JP3117790B2 - L−α−アミノアジピン酸の製造法 - Google Patents

L−α−アミノアジピン酸の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はL−α−アミノアジピン
酸を工業的に製造する方法に関するものである。L−α
−アミノアジピン酸は非蛋白性のアミノ酸であり、ペプ
チド性抗生物質や、ペプチド性ホルモンなどの生理活性
ペプチドの合成原料として用いられる。またβ−ラクタ
ム抗生物質の発酵生産において前駆体として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術と問題点】L−α−アミノアジピン酸は細
菌(ビブリオ、コレラ)トウモロコシ種子などに生起
し、種々の植物や尿中にも見いだされている。微生物中
ではリジンの前駆物質あるいはリジン代謝の中間体とし
て認められ、動物ではリジンからの生成も認められてい
るが、自然界に生起する微量のL−α−アミノアジピン
酸を抽出する方法は原料の供給、操作のはん雑な点に難
点があり、コスト的に有利な方法ではない。合成法で
は、DL−α−アミノアジピン酸が複雑な過程によりつ
くられ、L−α−アミノアジピン酸をえるには高価な光
学分割剤を用いて分割しなければならず、コスト的に有
利な方法ではない。最近L−リジンからのL−α−アミ
ノアジピン酸の合成が報告されている(Barton,
D.H.R.ら:Tetrahedron,43巻、4
297頁、1987年)が、工程が複雑で工業的製法と
してはなお不適と考えられる。
【0003】最近、アルカリゲネス属、シュードモナス
属、およびクルチア属の微生物を用いて、L−ピペコリ
ン酸からL−α−アミノアジピン酸をえる方法が特許出
願された(特開平1−98495号)。この方法は微生
物を用いる製法として注目されるものであるが、原料で
あるL−ピペコリン酸が高価である点が問題である。D
L−ピペコリン酸を原料とすると原料の半分を占めるD
体が反応せず、理論的に収率は半分以下となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のL
−α−アミノアジピン酸製造法の欠点を克服して工業的
に有利なL−α−アミノアジピン酸を製造する方法につ
いて種々研究を重ねた結果、安価に市場に供給されてい
るL−リジンに微生物またはその処理物を作用させて直
接反応液中にL−α−アミノアジピン酸を生成させる方
法を発見し、この発見に基づいて研究を重ね本発明を完
成するに至った。
【0005】
【発明の具体的説明】本発明に使用する微生物は、アグ
ロバクテリウム(Agrobacterium)、アルカリゲネス(A
lcaligenes)、クレブシエラ(Klebsiella)、ブレビバ
クテリウム(Brevibacterium)、バチルス(Bacillus
の何れかの属に属してL−リジンからL−α−アミノア
ジピン酸を生成する微生物である。さらに具体的菌種菌
株としては、アグロバクテリウム・ツメファシエンス
Agrobacterium tumefaciens)IFO 3058、アルカリゲ
ネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)ATCC 875
0、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsialla pneumoni
ae)IFO 12059、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネ
ス(Brevibacterium ammoniagenes)ATCC 6872、バチル
ス・スフェリクス(Bacillus sphaericus)IFO 3525が
挙げられる。これらの微生物はATCC(アメリカ合衆
国)、IFO(発酵研究所、大阪)より入手できる。
【0006】これらの微生物を培養して菌体をえた後、
L−リジンをふくむ反応液中に菌体をけん濁してL−リ
ジンが実質的にL−α−アミノアジピン酸に変換される
まで反応させる。菌体を溶媒、界面活性剤処理、破砕な
どにより処理して用いるか、処理物から変換活性のある
酵素系を抽出してL−リジンに作用させることもでき
る。抽出液はさらに処理を加えて活性のより高い標品と
して用いることもできる。生育培養中の菌にL−リジン
を接触させて反応させることもできる。菌体あるいはそ
の処理物は固定化して用いることもできる。またこれら
の微生物から組換えなどの手法によりL−リジンをL−
α−アミノアジピン酸に変換する能力を導入した微生物
も用いられる。
【0007】菌体をえるために微生物を培養する培地の
成分としては、炭素源、窒素源、無機塩など普通微生物
の培養に用いるものが使用される。炭素源の例として
は、グルコースなどの糖類、クエン酸などの有機酸、廃
糖蜜などの天然物で微生物が利用するものであればよ
い。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニ
ウムやペプトン、肉エキス、酵母エキスなどの天然物が
普通用いられる。無機塩としては燐酸カリや硫酸マグネ
シウムやいわゆる微量元素と呼ばれる微量であるが生育
に有効なものが使用される。反応基質であるL−リジン
を培地に加えることもある。
【0008】反応に用いられる水性反応液は、反応中反
応液のpHの変動を少くするよう燐酸緩衝液などのいわ
ゆる緩衝液としたものが通常用いられるが、有機溶媒を
ふくむ反応液も水をふくむものであれば使用できる。反
応はpH4〜10、温度10〜60℃で行う。反応は、
振とう、かく拌、通気などの好気的条件で行うとL−α
−アミノアジピン酸の生成量が顕著に増加する。反応液
中のL−リジンが減少してL−α−アミノアジピン酸の
生成量が実質的な量に達した時点で反応液から菌体を遠
心分離により除去してから、あるいは反応液をそのまゝ
イオン交換樹脂処理、濃縮、晶析など、L−α−アミノ
アジピン酸の分離精製に公知の方法を適用してL−α−
アミノアジピン酸を反応液から分離回収することができ
る。例えばRaoら(D.R.RaoおよびV.W.R
odwell:J.Biol.Chem.,237巻、
2232〜2238頁、1962年)の方法に従いイオ
ン交換樹脂の吸着、分画溶出により分離採取できる。
【0009】
【実施例】以下実施例により本発明をより具体的に説明
する。実施例においてL−α−アミノアジピン酸の定量
は高速液体クロマトグラフィーによった。その条件は次
のとおりである。 カラム:TSK−GEL SCX(ガード付)(トーソー(株)製) 移動相:0.12M NaHPO−HPO,pH4.0 流速 :1ml/分、 温度 :40℃ 検出 :UV 210nm またα−アミノアジピン酸のD体とL体の分別分析は次
の条件での高速液体クロマトグラフィーによった。 カラム:MCI GEL CRS10WCDLAA)(三菱化成(株)製) 移動相:2mM CuSO+5%アセトニトリル 流速 :1ml/分、 温度 :25℃ 検出 :UV 254nm 定性的、半定量的分析方法として、薄層クロマトグラフ
ィー後ニンヒドリン・スプレーして加熱することにより
発色するα−アミノアジピン酸の発色強度を観察する法
も使用でき、反応の進行を追析する手段として簡便であ
る。濃度は%(W/V)で示した。
【0010】実施例1 L−リジン塩酸塩1.0%、ペプトン1.0%、酵母エ
キス0.5%、塩化ナトリウム0.5%、燐酸二カリウ
ム0.2%、燐酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウ
ム・7水塩0.01%の組成の滅菌培地30mlを入れ
た300ml三角フラスコに表1に示した微生物を植菌
して、26℃、220r.p.m.で48時間振とう培
養した。各フラスコの培養液を遠心分離して菌体を集め
その菌体をL−リジン塩酸塩2.5%をふくむpH9.
0の50mM硼酸緩衝液30mlを入れた300ml三
角フラスコにけん濁して、26℃、220r.p.m.
で振とう反応させた。反応120時間で表1に示した濃
度にL−α−アミノアジピン酸が生成した。なおD−α
−アミノアジピン酸の生成は認められなかった。また、
反応を静止条件で行ったときはL−α−アミノアジピン
酸は何れの菌でも極めて微量にしか生成しなかった。
【0011】
【表1】
【0012】実施例2 アグロバクテリウム・ツメファシエンス IFO 30
58を用い、生育培地として、L−リジン塩酸塩1.0
%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、塩化ナト
リウム0.5%、燐酸二カリウム0.2%、燐酸一カリ
ウム0.1%、硫酸マグネシウム・7水塩0.01%の
組成の培地(pH7.0)を用いるほかは実施例1と同
様に実施したとき、反応96時間でL−α−アミノアジ
ピン酸が0.43%の濃度に生成した。かくしてつくっ
たL−α−アミノアジピン酸生成反応液600mlから
菌体を遠心分離で除き、強塩基性陰イオン交換樹脂(D
owex 1)(酢酸型)のカラムに通じ、カラムを水
洗後、lM酢酸で溶出し、溶出液のα−アミノアジピン
酸をふくむ分画を集めて減圧濃縮して乾固し、少量の水
にとかして3℃に放置し、析出する結晶を分離乾燥して
L−α−アミノアジピン酸1.56gをえた。その光学
純度(e.e.)は100%であった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 13/04 C12R 1:01) (C12P 13/04 C12R 1:07) (C12P 13/04 C12R 1:13)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アグロバクテリウム、アリカリゲネス、
    クレブシエラ、ブレビバクレリウム、バチルスの何れか
    の属に属する微生物もしくはその処理物をL−リジンに
    作用せしめることにより、L−α−アミノアジピン酸を
    生成せしめることを特徴とするL−α−アミノアジピン
    酸の製造法。
  2. 【請求項2】 L−リジンにアグロバクテリウム、アリ
    カリゲネス、クレブシエラ、ブレビバクレリウム、バチ
    ルスの何れかの属に属する微生物またはその処理物を作
    用させて、L−α−アミノアジピン酸を生成せしめるL
    −α−アミノアジピン酸の製造法において、L−リジン
    アグロバクテリウム、アリカリゲネス、クレブシエ
    ラ、ブレビバクレリウム、バチルスの何れかの属に属す
    微生物またはその処理物を好気的に反応させることを
    特徴とするL−α−アミノアジピン酸の製造法。
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