸挿入芯地) 経糸としてポリエステル仮撚加工糸(30デニール/1
2フィラメント)を、緯糸としてアクリル繊維(1/4
8Nm)を使用し、経編緯糸挿入機を用いて経糸24ゲ
ージ、緯糸45コースにて編立てた。次いで、実施例1
と同様にして経糸25ウェール、緯糸57コースよりな
る比較例3の経編緯糸挿入基布の接着芯地用布帛および
接着芯地を得た。
【0054】表1の結果から明らかな様に、比較例3の
接着芯地は、経編緯糸挿入構造を有する為、緯方向の曲
げ剛性は経方向に比べて大きく保型性は良好である反
面、織構造を有していない為、剪断剛性が非常に大きく
なる他、風合のソフト感にも劣っていた。
【0055】
【発明の効果】本発明の接着芯地用布帛は上記の様に構
成されているので、ストレッチ性を有すると共に、剪断
剛性が小さく、且つ経方向の曲げ剛性に比べて緯方向の
曲げ剛性が大きいといった特性を有する。更に、風合の
ソフト感等にも優れ、接着樹脂の塗布性も良好である
等、紳士用・婦人用スーツ等の接着芯地に要求される諸
特性を全て満足するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 武久 岐阜県大垣市大井4丁目53番地 東海サ ーモ株式会社内 (72)発明者 棚瀬 勉 岐阜県大垣市大井4丁目53番地 東海サ ーモ株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−278994(JP,A) 特開 平5−132831(JP,A) 特開 平7−324211(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 15/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経糸として20〜75デニールのポリエ
    ステル繊維を、緯糸として潜在捲縮性複合繊維からな
    る紡績糸、または該潜在捲縮性複合繊維と他の繊維との
    混紡紡績糸を用いると共に、下式(1)で示される前記
    経糸のカバーファクターが3.5〜8.0で、下式
    (2)で示される前記緯糸のカバーファクターが4.0
    〜7.0であることを特徴とするストレッチ性を有する
    接着芯地用布帛。 【数1】
  2. 【請求項2】 前記混紡紡績糸は、潜在捲縮性複合繊維
    と他の繊維の割合が重量比で15〜60%:85〜40
    %の範囲である請求項1に記載の接着芯地用布帛。
  3. 【請求項3】 前記経糸に使用されるポリエステル繊維
    はポリエステル仮撚加工糸である請求項1または2に
    記載の接着芯地用布帛。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の接着芯
    地用布帛に、熱可塑性樹脂を塗布してなることを特徴と
    するストレッチ性に優れた接着芯地。
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