JPH11121172A - 有機el素子 - Google Patents

有機el素子

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Publication number
JPH11121172A
JPH11121172A JP9296173A JP29617397A JPH11121172A JP H11121172 A JPH11121172 A JP H11121172A JP 9296173 A JP9296173 A JP 9296173A JP 29617397 A JP29617397 A JP 29617397A JP H11121172 A JPH11121172 A JP H11121172A
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JP
Japan
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layer
organic layer
organic
electrode
aluminum
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Pending
Application number
JP9296173A
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English (en)
Inventor
Michio Arai
三千男 荒井
Tetsuji Inoue
鉄司 井上
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP9296173A priority Critical patent/JPH11121172A/ja
Publication of JPH11121172A publication Critical patent/JPH11121172A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/11OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電流リークを防止し、長寿命、高輝度、高効
率、高表示品質の有機EL素子を実現する。 【解決手段】 基板1上にホール注入電極を成膜した
後、このホール注入電極上に、有機層3aの少なくとも
1層をスピンコート法またはディップ法にて成膜する有
機EL素子の製造方法により、有機層積層時に存在する
ゴミ2や突起を覆うように有機層3を成膜し、リーク電
流の生じない有機EL素子を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物を用い
た有機EL素子に関し、さらに詳細には、リーク電流の
発生を防止する有機層の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機EL素子が盛んに研究されて
いる。これは、ホール注入電極上にトリフェニルジアミ
ン(TPD)などのホール輸送材料を蒸着により薄膜と
し、さらにアルミキノリノール錯体(Alq3)などの
蛍光物質を発光層として積層し、さらにMgなどの仕事
関数の小さな金属電極(電子注入電極)を形成した基本
構成を有する素子で、10V前後の電圧で数100から
数10,000cd/m2ときわめて高い輝度が得られるこ
とで注目されている。
【0003】このような有機EL素子を用いたディスプ
レイを製造する場合、量産工程においては、不良品率を
いかに少なくするかが重要な課題である。すなわち、製
造工程において有機層が不均一に積層されたり、電子注
入電極等の機能性薄膜を積層する際に有機層にダメージ
を与えたり、逆に電子注入電極自体に不純物が混入した
り、酸化したりして、いわゆる輝度ムラ、ドット欠陥等
の不良や品質のバラツキを生じる場合がある。特に、電
流リークの発生は重要な問題であり、逆方向への電流
(リーク電流)があると、クロストロークや、輝度ムラ
等の表示品質の低下を招き、さらには不要な素子の発熱
などの発光に寄与しないエネルギー消費が起こり、発光
効率が低下してしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電流
リークを防止し、長寿命、高輝度、高効率、高表示品質
の有機EL素子を実現することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、電流リー
クの発生のメカニズムについて研究を重ねた結果、主な
原因の1つは、ゴミ(微細な塵)の存在が大きく関与し
ていることを突き止めた。また、他の原因としてホール
注入電極上に存在する微細な突起が、リークに関与する
ことをも見出し本発明に至った。
【0006】すなわち、上記目的は、以下の(1)〜
(3)の構成により達成される。 (1) 基板上にホール注入電極と、電子注入電極と、
これらの間に設けられた少なくとも1層の有機層とを有
し、前記少なくとも1層の有機層が、スピンコート法ま
たはディップ法にて成膜されたものである有機EL素
子。 (2) 前記有機層は発光層を有し、前記スピンコート
法にて成膜された有機層が、有機層の最下層である上記
(1)の有機EL素子。 (3) 前記スピンコート法にて成膜された有機層が、
ホール注入層、ホール輸送層、ホール注入輸送層および
発光層のいずれかである上記(1)または(2)の有機
EL素子。
【0007】
【作用】従来の有機EL素子は、ホール注入電極を除き
有機層と電子注入電極の膜厚が100〜200nm程度で
ある。このように薄い膜厚で発光するということは、デ
ィスプレイとしては極めて優れた性能を発揮することが
できるが、有機層の成膜時にゴミ(微細な塵)が存在す
る場合、容易にリークを生じてしまう。すなわち、図3
に示すように、ホール注入電極1成膜後に、ゴミ2が画
素の表面に付着した場合、有機層3を蒸着法により成膜
するとシャドーイング(shadowing )現象により、直進
性のよい蒸着粒子はゴミの影の部分には付着せず、成膜
された有機層3とゴミ2との間には、有機層3の成膜さ
れない影の部分に隙間が生じる。
【0008】そして、図4に示すように、電子注入電極
をスパッタ法で成膜すると、スパッタされた粒子4aは
回り込み(throwing power)が良好であるため、影の部
分にも回り込み、この部分にも電子注入電極4を形成し
てしまう。このため、ホール注入電極1と電子注入電極
4とが、ゴミ2の影の部分では有機層3を介することな
く直接接続され、リーク電流が流れることになる。
【0009】さらに、例えば図4に示すように、ホール
注入電極1上に、この電極構成材料が変形したり、異常
結晶成長したりした突起5が存在する場合がある。この
ような突起5あると、積層された有機層3を突き抜けて
突起5が飛び出したり、飛び出さないまでも突起5の位
置が電子注入電極4に非常に近い位置にあると絶縁破壊
が生じたりしてホール注入電極1と電子注入電極が短絡
し、リーク電流が流れることとなる。特に、ホール注入
電極1は導体であるため、突起5によりリーク電流を生
じやすい。
【0010】そこで、例えば図2のように有機層3の膜
厚を、ゴミ2に対して隙間の生じないよう、また突起5
に対しても十分なクリアランスを保てるように、スピン
コート法、化学吸着法、LB法またはディップ法で成膜
することにより、ゴミ2や突起5を包み込むように有機
層が成膜され、スパッタされた粒子4aが前記影の部分
に入り込むことができなくなったり、突起5の上部に対
しても十分な厚さの有機層が形成され、リーク電流の発
生を防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。本発明の有機EL素子の製造方法
は、基板上にホール注入電極を成膜した後、このホール
注入電極上に、有機層の少なくとも1層を好ましくはス
ピンコート法またはディップ法にて成膜する。有機層の
少なくとも1層を、スピンコート法にて成膜することに
より、有機層とゴミとの間の隙間が無くなりリーク電流
の発生を防止できる。
【0012】スピンコート法またはディップ法にて成膜
される有機層は、有機層の中の少なくとも1層であれば
よいが、好ましくは最下層とすることにより、得に有機
層とゴミとの隙間が生じ難くなり好ましい。また、通
常、有機層の最下層はホール注入層、ホール輸送層、ホ
ール注入輸送層および発光層のいずれかであるが、これ
らホール注入輸送性の材料を有する層をスピンコート層
等とすることにより、後述のレジスト材やヘキサメチル
ジシラザンの影響を受けにくくなる。これらの中でも特
に、ホール注入層をスピンコート層等とすることが好ま
しい。
【0013】また、本発明ではホール注入輸送層等に用
いられるホール注入・輸送性化合物としては、強い蛍光
を持ったアミン誘導体、例えばホール輸送材料であるト
リフェニルジアミン誘導体、さらにはスチリルアミン誘
導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を用いるのが好
ましい。その含有量は好ましくは5〜100wt%、特に
50〜100wt%であることが好ましい。このような化
合物を用いることにより、有機層の厚みを厚くした場合
にも必要なホール移動度を維持することができる。ホー
ル移動度としては0.5〜5×10-3 V・s/cm2 、好
ましくは0.8〜5×10-3 V・s/cm2 である。ホー
ル移動度が低下するとホール注入バランスが崩れ発光効
率が低下し、発光輝度が低下したり、素子の駆動電圧が
上昇する。
【0014】上記化合物を含有し、スピンコート法また
はディップ法により成膜される有機層の具体的膜厚とし
ては、5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また上
限としては、好ましくは1000nm以下、より好ましく
は200nm以下が好ましい。この有機層は、最下層とし
て積層することが好ましいが、その厚みが厚くなりすぎ
ると、ホール移動度等が低下し発光効率が低下してく
る。
【0015】スピンコート法またはディップ法により形
成される有機層には、レジスト材を含有させてもよい。
レジスト材を含有させることにより膜厚制御が容易とな
り、ゴミ全体を覆うような有機層を形成しやすくなる。
レジスト材としては、一般にフォトリソグラフィーで用
いられるような市販品を用いることができる。例えばノ
ボラック系化合物、アクリル系化合物、ポリイミド系化
合物等が挙げられる。有機層を形成する有機材料とレジ
スト材との量比は、好ましくは有機層構成材料に対し1
〜30wt%、特に5〜20wt%が好ましい。
【0016】スピンコート、ディッピング時の雰囲気ガ
スの種類に特に制限はなく、通常、空気中で行なえばよ
いが、空気に替え、あるいは空気に加え、N2 、Ar、
Ne、He、Xe等の1種以上を使用してもよい。ま
た、空気中の水分は特に低いことが好ましく、露点−7
0℃以下が特に好ましい。
【0017】スピンコート法による有機層の形成工程
は、基本的には、比較的低い回転数での塗布液の展開塗
布と、より高い回転数での振り切りとで構成される。塗
布展開および振り切りの際の基板の回転数やその回転数
に保持する時間は、目的とする記録層厚さ、塗布液の粘
度などの各種条件によって異なるため、これらの条件に
応じて適宜設定すればよく、特に制限はないが、通常、
展開塗布時の回転数およびその保持時間は100〜10
00rpm 程度で0.5秒間〜1分間程度であり、振り切
り時の回転数およびその保持時間は600〜2000rp
m 程度で30秒間〜3分間程度である。
【0018】ディップ法による有機層の形成工程は、常
法に従えばよい。なお、スピンコート法、ディップ法に
より塗布を行う前にヘキサメチルジシラザン等の前処理
剤を塗布してもよい。ヘキサメチルジシラザン等の前処
理剤を塗布することにより、塗布面が改質されぬれ性等
が良好になる。
【0019】塗布液に用いる有機溶剤としては、アルコ
ール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、芳香族
系、ハロゲン化アルキル系等から、用いる色素に応じて
適宜選択すればよいが、一分子中に2つ以上の官能基を
有する有機溶剤が好適である。
【0020】スピンコート、ディッピング後、必要に応
じて塗膜を乾燥させる。
【0021】このようにして形成されるスピンコート、
ディッピングによる有機層の厚さは、目的とする反射率
などに応じて適宜設定されるものであるが、好ましくは
10〜1000nm、より好ましくは20〜500nm、特
に30〜300nmである。
【0022】ホール注入電極または有機層に付着するゴ
ミの平均粒径は、直接有機層に付着したゴミを調べ、平
均粒径を算出してもよいが、有機層を成膜する成膜室内
に浮遊するゴミが、有機層成膜時に付着するため、この
成膜室に浮遊するゴミをサンプルとして平均粒径を算出
してもよい。このようなゴミの平均粒径としては、通常
1μm 以下であり、特にクリーンルーム内では、0.3
〜1μm の範囲のものが問題となり、好ましくは0.1
〜0.3μm である。通常、ゴミの平均粒径は短径と長
径との平均により求められる。ゴミのクリーンルーム内
の0.3〜1μm の平均粒径のゴミの平均浮遊個数とし
ては、好ましくは5000個/ft3 以下、より好ましく
は100個/ft3 以下が好ましい。この範囲のゴミの量
であれば、成膜室内にある程度のゴミが存在していても
本発明により対処でき、比較的低いクリーン度で済むた
め、成膜室(クリーンルーム)を安価に製作することが
でき好ましい。なお、通常クリーンルームで実現可能な
ゴミの平均浮遊個数は1個/ft3 程度である。
【0023】また、有機層の積層されるホール注入電極
は、一般に0.2μm 以下、通常0.05〜0.2μm
程度の平均高さで、底面の平均径0.1〜0.5μm 程
度の突起を、通常0.01〜3個/mm2 程度有してい
る。これらの突起は、SEM(走査型電子顕微鏡)等に
より確認することができる。
【0024】次に、有機物層についてさらに詳細に説明
するが、以下に述べる各有機層の膜厚についての説明
は、上記したスピンコート法等により成膜されたものを
除く、通常の使用態様での膜厚に関するものとする。
【0025】発光層は、ホール(正孔)および電子の注
入機能、それらの輸送機能、ホールと電子の再結合によ
り励起子を生成させる機能を有する。発光層には比較的
電子的にニュートラルな化合物を用いることが好まし
い。
【0026】ホール注入輸送層は、ホール注入極からの
ホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に輸送す
る機能および電子を妨げる機能を有し、電子注入輸送層
は、電子注入電極からの電子の注入を容易にする機能、
電子を安定に輸送する機能およびホールを妨げる機能を
有するものであり、これらの層は、発光層に注入される
ホールや電子を増大・閉じこめさせ、再結合領域を最適
化させ、発光効率を改善する。
【0027】通常の使用態様での発光層の厚さ、ホール
注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは特に限
定されず、形成方法によっても異なるが、通常、5〜5
00nm程度、特に10〜300nmとすることが好まし
い。
【0028】通常のホール注入輸送層の厚さおよび電子
注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計による
が、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程
度とすればよい。ホールもしくは電子の、各々の注入層
と輸送層を分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は
1nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送
層の厚さの上限は、通常、注入層で500nm程度、輸送
層で500nm程度である。このような膜厚については注
入輸送層を2層設けるときも同じである。
【0029】本発明の有機EL素子の発光層には発光機
能を有する化合物である蛍光性物質を含有させる。この
ような蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−26
4692号公報に開示されているような化合物、例えば
キナクリドン、ルブレン、スチリル系色素等の化合物か
ら選択される少なくとも1種が挙げられる。また、トリ
ス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノ
ールないしその誘導体を配位子とする金属錯体色素など
のキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アント
ラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘
導体等が挙げられる。さらには、特願平6−11056
9号のフェニルアントラセン誘導体、特願平6−114
456号のテトラアリールエテン誘導体等を用いること
ができる。
【0030】また、それ自体で発光が可能なホスト物質
と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントと
しての使用が好ましい。このような場合の発光層におけ
る化合物の含有量は0.01〜10wt% 、さらには0.
1〜5wt% であることが好ましい。ホスト物質と組み合
わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特
性を変化させることができ、長波長に移行した発光が可
能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上す
る。
【0031】ホスト物質としては、キノリノラト錯体が
好ましく、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このよう
なアルミニウム錯体としては、特開昭63−26469
2号、特開平3−255190号、特開平5−7073
3号、特開平5−258859号、特開平6−2158
74号等に開示されているものを挙げることができる。
【0032】具体的には、まず、トリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネ
シウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜
鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、
トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−
8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−
キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キ
ノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−
8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜
鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メ
タン]、等がある。
【0033】また、8−キノリノールないしその誘導体
のほかに他の配位子を有するアルミニウム錯体であって
もよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III)
、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−
クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム
(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ
−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル
−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノ
ラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノ
ラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キ
ノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメ
チルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラ
ト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,
3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナ
フトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)
(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,
4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8
−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチ
ル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キ
ノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウ
ム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリ
ノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノ
リノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等が
ある。
【0034】このほか、ビス(2−メチル−8−キノリ
ノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス
(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム
(III) −μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キ
ノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−
2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −
μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノ
リノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4
−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オ
キソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−
8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−
ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオ
ロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ
−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル
−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等であっても
よい。
【0035】このほかのホスト物質としては、特願平6
−110569号に記載のフェニルアントラセン誘導体
や特願平6−114456号に記載のテトラアリールエ
テン誘導体なども好ましい。
【0036】発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであ
ってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これら
の蛍光性物質を蒸着すればよい。
【0037】また、必要に応じて発光層は、少なくとも
一種以上のホール注入輸送性化合物と少なくとも1種以
上の電子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ま
しく、この混合層中にドーパントを含有させることが好
ましい。このような混合層における化合物の含有量は、
0.01〜20wt% 、さらには0.1〜15wt% とする
ことが好ましい。
【0038】混合層では、キャリアのホッピング伝導パ
スができるため、各キャリアは極性的に優勢な物質中を
移動し、逆の極性のキャリア注入は起こり難くなり、有
機化合物がダメージを受け難くなり、素子寿命がのびる
という利点があるが、前述のドーパントをこのような混
合層に含有させることにより、混合層自体のもつ発光波
長特性を変化させることができ、発光波長を長波長に移
行させることができるとともに、発光強度を高め、かつ
素子の安定性を向上させることができる。
【0039】混合層に用いられるホール注入輸送性化合
物および電子注入輸送性化合物は、各々、後述のホール
注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化合物
の中から選択すればよい。なかでも、ホール注入輸送層
用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、
例えばホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導
体、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持
つアミン誘導体を用いるのが好ましい。
【0040】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(Alq3)を用いることが好まし
い。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラ
アリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。
【0041】ホール注入輸送層用の化合物としては、強
い蛍光を持ったアミン誘導体、例えば上記のホール輸送
材料であるトリフェニルジアミン誘導体、さらにはスチ
リルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を
用いるのが好ましい。
【0042】この場合の混合比は、それぞれのキャリア
移動度とキャリア濃度を考慮する事で決定するが、一般
的には、ホール注入輸送性化合物の化合物/電子注入輸
送機能を有する化合物の重量比が、1/99〜99/
1、さらには10/90〜90/10、特には20/8
0〜80/20程度となるようにすることが好ましい。
【0043】また、通常の混合層の厚さは、分子層一層
に相当する厚みから、有機化合物層の膜厚未満とするこ
とが好ましく、具体的には1〜85nmとすることが好ま
しく、さらには5〜60nm、特には5〜50nmとするこ
とが好ましい。
【0044】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質
を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散させて
コーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形
成する。
【0045】また、ホール注入輸送層には、例えば、特
開昭63−295695号公報、特開平2−19169
4号公報、特開平3−792号公報、特開平5−234
681号公報、特開平5−239455号公報、特開平
5−299174号公報、特開平7−126225号公
報、特開平7−126226号公報、特開平8−100
172号公報、EP0650955A1等に記載されて
いる各種有機化合物を用いることができる。例えば、テ
トラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミン
ないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級ア
ミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有する
オキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。こ
れらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用すると
きは別層にして積層したり、混合したりすればよい。
【0046】ホール注入輸送層をホール注入層とホール
輸送層とに分けて設層する場合は、ホール注入輸送層用
の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いるこ
とができる。このとき、陽電極(ITO等)側からイオ
ン化ポテンシャルの小さい化合物の層の順に積層するこ
とが好ましい。また陽電極表面には薄膜性の良好な化合
物を用いることが好ましい。このような積層順について
は、ホール注入輸送層を2層以上設けるときも同様であ
る。このような積層順とすることによって、駆動電圧が
低下し、電流リークの発生やダークスポットの発生・成
長を防ぐことができる。また、素子化する場合、蒸着を
用いているので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピ
ンホールフリーとすることができるため、ホール注入層
にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部に吸収をもつ
ような化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収に
よる効率の低下を防ぐことができる。ホール注入輸送層
は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着することによ
り形成することができる。
【0047】また、必要に応じて設けられる電子注入輸
送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム
(Alq3)等の8−キノリノールなしいその誘導体を
配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキ
サジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導
体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニ
ルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用い
ることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ねたもの
であってもよく、このような場合はトリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電
子注入輸送層の形成は発光層と同様に蒸着等によればよ
い。
【0048】電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層
とに分けて積層する場合には、電子注入輸送層用の化合
物の中から好ましい組み合わせを選択して用いることが
できる。このとき、陰電極側から電子親和力の値の大き
い化合物の順に積層することが好ましい。このような積
層順については電子注入輸送層を2層以上設けるときも
同様である。
【0049】ホール注入輸送層、発光層および電子注入
輸送層等の有機層の形成には、均質な薄膜が形成できる
ことから真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着
法を用いた場合、アモルファス状態または結晶粒径が
0.1μm 以下の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が
0.1μm を超えていると、不均一な発光となり、素子
の駆動電圧を高くしなければならなくなり、電荷の注入
効率も著しく低下する。
【0050】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形
成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりするこ
とができる。
【0051】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0052】本発明方法で製造される有機EL発光素子
は、基板上にホール注入電極と、その上に電子注入電極
を有し、これらの電極に挟まれて、それぞれ少なくとも
1層のホール輸送層および発光層を有し、さらに最上層
として保護電極を有する。なお、ホール輸送層、保護電
極は省略可能である。
【0053】ホール注入電極は、通常基板側から発光し
た光を取り出す構成であるため、透明ないし半透明な電
極が好ましい。透明電極としては、ITO(錫ドープ酸
化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウ
ム)、ZnO、SnO2 、In23 等が挙げられる
が、好ましくはITO(錫ドープ酸化インジウム)、I
ZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)が好ましい。ITO
は、通常In2 3 とSnOとを化学量論組成で含有す
るが、O量は多少これから偏倚していてもよい。In2
3 に対しSnO2 の混合比は、1〜20mol%が好ま
しく、さらには5〜12mol%が好ましい。IZOは、
通常In2 3 とZnOとを化学量論組成で含有する
が、O量は多少これから偏倚していてもよい。In2
3 に対しZnOの混合比は、1〜20mol%が好まし
く、さらには5〜12mol%が好ましい。その他にS
n、Ti、Pb等が酸化物の形で、酸化物換算にして1
モル%以下含まれていてもよい。
【0054】ホール注入電極の厚さは、ホール注入を十
分行える一定以上の厚さを有すれば良く、好ましくは5
0〜500nm、さらには50〜300nmの範囲が好まし
い。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚いと
剥離などの心配が生じる。厚さが薄すぎると、製造時の
膜強度や電子輸送能力の点で問題がある。
【0055】このホール注入電極層は蒸着法等によって
も形成できるが、好ましくはスパッタ法により形成する
ことが好ましい。ITO透明電極の形成にスパッタ法を
用いる場合、好ましくはIn2 3 にSnOをドープし
たターゲットを用いたDCスパッタ、あるいはRFスパ
ッタ法により形成することが好ましい。スパッタ法によ
りITO透明電極を成膜した場合、蒸着により成膜した
ものより発光輝度の経時変化が少ない。その投入電力と
しては、好ましくは0.1〜4W/cm2 の範囲が好まし
い。特にDCスパッタ装置の電力としては、好ましくは
0.1〜10W/cm2、特に0.5〜7W/cm2の範囲で
ある。また、成膜レートは5〜100nm/min 、特に1
0〜50nm/min の範囲が好ましい。
【0056】スパッタガスとしては特に限定するもので
はなく、Ar、He、Ne、Kr、Xe等の不活性ガ
ス、あるいはこれらの混合ガスを用いればよい。このよ
うなスパッタガスのスパッタ時における圧力としては、
通常0.1〜20Pa程度でよい。
【0057】成膜される電子注入電極の構成材料として
は、電子注入を効果的に行う低仕事関数の物質が好まし
く、例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、C
a、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Z
r、Cs、Er、Eu、Ga、Hf、Nd、Rb、S
c、Sm、Ta、Y、Yb等の金属元素単体、あるい
は、BaO、BaS、CaO、HfC、LaB6、Mg
O、MoC、NbC、PbS、SrO、TaC、Th
C、ThO2、ThS、TiC、TiN、UC、UN、
UO2、W2C、Y23、ZrC、ZrN、ZrO2、L
2O、LiF等の化合物を用いると良い。または安定
性を向上させるためには、金属元素を含む2成分、3成
分の合金系を用いることが好ましい。合金系としては、
例えばAl・Ca(Ca:5〜20at%)、Al・In
(In:1〜10at%)、Al・Li(Li:0.1〜
20at%未満)、Al・R〔RはY,Scを含む希土類
元素を表す〕等のアルミニウム系合金やIn・Mg(M
g:50〜80at%)等が好ましい。これらの中でも、
特にAl単体やAl・Li(Li:0.4〜6.5(た
だし6.5を含まず)at%)または(Li:6.5〜1
4at%)、Al・R(R:0.1〜25、特に0.5〜
20at%)等のアルミニウム系合金が圧縮応力が発生し
にくく好ましい。したがって、スパッタターゲットとし
ては、通常このような電子注入電極構成金属、合金を用
いる。これらの仕事関数は4.5eV以下であり、特に
仕事関数が4eV以下の金属、合金が好ましい。
【0058】電子注入電極の成膜にスパッタ法を用いる
ことにより、成膜された電子注入電極膜は、蒸着の場合
と比較して、スパッタされる原子や原子団が比較的高い
運動エネルギーを有するため、表面マイグレーション効
果が働き、有機層界面での密着性が向上する。また、プ
レスパッタを行うことで、真空中で表面酸化物層を除去
したり、逆スパッタにより有機層界面に吸着した水分や
酸素を除去できるので、クリーンな電極−有機層界面や
電極を形成でき、その結果、高品位で安定した有機EL
素子ができる。ターゲットとしては前記組成範囲の合金
や、金属単独でも良く、これらに加えて添加成分のター
ゲットを用いても良い。さらに、蒸気圧の大きく異なる
材料の混合物をターゲットとして用いても、生成する膜
とターゲットとの組成のズレは少なく、蒸着法のように
蒸気圧等による使用材料の制限もない。また、蒸着法に
比較して材料を長時間供給する必要がなく、膜厚や膜質
の均一性に優れ、生産性の点で有利である。
【0059】スパッタ法により形成された電子注入電極
は緻密な膜なので、粗な蒸着膜に比較して膜中への水分
の進入が非常に少なく、化学的安定性が高く、長寿命の
有機EL素子が得られる。
【0060】スパッタ時のスパッタガスの圧力は、好ま
しくは0.1〜5Paの範囲が好ましく、この範囲でスパ
ッタガスの圧力を調節することにより、前記範囲のLi
濃度のAlLi合金を容易に得ることができる。また、
成膜中にスパッタガスの圧力を、前記範囲内で変化させ
ることにより、上記Li濃度勾配を有する電子注入電極
を容易に得ることができる。また、成膜ガス圧力と基板
ターゲット間距離の積が20〜65Pa・cmを満たす成膜
条件にすることが好ましい。
【0061】スパッタガスは、通常のスパッタ装置に使
用される不活性ガスや、反応性スパッタではこれに加え
てN2、H2、O2、C24、NH3等の反応性ガスが使用
可能である。
【0062】スパッタ法としてはRF電源を用いた高周
波スパッタ法等も可能であるが、成膜レートの制御が容
易であり、有機EL素子構造体へのダメージを少なくす
るためにはDCスパッタ法を用いることが好ましい。D
Cスパッタ装置の電力としては、好ましくは0.1〜1
0W/cm2、特に0.5〜7W/cm2の範囲である。ま
た、成膜レートは5〜100nm/min 、特に10〜50
nm/min の範囲が好ましい。
【0063】電子注入電極薄膜の厚さは、電子注入を十
分行える一定以上の厚さとすれば良く、1nm以上、好ま
しくは3nm以上とすればよい。また、その上限値には特
に制限はないが、通常膜厚は3〜500nm程度とすれば
よい。
【0064】本発明の有機EL素子は、電子注入電極の
上、つまり有機層と反対側には保護電極を設けてもよ
い。保護電極を設けることにより、電子注入電極が外気
や水分等から保護され、構成薄膜の劣化が防止され、電
子注入効率が安定し、素子寿命が飛躍的に向上する。ま
た、この保護電極は、非常に低抵抗であり、電子注入電
極の抵抗が高い場合には配線電極としての機能も有す
る。この保護電極は、Al、Alおよび遷移金属(ただ
しTiを除く)、Tiまたは窒化チタン(TiN)のい
ずれか1種または2種以上を含有し、これらを単独で用
いた場合、それぞれ保護電極中に少なくとも、Al:9
0〜100at%、Ti:90〜100at%、TiN:9
0〜100 mol%程度含有されていることが好ましい。
また、2種以上用いるときの混合比は任意であるが、A
lとTiの混合では、Tiの含有量は10at%以下が好
ましい。また、これらを単独で含有する層を積層しても
よい。特にAl、Alおよび遷移金属は、後述の配線電
極として用いた場合、良好な効果が得られ、TiNは耐
腐食性が高く、封止膜としての効果が大きい。TiN
は、その化学量論組成から10%程度偏倚していてもよ
い。さらに、Alおよび遷移金属の合金は、遷移金属、
特にMg,Sc,Nb,Zr,Hf,Nd,Ta,C
u,Si,Cr,Mo,Mn,Ni,Pd,Pt,W等
を、好ましくはこれらの総計が10at%以下、特に5at
%以下、特に2at%以下含有していてもよい。遷移金属
の含有量は少ないほど、配線材として機能させた場合の
薄膜抵抗は下げられる。
【0065】保護電極の厚さは、電子注入効率を確保
し、水分や酸素あるいは有機溶媒の進入を防止するた
め、一定以上の厚さとすればよく、好ましくは50nm以
上、さらに100nm以上、特に100〜1000nmの範
囲が好ましい。保護電極層が薄すぎると、本発明の効果
が得られず、また、保護電極層の段差被覆性が低くなっ
てしまい、端子電極との接続が十分ではなくなる。一
方、保護電極層が厚すぎると、保護電極層の応力が大き
くなるため、ダークスポットの成長速度が高くなってし
まう。なお、配線電極として機能させる場合の厚さは、
電子注入電極の膜厚が薄いために膜抵抗が高く、これを
補う場合には、通常100〜500nm 程度、その他の
配線電極として機能される場合には100〜300nm程
度である。
【0066】電子注入電極と保護電極とを併せた全体の
厚さとしては、特に制限はないが、通常100〜100
0nm程度とすればよい。
【0067】本発明により製造される有機EL発光素子
の構成例を図1に示す。図1に示されるEL素子は、基
板21上に、ホール注入電極22、ホール注入・輸送層
23、発光および電子注入輸送層24、電子注入電極2
5、保護電極26を順次有する。
【0068】本発明の有機EL素子は、図示例に限ら
ず、種々の構成とすることができ、例えば発光層を単独
で設け、この発光層と電子注入電極との間に電子注入輸
送層を介在させた構造とすることもできる。また、必要
に応じ、ホール注入・輸送層と発光層とを混合しても良
い。
【0069】ホール注入電極、電子注入電極、発光層等
の有機物層のそれぞれは、必要に応じてマスク蒸着また
は膜形成後にエッチングなどの方法によってパターニン
グでき、これによって、所望の発光パターンを得ること
ができる。さらには、基板が薄膜トランジスタ(TF
T)であって、そのパターンに応じて各膜を形成するこ
とでそのまま表示および駆動パターンとすることもでき
る。
【0070】電極成膜後に、前記保護電極に加えて、S
iOX 等の無機材料、テフロン、塩素を含むフッ化炭素
重合体等の有機材料等を用いた保護膜を形成してもよ
い。保護膜は透明でも不透明であってもよく、保護膜の
厚さは50〜1200nm程度とする。保護膜は前記した
反応性スパッタ法の他に、一般的なスパッタ法、蒸着法
等により形成すればよい。
【0071】さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐ
ために素子上に封止層を形成することが好ましい。封止
層は、湿気の侵入を防ぐために市販の低吸湿性の光硬化
性接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、架
橋エチレン−酢酸ビニル共重合体接着剤シート等の接着
性樹脂層を用いて、ガラス板等の封止板を接着し密封す
る。ガラス板以外にも金属板、プラスチック板等を用い
ることもできる。
【0072】基板材料としては、ガラスや石英、樹脂等
の透明ないし半透明材料を用いる。また、基板に色フィ
ルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体
反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
【0073】色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等
で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、
有機ELの発光する光に合わせてカラーフィルターの特
性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すればよ
い。
【0074】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向
上する。
【0075】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0076】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成
される。
【0077】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロ等も含
む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素系化合物
・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・クマリン系
化合物等を用いればよい。
【0078】バインダーは基本的に蛍光を消光しないよ
うな材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷等
で微細なパターニングが出来るようなものが好ましい。
また、ITOの成膜時にダメージを受けないような材料
が好ましい。
【0079】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要の無い場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0080】本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動
型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパル
ス駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜2
0V程度とされる。
【0081】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を比較例ととも
に示し、本発明をさらに詳細に説明する。 <実施例1>ガラス基板上に、ITO透明電極(ホール
注入電極)を膜厚85nmで64ドット×7ラインの画素
(一画素当たり280×280μm )を構成するよう成
膜、パターニングした。次いで、パターニングされたホ
ール注入電極が形成された基板を、中性洗剤、アセト
ン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール
中から引き上げて乾燥した。次いで、表面をUV/O3
洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、
槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した。このときの成膜
室内におけるゴミの平均浮遊個数は100個/ft3であ
った。
【0082】以下の組成のスピンコート塗布液を用意
し、スピンコート法により膜厚100nmに塗布し、これ
を乾燥してホール注入層とした。下記式(I)で示され
るホール注入・輸送性化合物 〔N,N'- ジフェニル-N,N'-ビス[N-フェニル-N-4- トリル (4-アミノフェニル)]ベンジジン(ATP34)〕 5wt% アクリル系ポジレジスト 25wt% トルエン+プロピレングリコールモノアセテート +乳酸エチル混合溶媒(1:1:1) 70wt%
【0083】
【化1】
【0084】次いで表面をUV/O3 洗浄した後、再度
真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×1
-4Pa以下まで減圧した。N,N’−ジフェニル−N,
N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビ
フェニル(以下、TPD)を蒸着速度0.2nm/sec.で
35nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。さらに、
減圧を保ったまま、トリス(8−キノリノラト)アルミ
ニウム(以下、Alq3 )を蒸着速度0.2nm/sec.で
50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送・発光層とし
た。次いで減圧を保ったまま、MgAgを共蒸着(2元
蒸着)で蒸着速度比Mg:Ag=1:10にて200nm
の厚さに成膜し、電子注入電極とした。
【0085】このようにして得られた有機EL素子サン
プルを10サンプル用意し、これらのサンプルの各ドッ
ト間、ライン間について絶縁抵抗を測定し、リーク箇所
の有無を調べた。なお、200MΩ以下をリーク発生と
した。その結果、リークの生じた画素は64×7×10
=4480個中、12箇所とリーク発生率は0.26%
以下であった。また、前記スピンコート塗布液をディッ
プ法により塗布した場合にもほぼ同様の結果が得られ
た。
【0086】<実施例2>実施例1において、レジスト
材を除いた他は実施例1と同様にして調整したスピンコ
ート塗布液を、膜厚100nmに塗布し、ホール注入層と
した。他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
【0087】得られたサンプルについて実施例1と同様
にして評価したところ、リークの生じた画素は64×7
×10=4480個中、2箇所とリーク発生率は0.0
4%であった。
【0088】<実施例3>実施例2において、ITOの
成膜された基板上に、ヘキサメチルジシラザンをスピン
コートして前処理を行った後、スピンコート塗布液を塗
布した他は実施例2と同様にして有機EL素子を得た。
【0089】得られたサンプルについて実施例1と同様
にして評価したところ、リークの生じた画素は64×7
×10=4480個中、0箇所とリーク発生率は0%で
あった。
【0090】<比較例1>実施例1において、ホール注
入・輸送性材料(ATP34)のホール注入層を真空蒸
着法により、膜厚100nmに成膜した他は実施例1と同
様にしてサンプルを作製し、実施例1と同様にして評価
した。その結果、リークの生じた画素は64×7×10
=4480個中、4450箇所とリーク発生率は99%
以上であった。
【0091】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電流リー
クを防止し、長寿命、高輝度、高効率、高表示品質の有
機EL素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の構成例を示す概念図である。
【図2】有機層とゴミおよびその上に成膜される電子注
入電極との関係を示した概念図で、有機層の1層をスピ
ンコート法により成膜した状態を示した図である。
【図3】有機層とゴミおよびその上に成膜される電子注
入電極との関係を示した概念図で、有機層の膜厚が薄い
場合の状態を示した図である。
【図4】図3の状態から電子注入電極を成膜した場合の
状態を示した図である。
【符号の説明】
1 ホール注入電極(基板) 2 ゴミ 3 スピンコート法により成膜された有機層 3a 蒸着法により成膜された有機層 4 電子注入電極 5 ゴミ 21 基板 22 ホール注入電極 23 ホール注入・輸送層 24 発光層 25 電子注入電極 26 保護電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にホール注入電極と、電子注入電
    極と、これらの間に設けられた少なくとも1層の有機層
    とを有し、 前記少なくとも1層の有機層が、スピンコート法または
    ディップ法にて成膜されたものである有機EL素子。
  2. 【請求項2】 前記有機層は発光層を有し、前記スピン
    コート法にて成膜された有機層が、有機層の最下層であ
    る請求項1の有機EL素子。
  3. 【請求項3】 前記スピンコート法にて成膜された有機
    層が、ホール注入層、ホール輸送層、ホール注入輸送層
    および発光層のいずれかである請求項1または2の有機
    EL素子。
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