WO2021132019A1 - 皮膚常在菌叢のバランス改善剤 - Google Patents

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Abstract

皮膚常在菌叢の多様性低下を抑制し、皮膚環境を良好に保つ皮膚外用組成物を提供することを課題とし、ラクトスクロースを有効成分とする皮膚常在菌叢のバランス改善剤を提供することによって上記課題を解決する。

Description

皮膚常在菌叢のバランス改善剤
 本発明は、皮膚常在菌叢のバランス改善剤に関し、詳細には、ラクトスクロースを有効成分として含有する、皮膚常在菌叢の多様性を維持及び/又は改善することを特徴とする皮膚常在菌叢のバランス改善剤に関する。
 種々の菌類が集合し、生体中のある特定の環境下において生育している状態は常在菌叢(又はフローラ)と呼ばれている。ヒトにおいては腸内菌叢、口腔菌叢、皮膚菌叢などが知られており、常在菌叢を構成している細菌種やその割合は、常在菌叢の生育環境、外界からの刺激、および個人差など種々の要素で変化すると言われている。近年、この常在菌叢の状態が生体の各種生理機能へ影響を及ぼすことが明らかとなっており、とりわけ腸内菌叢に関する研究が進んでいる。
 一方、ヒトの皮膚常在菌叢が皮膚機能に対して影響を及ぼすことが明らかにされてきた。例えば、病原菌の侵入を防ぐ皮膚バリア機能の改善作用(非特許文献1)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)によるセラミド産生作用(非特許文献2)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)による保湿作用(非特許文献3)が知られている。また、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)はリパーゼにより皮脂を分解して遊離脂肪酸を産生し、この遊離脂肪酸が皮膚を弱酸性に保つことで、食中毒などの原因となるスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)などの悪玉菌の増殖を抑制する一方で、ニキビの原因にもなるため、適正な存在比率であることが望ましい(非特許文献4)とされている。
 皮膚常在菌叢は存在すればよいというものではなく、皮膚常在菌の構成バランスや菌数を整え、スタフィロコッカス・エピデルミディスなどの善玉菌を優位な状態にし、スタフィロコッカス・アウレウスなどの悪玉菌を抑制し、皮膚のバリア機能を高めることが健常な皮膚を保つ条件となる。そして、化粧品の分野では、皮膚常在菌叢を活用したスキンケアのアプローチとして「育菌」と「補菌」の2つがあると言われている。「育菌」とは、スタフィロコッカス・エピデルミディスなどの善玉菌が好んで資化する栄養素を皮膚に与え、生育し易い環境に変えることにより善玉菌に優位性を持たせるというアプローチであり、「補菌」とは善玉菌を皮膚から採取し、人工的に培養、増殖させた後に皮膚に戻すというアプローチである。
 上記のように、皮膚常在菌叢の皮膚に対する作用から、皮膚常在菌叢と肌状態は密接に関連しており、皮膚常在菌叢を良好に保つことが肌状態を良好に保つために重要だと考えられる。皮膚常在菌叢は多種類の菌により構成されており、近年では、技術の進歩により多数の菌を網羅的に解析できるようになり、菌種の数と各々の菌種が占める割合から多様性指数(シンプソンインデックス(Simpson Index)やシャノンインデックス(Shannon Index)など)を算出することにより、皮膚常在菌の多様性が評価されている。最近の研究によると、皮膚常在菌の多様性の低下が、アトピー性皮膚炎、にきび、乾癬を含む多くの疾患と関連することが明らかとなっている。それだけではなく、過度の洗浄、摩擦などによっても皮膚常在菌の多様性が低下すると言われている。また、多様性指数と肌状態の関連についての研究も増加しており、皮膚の色に関する指標である紅斑指数や皮膚酸素飽和指数が良好である(肌状態が良好とされる)ヒトの皮膚は、シンプソンインデックスが高いことが示されている。これらの結果より、菌種の多様性を向上させる物質もしくは美容方法ほど、紅斑指数と皮膚酸素飽和指数を改善することができる物質もしくは美容方法であると考えられている(特許文献1)。これらの研究結果や知見に基づけば、肌状態を良好にするために皮膚常在菌の多様性を維持、向上させることが重要であり、適切なスキンケアと皮膚外用剤や化粧品の選択が求められる。
 皮膚常在菌叢を良好に保つための皮膚外用剤については、いくつか報告されている。例えば、特許文献2には糖質を利用した皮膚常在菌叢改善剤として、イソマルトオリゴ糖及び/又はその還元糖アルコールを含む化粧料組成物が開示されている。しかしながら該開示においては、2種類の皮膚常在菌(表皮ブドウ球菌およびプロピオニバクテリウム・アクネス菌)について、糖質の連用塗布前後の皮膚の菌体量変化を確認したのみであり、その変化に基づく作用効果の検証、開示がなされておらず、皮膚常在菌の多様性変動についても何ら記載がない。
 また、皮膚外用剤や化粧品においては、微生物による汚染と増殖が生じると、製品の劣化・変色・変臭などの変化が生じ、商品価値を失うことから、その品質を安定化させる目的で防腐剤が用いられている。一般に防腐剤は、グラム陽性菌への抗菌性を有する成分と、グラム陰性菌への抗菌性を有する成分とを組合せて用いられる場合が多い。通常、ヒトに施用する製品において、その製品自体の劣化を防ぐ目的で添加される防腐剤は、皮膚の健康に対して悪影響を及ぼすことが無いと考えられているが、防腐剤はその殺菌作用、静菌作用により皮膚常在菌叢に影響を与え、配合量によっては健常な皮膚における皮膚常在菌に対して影響を与えることが報告されている(非特許文献5)。また、皮膚表面を消毒し清潔に保つことでニキビやフケ、体臭などを抑制する目的として殺菌剤が用いられている。
 このような状況下、皮膚常在菌の多様性の低下を防止し、皮膚常在菌叢のバランスを健常な状態に維持するとともに、皮膚外用剤や化粧品に配合される防腐剤や殺菌剤による皮膚常在菌の多様性の低下や、皮膚常在菌叢のバランスの偏重を健常な状態に戻すことができれば非常に有用である。
特開2018-99184号公報 特開2005-89355号公報
日本皮膚科学会雑誌,115巻,7号,p.977-984,(2005) Journal of InvestigativeDermatology (1999) Vol.113, No.1 p.98-106 Journal of Dermatologica Science August 2015,Volume 79,Issue2,Pages 119-126 Nature Reviews Microbiology,9(4)p.244-253,2011 Journal of Cosmetic Dermatology 2019,Volume 18,Issue 2,p.652-658
 本発明は、ヒトの皮膚常在菌叢の多様性低下を抑制し、皮膚常在菌叢のバランスを改善することにより皮膚環境を良好に保つことができ、特に皮膚外用剤や化粧品に配合されることが多い防腐剤や殺菌剤による皮膚常在菌叢バランスの乱れや偏重を改善する手段を提供することを課題とする。
 上記課題を解決すべく、本発明者らは、鋭意研究努力を重ねた結果、意外にもラクトスクロースが、皮膚常在菌叢のバランス改善に有効であり、特に防腐剤や殺菌剤による皮膚常在菌叢の乱れを抑制し、良好な皮膚環境を維持する効果を奏することを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、上記課題を、ラクトスクロースを有効成分とする皮膚常在菌叢のバランス改善剤を提供することによって解決するものである。
 本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤によれば、皮膚常在菌叢のバランスを良好な状態に改善することができるとともに、防腐剤や殺菌剤による皮膚常在菌叢の多様性の低下及び健常な皮膚環境の維持に有用な皮膚常在菌の減少を抑制することができるので、皮膚常在菌叢の乱れを抑制し、皮膚を健康な状態に維持することができる。
ラクトスクロース含有糖質塗布試験において被験試料と対照試料を塗布した顔面上の部位を示す図である。 ラクトスクロース含有糖質塗布試験において被験試料と対照試料塗布前の全被験者の多様性指数を示す図である。
 本発明は、ラクトスクロースを有効成分とする皮膚常在菌叢のバランス改善剤に係るものである。ラクトスクロースは、ガラクトース、グルコース及びフルクトースからなる三糖類であって、その化学構造は、O-β-Gal-(1→4)-O-α-D-Glc-(1←2)-β-D-Fru(但し、「Gal」はガラクトース残基、「Glc」はグルコース残基、「Fru」はフルクトース残基を表す。)で表される。ラクトスクロースは、天然にも存在するまろやかな甘味を有する糖質であり、甘味剤、賦形剤、安定剤、増粘剤、保湿剤、照り付与剤などとして、更には、ビフィズス菌選択糖源として、各種飲食品の分野において広範に用いられている安全、且つ、有用な糖質である。
 本発明のバランス改善剤に使用するラクトスクロースは、天然品であっても、化学合成されたものであってもよく、発酵法、酵素法で製造したものであってもよい。例えば、酵素法によるラクトスクロース又はラクトスクロース含有糖質の製造方法としては、フルクトシル基の供与体としてのスクロースと受容体としてのラクトースとを含有する水溶液に、フルクトース転移酵素を作用させてラクトスクロースを生成させ、グルコースや未反応基質を除去し、精製する方法が知られている。ラクトスクロースは、本発明の効果を妨げない限り、必ずしも精製又は単離されたものを用いる必要はなく、未分離組成物としての形態、それらを部分精製、或いは、高度に精製したものであってもよいし、液状、粉末状、固状のいずれの形態にあるものであってもよく、市販されているラクトスクロース含有糖質を使用してもよい。市販品としては、例えば、株式会社林原が販売している液状の『乳果オリゴ(登録商標)400』(固形物当たりのラクトスクロース含量:約42~47質量%)、『乳果オリゴ(登録商標)550』(固形物当たりのラクトスクロース含量:約55~60質量%)、『乳果オリゴ(登録商標)700』(固形物当たりのラクトスクロース含量:約68~73質量%)と、粉末状の『乳果オリゴ(登録商標)700粉末』(固形物当たりのラクトスクロース含量:約68~73質量%)がある。また、株式会社パールエースが販売している液状の『LS-40L』(固形物当たりのラクトスクロース含量:約42~47質量%)、『LS-55L』(固形物当たりのラクトスクロース含量:約55~60質量%)、粉末状の『LS-55P』(固形物当たりのラクトスクロース含量:約55~60質量%)、『LS-90P』(固形物当たりのラクトスクロース含量:約88~93質量%)がある。
 本発明でいう「皮膚常在菌叢」とは、ヒト皮膚上に生育している菌叢を意味しており、個人差、または部位による差はあるものの、アクネ菌に代表されるプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属に属する菌、黄色ブドウ球菌に代表されるスタフィロコッカス(Staphylococcus)属に属する菌、サーモフィルス菌に代表されるストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する菌、悪玉菌とされるコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する菌、アナエロコッカス(Anaerococcus)属に属する菌等から構成されることが知られている。
 本発明でいう「皮膚常在菌叢のバランス改善」とは、皮膚常在菌叢の適正な状態、すなわち、上述したような皮膚常在菌の多様性を保つことを意味する。特定の皮膚常在菌が異常に増減すると、皮膚に対して様々な悪影響を及ぼすことが知られている。従って、皮膚の健康状態を維持する上で、皮膚常在菌叢の適正な状態を保つことは非常に重要なことである。
 皮膚常在菌の適正なバランスが保たれているか否かは、皮膚常在菌叢を以下に述べるような測定方法を用いて測定することによって調べることができる。以下、説明する。皮膚常在菌叢の採取には、湿式綿棒、テープストリッピング等を用いる方法がある。皮膚常在菌叢は、洗顔や身体を洗うなどの外的ストレスによって常に変化することから、例えば、スキンケアの対象部位である顔に対しては、洗顔の方法や回数、採取部位、採取方法、採取時刻などの条件を揃えたうえで採取した菌を解析することが望ましい。また、皮膚常在菌叢は採取時点では菌種が生存しているために、保存状態によっては菌の増殖等の影響を受け、常在菌叢の組成が変化する可能性があるので、採取後は迅速に解析を実施することが望ましい。皮膚常在菌叢の解析には、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析を用いることで、皮膚常在菌叢を構成する全ての菌種とその存在比率の解析が可能となる。皮膚常在菌叢の受託解析サービスは、例えばワールドフュージョン社、タカラバイオ社などが行っているが、皮膚常在菌叢の状態、各菌種の存在比率が明らかになる方法であれば特に限定されない。
 本発明でいう「皮膚常在菌叢のバランス改善」とは、皮膚常在菌の多様性を向上及び/又は維持させることを意味する。皮膚常在菌の多様性は、それを構成する菌種の数と各々の菌種が占める存在比率から計算されるシンプソンインデックス(Simpson index)により数値化することができる。すなわち、皮膚常在菌の多様性の指標としては、それを構成する菌種の豊富さと、菌種の均等度の2つがあり、菌種の豊富さとは菌叢に存在する菌種の数を示し、菌種の数が多いほど菌叢は多様であるが、菌叢に含まれる菌種の数が同程度であっても、特定の菌種の菌体数が多く存在し、他菌種の菌体数が少ない場合、多様性は低いということになる。また、菌叢内に存在する各種間の菌体数の等しさを種の均等度と呼び、菌種の多様性を表現するためには、菌種の豊富さと菌種の均等度を共に考慮した多様性指数が用いられている。多様性指数は、下記式1で計算されるシンプソンインデックス(D)として求めることができる。
 式1
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 式1におけるSは、菌叢に含まれる菌種の数を表す。niは菌種iの菌体数、Nは全菌体数、ni/Nは菌種iが菌叢の全菌体数に占める割合である。シンプソンインデックスは、多様性が高いほど1に近づき、多様性が乏しいほど0に近づく。つまり、皮膚常在菌叢においては、シンプソンインデックスが1に近いほど常在菌叢が良好な状態であると解釈される。
 皮膚常在菌叢のバランスを乱す要因の一つとしては、皮膚に適用される各種皮膚外用剤や化粧品等に含まれる防腐剤や殺菌剤があり、本明細書でいう「皮膚常在菌叢のバランス改善」とは、皮膚外用剤などに含まれる防腐剤や殺菌剤による皮膚常在菌の多様性の低下の抑制も含まれる。一般に、皮膚外用剤や化粧品には、その雑菌汚染や腐敗による品質劣化を防止するために防腐剤や殺菌剤が配合されている。防腐剤や殺菌剤には殺菌成分が含まれており、防腐剤や殺菌剤入りの皮膚外用剤などを顔、首、腕、脇、足などの皮膚に適用した場合、皮膚常在菌叢は防腐殺菌成分の影響により特定の菌が死滅又は減少するなどしてそのバランスが崩れることとなる。本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤は、防腐剤や殺菌剤とともに皮膚外用剤又は化粧品に配合することにより、皮膚常在菌叢のバランスの乱れを抑制する効果を奏する。一般的な皮膚外用剤において汎用される防腐剤や殺菌剤としては、例えば、フェノール、パラクロロフェノール、パラクロロメタクレゾール、パラクロロメタキシレノール、レゾルシン、レゾルシンモノアセテート、オルトフェニルフェノール、イソブチルパラベン、エチルパラベン、エチルパラベンナトリウム、ブチルパラベン、ブチルパラベンナトリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウムなどのパラオキシ安息香酸アルキルエステル、フェノキシエタノール、チモール、クレゾール、ヒノキチオール、ヒドロキシベンザチオールなどのフェノール類、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、2,4,4´-トリクロロ-2´-ヒドロキシジフェニルエーテル、ヘキサクロロフェン、ビチオノール、ジクロロフェンなどのハロゲン化ビスフェノール類、3,4,4´-トリクロロカルバニリド、3-トリフルオロメチル4,4´-ジクロロカルバニリド、3,4´,5-トリブロモサリチルアニリド、p-アミノベンゼンスルホンアミド、ウンデシレン酸モノエタノールアミドなどのアミド類、塩化ベンザルコニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどの4級アンモニウム化合物類、塩化アルキルアミノエチルグリシン、塩化ステアリルヒドロキシエチルベタインナトリウムなどの両イオン性界面活性剤、グルコン酸クロルヘキシジン、テトラメチルチウラムジサルファイド、感光素101号、感光素201号、感光素301号、感光素401号、感光素NK-143などの感光素類、1-ハイドロキシピリジン-2-チオン(ジンクピリチオン)、イミダゾリジニルウレア、N-トリクロロメチル・メルカプト-4-シクロヘキセン1,2-ジカルボキシイミド、塩化リゾチーム、クロルフェネシン、クロロブタノール、2-ブロム-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、アニスオイル、アシカオイル、シトロネロール、オイゲノール、ベンジルアルコール、エタノール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオールなどのアルコール類、パラクロルメタクレゾール、塩化クロルヘキシジン、ビス(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、チアントール、イソプロピルメチルフェノール、6-アセトキシ-2,4-ジメチル-m-ジオキサン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、塩素、次亜塩素酸ナトリウム、サラシ粉、ヨード、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、ピロ炭酸ジエチル、エチレンオキサイド、β-プロピオラクトン、過酸化水素水、イオウ、グルコン酸カリウム、DMDMヒダントイン、アルキル(C12-14)ジエチルアミノエチルグリシン塩酸塩、クオタニウム-80、クオタニウム-87、クロラミンT、シメン-5-オール、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピル、ポリアミノプロピルビグアニド、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、ヨウ化ジメチルアミノスチリルヘプチルメチルチアゾリウムなどが挙げられる。
 とりわけ、本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤は、皮膚常在菌叢の大部分を占める、スタフィロコッカス属、アナエロコッカス属、プロピオニバクテリウム属、及び、コリネバクテリウム属に属する菌の存在比率の変動を抑制することにおいて優れている。
 本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤を皮膚常在菌叢のバランス改善目的で皮膚外用剤や化粧品などに配合する場合、ラクトスクロースの含量は、皮膚外用剤や化粧品の総質量に対して、通常、0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは、0.5質量%以上8質量%以下、さらに望ましくは1質量%以上6質量%以下の割合になるように調整するのが望ましい。ラクトスクロースの含量が皮膚外用剤や化粧品の総質量に対して、0.1質量%を下回ると皮膚常在菌叢のバランス改善効果が不十分となる場合があり、10質量%を超えて用いたとしても、10質量%配合した場合と効果は大きく変わることがないので、経済的にみて好ましくない。
 本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤の形態は、特に限定されるものではなく、液剤、軟膏剤、ジェル剤、クリーム剤などの適宜の形態とすることができる。
 本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤は、好適な場合、それを適用したヒトの皮膚常在菌叢のバランスを改善するだけでなく、皮膚性状を改善する効果を奏する。当該皮膚性状の改善効果としては、肌のかさつき感の緩和、しっとり感の向上、角質水分量の増加が挙げられる。
 上述したとおり、本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤を含んでなる皮膚外用剤又は化粧品には、防腐剤や殺菌剤を配合してもよく、さらに、皮膚常在菌叢のバランス改善というその効果を妨げない程度に、その剤型や用途に応じて以下のような任意成分、すなわち、界面活性剤、アルコール類、多価アルコール類、液状油、シリコーン油、ロウ類、油脂等の油性成分、粉体類、増粘剤、顔料、染料、香料、紫外線吸収剤、ビタミン類、pH調整剤などを配合することができる。
 界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)などが挙げられる。
 アルコール類としては、エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノール等の天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の合成アルコールなどが挙げられる。
 多価アルコール類としては、酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトールなどが挙げられる。
 液状油である植物油としては、マカデミアナッツ油、オリーブ油、アボカド油、ローズヒップ油、ツバキ油、液状シア脂、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油などが例示され、液状油であるパラフィン類としては、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィンなどが挙げられる。また、液状油である飽和脂肪酸エステル、トリグリセリドとしては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルへキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリカプリル酸グリセリルなどが挙げられる。
 シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、シリコーンゴム、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサンなどが挙げられる。
 ロウ類としては、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックスなどが挙げられる。
 油脂としては、アボガド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、スクワレン、スクワラン、プリスタンなどが挙げられる。
 粉体類としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、窒化ホウ素等の無機粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類などが挙げられる。
 増粘剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、タマリンド、ファーセレラン、カラヤガム、トロロアオイ、キャラガム、トラガントガム、ペクチン、ペクチン酸及びナトリウム塩等の塩、アルギン酸及びナトリウム塩等の塩、マンナン、コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等のデンプン、デキストリン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸及びその塩、ザンサンガム、プルラン、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、カッソウエキス、コンドロイチン硫酸塩、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム等の塩、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース及びその誘導体、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルデンプン等のデンプン系高分子、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウム等のデンプン誘導体、アルギン酸プロピレングリコールエステル等アルギン酸誘導体、ポリビニルピドリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピドリドン・ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー等の両性メタクリル酸エステル共重合体、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、ポリ酢酸ビニル部分けん化物、マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル共重合体;アクリル樹脂アルカノールアミン、ポリエステル、水分散性ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エチル等のポリアクリル酸エステル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸及びそのナトリウム塩等の塩、アクリル酸・メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体、ポリクオタニウム-10等のカチオン化セルロース、ポリクオタニウム-7等のジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ポリクオタニウム-22等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、ポリクオタニウム-39等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸アミド共重合体、ポリクオタニウム-47等のアクリル酸・アクリル酸メチル・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体、塩化メタクリル酸コリンエステル重合体、カチオン化オリゴ糖、カチオン化デキストラン、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等のカチオン化多糖類、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ポリクオタニウム-51等の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体及びメタクリル酸ブチル共重合体等との共重合体、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス、合成ラテックス等の高分子エマルジョン、ニトロセルロース、ポリウレタン類及び各種共重合体、各種シリコーン類、アクリル-シリコーングラフト共重合体等のシリコーン系各種共重合体、各種フッ素系高分子、12-ヒドロキシステアリン酸及びその塩、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、無水ケイ酸、煙霧状シリカ(超微粒子無水ケイ酸)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、金属石鹸、ジアルキルリン酸金属塩、ベントナイト、ヘクトライト、有機変性粘土鉱物、ショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、マルメロ種子抽出物、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、澱粉、カルボキシメチルキチンなどの天然高分子物質、半合成高分子物質或いは合成高分子物質などが挙げられる。
 顔料としては、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸などの体質顔料、酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラックなどの着色顔料、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、着色雲母チタンなどのパール顔料、ステアリン酸のマグネシウム、カルシウム及びアルミニウム塩、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸の亜鉛塩、澱粉粉、シルクパウダー、ナイロンパウダー、ポリメタアクリル酸メチル末、ポリエチレン末などの粉体顔料などが挙げられる。
 染料としては、5-アミノオルトクレゾール、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、1-アミノ-4-メチルアミノアントラキノン、3,3´-イミノジフェノール、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、塩酸2,4-ジアミノフェノール、塩酸トルエン-2,5-ジアミン、塩酸ニトロパラフェニレンジアミン、塩酸パラフェニレンジアミン、塩酸N-フェニルパラフェニレンジアミン、塩酸メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、酢酸N-フェニルパラフェニレンジアミン、1,4-ジアミノアントラキノン、2,6-ジアミノピリジン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、トルエン-2,5-ジアミン、トルエン-3,4-ジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラメチルアミノフェノール、ピクラミン酸、ピクラミン酸ナトリウム、N,N´-ビス(4-アミノフェニル)-2,5-ジアミノ-1,4-キノンジイミン、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、N-フェニルパラフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、硫酸5-アミノオルトクレゾール、硫酸2-アミノ-5-ニトロフェノール、硫酸オルトアミノフェノール、硫酸オルトクロルパラフェニレンジアミン、硫酸4,4´-ジアミノジフェニルアミン、硫酸2,4-ジアミノフェノール、硫酸トルエン-2,5-ジアミン、硫酸ニトロパラフェニレンジアミン、硫酸パラアミノフェノール、硫酸パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸パラニトロメタフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミン、硫酸パラメチルアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、硫酸メタフェニレンジアミン、カテコール、ジフェニルアミン、α-ナフトール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、レゾルシン、タンニン酸、2-ヒドロキシ-5-ニトロ-2´,4´-ジアミノアゾベンゼン-5´-スルホン酸ナトリウム、ヘマテインなどが挙げられる。
 香料としては、ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリス等の天然動物性香料、アニス精油、アンゲリカ精油、イランイラン精油、イリス精油、ウイキョウ精油、オレンジ精油、カナンガ精油、カラウェー精油、カルダモン精油、グアヤクウッド精油、クミン精油、黒文字精油、ケイ皮精油、シンナモン精油、ゲラニウム精油、コパイババルサム精油、コリアンデル精油、シソ精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジャスミン精油、ジンジャーグラス精油、杉精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、大茴香精油、チュベローズ精油、丁字精油、橙花精油、冬緑精油、トルーバルサム精油、バチュリー精油、バラ精油、パルマローザ精油、桧精油、ヒバ精油、白檀精油、プチグレン精油、ベイ精油、ベチバ精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ボアドローズ精油、芳樟精油、マンダリン精油、ユーカリ精油、ライム精油、ラベンダー精油、リナロエ精油、レモングラス精油、レモン精油、ローズマリー(マンネンロウ)精油、和種ハッカ精油等の植物性香料、その他合成香料などが挙げられる。
 紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジエトキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸ブチルエステル等のパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレートなどのアントラニル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸、オキシベンゾン-3、オキシベンゾン-4、オキシベンゾン-5、オキシベンゾン-9などのベンゾフェノン誘導体、1,3-プロパンジオン誘導体に糖または糖アルコールが結合した糖系紫外線吸収剤、サリチル酸及びそのナトリウム塩、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート、サリチル酸ジプロピレングリコール等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシルp-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート(シノキサート)、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシルα-シアノ-β-フェニルシンナメート(オクトクリン)、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、フェルラ酸及びその誘導体等の桂皮酸系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2´-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2´-ジヒドロキシ-4,4´-ジメトキシベンゾフェノン、2,2´,4,4´-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4´-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4´-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3-(4´-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2´-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2´-ヒドロキシ-5´-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2´-ヒドロキシ-5´-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、4-メトキシ-4´-t-ブチルジベンゾイルメタン、4-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン誘導体、オクチルトリアゾン、ウロカニン酸及びウロカニン酸エチル等のウロカニン酸誘導体、2-(2´-ヒドロキシ-5´-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等のヒダントイン誘導体、フェニルベンズイミダソゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、アントラニル酸メチル、ルチン及びその誘導体、オリザノール及びその誘導体、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、タルク、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクリレン、ジメチルPABAオクチル、ホモサレート、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸オクチルなどが挙げられる。
 ビタミン類としては、ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンUなどが挙げられる。
 pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、リン酸、塩酸、硫酸、ホウ酸、ホウ砂、ニトリロトリエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、アルギニン、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カリウムアンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、リン酸アンモニウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、クエン酸カリウムなどが挙げられる。
 本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤を含んでなる皮膚外用剤としては、外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤等が挙げられる。
 本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤を含んでなる化粧品としては、化粧水、美容液、乳液、クリーム、パック料、マッサージ料、洗顔料、クレンジング料、日焼け止め料等のスキンケア化粧品、ボディーパウダー、ボディーローション等のボディーケア化粧料、下地料、ファンデーション、白粉、コンシーラー、アイカラー、口紅等のメーキャップ化粧料、軟膏、エアゾール、添付剤等を例示することができる。
 また、上記皮膚外用剤や化粧品が、乳化組成物の場合、O/W型、W/O型や、O/W/O型、W/O/W型等の多層型のいずれにおいても本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤を配合することは可能である。
 上記のように本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤は、皮膚外用剤又は化粧品に配合し好適に用いることができる。さらに、本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤は、例えば不織布等に含浸させて使用する方法、すなわち、拭き取り式のシート状洗顔料、シート状クレンジング料、シート状濡れナプキンにも利用が可能である。
 以下、実験により本発明を詳細に説明する。
<実験1:皮膚常在菌による各種糖質の資化性試験>
 皮膚常在菌の中で、善玉菌とされるラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus) JCM 1558、ミクロコッカス・クリスチナエ(Micrococcus kristinae) ATCC 27570と、悪玉菌とされるプロピオニバクテリウム・アクネス JCM 6425、スタフィロコッカス・アウレウス ATCC 6538Pとを用い、各種糖質の資化性を評価した。糖質は、グルコース(試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社製)、スクロース(試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社製)及びラクトスクロース(純度96.8質量%、塩水港製糖株式会社製)を使用した。
 予め培養しておいた菌を、各種糖質を1.0質量%添加したそれぞれの菌に最適な培地10mLに接種し、30又は37℃のいずれか、2又は4日間のいずれかで、それぞれの菌に適した培養条件で培養した。培養終了時の培養液中の残糖量をアンスロン-硫酸法を用いて測定し、培養開始時の培地の糖含量に基づいて算出したそれぞれの糖の残存率に基づき各菌の糖の資化性を下記の5段階で評価した。各皮膚常在菌の培養条件及び資化性の結果を表1に示す。なお、糖の残存率は、斯界において汎用されるアンスロン硫酸法によりD-グルコース換算に基づく培養開始時及び培養終了時の培養液中の糖量を求め、培養開始前の培養液中の糖量に対する培養終了時の培養液中の糖量の百分率を計算することにより求めた。
≪糖の資化性(糖の残存率)≫
  +++:糖の残存率が20%以下
   ++:糖の残存率が20%超50%以下
    +:糖の残存率が50%超80%以下
    ±:糖の残存率が80%超90%以下
    -:糖の残存率が90%超
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1に見られるとおり、グルコースは、試験に用いたいずれの菌においても資化され、スクロースは、試験に用いた悪玉菌のうちプロピオニバクテリウム・アクネスには資化されなかったものの同じく悪玉菌であるスタフィロコッカス・アウレウス及び善玉菌2種に資化された。すなわち、グルコースとスクロースは、程度の差はあれ、善玉菌及び悪玉菌のどちらにも資化されることが分かった。これに対し、ラクトスクロースは、善玉菌の1種であるミクロコッカス・クリスチナエには資化されなかったものの同じく善玉菌であるラクトバチルス・ペントーサスに選択的に資化され、その一方で悪玉菌であるプロピオニバクテリウム・アクネス及びスタフィロコッカス・アウレウスには資化されないことが分かった。この結果より、ラクトスクロースが皮膚常在菌の善玉菌に選択的に資化され、善玉菌を選択的に増殖させることから、皮膚常在菌叢の改善作用を奏すると期待された。
<実験2:ラクトスクロース含有糖質が皮膚常在菌叢に与える影響>
 実験1の結果を踏まえ、ラクトスクロース含有糖質が皮膚常在菌の多様性及び各種皮膚常在菌の存在比率に与える影響を調べた。
<実験2-1:被験試料溶液の調製>
 ラクトスクロース含有糖質(商品名『乳果オリゴ700粉末』、ロット番号:8G06、ラクトスクロース純度72.1質量%、株式会社林原販売)を終濃度5質量%となるように精製水に溶解し、フィルター(Stericup 250μL durapore 0.45μm PVDF (メルクミリポア株式会社製))ろ過することにより滅菌し、被験試料溶液(ラクトスクロース含有糖質溶液)を調製した。
<実験2-2:ラクトスクロース含有糖質塗布試験>
 25歳乃至55歳の健常な成人女性23名を被験者とし、顔の皮膚を被験部位とした塗布試験を行った。被験試料溶液又は精製水(対照)を顔に塗布するに際しては、塗布前に洗顔し、容器に分注した被験試料溶液又は精製水それぞれ1mL全量をコットンに出し、図1に示すように、被験試料溶液を被験者の顔の右半分に、精製水を被験者の顔の左半分に塗布することとし、朝と夜の1日2回、14日間連用塗布させた。なお、被験試料溶液と精製水との塗布部位の重複を防ぐために、顔の縦中心約2cm幅には試料を塗布しないこととした。試験期間中、被験者には、皮膚常在菌に影響を及ぼすアルコールを含有する皮膚洗浄シート等の使用を避ける以外は、通常使用している化粧品を変えずに過ごすよう指導した。
<実験2-3:皮膚常在菌叢の採取及び菌叢解析>
 皮膚常在菌叢の採取は、被験試料溶液又は精製水(対照)の連用塗布前及び連用塗布後に実施した。皮膚表面上の一部の菌は洗顔によりダメージを受けるため、洗顔前に、菌採取用の綿棒で皮膚常在菌叢を採取した。採取したサンプルは、株式会社ワールドフュージョンに委託して、常法により16SリボソームRNA配列同定を行い、菌種とその存在比率を算出して皮膚常在菌叢を解析した。皮膚常在菌の多様性を評価する指標として、式1で得られる多様性指数(シンプソンインデックス)を算定した。なお、皮膚常在菌叢は同一の個人においても体表部位によって差があり、同じ部位での皮膚常在菌叢の状態の経時的な変化が重要であるため、各試料の塗布前後での皮膚常在菌叢の状態を比較している。以降の実験についても同様である。
 全被験者の連用塗布前及び連用塗布後の各時点での被験試料溶液又は精製水(対照)を塗布した被験部位における多様性指数の平均値を表2に示す。なお、各被験部位の塗布前及び塗布後の多様性指数については、それぞれpaired-t検定を行い、危険率p<0.05を有意差ありと判断し、表中に*で示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表2に見られるとおり、精製水(対照)を塗布した顔の左半分において、皮膚常在菌叢の多様性指数(シンプソンインデックス)は塗布前0.76から塗布後0.79と、わずかに増加したが有意な変動ではなかった。これに対し、被験試料溶液を塗布した顔の右半分においては、多様性指数は塗布前0.75から塗布後0.81と、有意な増加が認められた。この結果から、ラクトスクロース含有糖質を皮膚に連用塗布することにより、皮膚常在菌の多様性が増加することが示された。
 次に、同実験において、皮膚のバリア機能を修復し、肌の保湿に有用であることが報告されている皮膚常在菌であるストレプトコッカス・サーモフィラスについて、連用塗布前及び連用塗布後の各時点での存在比率の解析を行った。
 全被験者の連用塗布前及び連用塗布後の各時点での被験試料溶液又は精製水(対照)を塗布した被験部位におけるストレプトコッカス・サーモフィラスの存在比率の平均値を表3に示す。なお、当該存在比率については、それぞれpaired-t検定を行い、危険率p<0.05を有意差ありと判断し、表中に*で示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表3に見られるとおり、精製水(対照)を塗布した顔の左半分において、ストレプトコッカス・サーモフィラスの存在比率は、塗布前0.10%から塗布後0.18%と、増加する傾向が認められた。これに対し、被験試料溶液を塗布した顔の右半分においては、存在比率は塗布前0.08%から塗布後0.17%と、有意な増加が認められた。すなわち、ラクトスクロース含有糖質を皮膚に塗布することにより、皮膚常在菌の多様性が増加し、良好な皮膚環境を維持するために有用とされる皮膚常在菌の存在比率が増加したことから、ラクトスクロース含有糖質が皮膚の健全性を保つ素材として有用であることが示された。
<実験2-4:官能評価>
 被験試料溶液又は精製水(対照)の連用塗布前、連用塗布期間中(塗布開始7日後)及び連用塗布後(塗布開始14日後)に、被験者全員に対し、肌状態の「かさつき感」及び「しっとり感」の2項目について官能アンケート調査を実施した。各時点での肌状態の「かさつき感」及び「しっとり感」については、
   感じる:     5
   やや感じる:   4
   わからない:   3
   あまり感じない: 2
   全く感じない:  1
の5段階で評価した。全被験者の各時点での評価のスコア値を表4に示す。また、各時点での全被験者の評価のスコアの平均順位を算出した。結果を表5に示す。
 なお、各被験部位の塗布前と塗布中又は塗布後の肌状態については、それぞれフリードマン検定とScheffeの対比較を行い、危険率p<0.05を有意差ありと判断し、表中に*で示し、危険率p≦0.05乃至0.10を傾向ありと判断し、表中に+で示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表5に見られるとおり、精製水(対照)を塗布した顔の左半分において、「かさつき感」及び「しっとり感」の大きな変動は認められなかったが、被験試料溶液を塗布した顔の右半分においては、塗布前と比較して塗布中又は塗布後に「かさつき感」を感じなくなり、「しっとり感」を感じるようになった。この結果から、ラクトスクロース含有糖質を皮膚に塗布することにより、肌の保湿効果が得られることが示された。
 以上の結果より、ラクトスクロース含有糖質を皮膚に塗布することで、皮膚常在菌の多様性が向上し、良好な皮膚環境を維持するために有用な皮膚常在菌の存在比率を増加させることが示された。ラクトスクロース含有糖質は、皮膚の健全性を保つ素材として有利に利用でき、また、肌の保湿効果を得るために化粧品などの皮膚外用剤に配合し得ることが示された。
<実験2-5:皮膚常在菌の多様性が低い被験者に対するラクトスクロース含有糖質の影響>
 前記実験2-3において、被験試料溶液又は精製水(対照)塗布前の状態での全被験者の多様性指数を図2に示す。全被験者の多様性指数は、0.31から0.98と幅広く分布し、その中央値は0.83であった。ここで、図2の多様性指数が0.60を示す線よりも下に位置する、全被験者の下位1/4にあたる被験者6名(以下、「多様性低群」という。)を選抜し、層別解析を行った。
<実験2-5-1:皮膚常在菌叢の採取及び菌叢解析>
 実験2-3と同じ方法により多様性低群の皮膚常在菌叢を解析した。多様性低群の連用塗布前及び連用塗布後の各時点での被験試料溶液又は精製水(対照)を塗布した被験部位における多様性指数の平均値を表6に示す。なお、各被験部位の塗布前及び塗布後の多様性指数については、それぞれpaired-t検定を行い、危険率p<0.01を有意差ありと判断し、表中に**で示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表6に見られるとおり、精製水(対照)を塗布した顔の左半分において、多様性指数は塗布前0.46から塗布後0.57と、若干の増加(有意差なし)をしたのに対し、被験試料溶液を塗布した顔の右半分においては、多様性指数は0.45から塗布後0.60と、有意な増加が認められた。この結果から、ラクトスクロース含有糖質を皮膚に塗布することによる皮膚常在菌の多様性増加の効果は、全被験者における効果よりも多様性低群においてより顕著に観察されることが示された。
 次に、多様性低群について皮膚常在菌の存在比率の解析を行った。皮膚のバリア機能を修復し、肌の保湿に有用であることが報告されているストレプトコッカス・サーモフィラス及びニキビの原因菌として知られるプロピオニバクテリウム・アクネスについて、多様性低群の、連用塗布前及び連用塗布後の各時点での被験試料溶液又は精製水を塗布した被験部位における各皮膚常在菌の存在比率の平均値を表7及び表8に示す。なお、各被験部位の塗布前及び塗布後の各皮膚常在菌の存在比率について、それぞれpaired-t検定を行い、危険率p<0.05を有意差ありと判断し、p<0.05及びp<0.01を表中に*及び**で示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 表7に見られるとおり、精製水(対照)を塗布した顔の左半分において、ストレプトコッカス・サーモフィラスの存在比率は、0.02%から0.06%と、存在比率の変動は塗布前と連用塗布後でごくわずかにとどまった。これに対し、被験試料溶液を塗布した顔の右半分において、0.01%から0.11%と、有意な増加が認められた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 表8に見られるとおり、精製水(対照)を塗布した顔の左半分において、プロピオニバクテリウム・アクネスの存在比率は、69.40%から61.61%と、減少したが、有意な変動ではなかった。これに対し、これに対し、被験試料溶液を塗布した顔の右半分においては、70.01%から59.59%と、有意な減少が認められた。
<実験2-5-2:肌状態の測定>
 実験2-4の官能評価の際に、皮表角層水分量測定装置(SKICON-200EX、アイ・ビイ・エス株式会社製)を用いて全被験者に対し、角層水分量を、試料塗布前、塗布中及び塗布後にそれぞれ3回ずつ測定し、各時点での平均値を算出した。この測定装置は、角層水分量を皮膚コンダクタンス(電気伝導度、単位:μS)として評価するものである。各被験者の顔の両頬の中央部分(1.5cm×1.5cm)を測定部位とした。実験2-5-1で選抜した多様性低群の試料塗布前からの角層水分量の平均値の変化量を表9に示す。なお、各被験部位の塗布前、塗布中及び塗布後の角層水分量の平均値の変化量について、それぞれpaired-t検定を行い、危険率p≦0.05乃至0.1を傾向ありと判断し、表中に+で示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 表9に見られるとおり、多様性低群では、精製水(対照)を塗布した顔の左半分においては、皮膚コンダクタンス(角層水分量)の変化量は、-2.06及び10.56と、若干の変動(有意差なし)をしたのに対し、被験試料溶液を塗布した顔の右半分においては、6.94及び25.83と、増加する傾向が認められ、角層水分量が増加することが示された。
 以上の結果より、ラクトスクロース含有糖質を皮膚に塗布することにより、皮膚常在菌の多様性が増加するとともに、善玉菌と悪玉菌の存在比率のバランスがとれ、良好な皮膚環境に近づくという皮膚常在菌叢のバランスを改善する作用が示された。すなわち、ラクトスクロース含有糖質は、皮膚常在菌叢のバランス改善剤の有効成分として有利に利用できることが示された。
<実験3:防腐剤が皮膚常在菌叢に及ぼす影響とラクトスクロース含有糖質配合の効果>
 次に、防腐剤が皮膚常在菌叢のバランスに及ぼす影響とラクトスクロース含有糖質の配合の効果について検討した。
<実験3-1:被験試料溶液の調製>
 ラクトスクロース含有糖質(商品名『乳果オリゴ700粉末』、ラクトスクロース純度72.1質量%、株式会社林原販売)と、汎用化粧品原料を表10に示す比率で配合した被験試料溶液を調製し被験試料Aとした。ラクトスクロース含有糖質を配合しない以外は被験試料Aと同様にして調製した被験試料溶液をプラセボ試料Bとした。なお、表10に示す処方は、欧州化粧品規則1223/2009に則って製造されたものであり、防腐剤であるフェノキシエタノール及びクロルフェネシンの配合量は、「化粧品基準」において定められた最大配合量以下である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
<実験3-2:ラクトスクロース含有糖質塗布試験>
 18-70歳の健常な男女23名(男性10名、女性13名)を被験者とし、無作為に2群に分け、各群の被験者に対し、左右いずれかの腋を被験部位とし、無香料の石鹸で両腋を洗った後、ロールオンタイプの容器に充填した被験試料A又はプラセボ試料B1往復分(約0.3mL)を、被験部位に14日間連用塗布した。
<実験3-3:皮膚常在菌叢の採取及び菌叢解析>
 菌叢採取は、被験試料A又はプラセボ試料Bの連用塗布前及び連用塗布を終了した24時間後の2回実施した。菌採取用の綿棒を用いて被験者の両腋部をそれぞれ50往復ぬぐって皮膚常在菌叢を採取した。採取したサンプルは、プロダーム応用皮膚科学研究所(ドイツ連邦共和国所在)に委託して、常法にて16SリボソームRNA配列同定を行い、菌種とその菌数及び存在比率を算出して皮膚常在菌叢を解析した。実験2と同様に、皮膚常在菌の多様性を評価する指標として、多様性指数(シンプソンインデックス)を用いた。
 被験試料A又はプラセボ試料Bを塗布した腋部における連用塗布前及び連用塗布を終了した24時間後の多様性指数の平均値を表11に示す。なお、各被験試料の連用塗布前及び連用塗布を終了した24時間後の多様性指数について、それぞれpaired-t検定を行い、危険率p<0.05を有意差ありと判断し、表中に*で示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 表11に見られるとおり、プラセボ試料Bを塗布した腋部では、皮膚常在菌叢の多様性指数の値が塗布前の時点で0.44であったものが連用塗布後24時間の時点では0.23を示し、多様性指数の有意な減少が認められた。プラセボ試料Bは、精製水と汎用の化粧品原料を配合したものであるため、プラセボ試料Bを塗布した被験部位での皮膚常在菌叢の多様性指数の有意な減少は、汎用の化粧品原料のうち、製剤の品質を保つために添加された防腐剤であるフェノキシエタノールとクロルフェネシンの影響によるものと推測された。これに対し、ラクトスクロース含有糖質を配合した被験試料Aを塗布した腋部では、皮膚常在菌叢の多様性指数の値が塗布前の時点で0.53であったものが連用塗布後24時間の時点で0.52を示し、皮膚常在菌叢の多様性指数の変化は認められなかった。
 上記の結果から、「化粧品基準」において定められた配合量の範囲内であっても、防腐剤を含有する皮膚外用剤を皮膚に塗布すると、一部の皮膚常在菌に対して殺菌作用を示したり、増殖を抑制したりすることで、皮膚常在菌の多様性が低下するものの、ラクトスクロース含有糖質をさらに配合したものは防腐剤による皮膚常在菌の多様性低下が緩和され、皮膚常在菌の多様性を維持することが示された。
 全被験者について菌叢を解析したところ、被験者の腋部の菌叢は、スタフィロコッカス属、コリネバクテリウム属及びアナエロコッカス属のほぼ3種の皮膚常在菌によって占められていた。被験試料A又はプラセボ試料Bを塗布した腋部における連用塗布前及び連用塗布後24時間の時点におけるこれら3種の皮膚常在菌の存在比率の平均値を表12に示す。
 なお、各被験試料の連用塗布前及び連用塗布後24時間の時点の各皮膚常在菌の存在比率について、それぞれウィルコクソンの符号順位検定を行い、危険率p<0.01を有意差ありと判断し、表中に**で示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
 表12に見られるとおり、プラセボ試料Bを塗布した腋部において、コリネバクテリウム属は塗布前の存在比率が21.38%であったのに対し連用塗布後24時間の時点では8.39%と大幅に減少していた。また、アナエロコッカス属も塗布前の存在比率が8.99%であったのに対し連用塗布後24時間の時点では4.07%と大幅に減少していた。その一方で、スタフィロコッカス属は塗布前の存在比率が68.64%であったのに対し連用塗布後24時間の時点では87.04%と有意に増加していた。これらの皮膚常在菌の存在比率の変化は、プラセボ試料Bに含まれるフェノキシエタノールとクロルフェネシンなどの防腐剤の影響によるものと推測される。
 これに対し、ラクトスクロース含有糖質を配合した被験試料Aを塗布した腋部では、表12に見られるとおり、いずれの皮膚常在菌の場合も、皮膚常在菌の存在比率の変動は塗布前と連用塗布後でごくわずかにとどまり、プラセボ試料Bで見られたような有意な変化は認められなかった。
 さらに、被験試料A又はプラセボ試料Bを塗布した腋部における連用塗布前及び連用塗布後24時間の時点における皮膚常在菌の菌数についても解析を行った。各試料塗布群における各時点での菌数の平均値を表13に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 表13に見られるとおり、被験試料A又はプラセボ試料Bを塗布した腋部における連用塗布前及び連用塗布後24時間の時点における皮膚常在菌の菌数の有意な変動はなかった。すなわち、プラセボ試料Bを塗布することにより、菌数には影響を与えないが、皮膚常在菌の多様性を低下させ、各種皮膚常在菌の存在比率を変動させることが示された。
 上記のとおり、防腐剤を含有する皮膚外用剤は、皮膚常在菌の多様性を低下させるとともに皮膚常在菌の存在比率を大きく変動させるのに対し、ラクトスクロース含有糖質をさらに配合した皮膚外用剤では、皮膚常在菌の多様性も皮膚常在菌の存在比率も大きく変動することはなかったことから、ラクトスクロース含有糖質は、殺菌剤や静菌剤などの防腐剤による皮膚常在菌叢の乱れを抑制し、皮膚を保護するための皮膚常在菌叢のバランスを改善するために有用であることが分った。
 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、あくまで例示であり、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
<乳液>
 配合成分                       質量%
ステアリン酸                     2.0
セタノール                      1.0
ワセリン                       3.0
ラノリンアルコール                  2.0
流動パラフィン                    8.0
スクワラン                      3.0
グリチルレチン                    0.5
アラントイン                     0.5
ヒアルロン酸                     1.0
ラクトスクロース含有糖質               3.0
 (商品名『乳果オリゴ700粉末』、(株)林原製)
POE(10)モノオレート              2.5
トリエタノールアミン                 1.0
プロピレングリコール                 5.0
防腐剤                        適量
香料                         適量
蒸留水                        残量
全量                       100.0
 上記の処方に従い、常法により乳液を製造した。本品はラクトスクロース含有糖質を配合していることから、防腐剤による皮膚常在菌の多様性変動を抑制することができる。
<収斂化粧水>
 配合成分                       質量%
ジプロピレングリコール                2.0
クエン酸                       0.03
クエン酸ソーダ                    0.05
ラクトスクロース含有糖質               3.0
 (商品名『乳果オリゴ700粉末』、(株)林原製)
ヒスチジン                      5.0
エチルアルコール                  15.0
ポリオキシエチレン(15モル付加)          0.5
オレイルアルコールエーテル
防腐剤                        適量
香料                         適量
蒸留水                        残量
全量                       100.0
 上記の処方に従い、常法により収斂化粧水を製造した。本品はラクトスクロース含有糖質を配合していることから、皮膚常在菌の多様性変動を抑制することができる。
<モイスチャークリーム>
 配合成分                       質量%
(A)
リン酸セチル                     2.0
セタノール                      4.0
ヤシ油                       20.0
ラウリン酸メチルへプチル              10.0
ジメチルシリコーン                  3.0
(B)
グリセリン                      5.0
ラクトスクロース含有糖質               5.0
 (商品名『乳果オリゴ700粉末』、(株)林原製)
キサンタンガム(2%水溶液)             5.0
アルギニン                      1.0
精製水                         残量
全量                       100.0
 上記A相及びB相をそれぞれ80℃で均一に加温溶解した後、A相を撹拌しながら、B相を加え撹拌して均一にし、撹拌を続け30℃まで冷却することによりモイスチャークリームを調製した。本品はラクトスクロース含有糖質を配合していることから、皮膚常在菌の多様性変動を抑制することができる。
<ボディクリーム>
 配合成分                       質量%
(A)
オレイルグリセリル                  2.0
スクワラン                      4.0
ラウリン酸メチルへプチル               3.0
ヤシ油                        1.5
香料                          適量
トコフェロール                    0.05
防腐剤(フェノキシエタノール、クロルフェネシン)    適量
(B)
グリセリン                     10.0
ラクトスクロース含有糖質               5.0
 (商品名『乳果オリゴ700粉末』、(株)林原製)
硫酸マグネシウム                   0.5
植物エキス                      0.3
pH調整剤                       適量
精製水                         残量
全量                       100.0
 上記A相及びB相を室温でそれぞれを均一混合した後、A相を撹拌しながらB相を添加し、B相を添加後もしばらく撹拌し、ボディクリームを調製した。本品はラクトスクロース含有糖質を配合していることから、防腐剤による皮膚常在菌の多様性変動を抑制することができる。
<モイスチャーローション>
 配合成分                       質量%
(A)
キミルアルコール                   2.0
バチルアルコール                   0.5
パルミチン酸                     0.1
ステアリン酸                     0.3
ヤシ油                        0.05
流動パラフィン                    1.0
(B)
ステアロイルグルタミン酸ナトリウム          0.3
ラクトスクロース含有糖質               5.0
 (商品名『乳果オリゴ700粉末』、(株)林原製)
アルギニン                      0.2
グリセリン                      3.0
防腐剤(フェノキシエタノール、クロルフェネシン)    適量
精製水                         残量
全量                       100.0
 上記A相及びB相をそれぞれ80℃に均一加温した後、A相を撹拌しながら、B相を加え撹拌して均一にし、撹拌を続けて30℃まで冷却することによりモイスチャーローションを調製した。本品はラクトスクロース含有糖質を配合していることから、防腐剤による皮膚常在菌の多様性変動を抑制することができる。
<入浴剤>
 配合成分                       質量%
(A)
オレイン酸PEG-6                 10.0
流動パラフィン                    45.0
スクワラン                      10.0
ヤシ油                         5.0
香料                           適量
(B)
グリセリン                      25.0
ラクトスクロース含有糖質                5.0
 (商品名『乳果オリゴ700粉末』、(株)林原製)
植物エキス                        適量
1,3-ブチレングリコール                適量
ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム       1.0
エタノール                        適量
色素                           適量
全量                        100.0
 上記A相を均一に混合し、別途B相を加温溶解した後、撹拌しながらA相を均一に混合し入浴剤を調製した。本品はラクトスクロース含有糖質を配合していることから、皮膚常在菌の多様性変動を抑制することができる。
<軟膏>
 配合成分                        質量%
(A)
オレイン酸ポリグリセリルー2             2.0
ヤシ油                       10.0
スクワラン                      2.0
セレシン                       5.0
ワセリン                       2.0
防腐剤(フェノキシエタノール、クロルフェネシン)    適量
(B)
グリチルリチン酸ジカリウム              1.0
イソステアリン酸                   0.1
ラウリン酸デカグリセリル               5.0
グリセリン                     20.0
ラクトスクロース含有糖質               5.0
 (商品名『乳果オリゴ700粉末』、(株)林原製)
エデト酸2ナトリウム                 0.1
精製水                         残量
全量                       100.0
 上記A相、B相をそれぞれ80℃に均一に加温溶解した後、A相を撹拌しているところにB相を徐々に添加し、撹拌しながら30℃まで冷却することにより軟膏を調製した。本品はラクトスクロース含有糖質を配合していることから、防腐剤による皮膚常在菌の多様性変動を抑制することができる。
 本発明の皮膚常在菌叢のバランス改善剤によれば、防腐剤を配合した皮膚外用剤を皮膚に適用した場合に起こる皮膚常在菌叢のバランスの乱れ、偏りを抑制し、皮膚常在菌叢を健常な状態に維持、改善することができる。皮膚常在菌叢のバランス改善剤を提供する本発明は、皮膚外用剤を用いる化粧品、医薬品などの分野に貢献することとなり、その産業的意義はきわめて大きい。

Claims (10)

  1.  ラクトスクロースを有効成分とする皮膚常在菌叢のバランス改善剤。
  2.  前記バランス改善が、皮膚常在菌叢の多様性を向上させるものである請求項1記載のバランス改善剤。
  3.  前記バランス改善が、防腐剤による皮膚常在菌叢の多様性の低下を抑制するものである請求項1又は2記載のバランス改善剤。
  4.  前記バランス改善が、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、アナエロコッカス(Anaerococcus)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属及びコリネバクテリウム(Corynebacterium)属の菌の存在比率の変動を抑制するものである請求項1乃至3のいずれかに記載のバランス改善剤。
  5.  ラクトスクロースを、製剤中に0.1質量%以上10質量%以下含有する請求項1乃至4のいずれかに記載のバランス改善剤。
  6.  液剤、軟膏剤、ジェル剤又はクリーム剤の形態にある請求項1乃至5のいずれかに記載のバランス改善剤。
  7.  皮膚性状の改善作用を有する請求項1乃至6のいずれかに記載のバランス改善剤。
  8.  皮膚性状の改善が、かさつき感の緩和、しっとり感の向上及び/又は角層水分量の増加であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のバランス改善剤。
  9.  請求項1乃至8のいずれかに記載のバランス改善剤を含有する化粧品又は皮膚外用剤。
  10.  請求項9記載の化粧品又は皮膚外用剤を皮膚に塗布することを特徴とする皮膚常在菌叢のバランス改善方法。
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