JP3137884B2

JP3137884B2 - エチレン系共重合樹脂組成物およびエチレン系共重合樹脂フィルム

Info

Publication number: JP3137884B2
Application number: JP28267195A
Authority: JP
Inventors: 正明佐藤; 健一山内
Original assignee: Achilles Corp
Current assignee: Achilles Corp
Priority date: 1995-10-04
Filing date: 1995-10-04
Publication date: 2001-02-26
Anticipated expiration: 2015-10-04
Also published as: JPH09100373A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン系共重合
樹脂組成物およびエチレン系共重合樹脂フィルムに関す
るものであり、詳細には、カレンダーロールへの粘着を
生じることなく、生産性の高いカレンダー加工によって
フィルム状に成形することを可能としたエチレン系共重
合樹脂組成物および該エチレン系共重合樹脂組成物をカ
レンダー加工してフィルム状に成形して得られるエチレ
ン系共重合樹脂フィルムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、食品包装用フィルム、農業用フィ
ルム、医療用フィルム、産業資材用フィルム、文具用フ
ィルム等として、オレフィン系樹脂、特にエチレン系共
重合樹脂からなるフィルムが使用されるようになってき
た。また、このエチレン系共重合樹脂は、成形時にカレ
ンダーロールに粘着し易いために、一般的には、エチレ
ン系共重合樹脂に、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤な
どの各種添加剤を、必要に応じて加えて調製したペレッ
トを溶融し、押出加工によってフィルム状に成形して、
上記のエチレン系共重合樹脂フィルムを得ていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の押出加
工による成形法では、成形速度が遅いため、生産性が良
好であるとは言えなかった。

【０００４】一方、塩化ビニル系樹脂フィルムの加工等
において頻繁に行なわれているカレンダー加工による成
形法は、生産性は良好であるが、エチレン系共重合樹脂
フィルムの製造に、カレンダー加工による成形法を適用
しようとしても、上記した通り、エチレン系共重合樹脂
が、成形時にカレンダーロールに粘着し易いために、フ
ィルム状に成形するのが困難であり、仮に加工温度を下
げるなどしてフィルム状に成形することができたとして
も、得られたフィルムは、表面平滑性に乏しく、実用に
適するエチレン系共重合樹脂フィルムをカレンダー加工
によって得ることは、極めて困難であった。

【０００５】上記の問題を解決するために、塩化ビニル
系樹脂フィルムに使用されている、高級脂肪酸、高級脂
肪酸の金属石鹸、高級脂肪酸アマイド、ポリエチレンワ
ックス、流動パラフィン等の滑剤を添加することも考え
られるが、塩化ビニル系樹脂フィルムに通常使用されて
いる上記の滑剤を、エチレン系共重合樹脂に添加して
も、カレンダーロールへの粘着を防止することはできな
かった。また、アクリル系加工助剤や有機酸系金属塩な
どを添加することにより、エチレン系共重合樹脂組成物
のカレンダーロールへの粘着を防止することも提案され
ているが、上記の添加剤は、十分な効果を発現させるた
めに比較的多量に添加する必要があり、ブリードが発生
するなどの新たな問題が生じていた。

【０００６】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、エチレン系共重合樹脂組成物のカ
レンダーロールへの粘着を防止したエチレン系共重合樹
脂組成物およびカレンダー加工によって得られるエチレ
ン系共重合樹脂フィルムを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のエチレン系共重
合樹脂組成物は、エチレン系共重合樹脂１００重量部に
対し、ノニオン系界面活性剤０．０１〜５．０重量部お
よびホスフェート系化合物０．０１〜５．０重量部添加
し、該ノニオン系界面活性剤がアルキルジエタノールア
ミン又はアルキルジエタノールアミンと脂肪酸モノグリ
セライドの混合物であることを特徴とするものである。

【０００８】また、本発明のエチレン系共重合樹脂フィ
ルムは、エチレン系共重合樹脂１００重量部に対し、ノ
ニオン系界面活性剤０．０１〜５．０重量部およびホス
フェート系化合物０．０１〜５．０重量部添加し、該ノ
ニオン系界面活性剤がアルキルジエタノールアミン又は
アルキルジエタノールアミンと脂肪酸モノグリセライド
の混合物であることを特徴とするエチレン系共重合樹脂
組成物を、カレンダー加工にてフィルム状に成形したこ
とを特徴とするものである。

【０００９】本発明で使用されるエチレン系共重合樹脂
としては、エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂、
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン
−エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−ブチルメ
タクリレート共重合樹脂、エチレン−ヘキシルアクレー
ト共重合樹脂、エチレン−ラウリルメタクリレート共重
合樹脂、エチレン−ステアリルアクリレート共重合樹脂
などの、エチレンとアクリル酸エステルまたはメタクリ
ル酸エステルとの共重合樹脂；エチレン−酢酸ビニル共
重合樹脂；結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合
樹脂などから選ばれる一種以上の共重合樹脂が使用でき
るが、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、
エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン
−メチルアクリレート共重合樹脂およびエチレン−エチ
ルアクリレート共重合樹脂から選ばれる一種以上の共重
合樹脂である。また、上記のエチレン系共重合樹脂に、
他の樹脂、例えば、高密度ポリエチレン、中低密度ポリ
エチレン、リニア低密度ポリエチレン、結晶性ポリプロ
ピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピ
レン、プロピレン−酢酸ビニル共重合樹脂、プロピレン
−メチルアクリレート共重合樹脂、プロピレン−メチル
メタクリレート共重合樹脂、プロピレン−エチルアクリ
レート共重合樹脂、ポリブテン、ポリ−３−メチルブテ
ン、ポリ−４−メチルペンテン等をブレンドしたもので
あっても使用することができる。

【００１０】本発明ではノニオン系界面活性剤として、
下記化１に示す一般式で表されるアルキルジエタノール
アミン、または前記のアルキルジエタノールアミンと化
２で示す一般式で表される脂肪酸モノグリセライドの混
合物を使用する。また、ノニオン系界面活性剤は、単独
で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよ
い。

【００１１】

【化１】（式中、Ｒ₁は、炭素数１０〜２１のアルキル基を表
す）

【００１２】

【化２】（式中、Ｒ₂は、炭素数１０〜２１のアルキル基を表
す）

【００１３】上記のノニオン系界面活性剤の添加量は、
エチレン系共重合樹脂１００重量部に対し０．０１〜
５．０重量部、好ましくは０．０５〜２．０重量部であ
る。ノニオン系界面活性剤の添加量が、エチレン系共重
合樹脂１００重量部に対して０．０１重量部未満である
と、エチレン系共重合樹脂組成物のカレンダーロールへ
の粘着防止効果が十分に発現されず、エチレン系共重合
樹脂１００重量部に対して５．０重量部を超える量を添
加しても、エチレン系共重合樹脂組成物のカレンダーロ
ールへの粘着防止効果が比例的に向上することがないば
かりか、ノニオン系界面活性剤がブリードするなどの問
題も生じる。

【００１４】本発明で使用できるホスフェート化合物と
して好ましくは、下記化３〜５に示す一般式で表される
リン酸エステルである。また、上記のホスフェート化合
物は、単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使
用してもよい。

【００１５】

【化３】（式中、Ｒ₃は置換基を有していてもよい脂肪族、脂環
族または芳香族の炭化水素基を示す）

【００１６】

【化４】（式中、Ｒ₄、Ｒ₅は置換基を有していてもよい脂肪
族、脂環族または芳香族の炭化水素基を示す。Ｒ₄、Ｒ
₅は同一であっても異なっていてもよい）

【００１７】

【化５】（式中、Ｒ₆、Ｒ₇、Ｒ₈は置換基を有していてもよい
脂肪族、脂環族または芳香族の炭化水素基を示す。
Ｒ₆、Ｒ₇、Ｒ₈は、それぞれ同一であっても異なって
いてもよい）

【００１８】上記のホスフェート化合物の添加量は、エ
チレン系共重合樹脂１００重量部に対し０．０１〜５．
０重量部、好ましくは０．０５〜２．０重量部である。
ホスフェート化合物の添加量が、エチレン系共重合樹脂
１００重量部に対して０．０１重量部未満であると、エ
チレン系共重合樹脂組成物のカレンダーロールへの粘着
防止効果が十分に発現されず、エチレン系共重合樹脂１
００重量部に対して５．０重量部を超える量を添加して
も、エチレン系共重合樹脂組成物のカレンダーロールへ
の粘着防止効果が比例的に向上することがないばかり
か、ホスフェート化合物がブリードするなどの問題も生
じる。

【００１９】本発明のエチレン系共重合樹脂組成物は、
上記したノニオン系界面活性剤と、ホスフェート化合物
を併用することが肝要である。すなわち、ノニオン系界
面活性剤のみを添加しても、ロールへの粘着防止効果は
全く得られず、また、ホスフェート化合物のみを添加し
た場合は、ロールへの粘着防止効果が極わずかしか発現
しないが、両者を併用することによって、本発明の目的
とする、ロールに粘着せずに、カレンダー加工可能なエ
チレン系共重合樹脂組成物を得ることができる。また、
ホスフェート化合物は、一種のみを添加するよりも、二
種以上を併用した方が、ロールへの粘着防止効果が向上
する。

【００２０】本発明のエチレン系共重合樹脂組成物に
は、上記のノニオン系界面活性剤およびホスフェート化
合物の他に、必要に応じて、タルク、炭酸カルシウム、
クレー、マイカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、
ガラス球、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機充
填剤、有機顔料、無機顔料等の着色剤、尿素樹脂粉末、
メラミン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等の樹脂
粉末、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止
剤等の各種添加剤を添加することもできる。上記の各種
添加剤は、本発明の目的とするロールへの粘着防止効果
を損なわない種類、添加量を選定する必要があることは
言うまでもない。

【００２１】上記のエチレン系共重合樹脂、ノニオン系
界面活性剤、ホスフェート化合物および各種添加剤は、
ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレン
ダー、バンバリーミキサー等の混合機により、所望の割
合で混合し、更に、混練りロールや押出機などによって
混練りして、所望の成形手段にて各種製品へと成形され
る。また、上記組成物をペレットに調製して使用するこ
ともできる。

【００２２】本発明のエチレン系共重合樹脂フィルム
は、上記のようにして十分に混練りされたエチレン系共
重合樹脂組成物を、カレンダー装置によって厚さ０．１
〜１．５ｍｍ程度のフィルム状に成形することによって
得られる。なお、本発明のエチレン系共重合樹脂組成物
は、Ｔダイ押出法、インフレーション法などによって、
フィルム状に成形することも可能であるが、生産効率の
よいカレンダー法にてフィルム状に成形する方が、製造
コスト等の面から有利である。

【００２３】

【実施例】以下、具体的な実施例を挙げ、本発明を更に
詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定さ
れるものではない。

【００２４】〔実施例１〜８〕表１に示す配合からなるエチレン系共重合樹脂組成物を
調製し、表面温度１９０℃の二本のロール（ロール間隔
０．３ｍｍ）で６０分間混練りした後、フィルムを取り
出した。また、このときのエチレン系共重合樹脂組成物
のロール粘着性、ロール表面汚染性、得られたフィルム
のブリード性を下記の方法にて評価した。結果を表１に
示す。

【００２５】（１）ロール粘着性エチレン系共重合樹脂組成物を、上記のロールで混練り
しているとき、およびフィルムを取り出すときの作業性
を、下記評価基準にて評価した。＜評価基準＞ ◎・・・ロールへの粘着が適度で、カレンダー加工に好
適 ○・・・ロールへ若干粘着するが、カレンダー加工可能 △・・・初期粘着は少ないが次第に粘着が増し、作業が
困難となる ×・・・ロールに粘着し、フィルムに成形することが不
可能

【００２６】（２）ロール表面汚染性エチレン系共重合樹脂組成物を、上記のロールで６０分
間混練りした後の、ロール表面の状態を目視により観察
し、下記評価基準にて評価した。＜評価基準＞ ◎・・・ロール表面に汚れの付着がない ○・・・ロール表面がわずかに濁った ×・・・ロール表面に汚れが付着

【００２７】（３）フィルムのブリード性４０℃、湿度８０％の条件下に一週間静置した後、５０
℃のギヤオーブン中に一週間静置した上記フィルムの表
面の状態を目視により観察し、下記の評価基準にて評価
した。＜評価基準＞ ◎・・・ブリードの発生なし ○・・・フィルム表面がわずかに濁った ×・・・ブリードの発生あり

【００２８】

【表１】＊１エバテートＫ２０２１；住友化学工業社製＊２アクリフトＣＭ２００７；住友化学工業社製＊３エレクトロストリッパーＥＡ；花王社製＊４モノグリセライドＳ；花王社製＊５モノステアリルアシドホスフェートとジステアリ
ルアシドホスフェートの混合物＊６アデスカタブＡＸ３８；旭電化工業社製＊７ＩＲＧＡＮＯＸ１０７６；チバガイギー社製

【００２９】〔比較例１〜１１〕表２に示す配合からな
るエチレン系共重合樹脂組成物を調製し、表面温度１９
０℃の二本のロール（ロール間隔０．３ｍｍ）で６０分
間混練りした後、フィルムを取り出した。また、このと
きのエチレン系共重合樹脂組成物のロール粘着性、ロー
ル表面汚染性、得られたフィルムのブリード性を上記の
方法にて評価した。結果を表２に示す。

【００３０】

【表２】＊８Ｃ₂₁Ｈ₄₁ＣＯＮＨ₂

【００３１】

【発明の効果】以上詳述したように、ノニオン系界面活
性剤およびホスフェート系化合物を併用して添加した本
発明のエチレン系共重合樹脂組成物によれば、カレンダ
ーロールへの粘着を生じることがないので、生産性のよ
いカレンダー加工によってフィルムやシートを製造する
ことができる。従って、上記のエチレン系共重合樹脂組
成物をカレンダー加工して得られた本発明のエチレン系
共重合樹脂フィルムは製造コストが低く、該フィルムを
二次加工して得られる製品も、低価格にて提供すること
ができるものである。

【００３２】しかも、上記のノニオン系界面活性剤およ
びホスフェート系化合物は併用することによって、添加
量が少量であっても、その効果が発現するので、製造中
にロール表面を汚染したり、エチレン系共重合樹脂組成
物中の添加剤がフィルム表面にブリードするなどの問題
が生じない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩＣ０８Ｋ 5/521 Ｃ０８Ｋ 5/521 // Ｂ２９Ｋ 23:00 Ｂ２９Ｌ 7:00 (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C08L 23/00 - 23/36 B29C 43/24 C08J 5/18 C08K 5/10 - 5/12 C08K 5/17 - 5/19 C08K 5/521 - 5/523

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】エチレン系共重合樹脂１００重量部に対
し、ノニオン系界面活性剤０．０１〜５．０重量部およ
びホスフェート系化合物０．０１〜５．０重量部添加
し、該ノニオン系界面活性剤がアルキルジエタノールア
ミン又はアルキルジエタノールアミンと脂肪酸モノグリ
セライドの混合物であることを特徴とするエチレン系共
重合樹脂組成物。
【請求項２】エチレン系共重合樹脂が、エチレン−酢
酸ビニル共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレート
共重合樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂
およびエチレン−エチルアクリレート共重合樹脂から選
ばれる一種以上である請求項１記載のエチレン系共重合
樹脂組成物。
【請求項３】エチレン系共重合樹脂１００重量部に対
し、ノニオン系界面活性剤０．０１〜５．０重量部およ
びホスフェート系化合物０．０１〜５．０重量部添加
し、該ノニオン系界面活性剤がアルキルジエタノールア
ミン又はアルキルジエタノールアミンと脂肪酸モノグリ
セライドの混合物であることを特徴とするエチレン系共
重合樹脂組成物を、カレンダー加工にてフィルム状に成
形したことを特徴とするエチレン系共重合樹脂フィル
ム。