JPH07292547A - ダンボールニット - Google Patents

ダンボールニット

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JPH07292547A
JPH07292547A JP12319194A JP12319194A JPH07292547A JP H07292547 A JPH07292547 A JP H07292547A JP 12319194 A JP12319194 A JP 12319194A JP 12319194 A JP12319194 A JP 12319194A JP H07292547 A JPH07292547 A JP H07292547A
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Yoshikatsu Mizukami
義勝 水上
Tsutomu Tejima
勉 手島
Katsumi Agari
勝美 上利
Yoko Fukumoto
洋子 福本
Toshihide Tomikawa
利英 富川
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Abstract

(57)【要約】 【効果】本発明のダンボールニットは類似の性能を持つ
ツーウェイトリコットに較べて、はるかに容易かつ安価
に製造できる。また、従来のダンボールニットと異な
り、繰り返し荷重に対しヘタリが少なく、クッション性
に優れている。従って、衣料用途に限らず、シート材、
靴の内張り等にも好適である。 【構成】本発明のダンボールニットは、表地と裏地を接
合するつなぎ糸が熱融着糸からなり、該糸の熱セットに
よる捲縮力が4mg/デニール〜13mg/デニールで
あることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用シート等に用いら
れるダンボールニットに関する。
【0002】
【従来の技術】ダンボールニットは既に多く用いられて
いるが、表地と裏地を接合するつなぎ糸(以下「接合
糸」と略記する。)は通常の糸が用いられることが多
い。これらは主として衣類の裏地に用いられ、適当なク
ッション性と断熱性を付与する効果がある。
【0003】また、熱融着繊維を接合糸として用いるダ
ンボールニットも既に公知であり、例えば特開平4−2
4052号公報に記載された編布成形体の例がある。こ
れは編布の伸縮性と熱融着繊維の成形性を利用した成形
体である。従って、成形性に適した熱プレスによる熱処
理条件を開示している。しかし、その目的は形態の保持
が第1であり、ダンボールニットの繰り返し荷重を付与
することは想定されていない。
【0004】一方、製品として、ツーウェイトリコット
の3層構造編物が既に市販されている。この編物は接合
糸としてモノフィラメントを用いる。モノフィラメント
を用いる理由は大きな弾性率により、クッション性を向
上させるためである。しかし、丸編み機を用いて製造す
るダンボールニットはトリコットと異なり、弾性率の大
きいモノフィラメントは編み立てられない。そのため編
み立てるときにはソフトで、製品になった時には弾性率
の大きい接合糸として、ダンボールニットでは熱融着糸
が用いられる。従って、ダンボールニットで接合糸に熱
融着糸を用いる場合には編立後に、熱処理により接合糸
を融着させ、弾性率を大きくする製造方法が用いられ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在もなお、高性能の
クッション性を要求される部分、例えば靴の内張りには
トリコットが用いられている。ダンボールニットがこの
分野に用いられない理由は繰り返し荷重に対するヘタリ
が大きいためである。繰り返し荷重に対するヘタリの小
さいダンボールニットが容易に製造ができれば、コスト
はトリコットより安価なため、用途は大きい。本発明の
目的は繰り返し荷重に対するヘタリの小さい、クッショ
ン性が優れ安価なダンボールニットを提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ダンボー
ルニットの接合糸とその熱処理条件を研究した結果、予
想に反し、高温で熱処理することが繰り返し荷重に対す
るヘタリ(以下「ヘタリ」と略記する。)には逆効果を
示す場合があることを見出した。さらに、接合糸の熱セ
ットによる捲縮力を適当な範囲に維持することにより、
ヘタリが最小値を示すことを見出し、本発明の完成に至
った。
【0007】本発明のダンボールニットは、表地と裏地
を接合するつなぎ糸が熱融着糸からなり、該糸の熱セッ
トによる捲縮力が4mg/デニール〜13mg/デニー
ルであることを特徴とする。
【0008】本発明のダンボールニットの表地と裏地に
用いる繊維は特に限定するものではない。即ち、一般に
用いられる合成繊維、例えばポリエステル、ナイロン、
アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のフィラメ
ント、紡績糸が用いられる。中では伸縮性のある仮撚加
工糸が好ましい。また、天然繊維、例えば羊毛、コット
ン、麻などの紡績糸も用いることができる。さらに、こ
れらの混紡糸も用いることができる。中では伸縮性のあ
るバルキー糸が好ましい。これらの糸は、目的とする用
途、編み組織、編み機により適当な太さの糸を選択する
必要がある。また、これらの糸が先染め糸であっても良
く、編み機をジャガード編み機にし、表地、裏地に柄を
出すこともできる。
【0009】接合糸には公知の熱融着繊維を用いること
ができる。また、融点の低い繊維を融点の高い繊維又は
融点のない天然繊維と混紡して用いることもできる。接
合糸は熱処理によりそれ自体が融着するが、熱処理時、
表地と裏地にも融着することがある。接合糸の融着部分
と表地または裏地に同一の繊維が含まれている場合に
は、接合糸と表地又は裏地と良く接着する。この接着も
ヘタリに影響を及ぼす。従って、接合糸と表地、裏地の
構成はこれらの接着性を考慮して選定するとさらにヘタ
リに良い。また、融着部分が他の繊維と融着し易いポリ
マー、例えばナイロン、ポリウレタンの場合は接合糸の
融着部分と表地または裏地に同一の繊維が含まれていな
くても接着するためダンボールニットのヘタリに好まし
い。
【0010】熱融着繊維としては芯鞘型が好ましく、例
えば鐘紡(株)からポリエステルが芯、低融点コポリエ
ステルが鞘のタイプLHC、ポリエステルが芯、ナイロ
ンが鞘のタイプHHC等のフィラメント「ベルカップ
ル」が市販されている。また、混紡糸用の熱融着繊維と
してはポリエステルが芯、低融点ポリエステルが鞘、ポ
リエステルが芯、ポリエチレンが鞘のステープル「ベル
コンビ」が市販されている。ステープルの熱融着繊維は
この他にもチッソ(株)からポリプロピレンのホモポリ
マーのタイプPP−HB、大和紡績(株)からポリエチ
レンのホモポリマーのタイプBF,EASTMAN社か
らポリエステルコポリマーのタイプ410、サイドバイ
サイド型のチッソ(株)のポリプロピレンが芯、ポリエ
チレンが鞘のタイプES等が市販されている。
【0011】接合糸の太さは編地の組織、編み機のゲー
ジ数により一般的に規制されてしまう。クッション性を
良くし、ヘタリを少なくするためには接合糸の太さが大
きく、単位面積当りの本数の多い方が良いが、編立性、
表面への影響を勘案し、選定する。
【0012】接合糸としてフィラメントを用いる場合
は、それ自体の接着性を向上するために撚糸するとヘタ
リに良い。撚数は糸の太さにより異なるが、撚係数とし
て4から10が好ましい。撚係数が4未満では接合糸自
体の融着が不足し、ヘタリが満足されない。撚係数が1
0を越えると糸が硬くなり過ぎ、風合いが硬くなり、ま
た、コストアップになる。ここで撚係数は糸の太さをデ
ニールで表し、その平方根に乗ずる係数で、単位はm当
りの撚回数である。
【0013】また、編み機は通常、供給口数が多数あ
り、同時に複数本の糸を供給する。その際に、接合糸の
撚の方向SとZを交互に編み立てる様に供給すると、接
合糸が倒れずに厚さの大きいダンボールニットを製造す
ることができ好ましい。ダンボールニットの編み機は一
般に用いられている両面丸編み機を用いれば良い。ダン
ボールニットの厚さは針の運動幅に比例するため、必要
に応じ釜の改造を行うと良い。
【0014】ダンボールニットの生機は開反し、テンタ
ー乾燥機で熱セットされる。この際、熱セットによる捲
縮力に応じて幅方向、機械方向に収縮させることにより
厚さを保持し、クッション性を賦与することが好まし
い。幅方向はテンター幅で、機械方向はオーバーフィー
ドにより調節することができる。
【0015】熱セット時の温度と時間は接合糸のポリマ
ーの種類等により異なるが、通常熱融着温度以下、好ま
しくは熱融着温度より5〜45℃程度低くする。従っ
て、熱セット温度は接合糸の編立、熱セットによる捲縮
の捲縮力を一定の範囲に保持することが重要である。温
度が高すぎると捲縮力が大きすぎ、また接合糸が硬くな
りすぎる。繰り返し荷重が掛かった際に、硬い接合糸は
歪が残り易く、ヘタリが大きくなる。また、温度が低す
ぎ、熱セットが不足すると、接合糸の硬さが不足し、ク
ッション性が悪くなる。ポリマーの種類、繊維の太さ、
構成本数等によりこの程度は異なるため、接合糸の捲縮
力を測定し、適当な値が得られる、熱セット条件、例え
ばテンター各室の温度、風量、フィード速度等を選定す
る必要がある。
【0016】従って、本発明のダンボールニットの接合
糸の熱セットによる捲縮力は4mg/デニール〜13m
g/デニールが適当である。接合糸の熱セット捲縮力が
4mg/デニール未満の場合はクッション性が不足し、
13mg/デニールを越えると繰り返し荷重によりヘタ
リ易くなる。好ましくは6〜10mg/デニールであ
る。
【0017】ダンボールニットは熱セット後、染色する
こともできるが、染色時に再度熱処理を受けるため、シ
ワが入らないように注意する必要がある。そのためには
吊り下げて染色するスター染色方法等を用いることが好
ましい。この場合、加圧染色は通常できないので、ポリ
エステルはキャリアー染色法で行うと良い。接合糸がブ
ライトであれば表地、裏地等に染色しておけば接合糸は
染色していなくても余り目だたない。
【0018】本発明のダンボールニットの接合糸の捲縮
力は、熱セットしたダンボールニットから接合糸を引っ
張らない様にして抜き出し、テンシロンにて引張強度を
測定し、デニール当りのmg数を測定し求めた。なお、
捲縮力は捲縮が伸びきり、SS曲線が立ち上がる変曲
点、(肉眼で捲縮が伸びきる点)の伸びから、1割り低
い伸びの強度を捲縮力とした。これは熱融着により、部
分的にマルチフィラメントの糸長が異なり、捲縮の伸び
に一部繊維の伸びが加わり、異常に高い値を示す場合が
あるため、異常値を除外するため設定した。また、この
引張試験測定に際し、初荷重は1mg/デニールとし
た。またサンプル長は初荷重を掛けた状態で約3cmと
なるようにした。
【0019】
【発明の効果】本発明のダンボールニットは類似の性能
を持つツーウェイトリコットに較べて、はるかに容易か
つ安価に製造できる。また、従来のダンボールニットと
異なり、繰り返し荷重に対しヘタリが少なく、クッショ
ン性に優れている。従って、衣料用途に限らず、シート
材、靴の内張り等にも好適である。
【0020】
【実施例】さらに詳細には実施例にて説明する。ヘタリ
の測定は、JIS K 6401の繰り返し圧縮試験に
準じて測定した。ダンボールニットの厚さが1枚では不
足するため、試料の厚さが約6cmになるまで積み重
ね、測定試料とした。
【0021】実施例1 表地と裏地の地糸に鐘紡(株)のポリエステル仮撚加工
糸SD150D/34Fを用い、接合糸に鐘紡(株)の
ポリエステル芯鞘型の通常使用熱融着温度180℃以上
の融着糸「ベルカップル、タイプLCO」、250D/
16Fの撚数100回/mを用い、20ゲージ32口の
両面丸編み機で編立、開反後、テンター乾燥機で幅方向
に18%収縮させながら、表1の条件で雰囲気温度を変
更し、2分間熱融着させてダンボールニットを製造し
た。製造したダンボールニットのヘタリと接合糸の捲縮
力を測定し、表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】実施例2 実施例1の試験No.6と同様にして接合糸を鐘紡
(株)の「ベルカップ」ポリエステル芯、ナイロン鞘、
通常熱融着温度210℃以上のタイプHCC、250D
/16Fにのみ変更し、本発明のダンボールニットを製
造した。このダンボールニットのヘタリ率は4.3%、
捲縮力は.8.8mg/dであった。
【0024】実施例3 実施例1の試験No.1と同様にして接合糸を鐘紡
(株)のポリエステル芯、低融点ポリエステル鞘、熱融
着温度110℃のの熱融着短繊維「ベルコンビ、タイプ
4080」、2d、51mmを用い、通常の2インチ紡
績により1/36を紡績し、70℃で仮セットした紡績
糸のみ変更し、本発明のダンボールニットを製造した。
このダンボールニットのヘタリ率は6.8%、捲縮力は
8.9mg/dであった。
【0025】実施例4 実施例1の試験No.1と同様にして接合糸を鐘紡
(株)の熱融着短繊維「ベルコンビ、タイプ408
0」、2d、51mmを50%と一般のポリエステル、
鐘紡(株)のタイプ800、1.5D、51mmを50
%用い、混紡し、通常の2インチ紡績により1/36を
紡績し、70℃で仮セットした紡績糸にのみ変更し、本
発明のダンボールニットを製造した。このダンボールニ
ットのヘタリ率は10.8%、捲縮力は4.6mg/d
であった。
【0026】実施例5 実施例1の試験No.3と同様にして接合糸の撚数のみ
を表2のように変更し、ダンボールニットを製造した。
そのヘタリ率と捲縮力を測定し、結果を表2に示した。
【0027】
【表2】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表地と裏地を接合するつなぎ糸が熱融着
    糸からなり、該糸の熱セットによる捲縮力が4mg/デ
    ニール〜13mg/デニールであることを特徴とするダ
    ンボールニット。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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