JP3115040B2 - 光有機薄膜素子 - Google Patents

光有機薄膜素子

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JP3115040B2 JP22144491A JP22144491A JP3115040B2 JP 3115040 B2 JP3115040 B2 JP 3115040B2 JP 22144491 A JP22144491 A JP 22144491A JP 22144491 A JP22144491 A JP 22144491A JP 3115040 B2 JP3115040 B2 JP 3115040B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電圧や電流で駆動する光
有機薄膜素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機薄膜を用いた各種電子デバイ
スの研究が盛んに行われている。そのなかでも、光が関
与する素子は実用上特に重要である。例えば、液晶表示
素子、有機感光体薄膜を用いた電子写真、有機光電池、
光化学ホールバーニング(PHB)記録素子、積層型有
機エレクトロルミネッセンス(EL)素子(例えば、特
開昭57−51781号、特開昭59−194393
号、特開昭63−295695号)、ラングミュア・ブ
ロジェット(LB)膜を用いた各種光機能素子(例え
ば、特開昭62−74688号、特開昭62−2215
93号)などがある。これらの素子のうち電圧や電流で
駆動するものは、電子写真を除いて、透明電極が必要で
ある。透明電極としては種々のものが知られているが、
光の透過性、導電率、作製の簡便さ、安定性などの観点
から、ITO薄膜電極またはSnO2 薄膜電極を用いる
場合が最も多い。
【0003】ところで、素子を作製する際に、ITO電
極やSnO2 電極は酸またはアルカリ洗浄、溶剤洗浄、
プラズマ洗浄などにより表面クリーニングされた後、使
用される。これらの処理がなされたITO電極やSnO
2電極の表面には水酸基が形成され、表面は親水性にな
る。
【0004】液晶表示素子のように透明電極表面にさら
に親水性のSiO2やポリイミドなどを被覆する場合に
は特に問題はない。しかし、積層有機EL素子のように
親水性の透明電極上に疎水性の機能性有機分子から構成
される膜を直接成膜する場合には、両者の界面で膜の剥
離が生じたり、当初アモルファスで均一な膜であっても
時間の経過とともに結晶化が起こり不均一になる場合が
ある。また、このような現象は水分の存在により加速さ
れるため、湿気のある通常の空気雰囲気中では素子が安
定に動作しなくなる場合が多い。
【0005】これを防止するためには、透明電極の表面
を疎水性の単分子膜で被覆することが好ましい。しか
し、よく行われるLB法による被覆は操作が煩雑である
うえ、LB単分子膜は透明電極表面に吸着しているだけ
であり機械的・熱的耐性に欠けるという欠点がある。一
方、化学結合性の表面処理剤として最もよく知られてい
るシランカップリング剤は、ガラス、Si基板、紙など
の表面の水酸基とは容易に化学反応して結合を生成する
ため極めて機械的・熱的耐性に優れた単分子被覆膜を得
ることができる。しかし、透明電極表面の水酸基はシラ
ンカップリング剤と反応しないため、シランカップリン
グ剤を透明電極の表面処理剤として用いることはできな
い。
【0006】以上の場合とは逆に、透明電極上に非常に
親水性の高い有機薄膜が形成される素子では、透明電極
の表面の親水性をSiO2 やポリイミドよりもさらに高
めることが好ましい場合もある。この場合にも、従来は
透明電極の表面処理剤として適当なものは知られていな
かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
したような問題を解決して、透明電極上に形成される有
機薄膜に剥離や構造変化が生じることがなく、安定性の
よい光有機薄膜素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の光有機薄
膜素子は、無機酸化物からなる透明電極と、前記透明電
極上に形成された有機薄膜とを具備した光有機薄膜素子
において、前記透明電極の表面に、カルボン酸のクロム
錯体または有機リン酸化合物、有機亜リン酸化合物もし
くは有機次亜リン酸化合物からなる有機膜を化学的に結
合させたことを特徴とするものである。本発明におい
て、無機酸化物からなる透明電極としてはITO電極や
SnO2電極などが挙げられる。
【0009】本発明において、透明電極の表面に形成さ
れる有機膜は、下記一般式(I)で表されるカルボン酸
のクロム錯体または下記一般式(II−1)〜(II−4)
で表される有機リン酸化合物、有機亜リン酸化合物もし
くは有機次亜リン酸化合物の単分子から構成される。よ
り具体的には、上記カルボン酸のクロム錯体または有機
リン酸化合物、有機亜リン酸化合物もしくは有機次亜リ
ン酸化合物を修飾分子として透明電極表面の水酸基と化
学的に反応させることにより、前記有機膜が形成され
る。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】これらの修飾分子には、透明電極表面に存
在する水酸基と化学結合する官能部位と、表面の性質を
例えば疎水性にする修飾部位とを有する。修飾分子の修
飾部位としては、種々の構造が考えられる。表面を疎水
化するためには、修飾部位としては長鎖アルキル基、ス
テロイド基などが有効である。修飾部位にドナー性また
はアクセプタ性の色素骨格を導入すれば、その上部に形
成される有機薄膜中の別の有機色素分子との電子的な相
互作用が期待できるだけでなく、透明電極表面に形成さ
れた有機膜自体が光電的機能を果たすことが期待でき
る。修飾部位の酸化還元電位を適当に設定すれば、その
上部に形成される有機薄膜への電荷の注入などを制御す
ることも可能である。修飾部位にアルコール性水酸基、
アミノ基、カルボキシル基などを導入すれば、表面を親
水性にすることができ、しかも通常のシランカップリン
グ剤などとの反応によりさらに表面を修飾する有機膜を
形成できる。このように透明電極表面に化学的に結合し
た有機膜を有機積層膜とすることもできる。これらの修
飾分子からなる有機膜の厚さは、透明電極が電極として
機能するように、5nm以下が好ましく、2nm以下が
より好ましい。
【0013】本発明において、透明電極上に修飾分子か
らなる有機膜を形成するには以下のような方法が用いら
れる。基板上に形成されたITO電極またはSnO2
極を洗浄して乾燥した後、前記修飾分子を0.001〜
1wt%程度の濃度で含む有機溶媒溶液中に室温下で1
時間〜1日程度放置し、その後基板を取り出し、有機溶
媒、水などの溶媒で洗浄後、大気中において約80〜1
20℃の温度で30分〜1時間程度加熱する。次に、有
機溶媒、水など種々の溶媒でよく洗浄して乾燥する。溶
媒の種類、濃度、溶液中での放置時間、加熱温度、加熱
時間などの最適条件は、修飾分子の種類によって変化す
るので、それぞれの分子に応じて適宜設定する。
【0014】なお、修飾分子が気化しやすい場合には、
気相で反応させる方法を用いてもよい。この場合、加熱
処理だけですみ溶媒洗浄などが必要なくなるので、操作
が簡単になる。ただし、このような分子は限られる。ま
た、修飾分子が水面上で単分子膜を形成するような分子
であれば、LB法により透明電極上に修飾分子の単分子
膜を累積した後、加熱処理して化学結合を生成させる方
法を用いてもよい。ただし、このような分子も限られる
うえ、操作がかなり煩雑になる。
【0015】修飾分子からなる有機膜が透明電極表面に
化学結合しているかどうかは、透明電極を修飾分子によ
り処理した直後と、この透明電極を修飾分子およびその
反応生成物が溶解する溶媒を用いてよく洗浄した後と
で、透明電極表面と水との接触角などの表面物性や有機
膜の吸収スペクトルに変化が生じるかいなかにより簡便
に判定できる。
【0016】本発明は種々の光有機薄膜素子に適用で
き、所望の素子特性に応じて各種の機能性の有機薄膜を
用いることができる。以下、これらの素子の構造および
動作原理を例示して簡単に説明する。 (有機EL素子)
【0017】少なくとも一方が発光性を有する正孔輸送
層および電子輸送層の二層構造からなる有機薄膜、また
は正孔輸送層と電子輸送層との間に発光層を有する三層
構造からなる有機薄膜を、少なくとも一方が無機酸化物
からなる透明電極である二つの電極で挟んだ構造を有す
る。いずれの構造でも電子および正孔が発光層に注入さ
れて再結合する結果、発光する。電子輸送層および正孔
輸送層は注入確率を増大させる作用を有する。 (光電池)
【0018】光を吸収して電子と正孔とを生じる色素を
含む電荷発生層と正孔輸送層もしくは電子輸送層との二
層構造からなる有機薄膜、または正孔輸送層と電子輸送
層との間に電荷発生層を有する三層構造からなる有機薄
膜を、少なくとも一方が無機酸化物からなる透明電極で
ある二つの電極で挟んだ構造を有する。いずれの構造で
も発生した電子および正孔が再結合するのを防止し、電
荷分離を効率よく行わせ、光電変換効率を増大させる。 (有機光記憶素子)
【0019】光を吸収して電子と正孔とを生じる色素を
含む感光性分子膜とドナー性分子膜もしくはアクセプタ
性分子膜との二層構造からなる有機薄膜、またはドナー
性分子膜とアクセプタ性分子膜との間に感光性分子膜を
有する三層構造からなる有機薄膜を、少なくとも一方が
無機酸化物からなる透明電極である二つの電極で挟み、
かつ少なくとも一方の電極と有機薄膜との間に絶縁性薄
膜を介在せしめた構造を有する。いずれの構造でも発生
した電子および正孔が再結合するのを防止し、電荷分離
を効率よく行わせるとともに、電荷分離状態を保持して
記憶する。
【0020】本発明の光有機薄膜素子では、ITO、S
nO2 などの無機酸化物からなる透明電極の表面に、化
学的に結合した有機膜を形成しているので、この有機膜
自体の機械的・熱的耐性が強い。しかも、この有機膜の
分子構造を適当に設計することにより、その上に形成さ
れる機能性の有機薄膜との親和性を改善でき、例えば湿
気などがあっても有機薄膜の剥離や構造変化を起こしに
くい。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1(有機EL素子)
【0022】ガラス基板上にスパッタ法によりITO薄
膜を形成して、25mm×25mm×0.2mm、表面
抵抗約10Ω/cm2 の透明電極を形成した。この透明
電極をアセトン、クロロホルム、アセトン、水の順で洗
浄し、加熱乾燥した。続いて、構造式(1)で示される
デカン酸のクロム錯体のイソプロピルアルコール溶液
(濃度1wt%)中にガラス基板/ITO薄膜を浸漬
し、室温下で3時間放置した。次いで、基板を取り出
し、イソプロピルアルコールで洗浄して大気中において
100℃で1時間放置した後、クロロホルム、アセト
ン、水の順でよく洗浄し、大気中において100℃で1
時間加熱乾燥した。基板を取り出し、室温に戻した後、
ITO薄膜を形成した主面上の数個所に純水を滴下して
接触角を測定したところ、接触角は70〜90°であ
り、高い疎水性を有することがわかった。
【0023】次に、この基板を真空蒸着装置にセット
し、構造式(2)で示されるトリフェニルアミン誘導体
(正孔輸送層)を50nmの厚さに蒸着した。その上
に、構造式(3)で示される8−ヒドロキシキノリンア
ルミニウム(発光層)を30nmの厚さに蒸着し、二層
構造の有機薄膜を形成した。最後に、有機薄膜上に面積
0.2cm2 のアルミニウム電極6個を形成した。
【0024】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
800〜1000cd/m2 の輝度を示した。この素子
を大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様
に輝度を測定したところ、6電極とも700〜1000
cd/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化は
ほとんど認められなかった。
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】 実施例2(有機EL素子)
【0028】構造式(1)で示されるデカン酸のクロム
錯体の代わりに、構造式(4)で示されるコラン酸のク
ロム錯体を用いたことを除いては、実施例1と同様の方
法で有機EL素子を作製した。
【0029】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
800〜1000cd/m2 の輝度を示した。この素子
を大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様
に輝度を測定したところ、6電極とも700〜1000
cd/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化は
ほとんど認められなかった。
【0030】
【化6】 実施例3(有機EL素子)
【0031】構造式(1)で示されるデカン酸のクロム
錯体の代わりに、構造式(5)で示されるテレフタル酸
のクロム錯体を用いたことを除いては、実施例1と同様
の方法で有機EL素子を作製した。
【0032】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
1000〜1200cd/m2 の輝度を示した。この素
子を大気中において室温で1か月放置した後、前記と同
様に輝度を測定したところ、6電極とも1000〜12
00cd/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣
化はほとんど認められなかった。
【0033】
【化7】 実施例4(有機EL素子)
【0034】構造式(1)で示されるデカン酸のクロム
錯体の代わりに、構造式(6)で示されるドデシルホス
フェートを用いたことを除いては、実施例1と同様の方
法で有機EL素子を作製した。
【0035】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
800〜900cd/m2 の輝度を示した。この素子を
大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様に
輝度を測定したところ、6電極とも700〜900cd
/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化はほと
んど認められなかった。
【0036】
【化8】 実施例5(有機EL素子) 透明電極としてITO薄膜の代わりに、SnO2 薄膜
(ネサ膜)を用いたことを除いては、実施例1と同様の
方法で有機EL素子を作製した。
【0037】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
800〜900cd/m2 の輝度を示した。この素子を
大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様に
輝度を測定したところ、6電極とも700〜900cd
/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化はほと
んど認められなかった。 実施例6(有機EL素子) 透明電極としてITO薄膜の代わりに、SnO2 薄膜
(ネサ膜)を用いたことを除いては、実施例4と同様の
方法で有機EL素子を作製した。
【0038】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
700〜1000cd/m2 の輝度を示した。この素子
を大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様
に輝度を測定したところ、6電極とも700〜900c
d/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化はほ
とんど認められなかった。 実施例7(光電池)
【0039】実施例1と同様に構造式(1)で示される
デカン酸のクロム錯体で処理したガラス基板/ITO薄
膜上に、構造式(2)で示されるトルフェニルアミン
(正孔輸送層)を50nmの厚さに蒸着した。その上に
銅フタロシアミン(電荷発生層)を50nmの厚さに蒸
着した。さらに、その上に構造式(7)で示されるp−
ジフェノキノン誘導体(電子輸送層)を50nmの厚さ
に蒸着し、三層構造の有機薄膜を形成した。最後に、有
機薄膜上に面積0.2cm2 のアルミニウム電極6個を
形成した。
【0040】この素子を作製後直ちに、基板側から50
0nm以下の光をカットしたタングステンランプ光を照
射し、光電変換効率を測定したところ、6電極とも1.
2〜1.5%の光電変換効率を示した。この素子を大気
中において室温で1か月放置した後、前記と同様に光電
変換効率を測定したところ、6電極とも1.2〜1.5
%の光電変換効率を示し、保存による素子特性の劣化は
ほとんど認められなかった。
【0041】
【化9】 実施例8(有機整流素子)
【0042】実施例3と同様に構造式(5)で示される
テレフタル酸のクロム錯体で処理したガラス基板/IT
O薄膜上に、構造式(2)で示されるトルフェニルアミ
ン(正孔輸送層)を20nmの厚さに蒸着した。その上
に構造式(7)で示されるp−ジフェノキノン誘導体
(電子輸送層)を20nmの厚さに蒸着し、二層構造の
有機薄膜を形成した。最後に、有機薄膜上に面積0.2
cm2 のアルミニウム電極6個を形成した。
【0043】この素子を作製後直ちに、光を遮断して電
流−電圧特性を測定したところ、6電極とも上部電極を
負にした場合に電流が流れる整流特性を示し、ほぼ同一
の電流−電圧特性が得られた。この素子を大気中におい
て室温で1か月放置した後、前記と同様に電流−電圧特
性を測定したところ、6電極とも変化はみられず、保存
による素子特性の劣化は認められなかった。 実施例9(有機光記憶素子)
【0044】構造式(8)で示されるドナー性のp−フ
ェニレンジアミン骨格を有する有機リン酸化合物をイソ
プロピルアルコールに濃度1wt%で溶解させた溶液を
調製した。次いで、実施例1と同様のガラス基板/IT
O薄膜をこの溶液中に浸漬し、室温で3時間放置した。
次いで、基板を取り出し、窒素中において50℃で1時
間放置した後、イソプロピルアルコール、アセトンの順
でよく洗浄し、窒素気流中で1時間乾燥した。
【0045】次に、この基板上に、LB法により感光性
分子膜として構造式(9)で示される銅フタロシアニン
誘導体からなる単分子膜およびアクセプタ性分子膜とし
て構造式(10)で示されるTCNQ誘導体からなる単
分子膜を2層ずつ累積して多層構造の有機薄膜を形成
し、さらに構造式(11)で示される絶縁性のポリメタ
クリル酸ブチルからなる単分子膜を30層累積した。こ
のようにして形成された超格子膜を窒素気流下で一晩乾
燥させた後、基板を真空蒸着装置にセットし、3×10
-6Torrの真空下でAl電極を約50nmの厚さに蒸
着した。
【0046】
【化10】
【0047】
【化11】
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】なお、上述したような有機薄膜および絶縁
性薄膜は、具体的には以下のようにして形成された。ま
ず、銅フタロシアニン誘導体をクロロホルムに溶解して
0.2mg/mlのLB膜展開溶液を調製した。表面圧
−分子占有面積曲線から、この分子は13dyn/cm
で固体凝縮膜となることがわかった。この分子の固体凝
縮膜を通して、基板を2mm/minの速度で気相から
水中へ引き下げ、次に引き上げて二層膜からなる感光性
分子膜を形成した。次に、TCNQ誘導体をトルエンに
溶解して0.5mg/mlのLB膜展開溶液を調製し
た。表面圧−分子占有面積曲線から、この分子は12d
yn/cmで固体凝縮膜となることがわかった。前記と
同様の方法で感光性分子膜の上に二層膜からなるアクセ
プタ性分子膜を形成した。さらに絶縁性分子としてポリ
メタクリル酸ブチルを用い、前記と同様の方法でアクセ
プタ性分子膜の上に30層膜からなる絶縁性薄膜を形成
した。
【0051】このような有機光記憶素子では、光照射に
より感光性分子の電子が励起され、電子はアクセプタ性
分子のLUMOへ、正孔はドナー性分子のHOMOへと
遷移する。この素子において、電荷分離が保たれた状態
と電荷分離が保たれていない状態とで光照射過渡電流を
比較すると、前者の状態では内部電界が存在するため光
照射過渡電流が小さい。したがって、過渡電流の大きさ
を測定すれば、電荷分離状態を検出できる。
【0052】具体的には、この素子に透明電極側を負と
するバイアス電圧を印加した状態で基板側からHe−N
eレーザー光パルス(波長633nm、5mW/c
2 、パルス幅10msec、スポット径1mm)を照
射し、書き込みを行った。感光性分子(9)は波長63
3nmに強い吸収を持つが、アクセプタ性分子(10)
およびドナー性分子(8)は吸収を持たない。室温下、
暗所で一定時間放置した後、弱いレーザー光パルス
(0.05mW/cm2 )を照射し、過渡電流ピーク値
(A)を測定した。ここで、電荷分離していない場合の
ピーク値をA0 とする。AはA0 と比較して小さく、光
照射を記憶できることがわかった。この素子を大気中に
おいて室温下で1か月放置した後、特性を測定したとこ
ろ、変化は見られず、保存による素子特性の劣化は認め
られなかった。 実施例10(有機EL素子)
【0053】構造式(1)で示されるデカン酸のクロム
錯体の代わりに、構造式(12)で示されるヒドロキシ
ブタン酸のクロム錯体を用いて実施例1と同様のガラス
基板/ITO薄膜を処理した。このガラス基板/ITO
薄膜上に純水を滴下して接触角を測定したところ、水と
の接触角はほぼ0°であり、ヒドロキシブタン酸の水酸
基に起因する高い親水性を有することがわかった。次
に、構造式(13)で示されるアントラセンのトリエチ
ルシリル化物(正孔輸送層)を同様の方法によりヒドロ
キシブタン酸の水酸基と化学的に反応させて単分子膜を
成膜し、さらに真空蒸着装置を用いて構造式(14)で
示されるオキサジアゾール誘導体(電子輸送層)を50
nmの厚さに蒸着し、二層構造の有機薄膜を形成した。
最後に、有機薄膜上に面積0.2cm2 のアルミニウム
電極6個を形成した。
【0054】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
500〜800cd/m2 の輝度を示した。この素子を
大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様に
輝度を測定したところ、6電極とも500〜800cd
/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化はほと
んど認められなかった。
【0055】
【化14】
【0056】
【化15】
【0057】
【化16】 実施例11(有機EL素子)
【0058】構造式(1)で示されるデカン酸のクロム
錯体の代わりに、構造式(15)で示されるジエチル
ドデカンホスファイトを用いたことを除いては、実施例
1と同様の方法で有機EL素子を作製した。
【0059】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
800〜900cd/m2 の輝度を示した。この素子を
大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様に
輝度を測定したところ、6電極とも700〜900cd
/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化はほと
んど認められなかった。
【0060】
【化17】 実施例12(有機EL素子)
【0061】構造式(1)で示されるデカン酸のクロム
錯体の代わりに、構造式(16)で示されるジドデカン
ハイドロホスホラスアシッドを用いたことを除いては、
実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。
【0062】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
800〜900cd/m2 の輝度を示した。この素子を
大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様に
輝度を測定したところ、6電極とも700〜900cd
/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化はほと
んど認められなかった。
【0063】
【化18】 実施例13(有機EL素子)
【0064】構造式(1)で示されるデカン酸のクロム
錯体の代わりに、構造式(17)で示されるトリデシル
ホスファイトを用いたことを除いては、実施例1と同様
の方法で有機EL素子を作製した。
【0065】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
800〜900cd/m2 の輝度を示した。この素子を
大気中において室温で1か月放置した後、前記と同様に
輝度を測定したところ、6電極とも700〜900cd
/m2 の輝度を示し、保存による素子特性の劣化はほと
んど認められなかった。
【0066】
【化19】 比較例1(有機EL素子) ITO薄膜の表面に修飾分子からなる有機膜を形成する
処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして有機E
L素子を作製した。
【0067】この素子を作製後直ちに、真空下において
10Vの直流電流で輝度を測定したところ、6電極とも
1000〜1200cd/m2 の輝度を示した。この素
子を大気中において室温で1か月放置した後、前記と同
様に輝度を測定したところ、輝度は0〜300cd/m
2 と大幅に低下した。光学顕微鏡で素子を観察したとこ
ろ、部分的に有機薄膜のはがれや結晶化が生じているこ
とがわかった。 比較例2(光電池) ITO薄膜の表面に修飾分子からなる有機膜を形成する
処理を行わなかった以外は実施例7と同様にして光電池
を作製した。
【0068】この素子を作製後直ちに、基板側から50
0nm以下の光をカットしたタングステンランプ光を照
射し、光電変換効率を測定したところ、6電極とも1.
2〜1.5%の光電変換効率を示した。この素子を大気
中において室温で1か月放置した後、前記と同様に光電
変換効率を測定したところ、0〜0.3%と大幅に低下
した。光学顕微鏡で素子を観察したところ、部分的に有
機薄膜のはがれや結晶化が生じていることがわかった。
【0069】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、透
明電極上に形成される有機薄膜に剥離や構造変化が生じ
ることがなく、安定性のよい有機EL素子、有機光電
池、有機光記憶素子などの光有機薄膜素子を提供でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C09K 11/00 H01L 29/28 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 5/14 G02F 1/1343 H01L 33/00 H01L 51/00 H05B 33/00 - 33/28 H01B 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機酸化物からなる透明電極と、前記透
    明電極上に形成された有機薄膜とを具備した光有機薄膜
    素子において、前記透明電極の表面に、カルボン酸のク
    ロム錯体または有機リン酸化合物、有機亜リン酸化合物
    もしくは有機次亜リン酸化合物からなる有機膜を化学的
    に結合させたことを特徴とする光有機薄膜素子。
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