JP3123049B2 - 水素吸蔵合金電極 - Google Patents

水素吸蔵合金電極

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、水素を可逆的に吸蔵・放出する水素吸蔵合
金を用いた水素吸蔵合金電極に関するもので、無公害で
高エネルギー密度のアルカリ蓄電池などに利用できる。 従来の技術 二次電池としては、鉛蓄電池とアルカリ蓄電池とが広
く使われている。 アルカリ蓄電池のうち、最も広く使われているのは、
ニッケル−カドミウム蓄電池である。この電池は性能的
にかなり優れているが、依然として高エネルギー密度や
無公害への期待が高く新しい電池系が検討されている。 例えばこの中で負極をカドミウムに代わって亜鉛が取
り上げられてきたが、よく知られているように寿命に問
題があるので広い実用化には到っていない。 最近注目されてきたのは水素を可逆的に吸蔵・放出す
る水素吸蔵合金を負極に用いるアルカリ蓄電池である。
この場合は、カドミウムや亜鉛などと同じ取扱いで電池
を構成でき、実際の放電可能な容量密度をカドミウムよ
り大きくできることや亜鉛のようなデンドライトの形成
などがないことなどから、高エネルギー密度で長寿命、
無公害のアルカリ蓄電池として有望である。 この水素吸蔵合金電池に使用する水素吸蔵合金として
は、従来Ti2Ni,TiNi,LaNi5,MmNi5合金、もしくはこれら
の合金をベースに他の元素を添加した合金が一般的であ
った(例えばジャーナルオブレスコモンメタルズ Jour
nal of Less−Common Metals 129(1987)13〜30や
同131(1987)311〜319など)。 これらの合金を水素吸蔵合金電極に用いた場合次のよ
うな問題を有している。Ti2Ni,TiNi合金およびそれらを
ベースとした多元系合金は電気化学的な充電と放電によ
り比較的高い.放電容量を初期には有しているものの、
充放電サイクルを繰り返す場合の性能の持続性、すなわ
ち寿命性能に主たる問題を有している。 LaNi5,MmNi5合金およびそれらをベースとした多元系
合金は、比較的放電容量が低いこと、温度変化に対する
性能の変動が大きいこと、および比較的合金の価格が高
いことなどに問題がある。 発明が解決しようとする問題点 水素吸蔵合金電極に使用する水素吸蔵合金としては、
放電容量が高く高容量化が図れること、充放電サイクル
を繰り返しても容量低下が少ないこと、比較的安価であ
ることなどが必要とされる。 これまでの水素吸蔵合金でこれらの条件を満足する合
金は見当らないため、これまでの水素吸蔵合金に代わる
最適な合金の出現が強く要望されていた。したがって、
本発明はこれらの問題を解決する新しい水素吸蔵合金を
使用した水素吸蔵合金電極を提供することを目的とす
る。 問題点を解決するための手段 本発明は、Zrをベースにした合金、またはこの合金の
水素化物を電極に使用するものである。 一般式がAxByNiz(但しAはZr単体、またはTiもしく
はHfを30原子%以内含むZrであり、BはMnと、Nb,Cr,M
o,Fe,Co,Cu,Alおよび希土類元素から構成される群より
選ばれた少なくとも1種の元素とで構成され、0.5≦y
≦0.9、1.0≦z≦1.5、且つ1.5≦y+z≦2.4)で示さ
れ、その主たる合金相がC15型のLaves相から構成されて
いる3元系以上の多元系水素吸蔵合金またはこの水素化
物を使用することを特徴とする水素吸蔵合金電極であ
る。 作用 本発明者らは、水素吸蔵合金電極として、その主たる
合金相がC15相のLaves相からなり、その合金の一般式が
AxByNizで示される(但しAはZr単体またはTi,Hfを30原
子%以内含むZrであり、x=1.0、BはMnとNb,Cr,Mo,F
e,Co,Cu,AlおよびLaやCeなどの希土類元素の中から選ば
れた少なくとも1種の元素で構成され、y=0.5〜0.9、
z=1.0〜1.5、且つy+z=1.5〜2.4)3元系以上の多
元素水素吸蔵合金またはこの水素化物が極めて優れた性
能を有していることを見出した。これらの材料を使用す
ることによって水素吸蔵能力の向上が図られるととも
に、これまでに知られているTi−Ni系、Zr−Ni系の大き
な問題点であって充放電の繰り返しによる放電容量の低
下を抑制することができた。 実施例 以下、本発明の実施例について説明する。 市販のZr,Ni,Ti,Hf,Nb,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Cu,Al,希土類
元素の混合物であるMm(ミッシュメタル)などを使用し
て、表に示す様な合金になる様に原材料を秤量しアルゴ
ンアーク溶解炉でそれぞれ加熱溶解を行い表の試料No.1
〜15の合金を得た。 アーク溶解によって得た合金試料は電極評価用に使用
し、残りの一部は、X線回折等の合金分析用や水素ガス
での通常のP(水素平衡圧力)一C(組成)一T(温
度)特性用とした。 表の試料No.1〜6は従来から知られている水素吸蔵合
金であり、試料No.7〜15は本発明の水素吸蔵合金のいく
つかの例である。 試料No.1〜6は主たる合金相がC15型のLaves相から構
成されていないか、もしくはNiを含まない合金の例であ
る。 これに対して試料No.7〜15は本発明の水素吸蔵合金の
いくつかの例であり、これらはいずれも主たる合金相が
MgCu2タイプ(f.c.c)のC15型のLaves相から構成されて
ることを確認した。またこの場合、結晶格子定数はa=
6.9〜7.2付近に分布した。そして、これらの合金は、水
素ガスでの通常のP−C−T特性測定結果も水素吸蔵量
が比較的大きく良好であった。 以上のような試料No.1〜15の合金について水素吸蔵電
極としての性能を評価するために、アルカリ電解液中で
の単電池試験の結果について説明する。 まずNo.1〜15の合金を300メッシュ以下の粒径になる
様に粉砕した。そしてこの合金粉末を5gずつ、接着剤と
してのポリエチレン粉末0.5gと、導電剤としてのカーボ
ニルニッケル粉末2gずつと共に十分混合撹拌し、これ
を、導電性芯材としてのニッケルメッシュ(線径0.2mm,
16メッシュ)を中心にプレスにより加圧し、板状にそれ
ぞれ成形した。これを120℃で1時間真空中に置き、水
素吸蔵電極とした。 電極としての評価のために、焼結式ニッケル極を正極
に選び、ポリアミド不織布をセパレータとし、比重1.25
の苛性カリ水溶液に水酸化リチウムを20g/l加えた溶液
を電解液とし、定電流での充電と放電を20℃で繰り返し
た。この時の、充電電気量は、500mA×5時間であり、
放電は300mAで0.8Vでカットした。 その結果を第1図から第3図に示す。第1図〜第3図
で横軸は充放電サイクル数(∽)、縦軸は放電容量を合
金1gあたりについて示した。なお、図中の番号は表の試
料No.を示す。 第1図〜第3図の結果から次のようなことが分る。ま
ず試料No.1〜4の従来から知られている水素吸蔵合金の
中でZr2Ni,ZrNiは水素ガスでの水素吸蔵・放出量は比較
的多いが、この電気化学的な放出量(放電容量)は非常
に少ないものである。またZrNi2,ZrNi3は合金中のニッ
ケル量が増えることにより、放電容量は改善されるが本
来の水素吸蔵量が低下するために十分な放電容量は得ら
れていない。試料No.5,6は合金中にNiを含まないため
か、殆ど放電容量は得られなかった。これに対して試料
No.7〜15の本発明の合金はいずれも0.2〜0.35Ah/gとい
う高い放電容量をサイクルを継続しても維持しており、
水素吸蔵電極として性能が優れていることを確認した。
なお、試料No.1〜15以外にも多くの合金組成について同
様の試験を行なったところ、水素吸蔵合金の主たる合金
相がC15型のLaves相から構成されており、一般式がAxBy
Niz(但しAはZr単体またはTi,Hfを30原子%以内含むZr
であり、X=1.0、BはMnとNb,Cr,Mo,Fe,Co,Cu,Alおよ
びLaやCeなどの希土類の中から選ばれた少なくとも1種
の元素で構成され、y=0.5〜0.9、Z=1.0〜1.5、且つ
Y+Z=1.5〜2.4)で示される3元系以上の多元系水素
吸蔵合金またはこの水素化物を使用することが性能上重
要であることがわかった。 つぎに本発明の水素吸蔵合金電極を使用して単2形の
円筒密閉形のニッケル−水素二次電池を構成し評価した
結果について述べる。 水素吸蔵合金として本発明の合金を代表して先の表の
試料No.7,9,11,13の4種類を選んだ。そして、まず合金
を300メッシュ以下に粉砕し、その後ポリビニルアルコ
ールなどの結着剤とともにペーストにし、ニッケルメッ
キを施したパンチングメタル板に塗着して乾燥を行い幅
3.9cm、長さ26cmに裁断し、リード板を所定の2カ所に
スポット溶接により取り付けた水素吸蔵合金電極を得
た。相手極としては、公知の発泡式ニッケル極を選び、
同じく幅3.9cm、長さ22cmとして用いた。この場合もリ
ード板を2カ所取り付けた。セパレータとしては、ポリ
アミド不織布、電解液としては、比重1.20の苛性カリ水
溶液に水酸化リチウムを20g/L溶解して用いた。公称容
量は3.0Ahである。 これらの電池を通常の20℃での充放電サイクル試験に
よって評価した結果を説明する。 充電は、0.1C(10時間率)で130%まで、放電は0.2C
(5時間率)で終止電圧1.0Vとし充放電サイクルを繰り
返した。その結果本発明の水素吸蔵合金電極で構成した
これらの電池はいずれも200サイクル程度のサイクル試
験を繰り返しても放電容量がほぼ3.0Ahであり全く性能
の低下が認められなかった。 なお、先に示した実施例以外に多くの組成について電
池特性との関連を調べた。その結果、水素吸蔵合金の一
般式AxByNizにおいて、A元素としては、Zr単体またはT
i,Hfを30原子%以内含むZrが有効である。Ti及びHfはZr
に対して30原子%以内の範囲においては、単一な合金に
なる性質を有している。また、B元素としては、MnとN
b,Cr,Mo,Fe,Co,Cu,AlおよびLaやCeなどの希土類の中か
ら選ばれた少なくとも1種の元素で構成され、且つy=
0.5〜0.9、Z=1.0〜1.5、Y+Z=1.5〜2.4の組成条件
を満足すれば優れた性能を有することが明かとなった。 発明の効果 以上のように本発明の水素吸蔵合金電極はこれまでの
水素吸蔵合金の問題点を新しい合金によって解決したも
のであり、放電容量が高く高容量化が図れること、充放
電サイクルを繰り返しても容量低下が少ないこと、比較
的安価であることなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】 第1図〜第3図は、表に示した各種合金の充放電試験結
果を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−48370(JP,A) 特開 昭56−93846(JP,A) 特開 昭54−45608(JP,A) 特開 昭60−241652(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/38

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.一般式がA0.1ByNiz(但しAはZr単体、またはTiも
    しくはHfを30原子%以内含むZrであり、BはMnと、Nb,C
    r,Mo,Fe,Co,Cu,Alおよび希土類元素から構成される群よ
    り選ばれた少なくとも1種の元素とで構成され、0.5≦
    y≦0.9、1.0≦z≦1.5、且つ1.5≦y+z≦2.4)で示
    され、その主たる合金相がC15型のLaves相から構成され
    ている3元系以上の多元系水素吸蔵合金またはこの水素
    化物を使用することを特徴とする水素吸蔵合金電極。
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