JP3135130B2 - 磁気媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気媒体およびその製造方法

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JP3135130B2
JP3135130B2 JP03034935A JP3493591A JP3135130B2 JP 3135130 B2 JP3135130 B2 JP 3135130B2 JP 03034935 A JP03034935 A JP 03034935A JP 3493591 A JP3493591 A JP 3493591A JP 3135130 B2 JP3135130 B2 JP 3135130B2
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雅之 外川
潔 外山
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帝人製機株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気媒体に関し、例え
ば、磁気スケールや直動型電動機の磁気パターンとして
用いられる磁気媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、磁気記録・再生装置において
は、電磁石等からなる磁気ヘッドおよび微小磁石等から
なる磁性体が用いられる。磁気記録の場合、磁気ヘッド
は記録情報に対応して変化する磁界を発生し、磁界中を
移動する磁性体に残留磁気の位置的変化を生じさせて、
磁性体に情報を記録する。一方、磁気再生の場合、磁気
ヘッドは、磁性体の残留磁気の位置的変化を電圧変化と
して検出して、磁性体から記録情報を再生する。
【0003】上述の磁気記録・再生の原理は、磁気セン
サにも利用されている。すなわち、記録用磁気ヘッドに
より所定の磁気パターンを高い位置精度で製造し、検出
用磁気ヘッドにより磁気パターンを検出して位置情報を
得るようにしている。ここで、従来の磁気媒体の製造方
法の一例として、直線型の磁気パターンを製造する場合
の例を説明する。
【0004】まず、図21に示される磁気パターン製造
装置1を準備する。磁気パターン製造装置1は位置検出
器2、連動部材3、4、アクチュエータ5、磁気ヘッド
6およびI/V回路(電流電圧変換回路)7から構成さ
れる。磁気記録媒体8は、位置検出器2とアクチュエー
タ5とに連動部材3および4で連結されている。アクチ
ュエータ5は磁気記録媒体8を図21の矢印A、B方向
に高い位置精度で移動させ、位置検出器2で磁気記録媒
体8の位置を検出する。
【0005】次いで、アクチュエータ5により磁気記録
媒体8を所定位置に移動させて固定し、磁気ヘッド6の
先端を磁気記録媒体8に接触させる。次いで、磁気ヘッ
ド6のコイルにI/V回路7から電流を流して磁界を発
生させ、磁気ヘッド6の先端の空隙部近傍の磁気記録媒
体8を着磁する。次いで、アクチュエータ5により磁気
記録媒体8を他の位置に移動させる。詳しくは、移動中
の磁気記録媒体8の位置は位置検出器2により検出され
ており、アクチュエータ5は位置検出器2の検出結果に
基づいて磁気記録媒体8を所望の位置に移動させ固定す
る。次いで、上述同様に磁気ヘッド6により磁気記録媒
体8を着磁する。以下、同様に磁気記録媒体8の所定部
分を全て着磁すると、所定の磁気パターンを有する磁気
記録媒体8が製造される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の磁気媒体およびその製造方法にあっては、磁
気媒体が例えば磁気スケールである場合、下述のような
理由のため、磁気検出時の検出信号のS/N比が小さく
なり、また磁気検出の分解能の向上が困難になり、さら
に製造時間が増大するといった問題点があった。
【0007】すなわち、磁気記録媒体8を着磁するとき
磁気ヘッド6の漏れ磁束を利用しているため、磁気記録
媒体8に強い磁界を与えることができなく、スケールと
して使用して位置を検出するときの信号のS/N比が小
さくなる。また、磁気スケールの分解能が磁気ヘッド6
の着磁精度により決るため、分解能を向上するには製造
装置に多額の設備投資が必要になり、分解能の向上が困
難になる。さらに、磁気記録媒体8に磁気パターンを形
成するのに何回も着磁作業が必要になり、磁気スケール
を製造するのに長時間を要する。
【0008】そこで、本発明は、基板に形成されたピッ
トに段差を設け、または、ピットをを構成する複数の溝
のうち少なくとも一つの溝の深さを残りの溝の深さと異
なるようにすることにより、磁気検出時の検出信号のS
/N比を大きくし、また磁気検出の分解能を向上し、さ
らに製造時間を短縮することができる磁気媒体およびそ
の製造方法を提供することを課題としている。なお、本
発明におけるピットおよび溝は、底面を有する穴状のも
のおよび貫通した穴状のもののどちらであってもよい。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するため、ピットを有する基板と、前記
ピットに埋設された磁性体と、を備えた磁気媒体であっ
て、前記ピットに段差を形成したことを特徴とするもの
である。請求項2記載の発明は、上記課題を解決するた
め、ピットを有する基板と、前記ピットに埋設された磁
性体と、を備えた磁気媒体であって、前記ピットが互い
に近接した複数の溝から構成され、複数の溝のうち少な
くとも一つの溝の深さが残りの溝の深さと異なることを
特徴とするものである。
【0010】請求項3記載の発明は、上記課題を解決す
るため、所定パターンに配置されたピットを有する基板
と、前記ピットに埋設された磁性体と、を備え、磁気パ
ターンとして用いられる磁気媒体であって、前記ピット
の深さがピットの所定断面の中央に向うにしたがって段
階的に大きくなるように、ピットに複数の段差を形成し
たことを特徴とするものである。
【0011】請求項4記載の発明は、上記課題を解決す
るため、所定パターンに配置されたピットを有する基板
と、前記ピットに埋設された磁性体と、を備え、磁気パ
ターンとして用いられる磁気媒体であって、前記ピット
が互いに近接して並ぶ3個以上の溝から構成され、前記
3個以上の溝のうち中央寄りの溝の深さが大きくなるよ
うにしたことを特徴とするものである。
【0012】請求項5記載の発明は、上記課題を解決す
るため、保護被膜を形成した異方性エッチング可能な基
板材料に、フォトエッチングプロセスにより所定パター
ンの第1の溝を蝕刻形成する第1の工程と、第1の工程
で形成された第1の溝内または該溝に隣接した所定部分
に、フォトエッチングプロセスにより第1の溝の深さと
異なる深さを有する所定パターンの第2の溝を形成する
第2の工程と、第1の溝および第2の溝の中に磁性体を
埋め込む第3の工程と、を有することを特徴とするもの
である。
【0013】請求項6記載の発明は、上記課題を解決す
るため、保護被膜を形成した異方性エッチング可能な基
板材料に、P型およびN型のうちの少なくとも一方の不
純物を所定パターンで導入する第1の工程と、フォトエ
ッチングプロセスを用い、基板材料中の不純物導入部分
と非導入部分との境界の近傍を蝕刻することにより所定
パターンの第1の溝を形成し、基板材料中の不純物導入
部分のみを蝕刻することにより第1の溝の深さと異なる
深さを有する所定パターンの第2の溝を形成する第2の
工程と、前記第1の溝および第2の溝の中に磁性体を埋
め込む第3の工程と、を有することを特徴とするもので
ある。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明では、基板に形成されたピ
ットに磁性体を埋設させることにより、磁性体を強い磁
界で着磁することが可能になり、また分解能の精度が着
磁精度ではなくピットの位置精度によって決り、さらに
基板上にピットが多数有る場合でも、各ピットに埋設さ
れた磁性体を一度に着磁することが可能になる。また一
方、ピットに段差を設けることにより、磁性体の厚さが
段階的に変化し、段差の数や位置を適当に設定すること
によって、磁性体を着磁した場合、磁界強度分布を任意
に設定することが可能になる。
【0015】請求項2記載の発明では、基板に形成され
たピットに磁性体を埋設させることにより、磁性体を強
い磁界で着磁することが可能になり、また分解能の精度
が着磁精度ではなくピットの位置精度によって決り、さ
らに基板上にピットが多数有る場合でも、各ピットに埋
設された磁性体を一度に着磁することが可能になる。ま
た一方、ピットを構成する複数の溝のうち少なくとも一
つの溝の深さを残りの溝の深さと異なるようにすること
により、磁性体の厚さが断続的に変化し、溝の数や配置
や深さを適当に設定することによって、磁性体を着磁し
た場合、磁界強度分布を任意に設定することが可能にな
る。
【0016】請求項3記載の発明では、請求項1記載の
発明と同様の作用を示し、また、磁気パターンとして用
いられる磁気媒体において、ピットの深さをピットの所
定断面の中央に向うにしたがって段階的に大きくしたこ
とにより、磁性体の厚さが中央に向うにしたがって段階
的に大きくなり、磁性体を着磁した場合、磁界強度の分
布が均一になる。
【0017】請求項4記載の発明では、請求項3記載の
発明と同様の作用を示し、また、磁気パターンとして用
いられる磁気媒体において、ピットを構成する3個以上
の溝のうち中央寄りの溝の深さを大きくしたことによ
り、磁性体の厚さが中央に向うにしたがって断続的に大
きくなり、磁性体を着磁した場合、磁界強度の分布が均
一になる。
【0018】請求項5記載の発明では、異方性エッチン
グ可能な基板材料に、フォトエッチングプロセスによっ
て第1の溝および第2の溝を蝕刻形成し、各溝に磁性体
を埋設しているため、高い精度を有する磁気媒体が容易
に製造され、またフォトリソグラフィーのマスクパター
ンを交換するだけで、各種高精度の磁気媒体が製造され
る。さらに磁性体を着磁する場合、一度に着磁し、各工
程においても一度に多数の基板材料を処理することが可
能になり、また磁性体を強い磁界で着磁することが可能
になる。また一方、第1の溝および第2の溝の深さを異
なるようにしたことにより、請求項1〜請求項4記載の
発明に係る磁気媒体を製造することが可能になる。
【0019】請求項6記載の発明では、異方性エッチン
グ可能な基板材料に、P型およびN型のうちの少なくと
も一方の不純物を所定パターンで導入した後、第1およ
び第2の溝を形成し、各溝に磁性体を埋設しているた
め、高い精度を有する磁気媒体が容易に製造され、また
フォトリソグラフィーのマスクパターンを交換するだけ
で、各種高精度の磁気媒体が製造される。さらに磁性体
を着磁する場合、一度に着磁し、各工程においても一度
に多数の基板材料を処理することが可能になり、また磁
性体を強い磁界で着磁することが可能になる。また一
方、第1の溝および第2の溝の深さを異なるようにした
ことにより、請求項1〜請求項4記載の発明に係る磁気
媒体を製造することが可能になる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。図
1は請求項1記載の発明に係る磁気媒体の一実施例を示
す図である。図1において、30は磁気媒体であり、磁気
媒体30は、基板31と磁性体32から構成される。基板31は
シリコン単結晶基板またはシリコンの単結晶に例えば窒
素またはボロン等の不純物を拡散させた基板からなる。
また、基板31にはピット33が形成されており、磁性体32
はピット33に埋設されている。ピット33には段差33aが
形成されている。なお、ピット33に形成された段差33a
は2つ以上あってもよく、また段差を介して隣合う部分
のピットの深さの大小を逆にしてもよく、さらにピット
33は図2に示すように、基板31を貫通するものであって
もよい。
【0021】上述のように構成される磁気媒体30を着磁
する場合、磁性体32はピット33に埋設されているので、
磁気ヘッドの漏れ磁界によって着磁する必要がある従来
のものに比較すると、強い磁界によって磁性体32を着磁
することができる。また、分解能の精度が着磁精度では
なくピットの位置精度によって決ることになるので、ピ
ットを後述するフォトエッチングプロセスにより形成す
ることにより、ピットの位置精度を向上することがで
き、分解能を向上することができる。さらに基板31上に
ピット33が多数有る場合でも、各ピットに埋設された磁
性体32を一度に着磁することができ、着磁作業に要する
時間を大幅に短縮することができる。
【0022】また一方、ピット33に段差33aを設けてい
るので、磁性体32の厚さを段階的に変化させることがで
き、段差の数や位置を適当に設定することによって、磁
性体32を着磁した場合、磁界強度分布を任意に設定する
ことが可能になる。詳しくは、図3に示すように、着磁
された磁性体34の厚さが均一である場合、磁性体34を3
つの磁石34a、34b、34cに分割して考えると、磁石34
bは、自身の磁化の向きとは反対向きの磁化を磁石34
a、34cから受ける。この結果、磁石34bの磁力は弱く
なり、磁性体34の上面から、ある高さで磁界強度を示し
た場合、磁界強度の分布は図3のように示される。一
方、ピットに2つの段差を形成して、図4(a)に示す
ように、磁性体35の厚さを中央部が深くなるように段階
的に変化させた場合、磁性体35を3つの磁石35a、35
b、35cに分割して考えると、磁石35bの磁力は上述同
様に弱められるが、磁石35bの厚さは磁石35a、cに比
較して大きいので、磁界強度分布は、図4(a)のよう
になり、磁界強度分布は図3に示すものに比較すると均
一になる。図4(a)に示されるものは意図的に均一化
を図ったものであるが、ピットの段差の数や位置を適当
に変化させ組み合わせることにより、任意の磁界強度分
布を得ることができる。たとえば、両端の磁界強度を強
くし、パターンのエッジを強調する場合では中央付近よ
りも外周部のピットの深さを深くすることで実現でき、
また図4(b)に示すように磁性体36の厚さを右に行
くに従い厚くなるように段階的に変化させた場合、磁性
体36を5つの磁石36a、36b、36c、36d、
36eに分割して考えると、左右の磁界強度に差をつけ
ることができ、モータ等に応用した際問題となるデッド
ゾーンの発生を防ぐ効果もある(デッドゾーンとはステ
ップモータ等で磁極の中央の位置でローターの磁極が停
止し、右回りと左回りの力が同じになり回転できなくな
る現象を引き起こす磁気的な配置を持つ領域を指す)。
【0023】図5は請求項2記載の発明に係る磁気媒体
の一実施例を示す図である。図5において、40は磁気媒
体であり、磁気媒体40は、上記基板31と同様の材料から
なる基板41と磁性体42から構成される。基板41にはピッ
ト43が形成されており、磁性体42はピット43に埋設され
ている。またピット43は互いに近接した2つの溝43a、
43bから構成され、溝43aの溝の深さは溝43bの深さよ
り深い。なお、ピット43を構成する溝の数は3つ以上あ
ってもよく、また境界壁41a介して隣合う溝の深さの大
小を逆にしてもよく、さらにピット43は基板41を貫通す
るものであってもよい。
【0024】上述のように構成される磁気媒体40を着磁
する場合、磁性体42はピット43に埋設されているので、
磁気ヘッドの漏れ磁界によって着磁する必要がある従来
のものに比較すると、強い磁界によって磁性体42を着磁
することができる。また、分解能の精度が着磁精度では
なくピットの位置精度によって決ることになるので、ピ
ット43を後述するフォトエッチングプロセスにより形成
することにより、ピット43の位置精度を向上することが
でき、分解能を向上することができる。さらに基板41上
にピット43が多数有る場合でも、各ピットに埋設された
磁性体42を一度に着磁することができ、着磁作業に要す
る時間を大幅に短縮することができる。
【0025】また一方、ピット43を互いに近接した深さ
の異なる溝43a、43bから構成しているので、磁性体43
の厚さを断続的に変化させることができ、溝の数や深さ
を適当に設定することによって、磁性体42を着磁した場
合、磁界強度分布を任意に設定することができる。な
お、本実施例では、各磁性体42間に隙間が生じて、磁界
強度がこの隙間の部分だけ多少低くなるが図1または図
2の磁界強度分布に近いほぼ均一な磁界強度分布を得る
ことができる。
【0026】図6、図7は請求項3記載の発明に係る磁
気媒体の一実施例を示す図であり、磁気スケールの磁気
パターンとして用いられるものに適用した例である。
お、図7は図6におけるK−K矢視断面図である。
6、図7において、50は磁気パターンとして用いられる
磁気媒体であり、磁気媒体50はシリコン単結晶等の基板
51および磁性体52から構成される。基板51には所定パタ
ーンで配置されたピット53が形成されており、磁性体52
はピット53に埋設されている。また、ピット53には2つ
の段差53a、53bが形成されており、ピット53の深さが
図7に示される断面の中央に向うにしたがって段階的に
大きくなっている。なお、ピット53に設ける段差の数は
3以上であってもよく、例えばピット53の断面形状を図
8に示されるようにしてもよい。
【0027】本実施例は、図1に示される実施例の構成
を含むので、請求項1記載の発明に係る磁気媒体の一実
施例で説明した効果と同様な効果を得ることができる。
また、本実施例の磁性体52を着磁すると、図4(a)
示される磁性体35と同様な構成になるので、磁界強度の
分布を均一にすることができる。さらに、中央部近傍の
磁界強度が大きくなるので、平均の磁界強度を大きくす
ることができ、磁気媒体50を磁気スケールの磁気パター
ンとして用いる場合、磁気を検出する際の検出信号のS
/N比を大きくすることができる。
【0028】図9は請求項4記載の発明に係る磁気媒体
の一実施例を示す図であり、磁気スケールの磁気パター
ンとして用いられるものに適用した例である。図9にお
いて、60は磁気パターンとして用いられる磁気媒体であ
り、磁気媒体60はシリコン単結晶等の基板61および磁性
体62から構成される。基板61には所定パターンで配置さ
れたピット63が形成されており、磁性体62はピット63に
埋設されている。また、ピット63は、互いに近接して並
ぶ3個の溝63a、63b、63cから構成され、中央の溝63
bの深さが溝63a、63cの溝の深さより深い。なお、ピ
ット63を構成する溝の数は3個以上であってもよい。
【0029】本実施例は、図5に示される実施例の構成
を含むので、請求項2記載の発明に係る磁気媒体の実施
例の効果と同様な効果を得ることができる。また、本実
施例の磁性体62を着磁すると、図4(a)に示される磁
性体35とほぼ同様の構成になるので、磁界強度の分布を
均一にすることができる。さらに、中央部近傍の磁界強
度が大きくなるので、平均の磁界強度を大きくすること
ができ、磁気媒体60を磁気スケールの磁気パターンとし
て用いる場合、磁気を検出する際の検出信号のS/N比
を大きくすることができる。
【0030】次に、請求項5記載の発明に係る磁気媒体
の製造方法の一例として、上述の磁気媒体50と同じよう
な構成の磁気パターンの製造方法を図10〜図15を参
照しながら説明する。なお、図10〜図15(u)は磁
気媒体の一つのピット近傍に相当する部分の断面を示し
ている。まず、図10(a)に示すように、シリコン単
結晶基板又はシリコンの単結晶に例えば窒素又はボロン
等の不純物を拡散させたもの(以下Si基板とする)11
を準備し、Si基板11に付着している塵、汚れ等を半導
体プロセスと同様の洗浄方法で除去し、Si基板11を清
浄にする。Si基板11としては、例えば半導体IC用の
基板を用いることができ、Si基板は酸またはアルカリ
に反応し、反応の方向が結晶方位により選択的であるい
わゆる異方性エッチングが可能である。
【0031】次いで、清浄なSi基板11の表面を酸化プ
ロセスにより酸化させて、図10(b)に示すように、
Si部12およびSiO2層13から構成されるSiO2/S
i基板14を形成する。詳しくは、Si基板11を1000℃ま
で加熱させた横型の環状炉によって5時間かけて酸化さ
せる。ここで、SiO2は、後述する異方性エッチング
の際の非蝕刻部分の保護被膜として作用する。酸化処理
中、約80℃に加熱した水の中を通した酸素を環状炉内に
供給する。加熱した水を通過後の酸素は湿気(H2O)
を十分に含んでおり、湿気を含んだ酸素はシリコンの酸
化速度を早めることが知られている。実際には水蒸気の
酸素がSi基板11を酸化させる。例えば、内径50φ長さ
1000mmの環状炉内に10mm角で厚さ0.3mm程度のSi基板
を処理する場合の供給酸素流量は、0.2 リットル/分であ
る。なお、前述の酸化プロセスに代え、CVDスパッタ
等の薄膜形成技術を使用することができる。また保護被
膜に代え、エッチング液に耐性を有するTi、Cr等の
金属、Si34等の窒化物、TiC等の炭化物、Al2
3等の酸化物及び有機物の使用が可能である。
【0032】次いで、図10(c)に示すように、Si
2/Si基板14の基板面上に後述のレジスト剤からな
るレジスト15をスピンコーター等によりコーティングす
る。詳しくは、SiO2/Si基板14の基板面上の中心
部に有機系樹脂からなるフォトレジスト剤を数滴垂ら
し、この中心部を通り基板面に垂直な軸線回りにSiO
2/Si基板14を回転させて、レジスト剤を基板面に均
一に薄く引き延ばし、約100℃に加熱した恒温槽の中に
入れレジスト剤を安定させる。レジスト剤としては、プ
ラズマドライエッチングに対して耐性のあるAZ−13
50J(ポジ型)ONNR−20(ネガ型)等が考えら
れる。
【0033】次いで、レジスト剤の安定化後、図10
(d)に示すように、所定パターンが書き込まれたガラ
ス板16を置き、レジスト15にガラス板16を通して紫外線
を照射する。詳しくは、ガラス板16には、紫外線を透過
させない材料16aが選択的に塗られており、この材料16
aが塗られた部分と塗られていない部分、すなわち、紫
外線を透過させない部分と紫外線を透過させる部分によ
り上述の所定パターンが形成されている。図10(d)
〜図15(u)は一つのピットに相当する部分のみを示
している。図10(d)の一つのピットに相当する部分
には、紫外線を透過させる部分を2箇所以上設けて互い
に離隔させている。したがって、紫外線を透過させる部
分に対応する2箇所のレジストだけが選択的に紫外線に
より照射され、光化学反応を起こす。なお、光源として
は、紫外線の他に可視光や電子線あるいはx線等が使用
される。フォトレジストには紫外線露光により光不溶化
反応を起すネガ型のものと、光可溶化反応を起すポジ型
のものとが在るが、ここでは、後者を使用した例につい
て説明する。
【0034】次いで、SiO2/Si基板14をレジスト1
5と共に現像液に浸して現像し、図11(e)に示すよ
うに、レジスト15の露光された部分のみを溶かし出して
SiO2/Si基板14から除去し、SiO2/Si基板14
の基板面を選択的に露出させる。この現像処理により生
じたSiO2/Si基板14の基板面のSiO2露出部およ
び非露出部によって形成されるパターンは上述のガラス
板16の所定パターンと同じであり、ガラス板16の所定パ
ターンが転写されたものである。
【0035】次いで、RIE装置、すなわち、リアクテ
ィブイオンエッチング装置により、図11(f)に示す
ようにSiO2層13の露出部分を除去して、浅い溝17を
形成する。RIE装置の代わりに電子サイクロトン共鳴
(ECR)エッチング装置や反応性イオンビームエッチ
ング装置等が知られている。詳しくは、SiO2/Si
基板14を入れた真空容器内にCF4ガスを供給し、CF4
をCF3とF*のプラズマ状態にし、この露出部分を気化
させる。CF4のF元素は非常に反応性に富みSiO2
も反応して結合する。反応式は次式に示される。
【0036】 4CF4+SiO2→4CF3↑+SiF4↑+O2↑ 上式に示すよう反応により生成される分子は室温で全
て気化し、気化した分子は真空ポンプにより真空容器か
ら排気される。なおエッチングガスとしてはCF4以外
にSF6やCF4にH2を加えたものが用いられる。次い
で、真空容器内にO2ガスを供給してプラズマを発生さ
せて、図11(g)に示すように、レジスト15を燃焼さ
せて除去する。また、レジスト15はレジスト15の剥
離液を用いて化学的に除去することも可能である。
【0037】次いで、図11(h)に示すように、Si
2/Si基板14を水酸化カリウム(KOH)水溶液18
に浸して反応させ、Si部12の露出部分を基板面に垂直
な方向にエッチングして、言いかえれば、浅い溝17をさ
らに深さ方向に拡大して、図12(i)に示すように、
SiO2/Si基板14に互いに離隔した一対の第1の溝1
9を形成する。このエッチング処理が異方性エッチング
処理である。詳しくは、水酸化カリウムを秤量してビー
カに入れ、44重量%濃度の溶液になるように、純水をメ
スシリンダで計量して両者を混ぜ合わせる。両者を混ぜ
合わせるとき発熱反応が生じるため、純水を静かに何回
かに分けてビーカに注ぎ入れた後、水を入れた大型のボ
ールにビーカを浸けて水酸化カリウム水溶液18の熱を除
去する。水酸化カリウムは親水性がよく容易に44重量%
濃度の水溶液を作ることができる。次いで、水酸化カリ
ウム水液18を大型平底ビーカ20に入れ、大型平底ビー
カ20をホットプレート付き溶液撹拌装置(図示しない)
の上に載せ、大型平底ビーカ20に攪拌子(図示しない)
を入れ、水酸化カリウム水溶液18の液温が80℃、攪拌子
の回転数が600rpmになるように設定して、SiO2
Si基板14を水酸化カリウム水溶液18に浸す。Si部12
の露出部分が所定の深さまでエッチングされた時点で、
SiO2/Si基板14を水酸化カリウム水溶液18から取
り出し、純水で洗浄して水酸化カリウム水溶液18を完全
に除去する。次いで、SiO2/Si基板14を加熱し乾
燥させて水分を除去し、光学顕微鏡でSiO2/Si基
板14のSiO2層13およびエッチング面等の状態を確認
する。なお、Siの単結晶のエッチングの速度比はその
結晶方向によって決まっており、<111>方向に対し<1
10>方向のエッチング速度比は500倍程度である。い
ま、Si基板の面を(110)面にとると、Si基板の厚
さ方向のエッチング速度は基板の厚さ方向に垂直な方向
のエッチング速度の約500倍である。したがって、Si
基板を厚さ方向に 500μmエッチングした場合、基板の
厚さ方向に垂直な方向にエッチングされる量は1.0μm
程度にできるため、異方性エッチングが可能になる。以
下に本実施例の異方性エッチングの条件を示す。
【0038】 エッチング溶液 :水酸化カリウム(KOH)水溶液 濃度 :44重量%濃度 エッチング温度 :80℃ エチャント回転数:600rpm エッチングレート:0.7〜 1.5μm/min なお、KOH等のアルカリ金属水酸化物の代りにエチレ
ンジアミン、ヒドラジン等のアミン系水溶液も使用でき
る。
【0039】上述の一連の工程が、保護被膜を形成した
異方性エッチング可能なSiO2/Si基板14に、フォ
トエッチングプロセスにより所定パターンの第1の溝19
を蝕刻形成する第1の工程に相当する。次いで、SiO
2/Si基板14を1000℃まで加熱した横型の環状炉内で
酸化させ、図12(j)に示すように、SiO2/Si
基板14全体をSiO2層13により覆う。
【0040】次いで、図12(k)に示すように、Si
2/Si基板14の基板面上に後述のレジスト剤からな
るレジスト26をスピンコーター等によりコーティングす
る。次いで、レジスト剤の安定化後、図12(l)に示
すように、所定パターンが書き込まれたガラス板27を置
き、レジスト26にガラス板27を通して紫外線を照射す
る。ガラス板27は図10(d)のガラス板16と同じよう
な構成になっており、ガラス板27の光を透過させる部分
は一対の第1の溝19の中間に1箇所設けられ、一対の第
1の溝19の両方に跨がるように延在している。
【0041】次いで、SiO2/Si基板14をレジスト2
6と共に現像液に浸して現像し、図13(m)に示すよ
うに、レジスト26の露光された部分のみを溶かし出して
SiO2/Si基板14から除去し、SiO2/Si基板14
の基板面を選択的に露出させる。次いで、前述のRIE
装置により、図13(n)に示すようにSiO2層13の
露出部分を除去する。
【0042】次いで、真空容器内にO2ガスを供給して
プラズマを発生させて、図13(o)に示すように、レ
ジスト26を燃焼させて除去する。次いで、図13(p)
に示すように、SiO2/Si基板14を水酸化カリウム
(KOH)水溶液18に浸して反応させ、Si部12の露出
部分を基板面に垂直な方向にエッチングして、図14
(q)に示すように、SiO2/Si基板14に第1の溝1
9より深い第2の溝29を形成する。なお、図13(p)
におけるSiO2層13の側壁13aはエッチング中に崩れ
て除去される。
【0043】図12(j)〜図14(q)に示される上
述の一連の工程が、第1の工程で形成された第1の溝19
内または溝19に隣接した所定部分(本実施例では隣接し
た所定部分)に、フォトエッチングプロセスにより第1
の溝19の深さと異なる深さを有する所定パターンの第2
の溝29を形成する第2の工程に相当する。ここに、第1
の溝内に第2の溝を形成する場合は、例えば、一対の第
1の溝を境界壁のない一つの大きな溝として形成して、
第1の溝内のほぼ中央に第2の溝を形成するようにす
る。
【0044】次いで、図14(r)に示すように、Si
2/Si基板14の溝19、29に磁性体21を埋め込む。磁
性体21の埋め込み方法として、以下の4通りの方法があ
る。第1の方法は、直径1〜5μmのフェライト磁性粉
を溝19に入れて、別個に用意されたSi基板で溝19、29
に蓋をして圧力を加え、フェライトのハード磁性粉の密
度を増大させる方法である。
【0045】第2の方法は、真空薄膜形成装置にSiO
2/Si基板14をセットし、ハードフェライト、CoC
rPt等のハード磁性体を被蒸着物質として真空成膜法
により、溝19、29に磁性体21を埋め込方法であり、通
常のスパッタ法と同じである。第3の方法は、磁気テー
プ、磁気ディスケット等に用いられる磁性粉を含む塗布
剤をSiO2/Si基板14の溝19、29に流し込み、揮発
性物質を気化させて磁性粉の体積比を高める方法であ
る。詳しくは、フェライトの磁性粉を有機系のバインダ
液に入れて磁性粉が均一に分布するように十分に混ぜ合
わせる。ただし、混合中に空気の混入による気泡が発生
しないように、十分注意する必要がある。また、磁性粉
の混合比が磁界強度の強さに大きく依存する。混ぜ合わ
せる体積比にほぼ比例して磁界強度が変化する。次い
で、磁性粉を混ぜ合わせたバインダ液をSiO2/Si
基板14の溝19、29に垂らして溝19、29からやや溢れるよ
うになるまで入れる。次いで、SiO2/Si基板14を
ホットプレートの上に載せ50℃程度に加熱してバインダ
液に含まれた揮発物質を気化させ、相対的に磁性粉の体
積比を増大させる。
【0046】第4の方法は電気メッキ法に溝19の中に金
属磁性体を折出させ、これを充填する。次いで、上述の
4つのうちの何れの方法においても、図14(r)に示
すように磁性体21の表面は凹凸が発生するため、図14
(s)に示すようにSiO2/Si基板14の基板面を研
磨し、平坦にする。
【0047】図14(r)(s)に示される上述の工程
が、第1の溝19および第2の溝29の中に磁性体21を埋め
込む第3の工程に相当する。次いで、図14(t)に示
すように、SiO2/Si基板14上にSiO2等からなる
保護膜22を形成する。詳しくは、CVD法(化学的気相
成膜法)により約1.0μmのSiO2膜をSiO2/Si
基板14上に形成したり、あるいは、薄いフィルムをSi
2/Si基板14に貼ったり樹脂や塗料等を塗布して保
護膜22を形成する。
【0048】次いで、磁性体21を着磁機により着磁す
る。詳しくは、図15(u)に示すように、基板面に沿
って延在する磁極間にSiO2/Si基板14を挟み、磁
性体21を基板面に垂直な方向の磁界により着磁する。以
上の工程により、図15(v)に示される磁気パターン
25が製造される。上述のような製造方法によれば、異方
性エッチング可能な基板材料に、フォトエッチングプロ
セスによって第1の溝19および第2の溝29を蝕刻形成
し、各溝に磁性体21を埋設しているので、高い精度を有
する磁気媒体を容易に製造することができ、またフォト
リソグラフィーのマスクパターンを交換するだけで、各
種高精度の磁気媒体が製造することができる。さらに磁
性体21を着磁する場合、磁性体21を一度に着磁すること
ができ、各工程においても一度に多数の基板材料を処理
することができ、さらにまた磁性体21を強い磁界で着磁
することができる。一方、第1の溝19および第2の溝29
の深さを異なるようにしているので、フォトリソグラフ
ィーのマスクパターンを変更したり、フォトエッチング
プロセスを追加することにより、前述の図1〜図9に示
される磁気媒体の製造方法に適用することができる。
【0049】次に、請求項6記載の発明に係る磁気媒体
の製造方法の一例として、上述の磁気媒体50と同じよう
な構成の磁気パターンの製造方法を図10〜図11
(g)、図16〜図20を参照しながら説明する。な
お、図16〜図19においても磁気媒体の一つのピット
近傍に相当する部分の断面を示している。まず、図10
〜図11(g)に示される工程と同一の工程により形成
されたSiO2/Si基板14上にほう素Bを熱拡散させ
る。熱拡散法には、大きく分けて気相拡散法と固相拡散
法との2種類があるが、ここでは、固相拡散法について
説明する。なお、不純物の導入方法としては他にイオン
打込み法等が知られている。詳しくは、固相熱拡散法に
よって、図16(a)に示すように、ほう素ガラス(B
23)81を堆積させる。例えば、図20に示すような熱
拡散炉100の反応室内にSiO2/Si基板14を入れ、不
純物の原材料であるガスB26と少量のO2をキャリア
ガスN2にのせて反応室内に送り込む。反応室内の温度
は900℃に保たれており、化学反応により、ほう素ガラ
ス81がSiO2/Si基板14上に堆積される。なお、図
20中、101はヒータ、102は流量調節弁、103はストッ
プ弁である。
【0050】上記熱拡散炉100の反応室内での反応式
は次式により表わされる。 2B26+6O2 → 2B23+6H2O ほう酸ガラス81を堆積させる工程はプレデポジション拡
散と呼ばれており、この工程中、少量のBはSiO2
Si基板14中に拡散するが、基板表面に高濃度で分布す
る。次いで、不純物ガス(B26)を止め、反応室内の
温度を1100℃に上げ、反応を進める。第2の反応は次の
反応式で示される。
【0051】 2B23+3Si → 4B+3SiO2 この第2の反応により、SiO2/Si基板14上のB2
3のBはSi部12中に拡散(ドライブ拡散)し、SiO2
はSiO2/Si基板14上に堆積し、Si部12の露出部
分がSiO2層13に覆われる。図16(b)はドライブ
拡散後の状態を示しており、図中の82はP型不純物が導
入されたP+層を示している。なお、本実施例ではP型
不純物を導入しているが、N型不純物を導入してもよ
い。
【0052】上述の図10〜図11(g)および図16
(a)(b)に示される工程が、保護被膜を形成した異
方性エッチング可能な基板材料に、P型およびN型のう
ちの少なくとも一方の不純物(本実施例ではP型)を所
定パターンで導入する第1の工程に相当する。次いで、
図16(c)に示すように、SiO2/Si基板14の基
板面上にレジスト剤からなるレジスト83をスピンコータ
ー等によりコーティングし、約100℃に加熱した恒温槽
の中に入れレジスト剤を安定させる。次いで、レジスト
剤の安定化後、図16(d)に示すように、所定パター
ンが書き込まれたガラス84を置き、レジスト83にガラス
板86を通して紫外線を照射する。ガラス板86の紫外線を
透過させる部分は一対のP+層82の中間で両層に跨がる
ようにして形成されている。
【0053】次いで、SiO2/Si基板14をレジスト8
3と共に現像液に浸して現像し、図17(e)に示すよ
うに、レジスト83の露光された部分のみを溶かし出して
SiO2/Si基板14から除去し、SiO2/Si基板14
の基板面を選択的に露出させる。次いで、RIE装置に
より、図17(f)に示すようにSiO2層13の露出部
分を除去する。
【0054】次いで、真空容器内にO2ガスを供給して
プラズマを発生させて、図17(g)に示すように、レ
ジスト83を燃焼させて除去する。次いで、図17(h)
に示すように、SiO2/Si基板14を水酸化カリウム
(KOH)水溶液18に浸して反応させ、Si部12および
+層82の両方の露出部分を基板面に垂直な方向にエッ
チングして、第1の溝87を形成する。なお、このエッチ
ングはP型不純物のドーピングの影響を受けない。
【0055】次いで、図18(i)に示すように、干渉
弗酸88でSiO2層13を除去する。次いで、図18
(j)に示すように、弗酸、硝酸および酢酸の混合液89
により、BをドーピングしたP+層だけをエッチング
し、図18()に示すように第2の溝90を形成する。
上述の図16(c)〜図18()に示される工程が、
フォトエッチングプロセスを用い、基板材料中の不純物
導入部分と非導入部分との境界の近傍を蝕刻することに
より所定パターンの第1の溝を形成し、基板材料中の不
純物導入部分のみを蝕刻することにより第1の溝の深さ
と異なる深さを有する所定パターンの第2の溝を形成す
る第2の工程に相当する。
【0056】次いで、図18(l)に示すように、Si
2/Si基板14の溝87、90に磁性体91を埋め込む。磁
性体91の埋め込み方法は、前述した方法と同様の方法を
とる。この図18(l)に示される工程が、第1の溝お
よび第2の溝の中に磁性体を埋め込む第3の工程に相当
する。次いで、図19(m)に示すように、SiO2
Si基板14の基板面を研磨し、磁性体91の凹凸を平坦に
する。
【0057】図18(l)、図19(m)に示される上
述の工程が、第1の溝87および第2の溝90の中に磁性体
91を埋め込む第3の工程に相当する。次いで、図19
(n)に示すように、SiO2/Si基板14上にSiO2
等からなる保護膜92を形成する。次いで、磁性体91を着
磁機により着磁する。詳しくは、図19(o)に示すよ
うに、基板面に沿って延在する磁極間にSiO2/Si
基板14を挟み、磁性体91を基板面に垂直な方向の磁界に
より着磁する。
【0058】以上の工程により、図15に示される磁気
パターン25とほぼ同様の磁気パターンが製造される。上
述の製造方法によれば、異方性エッチング可能な基板材
料に、P型およびN型のうちの少なくとも一方の不純物
(本実施例ではP型)を所定パターンで導入した後、第
1および第2の溝87、90を形成し、各溝87、90に磁性体
91を埋設しているので、高い精度を有する磁気媒体を容
易に製造することができ、またフォトリソグラフィーの
マスクパターンを交換するだけで、各種高精度の磁気媒
体を製造することができる。さらに磁性体91を着磁する
場合、一度に着磁することができ、各工程においても一
度に多数の基板材料を処理することができ、さらにまた
磁性体を強い磁界で着磁することが可能になる。一方、
第1の溝87および第2の溝90の深さを異なるようにして
いるので、一方、第1の溝87および第2の溝90の深さを
異なるようにしているので、フォトリソグラフィーのマ
スクパターンを変更したり、エッチングプロセスを追加
したりすることにより、前述の図1〜図9に示される磁
気媒体の製造方法に適用することができる。
【0059】なお、請求項5記載の磁気媒体の製造方法
における第1の溝19、第2の溝29および請求項6記載の
磁気媒体の製造方法における第1の溝87、第2の溝90の
断面形状、形成順序、溝深さ等は上述の実施例に限定さ
れるものではない。
【0060】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、基板に形
成されたピットに磁性体を埋設させているので、磁性体
を強い磁界で着磁することができ、また分解能の精度を
向上することができ、ピットに埋設された磁性体を一度
に着磁することができる。また一方、ピットに段差を設
けているので、磁性体の厚さを段階的に変化させること
ができ、段差の数や位置を適当に設定することによっ
て、磁性体を着磁した場合、磁界強度分布を任意に設定
することができる。
【0061】請求項2記載の発明によれば、基板に形成
されたピットに磁性体を埋設させ、ピットを構成する複
数の溝のうち少なくとも一つの溝の深さを残りの溝の深
さと異なるようにしているので、請求項1記載の発明に
よる効果と同様の効果を得ることができる。請求項3記
載の発明によれば、磁気パターンとして用いられる磁気
媒体において、ピットの深さをピットの所定断面の中央
に向うにしたがって段階的に大きくしているので、請求
項1記載の発明による効果に加え、磁性体の厚さを中央
に向うにしたがって段階的に大きくすることができ、磁
性体を着磁した場合、磁界強度の分布を均一にすること
ができる。
【0062】請求項4記載の発明によれば、磁気パター
ンとして用いられる磁気媒体において、ピットを構成す
る3個以上の溝のうち中央寄りの溝の深さを大きくして
いるので、請求項1記載の発明による効果に加え、磁性
体の厚さを中央に向うにしたがって断続的に大きくする
ことができ、磁性体を着磁した場合、磁界強度の分布を
均一にすることができる。
【0063】請求項5記載の発明によれば、異方性エッ
チング可能な基板材料に、フォトエッチングプロセスに
よって第1の溝および第2の溝を蝕刻形成し、各溝に磁
性体を埋設しているので、高い精度を有する磁気媒体を
容易に製造することができ、またフォトリソグラフィー
のマスクパターンを交換するだけで、各種高精度の磁気
媒体が製造することができる。さらに磁性体を着磁する
場合、一度に着磁し、各工程においても一度に多数の基
板材料を処理することができ、また磁性体を強い磁界で
着磁することができる。また一方、第1の溝および第2
の溝の深さを異なるようにしているので、請求項1〜請
求項4記載の発明に係る磁気媒体の製造方法に適用する
ことができる。
【0064】請求項6記載の発明によれば、異方性エッ
チング可能な基板材料に、P型およびN型のうちの少な
くとも一方の不純物を所定パターンで導入した後、互い
に深さの異なる第1および第2の溝を形成し、各溝に磁
性体を埋設しているので、請求項5記載の発明による効
果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明に係る磁気媒体の一実施例
を示す断面図である。
【図2】図1におけるピットの他の実施態様を示す断面
図である。
【図3】図1における磁性体の厚さが均一である場合の
作用説明図である。
【図4】図1における磁性体の厚さが変化している場合
の作用説明図である。
【図5】請求項2記載の発明に係る磁気媒体の一実施例
を示す断面図である。
【図6】請求項3記載の発明に係る磁気媒体の一実施例
を示す断面図である。
【図7】図6におけるK−K矢視断面図である。
【図8】図7におけるピットの他の実施態様を示す断面
図である。
【図9】請求項4記載の発明に係る磁気媒体の一実施例
を示す断面図である。
【図10】請求項5記載の発明に係る磁気媒体の製造方
法における最初の工程を示す図であり、(a)は基板の
準備工程、(b)は第1SiO2層形成工程、(c)は
第1レジストコーティング工程、(d)は第1露光工程
を示す。
【図11】図10に示される工程の次の工程を示す図で
あり、(e)は第1現像工程、(f)は第1ドライエッ
チング工程、(g)は第1レジスト除去工程、(h)は
第1ウエットエッチング工程を示す。
【図12】図11に示される工程の次の工程を示す図で
あり、(i)はウエットエッチング後の基板断面、
(j)は第2SiO2層形成工程、(k)は第2レジス
トコーティング工程、(l)は第2露光工程を示す。
【図13】図12に示される工程の次の工程を示す図で
あり、(m)は第2現像工程、(n)は第2ドライエッ
チング工程、(o)は第2レジスト除去工程、(p)は
第2ウエットエッチング工程を示す。
【図14】図13に示される工程の次の工程を示す図で
あり、(q)はウエットエッチング後の基板断面、
(r)は磁性体埋設工程、(s)は基板表面研磨工程、
(t)は保護膜形成工程を示す。
【図15】図14に示される工程の次の工程を示す図で
あり、(u)は着磁工程、(v)は製造された磁気媒体
を示す。
【図16】請求項6記載の発明に係る磁気媒体の製造方
法における最初の工程を示す図であり、(a)はほう素
ガラス堆積工程、(b)はドライブイン拡散工程、
(c)はレジストコーティング工程、(d)は露光工程
を示す。
【図17】図16に示される工程の次の工程を示す図で
あり、(e)は現像工程、(f)はドライエッチング工
程、(g)はレジスト除去工程、(h)はウエットエッ
チング工程を示す。
【図18】図17に示される工程の次の工程を示す図で
あり、(i)はSiO2層除去工程、(j)はP+層エッ
チング工程、(k)はP+層エッチング後の基板断面、
(l)は磁性体埋設工程を示す。
【図19】図18に示される工程の次の工程を示す図で
あり、(m)は基板表面研磨工程、(n)は保護膜形成
工程、(o)は着磁工程を示す。
【図20】図16(a)におけるほう素ガラスの堆積工
程に用いられる熱拡散炉を示す図。
【図21】従来の磁気パターンの製造装置を示す図。
【符号の説明】
30、40、50、60 磁気媒体 31、41、51、61 基板 32、42、52、61 磁性体 33、43、53、63 ピット 33a、53a、53b 段差 43a、43b、63a、63b、63c 溝 14 SiO2/Si基板(保護被膜を形成した異方性エッ
チング可能な基板材料)1 19 第1の溝 29 第2の溝 21 磁性体 82 P+層(P型不純物の導入部) 87 第1の溝 90 第2の溝 91 磁性体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // G11B 5/80 G11B 5/80 5/84 5/84 Z H03M 1/24 H03M 1/24 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 41/14 G01B 7/00 G01D 5/245 H02K 33/16 G11B 5/80 G11B 5/84 H03M 1/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピットを有する基板と、前記ピットに埋
    設された磁性体と、を備えた磁気媒体であって、前記ピ
    ットに段差を形成したことを特徴とする磁気媒体。
  2. 【請求項2】 ピットを有する基板と、前記ピットに埋
    設された磁性体と、を備えた磁気媒体であって、前記ピ
    ットが互いに近接した複数の溝から構成され、複数の溝
    のうち少なくとも一つの溝の深さが残りの溝の深さと異
    なることを特徴とする磁気媒体。
  3. 【請求項3】 所定パターンに配置されたピットを有す
    る基板と、前記ピットに埋設された磁性体と、を備え、
    磁気パターンとして用いられる磁気媒体であって、前記
    ピットの深さがピットの所定断面の中央に向うにしたが
    って段階的に大きくなるように、ピットに複数の段差を
    形成したことを特徴とする磁気媒体。
  4. 【請求項4】 所定パターンに配置されたピットを有す
    る基板と、前記ピットに埋設された磁性体と、を備え、
    磁気パターンとして用いられる磁気媒体であって、前記
    ピットが互いに近接して並ぶ3個以上の溝から構成さ
    れ、前記3個以上の溝のうち中央寄りの溝の深さが大き
    くなるようにしたことを特徴とする磁気媒体。
  5. 【請求項5】保護被膜を形成した異方性エッチング可能
    な基板材料に、フォトエッチングプロセスにより所定パ
    ターンの第1の溝を蝕刻形成する第1の工程と、第1の
    工程で形成された第1の溝内または該溝に隣接した所定
    部分に、フォトエッチングプロセスにより第1の溝の深
    さと異なる深さを有する所定パターンの第2の溝を形成
    する第2の工程と、第1の溝および第2の溝の中に磁性
    体を埋め込む第3の工程と、を有することを特徴とする
    磁気媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】保護被膜を形成した異方性エッチング可能
    な基板材料に、P型およびN型のうちの少なくとも一方
    の不純物を所定パターンで導入する第1の工程と、フォ
    トエッチングプロセスを用い、基板材料中の不純物導入
    部分と非導入部分との境界の近傍を蝕刻することにより
    所定パターンの第1の溝を形成し、基板材料中の不純物
    導入部分のみを蝕刻することにより第1の溝の深さと異
    なる深さを有する所定パターンの第2の溝を形成する第
    2の工程と、前記第1の溝および第2の溝の中に磁性体
    を埋め込む第3の工程と、を有することを特徴とする磁
    気媒体の製造方法。
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