JP3134229B2 - ラクトスクロース高含有粉末の製造方法とその粉末の用途 - Google Patents

ラクトスクロース高含有粉末の製造方法とその粉末の用途

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JP3134229B2
JP3134229B2 JP03067694A JP6769491A JP3134229B2 JP 3134229 B2 JP3134229 B2 JP 3134229B2 JP 03067694 A JP03067694 A JP 03067694A JP 6769491 A JP6769491 A JP 6769491A JP 3134229 B2 JP3134229 B2 JP 3134229B2
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孝輝 藤田
昌之 山下
保彦 恒富
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラクトスクロース高含
有粉末の工業的製造方法とその粉末の用途に関するもの
であり、更に詳細には、スクロースとラクトースとを含
有する水溶液に糖転移酵素を作用させ、得られるラクト
スクロース含有糖液から夾雑糖類を除去して糖組成で4
5W/W%以上のラクトスクロース高含有液とし、これ
を噴霧乾燥することを特徴とするラクトスクロース高含
有粉末の製造方法、およびその粉末を含有せしめた摂取
物に関する。
【0002】
【従来の技術】ラクトスクロースは、ガラクトース、グ
ルコースおよびフラクトースからなる三糖類であって、
その科学構造は、O−β−D−Gal−(1→4)−O
−α−D−Glc−(1←2)−β−D−Fru(ただ
し、Galはガラクトース残基、Glcはグルコース残
基、Fruはフラクトース残基を示す。)である。本物
質は、昭59年特許出願公告第53835号公報に記載
されているようにビフィズス菌用選択糖源としてきわめ
て有用な糖質であることが知られている。
【0003】その製造方法は、スクロースとラクトース
とを含有する水溶液にフラクトース転移酵素やガラクト
ース転移酵素などの糖転移酵素を作用させて生成される
ことが知られており、フラクトース転移酵素としては、
例えば、昭和57年特許出願公告第58905号公報お
よび昭和59年特許出願公告第53835号公報に記載
されているバチルス(Bacillus)属、アエロバ
クター(Aerobacter)属などに属する微生物
由来のレバンスクラーゼが、更には、本発明者等が平成
1年6月26日付で出願した平成1年特許願第1606
60号明細書に記載したアルスロバクター(Arthr
obacter)属に属する微生物、例えば、アルスロ
バクター・エスピー(Arthrobacter s
p.)K−1(FERM PB−3192)由来のβ−
フラクトフラノシダーゼなどが有利に利用され、また、
ガラクトース転移酵素としては、例えば、カナディアン
・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Canadian
Journalof Chemistry)、第43
巻、第2259乃至2264頁(1965年)や昭和6
4年特許出願公開第85090号公報などに記載されて
いるスポロボロマイセス(Sporoboromyce
s)属に属する微生物および平成2年特許出願公開第3
5095号公報に記載されているローネラ(Rahne
lla)属に属する微生物などに含まれており、これら
微生物菌体またはその抽出物などが有用に利用される。
【0004】しかしながら、スクロースとラクトースと
を含有する水溶液にこれらの糖転移酵素を作用させて生
成されるラクトスクロースは、糖組成で、通常、5乃至
30%程度含まれているものの、これをそのまま乾燥、
粉末化しても、きわめて吸湿し易く、容易に固結し、流
動性を失う不安定な粉末しか得られないことが判明し
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ラクトスクロースをビ
フィズス菌糖源として広範な摂取物に利用する上で、ラ
クトスクロースを含有する安定な粉末の工業的製造方法
を確立することが強く望まれている。しかしながら、そ
の製造方法は未だ確立されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、糖転移酵
素で生成せしめたラクトスクロースを含有する糖液から
ラクトスクロースを含有する安定な粉末の工業的製造方
法について鋭意研究した。
【0007】その結果、スクロースとラクトースとを含
有する水溶液に糖転移酵素を作用させ、得られるラクト
スクロース含有糖液から夾雑糖類を除去して糖組成で4
5W/W%以上のラクトスクロース高含有液とし、これ
を噴霧乾燥することによりラクトスクロースを含有した
安定な粉末が容易に大量製造しうることを見い出し、併
せて、本粉末を含有せしめることによりラクトスクロー
スを含有した各種経口または経管摂取物が容易に製造し
うることを見い出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は、まず、スクロースとラク
トースとを含有する水溶液に糖転移酵素を作用させラク
トスクロースを生成含有せしめた糖液を製造する。
【0009】この際、スクロースとラクトースとの比率
は、通常、約1:10乃至10:1の範囲、その濃度は
両者の合計で、通常、約10乃至60W/W%の範囲か
ら選ばれる。作用時のpHは、使用される糖転移酵素の
安定pH、至適pHなどが選ばれ、通常、pH3乃至9
の範囲から選ばれる。作用時の温度は、使用される糖転
移酵素の安定温度、至適温度などが選ばれ、通常、5乃
至70℃の範囲から選ばれる。
【0010】糖転移酵素としては、前記のフラクトース
糖転移酵素やガラクトース糖転移酵素を遊離状態で、ま
たは固定化状態で作用させればよく、この作用により、
ラクトスクロースを、糖組成で5乃至30W/W%程度
含有した糖液を得る。
【0011】次いで、本糖液のラクトスクロース含量を
高めるため、本糖液をそのままで、または常法に従い、
脱色、脱塩後、必要ならば濃縮した後、夾雑糖類を除去
する方法、例えば、アルカリ金属型またはアルカリ土類
金属型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマト
グラフィー、インベルターゼ欠損酵母を用いた発酵法に
より単糖類を除去する方法、溶解度の低いラクトースを
選択的に晶出させて除去する方法などの精製方法を一種
または二種以上併用することにより糖組成で45W/W
%以上のラクトスクロース高含有液を得る。
【0012】本発明で使用されるアルカリ金属型または
アルカリ土類金属型強酸性カチオン交換樹脂は、スルホ
ン基を結合したスチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合
体のNa+ 型、K+ 型などのアルカリ金属型、またはM
++型、Ca++型などのアルカリ土類金属型の一種また
は二種以上が適宜使用される。市販品としては、例えば
ダウケミカル社製造の商品名ダウエックス50WX1、
ダウエックス50WX2、ダウエックス50WX45
0、ローム・アンド・ハース社製造の商品名アンバーラ
イトCG−120、アンバーライトCG−6000、東
京有機化学工業株式会社製造の商品名アンバーライトX
T−1022E、アンバーライトXT−1007、三菱
化成工業株式会社製造の商品名ダイヤイオンSK1B、
ダイヤイオンSK102、ダイヤイオンSK104など
がある。
【0013】カラムクロマトグラフィーの方法をより具
体的に述べれば、アルカリ金属型またはアルカリ土類金
属型強酸性カチオン交換樹脂を水に懸濁してカラムに充
填し、樹脂層の全長を通常3m以上、望ましくは5m以
上になるようにする。このカラム内の温度を30乃至7
0℃に維持しつつ、これに濃度約40乃至70W/W%
とした原料のラクトスクロース含有糖液を樹脂に対して
約1乃至50V/V%加え、これに水をSV約0.1乃
至2.0の流速で上昇法または下降法により流して溶出
分画し、目的のラクトスクロース高含有画分を採取し
て、糖組成で45W/W%以上のラクトスクロース高含
有液を得る。
【0014】この際、ラクトスクロース高含有画分とは
別にラクトスクロース低含有画分を採取して、次回のク
ロマトグラフィーに際し、溶出水の一部をこのラクトス
クロース低含有画分に置換し、例えば、原料糖液、次い
でラクトスクロース低含有画分、更に、溶出水の順で流
して分画することにより、ラクトスクロース高含有液を
高濃度、高収率で採取することも有利に実施できる。
【0015】このようにして得られたラクトスクロース
高含有糖液をそのままで、または必要により、常法に従
って脱色、脱塩し、濃縮した後、噴霧乾燥することによ
り、ラクトスクロース高含有粉末を得る。噴霧乾燥の方
法としては、公知の回転円盤法、圧力ノズル法、二流体
ノズル法など各種噴霧乾燥方法が適宜選択できる。
【0016】このようにして得られた糖組成で45W/
W%以上のラクトスクロース高含有粉末は、注入角、排
出角、すべり角のいずれの点においても流動性良好で吸
湿性の低い安定な粉末であることが判明した。本粉末
は、そのままで、または適当な他の物質と配合して、粉
末状で、または必要に応じて、例えば、顆粒、球、短
棒、立方体、錠剤など各種形状に成形して、ビフィズス
菌選択糖源としてのみならず、甘味剤、賦形剤、安定
剤、増粘剤、糖質結晶防止剤、保湿剤、照り付与剤など
として各種の経口、経管摂取物に広範に利用できること
が判明した。
【0017】とりわけ、本粉末は、上品な甘味を有し、
その甘味度が砂糖の1/2程度で、酸味、塩から味、渋
味、旨味、苦味などの他の呈味を有する各種物質ともよ
く調和するので、通常の調味料、飲食物、嗜好物などに
ビフィズス菌選択糖源としてのみならず、甘味剤、呈味
改良剤などとしても有利に利用できる。
【0018】また、家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚な
どの飼育動物のために、飼料、餌料、ペットフードなど
にビフィズス菌選択糖源、嗜好性向上などの目的で使用
することもできる。
【0019】その他、内服薬、経管栄養剤、トローチ、
肝油ドロップ、生菌剤、整腸剤、口中清涼剤、口中香錠
など各種医薬品、化粧品などにビフィズス菌選択糖源、
甘味剤、矯味剤、賦形剤、安定剤、増粘剤などとして有
利に利用できる。
【0020】以上、述べたように、本発明でいう摂取物
とは、本発明のラクトスクロース高含有粉末を含有せし
めた甘味剤、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、医薬品、化
粧品など経口または経管使用されるもの全般を意味す
る。
【0021】また、本発明でいうラクトスクロース高含
有粉末を含有せしめるとは、摂取物の製造が完了するま
での工程で、本ラクトスクロース高含有粉末が摂取物に
含有せしめられればよく、その方法としては、例えば、
混和、混捏、溶解、浸漬、散布、塗布、噴霧、注入など
の公知の方法が適宜選ばれる。
【0022】このようにして得られたラクトスクロース
高含有粉末を含有せしめた各種経口または経管摂取物が
ビフィズス菌選択糖源として使用される場合には、ヒト
または動物の体重kg当り、1日につきラクトスクロー
スとして通常0.01乃至5.0gから選ばれる量を摂
取すればよく、望ましくは、この量を連日または隔日に
摂取するのが好適である。この場合、ラクトスクロース
は、小腸までは実質的に消化吸収されず、主として大腸
においてビフィズス菌がそれを選択的に資化し増殖す
る。
【0023】従って、ラクトスクロースは、その摂取に
より血糖値の上昇がほとんど見られず、インシュリンの
分泌を刺激せず、実質的に低カロリー、またはダイエッ
ト甘味料と言える。通常、得られる摂取物に高いビフィ
ズス菌選択増殖効果を期待するには、ラクトスクロース
高含有粉末をラクトスクロースとして約0.1W/W%
以上望ましくは0.5W/W%以上含有せしめるのが好
適である。
【0024】ビフィズス菌の選択的増殖は、酢酸、乳酸
などの有機酸を生成して大腸内のpHを下げ、自発性感
染症の原因となる細菌や腐敗細菌などの有害菌の生育を
抑制する。また、腐敗細菌が産生するアンモニア、イン
ドール、クレゾールなどの有害物質の発生をも抑制す
る。加えて、腸を適度に刺激し、蠕動運動を適度に促進
し、整腸作用を示す。
【0025】これらの作用から、ラクトスクロース高含
有粉末またはこれを含有せしめた各種摂取物は、美容、
健康の維持、増進に寄与できるだけでなく、糖尿病、高
血圧、大腸癌など成人病の予防、病中、病後の回復促
進、高アンモニア血症、肝性脳症などの治療、予防など
に有利に利用できる。また、家畜、家禽などの飼育動物
の感染予防、下痢予防、食欲増進、肥育促進、産卵助
長、糞便の悪臭抑制などにも有利に利用できる。
【0026】以下、本発明を実験で明らかにする。
【0027】実験 1 糖転移酵素によるラクトスク
ロース含有糖液の調整 実験1−1 レバンスクラーゼの調製 脱脂大豆 3W/V%、グルコース 2W/V%、スク
ロース 4W/V%、(NH42HPO4 0.6W/
V%、MgSO4・7H2O 0.03W/V%、KC
10.02W/V%、酢酸カルシウム 0.02W/V
%、MnSO4・4H2O 0.001W/V%、水道水
からなる液体培地60LをpH7.0に補正し、120
℃に20分間保って滅菌した後、バチルス・ズブチリス
(Bacillus subtilis)ATCC60
51を植菌し、37℃で3日間通気撹拌培養した。培養
終了後、培養液を遠心分離して上清を採取し、これに冷
エタノールを等容量添加し、生じた沈澱を遠心分離して
採取し、次いで1mM塩化カルシウムを含有する20m
M酢酸塩緩衝液(pH5.0)に溶解し、この溶液を同
じ緩衝液で一夜透析し、遠心分離した上清をDEAE−
セルロースを充填したカラムに流し、レバンスクラーゼ
を吸着させ、同じ塩緩衝液で洗浄後1MNaClを含有
する同じ酢酸塩緩衝液で溶出し、この溶出液を硫安90
%飽和とし、生じた沈殿物を遠心分離にて採取し、同じ
酢酸塩緩衝液500mLに溶解してレバンスクラーゼ液
とした。本酵素液は約120単位/mLの活性を示し
た。
【0028】レバンスクラーゼの活性測定方法は次の通
りである。10W/V%スクロース、50mMリン酸塩
緩衝液、pH7.0およびレバンスクラーゼを含有する
全量2mLの反応液を30℃に保つ。30分後にこの反
応液を加熱して酵素を失活させ、生じたグルコース量を
グルコースオキシダーゼ法で測定する。レバンスクラー
ゼ1単位は、この条件で1分間当りグルコースを1μモ
ル生じる酵素量と定義する。
【0029】実験1−2 ラクトスクロース含有糖液の
調製 スクロース5重量部とラクトース3重量部とを水9重量
部に加熱溶解した後、40℃に冷却し、これに実験1−
1の方法で調製したレバンスクラーゼをスクロースg当
り1単位の割合で加え、40℃、pH7.0に保って2
4時間反応させた後、酵素を加熱失活させ、濾過し、濾
液を常法に従って、活性炭で脱色し、次いで、H型およ
びOH型イオン交換樹脂で脱塩し、濃縮して濃度約60
W/W%の糖液を得た。本糖液は、グルコース、フラク
トース、スクロース、ラクトース、ラクトスクロースな
どの糖混合液で、このうち、ラクトスクロースについて
は糖組成で約25W/W%含有しており、これをそのま
ま噴霧乾燥しても吸湿性のきわめて強い不安定な粉末し
か得られなかった。
【0030】実験 2 ラクトスクロース含有粉末の
ラクトスクロース含量とその安定性に及ぼす影響 原料のラクトスクロース含有糖液は実験1−2で調整し
たものを用いた。分画用樹脂は、アルカリ金属型強酸性
カチオン交換樹脂(東京有機化学工業株式会社製造、商
品名アンバーライトXT−1007、Na+ 型、架橋度
6%)を使用し、内径5.4cmのジャケット付きステ
ンレス製カラムに水懸濁液で充填し、その液が直列に流
れるようにカラム2本を連結して樹脂層全長を10mと
した。カラム内温度を55℃に維持しつつ、原料糖液を
樹脂に対して5V/V%加え、これに55℃の温水をS
V0.5で流して分画し、各種含量のラクトスクロース
高含有液を得、これを常法に従って、脱色、脱塩した
後、濃縮し、噴霧乾燥して、水分2W/W%未満の粉末
を得た。各種含量のラクトスクロース粉末をアルミ製容
器にとり、相対湿度50%、温度25℃の環境に2日間
放置して、その吸湿の程度(重量増加)、流動性の可
否、固結の有無を観察した。更に流動性の程度を定量的
に把握するため、各種安息角、即ち注入角、排出角およ
びすべり角を測定した。注入角は円筒部の直径110m
m、高さ20mm、円錐部の高さ100mm、排出口の
直径10mmのポリエチレン製ロートを排出口のレベル
で80mmの高さに保持し、ロートに充満した各種含量
のラクトスクロース粉末を自然落下させた時の落下物の
角度を測定して求めた。排出角は、直径80mm、高さ
40mm、底部に直径25mmの開口部を持つポリエチ
レン製円筒容器に充満した各種含量のラクトスクロース
粉末が、底部の開口部より排出した後に作る残部のラク
トスクロース粉末の角度を測定して求めた。すべり角
は、長さ95mm、幅40mm、厚さ5mmのガラス板
に、各種含量のラクトスクロース粉末10gを載せて徐
々に傾けてゆき、ラクトスクロース粉末がすべりはじめ
る角度を測定して求めた。結果は表にまとめた。
【0031】
【表1】
【0032】表からも明らかなように、糖組成で45W
/W%以上のラクトスクロース高含有粉末は、吸湿性が
低く、安定性良好で、その取扱いの容易なことが判明し
た。
【0033】実験 3 ラクトスクロース高含有粉末
がヒト腸内菌叢に及ぼす影響 ラクトスクロース高含有粉末が、生体内において、ビフ
ィズス菌選択糖源として有用であることを確かめるた
め、健常被験者2名(いずれも47才男性)に対し、実
験2の方法で得た糖組成でラクトスクロース約55%含
有粉末を1日につき20gを3乃至4回に分けて10日
間連日経口投与した。菌叢の検索は、糞便試料を採取後
直ちに1g秤取し、希釈液9mL中に入れ、光岡知足
著、「腸内菌の世界(嫌気性の分離と固定)」第53乃
至65頁、叢文社(1984年)に記載される方法に従
って、菌群レベルで検索を行った。菌叢の検索は、投与
前に1または2回、投与期間中に5日目と10日目の2
回、投与中止後に1または2回行った。
【0034】結果は、2名の被験者それぞれについて、
第1図および第2図として示した。両図から明らかなよ
うに、ラクトスクロース高含有粉末の投与は、菌叢に大
きな影響を与え、特にビフィズス菌(ビフィドバクテリ
ウム菌群)の増加とバクテロイダッセ菌群の減少を起こ
した。
【0035】この結果、ビフィズス菌の全菌叢に占める
割合が、10日間連日投与で、第1図の被験者では1.
20%から70.22%に、第2図の被験者では16.
96%が93.44%にも高まった。また、全試験期間
を通じて、腹痛、下痢、鼓腸、便秘、不快感などの腹部
症状は起こらなかった。
【0036】従って、本発明のラクトスクロース高含有
粉末は、ヒフィズス菌選択糖源として有利に利用でき
る。
【0037】以下、実施例Aでラクトスクロース高含有
粉末を、実施例Bでその粉末を利用した各種摂取物を述
べる。
【0038】実施例A−1 ラクトスクロース高含有
粉末 スクロース3重量部とラクトース3重量部とを水10重
量部に加熱溶解した後、40℃に冷却し、これに実験1
−1の方法で調整したレバンスクラーゼをスクロースg
当り1.5単位の割合で加え、40℃、pH6.0に保
って16時間反応させた後、酵素を加熱失活させ、濾過
し、濾液を常法に従って、活性炭で脱色し、次いで、H
型およびOH型イオン交換樹脂で脱塩し、濃縮して濃度
約50W/W%の糖液を得た。本糖液は、糖組成で約3
0W/W%のラクトスクロースを含有していた。
【0039】分画用樹脂は、アルカリ金属型強酸性カチ
オン交換樹脂(ダウケミカル社製造、商品名ダウエック
ス50WX4、K+ 型、架橋度4%)を使用し、内径
5.4cmのジャケット付きステンレス性カラムに水懸
濁液で充填し、その液が直列に流れるようにカラム4本
を連結して樹脂層全長を8mとした。カラム内温度を6
0℃維持しつつ、原料糖液を樹脂に対して約10V/V
%加え、これに60℃の温水をSV約0.3で流して分
画し、糖組成でラクトスクロース約50W/W%含有液
を得、これを常法に従って脱色、脱塩した後、濃縮し、
噴霧乾燥して、水分2W/W%未満の粉末を収率約50
%で得た。
【0040】本ラクトスクロース高含有粉末は、吸湿性
が低く、流動性、安定性良好な粉末でその取扱いは容易
である。
【0041】本品は、そのままで、または適当な他の物
質と配合して、ビフィズス菌選択糖源としてのみなら
ず、甘味剤、賦形剤、増粘剤などとして各種経口または
経管摂取物に有利に利用できる。
【0042】実施例A−2 ラクトスクロース高含有
粉末 実施例A−1の方法で得たラクトスクロース約30W/
W%含有糖液を、分画用樹脂として、アルカリ土類金属
型強酸性カチオン交換樹脂(三菱化成工業株式会社製
造、商品名ダイヤイオンSK104、Ca++型、架橋度
4%)を使用した以外は、実施例A−1と同様に分画
し、糖組成でラクトスクロース約75W/W%含有液を
得、脱色、脱塩した後、濃縮し、噴霧乾燥して、水分2
W/W%未満の粉末を収率約30%で得た。
【0043】本ラクトスクロース高含有粉末は、吸湿性
が低く、流動性、安定性良好な粉末でその取扱いは容易
である。
【0044】本品は、実施例A−1の場合と同様に、そ
のままで、または適当な他の物質と配合して、ビフィズ
ス菌選択糖源としてのみならず、甘味剤、安定剤、賦形
剤、増粘剤などとして各種経口または経管摂取物に有利
に利用できる。
【0045】実施例A−3 ラクトスクロース高含有
粉末 (1)普通寒天斜面培地にアルスロバクター・エスピー
(Arthrobacter sp.)K−1(FER
M PB−3192)を接種し、37℃で2日間培養
後、その一白金耳をとり、酵母エキス 1.2W/V
%、ポリペプトン0.8W/V%、可溶性澱粉 4W/
V%、(NH42HPO4 0.4W/V%、MgSO4
・7H2O 0.1W/V%、水道水からなる液体培地
(pH7.0)を500mL容振盪フラスコに60mL
ずつ分注、滅菌したものに植菌し、37℃で5日間振盪
培養した。培養終了後、培養液を遠心分離し、β−フラ
クトフラノシダーゼを含む上清を約1.1L得た。本酵
素液は約30単位/mLのβ−フラクトフラノシダーゼ
活性を示した。
【0046】β−フラクトフラノシダーゼの活性測定方
法は次の通りである。40%キシロースを含む20%シ
ョ糖溶液(500mMリン酸緩衝液、pH6.5)20
0μLに適宜希釈した酵素液200μLを加え、40
℃、10分間作用させた後、反応液の一部を沸騰水に入
れ、酵素を熱失活させた後、遊離するグルコースおよび
フラクトース量をF−1キット(ベーリンガー・マンハ
イム・山之内株式会社販売の商品名)で求め、グルコー
ス量からフラクトース量を差し引き、転移したフラクト
ース量を算出する。1単位は、1分間当りフラクトース
を1μモル転移する酵素量と定義する。
【0047】(2)スクロース1重量部とラクトース1
重量部とを水3重量部に加熱溶解した後、50℃に冷却
し、これに(1)の方法で調整したβ−フラクトフラノ
シダーゼをスクロースg当り5単位の割合で加え、50
℃、pH6.5に保って5時間反応させた後、酵素を失
活させ、濾過し、濾液を常法に従って、脱色、脱塩し、
濃縮して濃度約60W/W%の糖液を得た。本糖液は、
糖組成で約30W/W%のラクトスクロースを含有して
いた。
【0048】本糖液を、分画用樹脂として、実施例A−
2で用いた樹脂をアルカリ土類金属型(Mg++型)に変
えた以外は、実施例A−1と同様に分画し、糖組成でラ
クトスクロース約55W/W%含有液を得、更に同様に
精製、濃縮し、噴霧乾燥して、水分2W/W%未満の粉
末を収率約45%で得た。
【0049】本ラクトスクロース高含有粉末は、吸湿性
が低く、流動性、安定性良好な粉末でその取扱いは容易
である。
【0050】本品は、実施例A−1の場合と同様に、そ
のままで、または適当な他の物質と配合して、ビフィズ
ス菌選択糖源としてのみならず、甘味剤、安定剤、賦形
剤、増粘剤などとして各種経口または経管摂取物に有利
に利用できる。
【0051】実施例A−4 ラクトスクロース高含有
粉末 実施例A−3の方法で得たラクトスクロース約30W/
W%含有糖液を、分画用樹脂として、アルカリ金属型強
酸性カチオン交換樹脂(ローム・アンド・ハース社製
造、商品名アンバーライトCG−6000、Na+ 型、
架橋度6%)を使用した以外は、実施例A−1と同様に
分画し、糖組成でラクトスクロース約70W/W%含有
液を得、更に同様に精製、濃縮し、噴霧乾燥して、水分
2W/W%未満の粉末を収率約35%で得た。
【0052】本ラクトスクロース高含有粉末は、吸湿性
が低く、流動性、安定性良好な粉末でその取扱いは容易
である。
【0053】本品は、実施例A−1の場合と同様に、そ
のままで、または適当な他の物質と配合して、ビフィズ
ス菌選択糖源としてのみならず、甘味剤、安定剤、賦形
剤、増粘剤などとして各種経口または経管摂取物に有利
に利用できる。
【0054】実施例A−5 ラクトスクロース高含有
粉末 スクロース1重量部とラクトース1重量部とを水2重量
部に加熱溶解した後、50℃に冷却し、これに実施例A
−3(1)の方法で調整したβ−フラクトフラノシダー
ゼをスクロースg当り8単位の割合で加え、50℃、p
H6.0に保って20時間反応させ、次いで、酵素を失
活させ、濾過し、濾液を得た。
【0055】本液には、糖組成で約35W/W%のラク
トスクロースの他、夾雑糖類として、グルコース、フラ
クトースなどの単糖類、ラクトース、スクロースなどの
オリゴ糖類を含んでいた。
【0056】本液を糖濃度約30W/W%に調整し、こ
れにインベルターゼ欠損酵母(オリエンタル酵母株式会
社製造、水分約65%)を糖固形物当り5W/W%加
え、pH6.5乃至7.0、温度30℃で24時間保
ち、糖液に含まれる単糖類を発酵消化して、糖組成でラ
クトスクロース約46W/W%含有液とし、次いで、常
法に従って、脱色、脱塩し、更に、濃縮、噴霧乾燥し
て、水分3%未満の粉末を収率約64%で得た。
【0057】本ラクトスクロース高含有粉末は、吸湿性
が低く、流動性、安定性良好な粉末で、その取り扱いは
容易である。
【0058】本品は、実施例A−1の場合と同様に、そ
のままで、または適当な他の物質と配合して、ビフィズ
ス菌選択糖源としてのみならず、甘味剤、安定剤、賦形
剤、増粘剤などとして各種経口または経管摂取物に有利
に利用できる。
【0059】実施例A−6 ラクトスクロース高含有
粉末 実施例A−5の方法で得たラクトスクロース約35W/
W%含有糖液を、濃度約78W/W%に濃縮し、50℃
で、種晶として結晶ラクトースの少量を加え、30℃ま
で徐冷、撹拌しつつ、ラクトースを晶出させ、次いで、
遠心分離および濾過して結晶ラクトースを除去し、糖組
成でラクトスクロース約46W/W%含有液とし、次い
で、常法に従って、脱色、脱塩し、更に、濃縮し、噴霧
乾燥して、水分3%未満の粉末を収率約66%で得た。
【0060】本ラクトスクロース高含有粉末は、吸湿性
が低く、流動性、安定性良好な粉末で、その取扱いは容
易である。
【0061】本品は、実施例A−1の場合と同様に、そ
のままで、または適当な他の物質と配合して、ビフィズ
ス菌選択糖源としてのみならず、甘味剤、安定剤、賦形
剤、増粘剤などとして各種経口または経管摂取物に有利
に利用できる。
【0062】実施例A−7 ラクトスクロース高含有
粉末 スクロース4重量部とラクトース5重量部とを水13.
5重量部に加熱溶解した後、55℃に冷却し、これに実
施例A−3(1)の方法で調整したβ−フラクトフラノ
シダーゼをスクロースg当り10単位の割合で加え、5
5℃、pH6.5に保って15時間反応させ、次いで、
酵素を失活させ、濾過し、濾液を得た。
【0063】本液には、糖組成で約33W/W%のラク
トスクロースの他、夾雑糖類として、グルコース、フラ
クトースなどの単糖類、ラクトース、スクロースなどの
オリゴ糖類を含んでいた。
【0064】本液を約78W/W%に濃縮し、種晶とし
て結晶ラクトースを少量加え、50℃で撹拌しつつラク
トースを晶出させ、次いで、濾過して結晶ラクトースを
除去した。得られる濾液を濃度約30W/W%に調整
し、これに実施例A−5の場合と同様にインベルターゼ
欠損酵母により単糖類を発酵消化して、糖組成でラクト
スクロース約50W/W%含有液とし、次いで、常法に
従って、脱色、脱塩し、更に、濃縮、噴霧乾燥して、水
分2%未満の粉末を収率約52%で得た。
【0065】本ラクトスクロース高含有粉末は、吸湿性
が低く、流動性、安定性良好な粉末で、その取扱いは容
易である。
【0066】本品は、実施例A−1の場合と同様に、そ
のままで、または適当な他の物質と配合して、ビフィズ
ス菌選択糖源としてのみならず、甘味剤、安定剤、賦形
剤、増粘剤などとして各種経口または経管摂取物に有利
に利用できる。
【0067】実施例B−1 混合甘味剤 実施例A−2の方法で得たラクトスクロース高含有粉末
1重量部にα−グリコシル ステビオシド(東洋精糖株
式会社製造、商品名α−Gスィート)0.05重量部を
均一に混合して粉末甘味料を製造した。本品は、上品な
甘味を有し、砂糖の約2倍の甘味を有する。また、本品
は、ビフィズス菌増殖促進効果を発揮し、美容、健康の
維持増進、成人病の予防、病中、病後の回復促進、高ア
ンモニア血症、肝性脳症などの治療、予防などに有利に
利用できる。また、家畜、家禽などの飼育動物の感染予
防、下痢予防、食欲増進、肥育促進、糞便の悪臭抑制な
どにも有利に利用できる。
【0068】実施例B−2 ハードキャンディー 還元麦芽糖水飴(水分25W/W)95重量部に、実施
例A−1の方法で得たラクトスクロース高含有粉末15
重量部を加熱溶解し、減圧下で水分が2W/W%未満に
なるまで濃縮し、これにクエン酸1重量部および適量の
レモン香料と着色料とを混和し、次いで、常法に従って
成形しハードキャンディーを製造した。
【0069】本品は、上品な甘味を有する低う蝕性のハ
ードキャンディーである。また、本品は、ビフィズス菌
増殖促進効果を発揮し、実施例B−1の場合と同様に、
美容、健康の維持増進、成人病の予防、病中、病後の回
復促進、各種疾病の治療、予防などにも有利に利用でき
る。
【0070】実施例B−3 チューインガム ガムベース2重量部を柔らかくなる程度に加熱溶融し、
これに実施例A−3の方法で得たラクトスクロース高含
有粉末4重量部、グルコース3重量部および適量のハッ
カ香料と着色料とを混合した後、常法に従ってロールに
より練り合せ、成形することによってチューインガムを
製造した。
【0071】本品は、テクスチャー、甘味ともに良好で
ある。また、本品は、ビフィズス菌増殖促進効果を発揮
し、実施例B−1の場合と同様に、美容、健康の維持増
進、成人病の予防、病中、病後の回復促進、各種疾病の
治療、予防などにも有利に利用できる。
【0072】実施例B−4 チョコレート カカオペースト40重量部、カカオバター10重量部、
実施例A−4の方法で得たラクトスクロース高含有粉末
15重量部、スクロース10重量部および全脂粉乳15
重量部を混合し、レファイナーを通した。そして粒度を
下げた後、コンチェに入れ、レシチン0.5重量部を加
えて、50℃で二昼夜練り上げた。次いで、常法に従い
成型機に流し込み成型固化して製造した。
【0073】本品は、ファットブルーム、シュガーブル
ームの恐れがなく、舌にのせた時の融け具合、風味とも
に良好である。また、本品は、ビフィズス菌増殖促進効
果を発揮し、実施例B−1の場合と同様に、美容、健康
の維持増進、病中、病後の回復促進などにも利用でき
る。
【0074】実施例B−5 乳飲料 コーヒー浸出液70重量部、牛乳110重量部、実施例
A−5の方法で得たラクトスクロース高含有粉末14重
量部および適量のコーヒー香料、着色料を混合し、均質
化した後、常法に従って、殺菌、冷却、充填、包装して
乳飲料を製造した。
【0075】本品は、香り、呈味とも良好なコーヒー牛
乳である。また、本品は、ビフィズス菌増殖促進効果を
発揮し、実施例B−1の場合と同様に、美容、健康の維
持増進、成人病の予防、病中、病後の回復促進などに有
利に利用できる。
【0076】実施例B−6 カスタードクリーム コーンスターチ500重量部、実施例A−6の方法で得
たラクトスクロース高含有粉末500重量部、マルトー
ス(林原商事株式会社販売、登録商標サンマルト)40
0重量部および食塩5重量部を、篩を通して充分に混合
し、鶏卵1400重量部を加えて撹拌し、これに沸騰し
た牛乳5000重量部を徐々に加え、更に、これをとろ
火にかけて撹拌を続け、コーンスターチが完全に糊化し
て全体が半透明になったときに火を止め、これを冷却し
て適量のバニラ香料を加えることによりカスタードクリ
ームを製造した。
【0077】本品は、なめらかな光沢を有し、甘味が強
すぎず美味である。また、本品は、ビフィズス菌増殖促
進効果を発揮し、実施例B−1の場合と同様に、美容、
健康の維持増進、成人病の予防、病中、病後の回復促進
などに有利に利用できる。
【0078】実施例B−7 即席コーンポタージュス
ープ α−化コーン粉末30重量部、α−化澱粉5重量部、α
−化ポテトスターチ4重量部、α−化ワキシーコーンス
ターチ12重量部、実施例A−7の方法で得たラクトス
クロース高含有粉末8重量部、グルタミン酸ナトリウム
5重量部、食塩8.5重量部、脱脂粉乳7重量部、オニ
オンパウダー0.5重量部を摩砕してよく混合した後、
これにソルビタン脂肪酸エステル0.5重量部と植物性
硬化油9重量部とを加熱融解したものを添加して混合
し、更に、乳糖10重量部を加えて混合し、これを流動
層造粒機に仕込み、少量の水をスプレーして造粒した
後、70℃の熱風で乾燥し、篩分けして即席コーンポタ
ージュスープを製造した。
【0079】本品は、熱湯を注げば、容易に溶解、分散
し、風味の優れたスープとなる。また、本品は、ビフィ
ズス菌増殖促進効果を発揮し、実施例B−1の場合と同
様に、美容、健康の維持増進、成人病の予防、病中、病
後の回復促進などに有利に利用できる。
【0080】実施例B−8 経管栄養剤 実施例A−1の方法で得たラクトスクロース高含有粉末
580重量部、乾燥卵黄190重量部、脱脂粉乳209
重量部、塩化ナトリウム4.4重量部、塩化カリウム
1.85重量部、硫酸マグネシウム4重量部、チアミン
0.01重量部、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量
部、ビタミンEアセテート0.6重量部およびニコチン
酸アミド0.04重量部からなる配合物を調製する。こ
の配合物25gずつを、ラミネートアルミ製小袋に充填
し、ヒートシールして、固体状経管栄養剤を製造した。
【0081】本品は、長期間品質が安定して維持され、
溶解性、分散性が良好である。本剤は、1袋分を約15
0乃至300mLの水に溶解して栄養補給液とし、経管
方法により、鼻腔、食道、胃などへ投与して利用する。
また、本品は、ビフィズス菌増殖促進効果を発揮し、実
施例B−1の場合と同様に、美容、健康の維持増進、成
人病の予防、病中、病後の回復促進、各種疾病の治療、
予防、更には、家畜、家禽などの病中、病後の回復促
進、肥育促進などに有利に利用できる。
【0082】実施例B−9 錠剤 実施例A−2の方法で得たラクトスクロース高含有粉末
40重量部、マルトース10重量部、第三リン酸カルシ
ウム1重量部、シュガーエステル1重量部および適量の
粉末香料を均一に混合した後、常法に従って、1錠約3
50mgになるように打錠機にて打錠し、錠剤を得た。
【0083】本品は、ひび割れもなく安定性良好な飲み
やすい錠剤で、成人1日当り、約1乃至40錠、望まし
くは、約2乃至20錠摂取することにより、ビフィズス
菌増殖促進効果を発揮し、実施例B−1の場合と同様
に、美容、健康の維持増進、成人病の予防、病中、病後
の回復促進、各種疾病の治療、予防などに有利に利用で
きる。
【0084】実施例B−10 配合飼料 粉麩40重量部、脱脂粉乳38重量部、実施例A−3の
方法で得たラクトスクロース高含有粉末12重量部、ビ
タミン剤10重量部、魚粉5重量部、第二リン酸カルシ
ウム5重量部、液状油脂3重量部、炭酸カルシウム3重
量部、食塩2重量部およびミネラル剤2重量部を混合し
て、配合飼料を製造した。
【0085】本品は、嗜好性の向上した家畜、家禽など
の飼料であって、とりわけ、子豚用飼料として好適であ
る。また、本品はビフィズ菌増殖効果を発揮し、飼育動
物の感染予防、下痢予防、食欲増進、肥育促進、糞便の
悪臭抑制などに有利に利用できる。更に、本品は、必要
に応じて、他の飼料材料、例えば、穀類、小麦粉、澱
粉、油粕類、糟糖類などの濃厚飼料材料や、ワラ、乾
草、バガス、コーンコブなどの粗飼料材料などと併用し
て、他の配合飼料にすることもできる。
【0086】
【発明の効果】本文で述べたごとく、本発明は、従来不
可能であったラクトスクロース含有粉末の工業的製造方
法並びに用途を確立するものである。即ち、スクロース
とラクトースとを含有する水溶液に糖転移酵素を作用さ
せて生成されるラクトスクロース含有糖液から夾雑糖類
を除去して糖組成で45W/W%以上のラクトスクロー
ス高含有液とし、これを噴霧乾燥することにより、安定
なラクトスクロース高含有粉末の工業的製造方法を確立
するものであり、併せて、本粉末を含有せしめた経口ま
たは経管摂取物を確立するものである。
【0087】このようにして得られたラクトスクロース
高含有粉末は、ビフィズス菌選択糖源としてのみなら
ず、甘味剤、賦形剤、安定剤、増粘剤、糖質結晶防止
剤、保湿剤、照り付与剤などとして各種経口または経管
摂取物に広範に利用できる。
【0088】また、ラクトスクロース高含有粉末または
これを含有せしめた各種摂取物は、ビフィズス菌の増殖
促進効果を発揮できることから、美容、健康の維持、増
進に寄与できるだけでなく、成人病の予防、病中、病後
の回復促進、高アンモニア血症、肝性脳症などの治療、
予防などに有利に利用できる。
【0089】また、家畜、家禽などの飼育動物の感染予
防、下痢予防、食欲増進、肥育促進、産卵助長、糞便の
悪臭抑制などにも有利に利用できることから、健康食
品、医薬品、化粧品、飼料などの分野における工業的意
義はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】腸内菌叢の検索結果を示す図である。
【図2】腸内菌叢の検索結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 47/26 C12S 3/02 C12S 3/02 A23K 1/16 303D // A23K 1/16 303 C07H 3/04 C07H 3/04 A23L 2/00 C (C12S 3/02 C12R 1:865) (72)発明者 藤田 孝輝 大阪府大阪市城東区森之宮2丁目6番 308号 (72)発明者 山下 昌之 兵庫県神戸市垂水区つつじが丘2丁目16 番地の10 (72)発明者 恒富 保彦 兵庫県神戸市北区道場町塩田2475の1番 地 (72)発明者 堺 修造 岡山県赤磐郡瀬戸町江尻旭ケ丘1丁目3 番41号 (72)発明者 三宅 俊雄 岡山県岡山市伊島町1丁目3番23号 (56)参考文献 特開 昭64−85090(JP,A) 特開 平2−35095(JP,A) 特公 昭59−53835(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 19/00 - 19/64

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクロースとラクトースとを含有する水
    溶液に糖転移酵素を作用させ、得られるラクトスクロー
    ス含有糖液から夾雑糖類を除去して糖組成で45w/w
    %以上のラクトスクロース高含有水溶液とし、これを噴
    霧乾燥することを特徴とする流動性良好で吸湿性の低い
    安定なラクトスクロース高含有粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 スクロースとラクトースとを含有する水
    溶液に糖転移酵素を作用させ、得られるラクトスクロー
    ス含有糖液をアルカリ金属型またはアルカリ土類金属型
    強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフ
    ィー、インベルターゼ欠損酵母を用いる発酵法およびラ
    クトースを晶出させ除去する方法から選ばれる一種また
    は二種以上の方法により夾雑糖類を除去して糖組成で4
    5w/w%以上のラクトスクロース高含有水溶液とし、
    これを噴霧乾燥することを特徴とする流動性良好で吸湿
    性の低い安定なラクトスクロース高含有粉末の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 スクロースとラクトースとを含有する水
    溶液に糖転移酵素を作用させ、得られるラクトスクロー
    ス含有糖液から夾雑糖類を除去して糖組成で45w/w
    %以上のラクトスクロース高含有水溶液とし、これを噴
    霧乾燥し、流動性良好で吸湿性の低い安定なラクトスク
    ロース高含有粉末を得、これを含有せしめることを特徴
    とする経口または経管摂取物の製造方法
  4. 【請求項4】 スクロースとラクトースとを含有する水
    溶液に糖転移酵素を作用させ、得られるラクトスクロー
    ス含有糖液をアルカリ金属型またはアルカリ土類金属型
    強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフ
    ィー、インベルターゼ欠損酵母を用いる発酵法およびラ
    クトースを晶出させ除去する方法から選ばれる一種また
    は二種以上の方法により夾雑糖類を除去して糖組成で4
    5w/w%以上のラクトスクロース高含有水溶液とし、
    これを噴霧乾燥し、流動性良好で吸湿性の低い安定なラ
    クトスクロース高含有粉末を得、これを含有せしめるこ
    とを特徴とする経口または経管摂取物の製造方法
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