JP3127255B2 - 合成皮革 - Google Patents

合成皮革

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JP3127255B2
JP3127255B2 JP03350261A JP35026191A JP3127255B2 JP 3127255 B2 JP3127255 B2 JP 3127255B2 JP 03350261 A JP03350261 A JP 03350261A JP 35026191 A JP35026191 A JP 35026191A JP 3127255 B2 JP3127255 B2 JP 3127255B2
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弘二 杉浦
豪 小杉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成皮革に係り、特に異
音防止に優れたシフトレバーブーツに使用するのに好適
な合成皮革に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン合成皮革は、家具や自動車
等の車両シート、ドア内張り、シフトレバーブーツ等に
使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】家具や自動車の内装材
に使用されているポリウレタン合成皮革は、例えば、自
動車のアイドリング時及び走行中の振動等により、合成
皮革同士、及び合成皮革と他の内装材が擦れ合うことに
よって異音が発生しやすい。この異音を防ぐため、従来
より合成皮革の表皮層表面に滑性を付与させる、例えば
シリコン系の成分で表面処理を行い、ポリウレタン表皮
層が擦れた際に発生する擦過音を防ぐ方法が採られてい
る。
【0004】しかしながら、自動車の振動等により発生
する異音は、表皮層が擦れる際に発生する擦過音だけで
はなく、合成皮革同士、及び合成皮革と他の内装材がお
互いぶつかり合って発生するたたき音などの複合的なも
のであるので、単に合成皮革の表皮層表面に滑性を付与
し、擦過音を防ぐだけでは合成皮革の異音防止には不十
分なものであった。
【0005】本発明の目的は、自動車の振動等により発
生する擦過音及びたたき音等の複合的な異音を、恒久的
に防止できる合成皮革を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の合成皮革は、片面起毛布又は両面起毛
布からなる基布の起毛面側にポリウレタンからなる湿式
ミクロポーラス層又は乾式発泡層、ポリウレタン接着層
およびシリコン変性ポリウレタン表面層を順次積層した
ことを特徴とするものである。
【0007】
【作用】合成皮革の表面層を形成するシリコン変性ポリ
ウレタンは、滑性に優れ、ポリウレタン接着層との接着
性がよいので長期に亘り表面層の滑性が持続される。し
たがって、合成皮革同士の擦れ合うことによる異音の発
生を長期に亘り防止できる。また、起毛面側にはポリウ
レタンからなる湿式ミクロポーラス層又は乾式発泡層が
形成されており、合成皮革の柔軟性、風合が向上し、表
面滑性の向上と相候って合成皮革同士のぶつかり合うと
きに生ずるたたき音の発生が防止される。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の合成皮革の一実施例を示す断面図
であって、基布1の起毛面側に湿式ミクロポーラス層2
(あるいはポリウレタン乾式発泡層)、ポリウレタン接
着層3、シリコン変性ポリウレタン表面層4が順次積層
されている。
【0009】上記した基布1としては、例えば綿、麻等
の天然繊維、レーヨン、スフ、アセテート等の再生繊
維、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル
等の合成繊維等の単独又は各種混紡繊維を編成、織成或
いは交絡させた編布、織布、不織布等が用いられる。こ
の基布1は片面起毛布又は両面起毛布のいずれをも使用
することができるが、図では両面起毛布を例として示し
ている。
【0010】ポリウレタンからなる湿式ミクロポーラス
層2は、例えばポリウレタンの水溶性有機溶媒溶液を基
布1に塗布した後、これを水中に浸漬して水溶性有機溶
媒を除去し、ポリウレタンを凝固させることによって形
成され、微細な孔が多数形成された層を構成する。
【0011】この湿式ミクロポーラス層2としては、ポ
リカーボネイト系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウ
レタン、ポリエステル系ポリウレタン、特にポリカーボ
ネイト系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、
更にはポリカーボネイト系ポリウレタンが好適であり、
耐加水分解性、耐熱劣化性等に優れている。
【0012】湿式ミクロポーラス層2の厚みは、100
〜500μm程度が望ましい。湿式ミクロポーラス層2
の厚みが100μmよりも薄いと、実質的なポーラス層
2の形成が困難になると共に合成皮革に良好な風合を付
与することができない。一方、湿式ミクロポーラス層2
の厚みが500μmよりも厚くなると、弾性が大きくな
りすぎ、合成皮革の風合を損ねることになる。
【0013】また、ポリウレタン接着層3は、湿式ミク
ロポーラス層2とシリコン変性ポリウレタン層4との間
の接着上支障のないポリウレタンであれば使用可能であ
るが、100%モジュラスが10〜100kg/c
2 、望ましくは20〜60kg/cm2 のものが好適
である。
【0014】このようなポリウレタンとしては、ポリカ
ーボネイト系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタ
ン、ポリエステル系ポリウレタンが挙げられるが、耐加
水分解性、耐熱劣化性等の点から、ポリカーボネイト系
ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタンが好まし
い。
【0015】ポリウレタン接着層3の厚みは5〜40μ
m程度、望ましくは20〜30μmが好適である。ま
た、ポリウレタン接着層3には、架橋剤、必要に応じて
架橋促進剤が添加される。これらの架橋剤、架橋促進剤
の量は湿式ミクロポーラス層2及びシリコン変性ポリウ
レタン4とに対する接着強度、得られる合成皮革の風合
等を考慮して任意に選定される。
【0016】シリコン変性ポリウレタン表面層4を構成
するシリコン変性ポリウレタンとしては、ポリカーボネ
イト系シリコン変性ポリウレタン、ポリエーテル系シリ
コン変性ポリウレタン、ポリエステル系シリコン変性ポ
リウレタンが挙げられるが、耐加水分解性、耐熱劣化性
等の点から、ポリカーボネイト系シリコン変性ポリウレ
タン、ポリエーテル系シリコン変性ポリウレタンが望ま
しい。
【0017】特にこのようなシリコン変性ポリウレタン
としては、分子側鎖にオルガノポリシロキシル基を有す
るポリウレタンまたは分子側鎖に、末端がイソシアネー
ト基と非反応性の官能基で封止されたオルガノポリシロ
キシル基を有するポリウレタンからなる。
【0018】末端がイソシアネート基と非反応性の官能
基で封止されたオルガノポリシロキシル基としては、例
えばトリアルキルシリル基又はトリアリールシリル基で
封止されたオルガノポリシロキシル基が挙げられる。
【0019】上記オルガノポリシロキシル基はポリアル
キルシロキシル基とポリアルキルアリールシロキシル基
がランダムあるいはブロック状に共重合したオルガノポ
リシロキシル基でもよい。
【0020】オルガノポリシロキシル基の繰り返し単位
nは通常10〜1000、好ましくは20〜100であ
る。シリコン変性ポリウレタン表面層4を構成するシリ
コン変性ポリウレタンは、100%モジュラスが10〜
120kg/cm2 のものが好ましい。シリコン変性ポ
リウレタン表面層4の厚みは10〜100μmが望まし
く、特に20〜60μmが好ましい。
【0021】本発明の合成皮革の製造方法としては、基
布1の起毛面にポリウレタンの親水性有機溶媒溶液を塗
布した後、これを水中に浸漬して溶媒を除去し、ポリウ
レタンを凝固させて所望の厚みの湿式ミクロポーラス層
2を形成する。
【0022】一方、離型紙、例えば絞付き離型紙上にシ
リコン変性ポリウレタンを塗布し、加熱乾燥して所望の
厚みのシリコン変性ポリウレタン表面層4を形成する。
次にこの表面層4の上にポリウレタンを塗布した後、加
熱乾燥し所望の厚みのポリウレタン接着層3を形成す
る。次にこの接着層3の面上に前記基布1の起毛面に形
成した湿式ミクロポーラス層2を向き合わせ、熱圧着し
て熟成させ、接着剤を反応固化させた後、離型紙を剥離
することによって目的とする合成皮革を得ることができ
る。
【0023】湿式ミクロポーラス層の代わりに接着層を
発泡させることによって得られるポリウレタン乾式発泡
層でもよく、この場合、ポリウレタン乾式発泡層の厚み
は、5〜1000μm程度、望ましくは100〜500
μm程度が望ましい。ポリウレタン乾式発泡層は架橋
剤、発泡剤、整泡剤等が添加され、これらの量は基布1
及びシリコン変性ポリウレタン4に対する接着強度、得
られる合成皮革の風合等を考慮して任意に選定される。
さらにポリウレタン乾式発泡層と基布1との接着強度が
必要な場合、発泡後に接着層を積層させ基布1と張り合
わせることも可能である。
【0024】このようなポリウレタン乾式発泡層に使用
されるポリウレタンとしては、ポリカーボネイト系ポリ
ウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル
系ポリウレタンが挙げられるが、耐加水分解性、耐熱劣
化性等の点から、ポリカーボネイト系ポリウレタン、ポ
リエーテル系ポリウレタンが好ましい。
【0025】実施例1 ポリエステルトリコット上に、100%モジュラスが3
5kg/cm2 のポリカーボネイト系ポリウレタン(大
日本インキ化学工業(株)製:クリスボンMP−12
0)のジメチルホルムアミド溶液を溶液重量が1000
g/m2 になる様塗布し、水中で凝固、脱溶媒させ、脱
水後、120℃の熱風下で乾燥して表面平滑性に優れる
微多孔性組織からなる湿式ミクロポーラス層を形成し
た。
【0026】一方、絞付き離型紙上に、100%モジュ
ラスが60kg/cm2 のシリコン変性ポリカーボネイ
ト系ポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製:ク
リスボンNY−333)を乾燥厚みが30μとなる様に
ナイフコーターにて塗布し、100℃で2分間熱風乾燥
し、シリコン変性ポリウレタン表皮層を形成する。
【0027】次いで、この皮膜の上に100%モジュラ
スが20kg/cm2 のポリカーボネイト系ポリウレタ
ンよりなるウレタン系2液接着剤(大日本インキ化学工
業(株)製:クリスボンTA−205)を乾燥厚みが3
0μとなる様ナイフコーターにて塗布し、100℃で2
分間熱風乾燥させてポリウレタン接着層を形成し、この
上面に前述の起毛布上に形成された湿式ミクロポーラス
層の面を向き合わせて100℃で熱圧着し、更に40℃
で48時間熟成して接着剤を反応固化させた後、離型紙
を剥離することにより、微多孔性組織を有する合成皮革
を得ることができた。
【0028】実施例2 ポリエステルトリコットの代わりに、ポリエステル/レ
ーヨン混紡織布を使用する他は、実施例1と同様の構成
を有する合成皮革を同様の方法で得た。
【0029】実施例3 湿式ミクロポーラス層の代わりに、一液型発泡剤発泡用
ポリカーボネイト系ポリウレタン(大日精化工業(株)
製:レザミンUF1401)よりなる接着層へポリエス
テルトリコットを貼り合わせた後、130〜150℃の
温度で接着層を発泡させることによって得られる乾式発
泡層を有する他は、実施例1と同様の方法で合成皮革を
得た。
【0030】比較例1 ポリエステルトリコットに湿式ミクロポーラス層を形成
せずに、接着層へポリエステルトリコットを直接貼合わ
せる他は、実施例1と同様の方法で合成皮革を得た。
【0031】比較例2 ポリエステルトリコットの代わりに、実施例2と同じポ
リエステル/レーヨン混紡織布を使用し、湿式ミクロポ
ーラス層を形成せずに直接基布を接着層へ貼合わせる他
は、実施例2と同様の方法で合成皮革を得た。
【0032】比較例3 ポリエステルトリコットの代わりに、実施例2と同じポ
リエステル/レーヨン混紡織布を使用し、湿式ミクロポ
ーラス層を形成せずに直接基布を接着層へ貼合わせ、ま
た、表皮層に使用するポリウレタンを100%モジュラ
スが110kg/cm2 のポリカーボネイト系ポリウレ
タン(大日本インキ化学工業(株)製:クリスボンNY
−360)を使用する他は実施例2と同様な方法で合成
皮革を得た。
【0033】実施例1,2,3及び比較例1、2、3で
得られたそれぞれの合成皮革につき、静摩擦係数、動摩
擦係数、スティックースリップ範囲、曲げさ剛さ、たた
き音、実車モニターによる測定試験を行った。各方法及
び試験法は次の通りである。
【0034】測定方法 静摩擦係数、動摩擦係数 : JIS K 7125に
よる。 スティックースリップ範囲 : (最大動摩擦係数−最
小動摩擦係数) 曲げさ剛さ : JIS L 1079(45°カンチ
レバ法)による
【0035】試験法 擦過音 : 合成皮革の表面を互いに重ねて擦り合わ
せ、音の発生の有無を確認する。 たたき音 : 合成皮革の表面を互いにたたき合わせ、
音の発生の有無を確認する。 実車モニター : 合成皮革でシフトレバーブーツを作
成し、実際に自動車に装着後、アイドリング状態で異音
の発生の有無を確認する。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】 ○ : 音の発生が少ない。 △ : 音の発生がやや多い。 × : 音の発生が多い。
【0038】〔表1〕及び〔表2〕の試験結果から合成
皮革表面の滑性を付与するだけでは実車での異音防止は
不十分である。実車での異音防止には、合成皮革表面に
滑性を付与し、( スティックースリップ範囲0.2以
下)かつ、合成皮革の風合をよりソフトなものにし、
(曲けさ剛さ100以下)、好ましくは、合成皮革にさ
らにたたき音を吸収する湿式又は乾式の微多孔組織を有
することが望ましい。
【0039】
【発明の効果】本発明の合成皮革はヌメリ感があり、表
面が擦れた際にも擦過音を発生しない優れた表面滑性を
有し、また、この表面滑性はくり返しの表面摩擦にも強
く、長期使用後も性能の低下はみられない。さらに合成
皮革の表面がぶつかり合って発生するたたき音に対して
も、得られた合成皮革はソフトな風合であり、かつ微多
孔性組織を有するため、吸音性があり、たたき音が発生
しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成皮革の一実施例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 基布 2 湿式ミクロポーラス層(あるいはポリウレタン乾式
発泡層) 3 ポリウレタン接着層 4 シリコン変性ポリウレタン表面層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−132878(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片面起毛布又は両面起毛布からなる基布
    の起毛面側にポリウレタンからなる湿式ミクロポーラス
    層又は乾式発泡層、ポリウレタン接着層およびシリコン
    変性ポリウレタン表面層を順次積層したことを特徴とす
    る合成皮革。
  2. 【請求項2】 前記湿式ミクロポーラス層又は乾式発泡
    層がポリカーボネイト系ポリウレタンからなることを特
    徴とする請求項1の合成皮革。
  3. 【請求項3】 前記ポリウレタン接着層がポリカーボネ
    イト系ポリウレタンからなることを特徴とする請求項1
    の合成皮革。
  4. 【請求項4】 前記シリコン変性ポリウレタン表面層が
    ポリカーボネイト系シリコン変性ポリウレタンからなる
    ことを特徴とする請求項1の合成皮革。
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