JP3130995B2 - トレッドゴム組成物 - Google Patents

トレッドゴム組成物

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JP3130995B2 JP04020146A JP2014692A JP3130995B2 JP 3130995 B2 JP3130995 B2 JP 3130995B2 JP 04020146 A JP04020146 A JP 04020146A JP 2014692 A JP2014692 A JP 2014692A JP 3130995 B2 JP3130995 B2 JP 3130995B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はトレッドゴム組成物に関
し、特に、耐摩耗性と高グリップ性を兼ね備えるトレッ
ドゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】サーキット等、舗装路面上で行われるレ
ースに使用されるタイヤのトレッドゴムには、高いグリ
ップ性が要求される。従来より、高グリップ性を得るた
めに、高スチレン成分含有率のスチレン−ブタジエン共
重合体ゴム(SBR)を使用するか、軟化剤、カーボン
ブラックを高充填した配合系とするか、粒子の小さなカ
ーボンブラックを使用するか、あるいはそれらの組合せ
に頼っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般的
に、高スチレン成分含有率のスチレン−ブタジエン共重
合体ゴムを使用すると、ガラス転移温度が高いので、温
度依存性が大きくなり、温度変化に対する性能変化が大
きくなるという問題点があった。
【0004】また、高軟化点樹脂とプロセスオイルの等
量置換配合においても置換量が余り多量になると、高軟
化点樹脂の影響で、同様に温度依存性が大となり不都合
である。
【0005】更に、粒子の小さなカーボンブラックや多
量の軟化剤を使用すると、カーボンブラックの分散に悪
影響を及ぼし、耐摩耗性が低下するという問題点があっ
た。本発明の目的は、耐摩耗性と高グリップ性を兼ね備
えるトレッドゴム組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、トレッドゴム組成を、スチレン成分含
有率が25〜60重量%であるスチレン−ブタジエン共
重合体ゴム100重量部に対して、C9 芳香族系樹脂を
主成分とする石油樹脂及び軟化点が40°C未満のクマ
ロンインデン樹脂よりなり、前記クマロンインデン樹脂
の混合率が1〜50重量%である樹脂混合物10〜20
0重量部を配合させる構成とする。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0007】C9 芳香族系樹脂を主成分とする石油樹脂
(以下、石油樹脂と略記する。)とは、ビニルトルエ
ン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族
留分を重合した樹脂であり、商品名としては、三井石油
化学製ペトロジン、ミクニ化学製ペトライト、日本石油
化学製ネオポリマー、東洋曹達製ペトコール等がある。
【0008】石油樹脂の軟化点は80〜140°C程度
のものが、グリップ性が非常に向上するので好ましい。
石油樹脂は、多量になるにつれて、温度依存性が大きく
なるので、100重量部以下の配合が好ましい。軟化点
が40°C未満のクマロンインデン樹脂(以下、クマロ
ンインデン樹脂と略記する。)とは、炭素数8のクマロ
ン及び炭素数9のインデンを主要なモノマーとする芳香
族留分を重合した石炭系の樹脂であり、商品名として
は、大内振興化学工業製エスクロンL−5、L−20等
がある。
【0009】また、クマロンインデン樹脂の軟化点は、
コンパウンドを軟化させる効果を考慮すれば、35°C
以下が好ましく、室温で液状のものがより好ましい。ク
マロンインデン樹脂は、軟化効果が大きいこともあり、
軟化剤(アロマティックオイル等)との完全置換も可能
であるが、ゴムの耐久性を考慮すれば100重量部以下
の配合が好ましい。尚、軟化点は環球法により測定した
値である。石油樹脂とクマロンインデン樹脂との樹脂混
合物中のクマロンインデン樹脂の混合率は、20〜40
重量%がより好ましい。石油樹脂とクマロンインデン樹
脂との樹脂混合物のSBR100重量部に対する配合割
合は、10重量未満であると配合の効果が得られず、2
00重量部を越えて配合すると、石油樹脂の温度依存性
の影響及びクマロンインデン樹脂の摩耗性の影響が大き
くなるので不都合であり、好ましくは150重量部以下
である。
【0010】本発明は、高スチレン成分含有率のスチレ
ン−ブタジエン共重合体ゴムに、特定の石油樹脂及び特
定のクマロンインデン樹脂の樹脂混合物を配合するもの
であるが、この混合物を配合することによって、石油樹
脂の単独配合よりも損失正接(tan δ)の上昇割合は少
なくなるが、クマロンインデン樹脂の軟化効果との相乗
効果でグリップが向上し、スチレン含有量を減らしても
同等以上の高グリップ性が得られるため、高スチレン含
有トレッドゴムの欠点である耐摩耗性低下の問題を解決
できる利点がある。
【0011】また、石油樹脂の単独配合では、ゴム成分
100重量部に対して、50重量部以上配合すると、耐
摩耗性が低下するので不都合であるが、クマロンインデ
ン樹脂をも配合することにより、50重量部以上の配合
も可能になるという利点がある。
【0012】更に、クマロンインデン樹脂の軟化効果が
非常に大きいために、軟化剤(アロマティックオイル
等)の配合量を減らすことができ、更に、カーボンブラ
ック等の分散性を改良することができる。
【0013】
【実施例】以下に本発明を、表1を参照しつつ実施例及
び比較例により詳細に説明する。 実施例1〜8及び比較例1〜3 SBRとしては、スチレン成分含有量が35、40ある
いは45重量%のものを使用し、C9 芳香族系樹脂を主
成分とする石油樹脂としては、軟化点が60、80ある
いは140°Cのものを使用し、軟化点が40未満のク
マロンインデン樹脂としては、軟化点が35°C以下あ
るいは室温で液状のものを使用した。
【0014】尚、表1中、DGMはジフェニルグアニジ
ン、DMはジベンゾチアジルジスルフィド、IPPDは
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジ
アミンを表す。
【0015】実施例1〜8は、軟化剤の量を、比較例に
対して減少させると共に、石油樹脂及びクマロンインデ
ン樹脂の樹脂混合物の配合量を種々変化させている。実
施例1〜8及び比較例1〜3の配合量のトレッドゴムを
有するタイヤを製作し、これを実車に装着し、1周4.
4kmからなるサーキットを走行することにより評価し
た。ここで、グリップ性は、10〜20周目までの平均
周回タイムをコントロール(比較例1)のタイムを10
0として指数表示したもので、100より大だと、グリ
ップ性が高いことを示し、逆に、100より小だとグリ
ップ性が劣ることを示す。
【0016】耐摩耗性はサーキットを20周走行する前
後で、タイヤの周上3箇所の摩耗量を測定して平均した
摩耗量を、コントロール(比較例1)の摩耗量を100
として指数表示したもので、100より大だと、耐摩耗
性が良いことを示し、100より小だと劣ることを示
す。
【表1】
【0017】表1に示すように、比較例1〜3は、SB
Rのスチレン成分含有率が高くなるにつれて、グリップ
性は向上するものの、耐摩耗性が低下することを示して
いる。これに対し、実施例1〜8はSBRのスチレン成
分含有率が比較例1と同じ35%であるにもかかわら
ず、石油樹脂及びクマロンインデン樹脂の樹脂混合物を
配合することにより、グリップ性が向上することを示
し、しかも耐摩耗性を比較例1と同じ程度に維持する
(実施例4)かあるいは向上することを示している(実
施例1〜3,5〜8)。更に、各比較例に較べて、配合
物中のオイル成分量がゼロである(実施例4)かあるい
は少ない(実施例1〜3,5〜8)ので、密着性等が減
少し、作業性を向上させることができる。
【0018】実施例2,5,7は石油樹脂の軟化点が下
がるほどグリップ性と耐摩耗性との向上幅が小さくなる
ことを示しており、このため、できるだけ軟化点の高い
石油樹脂を使用することが望ましい。
【0019】実施例2,8はクマロンインデン樹脂の軟
化点が高くなる(35°C)と、耐摩耗性は向上するも
のの、グリップ性の向上幅は室温で液状のものに較べて
少なくなることを示しており、より高いグリップ性が要
求される場合には室温で液状のクマロンインデン樹脂を
使用することが望ましい。
【0020】実施例4は軟化剤(アロマティックオイ
ル)の配合量をゼロとし、石油樹脂とクマロンインデン
樹脂との樹脂混合物の配合量を他の実施例より多くした
ものであるが、グリップ性は非常に高くなるものの、耐
摩耗性が比較例1と同じ程度になってしまうため、耐摩
耗性の向上をも向上させるためには、石油樹脂、クマロ
ンインデン樹脂は前記のように、それぞれ100重量部
以下とし、混合物としての配合割合は、150重量部以
下が好ましい。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
耐摩耗性とグリップ性とを良好に兼ね備えたトレッドゴ
ム組成物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 9/06 C08L 45/02 C08L 57/02 B60C 1/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン成分含有率が25〜60重量%
    であるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム100重量部
    に対して、C9 芳香族系樹脂を主成分とする石油樹脂及
    び軟化点が40°C未満のクマロンインデン樹脂よりな
    り、前記クマロンインデン樹脂の混合率が1〜50重量
    %である樹脂混合物10〜200重量部を配合してなる
    ことを特徴とするトレッドゴム組成物。
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