JP2001307553A - 透明導電膜およびその製造方法並びにその用途 - Google Patents
透明導電膜およびその製造方法並びにその用途Info
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Abstract
坦で抵抗率の低い透明導電膜を提供する。 【解決手段】 抵抗率が250μΩ・cm以下で表面凹
凸の最大高低差/膜厚が10%以下を満足する透明導電
膜であり、この導電膜は、例えば、In、Sn、Geお
よびOからなるスパッタリングターゲットを、dcにr
fを重畳したスパッタ電力でスパッタすることにより得
られる。
Description
された低抵抗透明導電膜に関し、特に結晶化した透明導
電膜に関する。
de)薄膜は、高導電性、高透過率といった特徴を有
し、更に微細加工も容易に行えることから、フラットパ
ネルディスプレイ用表示電極、抵抗膜方式のタッチパネ
ル、太陽電池用窓材、帯電防止膜、電磁波防止膜、防曇
膜、センサ等の広範囲な分野に渡って用いられている。
レー熱分解法、CVD法等の化学的成膜法と電子ビーム
蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等
の物理的成膜法に大別することができる。これら中でも
スパッタリングは、大面積への均一成膜が容易でかつ高
性能の膜が得られる成膜法であることから、様々な分野
で使用されている。
ため、またノジュール(ITOターゲットをアルゴンガ
スと酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で連続してスパッタ
リングした時にターゲット表面に形成される黒色の異
物)発生量を低減させるために、ITO焼結体に第3元
素を添加させる試みが行われてきた。例えば、特開昭6
2−202415号のようにITO焼結体に酸化珪素及
び/又は酸化ゲルマニウムを含有させる方法、特開平5
−98436号のようにITO焼結体に1〜15wt%
の酸化ゲルマニウムを含有させる方法などが提案されて
いる。
フラットパネルディスプレイ等に要求される技術レベル
が高まっている。無機Electro Lumines
cence(EL)パネルは、図1に示すような絶縁層
2によって挟持された発光層3に透明電極1と金属製の
背面電極4を通して10E8V/cmという強電界を発
光層に印加して発光させる構造となっている。自発光の
ため視認性が高く、全固体であるため振動に強いといっ
た優れた特徴を有している。パネル構造は、帯状の直交
させた透明電極と背面電極からなるX−Yのマトリクス
構造となっている。このため、パネルの大型化および高
精細化にともない、特に透明電極に使用される透明導電
膜の低抵抗率化が要求されている。
/cmという強電界が印加されることから、透明電極1
の表面に大きな凸凹の部分があると、この部分で電界集
中が起こり、絶縁破壊を発生しやすくなる。 絶縁破壊
が生じると当該画素部での表示が不可能となりディスプ
レイとしての表示品質の劣化を招くため、電極の表面の
凸凹を低下させる必要がある。
と、特別な条件を除きアモルファスな膜が得られる。し
かし、薄膜の抵抗率を低下させるには、膜を結晶化させ
ることが好ましい。ITOの結晶化温度は150℃前後
(成膜条件により異なる)であり、結晶膜を得るにはこ
の温度以上の成膜温度で成膜する必要がある。しかし、
スパッタリング法を用いて結晶性ITO薄膜を形成した
場合、ITO薄膜に特徴的な膜の突起およびドメイン構
造が形成される。
する場合には、スパッタリングガスとしてアルゴンと酸
素が用いられる。ガス中の酸素量を変化させることによ
り得られる薄膜の抵抗率は変化し、ある酸素分圧値で最
小の値を示す。そして、このような薄膜の抵抗率が最小
の値を示すような酸素分圧値で形成した場合、上述の薄
膜表面の突起およびドメイン構造が顕著となり、平坦性
の悪い表面状態となる。このような膜の場合、膜厚20
0nmでの表面凹凸の最大高低差(Z−max)は、1
00nmにも達する場合がある。
最適酸素分圧値からはずれたところで成膜するか、成膜
時の基板温度を低下させてアモルファス化する手法が考
えられる。しかし、いずれの手法を用いた場合において
も、薄膜の平坦性は確保されるものの抵抗率が増加して
しまう。
両特性を満足する透明導電膜の開発が望まれていた。
高精細ELパネルに好適な、膜表面が平坦で抵抗率の低
い結晶性の透明導電膜を提供することにある。
種元素をドープした導電性金属酸化物に関して鋭意検討
を重ねた結果、抵抗率を250μΩ・cm以下、かつZ
−max/tを10%以下とすることにより、パネルの
大型化および高精細化に対応し強電界が印加されるEL
パネルにおいても高い信頼性が得られる透明導電膜が得
られることを見いだした。また、このような薄膜はゲル
マニウムをドーパントとして含有するITO薄膜におい
て達成できることを見いだし、本発明を完成した。
m以下、かつZ−max/tが10%以下を満足する透
明導電膜(但し、透明導電膜が、実質的にインジウム、
スズ、ガリウムおよび酸素からなる場合を除く)に関
し、このような導電膜は、例えば、実質的にインジウ
ム、スズ、ゲルマニウムおよび酸素から構成される膜に
より達成される。ここで、「実質的に」とは、「不可避
不純物を除いて」との意味である。
凹凸の度合いを数値的に表すパラメ-タであり、表面の
あるエリア内で最も高い山の頂上と最も低い谷の底との
高さの差を意味する。その測定方法としては、原子間力
顕微鏡(AFM:Atomic Force Micr
oscopy)による測定が一般的である。原子間力顕
微鏡は微小なてこを物質表面に近づけ、縦横方向にある
エリア内で走査し、その際生じるてこのたわみを試料面
垂直方向の高さに換算して表面の凹凸を測定する装置で
ある。本発明では、セイコ−電子工業株式会社製の原子
間力顕微鏡(商品名「SPI3700」)を用いて、て
こを3μm×3μmのエリア内を走査させて測定した。
でなる機器は、例えば、以下の方法で製造する。
ゲットを製造する。スパッタリングターゲットに用いる
ための焼結体としては、得られる焼結体の焼結密度が9
5%以上であることが好ましい。より好ましくは98%
以上である。
タリング中に異常放電が発生しやすくなり、この時発生
するスプラッツを核とした異常成長粒子が形成されるた
め、平坦な膜を得にくくなるからである。
In2O3、SnO2およびGeO2の真密度の相加平均か
ら求められる理論密度(d)に対する相対値を示してい
る。相加平均から求められる理論密度(d)とは、ター
ゲット組成において、In2O3、SnO2およびGeO2
粉末の混合量をそれぞれa,bおよびc(g)、とした
時、それぞれの真密度7.179,6.95,6.23
9(g/cm3)を用いて、d=(a+b+c)/
((a/7.179)+(b/6.95)+(c/6.
239))により求められる。焼結体の測定密度をd1
とすると、その相対密度は、式:D=d1/d×100
(%)で求められる。
は、例えば、以下のような方法で製造することができ
る。
ム粉末、酸化スズ粉末および酸化ゲルマニウム粉末とを
混合する。酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末の代わり
に酸化スズ固溶酸化インジウム粉末を用いることも可能
である。この際、使用する粉末の平均粒径が大きいと焼
結後の密度が充分に上がらず相対密度95%以上の焼結
体を得難くなることがあるので、使用する粉末の平均粒
径は1.5μm以下であることが望ましく、更に好まし
くは0.1〜1.5μmである。粉末の混合は、ボール
ミルなどにより乾式混合あるいは湿式混合して行えばよ
い。
n+In)の原子比で5〜20%とすることが好まし
い。より好ましくは8〜17%、さらに好ましくは10
〜14%である。これは、本発明のターゲットを用いて
ITO薄膜を製造した際に、膜の抵抗率が最も低下する
組成であるからである。
n+Sn+Ge)の原子比で1〜6%が好ましい。より
好ましくは2〜5%、更に好ましくは、3〜5%であ
る。酸化ゲルマニウムの添加量が前記範囲より少ない
と、薄膜の平坦化の効果が薄れ凸凹の大きな膜となるこ
とがあり、また前記範囲を超えると、抵抗率が高くなり
すぎる場合がある。
ンダー等を加え、プレス法或いは鋳込法等の成形方法に
より成形して成形体を製造する。プレス法により成形体
を製造する場合には、所定の金型に混合粉末を充填した
後、粉末プレス機を用いて100〜300kg/cm2
の圧力でプレスを行う。粉末の成形性が悪い場合には、
必要に応じてパラフィンやポリビニルアルコール等のバ
インダーを添加してもよい。
ITO混合粉末にバインダー、分散剤、イオン交換水を
添加し、ボールミル等により混合することにより鋳込成
形体製造用スラリーを作製する。続いて、得られたスラ
リーを用いて鋳込を行う。鋳型にスラリーを注入する前
に、スラリーの脱泡を行うことが好ましい。脱泡は、例
えばポリアルキレングリコール系の消泡剤をスラリーに
添加して真空中で脱泡処理を行えばよい。続いて、鋳込
み成形体の乾燥処理を行う。
間静水圧プレス(CIP)等の圧密化処理を行う。この
際CIP圧力は充分な圧密効果を得るため1ton/c
m2以上、好ましくは2〜5ton/cm2であることが
望ましい。ここで始めの成形を鋳込法により行った場合
には、CIP後の成形体中に残存する水分およびバイン
ダー等の有機物を除去する目的で脱バインダー処理を施
してもよい。また、始めの成形をプレス法により行った
場合でも、成型時にバインダーを使用したときには、同
様の脱バインダー処理を行うことが望ましい。
に投入して焼結を行う。焼結方法としては、いかなる方
法でも適応可能であるが、生産設備のコスト等を考慮す
ると大気中焼結が望ましい。しかしこの他ホットプレス
(HP)法、熱間静水圧プレス(HIP)法および酸素
加圧焼結法等の従来知られている他の焼結法を用いるこ
とができることは言うまでもない。
ができるが、充分な密度上昇効果を得るため、また酸化
スズの蒸発を抑制するため、焼結温度が1450〜16
50℃であることが望ましい。また焼結時の雰囲気とし
ては大気或いは純酸素雰囲気であることが好ましい。ま
た焼結時間についても充分な密度上昇効果を得るために
5時間以上、好ましくは5〜30時間であることが望ま
しい。このようにしてゲルマニウム含有ITO焼結体を
製造することができる。
した後、必要に応じて無酸素銅からなるバッキングプレ
ートにインジウム半だ等を用いて接合することにより、
スパッタリングターゲットが製造される。
て、ガラス基板やフィルム基板等の基板上に本発明の透
明導電性薄膜を得ることができる。製膜手段としては、
薄膜の低抵抗率化および平坦化のために、dcにrfを
重畳させた、50〜500Wの電力(但し、カソードの
サイズによっても異なる)を使用したスパッタリング方
を採用することが好ましい。この際、dcに重畳させる
rfの割合は、印加電力でrf/dcで50〜100%
とすることが好ましい。また、rfとしては、13.5
6MHz±0.05%の高周波が好ましい。
させるために、200℃以上とすることが好ましく、よ
り好ましくは300℃以上である。
化ゲルマニウムの3種類、あるいは前記の3種の内の2
種の混合酸化物と残りの酸化物の2種類として用意され
たスパッタリングターゲットを用いて多元同時スパッタ
リングにより製膜してもよい。さらに、個々のスパッタ
リングターゲットの一部あるいは全部を金属あるいは合
金に置き換えて用いてもよい。
ゴンと酸素を真空装置内に導入してスパッタリングを行
う。膜の低抵抗率化を達成するためには、これら導入ガ
スの流量を制御して抵抗率が低下する値に適宜設定す
る。
250μΩ・cm以下、好ましくは、220μΩ・cm
以下であり、かつZ−max/tが10%以下、好まし
くは、6%以下であり、極めて平坦で低抵抗率となる。
また、形成する膜の厚さは100〜500nmとするの
が好ましい。
応じて所望のパターンにエッチングされた後、本願請求
項4の発明である機器を構成することができる。
とを目的として第4の元素を添加しても有効である。第
4元素としては、例えば、Mg、Al、Si、Ti、Z
n、Y、Zr、Nb、Hf、Ta等を例示することがで
きる。これら元素の添加量は、特に限定されるものでは
ないが、本発明による薄膜の優れた電気特性および平坦
性を劣化させないため、(第4元素の酸化物の総和)/
(In2O3+SnO2+GeO2+第4元素の酸化物の総
和)/100で0%を超え20%以下(重量比)とする
ことが好ましい。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
び所定量の酸化ゲルマニウム粉末をポリエチレン製のポ
ットに入れ、乾式ボールミルにより72時間混合し、混
合粉末を製造した。
2の圧力でプレスして成形体とした。この成形体を3t
on/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行っ
た。次にこの成形体を純酸素雰囲気焼結炉内に設置し
て、以下の条件で焼結した。 (焼結条件) 焼結温度:1500℃、昇温速度:25℃/時間、焼結
時間:6時間、酸素圧:50mmH2O(ゲージ圧)、
酸素線速:2.7cm/分 得られた焼結体の密度をアルキメデス法により測定した
ところ全て95%以上であった。この焼結体を湿式加工
法により直径4インチ厚さ6mmの焼結体に加工し、イ
ンジウム半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレート
にボンディングしてターゲットとした。
件でスパッタリングして薄膜の評価を行った。 (スパッタリング条件) 基板:ガラス基板、印加電力:dc150W+rf10
0W、ガス圧:1.1mTorr、スパッタリングガ
ス:Ar+O2、O2/Ar:抵抗率が最小となる値に制
御、基板温度:200℃、膜厚:200nm。
ron Prove MicroAnalysis)で
分析するとともに、薄膜の抵抗率およびZ−max/t
を測定した。得られた結果を図2に示す。Ge/(In
+Sn+Ge)含有量1〜6%で良好な結果が得られ
た。
薄膜の結晶性をXRDを用いて調べた。結果を図3に示
す。(100)面に配向した結晶化した膜であった。
び所定量の酸化ゲルマニウム粉末をポリエチレン製のポ
ットに入れ、乾式ボールミルにより72時間混合し、混
合粉末を製造した。
ターゲットを製造した。得られたターゲットを用いて実
施例1と同様の条件で薄膜を製造した。
ともに、薄膜の抵抗率およびZ−max/tを測定し
た。得られた結果を図3に示す。Ge/(In+Sn+
Ge)含有量1〜6%で良好な結果が得られた。
薄膜の結晶性をXRDを用いて調べた。結果を図5に示
す。特に強い配向面のないものの結晶化した膜であっ
た。
が3原子%ととなったターゲットを用いて、スパッタリ
ング時間以外は実施例1と同じ条件でスパッタリングを
行い、膜厚500nmの薄膜を作成した。得られた膜の
抵抗室およびZ−max/tを測定したところ、抵抗率
=195μΩ・cm、Z−max/t=6.1%であっ
た。
3原子%ととなったターゲットを用いて、以下のスパッ
タリング条件でスパッタリングして薄膜の評価を行っ
た。 (スパッタリング条件) 基板:ガラス基板、印加電力:dc200W、ガス圧:
1.1mTorr、スパッタリングガス:Ar+O2、
O2/Ar:抵抗率が最小となる値に制御、基板温度:
200℃、膜厚:200nm 得られた膜の抵抗室およびZ−max/tを測定したと
ころ、抵抗率=260μΩ・cm、Z−max/t=
6.9%であった。
5原子%ととなったターゲットを用いて、以下のスパッ
タリング条件でスパッタリングして薄膜の評価を行っ
た。 (スパッタリング条件) 基板:ガラス基板、印加電力:dc200W、ガス圧:
1.1mTorr、スパッタリングガス:Ar+O2、
O2/Ar:抵抗率が最小となる値に制御、基板温度:
200℃、膜厚:200nm 得られた膜の抵抗室およびZ−max/tを測定したと
ころ、抵抗率=280μΩ・cm、Z−max/t=
8.5%であった。
好適な、膜表面が平坦で抵抗率の低い透明導電膜を得る
ことが可能となる。
x/tを示す図である。
(XRD)を示す図である。
x/tを示す図である。
(XRD)を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 抵抗率が250μΩ・cm以下、かつ表
面凹凸の最大高低差(Z−max)/膜厚(t)が10
%以下を満足する透明導電膜(但し、透明導電膜が、実
質的にインジウム、スズ、ガリウムおよび酸素からなる
場合を除く)。 - 【請求項2】 実質的にインジウム、スズ、ゲルマニウ
ムおよび酸素からなる請求項1に記載の透明導電膜。 - 【請求項3】 ゲルマニウムがGe/(In+Sn+G
e)の原子比で1.0%〜6.0%の割合で含有されて
いることを特徴とする請求項2に記載の透明導電膜。 - 【請求項4】 薄膜の構造が結晶膜であることを特徴と
する請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜。 - 【請求項5】 請求項第1〜4項のいずれか1項に記載
の透明導電性膜を含んでなる機器。 - 【請求項6】 実質的にインジウム、スズ、ゲルマニウ
ムおよび酸素からなるスパッタリングターゲットを、d
cにrfを重畳したスパッタ電力でスパッタすることを
特徴とする、抵抗率が250μΩ・cm以下、かつ表面
凹凸の最大高低差(Z−Max)/膜厚(t)が10%
以下を満足する透明導電膜の製造方法。 - 【請求項7】 ゲルマニウムがGe/(In+Sn+G
e)の原子比で1.0%〜6.0%の割合で含有されて
いることを特徴とする請求項6に記載の透明導電膜の製
造方法。
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