JPH0144808Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は摩擦クラツチに関し、詳しくは自動二
輪車等に用いられる多板式摩擦クラツチの改良に
関する。

従来、自動二輪車等の小型車両には、多板式の
摩擦クラツチが数多く用いられている。

第１図は、上述した従来の多板式摩擦クラツチ
１を示す断面図で、摩擦板である複数枚のクラツ
チドライブプレート（以下単にドライブプレート
と言う）２は、一端部にクラツチプライマーリー
ドリブンギア（以下単にドリブンギアと言う）３
を配設したクラツチハウジング４内に係合収容さ
れている。またこのドライブプレート２と摩擦接
触してクランクシヤフト５の動力をカウンターシ
ヤフト６に伝達するクラツチドリブンプレート
（以下単にドリブンプレートと言う）７は、前記
カウンターシヤフト６にスプラインによつて結合
したクラツチスリーブハブ８に前記ドライブプレ
ート２と交互に相隣接するよう係合支持され、こ
れらドライブプレート２とドリブンプレート７
は、クラツチスプリング１０によつて常時互に圧
接されている。

したがつて、上述した従来の多板式摩擦クラツ
チ１の構成によると、クランクシヤフト５の駆動
力は該クランクシヤフト５に結合したクランクギ
ア９に常時噛合するドリブンギア３を介してクラ
ツチハウジング４に伝達され、さらに前記ドライ
ブプレート２、ドリブンプレート７、クラツチス
リーブハブ８を介しカウンターシヤフト６に伝達
される。なお、クラツチ１の切断は、クラツチス
プリング１０の弾発力に抗してクラツチプルピー
ス１２を矢印Ａ方向に移動させ、前記ドライブプ
レート２とドリブンプレート７との圧着を解除し
て行なう。

ところで、上述した従来の摩擦クラツチ１で
は、ドライブプレート２を支持収容するために、
クラツチハウジング４が必要で、このためクラツ
チ機構そのものが幅Ｗ方向（第１図）に張り出
し、特に、小型軽量化が必要とされる自動二輪車
においては、エンジンのクランクケースがクラツ
チ機構によつて大型化する欠点があつた。

なお、従来では特開昭52−4955号公報、あるい
は特開昭54−90438号公報に記載されているよう
に、クラツチプライマリードリブンギヤに相当す
る部分の外周縁の幅を広く形成して、その外周縁
の巾にクラツチの主要構成要素であるクラツチド
ライブ及びドリブンプレートと、これらを把持す
る押圧板と受圧板に相当する部材を収容し、これ
により独立部品としてのクラツチハウジングの使
用を排除するようにしたものがある。

しかしながら、上述した各公報に記載されたも
のにおいても、クラツチドライブ及びドリブンプ
レートを把持する押圧板と受圧板とを係合させる
にあたり頭部が突出した長さの長いボルトに相当
する部材を使用し、その突出した部分にクラツチ
スプリングに相当するバネを介在させる構成なの
で、このボルトに相当する部材の突出した部分に
よつてクラツチの幅を狭めることは出来ず、クラ
ツチの大型化は避けられなかつた。

この考案は上述した従来の摩擦クラツチにおけ
る欠点に鑑み、幅が狭く小型でしかも軽量な摩擦
クラツチを提供することを目的とするもので、そ
の特徴とするところは、クラツチプライマリード
リブンギヤのリム部内周面にクラツチドライブ及
びドリブンプレートと、これらを把持する押圧板
を収容支持させるとともに、押圧板と受圧板とを
係合させるため、この押圧板の側面に受圧板に固
着されたリベツトの頭部が係合する孔を穿設し、
さらに側方から押圧板に圧接する皿バネを配設た
もので、これによりクラツチハウジングの使用を
排除するとともに、押圧板と受圧板とを係合させ
るリベツトの長さを短く設定し得るようにしたも
のである。

以下、本考案に係わる摩擦クラツチの一実施例
を詳述する。

第２図は本考案に係わる摩擦クラツチ２０を示
す断面図で、第１図と同一部分を同一符号で示
す。

第２図に示すように、クランクシヤフト５に結
合したクランクギア９には第１図に示したクラツ
チプライマリードリブンギア３に相当するギア２
１が噛合しており、このギア２１はカウンターシ
ヤフト６にスプラインで結合したボス部２２の周
面２２ａに遊転支持されている。また、このギア
２１一側面のリム部２１ａ内周縁２１a′には、ス
プライン結合等によつて、クラツチドライブプレ
ート２３がカウンターシヤフト６の軸方向に摺動
自在に収容されている。

一方前記ボス部２２の一側面には受圧板２４が
配設され、この受圧板２４はリベツト２５によつ
て前記ボス部２２に固定されている。また、前記
ボス部２２の他側側面に形成されたスリーブ２２
ｂの外周面には押圧板２６が遊嵌され、かつ、こ
の押圧板２６に穿設された孔２６ｂに前記リベツ
ト２５の頭部２５ａを係合させ、押圧板２６を前
記ボス部２２に対して回転方向に一体かつ軸方向
に接離可能に支持させている。

また、この押圧板２６は皿バネ２７によつて、
常時受圧板２４側に押圧されている。この押圧板
２６の外周縁には、クラツチドリブンプレート２
８が、配設されている。このクラツチドリブンプ
レート２８は、その内周縁に沿つて、所定ピツチ
でＬ字形状に折り曲げた舌片２８ａを有してお
り、この舌片２８ａを押圧板２６に形成した孔２
６ａ内に係合させて押圧板２６に対して回転方向
に一体かつ軸方向に接離可能に支持されている。
また前記クラツチドリブンプレート２８の外周縁
は前記クラツチドライブプレート２３とギア２１
のアーム２１ｂ間に位置している。

なお、前記押圧板２６、受圧板２４のギア２１
側面、および、クラツチドライブプレート２３、
クラツチドリブンプレート２８の両面には、それ
ぞれ、図示せぬ摩擦係数の大きな物質（フエーシ
ング）が貼着されている。

なお、第２図で符号２９は皿バネ２７の弾発力
に抗して矢印Ｂ方向に押圧板２６を押込み、該押
圧板２６によるクラツチドライブプレート２３、
クラツチドリブンプレート２８、及びギア２１の
圧着を解除するクラツチプツシユピースで、該ク
ラツチプツシユピース２９は、その中心突部２９
ａが前記カウンターシヤフト６の中心部軸方向に
形成した嵌挿孔６ａ内に案内支承され、しかも該
嵌挿孔６ａ内に収容したコイルスプリング３０の
弾発力によつて常時矢印Ｃ方向に押圧位置決めさ
れている。また符号３１は皿バネ２７の位置決め
用止め輪であり、符号３２は前記ボス部２２を前
記カウンターシヤフト６に位置決めする止め輪で
ある。

したがつて、上記構成によると、通常（クラツ
チ２０の接続時）皿バネ２７によりクラツチドラ
イブプレート２３、クラツチドリブンプレート２
８、およびギア２１は前記押圧板２６と受圧板２
４間に圧着されており、クランクギア９を介して
ギア２１に伝達されているクランクシヤフト５の
駆動力は、クラツチドライブ及びドリブンプレー
ト２３，２８、押圧板２６、及びリベツト２５の
頭部２５ａをそれぞれ介してボス２２に伝達さ
れ、さらにカウンターシヤフト６に伝達される。

また、クラツチ２０の切断は、押圧板２６を、
押圧する皿バネ２７の弾発力に抗してクラツチプ
ツシユピース２９を矢印Ｂ方向に押圧すれば良
い。

なお、本考案は上記実施例に限定されることな
く、クラツチ２０の伝達トルクを増大させるべ
く、ギア２１と、押圧板２４との接触面積を増大
させるため、第２図と同一部分を同一符号で示し
た第３図のように、ギア２１のアーム部２１ｂと
受圧板２４との間に、クラツチドライブプレート
３３とクラツチドリブンプレート３４とを配設す
るようにしてもよい。

なお、前記クラツチドライブプレート３３とク
ラツチドリブンプレート３４とを支持収容するに
あたつて、クラツチドライブプレート３３は、そ
の内周縁に、所定ピツチでＬ字形状に折れ曲がつ
た舌片３３ａを形成し、この舌片３３ａを、相対
応する位置のギア２１のアーム部２１ｂに形成し
た孔２１ｃ内に挿通し、カウンターシヤフト６の
軸方向に対し摺動自在に係合支持されている。ま
た、クラツチドリブンプレート３４はその外周縁
に所定ピツチでＬ字形状に折れ曲がつた舌片３４
ａを形成し、この舌片３４ａを相対応する位置の
受圧板２４に形成した孔２４ａ内に挿通し、カウ
ンターシヤフト６の軸方向に摺動自在に係合支持
されている。

なお、前記クラツチドライブプレート３３とク
ラツチドリブンプレート３４の両面にも、言うま
でもなく図示せぬ摩擦係数の大きな物質（フエー
シング）が貼着されている。

以上説明したように、この考案ではクラツチプ
ライマリードリブンギアのリム部内周面にクラツ
チドライブ及びドリブンプレートと、これらを把
持する押圧板を収容支持させるようにしたので、
クラツチハウジングの使用を排除することが出
来、さらに押圧板の側面に穿設された孔に受圧板
に固着されたリベツトの頭部を係合させ、押圧板
をボス部に対して回転方向に一体かつ軸方向に接
離可能に支持させ、さらに押圧板の側方から押圧
板に常時圧接する皿バネを配設したので、従来の
如く受圧板と押圧板とを係合させるボルトに相当
するリベツトにクラツチスプリングを介在させる
必要はなくなるので受圧板と押圧板とを係合させ
るリベツトの長さを極めて短く設定することが出
来、このためクラツチ機構を幅方向に狭くコンパ
クトに、しかも軽量とすることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の摩擦クラツチを示す断面図、第
２図は本考案に係る摩擦クラツチを示す断面図、
第３図は本考案に係る摩擦クラツチの他の実施例
を示す断面図である。 ６……カウンターシヤフト、２１……ギア、２
２……ボス部、２３……クラツチドライブプレー
ト、２４……受圧板、２５……リベツト、２５ａ
……頭部、２６……押圧板、２６ｂ……孔、２８
……クラツチドリブンプレート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 軸６に嵌挿し、該軸に対し回転不可能かつ軸方
   向に対し移動不可能に支承されたボス部２２を一
   側面に備えた受圧板２４と、 側面に孔２６ｂが穿設され、かつ前記ボス部２
   ２を挾むようにして前記軸６に嵌挿し、該軸６の
   軸方向に摺動自在に配設された押圧板２６と、 前記受圧板２４と前記ボス部２２に嵌挿して両
   者を共締固定し、かつ頭部２５ａが前記押圧板２
   ６に穿設された前記孔２６ｂに係合するリベツト
   ２５と、 前記ボス部２２の周面に遊転支持されたギヤ２
   １と、 該ギヤ２１の歯幅内に形成されたリム部２１ａ
   内周縁２１a′に、該ギヤに対し回転不可能かつ前
   記軸方向に対し摺動自在に配設されたクラツチド
   ライブプレート２３、及び該クラツチドライブプ
   レート２３と前記ギヤ２１のアーム部２１ｂとの
   間に配設されるとともに、前記押圧板２６に係合
   し、かつ前記軸６の軸方向に摺動自在に配設され
   たクラツチドリブンプレート２８と、 前記軸６に嵌挿し側方から前記押圧板２６に常
   時圧接する皿バネ２７とを具え、 前記皿バネにより押圧板を作動させて、該押圧
   板と受圧板との間に前記クラツチドライブプレー
   ト及びドリブンプレートとギヤとを圧着し、ギヤ
   の駆動力を前記クラツチドライブプレート及びド
   リブンプレートと、前記押圧板に係合し、かつ前
   記受圧板に固着された前記リベツトの頭部を介し
   軸に伝達させるようにしたことを特徴とする摩擦
   クラツチ。