JPH1167460A - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

有機el素子およびその製造方法

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JPH1167460A
JPH1167460A JP9230409A JP23040997A JPH1167460A JP H1167460 A JPH1167460 A JP H1167460A JP 9230409 A JP9230409 A JP 9230409A JP 23040997 A JP23040997 A JP 23040997A JP H1167460 A JPH1167460 A JP H1167460A
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positive electrode
organic
transparent conductive
film
layer
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JP9230409A
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Masami Mori
匡見 森
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機層界面での物性を改善して有機層へのダ
メージも少なく、リーク電流の発生等を抑制し、電荷注
入効率が良好で、発光特性を向上させ、ダークスポット
の発生を抑制し、性能劣化の少ない陽電極を有する有機
EL素子を実現する。 【解決手段】 基板上に陽電極と、陰電極と、これらの
電極間に挟まれた有機層とを有し、前記陽電極は、添加
元素として、C,N,H,F,B,P,S,Asおよび
Si元素の1種または2種以上を含有する有機EL素子
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物を用い
た有機EL発光素子(以下、有機EL素子という)に関
し、さらに詳細には、発光層に正孔(ホール)を供給す
る陽電極に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機EL素子が盛んに研究されて
いる。これは、陽電極上にトリフェニルジアミン(TP
D)などのホール輸送材料を蒸着により薄膜とし、さら
にアルミキノリノール錯体(Alq3)などの蛍光物質
を発光層として積層し、さらにMgなどの仕事関数の小
さな金属電極(陰電極)を形成した基本構成を有する素
子で、10V前後の電圧で数100から数10,000
cd/m2ときわめて高い輝度が得られることで注目されて
いる。
【0003】このような有機EL素子の陽電極として用
いられる材料は、発光層やホール注入輸送層等へ正孔
(ホール)を多く注入するものが有効であると考えられ
ている。また、通常基板側から発光光を取り出す構成と
することが多く、透明な導電性材料であることが必要で
ある。
【0004】このような透明電極として、ITO(錫ド
ープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジ
ウム)、ZnO、SnO2 、In23 等が知られてい
る。中でもITO電極は、80%以上の可視光透過率
と、10Ω/□以下のシート抵抗を併せ持つ透明電極と
して、液晶ディスプレイ(LCD)、調光ガラス、太陽
電池等の透明電極として幅広く使用されており、有機E
L素子の陽電極としても有望視されている。
【0005】ところで、有機EL素子は製造時の成膜条
件により発光特性が変動したり、リーク電流による発光
不良やダークスポットを生じたり、時間の経過と共に素
子特性が劣化したりする場合がある。従って、不良箇所
の発生や素子特性の劣化をいかに防止するかが重要な課
題である。素子を劣化させる要因としては種々の原因が
考えられるが、陽電極と有機層間等の膜界面での物性
が、素子寿命や発光特性に与える影響は大きく、この陽
電極界面での物性の改善が重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機
層界面での物性を改善して有機層へのダメージも少な
く、リーク電流の発生等を抑制し、電荷注入効率が良好
で、発光特性を向上させ、ダークスポットの発生を抑制
し、性能劣化の少ない陽電極を有する有機EL素子を実
現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、有機EL
素子の陽電極界面での膜物性の改善について研究した結
果、陽電極表面の突起や、粗さを抑え、膜面を平坦化す
ることが有効であることを発見した。
【0008】すなわち、上記目的は以下の構成により達
成される。 (1) 基板上に陽電極と、陰電極と、これらの電極間
に挟まれた有機層とを有し、前記陽電極は、添加元素と
して、C,N,H,F,B,P,S,AsおよびSi元
素の1種または2種以上を含有する透明導電膜である有
機EL素子。 (2) 前記透明導電膜は、主組成が錫ドープ酸化イン
ジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム、
酸化スズおよび酸化亜鉛のいずれかである上記(1)の
有機EL素子。 (3) 前記添加元素を透明導電膜の全金属元素に対
し、総計5at%以下含有する上記(1)または(2)の
有機EL素子。 (4) 前記陽電極は、最大表面粗さが100nm以下、
平均表面粗さが30nm以下である上記(1)〜(3)の
いずれかの有機EL素子。 (5) 前記陽電極は下地透明導電膜上に積層されてい
る上記(1)〜(4)のいずれかの有機EL素子。 (6) 前記陽電極の膜厚が10nm以上である上記
(5)の有機EL素子。 (7) 上記(1)〜(6)の陽電極をDCスパッタ法
で成膜する有機EL素子の製造方法。 (8) 前記DCスパッタ法は、成膜時のガス圧と基板
・ターゲット間の距離の積が、20〜65Pa・cmを満た
す条件で成膜する上記(7)の有機EL素子の製造方
法。 (9) 成膜ガスにAr、KrおよびXeの1種以上を
用いた上記(7)または(8)の有機EL素子の製造方
法。 (10) 陽電極が成膜される面をプラズマ処理した
後、陽電極を成膜する上記(7)〜(9)のいずれかの
有機EL素子の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。
【0010】本発明の有機EL素子は、基板上に陽電極
と、陰電極と、これらの電極間に挟まれた有機層とを有
し、前記陽電極は透明導電膜であって、添加元素とし
て、C,N,H,F,B,P,S,AsおよびSi元素
の1種または2種以上を含有する。これらの元素を添加
することにより、透明導電膜がよりアモルファス状態に
近くなり、陽電極としての膜界面の物性が改善され、リ
ーク電流等の素子不良の発生を抑制できる。
【0011】これらの添加元素を透明導電膜に添加する
手段としては、特に限定されるものではなく、スパッタ
法においては、ターゲット上にこれらを含有するチップ
を乗せたり、あらかじめこれら添加元素を混入したター
ゲットを用いて添加する方法も考えられるが、好ましく
は反応性スパッタ法を用いて添加する方法が好ましい。
反応性スパッタ法を用いることにより、添加元素の濃度
や膜物性をコントロールしやすくなる。
【0012】使用される反応性ガスとしては、C,N,
H,F,B,S,AsおよびSi元素を添加しうるもの
であれば特に限定されるものではないが、例えばCH
4 、C 22 、C24 等の各種炭化水素や、N2 や、N
3 等の窒化水素、NO,NO2 ,N2O等の窒素酸化
物、H2 ,H2Oや、SiF4 等のフッ化ケイ素、Si
Cl4 等の塩化ケイ素、SiH4 ,Si26 ,Si3
8 ,SiH3Cl,SiH2Cl2 ,SiHCl3 等のシ
ラン類,AsH3 等のアルシン類、PH3 等のフォスフ
ィン類、POCl3 等のリン酸化合物、B26 等のジ
ボラン類、H2S等の硫化水素等を好ましく挙げること
ができる。これらの反応性ガスは単独で用いてもよい
し、2種以上を混合して用いてもよい。反応性ガスを2
種以上混合して用いる場合の混合比は任意である。
【0013】添加元素の含有量は、透明導電膜の抵抗値
を上昇させることなく、素子の結晶化を制御できる程度
添加することが好ましく、添加する透明導電膜の全金属
元素に対して、総計で5at%以下、より好ましくは0.
1〜5at%、特に0.5〜3at%程度添加することが好
ましい。反応性スパッタを行う場合、添加元素を上記範
囲で透明導電膜中に存在させるためには、反応性ガスを
スパッタガスに対して0.5〜20%程度の分圧となる
ように導入すればよい。なお、基板温度、スパッタガス
圧、ターゲット、基板間距離、投入パワー等の成膜条件
によって、反応性ガスを同一分圧条件で導入しても、透
明導電膜中に取り込まれる添加元素の量が異なるため、
これらの条件に合わせて最適な分圧を適宜調整すればよ
い。
【0014】透明導電膜としては、錫ドープ酸化インジ
ウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZ
O)、酸化インジウム(In23 )、酸化スズ(Sn
2 )および酸化亜鉛(ZnO)のいずれかを主組成と
したものが好ましい。これらの酸化物はその化学量論組
成から多少偏倚していてもよい。ITOでは、通常In
23 とSnO2 とを化学量論組成で含有するが、酸素
量は多少これから偏倚していてもよい。InOX ・Sn
Y とすると、Xは1.0〜2.0、Yは1.6〜2.
4の範囲が好ましい。In2 3 に対しSnO2 の混合
比は、1〜20wt%が好ましく、さらには5〜12wt%
が好ましい。In2 3 に対しZnOの混合比は、1〜
20wt%が好ましく、さらには5〜12wt%が好まし
い。
【0015】スパッタ法を用いて透明導電膜ないし陽電
極を成膜する際、スパッタガスにAr、Kr、Xeのい
ずれか、あるいはこれらの少なくとも1種以上のガスを
含む混合ガスを用い、特にDCスパッタ法にて成膜し、
成膜ガス圧力と基板ターゲット間距離の積が20〜65
Pa・cmを満たす成膜条件にすることが好ましい。
【0016】スパッタガスは、通常のスパッタ装置に使
用される不活性ガスや、反応性スパッタではこれに加え
て上記の反応性ガスが使用可能であるが、好ましくは主
スパッタガスにはAr、Kr、Xeのいずれか、あるい
はこれらの少なくとも1種以上のガスを含む混合ガスを
用いることが好ましい。これらは不活性ガスであり、か
つ、比較的原子量が大きいため好ましく、特にAr、K
r、Xe単体が好ましい。Ar、Kr、Xeガスを用い
ることにより、スパッタされた原子が基板まで到達する
途中、上記ガスと衝突を繰り返し、運動エネルギーを減
少させて、基板に到着する。このことからよりアモルフ
ァス性の強い陽電極を成膜することが可能となり、粒成
長が抑制され、膜表面がよりスムースになる。
【0017】また、Ar、Kr、Xeの少なくとも1種
以上のガスを含む混合ガスを用いても良く、この様な混
合ガスを用いる場合、Ar、Kr、Xeの分圧の合計は
50%以上として主スパッタガスとして用いる。このよ
うにAr、Kr、Xeの少なくとも1種と任意のガスを
組み合わせた混合ガスを用いることにより、上記の効果
を維持したまま、反応性スパッタを行うこともできる。
【0018】スパッタガスにAr、Kr、Xeのいずれ
かを主スパッタガスとして用いる場合、好ましくは上記
基板ターゲット間距離の積は、それぞれ、 Arを用いた場合:25〜55Pa・cm、特に30〜50
Pa・cm、 Krを用いた場合:20〜50Pa・cm、特に25〜45
Pa・cm、 Xeを用いた場合:20〜50Pa・cm、特に20〜40
Pa・cm の範囲が好ましく、これらの条件であればいずれかのス
パッタガスを用いても好ましい結果を得ることができる
が、特にArを用いることが好ましい。
【0019】スパッタ法としてはRF電源を用いた高周
波スパッタ法等も可能であるが、有機EL素子構造体へ
のダメージを少なくするためにはDCスパッタ法を用い
ることが好ましい。DCスパッタ装置の電力としては、
好ましくは0.1〜4W/cm2 、特に0.5〜1W/cm
2 の範囲である。また、成膜レートは5〜100nm/
分、特に10〜50nm/分の範囲が好ましい。
【0020】このようにして得られた陽電極は、シート
抵抗が増大する傾向にある。このため、その膜厚は下地
となる透明電極と共に積層する場合には、10〜20nm
の比較的薄いものとすることが好ましい。通常、この陽
電極のシート抵抗は膜厚200nmで50〜2kΩ/□程
度である。陽電極表面の最大表面粗さ(Rmax )は、好
ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、特
に3〜30nmが好ましい。またその平均表面粗さ(Ra
)は、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm
以下、特に0.5〜10nmが好ましい。陽電極の表面を
スムースにすると、ダークスポットの発生等をより抑制
することができ好ましい。
【0021】また、本発明の有機EL素子は、下地とし
て透明導電膜を設け、さらにこの下地透明導電膜上に陽
電極を成膜してもよい。このように透明導電膜と陽電極
の2層構造とすることにより、電極抵抗を低く抑えるこ
とができ好ましい。下地透明導電膜の膜厚としては、通
常100〜200nm程度が好ましい。下地透明導電膜上
に成膜される場合の陽電極の膜厚は、好ましくは10nm
以上、より好ましくは20nm以上が好ましく、その上限
は特に規制されるものではないが、光の透過性を重視す
る場合、透過率を80%以上とすることが好ましく、そ
の場合の膜厚は100nm以下が好ましい。下地透明導電
膜も上記同様に、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、
亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム
(In23 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛
(ZnO)のいずれかを主組成としたものが好ましい。
【0022】また、透明導電膜上に陽電極を成膜する場
合、あらかじめ透明導電膜表面をプラズマ処理、より具
体的には逆スパッタ等をすることが好ましい。透明導電
膜表面をプラズマ処理することにより、透明導電膜表面
が平坦化され、その後に成膜される陽電極も平坦化され
る。逆スパッタの条件としては、好ましくは上記のスパ
ッタガスを用い、ガス圧0.5〜1.0Pa、投入電力
0.5〜3W/cm2 程度にて1〜10分程度行うことが
好ましい。
【0023】なお、ディスプレイのような大きなデバイ
スにおいては、ITO等の陽電極の抵抗が大きく、電圧
降下が起きるので、Alなどのメタル配線をしてもよ
い。
【0024】本発明で製造される有機EL発光素子は、
基板上に陽電極と、その上に陰電極を有するこれらの電
極に挟まれて、それぞれ少なくとも1層の電荷輸送層お
よび発光層を有し、さらに最上層として保護電極を有す
る。なお、電荷輸送層は省略可能である。そして、陰電
極は、蒸着、スパッタ法等、好ましくはスパッタ法で成
膜される仕事関数の小さい金属、化合物または合金で構
成され、陽電極は、上記構成からなる。
【0025】成膜される陰電極の構成材料としては、電
子注入を効果的に行う低仕事関数の物質が好ましく、例
えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、S
r、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zr、C
s、Er、Eu、Ga、Hf、Nd、Rb、Sc、S
m、Ta、Y、Yb等の金属元素単体、あるいは、Ba
O、BaS、CaO、HfC、LaB6、MgO、Mo
C、NbC、PbS、SrO、TaC、ThC、ThO
2、ThS、TiC、TiN、UC、UN、UO2、W2
C、Y23、ZrC、ZrN、ZrO2等の化合物を用
いると良い。または安定性を向上させるためには、金属
元素を含む2成分、3成分の合金系を用いることが好ま
しい。合金系としては、例えばAl・Ca(Ca:5〜
20at%)、Al・In(In:1〜10at%)、Al
・Li(Li:0.1〜20at%未満)、Al・R〔R
はY,Scを含む希土類元素を表す〕等のアルミニウム
系合金やIn・Mg(Mg:50〜80at%)等が好ま
しい。これらの中でも、特にAl単体やAl・Li(L
i:0.4〜6.5(ただし6.5を含まず)at%)ま
たは(Li:6.5〜14at%)、Al・R(R:0.
1〜25、特に0.5〜20at%)等のアルミニウム系
合金が圧縮応力が発生しにくく好ましい。したがって、
スパッタターゲットとしては、通常このような陰電極構
成金属、合金を用いる。これらの仕事関数は4.5eV以
下であり、特に仕事関数が4.0eV以下の金属、合金が
好ましい。
【0026】陰電極の成膜にスパッタ法を用いることに
より、成膜された陰電極膜は、蒸着の場合と比較して、
スパッタされる原子や原子団が比較的高い運動エネルギ
ーを有するため、表面マイグレーション効果が働き、有
機層界面での密着性が向上する。また、プレスパッタを
行うことで、真空中で表面酸化物層を除去したり、逆ス
パッタにより有機層界面に吸着した水分や酸素を除去で
きるので、クリーンな電極−有機層界面や電極を形成で
き、その結果、高品位で安定した有機EL素子ができ
る。ターゲットとしては前記組成範囲の合金や、金属単
独でも良く、これらに加えて添加成分を含むターゲット
を用いても良い。さらに、蒸気圧の大きく異なる材料の
混合物をターゲットとして用いても、生成する膜とター
ゲットとの組成のズレは少なく、蒸着法のように蒸気圧
等による使用材料の制限もない。また、蒸着法に比較し
て材料を長時間供給する必要がなく、膜厚や膜質の均一
性に優れ、生産性の点で有利である。
【0027】スパッタ法により形成された陰電極は緻密
な膜なので、粗な蒸着膜に比較して膜中への水分の進入
が非常に少なく、化学的安定性が高く、長寿命の有機E
L素子が得られる。スパッタ時のスパッタガスの圧力
は、好ましくは0.1〜5Paの範囲が好ましい。また、
上記同様成膜ガス圧力と基板ターゲット間距離の積が2
0〜65Pa・cmを満たす成膜条件にすることが好まし
い。
【0028】スパッタガスは、通常のスパッタ装置に使
用される不活性ガスや、反応性スパッタではこれに加え
てN2、H2、O2、C24、NH3等の反応性ガスが使用
可能である。
【0029】スパッタ法としてはRF電源を用いた高周
波スパッタ法等も可能であるが、成膜レートの制御が容
易であり、有機EL素子構造体へのダメージを少なくす
るためにはDCスパッタ法を用いることが好ましい。D
Cスパッタ装置の電力としては、好ましくは0.1〜1
0W/cm2、特に0.5〜7W/cm2の範囲である。ま
た、成膜レートは5〜100nm/min 、特に10〜50
nm/min の範囲が好ましい。
【0030】陰電極薄膜の厚さは、電子注入を十分行え
る一定以上の厚さとすれば良く、50nm以上、好ましく
は100nm以上とすればよい。また、その上限値には特
に制限はないが、通常膜厚は50〜500nm程度とすれ
ばよい。
【0031】本発明の有機EL素子は、陰電極の上、つ
まり有機層と反対側には保護電極を設けてもよい。保護
電極を設けることにより、陰電極が外気や水分等から保
護され、構成薄膜の劣化が防止され、電子注入効率が安
定し、素子寿命が飛躍的に向上する。また、この保護電
極は、非常に低抵抗であり、陰電極の抵抗が高い場合に
は配線電極としての機能も有する。この保護電極は、A
l、Alおよび遷移金属(ただしTiを除く)、Tiま
たは窒化チタン(TiN)のいずれか1種または2種以
上を含有し、これらを単独で用いた場合、それぞれ保護
電極中に少なくとも、Al:90〜100at%、Ti:
90〜100at%、TiN:90〜100 mol%程度含
有されていることが好ましい。また、2種以上用いると
きの混合比は任意であるが、AlとTiの混合では、T
iの含有量は10at%以下が好ましい。また、これらを
単独で含有する層を積層してもよい。特にAl、Alお
よび遷移金属は、後述の配線電極として用いた場合、良
好な効果が得られ、TiNは耐腐食性が高く、封止膜と
しての効果が大きい。TiNは、その化学量論組成から
10%程度偏倚していてもよい。さらに、Alおよび遷
移金属の合金は、遷移金属、特にMg,Sc,Nb,Z
r,Hf,Nd,Ta,Cu,Si,Cr,Mo,M
n,Ni,Pd,Pt,W等を、好ましくはこれらの総
計が10at%以下、特に5at%以下、特に2at%以下含
有していてもよい。遷移金属の含有量は少ないほど、配
線材として機能させた場合の薄膜抵抗は下げられる。
【0032】保護電極の厚さは、電子注入効率を確保
し、水分や酸素あるいは有機溶媒の進入を防止するた
め、一定以上の厚さとすればよく、好ましくは50nm以
上、さらに100nm以上、特に100〜1000nmの範
囲が好ましい。保護電極層が薄すぎると、本発明の効果
が得られず、また、保護電極層の段差被覆性が低くなっ
てしまい、端子電極との接続が十分ではなくなる。一
方、保護電極層が厚すぎると、保護電極層の応力が大き
くなるため、ダークスポットの成長速度が高くなってし
まう。なお、配線電極として機能させる場合の厚さは、
陰電極の膜厚が薄いために膜抵抗が高く、これを補う場
合には、通常100〜500nm 程度、その他の配線電
極として機能される場合には100〜300nm程度であ
る。
【0033】陰電極と保護電極とを併せた全体の厚さと
しては、特に制限はないが、通常100〜1000nm程
度とすればよい。
【0034】本発明により製造される有機EL発光素子
の構成例を図1に示す。図1に示されるEL素子は、基
板21上に、陽電極22、ホール注入・輸送層23、発
光および電子注入輸送層24、陰電極25、保護電極2
6を順次有する。
【0035】本発明の有機EL素子は、図示例に限ら
ず、種々の構成とすることができ、例えば発光層を単独
で設け、この発光層と陰電極との間に電子注入輸送層を
介在させた構造とすることもできる。また、必要に応
じ、ホール注入・輸送層と発光層とを混合しても良い。
【0036】陽電極、陰電極は前述のように成膜し、発
光層等の有機物層は真空蒸着等により成膜することがで
きるが、これらの膜のそれぞれは、必要に応じてマスク
蒸着または膜形成後にエッチングなどの方法によってパ
ターニングでき、これによって、所望の発光パターンを
得ることができる。さらには、基板が薄膜トランジスタ
(TFT)であって、そのパターンに応じて各膜を形成
することでそのまま表示および駆動パターンとすること
もできる。
【0037】電極成膜後に、前記保護電極に加えて、S
iOX 等の無機材料、テフロン、塩素を含むフッ化炭素
重合体等の有機材料等を用いた保護膜を形成してもよ
い。保護膜は透明でも不透明であってもよく、保護膜の
厚さは50〜1200nm程度とする。保護膜は前記した
反応性スパッタ法の他に、一般的なスパッタ法、蒸着法
等により形成すればよい。
【0038】さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐ
ために素子上に封止層を形成することが好ましい。封止
層は、湿気の侵入を防ぐために市販の低吸湿性の光硬化
性接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、架
橋エチレン−酢酸ビニル共重合体接着剤シート等の接着
性樹脂層を用いて、ガラス板等の封止板を接着し密封す
る。ガラス板以外にも金属板、プラスチック板等を用い
ることもできる。
【0039】基板材料としては、基板側から発光した光
を取り出す構成の場合、ガラスや石英、樹脂等の透明な
いし半透明材料を用いる。また、基板に色フィルター膜
や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を
用いて発光色をコントロールしてもよい。
【0040】色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等
で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、
有機ELの発光する光に合わせてカラーフィルターの特
性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すればよ
い。
【0041】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示コントラストも向上
する。
【0042】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0043】蛍光性物質を含む色変換膜は、EL発光の
光を吸収し、色変換膜中の蛍光体から光を放出させるこ
とで、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の3つから形成
される。
【0044】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物、ペリレン系化合物、シアニン
系化合物、フタロシアニン系化合物(サブフタロ等も含
む)、ナフタロイミド系化合物、縮合環炭化水素系化合
物、縮合複合環系化合物、スチリル系化合物、クマリン
系化合物等を用いればよい。
【0045】バインダーは基本的に蛍光を消光しないよ
うな材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷等
で微細なパターンニングが出来るようなものが好まし
い。また、ITOの成膜時にダメージを受けないような
材料が好ましい。
【0046】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要の無い場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0047】次に、本発明のEL素子に設けられる有機
層について述べる。
【0048】発光層は、正孔(ホール)および電子の注
入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により
励起子を生成させる機能を有する。発光層には比較的電
子的にニュートラルな化合物を用いることが好ましい。
【0049】電荷輸送層は、陽電極からの正孔の注入を
容易にする機能、正孔を輸送する機能および電子を妨げ
る機能を有し、正孔注入輸送層とも称される。
【0050】このほか、必要に応じ、例えば発光層に用
いる化合物の電子注入輸送機能がさほど高くないときな
ど、前述のように、発光層と陰電極との間に、陰電極か
らの電子の注入を容易にする機能、電子を輸送する機能
および正孔を妨げる機能を有する電子注入輸送層を設け
てもよい。
【0051】正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、
発光層へ注入される正孔や電子を増大・閉じ込めさせ、
再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
【0052】なお、正孔注入輸送層および電子注入輸送
層は、それぞれにおいて、注入機能を持つ層と輸送機能
を持つ層とに別個に設けてもよい。
【0053】発光層の厚さ、正孔注入輸送層の厚さおよ
び電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法に
よっても異なるが、通常、5〜1000nm程度、特に1
0〜200nmとすることが好ましい。
【0054】正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送
層の厚さは、再結合・発光領域の設定にもよるが、発光
層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすれ
ばよい。電子もしくは正孔の、各々の注入層と輸送層を
分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は20nm以上
とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さ
の上限は、通常、注入層で100nm程度、輸送層で10
00nm程度である。このような膜厚については注入輸送
層を2層設けるときも同じである。
【0055】また、組み合せる発光層や電子注入輸送層
や正孔注入輸送層のキャリア移動度やキャリア密度(イ
オン化ポテンシャル・電子親和力により決まる)を考慮
しながら、膜厚をコントロールすることで、再結合領域
・発光領域を自由に設計することが可能であり、発光色
の設計や、両電極の干渉効果による発光輝度・発光スペ
クトルの制御や、発光の空間分布の制御を可能にでき
る。
【0056】本発明のEL素子の発光層には発光機能を
有する化合物である蛍光性物質を含有させる。この蛍光
性物質としては、例えば、特開昭63−264692号
公報等に開示されているようなトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム〔Alq3〕等の金属錯体色素が挙げ
られる。この他、これに加え、あるいは単体で、キナク
リドン、クマリン、ルブレン、スチリル系色素、その他
テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ベリレン、
コロネン、12−フタロベリノン誘導体等を用いること
もできる。発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであっ
てもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これら
の蛍光性物質を蒸着すればよい。
【0057】また、必要に応じて設けられる電子注入輸
送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等
の有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ベリレン誘
導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘
導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、
ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。
上述のように、電子注入輸送層は発光層を兼ね備えたも
のであってもよく、このような場合はトリス(8−キノ
リノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。
電子注入輸送層の形成も発光層と同様に蒸着等によれば
よい。
【0058】なお、電子注入輸送層を電子注入層と電子
輸送層とに分けて積層する場合は、電子注入輸送層用の
化合物の中から好ましい組合せを選択して用いることが
できる。このとき、陰電極側から電子親和力の値の大き
い化合物の層の順に積層することが好ましい。このよう
な積層順については電子注入輸送層を2層以上設けると
きも同様である。
【0059】また、正孔注入輸送層には、例えば、特開
昭63−295695号公報、特開平2−191694
号公報、特開平3−792号公報、特開平5−2346
81号公報、特開平5−239455号公報、特開平5
−299174号公報、特開平7−126225号公
報、特開平7−126226号公報、特開平8−100
172号公報、EP0650955A1等に記載されて
いる各種有機化合物を用いることができる。例えば、テ
トラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミン
ないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級ア
ミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有する
オキサジアジール誘導体、ポリチオフェン等である。こ
れらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用すると
きは別層にして積層したり、混合したりすればよい。
【0060】正孔注入輸送層を正孔注入層と正孔輸送層
とに分けて積層する場合は、正孔注入輸送層用の化合物
のなかから好ましい組合せを選択して用いることができ
る。このとき、陽電極(ITO等)側からイオン化ポテ
ンシャルの小さい化合物の層の順に積層することが好ま
しい。また陽電極表面には薄膜性の良好な化合物を用い
ることが好ましい。このような積層順については、正孔
注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。このよ
うな積層順にすることによって、駆動電圧が低下し、電
流リークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐこ
とができる。また、素子化する場合、蒸着を用いている
ので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフ
リーとすることができるため、正孔注入層にイオン化ポ
テンシャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物
を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低
下を防ぐことができる。
【0061】正孔注入輸送層は、発光層等と同様に上記
の化合物を蒸着すればよい。
【0062】正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸
送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空
蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場
合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm以下
の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μmを超え
ていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高く
しなければならなくなり、電荷の注入効率も著しく低下
する。
【0063】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を成膜することが好ましい。真空中で連続して成
膜すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりするこ
とができる。
【0064】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0065】本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動
型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパル
ス駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜2
0V程度とされる。
【0066】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を比較例ととも
に示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0067】〈実施例1〉ガラス基板を中性洗剤で十分
に洗浄・乾燥し、成膜用スパッタ装置の基板ホルダーに
セットした。槽内を1×10-4Pa以下まで減圧し、DC
スパッタ法にてITO(Sn:10wt%)をターゲット
として、陽電極を100nmの厚さに成膜した。このとき
のスパッタガスにはArを用い、これに反応性ガスとし
てC24を分圧10%となるよう混合した。スパッタ時
の圧力は0.15Pa、ターゲット−基板間の距離(Ts
)は9.0cm、投入電力は1.2W/cm2 であった。
【0068】得られた陽電極のシート抵抗を測定したと
ころ、60Ω/□であり、この値は添加物を混入しない
ITO薄膜のと同程度であり、添加物の混入によるシー
ト抵抗の増加はなかった。陽電極薄膜中におけるC元素
の含有量を組成分析装置であるSIMSを用いて定量し
たところ、全金属元素と比較して、C原子は4.5at%
膜中に存在することが確認された。
【0069】さらに、陽電極薄膜の表面粗さをAFMを
用いて測定したところ、最大表面粗さ(Rmax )=30
nm、平均表面粗さ(Ra )=10nmであり、異常粒成長
による表面突起は認められず、表面が非常にスムースで
あることが確認された。
【0070】このようにして得られた、陽電極が成膜さ
れた基板を用い、以下の手順で有機EL素子を作製し
た。
【0071】陽電極が成膜された基板を大気中に取り出
し、電極を分離して取り出せるようにパターニングし
た。その後、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて
超音波洗浄し、次いで煮沸エタノール中から引き上げ乾
燥した。この透明電極表面をUV/O3 洗浄した後、真
空蒸着装置の基板ホルダーにて固定して、槽内を1×1
-4Pa以下まで減圧した。
【0072】次いで減圧状態を保ったまま、N,N’−
ジフェニル−m−トリル−4,4’−ジアミン−1,
1’−ビフェニル(TPD)を蒸着速度0.2nm/secで
55nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
【0073】さらに、減圧を保ったまま、Alq3 :ト
リス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.
2nm/secで50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送・発
光層とした。
【0074】次いで、真空蒸着装置からスパッタ装置に
移し、DCスパッタ法にてAl・Sm合金(Sm:10
at%)をターゲットとして陰電極を200nmの厚さに成
膜した。このときのスパッタガスにはArを用い、ガス
圧3.5Pa、ターゲットと基板間距離(Ts)9.0cm
とした。また、投入電力は1.2W/cm2 であった。
【0075】最後にSiO2 を200nmの厚さにスパッ
タして保護層として、有機EL発光素子を得た。この有
機EL発光素子は、それぞれ2本ずつの平行ストライプ
状陰電極と、8本の平行ストライプ状陽電極を互いに直
交させ、2×2mm縦横の素子単体(画素)を互いに2mm
の間隔で配置し、8×2の16画素の素子としたもので
ある。
【0076】この有機薄膜発光素子にN2 雰囲気で直流
電圧を印加し、10mA/cm2 の一定電流密度で連続駆動
させた。初期には、9V、350cd/m2 の緑色(発光極
大波長λmax =520nm)の発光が確認できた。輝度の
半減時間は800時間で、その間の駆動電圧の上昇は2
Vであった。
【0077】得られた有機EL素子について、160画
素(10素子分)の初期平均発光輝度、電極間の電流リ
ーク個数、陽電極の最大表面粗さ(Rmax )および平均
表面粗さ(Ra )、発光半減期及びダークスポットの発
生有無(発光開始から200時間経過後)について調
べ、その結果を表1に示した。ダークスポットの発生の
有無については、以下の基準により評価した。 ◎:ダークスポット全くなし ○:発光面の10mm角領域に2個以下確認できる。 ×:発光面の10mm角領域に3個以上確認できる。 結果を表1に示す。
【0078】〈実施例2〉実施例1の陽電極形成におい
て、C24 ガス分圧を5%とした他は実施例1と同様
にして陽電極薄膜を形成した。得られた陽電極薄膜のシ
ート抵抗を測定したところ、実施例1と同様にシート抵
抗の増加は確認されなかった。さらに、実施例1と同様
にしてC元素含有量を測定したところ、全金属元素と比
較して、C原子が2.0at%含有されていることが確認
された。
【0079】得られた陽電極薄膜の積層された基板を用
いて、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評
価した。結果を表1に示す。
【0080】〈実施例3〉実施例1の陽電極形成におい
て、反応性ガスをC24 ガスにかえてN2 ガス、ガス
分圧5%とした他は実施例1と同様にして陽電極薄膜を
形成した。得られた陽電極薄膜のシート抵抗を測定した
ところ、実施例1と同様にシート抵抗の増加は確認され
なかった。さらに、実施例1と同様にしてN元素含有量
を測定したところ、全金属元素と比較して、N原子が
2.0at%含有されていることが確認された。
【0081】得られた陽電極薄膜の積層された基板を用
いて、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評
価した。結果を表1に示す。
【0082】〈実施例4〉実施例1の陽電極形成におい
て、スパッタガスをArのみとし、反応性ガスを添加す
ることなくITO透明導電膜を100nm成膜した。次い
で、得られたITO薄膜の表面を1分間逆スパッタし
て、表面層を除去した。このときの条件は、RFスパッ
タ法を用い、Arガス圧0.3Pa、投入電力3W/cm2
であった。
【0083】次いで、実施例1と同様にしてITO薄膜
上にITO−C24 の陽電極を30nm成膜した。得ら
れた陽電極薄膜のシート抵抗を測定したところ、実施例
1と同様にシート抵抗の増加は確認されなかった。
【0084】得られた陽電極薄膜の積層された基板を用
いて、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評
価した。結果を表1に示す。
【0085】表1から明らかなように、ITO薄膜表面
を陽電極の成膜前に予め逆スパッタすることにより、表
面に不規則に存在する比較的大きな粒子や突起を除去す
ることができ、電極間の電流リークの発生を抑制できる
ことがわかる。
【0086】〈実施例5〉実施例4の陽電極形成におい
て、スパッタガス圧を3.5Paにかえたほかは実施例4
と同様にしてITO薄膜上にITO−C24 の陽電極
を10nm成膜した。得られた陽電極薄膜のシート抵抗を
測定したところ、実施例1と同様にシート抵抗の増加は
確認されなかった。
【0087】得られた陽電極薄膜の積層された基板を用
いて、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、評
価した。結果を表1に示す。
【0088】〈実施例6〉実施例1の陽電極形成におい
て、反応性ガスをC24 ガスにかえてCH4 、C2
2 ,N2 ,NH3 ,H2 ,H2O,SiF4 ,SiCl4
,SiH4 ,SiH3Cl,SiH2Cl2 ,SiHC
3 ,Si26 ,Si38 ,AsH3 ,PH3 ,B2
6 ,POCl3 ,H2Sをそれぞれ用いた他は実施例
1と同様にしてそれぞれ陽電極薄膜を形成した。
【0089】得られた各陽電極薄膜の積層された基板を
用いて、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、
評価したところ、添加元素の違いにより、発光時の駆動
電圧等が僅かに異なるものの、実施例1とほぼ同様の結
果を得ることができた。
【0090】〈実施例7〉実施例1の陽電極形成におい
て、ITOターゲットにかえて、IZO、In23
SnO2 およびZnO:Al(Al:2wt%)ターゲッ
トをそれぞれ用いた他は実施例1と同様にしてそれぞれ
陽電極薄膜を形成した。
【0091】得られた各陽電極薄膜の積層された基板を
用いて、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、
評価したところ、陽電極材料によるシート抵抗の違いに
より、発光時の駆動電圧等が僅かに異なるものの、実施
例1とほぼ同様の結果を得ることができた。
【0092】〈実施例8〉実施例5の陽電極形成におい
て、ガス圧−基板間の積が20〜65Paとなるよう条件
を変えた他は実施例5と同様にしてそれぞれ陽電極薄膜
を形成した。このときの条件としては、2.5Paと9c
m、6.0Paと9cm、8.0Paと5cm、8.0Paと7cm
の4点にて行った。
【0093】得られた各陽電極薄膜の積層された基板を
用いて、実施例5と同様にして有機EL素子を作製し、
評価したところ、実施例5とほぼ同様の結果であった。
【0094】〈比較例1〉実施例1の陽電極形成におい
て、スパッタガスをArのみとし、反応性ガスを添加す
ることなくITO透明導電膜を100nm成膜し、陽電極
とした。得られた陽電極薄膜の表面をAMFを用いて評
価したところ、部分的に粒子状の異物が認められ、表面
に多数突起が存在することが確認された。このときの最
大表面粗さ(Rmax )=100nm以上、平均表面粗さ
(Ra )=30nm程度であった。
【0095】この陽電極薄膜の積層された基板を用い
て、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。得
られた有機EL素子を実施例と同様にして連続駆動させ
た。初期には、9V、350cd/m2 の緑色(発光極大波
長λmax =520nm)の発光が確認できた。輝度の半減
時間は800時間で、その間の駆動電圧の上昇は2V
で、実施例1の発光特性と同様であった。
【0096】この有機EL素子について、実施例1と同
様にして評価した。結果を表1に示す。
【0097】表1から明らかなように、発光輝度、駆動
電圧は実施例1と同様であるものの、電極間のリーク発
生個数がかなり多く、またダークスポットの発生も顕著
であった。これは陽電極表面での結晶粒成長が生じ、表
面に突起が発生したり、表面の平坦さが損なわれること
で、発光特性に影響を及ぼしているためと考えられる。
【0098】〈比較例2〉実施例1の陽電極形成におい
て、反応性ガスの分圧を25%としたほかは実施例1と
同様にして、陽電極を100nm成膜した。得られた陽電
極のシート抵抗を測定したところ、100 kΩ/□であ
り、不純物を多量に添加したことによるシート抵抗の増
加が確認された。陽電極薄膜中におけるC元素の含有量
を組成分析装置であるSIMSを用いて定量したとこ
ろ、全金属元素と比較して、C原子は1.25at%膜中
に存在することが確認された。
【0099】この陽電極薄膜の積層された基板を用い
て、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。得
られた有機EL素子を実施例と同様にして連続駆動させ
た。初期には、11V、120cd/m2 の緑色(発光極大
波長λmax =520nm)の発光が確認できた。輝度の半
減時間は400時間で、その間の駆動電圧の上昇は5V
で、実施例1の発光特性と同様であった。
【0100】この有機EL素子について、実施例1と同
様にして評価した。結果を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【発明の効果】有機層界面での密着性、電子注入効率が
良好で、発光特性を向上させ、有機層へのダメージも少
なく、ダークスポットの発生を抑制し、性能劣化の少な
い陰電極を有する有機EL素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の構成例を示す概念図である。
【符号の説明】
21 基板 22 陽電極 23 正孔注入・輸送層 24 発光層 25 陰電極 26 保護層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に陽電極と、陰電極と、これらの
    電極間に挟まれた有機層とを有し、 前記陽電極は、添加元素として、C,N,H,F,B,
    P,S,AsおよびSi元素の1種または2種以上を含
    有する透明導電膜である有機EL素子。
  2. 【請求項2】 前記透明導電膜は、主組成が錫ドープ酸
    化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジ
    ウム、酸化スズおよび酸化亜鉛のいずれかである請求項
    1の有機EL素子。
  3. 【請求項3】 前記添加元素を透明導電膜の全金属元素
    に対し、総計5at%以下含有する請求項1または2の有
    機EL素子。
  4. 【請求項4】 前記陽電極は、最大表面粗さが100nm
    以下、平均表面粗さが30nm以下である請求項1〜3の
    いずれかの有機EL素子。
  5. 【請求項5】 前記陽電極は下地透明導電膜上に積層さ
    れている請求項1〜4のいずれかの有機EL素子。
  6. 【請求項6】 前記陽電極の膜厚が10nm以上である請
    求項5の有機EL素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の陽電極をDCスパッタ法
    で成膜する有機EL素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記DCスパッタ法は、成膜時のガス圧
    と基板・ターゲット間の距離の積が、20〜65Pa・cm
    を満たす条件で成膜する請求項7の有機EL素子の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 成膜ガスにAr、KrおよびXeの1種
    以上を用いた請求項7または8の有機EL素子の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 陽電極が成膜される面をプラズマ処理
    した後、陽電極を成膜する請求項7〜9のいずれかの有
    機EL素子の製造方法。
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