JP7260903B2 - 乳糖果糖オリゴ糖(ラクトスクロース)を有効成分として含有するストレス低減用食品組成物 - Google Patents

乳糖果糖オリゴ糖(ラクトスクロース)を有効成分として含有するストレス低減用食品組成物 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 刊行物名:第72回日本栄養・食糧学会大会講演要旨集 発行日 :平成30年4月27日 刊行者 :公益社団法人日本栄養・食糧学会 講演日時:2018年5月13日(日) 会場名 :E 発表番号:3E-06a
本発明は、乳糖果糖オリゴ糖(ラクトスクロース)を有効成分として含有するストレス低減用食品組成物等に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、乳糖果糖オリゴ糖(ラクトスクロース;β-D-ガラクトシル-(1,4)-α-D-グルコシル-(1,2)-β-D-フラクトシド)を有効成分として含有する食品組成物を日常的に摂取することにより、ストレスを低減する効果及び口腔環境を改善する効果を発揮するストレス低減用食品組成物等に関するものである。
現代はストレス社会と呼ばれ、人々がストレスにさらされやすい状態になっている。日頃の疲労やストレスの積み重ねで心身に不調をきたす人が増えている。ストレスを溜めることは、免疫力の低下、肥満、脱毛、アトピー性皮膚炎、喘息などを引き起こす原因の1つとされている。そこで、ストレスを軽減するための健康食品や食品組成物などの開発研究が広く行われている。
一般に、ストレスとは、生体におけるひずみの状態であり、対外から加えられた有害因子(ストレス因子)と、それによって生じた防御反応の両方が含まれる。ストレス因子としては、精神的(受験、手術、試合など)なプレッシャーに起因して発生する、情動ストレスが挙げられ、物理的(放射線、騒音、長時間の拘束作業など)、化学的(薬物、酸素欠乏、栄養不足など)、及び生物的(細菌感染など)なものに起因する情動ストレス、自然災害等による心的外傷後ストレス障害(PTSD)が含まれる。
また、ストレスは、交感神経と副交感神経のバランスのくずれであり、交感神経が優位にあれば「ストレス状態」、反対に副交感神経が優位にあれば「リラックス状態」と云われている。精神的負荷や肉体的な負荷を連続して受けたときに、ストレスや精神的疲労などによる気力の低下、すなわち、精神的な作業や能力の質的又は量的な低下が起き、具体的には、例えば、精神的なストレス(情動ストレス)による疲労、慢性疲労、慢性疲労症候群などが挙げられる。本発明におけるストレス低減効果とは、これらのストレスに伴う精神的苦痛や精神的疲労を低減ないし改善する効果を意味する。
一方、ストレスは、顎関節症、口腔乾燥症、歯周病等、様々な歯科疾患の発症・憎悪因子であることが広く知られており、特に、口腔環境とストレスの関係は極めて深いとされている。
また、近年における高齢世代人口の増加は、介護サービス受給者の増加、要介護(要支援)認定者数の増加、高齢者向け住まいの定員数の増加等(特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームなど)につながり、介護ニーズの増加に伴い、介護職員等は不足し、介護職員の抱えるストレスは増加の一途をたどっている。介護職員等のストレスの低減化対策が重要視されており、例えば、プロバイオティクスやプレバイオティクス摂取による口腔環境の改善の例が挙げられる。
ストレス低減を目的とした先行技術として、例えば、麦若葉末と水溶性食物繊維とを含有する、ストレス軽減に優れた健康食品、更に、スピルリナ、乳酸菌又はオリゴ糖を含有する健康食品(特許文献1)、が報告されている。
また、他の先行技術として、例えば、バニリン及びボルネオールの少なくとも一方を有効成分として含有するストレス低減用食品組成物(特許文献2)、が報告されている。また、他の先行技術として、例えば、ラフマ(Apocynum venetumL.)抽出物とギャバ(γ-アミノ酪酸)を含有する、抗ストレス剤(特許文献3)、が報告されている。
また、他の先行技術として、例えば、ガラクトオリゴ糖(galactooligosaccharide)の摂取は、試験期間中の大学生のストレススコアの低下、下痢発生率の低下、かぜ症状を軽減すること(非特許文献1)、が報告されている。
また、他の先行技術として、各種オリゴ糖(アガロオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、フラクトオリゴ糖及びラフィノース)のマウスへの経口投与により、特に、アガロオリゴ糖投与群では、ストレスによる潰瘍形成がまったく認められず、フラクトオリゴ糖投与群でも強く抑制されること(非特許文献2)、が報告されている。
また、他の先行技術として、ラフィノースの連続投与により、末梢血及び唾液のLDH(乳酸脱水素酵素)を上昇させるとともに、唾液中の歯周病原性微生物の増殖抑制効果があること(非特許文献3)、が報告されている。
ラクトスクロースは、難消化性、ビフィズス菌増殖促進作用、難う蝕性、保湿性、ミネラル吸収促進作用などの機能を有するオリゴ糖である。また、ラクトスクロースは、消費者庁が許可する特定保健用食品の関与成分としても利用されており、安全性が高くかつ安価な食品素材である。特に、ラクトスクロースは、1日1gの摂取でビフィズス菌を増やす作用が認められている(非特許文献4)。
特開平2003-61614号公報 特開平2018-100223号公報 特開平2011-93842号公報
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これらの先行技術に鑑みて、当技術分野においては、日常的に経口摂取することでストレスを低減することが可能であり、安全かつ入手が容易な新しい物質の開発が切望されているところであり、そのような物質を有効成分とするストレス低減用組成物を開発することが強く要請されている。これまでのところ、ラクトスクロースによるストレス低減作用、又は口腔環境改善作用についての報告例は見あたらない。
このような状況の中で、本発明者らは、ヒトにおいてラクトスクロース摂取による腸内細菌叢や口腔環境への影響を調べることを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、ラクトスクロース摂取により、唾液中のストレスマーカーの低下と、口腔環境の改善効果が得られるという新規知見を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ラクトスクロースを有効成分として含有する、唾液中のストレスマーカーであるα-アミラーゼ活性を有意に低下させるストレス低減用食品組成物を提供することを目的とするものである。
また、本願発明は、ラクトスクロースを有効成分として含有する、口腔細菌の中でう蝕に関係するLactobacillus(ラクトバチルス)属の占有率を有意に低下させ口腔環境を改善する口腔環境改善用食品組成物を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、プレバイオティクスであるラクトスクロースを有効成分として含有する、健全な腸内細菌叢を回復及び/又は形成させる食品組成物又はサプリメントを提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、ラクトスクロースを有効成分として含有する、ストレス低減剤又は口腔環境改善剤を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)ラクトスクロース(β-D-ガラクトシル-(1,4)-α-D-グルコシル-(1,2)-β-D-フラクトシド)を有効成分として含有する、ストレス低減用食品組成物。
(2)ラクトスクロースの含有量がラクトスクロースとして1日当たり1g以上、好ましくは3.9g以上である、前記(1)に記載のストレス低減用食品組成物。
(3)ラクトスクロースを含有する食品組成物を用いてストレスを低減させる方法。
(4)ストレス低減用食品組成物が食品である、前記(1)又は(2)に記載のストレス低減用食品組成物。
(5)ラクトスクロースを有効成分として含有する、ストレス低減剤。
(6)ラクトスクロースを有効成分として含有する、健全な腸内細菌叢を回復及び/又は形成させる食品組成物又はサプリメント。
(7)ラクトスクロースを有効成分として含有する、口腔環境改善組成物。
(8)ラクトスクロースを含有する食品組成物を用いて口腔環境を改善させる方法。
(9)ラクトスクロースを有効成分として含有する、口腔環境を改善させる食品組成物又はサプリメント。
(10)ラクトスクロースを有効成分として含有する、口腔環境改善剤。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明のストレス低減用食品組成物は、有効成分として乳糖果糖オリゴ糖(ラクトスクロース)を含有することを特徴とするものである。ラクトスクロースの使用形態としては、本発明の効果を損ねない範囲で、通常、シラップ、含蜜結晶粉末、含水結晶、非晶質固体などから適宜選択することができる。
また、ラクトスクロースとして、市販品を利用することができ、例えば、塩水港精糖株式会社により販売されているラクトスクロース含有食品(商品名「オリゴのおかげ」、商品名「オリゴのおかげダブルサポート」など)を利用することが可能である。
本発明のストレス低減用食品組成物におけるラクトスクロースの含有量としては、ヒトに摂取せしめてその作用が発揮されれば良く、ラクトスクロース摂取量として1日1g以上、好ましくは、ラクトスクロースとして3.9g以上である。
本発明のストレス低減用食品組成物の投与又は摂取方法としては、いかなる方法でも良いが、通常、経口経路が好ましい。有効成分としてのラクトスクロースを、1日当たり1g以上、好ましくは、ラクトスクロースとして3.9g以上摂取すれば良い。
ヒトの場合、ラクトスクロースの最大無作用量は、0.6g/kg体重であることが確認されていることから、この範囲を超えた摂取は、下痢を起こす可能性があるので注意が必要である。
なお、例えば、健康食品、サプリメントとして、本発明に関わる飲食品を調製する場合は、例えば、シロップタイプのテーブルシュガー、顆粒、カプセル、錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(ドリンク剤等)の形態に調製することが好ましく、中でも、カプセル、タブレット、錠剤、ゼリー等の形態がより好ましいが、本発明は、これらに限定されるものではない。
顆粒、カプセル、錠剤、ゼリー等の形態は、薬学的及び/又は食品衛生学的に許容される担体等を用いて、常法に従って、適宜調製することができる。また、ラクトスクロースを、例えば、粉末状にする等して、飲料類(ジュース等)、菓子類(例えば、ガム、チョコレート、キャンデー、ビスケット、クッキー、おかき、煎餅、プリン、ゼリー状お菓子、杏仁豆腐等)、パン類、スープ類(粉末スープを含む)、加工食品等の各種飲食品に含有させたものであっても良い。
本発明におけるラクトスクロースの摂取は、口腔環境を改善する効果が発揮され得る限り特に制限されないが、ラクトスクロース摂取量として1日1g以上、好ましくは、ラクトスクロースとして3.9g以上である。本発明に係るストレス低減剤としては、例えば、ラクトスクロース及び食品衛生学上許容される基材、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料が適宜配合されたものが例示され、前記ストレス低減用食品組成物の形態としては、例えば、液状、粉末、フレーク状、顆粒状、ペースト状等が挙げられる。
本発明により、次のような作用効果が奏される。
(1)容易に入手可能で、日常的に経口摂取でき、安全性に優れたラクトスクロースを有効成分とするストレス低減用食品組成物を提供することができる。
(2)本発明の、ストレス低減用食品組成物を利用することにより、利用者のストレス低減効果が期待できる。
(3)本発明の、ストレス低減用食品組成物を利用することにより、利用者の腸内細菌叢及び/又は口腔細菌叢の改善効果が期待できる。
(4)ラクトスクロースを含有する食品組成物を用いて口腔環境を改善させる方法を提供することができる。
(5)ラクトスクロースを有効成分とする口腔環境改善組成物又は口腔環境改善剤を提供することができる。
図1は、ラクトスクロース摂取前後の糞便中ビフィズス菌占有率の変化を示す。 図2は、ラクトスクロース摂取前後の唾液中細菌のLactobacillus(ラクトバチルス)属、Prevotella(プレボテラ)属、Veillonella(ベイロネラ)属の占有率の変化を示す。 図3は、ラクトスクロース摂取前後の唾液中ストレスマーカー(α―アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度、コルチゾール濃度)の変化を示す。
次に、本発明の試験例及び実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの試験例及び実施例によって何ら限定されるものではない。
次に、試験例を示して、本発明の作用効果について具体的に説明する。
試験例
本試験例では、ストレス負荷の高い環境にいる健常成人を対象とし、ラクトスクロースのストレス低減作用評価試験を実施した(ヒト試験)。特別養護老人ホームに勤務する職員である健常人(介護職員)にラクトスクロースを含む食品を4週間摂取させ、健康状態、排便状況、ラクトスクロース摂取率を調査し、糞便及び唾液細菌叢、唾液中ストレスマーカー(α―アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度、コルチゾール濃度)をラクトスクロース摂取前後で比較した。
1)被験食品
日常的に入手可能なラクトスクロース含有食品(商品名「オリゴのおかげ ダブルサポート シロップタイプ」塩水港精糖株式会社製)を被験食品とした。本食品は、ラクトスクロースを固形分あたり55~60%含む。
2)試験方法
特別養護老人ホームに勤務する職員である健常人(介護職員)を対象とし、試験の内容を説明し、文書にて同意の得られたボランティア6名(男性2名、女性4名、平均年齢36.8±8.1歳)で試験を実施した。試験期間は、前観察期間として2週間、ラクトスクロース摂取期間として4週間、後観察期間の2週間、計8週間である。試験期間中は毎日調査日誌をつけ、前観察期間とラクトスクロース摂取期間の終わりに糞便と唾液を摂取した。
3)ラクトスクロースの摂取方法、摂取時間及び摂取量
ラクトスクロースの摂取方法と摂取時間は、特に指定せず、摂取量は、施設が使用している規定のスプーンで1日2杯とした(10g:ラクトスクロースとして3.9g)。
4)調査日誌記録内容
以下の事項を調査日誌へ記録した。
ラクトスクロース摂取の有無(時刻)と摂取量、排便に関する項目(日数、回数、量、ブリストルスケールによる便の性状分類にて数値化、色、臭い、硬さ)、健康状態、食事状況(間食も含む)、投薬状況。
5)糞便・唾液細菌叢分析
糞便は、ブラシタイプの採便キットを、唾液は、サリキッズ(ザルスタット社製)を用い、被験者自身でサンプリングした。これらの細菌叢は、DNAを抽出し、Miseq(イルミナ株式会社)を用いて、シーケンス解析を行った。シーケンス解析後、得られたテキストデータをQauntitative Insights Into Micobial Ecology(AIIME;Pycogent)を用いて解析し、属レベルでの菌占有率として表した。
6)唾液中ストレスマーカー分析
唾液中ストレスマーカー(α-アミラーゼ活性、コルチゾール濃度、クロモグラニン濃度)は、それぞれ市販のキット(唾液中α-アミラーゼ活性定量キット;サリメトリックス社製、Cortisol Salivary Immunoassay Kit;サリメトリックス社製、YK070 Human Chromogranin A EIA;株式会社 矢内原研究所製)を用いて測定した。
6)統計解析方法
量的データは、平均値±標準偏差で示し、前観察期間、ラクトスクロース摂取期間、後観察期間で分散分析した。唾液測定項目のみWilcoxonの符号付順位和検定を用いた。
また、量的データは、chi-square testを用いた。
ボランティア6名全員が試験を終了した。ラクトスクロース摂取率は100%であった。
排便に関する項目(日数、回数、量、ブリストルスケールによる便の性状分類にて数値化、色、臭い、硬さ)に有意な変化は認められなかった。また、ラクトスクロースの摂取は、健康状態にも影響を及ぼさなかった。
図1に、ラクトスクロース摂取前後における糞便中ビフィズス菌占有率の変化を示した。なお、6名中1名はビフィズス菌が検出されず、すなわちビフィズス菌を持っていないことがわかり、ビフィズス菌を持っているボランティア5名で統計解析を行ったところ、ビフィズス菌占有率は増加傾向を示した(P=0.13)。
図2に、ラクトスクロース摂取前後におけるLactobacillus(ラクトバチルス)属、Prevotella(プレボテラ)属及びVeillonella(ベイロネラ)属占有率の変化を示した。口腔細菌でう蝕に関係するLactobacillus(ラクトバチルス)属の占有率が有意に低下した(P=0.02)。更に、口腔感染症の原因菌の一つであるPrevotella(プレボテラ)属の占有率が低下傾向を示し(P=0.16)、歯垢の原因菌の一つであるVeillonella(ベイロネラ)属の占有率も低下傾向(P=0.22)を示した。
また、唾液中のPorphyromonasas gingivalis( ポルフィロモナス・ジンジバリス)とStreptococcus mutans( ストレプトコッカス・ミュータンス)をリアルタイムPCRを用いて定量したが、摂取前後で明確な差がなかった。これは、被験者が健常者であったことと、検体がプラークではなく唾液であったためと推測される。
図3に、ラクトスクロース摂取前後における唾液中ストレスマーカーの変化、すなわち、唾液中のα-アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度及びコルチゾール濃度の変化を示した。ラクトスクロース摂取後では、ストレスマーカーであるα-アミラーゼ活性が有意に低下し(P=0.01)、クロモグラニン濃度が低値傾向(P=0.08)を示し、コルチゾール濃度も低値傾向(P=0.10)となり、ラクトスクロース摂取におけるストレス低減効果が判明した。
介護職員を被験者としたラクトスクロース摂取試験を実施した結果、ラクトスクロース摂取前後で唾液中のストレスマーカーであるα-アミラーゼ活性が有意に低下し、クロモグラニン濃度とコルチゾール濃度が低値傾向であったことから、ラクトスクロース摂取で介護職員のストレスが低減されたことが云える。
また、口腔細菌でう蝕に関係するLactobacillus(ラクトバチルス)属の占有率が有意に低下し、口腔感染症の原因菌の一つであるPrevotella(プレボテラ)属と、歯垢の原因菌の一つであるVeillonella(ベイロネラ)属の占有率が低下傾向を示した口腔環境改善効果が得られた。ストレスは、口腔環境悪化の原因であるため、ラクトスクロース摂取で口腔環境改善効果が得られたことは、本発明の効果は顕著であることを実証するものである。
上記新規知見により、本発明は、ラクトスクロースを含有するストレス低減用食品組成物、口腔環境改善用食品組成物、口腔環境改善用サプリメント、健康食品(栄養機能食品、特定保健食品等)等を提供するものとして有用であることが裏付けられた。
次に、実施例を示して、本発明の実施の態様を具体的に説明する。
実施例1(チョコレート)
ラクトスクロースとして、市販の高純度品、「オリゴのおかげLS―90P」(塩水港精糖株式会社製)を使用し、該「オリゴのおかげLS―90P」23g(ラクトスクロースとして20g)、製菓用チョコレート(300g)、生クリーム(136mL)、バター(13.6g)を配合し、22個のアルミカップに分け入れ、冷やし固めてストレス低減用食品組成物(チョコレート)を調製した。このチョコレート6個で、ラクトスクロース3.9g以上を摂取する事ができる。
実施例2(クッキー)
ラクトスクロースとして、市販の「オリゴのおかげダブルサポート 顆粒タイプ」(塩水港精糖株式会社製)を使用し、該「オリゴのおかげダブルサポート 顆粒タイプ」32g(ラクトスクロースとして16.7g)、バター80g、卵黄1個分、薄力粉80gを配合し、常法に従って、15枚のクッキー形態のストレス低減用組成物を調製した。このクッキー4枚でラクトスクロース3.9g以上を摂取する事ができる。
実施例3(タブレット剤)
ラクトスクロースとして、市販の「オリゴのおかげダブルサポート 顆粒タイプ」(塩水港精糖株式会社製)を使用し、該「オリゴのおかげダブルサポート 顆粒タイプ」2g(ラクトスクロースとして1.0g)、L-アスコルビン酸0.247g、シュガーエステル0.32g、粉末香料0.02gを配合し、常法に従って、タブレット剤を調製した。このタブレット剤4個でラクトスクロース3.9g以上を摂取する事ができる。
以上詳述したように、本発明は、ラクトスクロースを有効成分として含有する、ストレス低減用食品組成物に係るものであり、本発明により、口腔環境を改善する作用を有するストレス低減用食品組成物、ラクトスクロースを含有する食品組成物を用いてストレスを低減させる方法、ラクトスクロースを含む食品から成るストレス低減用食品組成物、ラクトスクロースを含有するストレス低減剤、ラクトスクロースを有効成分として含有する、健全な腸内細菌叢を回復及び/又は形成させる食品組成物又はサプリメント等を提供することができる。

Claims (9)

  1. ラクトスクロース(β-D-ガラクトシル-(1,4)-α-D-グルコシル-(1,2)-β-D-フラクトシド)を有効成分として含有する、α-アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度、コルチゾール濃度を低下させる食品組成物。
  2. ラクトスクロースの含有量が、ラクトスクロースとして3.9g以上である、請求項1に記載のα-アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度、コルチゾール濃度を低下させる食品組成物。
  3. ラクトスクロースを含有する食品組成物を用いてα-アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度、コルチゾール濃度を低下させる方法(ヒトに対して用いることを除く)
  4. α-アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度、コルチゾール濃度を低下させる食品組成物が、シロップタイプのテーブルシュガーである、請求項1又は2に記載のα-アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度、コルチゾール濃度を低下させる食品組成物。
  5. ラクトスクロースを有効成分として含有する、α-アミラーゼ活性、クロモグラニン濃度、コルチゾール濃度を低下させる剤。
  6. ラクトスクロースを有効成分として含有する、口腔細菌でう蝕に関係するLactobacillus(ラクトバチルス)属、口腔感染症の原因菌の一つであるPrevotella(プレボテラ)属、歯垢の原因菌の一つであるVeillonella(ベイロネラ)属の占有率を低下させる組成物。
  7. ラクトスクロースを含有する食品組成物を用いて、口腔細菌でう蝕に関係するLactobacillus(ラクトバチルス)属、口腔感染症の原因菌の一つであるPrevotella(プレボテラ)属、歯垢の原因菌の一つであるVeillonella(ベイロネラ)属の占有率を低下させる方法(ヒトに対して用いることを除く)
  8. ラクトスクロースを有効成分として含有する、口腔細菌でう蝕に関係するLactobacillus(ラクトバチルス)属、口腔感染症の原因菌の一つであるPrevotella(プレボテラ)属、歯垢の原因菌の一つであるVeillonella(ベイロネラ)属の占有率を低下させる食品組成物又はサプリメント。
  9. ラクトスクロースを有効成分として含有する、口腔細菌でう蝕に関係するLactobacillus(ラクトバチルス)属、口腔感染症の原因菌の一つであるPrevotella(プレボテラ)属、歯垢の原因菌の一つであるVeillonella(ベイロネラ)属の占有率を低下させる剤。

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