JP3120411B2 - 多翼送風機 - Google Patents
多翼送風機Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、多翼送風機に関するも
ので、詳細には、車両に搭載される空調装置に使用して
好適な多翼送風機に関するものである。
ので、詳細には、車両に搭載される空調装置に使用して
好適な多翼送風機に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来より、空調装置などに用いられる多
翼送風機は、例えば実開平１−１０８３９９号公報に示
されるように、多数のブレードをもつ多翼ファンがベル
マウスをもつスクロール形状のケースの中に収納される
構成になっている。多翼ファンは、底プレートと保持リ
ングの間に多数のブレードを配置した構造になってい
る。この従来の技術には、多翼送風機においてブレード
の入口から流入する空気流れの逆流を防止する技術が開
示されている。
翼送風機は、例えば実開平１−１０８３９９号公報に示
されるように、多数のブレードをもつ多翼ファンがベル
マウスをもつスクロール形状のケースの中に収納される
構成になっている。多翼ファンは、底プレートと保持リ
ングの間に多数のブレードを配置した構造になってい
る。この従来の技術には、多翼送風機においてブレード
の入口から流入する空気流れの逆流を防止する技術が開
示されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】前記実開平１−１０８
３９９号公報に開示される多翼送風機によると、ブレー
ドの間から径外方向に流出する空気流の径方向流出速度
の大きさに対応するようにケース側面の形状が決められ
ている。風速が大きい箇所はケースの径方向の拡がりを
大きくし、風速が小さい箇所はケースの径を小さくする
形状になっている。
３９９号公報に開示される多翼送風機によると、ブレー
ドの間から径外方向に流出する空気流の径方向流出速度
の大きさに対応するようにケース側面の形状が決められ
ている。風速が大きい箇所はケースの径方向の拡がりを
大きくし、風速が小さい箇所はケースの径を小さくする
形状になっている。
【０００４】この従来例では、ブレードの径方向の流出
速度に対応するケースの軸方向の形状のみを考慮したも
のであり、ケースのスクロール巻き角方向に対するケー
スの形状の考慮はなされていない。ところが、本発明者
らの実験検討によれば、ファン軸の上方から取入れられ
底プレートに沿ってブレードの間から径外方向に流れ出
る空気の流速はケースのスクロール巻き角位置ならびに
ブレード上下の位置に応じて変化するものであるため、
スクロールノーズ先端からの巻き角に応じてケースの軸
方向の形状を空気流速に対応して適正な形状にすること
がファン効率の向上、騒音低減の観点から望ましいこと
が判った。
速度に対応するケースの軸方向の形状のみを考慮したも
のであり、ケースのスクロール巻き角方向に対するケー
スの形状の考慮はなされていない。ところが、本発明者
らの実験検討によれば、ファン軸の上方から取入れられ
底プレートに沿ってブレードの間から径外方向に流れ出
る空気の流速はケースのスクロール巻き角位置ならびに
ブレード上下の位置に応じて変化するものであるため、
スクロールノーズ先端からの巻き角に応じてケースの軸
方向の形状を空気流速に対応して適正な形状にすること
がファン効率の向上、騒音低減の観点から望ましいこと
が判った。
【０００５】本発明は、このような観点よりなされたも
ので、ファン軸方向ならびにファン径方向のケースの形
状を空気流速に対応して空気の乱れを最小限にし、ファ
ン効率の向上ならびに騒音の低減をはかるようにした遠
心式多翼送風機を提供することを目的とする。
ので、ファン軸方向ならびにファン径方向のケースの形
状を空気流速に対応して空気の乱れを最小限にし、ファ
ン効率の向上ならびに騒音の低減をはかるようにした遠
心式多翼送風機を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明第１発明による多翼送風機は、空気取入口を形
成するベルマウスを有し、スクロール形状に形成された
ケースと、前記ケースに収納され、円周方向に配設され
た多数のブレード、前記多数のブレードの空気吸入側端
部に形成された環状の保持リングおよび前記多数のブレ
ードの反空気吸込側端部に形成された底プレートを有す
る遠心多翼ファンとを備え、前記ケースの側面の一部が
前記空気取入口側から反空気取入口側にいくに従い径外
方向に拡大するようにケース側面の傾斜角αが設定さ
れ、かつ前記ケ−スのスクロール形状のノーズ部からの
空気流方向のスクロール巻き角が増大するに従い前記ケ
ース側面の一部の傾斜角αが大きくなるように形成さ
れ、前記スクロール巻き角θが０°≦θ≦４５°となる
範囲では、前記傾斜角αがα＝０°に設定されているこ
とを特徴とする。
の本発明第１発明による多翼送風機は、空気取入口を形
成するベルマウスを有し、スクロール形状に形成された
ケースと、前記ケースに収納され、円周方向に配設され
た多数のブレード、前記多数のブレードの空気吸入側端
部に形成された環状の保持リングおよび前記多数のブレ
ードの反空気吸込側端部に形成された底プレートを有す
る遠心多翼ファンとを備え、前記ケースの側面の一部が
前記空気取入口側から反空気取入口側にいくに従い径外
方向に拡大するようにケース側面の傾斜角αが設定さ
れ、かつ前記ケ−スのスクロール形状のノーズ部からの
空気流方向のスクロール巻き角が増大するに従い前記ケ
ース側面の一部の傾斜角αが大きくなるように形成さ
れ、前記スクロール巻き角θが０°≦θ≦４５°となる
範囲では、前記傾斜角αがα＝０°に設定されているこ
とを特徴とする。
【０００７】本発明第２発明の多翼送風機は、第１発明
の構成に加えて、前記空気取入口が形成される面または
この面と反対側の面の少なくとも一方の面が径外方向に
いくに従い反空気取入口方向に傾斜して形成されている
ことを特徴とする。
の構成に加えて、前記空気取入口が形成される面または
この面と反対側の面の少なくとも一方の面が径外方向に
いくに従い反空気取入口方向に傾斜して形成されている
ことを特徴とする。
【０００８】
【作用】本発明の遠心多翼送風機によると、ケースの側
面の一部が空気取入口側から反空気取入口側にいくに従
い径外方向に拡大するようにケース側面の傾斜角αが設
定され、かつ前記ケ−スのスクロール形状のノーズ部か
らの空気流方向のスクロール巻き角θが増大するに従い
前記ケース側面の一部の傾斜角αが大きくなるように形
成されているから、ブレードの間を抜け出た空気流はそ
の風速分布に対応するようにスムーズに空気出口側に流
れるため、騒音の低減ならびにファン効率の向上を図
る。
面の一部が空気取入口側から反空気取入口側にいくに従
い径外方向に拡大するようにケース側面の傾斜角αが設
定され、かつ前記ケ−スのスクロール形状のノーズ部か
らの空気流方向のスクロール巻き角θが増大するに従い
前記ケース側面の一部の傾斜角αが大きくなるように形
成されているから、ブレードの間を抜け出た空気流はそ
の風速分布に対応するようにスムーズに空気出口側に流
れるため、騒音の低減ならびにファン効率の向上を図
る。
【０００９】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。車両用空調装置に空気を取り込む遠心送風機に本
発明を適用した第１実施例を図１〜図６に示す。通風系
統は、図５に示すように、車室外の空気を取り入れる外
気取入口２、または車室内の空気を取り入れる内気取入
口３から取り入れられた空気を送風機６の空気取入口３
６からケース２２内に取り込み、遠心多翼ファン２０に
よりエバポレータ７に導く。外気取入口２と内気取入口
３は回動自在なダンパ５により開閉される。エバポレー
タ７の出口側にはエアミックスダンパ８が設けられ、こ
のエアミックスダンパ８によって仕切られる第１流路１
８と第２流路１９のうちの片側の第２流路１９にヒータ
コア１７が取り付けられている。エアミックスダンパ８
とヒータコア１７の出口側に形成されるエアミックスチ
ャンバ９は、車室内の上方に向けて吹き出す上方吹出口
１３、車両乗員の上部に向けて吹き出す上部吹出口１２
ならびに車両乗員の足元に吹き出す足元吹出口１０に連
通している。各吹出口１０、１２、１３の入口側には、
それぞれの吹出口の開度を調節するダンパ１４、１５、
１６が回動自在に取り付けられている。
する。車両用空調装置に空気を取り込む遠心送風機に本
発明を適用した第１実施例を図１〜図６に示す。通風系
統は、図５に示すように、車室外の空気を取り入れる外
気取入口２、または車室内の空気を取り入れる内気取入
口３から取り入れられた空気を送風機６の空気取入口３
６からケース２２内に取り込み、遠心多翼ファン２０に
よりエバポレータ７に導く。外気取入口２と内気取入口
３は回動自在なダンパ５により開閉される。エバポレー
タ７の出口側にはエアミックスダンパ８が設けられ、こ
のエアミックスダンパ８によって仕切られる第１流路１
８と第２流路１９のうちの片側の第２流路１９にヒータ
コア１７が取り付けられている。エアミックスダンパ８
とヒータコア１７の出口側に形成されるエアミックスチ
ャンバ９は、車室内の上方に向けて吹き出す上方吹出口
１３、車両乗員の上部に向けて吹き出す上部吹出口１２
ならびに車両乗員の足元に吹き出す足元吹出口１０に連
通している。各吹出口１０、１２、１３の入口側には、
それぞれの吹出口の開度を調節するダンパ１４、１５、
１６が回動自在に取り付けられている。
【００１０】前記送風機６は、その具体的な構造が図１
および図２に示される。送風機６は、遠心多翼ファン２
０とケース２２とからなる。ここで、ケース２２は、樹
脂成形された上ケース２２ａと下ケース２２ｂとをクラ
ンプ、ビス等により一体に組み付けたものであって、周
知のスクロール形状（図２参照）に形成されており、径
外方向に延びる図５に示す空気出口部３７を有し、この
空気出口部３７はエバポレータ７の空気入口側に接続さ
れている。
および図２に示される。送風機６は、遠心多翼ファン２
０とケース２２とからなる。ここで、ケース２２は、樹
脂成形された上ケース２２ａと下ケース２２ｂとをクラ
ンプ、ビス等により一体に組み付けたものであって、周
知のスクロール形状（図２参照）に形成されており、径
外方向に延びる図５に示す空気出口部３７を有し、この
空気出口部３７はエバポレータ７の空気入口側に接続さ
れている。
【００１１】ケース２２の下ケース２２ｂには図５に示
すファン駆動用モータ３３が支持固定されている。遠心
多翼ファン２０は、底プレート２４と、多数のブレード
２５と、ブレード２５の頂部に環状に形成され補強リン
グの役目を兼ねる保持リング２６とから構成され、樹脂
の一体成形品よりなる。底プレート２４は、図５に示す
ファン駆動用のモータ３３からの駆動力が伝達されるボ
ス部２８を有している。また底プレート２４の頂面２４
ａは中央部から外周方向に滑らかに湾曲するような曲面
に形成されている。ブレード２５は、底プレート２４の
外周端２４ｂの近傍から立ち上がるように形成されるも
ので、底プレート２４の外周端２４ｂの近傍に円周方向
に沿って所定の円弧間隔（図２参照）をおいて多数配置
される。保持リング２６は、環状のもので各ブレード２
５の頂部と接合される。ベルマウス３１の先端３１ａは
保持リング２６の頂面２６とほぼ一定の微小間隔δ例え
ば約３ｍｍ程度をあけて形成されている。
すファン駆動用モータ３３が支持固定されている。遠心
多翼ファン２０は、底プレート２４と、多数のブレード
２５と、ブレード２５の頂部に環状に形成され補強リン
グの役目を兼ねる保持リング２６とから構成され、樹脂
の一体成形品よりなる。底プレート２４は、図５に示す
ファン駆動用のモータ３３からの駆動力が伝達されるボ
ス部２８を有している。また底プレート２４の頂面２４
ａは中央部から外周方向に滑らかに湾曲するような曲面
に形成されている。ブレード２５は、底プレート２４の
外周端２４ｂの近傍から立ち上がるように形成されるも
ので、底プレート２４の外周端２４ｂの近傍に円周方向
に沿って所定の円弧間隔（図２参照）をおいて多数配置
される。保持リング２６は、環状のもので各ブレード２
５の頂部と接合される。ベルマウス３１の先端３１ａは
保持リング２６の頂面２６とほぼ一定の微小間隔δ例え
ば約３ｍｍ程度をあけて形成されている。
【００１２】そして、ケース２２の側面の傾斜角αは、
図２および図４に示すように、ファン２０の中心点Ｏ1
とケース２２のスクロール形状のノーズ部２２０の曲面
の中心点Ｏ2 を結ぶ線を基準線Ｘとし、この基準線Ｘか
らスクロールの巻き角θを取ると、図４に示すように、
θが０≦θ≦４５°の範囲では傾斜角α＝０であり、４
５°＜θ≦２７０°の範囲において巻き角θの拡大に従
いケース側面の傾き角αを次第に大きくなるように設定
している。本例では、巻き角θ＝２７０°において、傾
斜角α＝８°としている。
図２および図４に示すように、ファン２０の中心点Ｏ1
とケース２２のスクロール形状のノーズ部２２０の曲面
の中心点Ｏ2 を結ぶ線を基準線Ｘとし、この基準線Ｘか
らスクロールの巻き角θを取ると、図４に示すように、
θが０≦θ≦４５°の範囲では傾斜角α＝０であり、４
５°＜θ≦２７０°の範囲において巻き角θの拡大に従
いケース側面の傾き角αを次第に大きくなるように設定
している。本例では、巻き角θ＝２７０°において、傾
斜角α＝８°としている。
【００１３】これは、図３に示すように、空気取入口３
６からブレード２５の間を抜け出た空気の径外方向への
速度分布に対応してその空気流量に比例した容積を確保
するようにケース側面の形状を考慮したものである。ス
クロールの巻き角θ＝０°、４５°、９０°、１８０
°、２７０°の各位置における速度分布を示したよう
に、それに対応した角度にケース側面の傾き角αが設定
されている。これにより、ブレード２５の間から抜け出
た空気流がケース底面２２ｃに当たって形成される反射
流と、ブレード２５の出口の上下の圧力差とに起因する
上昇流を防止でき、さらにはケース内の空気取入口３６
近傍に発生しやすい循環流も防止でき、このように、空
気の反射流や循環流をなくすことにより、空気の乱れを
低減して騒音を低減するとともにファン効率を向上す
る。
６からブレード２５の間を抜け出た空気の径外方向への
速度分布に対応してその空気流量に比例した容積を確保
するようにケース側面の形状を考慮したものである。ス
クロールの巻き角θ＝０°、４５°、９０°、１８０
°、２７０°の各位置における速度分布を示したよう
に、それに対応した角度にケース側面の傾き角αが設定
されている。これにより、ブレード２５の間から抜け出
た空気流がケース底面２２ｃに当たって形成される反射
流と、ブレード２５の出口の上下の圧力差とに起因する
上昇流を防止でき、さらにはケース内の空気取入口３６
近傍に発生しやすい循環流も防止でき、このように、空
気の反射流や循環流をなくすことにより、空気の乱れを
低減して騒音を低減するとともにファン効率を向上す
る。
【００１４】次に、本発明の前記実施例の作用を、従来
の比較例の作用と比較して図１および図７に基づいてよ
り詳細に説明する。 上昇流防止効果 図１に示す前記実施例は、ベルマウス３１の空気取入口
３６から矢印方向に空気の流れが形成され、ファン軸方
向からファン径外方向に空気流れ方向が次第に方向転換
され、ブレード２５の外端から矢印方向に流れが形成さ
れる。この場合、本発明では、ケース２２の側面がスク
ロール巻き角θの所定範囲において傾斜角αに傾斜して
いるので、ブレード２５の間を抜けた空気流はスムーズ
に空気出口側に流れる。
の比較例の作用と比較して図１および図７に基づいてよ
り詳細に説明する。 上昇流防止効果 図１に示す前記実施例は、ベルマウス３１の空気取入口
３６から矢印方向に空気の流れが形成され、ファン軸方
向からファン径外方向に空気流れ方向が次第に方向転換
され、ブレード２５の外端から矢印方向に流れが形成さ
れる。この場合、本発明では、ケース２２の側面がスク
ロール巻き角θの所定範囲において傾斜角αに傾斜して
いるので、ブレード２５の間を抜けた空気流はスムーズ
に空気出口側に流れる。
【００１５】ブレード２５の出口の風速分布は、本発明
者が行った火花追跡法による可視化実験の結果より、図
３に示すように、スクロールの巻き角θが大きくなるほ
どブレード２５の下側（反吸込口側）に偏っており、ブ
レード２５の上側（吸込口側）ではほとんど空気が流れ
ていない。このことから、ケース２２の側面の傾斜角α
をスクロール巻き角θの増大につれて増大するよう設定
することによって、ブレード２５の間を抜け出た空気は
ケース底面２２ｃに衝突することなくスムーズに空気出
口側に流れることができ、前記した反射流を防止でき
る。同時に、ケース側面の傾斜角αを空気風速分布に対
応して増大することにより、ブレード出口上下の圧力差
も低減できる。この結果、上記反射流および圧力差に起
因する上昇流を効果的に防止できるのである。
者が行った火花追跡法による可視化実験の結果より、図
３に示すように、スクロールの巻き角θが大きくなるほ
どブレード２５の下側（反吸込口側）に偏っており、ブ
レード２５の上側（吸込口側）ではほとんど空気が流れ
ていない。このことから、ケース２２の側面の傾斜角α
をスクロール巻き角θの増大につれて増大するよう設定
することによって、ブレード２５の間を抜け出た空気は
ケース底面２２ｃに衝突することなくスムーズに空気出
口側に流れることができ、前記した反射流を防止でき
る。同時に、ケース側面の傾斜角αを空気風速分布に対
応して増大することにより、ブレード出口上下の圧力差
も低減できる。この結果、上記反射流および圧力差に起
因する上昇流を効果的に防止できるのである。
【００１６】これに対し、図７に示す従来の比較例で
は、ブレード２５間から抜け出た空気流の風速分布がケ
ース底面２２ｃに近いほど風速が増大する関係上、ケー
ス底面２２ｃで生じる反射流１０１を完全になくすこと
はできない。このため、図７に示す比較例では、反射流
１０１から跳ね返って形成される上昇流１０２、および
上記圧力差に起因する上昇流１０２が発生してしまい、
送風空気の乱れが生じる。
は、ブレード２５間から抜け出た空気流の風速分布がケ
ース底面２２ｃに近いほど風速が増大する関係上、ケー
ス底面２２ｃで生じる反射流１０１を完全になくすこと
はできない。このため、図７に示す比較例では、反射流
１０１から跳ね返って形成される上昇流１０２、および
上記圧力差に起因する上昇流１０２が発生してしまい、
送風空気の乱れが生じる。
【００１７】 循環流防止効果 前記図１に示す実施例では、ブレード２５の径外方向側
のケース２２の空間がケース上部から下部の方向に絞り
のかかった形状になっているので、空気がほとんど流れ
ない余分な空間が少ないとともに、上記した上昇流の防
止、圧力差の低減を実現できるため、図７に示す循環流
１０３が発生しにくい。これに対し、図７に示す比較例
では、ブレード２５の径外方向側の上部の余分な空間３
８において循環流１０３が発生するので、送風空気の乱
れが一層増大することになる。
のケース２２の空間がケース上部から下部の方向に絞り
のかかった形状になっているので、空気がほとんど流れ
ない余分な空間が少ないとともに、上記した上昇流の防
止、圧力差の低減を実現できるため、図７に示す循環流
１０３が発生しにくい。これに対し、図７に示す比較例
では、ブレード２５の径外方向側の上部の余分な空間３
８において循環流１０３が発生するので、送風空気の乱
れが一層増大することになる。
【００１８】本発明は、多翼送風機全般に適用した場合
に上述した作用によってファン効率の向上ならびに騒音
の低減という効果が得られるものであるが、特に自動車
用空調装置の通風系のように比較的通風抵抗の大きな通
風系に適用すると前記効果が顕著である。次に実験デー
タを示す。
に上述した作用によってファン効率の向上ならびに騒音
の低減という効果が得られるものであるが、特に自動車
用空調装置の通風系のように比較的通風抵抗の大きな通
風系に適用すると前記効果が顕著である。次に実験デー
タを示す。
【００１９】実験条件は、ファン径：１５０ｍｍ、ファ
ン幅：８５ｍｍ、ファン吸込側スクロール拡がり角：
４．５°、ブロアモータ電圧：１２Ｖ（一定）、保持リ
ング２６とケース２２との隙間δ／ファン外径：０．０
２とし、ケース側面の傾斜角αは前述の第４図図示の仕
様とした。その結果、流量係数Φと比騒音ＫS および圧
力係数ψとの関係は図６に示すとおりであった。従来例
に比べ前記実施例では、比騒音ＫS が相対的に低く、約
１．３ｄＢＡ低減でき、かつ圧力係数ψが相対的に大き
いことが判る。ここに、従来例は図７に示す形状のもの
であって、ケース側面に傾斜角αを設けていない点を除
き、他のファン仕様は本発明品と同じである。
ン幅：８５ｍｍ、ファン吸込側スクロール拡がり角：
４．５°、ブロアモータ電圧：１２Ｖ（一定）、保持リ
ング２６とケース２２との隙間δ／ファン外径：０．０
２とし、ケース側面の傾斜角αは前述の第４図図示の仕
様とした。その結果、流量係数Φと比騒音ＫS および圧
力係数ψとの関係は図６に示すとおりであった。従来例
に比べ前記実施例では、比騒音ＫS が相対的に低く、約
１．３ｄＢＡ低減でき、かつ圧力係数ψが相対的に大き
いことが判る。ここに、従来例は図７に示す形状のもの
であって、ケース側面に傾斜角αを設けていない点を除
き、他のファン仕様は本発明品と同じである。
【００２０】次に本発明の他の実施例の多翼送風機の例
を図８〜図１１に示す。図８に示す第２実施例は、前記
第１実施例に示される空気取入口３６を有するケース２
２の天井面と底面に代えて、ケース天井面２２ｄを水平
面に対しθ１の角度でブレード２５から吹き出す方向に
沿ってケース底面２２ｃ側に傾けて形成し、ケース底面
２２ｃをθ２の角度で水平面に対しθ１と同方向に傾け
て形成している。これにより、空気の流れをスムーズに
するので、ファン効率の向上ならびに騒音の低減が効果
的に図れる。なお、ケース天井面２２ｄは保持リング２
６の上方部で断面半円弧状に形成されるベルマウス３１
をもつ。
を図８〜図１１に示す。図８に示す第２実施例は、前記
第１実施例に示される空気取入口３６を有するケース２
２の天井面と底面に代えて、ケース天井面２２ｄを水平
面に対しθ１の角度でブレード２５から吹き出す方向に
沿ってケース底面２２ｃ側に傾けて形成し、ケース底面
２２ｃをθ２の角度で水平面に対しθ１と同方向に傾け
て形成している。これにより、空気の流れをスムーズに
するので、ファン効率の向上ならびに騒音の低減が効果
的に図れる。なお、ケース天井面２２ｄは保持リング２
６の上方部で断面半円弧状に形成されるベルマウス３１
をもつ。
【００２１】図９に示す第３実施例は、前記図８に示す
半円弧状のベルマウス３１に代えて４分の１円弧状のベ
ルマウス３１ａに形成した例である。ケース天井面２２
ｄおよびケース底面２２ｃの形状については、図８に示
す第２実施例と同様である。図１０に示す第４実施例
は、ブレード２５の頂部に環状に形成され補強リングお
よびシュラウドの役目を兼ねる保持リング４２をもつ例
である。保持リング４２の突起４２ａを包み込むように
断面半円弧状に形成されるベルマウス３１を有し、この
ベルマウス内壁３１ｂと突起４２ａの間には微小な一定
間隔δ２、例えば約３ｍｍ程度を有する。ベルマウス３
１の付け根部近傍のケース内壁は保持リング４２の頂面
４２ｂとほぼ一定の間隔δ２、例えば約３ｍｍ程度を開
けて形成されている。このようなほぼ一定の微小間隔δ
２は、保持リング４２の突起４２ａの外周壁から径外方
向に向けて滑らかに湾曲して形成される頂面４２ｂの径
外方向端まで形成されている。この第４実施例による
と、空気取入口３６から取り入れた空気流れをファン軸
方向よりファン径外方向へ方向転換するように保持リン
グ４２がほぼ円弧状断面に形成され、シュラウドとして
の役割を果たす。これにより、ブレード出口から前記微
小隙間δ２を通る内径側への逆流の発生を防止し、騒音
の低減ならびにファン効率の向上を図る。
半円弧状のベルマウス３１に代えて４分の１円弧状のベ
ルマウス３１ａに形成した例である。ケース天井面２２
ｄおよびケース底面２２ｃの形状については、図８に示
す第２実施例と同様である。図１０に示す第４実施例
は、ブレード２５の頂部に環状に形成され補強リングお
よびシュラウドの役目を兼ねる保持リング４２をもつ例
である。保持リング４２の突起４２ａを包み込むように
断面半円弧状に形成されるベルマウス３１を有し、この
ベルマウス内壁３１ｂと突起４２ａの間には微小な一定
間隔δ２、例えば約３ｍｍ程度を有する。ベルマウス３
１の付け根部近傍のケース内壁は保持リング４２の頂面
４２ｂとほぼ一定の間隔δ２、例えば約３ｍｍ程度を開
けて形成されている。このようなほぼ一定の微小間隔δ
２は、保持リング４２の突起４２ａの外周壁から径外方
向に向けて滑らかに湾曲して形成される頂面４２ｂの径
外方向端まで形成されている。この第４実施例による
と、空気取入口３６から取り入れた空気流れをファン軸
方向よりファン径外方向へ方向転換するように保持リン
グ４２がほぼ円弧状断面に形成され、シュラウドとして
の役割を果たす。これにより、ブレード出口から前記微
小隙間δ２を通る内径側への逆流の発生を防止し、騒音
の低減ならびにファン効率の向上を図る。
【００２２】図１１に示す第５実施例は、前記第４実施
例のケース天井面に代えて、径外方向にいくに従い下方
に傾斜されるケース天井面２２ｄおよびケース底面２２
ｃを形成した例である。なお、本発明によれば、ケース
２２においてスクロールの巻き角θの所定範囲において
は、巻き角θの増大に従い傾き角αを次第に大きくする
が、巻き角θの所定値以上の範囲では送風機の仕様に応
じて傾き角αをそのまま維持したり、次第に小さくして
もよい。
例のケース天井面に代えて、径外方向にいくに従い下方
に傾斜されるケース天井面２２ｄおよびケース底面２２
ｃを形成した例である。なお、本発明によれば、ケース
２２においてスクロールの巻き角θの所定範囲において
は、巻き角θの増大に従い傾き角αを次第に大きくする
が、巻き角θの所定値以上の範囲では送風機の仕様に応
じて傾き角αをそのまま維持したり、次第に小さくして
もよい。
【００２３】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多翼送風
機によれば、ケースの側面の一部が空気取入口側から反
空気取入口側にいくに従い径外方向に拡大するようにケ
ース側面の傾斜角αが設定され、かつ前記ケ−スのスク
ロール形状のノーズ部からの空気流方向のスクロール巻
き角が増大するに従い前記ケース側面の一部の傾斜角α
が大きくなるように形成される構成としたので、ブレー
ド間から流出した空気のケース底面との反射流の発生を
防止し、上昇流、さらには循環流の発生を防止するの
で、ファン効率の向上ならびに騒音の低減をはかること
ができるという効果がある。
機によれば、ケースの側面の一部が空気取入口側から反
空気取入口側にいくに従い径外方向に拡大するようにケ
ース側面の傾斜角αが設定され、かつ前記ケ−スのスク
ロール形状のノーズ部からの空気流方向のスクロール巻
き角が増大するに従い前記ケース側面の一部の傾斜角α
が大きくなるように形成される構成としたので、ブレー
ド間から流出した空気のケース底面との反射流の発生を
防止し、上昇流、さらには循環流の発生を防止するの
で、ファン効率の向上ならびに騒音の低減をはかること
ができるという効果がある。
【図１】本発明の第１実施例を示す多翼送風機の半断面
図である。
図である。
【図２】本発明の第１実施例のスクロールの巻き角を示
す概略構成図である。
す概略構成図である。
【図３】本発明の第１実施例のスクロール巻き角に応じ
たケース側面の傾斜角αを示す図である。
たケース側面の傾斜角αを示す図である。
【図４】本発明の第１実施例によるスクロール巻き角と
ケース側面の傾斜角αとの関係を示す特性図である。
ケース側面の傾斜角αとの関係を示す特性図である。
【図５】本発明の多翼送風機を車両用空調装置に適用し
た第１実施例を示す概略構成図である。
た第１実施例を示す概略構成図である。
【図６】流量係数と比騒音ならびに圧力係数について本
発明の第１実施例と従来の比較例を対比した特性図であ
る。
発明の第１実施例と従来の比較例を対比した特性図であ
る。
【図７】従来例を示す要部断面図である。
【図８】本発明の第２実施例を示す多翼送風機の半断面
図である。
図である。
【図９】本発明の第３実施例を示す多翼送風機の半断面
図である。
図である。
【図１０】本発明の第４実施例を示す多翼送風機の半断
面図である。
面図である。
【図１１】本発明の第５実施例を示す多翼送風機の半断
面図である。
面図である。
６ 多翼送風機 ２０ 遠心多翼ファン（ファン） ２２ ケース ２２ａ 上ケース（ケース） ２２ｂ 下ケース（ケース） ２２ｃ ケース底面 ２２ｄ ケース天井面 ２４ 底プレート ２５ ブレード ２６ 保持リング ３１ ベルマウス ３６ 空気取入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳永 孝宏 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 杉 光 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 実開 昭50−82706（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−97805（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−101504（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭57−46494（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F04D 29/40 - 29/56
Claims (2)
- 【請求項１】 空気取入口を形成するベルマウスを有
し、スクロール形状に形成されたケースと、 前記ケースに収納され、円周方向に配設された多数のブ
レード、前記多数のブレードの空気吸入側端部に形成さ
れた環状の保持リングおよび前記多数のブレードの反空
気吸込側端部に形成された底プレートを有する遠心多翼
ファンとを備え、 前記ケースの側面の一部が前記空気取入口側から反空気
取入口側にいくに従い径外方向に拡大するようにケース
側面の傾斜角αが設定され、かつ前記ケースのスクロー
ル形状のノーズ部からの空気流方向のスクロール巻き角
θが増大するに従い前記ケース側面の一部の傾斜角αが
大きくなるように形成され、前記スクロール巻き角θが０°≦θ≦４５°となる範囲
では、前記傾斜角αがα＝０°に設定されていることを
特徴とする多翼送風機。 - 【請求項２】 前記空気取入口が形成される面またはこ
の面と反対側の面の少なくとも一方の面が径外方向にい
くに従い反空気取入口方向に傾斜して形成されているこ
とを特徴とする請求項１記載の多翼送風機。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04110145A JP3120411B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 多翼送風機 |
| US08/020,085 US5352089A (en) | 1992-02-19 | 1993-02-19 | Multi-blades fan device |
| US08/280,998 US5511939A (en) | 1992-02-19 | 1994-07-27 | Multi-blades fan device |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04110145A JP3120411B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 多翼送風機 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05306699A JPH05306699A (ja) | 1993-11-19 |
| JP3120411B2 true JP3120411B2 (ja) | 2000-12-25 |
Family
ID=14528188
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP04110145A Expired - Fee Related JP3120411B2 (ja) | 1992-02-19 | 1992-04-28 | 多翼送風機 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3120411B2 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007113399A (ja) * | 2005-10-18 | 2007-05-10 | Oriental Motor Co Ltd | 遠心ファン |
| WO2021147497A1 (zh) * | 2020-01-20 | 2021-07-29 | 珠海格力电器股份有限公司 | 导流器、风机组件和电器 |
Families Citing this family (12)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0886299A (ja) * | 1994-09-16 | 1996-04-02 | Nippondenso Co Ltd | 遠心式送風機 |
| JP3794098B2 (ja) * | 1997-01-31 | 2006-07-05 | 株式会社デンソー | 遠心送風機 |
| JP3843893B2 (ja) * | 2001-07-16 | 2006-11-08 | 株式会社デンソー | 遠心式送風機 |
| JP4777685B2 (ja) * | 2005-05-13 | 2011-09-21 | シナノケンシ株式会社 | 送風機用ケーシング及び遠心式送風機 |
| JP4952006B2 (ja) * | 2006-03-07 | 2012-06-13 | 株式会社デンソー | 遠心式送風機 |
| JP2008215324A (ja) * | 2007-03-08 | 2008-09-18 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | シロッコファン |
| US8001958B2 (en) * | 2007-11-06 | 2011-08-23 | Rbc Horizon, Inc. | Furnace air handler blower housing with an enlarged air outlet opening |
| JP2010236426A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Mitsubishi Electric Corp | シロッコファン |
| US10473113B2 (en) | 2015-12-16 | 2019-11-12 | Denso Corporation | Centrifugal blower |
| CN106762818A (zh) * | 2017-03-29 | 2017-05-31 | 广东美的厨房电器制造有限公司 | 用于吸油烟机的风轮、风机和具有其的吸油烟机 |
| JP6997615B2 (ja) * | 2017-06-12 | 2022-01-17 | サンデン・オートモーティブクライメイトシステム株式会社 | 送風機 |
| JP7040493B2 (ja) * | 2019-04-25 | 2022-03-23 | 株式会社デンソー | 遠心ファンおよびその遠心ファンを備えた送風機 |
-
1992
- 1992-04-28 JP JP04110145A patent/JP3120411B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007113399A (ja) * | 2005-10-18 | 2007-05-10 | Oriental Motor Co Ltd | 遠心ファン |
| JP4583287B2 (ja) * | 2005-10-18 | 2010-11-17 | オリエンタルモーター株式会社 | 遠心ファン |
| WO2021147497A1 (zh) * | 2020-01-20 | 2021-07-29 | 珠海格力电器股份有限公司 | 导流器、风机组件和电器 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05306699A (ja) | 1993-11-19 |
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