JP5712106B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来より、タイヤの転がり抵抗を低減(転がり抵抗性能を向上)することにより、車の低燃費化が行なわれてきた。近年、車の低燃費化の要求がますます強くなってきており、タイヤを製造するためのゴム組成物に対して、優れた低発熱性(低燃費性)が要求されている。
ゴム組成物の低燃費性を改善する方法として、補強用充填剤を減量する方法が知られている。しかし、この場合、ゴム組成物の硬度や強度が低下して車のハンドリング性能(操縦安定性)やウェットグリップ性能が低下したり、耐久性や耐摩耗性が低下する傾向がある。
また、低燃費性を改善する他の方法として、補強用充填剤であるカーボンブラックをシリカで置換する方法が知られている。しかし、シリカは表面に親水性シラノール基が存在するため、カーボンブラックに比べゴム(特に、タイヤ用でよく使われる天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなど)との親和性が低く、耐摩耗性や力学強度(引張強度や破断伸び)の点で劣る場合がある。
特許文献1には、無水シリカ及び含水シリカをともに含有することにより、ウェットグリップ性能を改善できるタイヤ用ゴム組成物が開示されている。しかしながら、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランスよく改善する点については未だ改善の余地がある。
特開2003−192842号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランスよく改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分100質量%中、
下記一般式;
Figure 0005712106
(式中、Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素、
Figure 0005712106
又は
Figure 0005712106
であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよく、
Figure 0005712106
又は
Figure 0005712106
で置換されていてもよい。Zは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよい。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。)で表される窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有する変性スチレンブタジエンゴムを5質量%以上含み、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜150質量部、軟化点−20〜20℃のレジンを3〜40質量部含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
前記レジンが、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂及びα−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記タイヤ用ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定の窒素含有化合物をモノマーとして用いた変性スチレンブタジエンゴム、シリカ及び軟化点−20〜20℃のレジンを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性がバランスよく改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中、
下記一般式;
Figure 0005712106
(式中、Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素、
Figure 0005712106
又は
Figure 0005712106
であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよく、
Figure 0005712106
又は
Figure 0005712106
で置換されていてもよい。Zは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよい。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。)で表される窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有する変性スチレンブタジエンゴムを5質量%以上含み、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜150質量部、軟化点−20〜20℃のレジンを3〜40質量部含む。
これらの成分を併用することにより、ゴム組成物中にシリカを良好に分散でき、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を顕著に改善できる。
上記変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)としては、例えば、特開2010−116545号公報、特開2010−116546号公報に記載のものを使用することができる。
Xで表される飽和炭化水素基としては、例えば、(CRで表される基などが挙げられる。Xで表される飽和炭化水素基が窒素、酸素又は硫黄を含む形態としては、例えば、(CR1011−NR12−(CR1314、(CR1011−O−(CR1314、(CR1011−S−(CR1314などが挙げられる。R〜R14は、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜30(好ましくは1〜5)の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30(好ましくは3〜10)の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30(好ましくは5〜10)の芳香族炭化水素基を表す。lは3〜10(好ましくは3〜7)の整数を表す。複数の(CR)のそれぞれは同じであっても異なってもよい。m及びnは1〜9(好ましくは1〜6)の整数を表す。mが2以上の場合、複数の(CR1011)のそれぞれは同じであっても異なってもよく、nが2以上の場合、複数の(CR1314)のそれぞれは同じであっても異なってもよい。
Zで表される飽和炭化水素基や、該飽和炭化水素基が窒素、酸素又は硫黄を含む形態についても、Xで表される飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。
シリカをより良好に分散できるという点から、Rは、水素又は炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、Rは、水素又は炭素数1〜2の炭化水素基であることが好ましい。また、R〜Rは、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基であることが好ましく、脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。また、R〜R14は、水素又は炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
上記変性SBRは、スチレン、ブタジエン(1,3−ブタジエン)、及び上記一般式で表される窒素含有化合物(モノマー)を共重合して得られる共重合体であって、該窒素含有化合物に由来する構成単位は、主鎖部に含まれている。ここで、主鎖部とは、末端部も含む概念である。
上記一般式で表される窒素含有化合物としては、例えば、3−または4−(2−アゼチジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、シリカをより良好に分散できるという点から、3−または4−(2−ピロリジノエチル)スチレンが好ましい。
上記変性SBRは、少なくとも一方の末端が、窒素、酸素、ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む官能基を有する変性剤で変性されていることが好ましく、両末端が該変性剤で変性されていることがより好ましい。これにより、各性能の改善効果を高めることができる。
上記変性剤が有する官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基、ピリジル基などが挙げられ、好ましくはアミノ基、アルコキシシリル基である。また、上記変性剤としては、例えば、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、四塩化ケイ素などが挙げられ、好ましくは3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシランである。
上記変性SBRにおける窒素含有化合物の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。0.05質量%未満では、低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記変性SBRにおける窒素含有化合物の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。10質量%を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
なお、本明細書において、窒素含有化合物の含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
上記変性SBRの重量平均分子量Mwは、好ましくは1.0×10以上、より好ましくは2.0×10以上である。1.0×10未満では、低燃費性及び耐摩耗性が悪化する傾向がある。また、該Mwは、好ましくは2.0×10以下、より好ましくは1.5×10以下である。2.0×10を超えると、混練加工性が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
ゴム成分100質量%中の上記変性SBRの含有量は、5質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。5質量%未満であると、上記変性SBRを配合した効果が十分に得られない傾向がある。また、上記変性SBRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、混練加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、上記変性SBRととともに、他のゴム成分を併用してもよい。他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などのジエン系ゴムが挙げられる。なかでも、良好な低燃費性と破壊強度が得られるという点から、NRが好ましい。NRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、NRを配合した効果が十分に得られない傾向がある。NRの含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。95質量%を超えると、上記変性SBRの含有量が少なくなり、十分な低燃費性、ウェットグリップ性能が得られないおそれがある。
ゴム成分100質量%中の上記変性SBR及びNRの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。80質量%未満であると、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランス良く得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、特定の軟化点を有するレジンを含有する。上記レジンとしては、例えば、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、α−メチルスチレン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリイソペンタン樹脂などの石油系又は石炭系樹脂などが挙げられる。なかでも、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、α−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、クマロンインデン樹脂がより好ましい。
上記レジンの軟化点は、−20℃以上、好ましくは−5℃以上、よリ好ましくは0℃以上である。−20℃未満であると、レジンの粘度が低くなり過ぎて、ゴム成分との混練性が悪化する傾向がある。また、上記レジンの軟化点は、20℃以下、好ましくは18℃以下、より好ましくは15℃以下である。20℃を超えると、上記レジンの発熱性が上昇し、低燃費性を十分に改善できない傾向がある。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K6220:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上である。3質量部未満では、上記レジンを配合した効果が十分に得られないおそれがある。また、上記レジンの含有量は、40質量部以下、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。40質量部を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
上記レジンはゴム組成物を軟化する作用を有しているため、上記レジンを用いることで、ゴム組成物中のオイルの含有量を少なくし、低燃費性をより改善できる。本発明のゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは6質量部以下、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0質量部(実質的に含有しない)である。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは150m/g以上である。100m/g未満であると、補強効果が小さく、十分な耐摩耗性が得られないおそれがある。また、シリカのNSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。300m/gを超えると、シリカが分散しにくくなり、十分な低燃費性が得られないおそれがある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは60質量部以上である。10質量部未満であると、シリカ配合による十分な効果が得られない傾向がある。該含有量は、150質量部以下、好ましくは90質量部以下である。150質量部を超えると、シリカのゴムへの分散が困難になり、混練加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。ここで、シランカップリング剤の含有量の下限はシリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは6質量部以上であり、上限は好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。
ここで、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは60m/g以上、より好ましくは90m/g以上である。60m/g未満では、十分な補強性や耐摩耗性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは、好ましくは180m/g以下、より好ましくは130m/g以下である。180m/gを超えると、分散性が悪化し、発熱性が増大する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5〜20質量部である。5質量部未満では、十分な補強性が得られないおそれがあり、20質量部を超えると、十分な低発熱性が得られない傾向がある。
本発明のゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、シリカ及びカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは60〜120質量部である。上記範囲内であると、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性がバランスよく得られる。
シリカ及びカーボンブラックの合計100質量%中のシリカの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。また、該含有率は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であると、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性がバランスよく得られる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造できる。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッドに好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造できる。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(トレッドなど)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、モノマー(1)、重合体(1)〜(2)の合成で用いた各種薬品について説明する。
シクロへキサン:関東化学(株)製
ピロリジン:関東化学(株)製
ジビニルベンゼン:シグマアルドリッチ社製
1.6M n−ブチルリチウムへキサン溶液:関東化学(株)製
イソプロパノール:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
変性剤:アヅマックス社製の3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
製造例1(モノマー(1)の合成)
十分に窒素置換した100ml容器に、シクロへキサン50ml、ピロリジン4.1ml(3.6g)、ジビニルベンゼン6.5gを加え、0℃にて1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.7mlを加えて撹拌した。
1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出・精製を行うことでモノマー(1)を得た。
製造例2(重合体(1)の合成)
十分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、スチレン12.6ml(11.4g)、ブタジエン71.0ml(41.0g)、モノマー(1)0.29g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlを加え、40℃で1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.2mlを加えて撹拌した。
3時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させて重合体(1)を得た。
製造例3(重合体(2)の合成)
十分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、スチレン12.6ml(11.4g)、ブタジエン71.0ml(41.0g)、モノマー(1)0.29g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlを加え、40℃で1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.2mlを加えて撹拌した。
3時間後、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(変性剤)を0.5ml(0.49g)加えて撹拌した。
1時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させて重合体(2)を得た。
(重合体の重量平均分子量Mwの測定)
重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(重合体中の窒素含有化合物の含有量の測定)
重合体中の窒素含有化合物の含有量(モノマー(1)量)は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて測定した。
以下、実施例及び比較例で使用した薬品について説明する。
SBR:旭化成ケミカルズ(株)製のE15
重合体(1):主鎖変性SBR(製造例2にて製造、Mw:3.0×10、モノマー(1)量:1.0質量%)
重合体(2):主鎖及び末端変性SBR(製造例3にて製造、Mw:3.0×10、モノマー(1)量:1.0質量%)
レジン(1):Rutgers Chemicals社製のNOVARES C10(液状クマロンインデン樹脂、軟化点:5〜15℃)
レジン(2):Rutgers Chemicals社製のNOVARES TL10(α−メチルスチレン及びインデンを主成分とする液状レジン、軟化点:5〜15℃)
レジン(3):Rutgers Chemicals社製のNOVARES C90(クマロンインデン樹脂、軟化点:85〜95℃)
NR:RSS#3
シリカ:デグッサ社製のULTRASIL VN3(NSA:175m/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(NSA:114m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例及び比較例
表1に示す配合内容に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせてタイヤに成形し、170℃で10分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた試験用タイヤを用いて以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(転がり抵抗)
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
(ウェットグリップ性能)
上記試験用タイヤを装着した車両で湿潤アスファルト路面を走行し、初速度100km/hからの制動距離を測定し、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能(ウェットスキッド性能)に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
(耐摩耗性)
上記試験用タイヤを装着した車両で市街地を走行し、8000km走行後の溝探さの減少量から、溝深さが1mm減少するときの走行距離を算出し、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各配合の走行距離)/(比較例1の走行距離)×100
Figure 0005712106
表1より、主鎖変性モノマーとして特定の窒素含有化合物を用いた変性SBR(重合体(1)、(2))を特定量含むゴム成分と、特定量のシリカと、特定量の軟化点−20〜20℃のレジンとを用いた実施例では、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性がバランスよく改善された。
一方、該レジンを多量に配合した比較例6、高軟化点のレジン(3)を配合した比較例7などでは、これらの性能が劣っていた。

Claims (3)

  1. ゴム成分100質量%中、
    下記一般式;
    Figure 0005712106
    (式中、Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素、
    Figure 0005712106
    又は
    Figure 0005712106
    であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよく、
    Figure 0005712106
    又は
    Figure 0005712106
    で置換されていてもよい。Zは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよい。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。)で表される窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有する変性スチレンブタジエンゴムを5質量%以上含み、
    前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜150質量部、軟化点−20〜20℃のレジンを3〜40質量部含み、
    前記レジンが、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂及びα−メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であるタイヤ用ゴム組成物。
  2. トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 請求項に記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。
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