JP2007113399A - 遠心ファン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 スクロールケーシング内に羽根車を配置し、この羽根車の回転中心に略対応する前記スクロールケーシングの片側壁面に吸込み口を形成し、かつ前記羽根車の吹き出し側に対向する前記スクロールケーシングの側面に吐出し口を有する遠心ファンにおいて、前記羽根車の径をDとして、該羽根車の回転中心からの前記スクロールケーシングの半径が、羽根車の回転方向に、rt×Dからro×Dまで、前記スクロールケーシングの始点からの角度に比例して変化するように前記スクロールケーシングの形状を形成した遠心ファン。
【選択図】 図2
Description
例えば、特許文献1はスクロールの径を回転方向だけではなく、高さ方向にも変化させ、羽根車から噴出する空気の高さ方向での速度の違いにも対処しようとするものである(特許文献1)。
上述のスクロールケーシング内での速度エネルギーから圧力への変換は、羽根車の回転中心からの半径を羽根車の回転方向に向かって、徐々に変化させることで行っていて、その基本形状については、大きく、2つの方式がある。
アルキメデススパイラルと対数スパイラルでは、その特性に多少の差があるが、作図が容易なことと送風効率が良いことから、アルキメデススパイラルが主流となっている(非特許文献1)。
本発明者は、市販の遠心ファンを用いて、スクロール角と舌部隙間を各種の値に変更したスクロールケーシングを試作して、その送風特性、騒音を測定してみた。
なお、一般に送風機の解析では、送風機の送風出力と電動機の軸動力との比を効率として求めている。また、圧力−流量特性については、回転速度、羽根径に依存しないように、無次元化して比較する。すなわち、下記の式で定義された流量係数φ、圧力係数ψ、効率ηを用いて評価を行うのが一般的であり、本発明の実施の形態についてもこれにならって説明を行う(非特許文献1参照)。
実験に用いた遠心ファンは、羽根車径が100mmの一般的な多翼ファンであり、表1に示す諸元にしたがって、試作したスクロールケーシングを組み合わせて、測定を行った。
図5は、舌部隙間/羽根車径による最大効率と騒音の変化を示したものである。舌部隙間はスクロールケーシングに沿って、羽根車回転方向に空気の速度エネルギーが徐々に圧力に変換を開始する点と圧力に変換され、吐出し口に向かう部分を締切る個所であり、その隙間が小さいと、この個所での圧力変動が大きくなり、騒音値が増大することが知られている。図5の舌部隙間の増大に伴い、騒音値が減少するという傾向は、以上の説明と一致する。
すなわち、図5および図6に示した結果は、一般的な考え方あるいは、別な条件での結果と異なったものとなっている。そこで、発明者は、この原因を探るため、舌部隙間が一定、およびスクロール角が一定という条件では、効率、および騒音値はどのような変化をするのかを調べてみた。
(ただし、rtはスクロールケーシングの始点半径と羽根車の径との比、roはスクロールケーシングの終点半径と羽根車の径との比とする。)
また、本発明は、スクロールケーシング内に羽根車を配置し、この羽根車の回転中心に略対応する前記スクロールケーシングの片側壁面に吸込み口を形成し、かつ前記羽根車の吹き出し側に対向する前記スクロールケーシングの側面に吐出し口を有する遠心ファンにおいて、前記羽根車の回転中心に直交する任意の直線から前記羽根車の回転方向にβなる角度の位置から始まり、前記直線から前記羽根車の回転方向に角度θの位置における前記羽根車の中心からの距離が、前記羽根車の径をDとして、(rt+(ro−rt)×(θ―β)/(360−β))×Dとなるように前記スクロールケーシングの形状を形成したことにある。
(ただし、rtはスクロールケーシングの始点半径と羽根車の径との比、roはスクロールケーシングの終点半径と羽根車の径との比とする。)
さらに、本発明は、上記rtが0.6から0.7の範囲であることである。
またさらに、本発明は、上記roが0.7から0.9の範囲であることである。
また、本発明では、従来例に比して、騒音を低減でき、このうち、耳障りとなる高いピークの翼通過騒音が大きく減少していることから、騒音が与える心理的な影響については、さらに改善されていることが期待される。
図1Aおよび図1Bに示す本発明の実施形態については、アルキメデススパイラルを用いて、説明する。
図1Aおよび図1Bは本発明を基に構成された遠心ファンの斜視図である。図2は、本発明を基にしたスクロール基本形状を示した図である。
多翼羽根車1は、スクロールケーシング6のスクロール中心に位置し、多翼羽根車1の回転により、スクロールケーシング6の片側壁面6aの吸込み口5aから流入した空気は、多翼羽根車1の遠心方向に、多翼羽根車1から流出する。次いで、スクロールケーシング6に沿って、圧力が上昇した空気流は、スクロールケーシング6の側面6bに形成された吐出し口5bから流出する。
ここで、実施例においては、rtについては、本発明よる最適範囲0.6〜0.7のうち、rt=0.65とした。また、roについては、本発明による最適範囲0.7〜0.9のうち、ro=0.81とした。
また、従来例については、舌部隙間を羽根車径の5%として、スクロール角については、特許文献2の最適範囲7〜13度に基づき、10度とした。
その他の諸元については、羽根車は直径100mmの多翼羽根車であり、スクロール始点の位置βは85度、また、吸込み口径は75mm、スクロール厚さは54mmであり、これらは本発明の実施例、従来例ともに同じである。
以上の諸元に基づき、試作した本発明によるスクロールケーシング6と従来設計によるスクロールケーシングを組み込んだ遠心ファンの特性、騒音を測定した結果を表2に示す。
騒音については、無響音室内にて、回転速度2000r/mでの開放状態での騒音値を吸込み口から1mの位置で測定した。
本発明の実施例における流量係数最大値が従来例の流量係数最大値を15%ほど上回っているほか、同一の流量特性に対して、圧力係数ψが、本発明の実施例が従来例を大きく上回っていることが分かる。すなわち、同一の回転数、大きさであれば、本発明による遠心ファンは従来設計による遠心ファンよりも大きな特性を得られることが分かる。
効率についても図3から、本発明の実施例の効率は従来例の効率を上回っており、より少ないエネルギーで大きな特性が得られることが分かる。その最大効率について比較すると、従来例では49%であるのに対して本発明の実施例では56%と7%効率が向上していることが分かる。
また、一般にdB(A)と表示される騒音値は、騒音の平均的な大きさを表し、騒音が与える心理的影響については、それ以外にも、従来例の騒音周波数分布のように、特定の周波数成分が異常に大きいと耳障りな感覚を与えると言われている。そうしたことからも本発明の実施例は、耳障りとなる孤立した周波数成分が抑えられたことにより、騒音が与える悪影響をさらに軽減していることが分かる。
本発明者は、実際のスクロールの広がりを一定にすれば、舌部隙間により、効率の増加は生じないだろうと考え、スクロール終点の半径を一定にして、スクロール始点の半径すなわち舌部隙間を変化させてみた。
すなわち、スクロール形状の式として、任意の角度θでのスクロール半径を、次式(数3)で表す。
以上の式を用いて、表3にしたがって、スクロールを設計、試作し、その性能を測定してみた。
ただし、効率低下の割合はわずかであり、スクロール始点半径と羽根車径の比が0.6〜0.7では、騒音の減少に対して、効率の低下は支障のない程度に抑えられることが判明した。
また、図10はrtすなわちスクロール始点半径と羽根車径の比を一定にし、roすなわちスクロール終点半径と羽根車径の比を変化させた場合の最大効率と騒音を破線と○で、また、roすなわちスクロール終点半径と羽根車径の比を一定にし、rtすなわちスクロール始点半径と羽根車径の比を変化させた場合の最大効率と騒音を実線と□で表示したものである。破線で示す軌跡から、スクロール終点半径を変化させると、騒音は一定のまま、効率が変化することが、また、実線で示す軌跡から、スクロール始点半径を変化させると、効率は一定のまま、騒音が変化することが分かる。
また、本発明の実施例では、従来例に比して、3dBほど騒音を低減でき、このうち、耳障りとなる高いピークの翼通過騒音が大きく減少していることから、騒音が与える心理的な影響については、さらに改善されていることが期待される。
さらに、スクロール形状を高さ方向にも考慮することにより、さらなる効率改善や騒音低減が期待できるが、前述のように、本発明によるスクロール基本形状を決定した後のことであり、このことにより、本発明の実施形態や効果が代わるものではないことは言うまでもない。
さらにまた、吸込み口の径やスクロールケーシングの厚みを最適化することにより、さらなる効率改善や騒音低減が期待できるが、このことにより、本発明の実施形態や効果が変わることはない。
2 翼
6 スクロールケーシング
5a 吸込み口
5b 吐出し口
6a 片側壁面
6b 側面
Claims (4)
- スクロールケーシング内に羽根車を配置し、この羽根車の回転中心に略対応する前記スクロールケーシングの片側壁面に吸込み口を形成し、かつ前記羽根車の吹き出し側に対向する前記スクロールケーシングの側面に吐出し口を有する遠心ファンにおいて、前記羽根車の径をDとして、該羽根車の回転中心からの前記スクロールケーシングの半径が、羽根車の回転方向に、rt×Dからro×Dまで、前記スクロールケーシングの始点からの角度に比例して変化するように前記スクロールケーシングの形状を形成したことを特徴とする遠心ファン。
(ただし、rtはスクロールケーシングの始点半径と羽根車の径との比、roはスクロールケーシングの終点半径と羽根車の径との比とする。) - スクロールケーシング内に羽根車を配置し、この羽根車の回転中心に略対応する前記スクロールケーシングの片側壁面に吸込み口を形成し、かつ前記羽根車の吹き出し側に対向する前記スクロールケーシングの側面に吐出し口を有する遠心ファンにおいて、前記羽根車の回転中心に直交する任意の直線から前記羽根車の回転方向にβなる角度の位置から始まり、前記直線から前記羽根車の回転方向に角度θの位置における前記羽根車の中心からの距離が、前記羽根車の径をDとして、(rt+(ro−rt)×(θ―β)/(360−β))×Dとなるように前記スクロールケーシングの形状を形成したことを特徴とする遠心ファン。
(ただし、rtはスクロールケーシングの始点半径と羽根車の径との比、roはスクロールケーシングの終点半径と羽根車の径との比とする。) - 前記rtを0.6から0.7の範囲に設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ファン。
- 前記roを0.7から0.9の範囲に設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ファン。
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