JP3107692B2 - 多板摩擦クラッチ - Google Patents

多板摩擦クラッチ

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JP3107692B2 JP31878193A JP31878193A JP3107692B2 JP 3107692 B2 JP3107692 B2 JP 3107692B2 JP 31878193 A JP31878193 A JP 31878193A JP 31878193 A JP31878193 A JP 31878193A JP 3107692 B2 JP3107692 B2 JP 3107692B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動二輪車に採用され
る多板摩擦クラッチに関するものであり、特に、クラッ
チレバーの操作荷重を軽減する多板摩擦クラッチに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動二輪車に採用される摩擦ク
ラッチとしては、小径の回転板によって十分な摩擦力を
確保するよう、回転板を複数枚重ねた多板摩擦クラッチ
が主流となっている。
【0003】このような多板摩擦クラッチの従来例を図
6および図7を参照して具体的に説明する。ハウジング
1の外周部にはエンジンのクランク軸に連結されるギヤ
1aが形成されており、内部にはトランスミッション側
に連結されるクラッチボス2、回転板となるクラッチデ
ィスク3およびクラッチプレート4が同軸上に収納され
ている。このとき、ハウジング1が駆動軸側、クラッチ
ボス2が従動軸側となる。なお、クラッチボス2の外周
部にはスプライン2aが形成されている。
【0004】また、クラッチディスク3およびクラッチ
プレート4は、共にリング状の部材から構成され、互い
に圧着するよう交互に配置されている。クラッチディス
ク3の周囲にはコルクなどの摩擦係数の高い材料が貼ら
れていて、クラッチプレート4と圧着するとき、摩擦力
が発生するようになっている。さらにクラッチディスク
3の外周部はハウジング1にスプライン構造をとって取
付けられている。一方、クラッチプレート4の内周部に
はクラッチボス2のスプライン2aに噛合うスプライン
4aが形成されている。そのためクラッチディスク3お
よびクラッチプレート4は共に、軸方向にのみ移動する
ようになっている。
【0005】また図示しないが、ハウジング1に近接し
てクラッチディスク3とクラッチプレート4とを圧着さ
せるためのプレッシャプレートが設けられている。さら
にプレッシャプレートにはクラッチレバーにより操作さ
れるプッシュロッド(図示せず)が固定されている。こ
のプッシュロッドは、ワイヤなどを介してクラッチレバ
ーに連結されており、クラッチレバーを引くと、クラッ
チディスク3とクラッチプレート4との圧着を解除する
方向に前記プレッシャプレートを押すように構成されて
いる。
【0006】以上のような構成を有する多板摩擦クラッ
チにおいて、クラッチをつないだ状態では、プレッシャ
プレート(図示せず)の働きによりクラッチディスク3
とクラッチプレート4とが圧着している(図7(A)参
照)。このとき、エンジンからの駆動力を受けてハウジ
ング1が回転すれば、クラッチディスク3からクラッチ
プレート4へと回転力が伝わり、クラッチボス2が同回
転数で回転する。このようにクラッチをつないだ状態で
は駆動軸側から従動軸側へ駆動力を伝達する。
【0007】上記の状態からクラッチを切る場合、クラ
ッチレバーを引いてプッシュロッドがプレッシャプレー
トを押す。押されたプレッシャプレートは、クラッチデ
ィスク3とクラッチプレート4とを圧着することをやめ
る。このとき、クラッチディスク3およびクラッチプレ
ート4は軸方向に移動して互いに離れる(図7(B)参
照)。そのため、クラッチを切った状態では駆動軸側か
ら従動軸側へ駆動力が伝わることがない。
【0008】なお、駆動軸側から従動軸側への動力伝達
を開始する際(いわゆる半クラッチを行う際)には、ク
ラッチレバーをゆっくり戻すことによりプッシュロッド
を徐々に反対方向に戻す。このような操作を行うと、プ
レッシャプレートはクラッチディスク3とクラッチプレ
ート4とを徐々に圧着させる。このときクラッチディス
ク3およびクラッチプレート4間に摩擦力が生じるが、
この摩擦力を利用してクラッチディスク3からクラッチ
プレート4へ回転力を緩やかに伝達することができる。
したがって、急激な駆動力の伝達を抑えることができ、
エンジンストップなどの不具合を防止することができ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の多板
摩擦クラッチでは、プレッシャプレートに数本のクラッ
チスプリングが固定されているのが一般的である。この
クラッチスプリングは、クラッチディスク3とクラッチ
プレート4とを圧着させる方向にプレッシャプレートを
付勢するものであり、クラッチディスク3とクラッチプ
レート4とを確実に圧着させる必要から、かなり大きい
弾性力を有している。そこで、クラッチを切るためには
プレッシャプレートへのプッシュロッドの押圧力が、こ
のクラッチスプリングの弾性力に打ち勝たなくてはなら
ない。プッシュロッドの押圧力は、てこの原理などを応
用するにせよ、クラッチレバーを引く操作力によって確
保するので、クラッチレバーの操作荷重はかなり大きく
なるものとなる。したがってこの操作荷重を軽減して、
優れた操作性を発揮する多板摩擦クラッチが待たれてい
た。
【0010】また、自動二輪車で減速する場合には、減
速ギヤをシフトダウンしてエンジンブレーキをかけるの
が一般的である。しかしながら、エンジンブレーキをか
けるに際して、自動二輪車が高速で走行している際に急
激なシフトダウンを行うと、減速比が大きくなり、後輪
がロックするという危険性がある。
【0011】本発明は、上記のような従来技術が持つ問
題点を解決するために提案されたものであり、請求項1
の発明の目的は、クラッチを切る際には必要な操作荷重
を軽減して優れた操作性を発揮でき、一方、クラッチ接
続時には駆動力の確実な伝達が可能となり、さらにエン
ジンブレーキをかけるときに急激なシフトダウンを行っ
たときでも高い安全性を確保できる多板摩擦クラッチを
提供することにある。より具体的には、請求項2の発明
の目的は、構成の簡略化を図りつつ操作荷重の軽減化を
実現できる多板摩擦クラッチを提供することにある。さ
らに請求項3の発明の目的は、独立した駆動源を用いる
ことなくクラッチをつなぐ動作を行うことが可能な多板
摩擦クラッチを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、プレッシャプレートに固定さ
れクラッチディスクとクラッチプレートとを圧着させる
方向に常にプレッシャプレートを付勢する第1のクラッ
チスプリングと、プレッシャプレートに接離可能に配設
されプレッシャプレートに当接するときクラッチディス
クとクラッチプレートとを圧着させる方向にプレッシャ
プレートを付勢する第2のクラッチスプリングと、この
第2のクラッチスプリングをプレッシャプレートから離
すための圧着力解除手段と、この圧着力解除手段に逆ら
って第2のクラッチスプリングをプレッシャプレートに
当接させる圧着力保持手段とが設けられており、圧着力
保持手段は、駆動軸から従動軸に伝達される駆動力に比
例して圧着力解除手段の解除力に打ち勝つ対抗力を出す
ように構成されていることを特徴とする。
【0013】請求項2の発明は、前記圧着力解除手段
が、クラッチスプリングの弾性力に打ち勝つ弾性力を有
するリング状の解除スプリングと、この解除スプリング
の弾性力を受けて前記プレッシャプレートからクラッチ
スプリングを離すようにクラッチスプリングを押圧する
押圧部材とから構成され、前記解除スプリングがクラッ
チディスクおよびクラッチプレートと同軸上に配置され
ることを特徴とする。
【0014】請求項3の発明は、前記圧着力保持手段
が、エンジンから出力される駆動力を受けて回転する係
合部材と、該係合部材に係合し前記係合部材の回転力を
前記対抗力に変換する被係合部材とから構成され、これ
ら係合部材および被係合部材のうち、一方には突出部が
形成され、他方にはテーパ部が形成されることを特徴と
する。
【0015】
【作用】上記のような構成を有する請求項1の発明の作
用は次の通りである。すなわち、クラッチをつないだ状
態では、第1のクラッチスプリングがプレッシャプレー
トを付勢しており、プレッシャプレートはクラッチディ
スクとクラッチプレートとを圧着させている。このと
き、エンジンからの駆動力を受けて駆動軸が回転すれ
ば、クラッチディスクおよびクラッチプレートを介して
従動軸へ駆動力が伝わる。そして駆動軸から従動軸に伝
達される駆動力を大きくすると、圧着力保持手段は圧着
力解除手段の解除力に打ち勝つ対抗力を出す。そのた
め、第2のクラッチスプリングに対して圧着力解除手段
の解除力が働くことがなく、第2のクラッチスプリング
はプレッシャプレートに当接してこれを付勢する。した
がってプレッシャプレートは第1および第2のクラッチ
スプリングという2つのスプリングから弾性力を受ける
ので、クラッチディスクとクラッチプレートとを強固に
圧着させることができる。
【0016】一方、クラッチをつないだ状態からクラッ
チを切る場合、駆動軸から従動軸に伝達する駆動力を低
下させ、圧着力保持手段の対抗力を圧着力解除手段の解
除力よりも弱くする。このとき、圧着力解除手段の解除
力が第2のクラッチスプリングの弾性力よりも強くなる
と、圧着力解除手段は第2のクラッチスプリングをプレ
ッシャプレートから引き離す。したがって、第2のクラ
ッチスプリングがプレッシャプレートを付勢することが
なく、プレッシャプレートに働く弾性力は第1のクラッ
チスプリングのみとなって低減する。この状態でプレッ
シャプレートを動かすには、第1のクラッチスプリング
の弾性に抗する力のみで良いので、軽くプッシュロッド
を操作するだけで足りる。つまりクラッチレバーを軽く
引くだけでクラッチを切ることができる。
【0017】また請求項2の発明の圧着力解除手段にお
いては、解除力を発揮する解除スプリングがリング状で
あり、且つクラッチディスクおよびクラッチプレートと
同軸上に配置してあるので、圧着力解除手段をコンパク
トなスペースに収めることができる。
【0018】さらに請求項3の発明の圧着力保持手段で
は、係合部材がエンジンから出力される駆動力を受けて
回転し、回転力が被係合部材に伝わるとき、突出部がテ
ーパ部を押す押圧力となる。この押圧力は回転力を圧着
力解除手段の解除力に対する対抗力に他ならない。エン
ジンから出力される駆動力が大きくなると係合部材の回
転力が大きくなり、回転力に比例して対抗力も増大す
る。そしてエンジンからの駆動力が所定以上に達する
と、対抗力は圧着力解除手段の解除力に打ち勝つことが
できる。このように請求項3の発明によれば、エンジン
から出力される駆動力を直接利用して、圧着力解除手段
の解除力に打ち勝つ対抗力を確保することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、図1〜図5を参
照して具体的に説明する。本実施例は、自動二輪車に採
用される多板摩擦クラッチである。なお、図6および図
7にて示した従来例と同一の部材に関しては同一符号を
付し、説明は省略する。
【0020】[本実施例の構成]本実施例の多板摩擦ク
ラッチは、大別して操作力伝達系とクラッチ本体から構
成される。
【0021】(操作力伝達系)このうち操作力伝達系
は、プッシュアーム5およびプッシュロッド6から成
る。プッシュアーム5は自動二輪車の本体側に支軸5a
を中心にして回動自在に配置されており、左端部にはク
ラッチレバーに繋がるワイヤ(図示せず)が結ばれてい
る。また支軸5aに近接してプッシュアームスプリング
5bが掛けられており、このスプリング5bの付勢力に
よりプッシュアーム5は図中時計回転方向に付勢されて
いる。さらにプッシュアーム5の右端部には押圧ピン5
cが設けられており、ここにプッシュロッド6が当接さ
れている。プッシュロッド6は、トランスミッション側
に連結されるシャフト17内に収納されており、軸方向
に移動可能に設けられている。前記シャフト17はクラ
ッチ本体に対して回動自在に設けられているのに対し、
プッシュロッド6は回動しないように構成されている。
なお本実施例では、後述するハウジング7がエンジン側
に連結される駆動軸となり、前記シャフト17がトラン
スミッション側に連結される従動軸となる。
【0022】(クラッチ本体の概要)続いて、クラッチ
本体を構成する各部材について順次詳細に説明する。ま
ずハウジング7は、他の部材を収納するように構成され
ているが、その際、次に挙げる部材が外側(図1〜3中
の右側)から順に同軸上に配置されている。すなわちプ
レッシャプレート8、クラッチボス9、係合部材15、
押圧部材14、被係合部材16および解除スプリング1
3の順で配置されている。また係合部材15と前記シャ
フト17との間には中間部材20が配置されている。こ
れらの部材のうち解除スプリング13および係合部材1
5を除く部材は、スプライン構造をとることにより軸方
向にのみ移動するようになっている。またハウジング7
の内周部にはクラッチディスク3がスプライン構造をと
って取付けられている。さらにハウジング7の外周部に
はエンジンのクランク軸に連結されたギヤ10が形成さ
れている。
【0023】プレッシャプレート8は略円盤状の部材か
ら構成されていて、プッシュロッド6の右端部に固定さ
れており、プッシュロッド6の移動に伴って軸方向(図
1〜3中の左右方向)に移動するように構成されてい
る。このときのプレッシャプレート8の移動ストローク
はL(図3に図示)となる。また、プレッシャプレート
8の外周縁部において、内側(図1〜3中の左側)の面
はクラッチプレート3に当接するようになっている。さ
らに、プレッシャプレート8の中央付近には開口部8
a,8bが形成されていて、このうち開口部8aにはク
ラッチボス9の一部が挿通されている。また、クラッチ
ボス9は、その外周部にスプラインが形成されていて、
このスプラインにクラッチプレート4のスプライン4a
が噛合うようになっている。
【0024】(第1および第2のクラッチスプリング)
ところで、プレッシャプレート8上にはドーナツ状のス
プリングシート部材19が配置されている。スプリング
シート部材19は3本のボルトによりクラッチボス9に
固定されていて、第1および第2のクラッチスプリング
11,12の座面を形成する部材である。
【0025】第1のクラッチスプリング11は、プレッ
シャプレート8の円周方向に対して120度の間隔で3
本配置されている。このとき、第1のクラッチスプリン
グ11は、スプリングシート部材19を固定するボルト
と同軸に配置される。また、第2のクラッチスプリング
12は、プレッシャプレート8の円周方向に対して12
0度の間隔で3本、前記第1のクラッチスプリング11
同士の間に位置するように配置されている。これら第2
のクラッチスプリング12は前記スプリングシート部材
19により図中右方から押えられている。また、第2の
クラッチスプリング12の図中左端部には被押圧部材1
8が固定されている。被押圧部材18はプレッシャプレ
ート8の開口部8bに当接するよう配置されている。す
なわち第2のクラッチスプリング12はプレッシャプレ
ート8に対して接離可能に設けられている。これら第1
および第2のクラッチスプリング11,12はコイルス
プリングから構成されており、その弾性力はクラッチデ
ィスク3とクラッチプレート4とを圧着する方向に設定
されている。
【0026】(圧着力解除手段および圧着力保持手段)
さらに本実施例には、第2のクラッチスプリング12を
プレッシャプレート8から離すための圧着力解除手段
と、この圧着力解除手段に逆らって第2のクラッチスプ
リング12をプレッシャプレート8に当接させる圧着力
保持手段とが設けられる。このうち圧着力解除手段は、
第2のクラッチスプリング12の弾性力に打ち勝つ弾性
力を有する解除スプリング13と、この解除スプリング
13の弾性力を受ける押圧部材14とから構成される。
一方、圧着力保持手段は、エンジンから出力される駆動
力を受けて回転する係合部材15と、この係合部材15
に係合する被係合部材16とから構成される。以下、係
合部材15、被係合部材16、押圧部材14、解除スプ
リング13の順で説明する。
【0027】係合部材15は、クラッチボス9にリベッ
トなどによって固定され、中間部材20を介して前記シ
ャフト17の外周に装着されている。中間部材20はス
プライン構造をとってシャフト17に取付けられてい
る。また、係合部材15の内側面には内側方向(図1〜
3中の左方向)に突出して突出部15aが形成されてい
る。この突出部15aは、係合部材15の円周方向に対
して120度の間隔で3か所形成されている(図4参
照)。
【0028】被係合部材16は、前記突出部15aに対
向する位置にテーパ部16aが形成されている。このテ
ーパ部16aが、係合部材15が回転するとき突出部1
5aから内側方向に押圧力を受けるように構成されてい
る(図5参照)。また、被係合部材16は係合部材15
と同様、スプライン構造をとって前記シャフト17に取
付けられている。
【0029】押圧部材14は、係合部材15と被係合部
材16との間に挟まれており、内側の面に被係合部材1
6が当接されている。また、押圧部材14の右端部はプ
レッシャプレート8の開口部8bに挿通して被押圧部材
18を押圧するようになっている。さらに、押圧部材1
4はスプライン構造をとってクラッチボス9に取付けら
れている。この押圧部材14の移動ストロークはH(図
3に図示)となる。この移動ストロークHは前記プレッ
シャプレート8の移動ストロークLよりも大きく設定さ
れる(H>L)。
【0030】解除スプリング13は、テーパ部材16の
内側の面に当接されており、これを外側に付勢するよう
外周面が傾斜したリング状のスプリング、いわゆる皿バ
ネから構成されている。この解除スプリング13の外周
面が最も傾斜しているときの幅寸法はG(図3に図
示)、外周面が開いて解除スプリング13が最も平たく
なるときの幅寸法はg(図2に図示)となり、その差G
−gが解除スプリング13の動作ストロークとなる。こ
の動作ストロークG−gは押圧部材14の移動ストロー
クHよりも大きく設定されている(G−g>H)。
【0031】[本実施例の作用]上記のような構成を有
する本実施例の作用は次の通りである。まず、クラッチ
をつないだ状態について説明する。この状態では、第1
のクラッチスプリング11がプレッシャプレート8を付
勢しており、プレッシャプレート8はクラッチディスク
3とクラッチプレート4とを圧着させている。そのた
め、エンジンのクランク軸からの動力は、ギヤ10、ハ
ウジング7、クラッチディスク3、クラッチプレート
4、クラッチボス9、係合部材15、被係合部材16、
中間部材20およびシャフト17という順序でトランス
ミッション側へ伝わっていく。このとき、係合部材15
はエンジンから出力される駆動力を受けて回転するが、
この回転力は被係合部材16に伝わるとき、突出部15
aがテーパ部16aを押す押圧力に変わる。この押圧力
が、解除スプリング13の弾性力に逆らう対抗力とな
る。
【0032】エンジンから出力される駆動力が大きくな
ると係合部材15の回転力が大きくなり、回転力に比例
して対抗力も増大する。そしてエンジンからの駆動力が
所定以上に達すると、この対抗力は解除スプリング13
の弾性力に打ち勝つことができる。したがって被係合部
材16が解除スプリング13を押圧し、解除スプリング
13は平たくなる。そのため、被係合部材16および押
圧部材14に対して解除スプリング13から弾性力が働
くことはなく、被押圧部材18はプレッシャプレート8
に当接することになる。したがって、プレッシャプレー
ト8には第1および第2のクラッチスプリング11,1
2から弾性力がかかることになり、プレッシャプレート
8はクラッチディスク3とクラッチプレート4とを強い
力で圧着することができる(以上、図2参照)。
【0033】上記のクラッチをつないだ状態からクラッ
チを切る場合は、まずエンジンから出力される駆動力を
下げて、駆動軸から従動軸に伝達する駆動力を低下させ
る。これにより係合部材15の回転力は弱くなり、それ
に応じて突出部15aがテーパ部16aを押す押圧力
(抵抗力)は次第に低くなる。そして解除スプリング1
3の弾性力が前記押圧力(抵抗力)に打ち勝つと、解除
スプリング13は外周面を傾斜させて、被係合部材16
を介して押圧部材14を外側に押圧する。したがって、
押圧部材14は被押圧部材18を押し、第2のクラッチ
スプリング12はプレッシャプレート8から離れる。そ
の結果、プレッシャプレート8に対しては第1スプリン
グ11のみから弾性力がかかることになる(以上、図3
参照)。
【0034】このような状態になってから、クラッチレ
バーを操作してクラッチを切る。クラッチレバーを握る
と、ワイヤが引張られてプッシュアーム5は支軸5aを
中心に図中反時計回転方向に回転し、押圧ピン5cがプ
ッシュロッド6を押す。そのためプッシュロッド6は図
1〜3中、右方向に移動し、プレッシャプレート8もま
た右方向に移動する。このとき、プレッシャプレート8
には第1のクラッチスプリング11からの弾性力が加わ
っているだけなので、プレッシャプレート8を軽い力に
より移動させることができる(以上、図1参照)。すな
わちクラッチレバーを軽く握るだけでプレッシャプレー
ト8を移動させることができ、これによりクラッチディ
スク3とクラッチプレート4とを簡単に引き離すことが
できる。
【0035】以上述べたような本実施例の多板摩擦クラ
ッチによれば、クラッチを切るに際してエンジンから出
力される駆動力を低くすると、解除スプリング13によ
ってプレッシャプレート8への加圧力を下げる(第1の
クラッチスプリング11の弾性力のみにする)ことがで
きる。したがってクラッチを切るための操作荷重を軽減
することができ、優れた操作性を発揮できる。一方、ク
ラッチを接続した状態でエンジンからの駆動力が大きく
なると、解除スプリング13の弾性力を阻止し、プレッ
シャプレート8に対して十分な加圧力(第1,2のクラ
ッチスプリング11,12の弾性力)を確保することが
できる。したがってクラッチ接続時には駆動力の確実な
伝達が可能となる。
【0036】また、エンジンブレーキをかけた場合、エ
ンジンから出力される駆動力は当然低くなるので解除ス
プリング13の弾性力が働いてプレッシャプレート8に
対する加圧力は第1のクラッチスプリング11の弾性力
のみとなる。すなわち、プレッシャプレート8への加圧
力は弱くなっており、クラッチは滑り易い状態となる。
そのため、自動二輪車が高速で走行している際に急激な
シフトダウンを行って減速比が大きくなっても、クラッ
チが滑るので、後輪がロックするという不具合が発生す
ることがなく、高い安全性を確保することができる。
【0037】しかも、本実施例の圧着力解除手段は、解
除スプリング13がリング状であり、且つクラッチディ
スク3およびクラッチプレート4と同軸上に配置してあ
るので、圧着力解除手段をコンパクトなスペースに収め
ることができる。したがって、構成の簡略化を図りつつ
操作荷重の軽減化を実現することができる。
【0038】さらに本実施例においては、係合部材15
の回転力を押圧力(抵抗力)に変えるという構成をとる
ことにより、解除スプリング13の弾性力に打ち勝つ対
抗力を獲得する際に、エンジンから出力される駆動力を
直接利用することができる。したがって、解除スプリン
グ13の弾性力に逆らうための独立した駆動源を用いる
ことなく、クラッチをつなぐ動作を行うことができる。
【0039】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、各構成部材の形状および寸法、あるいは
クラッチスプリングの配置位置や設置本数などは適宜変
更可能である。例えば、解除スプリングの形状として
は、リング状ではなく、コイルスプリングであっても良
い。
【0040】また、押圧部材の寸法を長いものから短い
ものまで段階的に設定して、複数設けられた第2のクラ
ッチスプリングが順次プレッシャプレートに当接するよ
うにすれば、クラッチがつながった際にクラッチレバー
の操作力が急に重くなるといった不具合がなく、クラッ
チレバーの操作フィーリングを向上させることができ
る。
【0041】さらに、圧着力保持手段は、駆動軸から従
動軸に伝達される駆動力に比例して圧着力解除手段の解
除力に打ち勝つ対抗力を出すものであればよく、エンジ
ンの回転数を検出する検出手段と、この検出手段の検出
結果に基づいて対抗力を発揮する部材とを組合わせるな
ど適宜変更可能である。
【0042】また、前記実施例はプッシュロッドが軸の
中に入っているインナーロッドタイプのクラッチに適用
したものであるが、クラッチケースのカバーの外側から
プレッシャプレートを操作するタイプのクラッチにも使
用することができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明の
多板摩擦クラッチによれば、プレッシャプレートに対し
て接離可能に設けられた第2のクラッチスプリングと、
この第2のクラッチスプリングをプレッシャプレートか
ら離すように付勢された圧着力解除手段と、この圧着力
解除手段に逆らって第2のクラッチスプリングをプレッ
シャプレートに当接させる圧着力保持手段とを設け、駆
動軸から従動軸に伝達される駆動力に比例して圧着力保
持手段が圧着力解除手段の解除力に打ち勝つ対抗力を出
すことにより、クラッチを切る際には必要な操作荷重を
軽減することができ、これによりクラッチの操作性を高
めることができ、一方、クラッチ接続時には駆動力の確
実な伝達が可能となる。さらに、エンジンブレーキをか
けた場合に、急激なシフトダウンを行ってもプレッシャ
プレートへの加圧力も弱いためクラッチが滑るので後輪
がロックすることがなく、優れた安全性を確保できる。
【0044】また請求項2の発明によれば、リング状の
解除スプリングをクラッチディスクおよびクラッチプレ
ートと同軸上に配置して圧着力解除手段をコンパクトな
スペースに収めることにより、構成の簡略化を図りつつ
操作荷重の軽減化を実現することができた。
【0045】さらに請求項3の発明によれば、圧着力解
除手段の解除力に打ち勝つ対抗力を獲得する際に、エン
ジンから出力される駆動力を直接利用することにより、
独立した駆動源を用いることなくクラッチをつなぐ動作
を行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の側面断面図
【図2】本実施例の要部側面断面図(クラッチをつない
だ状態)
【図3】本実施例の要部側面断面図(クラッチを切った
状態)
【図4】図3のI−I矢視図
【図5】図4のII−II矢視図
【図6】従来の多板摩擦クラッチの斜視図
【図7】従来の多板摩擦クラッチの構造を説明する模式
図であり、(A)がクラッチをつないだ状態、(B)が
クラッチを切った状態を示す
【符号の説明】
3 クラッチディスク 4 クラッチプレート 5 プッシュアーム 6 プッシュロッド 7 ハウジング 8 プレッシャプレート 9 クラッチボス 10 ギヤ 11 第1のクラッチスプリング 12 第2のクラッチスプリング 13 解除スプリング 14 押圧部材 15 係合部材 16 被係合部材 17 シャフト 18 被押圧部材 19 スプリングシート部材 20 中間部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−71554(JP,A) 特開 昭63−186037(JP,A) 特開 昭62−165021(JP,A) 特開 昭62−110028(JP,A) 特開 昭54−91654(JP,A) 特開 昭57−37123(JP,A) 特開 昭61−149618(JP,A) 実開 平3−49430(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 11/00 - 23/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンからの駆動力により回転する駆
    動軸と、トランスミッション側に連結される従動軸と、
    前記駆動軸および前記従動軸の一方に取付けられるクラ
    ッチディスクと、前記駆動軸および前記従動軸の他方に
    取付けられ前記クラッチディスクに圧着可能に配設され
    たクラッチプレートと、前記クラッチディスクと前記ク
    ラッチプレートとを圧着させるためのプレッシャプレー
    トと、このプレッシャプレートに固定されクラッチレバ
    ーにより操作されるプッシュロッドとが設けられた多板
    摩擦クラッチにおいて、 前記プレッシャプレートに固定され前記クラッチディス
    クと前記クラッチプレートとを圧着させる方向に常に前
    記プレッシャプレートを付勢する第1のクラッチスプリ
    ングと、 前記プレッシャプレートに接離可能に配設され前記プレ
    ッシャプレートに当接するとき前記クラッチディスクと
    前記クラッチプレートとを圧着させる方向に前記プレッ
    シャプレートを付勢する第2のクラッチスプリングと、 この第2のクラッチスプリングを前記プレッシャプレー
    トから離すための圧着力解除手段と、 この圧着力解除手段に逆らって前記第2のクラッチスプ
    リングを前記プレッシャプレートに当接させる圧着力保
    持手段とが設けられており、 前記圧着力保持手段は、前記駆動軸から前記従動軸に伝
    達される駆動力に比例して前記圧着力解除手段の解除力
    に打ち勝つ対抗力を出すように構成されていることを特
    徴とする多板摩擦クラッチ。
  2. 【請求項2】 前記圧着力解除手段は、前記第2のクラ
    ッチスプリングの弾性力に打ち勝つ弾性力を有するリン
    グ状の解除スプリングと、該解除スプリングの弾性力を
    受けて前記プレッシャプレートから前記第2のクラッチ
    スプリングを離すように該第2のクラッチスプリングを
    押圧する押圧部材とから構成され、 前記解除スプリングが前記クラッチディスクおよび前記
    クラッチプレートと同軸上に配置されることを特徴とす
    る請求項1記載の多板摩擦クラッチ。
  3. 【請求項3】 前記圧着力保持手段は、エンジンから出
    力される駆動力を受けて回転する係合部材と、この係合
    部材に係合し前記係合部材の回転力を前記対抗力に変換
    する被係合部材とから構成され、 前記係合部材および被係合部材のうち、一方には突出部
    が形成され、他方にはテーパ部が形成されることを特徴
    とする請求項1または2記載の多板摩擦クラッチ。
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