JP3135283B2 - 絶対値検出用信号処理回路装置 - Google Patents

絶対値検出用信号処理回路装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶対値検出回路、特に
トランジスタのエミッタカップル回路と反転増幅器とを
組み合わせて構成される絶対値検出回路に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、入力信号がある一定の電圧レベル
に対して電圧的に正方向と負方向に、振幅を持っている
場合(AC的に振幅を持つ場合)、この入力信号の基準
電圧レベルからの差を検出する回路を絶対値検出回路と
いう。絶対値検出回路としては、例えば図4に示すよう
な構成がある。図4において、18はVINより入力され
るAC入力信号の電圧レベルにかかわらず回路内の動作
電圧レベルを適切な電圧に固定する為の電圧クランプ回
路である。11及び12は、抵抗R、基準電圧VR、演
算増幅器を用いて構成される反転増幅器である。16
は、13及び14のNPNトランジスタのエミッタカッ
プル回路及び定電流回路15により構成される絶対値検
出回路である。
【0003】一般に入力VINに加えられる信号電圧が様
々なレベルにあるAC入力信号である場合、まずAC入
力信号をある一定電圧を基準として振幅する信号とする
為にクランプ回路を通過させる方法が採用される。そし
てこのクランプ回路によって適当な動作レベルにそろえ
られたAC入力信号は、その後の反転増幅器とエミッタ
カップル回路によって構成される絶対値検出用信号処理
回路を通って出力端子Voutより出力される。図5は
図4の回路内の各点における電圧レベルを表わしてい
る。図中、VINの電圧レベルV1は任意の電圧であり、
源入力信号(a)の状態により、いかなる値をもとりう
るものとする。このV1の電位はその後のクランプ回路
によって適切なレベルに固定され、反転増幅器へと送ら
れる。図4の回路では、反転増幅器のゲインは、図5に
示すように1倍となっているが、このゲインは任意であ
る。反転増幅器を1回通過した出力点をA、2回通過し
た出力点をBとすると、それぞれA点、B点における出
力波形は図5の(b)のようになる。出力振幅は反転増
幅器のゲインにより、いかなる値にもなりうるが、出力
電圧レベルはすべて基準電圧VRに固定される。
【0004】この後に、NPNトランジスタのエミッタ
をカップリングした絶対値検出回路16を通過させて、
最終的な出力端子Voutに表われる波形は図5の
(c)のようになる。このとき出力の電圧レベルは、V
Rに対して、13及び14のNPNトランジスタのベー
スエミッタ間電圧VBE(13)、VBE(14)の値だけ低いレベ
ル即ちVR−VBE(13、14)で出力されることになる。
【0005】図6は図4の符合11、12で示す反転増
幅器の回路図である。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、上
記従来例では反転増幅器の出力電圧と絶対値検出回路の
出力電圧との間に差が生じる。即ち、NPNトランジス
タ13及び14のベースエミッタ間電圧VBE(13)、V
BE(14)の分だけ、動作点が下へシフトすることになる。
これは回路の動作上、AC動作的には問題にならない
が、出力の電圧レベルをDC的に扱うような回路におい
ては、動作点の変動や、ダイナミックレンジの減少とい
った不都合を生じる可能性がある。又、VBE(13)及びV
BE(14)は定電流回路15を流れる電流Iの値や、個々の
トランジスタの特性の差により、変化することが考えら
れ、例えばこの回路を半導体集積回路で実現しようとす
ると、各トランジスタの大きさのバラツキ、抵抗値のバ
ラツキ、又各素子の温度特性の差などによって、出力の
電圧レベルに大きな変動を生じる原因となる。
【0007】[目的]本発明は上述した技術的課題に鑑
みなされたものであり、従来よりも絶対値検出用出力の
電圧レベル低下の小さい信号処理回路を提供することを
主たる目的とする。
【0008】本発明の他の目的は、動作点の変動の小さ
い信号処理回路を提供することにある。
【0009】本発明の目的は、複数のトランジスタのエ
ミッタを共通に接続し、該複数のトランジスタの一方の
ベースに第1の反転増幅器の出力端子を接続し、該第1
の反転増幅器の出力端子に入力端子が接続された第2の
反転増幅器の出力端子を該複数のトランジスタの他方の
ベースに接続し、該第1の反転増幅器の入力端子に入力
された入力信号の絶対値を検出する信号処理回路装置に
おいて、該第1及び第2の反転増幅器はそれぞれ補償回
路を有する同じ回路構成の反転増幅器であり、該補償回
路は、前記複数のトランジスタの夫々と同一極性且つ同
一の大きさをもち、該複数のトランジスタのベース・エ
ミッタ間電圧を補償するオフセット電圧を生成する補償
用のトランジスタを有しており、該補償用のトランジス
タを、該第1及び第2の反転増幅器の入力段のトランジ
スタに接続することにより、該第1及び第2の反転増幅
器の出力電圧レベルを該オフセット電圧を加えた電圧レ
ベルにシフトさせる回路であることを特徴とする信号処
理回路装置により達成される。
【0010】
【作用】本発明によれば、絶対値検出用信号処理回路に
設けた補償回路によりあらかじめ、入力オフセット電圧
をつけておくので、VBE(13)及びVBE(14)と等価な電圧
となる入力オフセット電圧によって絶対値検出回路にお
ける出力電圧レベルの低下をキャンセルできる。従って
本発明によれば、各素子のバラツキや温度による特性変
化などによって生じる動作点の変動や、ダイナミックレ
ンジの低下といった不具合を防止することができる。
【0011】
【実施例】図1は、本発明の一実施例を示す回路図であ
る。図1の(a)において、1及び2は抵抗R、及び基
準電圧VR、演算増幅器9からなる反転型増幅器であ
る。3は源入力信号を容量結合によって反転増幅器へ送
る為の容量である。4は、NPNトランジスタ6、7の
エミッタを共通接続し、定電流源5を付加することによ
って構成される絶対値検出回路である。又、1及び2の
反転増幅器の中に9で示された演算増幅器の具体的な実
施例を示す回路図が(b)として示されている。
【0012】
【外1】 がそれぞれ演算増幅器の非反転入力端子、反転入力端
子、outは出力端子である。
【0013】次にこの回路の動作を、図2に示した各点
の出力波形を用いて説明する。入力端子にかかる入力信
号は、いかなる電圧レベルにあってもよいが、これを容
量3によってDC成分をカットし、AC成分のみを後段
に伝送する。従って、図2中の電圧レベルV1にかから
ず、反転増幅器1には入力信号のAC成分が入力される
ことになる。反転増幅器1及び2は、その中の入力段の
PNPトランジスタのエミッタに接続されているNPN
トランジスタ8によって、あらかじめ入力オフセット電
圧VBE(8)が加えられている。即ち、反転増幅器1及び
2の出力電圧レベルは、リファレンス電圧VRにこのV
BE(8)を加えた電圧レベルにシフトする。従って、A点
及びB点の出力電圧レベルは、VR+VBE(8)という電位
に固定される。
【0014】この後、絶対値検出回路4においては、A
点の電位はNPNトランジスタ7のベースエミッタ間電
圧VBE(7)によって低下し、又、B点の電位はNPNト
ランジスタ6のベースエミッタ間電圧VBE(6)によって
低下し、最終的には、A点側の出力電圧レベルはVR
BE(8)−VBE(7)、B点側の出力電圧レベルはVR+V
BE(8)−VBE(6)となり、図2中のVoutに示された波
形が最終の絶対値出力信号として取り出される。このと
き、VBE(6)及びVBE(7)は定電流Iによって決定される
NPNトランジスタのベースエミッタ間電圧であるが、
BE(8)を、このVBE(6)、VBE(7)と等しい電圧に設定
しておくことにより、これらをキャンセルすることがで
きる。NPNトランジスタのベースエミッタ間電圧の絶
対値をコントロールすることは非常に困難であるが、例
えばこの回路を半導体集積回路によって実現しようとす
るとき、トランジスタ6、7、及び8の極性を同一にし
大きさを同一に、更に近接に配置することにより、これ
らのベースエミッタ間電圧を等しいものとすることは、
比較的容易に実現できる。従って、最終的な出力の電圧
レベルVoutは、 Vout=VR+VBE(8)−VBE(7)or(6)≒VR となって、ほぼVRに等しいレベルにそろえることがで
きる。もちろん、これは入力信号のDC成分に関するも
のであり、AC成分に関しては、絶対値回路の機能がそ
のまま適用されることはいうまでもない。
【0015】図3は、本発明の他の実施例を示したもの
である。図3において、17は反転増幅器1、2の相互
の差異によって生じる電圧レベルのズレをキャンセルす
る為の回路である。図1に示した絶対値検出回路におい
ては、反転増幅器のゲインを決定する為の抵抗Rの値が
小さい場合、このRを流れる電流を無視することができ
なくなる。その結果出力にある程度のオフセット電圧が
発生することになる。従って、反転増幅器を1回通過し
たA点と2回通過したB点とでは、出力電圧レベルに差
が生じることになる。即ち前述の実施例では使用態様に
よっては、このまま絶対値検出回路に入力すると正確な
出力が表われないことがある。その対策として通常は、
Rの値を充分大きくとっておけば問題ないが、何らかの
理由、例えば、反転増幅器のゲインを大きくとらなけれ
ばならなかったり、容量3との関係で周波数特性が問題
となるような場合においては、Rの値を小さくおさえな
ければならない必要が生じる。このような場合、17で
示したようなキャンセル回路を付加し、Rで消費される
電流をキャンセルするように、Iaの値を設定すれば、
Rの値が小さいような場合にも、所望の絶対値検出動作
が得られることになる。
【0016】尚、上記の説明には簡単化の為、1種類の
反転増幅器しか掲載しなかったが、通常オペアンプと呼
ばれる演算増幅器であれば、いかなるものでも同様の効
果を得ることができることはいうまでもない。
【0017】以上説明した信号処理回路は半導体集積回
路として1つのチップにまとめられる。例えばビデオカ
メラ等のオートフォーカス用としては、CCD等の光セ
ンサの出力信号を受けて高周波領域と低周波領域とに振
り分け、高周波領域は実施例1の回路で絶対値検出し、
低周波領域は実施例2の回路で絶対値検出する構成を採
用する。
【0018】
【発明の効果】以上、説明したように本発明ではトラン
ジスタのエミッタを共通接続した型の絶対値検出用信号
処理回路において、トランジスタのベースエミッタ間電
圧による動作点のシフトをキャンセルできる。即ち絶対
値検出回路前段にあらかじめ、補償回路による入力オッ
フセットをつけることによって動作点シフトをキャンセ
ルし、動作点の変動をなくし、ダイナミックレンジを確
保するとともに、温度による変動を防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による信号処理回路装置の回
路図である。
【図2】図1の各ポイントにおける信号波形を示す図で
ある。
【図3】本発明の実施例2による信号処理回路装置の回
路図である。
【図4】従来の信号処理回路装置の回路図である。
【図5】図4の各ポイントにおける信号波形を示す図で
ある。
【図6】従来の信号処理回路装置の反転増幅器の回路図
である。
【符号の説明】
1、2 反転増幅器 3 容量 4 絶対値検出の為の回路 5 定電流源 6、7、8 NPNトランジスタ 9 演算増幅器 11、12 反転増幅器 13、14 NPNトランジスタ 15 定電流源 16 絶対値検出の為の回路 17 オフセットキャンセルの為の回路 18 クランプ回路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のトランジスタのエミッタを共通に
    接続し、該複数のトランジスタの一方のベースに第1の
    反転増幅器の出力端子を接続し、該第1の反転増幅器の
    出力端子に入力端子が接続された第2の反転増幅器の出
    力端子を該複数のトランジスタの他方のベースに接続
    し、該第1の反転増幅器の入力端子に入力された入力信
    号の絶対値を検出する信号処理回路装置において、 該第1及び第2の反転増幅器はそれぞれ補償回路を有す
    る同じ回路構成の反転増幅器であり、 該補償回路は、前記複数のトランジスタの夫々と同一極
    性且つ同一の大きさをもち、該複数のトランジスタのベ
    ース・エミッタ間電圧を補償するオフセット電圧を生成
    する補償用のトランジスタを有しており、 該補償用のトランジスタを、該第1及び第2の反転増幅
    器の入力段のトランジスタに接続することにより、該第
    1及び第2の反転増幅器の出力電圧レベルを該オフセッ
    ト電圧を加えた電圧レベルにシフトさせる回路であるこ
    とを特徴とする信号処理回路装置。
  2. 【請求項2】 前記複数のトランジスタの一方には、前
    記反転増幅器の帰還抵抗による電圧のずれをキャンセル
    するキャンセル回路が更に設けられていることを特徴と
    する請求項1に記載の信号処理回路装置。
  3. 【請求項3】 前記信号処理回路装置は半導体集積回路
    で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の信
    号処理回路装置。
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