JP3105578B2 - 新規なモノクローナル抗体、それを産生する新規なハイブリドーマ株およびその製法 - Google Patents

新規なモノクローナル抗体、それを産生する新規なハイブリドーマ株およびその製法

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JP3105578B2 JP03185189A JP18518991A JP3105578B2 JP 3105578 B2 JP3105578 B2 JP 3105578B2 JP 03185189 A JP03185189 A JP 03185189A JP 18518991 A JP18518991 A JP 18518991A JP 3105578 B2 JP3105578 B2 JP 3105578B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、メタンフェタミン(以下MAと
略称することがある)とN,N′−ジベンジルエチレン
ジアミン(以下DBEDと略称することがある)の両者
に対して、特異的に認識するモノクローナル抗体および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】覚醒剤に関連する事件の増加に伴い、メタ
ンフェタミンの使用者を簡便、迅速かつ正確に認知する
必要性が高まり、簡便、高感度、高選択的にメタンフェ
タミンを測定する方法が望まれている。特開平1−96
198号公報には、動物に免疫して得られた細胞株を培
養することによって、覚醒剤であるメタンフェタミン
(MA)に対して非常に高い特異的な反応性を示すモノ
クローナル抗体を得ることが提案されている。そして、
現在国外ではMAだけを特異的に認識するモノクローナ
ル抗体を用いた測定システムには、ELISA法を基本
にした競合法によるものが商品化されている。しかし、
この測定システム法では製品の中にMAそのものを使用
する必要があり、日本の覚醒剤取締り法により、これら
の製品は製造、販売、使用が認められていないのが実情
である。
【0003】
【目的】本発明の目的は、MAに対するモノクローナル
抗体を誘導する時にMA以外に日本の法律に抵触しない
特定物質を選択特異的に認識するモノクローナル抗体を
作り、測定キットにはこの抗体と前記特定物質とを用い
ることにより、上記問題点を解決するMAの検出用モノ
クローナル抗体とその製造方法を提供する点にある。
【0004】
【構成】本発明の第1は、メタンフェタミンおよびN,
N′−ジベンジルエチレンジアミンの両者に対してのみ
特異的な免疫反応を示すことを特徴とするメタンフェタ
ミン覚醒剤検出用モノクローナル抗体に関する。本発明
の第2は、前記モノクローナル抗体を産生する能力を有
することを特徴とするハイブリドーマ株に関する。本発
明の第3は、前記ハイブリドーマ株を培養することを特
徴とするモノクローナル抗体の製法に関する。本発明の
第4は、メタンフェタミンの免疫用抗原を哺乳動物(人
を除く)に接種し、抗メタンフェタミン抗体産生能力を
もつリンパ細胞を得、このリンパ細胞とミエローマ細胞
とを細胞融合させ、得られた融合細胞を培養し、そのな
かからメタンフェタミンおよびN,N′−ジベンジルエ
チレンジアミンの両者に対して特異的な免疫反応を示す
モノクローナル抗体を産生する能力をもつ請求項2記載
のハイブリドーマ株を選び出すことを特徴とする請求項
2記載のハイブリドーマ株の製法に関する。
【0005】〔モノクローナル抗体の製造プロセス〕 A.免疫用抗原の調製 メタンフェタミン(MA)をアミノブチル化またはカル
ボキシメチル化してアミノブチル化またはカルボキシメ
チル化メタンフェタミンをつくり、これに任意の支持タ
ンパク質を結合させて複合体を得、これを免疫用抗原と
した。前記支持タンパク質としては、ウシ血清アルブミ
ン、卵白アルブミン、陣笠貝ヘモシアニン、サイログロ
ブリン、γ−グロブリン等を挙げることができる。ま
た、アミノブチル化もしくはカルボキシメチル化メタン
フェタミンと支持タンパク質を結合させる架橋剤として
は、グルタールアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジメチルホル
ムアミド、マレイミドベンゾイルオキシサクシンイミド
等が用いられる。 B.リンパ細胞の調製 前記免疫用抗原を哺乳動物(例えば、マウス、ラット
等)に1週間おきに3〜5回投与し、抗原に対する抗体
が充分生成しているのを確認後、その動物の血液リンパ
節、脾臓等からリンパ細胞を得る。この時、免疫賦活剤
としてアジュバンド(ミョウバン、結核死菌、核酸等を
含む)を抗原物質と共にエマルジョンとして動物に投与
することが好ましい。抗体の生成を確認する手段として
は、免疫した動物から静脈血を採取し、後述するII.
(3)のハイブリドーマの選択の項にあるELISA法
を用いることにより判定する手段があげられる。 C.細胞融合とハイブリドーマ株の選択 細胞融合に用いたミエローマ細胞としては、例えばマウ
ス由来のP3−X63Ag8−U1(P3−U1)、S
P2/0−Ag14(SP−2)、P3−NS1/1−
Ag4.1(NS−1)、P3−X63−Ag8.65
3(653)、P3−X63−Ag8(X63)、MP
C−11、ラット由来の210、RCY3、AG1−2
−3(Y3)、ヒト由来のSKO−007、GH150
06TG−A12などを挙げることができる。細胞融合
は、前述したような免疫された動物のリンパ球とミエロ
ーマ細胞を約2〜10:1になるように混合し、これを
遠心分離してリンパ球とミエローマ細胞の混合沈殿物を
得、これにポリエチレングリコール(PEG)またはセ
ンダイウィルス(HVJ)を含む細胞培養用培地(RP
MI1640、MEM、DMEM等)を加え、懸濁する
ことにより行うことができるが、操作上の点から、30
%〜60%のPEG(分子量1000〜8000)を用
いることが好ましい。ハイブリドーマ株の選択は、融合
後の細胞懸濁液を遠心して上清を除き、これにヒポキサ
ンチン、アミノプテリン、チミジン(HAT)と10%
〜20%のウシ胎児血清(FCS)を含む細胞培養用培
地に再懸濁して、この懸濁液を培養用プレートに分注す
ることにより行うことができる。この操作により選択さ
れたハイブリドーマ細胞をさらにヒポキサンチン、チミ
ジン(HT)と10%〜20%のウシ胎児血清(FC
S)を含む細胞培養用培地で培養し、最終的には10%
〜20%のウシ胎児血清(FCS)を含む細胞培養用培
地で培養する。この間、増殖したハイブリドーマ細胞は
培地上清中に抗体を産生するため、ELISA(酵素免
疫測定)法、RIA(ラジオアイソトープ免疫測定)
法、プラーク測定法、凝集反応法等を用いて目的の抗体
の有無を調べることができるが、ELISA法を用いる
ことが望ましい。このELISA法は以下のようにして
行なうことができる。A.で調製した免疫用抗原をEL
ISAプレートの各ウェルに固定化して、次にブロッキ
ング剤としてウシ血清アルブミン(BSA)、卵白アル
ブミン(OVA)、陣笠貝ヘモシアニン(KLH)、免
疫グロブリン等の生体高分子タンパク質を各ウェルに固
定化する。これは次の操作中、ハイブリドーマ細胞の産
生した抗体がウェルに非特異的に吸着するのを防ぐため
である。一定時間静置した後、上清液を捨て洗浄液(リ
ン酸緩衝液と生理食塩水溶液の混合液、界面活性剤を含
む場合もある)で各ウェルを洗浄する。これに、ハイブ
リドーマ細胞培養上清液を添加し一定時間静置する。同
様に洗浄液で各ウェルを洗浄し、次に酵素標識抗体、例
えばマウスを用いた場合には抗マウスIgG抗体にアル
カリフォスファターゼや西洋ワサビペルオキシダーゼ、
βガラクトシダーゼ等の酵素が結合したものを各ウェル
に添加し、一定時間静置する。洗浄液で各ウェルを洗浄
し、次に、用いた酵素に各々対応した基質溶液を添加し
反応させる。培養上清液中に目的とする抗体が存在して
いた場合、酵素反応により生じた基質の色の変化を、肉
眼かもしくはプレートリーダーにより確認することがで
きる。このようにして、抗体を産生しているハイブリド
ーマ細胞を得ることができる。 D.ハイブリドーマ細胞のクローニング C.で確認されたウェル中には、遺伝的に異なるハイブ
リドーマ細胞が混在している可能性があるため、クロー
ニング操作により単一な遺伝子からなるハイブリドーマ
細胞群を得る必要がある。この方法には限界希釈法、シ
ングルセルマニュピュレーション法、軟寒天上のコロニ
ーを一つずつ拾い上げる方法、FACS法(Fluorecent
Activated Cell Sorter)が挙げられるが、特別な装置
を使わない点で、限界希釈法を用いることが望ましい。
この限界希釈法は以下のようにして行なうことができ
る。上記ハイブリドーマ細胞を200個/ml、50個
/ml、10個/mlとなるように0〜20%FCSを
含む細胞培養用培地(RPMI1640、MEM、DM
EM等)で調製し、各々の調製液を96ウェルプレート
上の3、45、48ウェルに0.1mlずつ分注する。
このプレートをCO2インキュベータ中で培養し、一つ
のコロニーが一つのハイブリドーマ細胞由来であること
が確認されるようなウェルを選択する。これらのウェル
の上清液中に存在するモノクローナル抗体がMAを認識
するかどうかを、C.のELISA法により再検討す
る。このようにして、単一な遺伝子からなるハイブリド
ーマ細胞群が得られ、この細胞から産生された抗体はモ
ノクローナル抗体であるといえる。 E.モノクローナル抗体の調製 MAに対するモノクローナル抗体の調製には、D.で得
たハイブリドーマ細胞をフラスコ内、もしくは腹腔内で
培養することにより行なうことができる。ハイブリドー
マ細胞のフラスコ内での培養は、0〜20%のFCSを
含む細胞培養用培地(RPMI1640、MEM、DM
EM等)を用いて行なう。この時、ハイブリドーマ細胞
を最大限増殖させ、その後遠心分離を行えば、分泌され
たモノクローナル抗体が上清中に得られる。ハイブリド
ーマ細胞の腹腔内での培養は、1〜10×106個の細
胞を、プリスタン等の鉱物油を投与した動物の腹腔内に
注入する。この時用いる動物種は、ハイブリドーマ細胞
の作成に用いたミエローマ細胞が増殖し易いように、由
来となっているミエローマ細胞と同種、同系の動物を用
いることが望ましい。例えばマウスを用いた場合、この
操作により1〜2週間後から腹腔内にハイブリドーマ細
胞の増殖が認められ、それにともない腹腔内に腹水が蓄
積する。目的のモノクローナル抗体は腹水中に存在して
いるため腹腔より腹水を回収し、さらに、塩析、透析、
イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマト
グラフィー等の操作によりモノクローナル抗体を分離精
製することができる。
【0006】
【実施例】以下に、本発明の実施例を具体的に説明す
る。尚、これらの実施例は本発明を例示するためのもの
であって、本発明の範囲を限定するものではない。 実施例1 I.免疫用抗原の調製 1.アミノブチル化メタンフェタミンの調製 メタンフェタミン(MA)を適当なタンパク質に結合さ
せるために、例えばChengらの方法〔FEBS LETTERS 36,3
39(1973)〕に準じ、MAにアミノ基の導入を行なっ
た。400mgのメタンフェタミン(MA)を40ml
の脱水したエタノールに溶解し、2.272gのN−
(4−ブロモブチル)フタルイミドと852mgの炭酸
ナトリウムを添加して4日間還流した。次に0.5ml
の85%含水ヒドラジンを添加して2日間撹拌した。反
応液に1Nの塩酸を添加し酸性にした後、生じた沈殿物
を濾過により除いた。濾液を50mlのクロロホルムを
用いて3回抽出し、さらに水層を1Nの水酸化ナトリウ
ムを用いてpHを10に調製後、50mlのクロロホル
ムを用いて4回抽出した。クロロホルム層をあわせ、硫
酸マグネシウムで脱水し、クロロホルムを減圧留去し
た。このようにして、1.27gのN−(4−アミノブ
チル)メタンフェタミンを得た。
【化1】 2.カルボキシメチル化メタンフェタミンの調製 MAを適当なタンパク質に結合させるために、例えばIn
ayamaらの方法〔Chem.Pharm. Bull 28,2779(1980)〕に
準じ、MAにカルボキシル基の導入を行なった。以下の
反応は全て室温で行なった。600mgのメタンフェタ
ミン、852mgの炭酸ナトリウム、1.5mlのエチ
ルブロモ酢酸を40mlのエタノール中に溶解し、窒素
ガス充填下で5日間還流した。反応終了後、濾過により
沈殿物を除き、濾液を減圧濃縮した。次に、30mlの
5%の水酸化カリウム−メタノール溶液を添加し、窒素
ガス充填下で2日間撹拌した。反応終了後、反応液を2
Nの塩酸で酸性にし、約1mlにまで減圧濃縮した。こ
れに5mlの飽和塩化ナトリウム水溶液を添加し、25
mlのクロロホルムで5回抽出した。このクロロホルム
層を硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮した。このよ
うにして691.1mgのN−カルボキシメチルメタン
フェタミンを得た。
【化2】 3.免疫用抗原もしくは酵素免疫測定法(以下ELIS
Aと略)に用いた抗原の調製は、上記のアミノブチル
化、もしくはカルボキシメチル化メタンフェタミンを用
いて行った。 25mgのN−(4−アミノブチル)メタンフェタミン
を1mlのPBS(10mM−リン酸緩衝液、150m
M−塩化ナトリウム、pH7.2)に溶解後、1Nの塩
酸を用いてpHを6.5〜7.0に調製した。一方、5
0mgのBSAを1mlのPBSに溶解後、撹拌しなが
ら上記溶液に滴下した。これに、2〜5μlの25%グ
ルタールアルデビトPBS溶液を添加し、室温で90分
間撹拌した。次に全溶液を4℃、24時間、PBSに対
して透析した。これにより70mgのN−(4−アミノ
ブチル)メタンフェタミン−ウシ血清アルブミン−グル
タールアルデヒド複合体(MA−AB−BSA−GA)
が得られた。または、25mgのKLHを1mlの蒸留
水に溶解し、0.5mlのジメチルホルムアミドに溶か
した15mgのN−(4−アミノブチル)メタンフェタ
ミンを滴下し、撹拌した。これに1mlの蒸留水に溶か
した500mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミ
ノプロピル)カルボジイミド(EDC)を添加し、室温
で6時間撹拌した。全反応液を4℃、2日間、蒸留水に
対して透析してEDCを除き、34mgのN−(4−ア
ミノブチル)メタンフェタミン−陣笠貝ヘモシアニン
(MA−AB−KLH−EDC)を得た。また、同様の
操作で、KLHの代わりに卵白アルブミン(OVA)や
BSAを用いてMA−AB−OVA−EDC、MA−A
B−BSA−EDCをそれぞれ得た。更に、N−(4−
アミノブチル)メタンフェタミンの代わりにN−カルボ
キシメチルメタンフェタミンとBSA、KLHを用い
て、MA−CM−BSA−EDC、MA−CM−KLH
−EDCをそれぞれ得た。 II.MAに対するモノクローナル抗体を産生するハイブ
リドーマ株の作製 (1)マウスへの抗原の投与と脾臓細胞の調製 I.で調製したメタンフェタミンと支持タンパク質との
複合体を、4匹のマウスに投与した。例えば、0.1m
gのMA−CM−KLH−GAを0.1mlのPBSに
溶かし0.1mlのフロイント完全アジュバンドとよく
混合し、この乳化混合液0.2mlをBALB/c系、
♀、7週齢のマウス腹腔内に投与した。投与後の各々の
マウスから無菌的に脾臓を摘出し、RPMI1640組
織培養用培地中で洗浄し、余分な脂肪組織を除いた。次
に、新しいRPMI1640培地に移してハサミで細断
後、ゴム栓を用いて脾臓内のリンパ細胞を押しだした。
浮遊しているリンパ細胞を遠心し(1,000rpm、
5分間、室温)集め、RPMI1640培地で再懸濁
し、次の細胞融合に用いた。この操作により、マウス一
匹から約1×108株のリンパ細胞が得られた。 (2)細胞融合 約4×107個の対数増殖期にあるミエローマ細胞(6
53株)と(1)で得られた約1×108個リンパ細胞
をRPMI1640培地中で混合し、遠心後(1,00
0rpm、5分間、室温)上清液を除いた。沈降したミ
エローマ細胞とリンパ細胞に、1mlの50%ポリエチ
レングリコール(BoehringerMannhei
m社)−RPMI1640培地を1ml容ピペットを用
いて、30秒間徐々に加えながら激しく振とうし混合し
た。次に、1mlのRPMI1640培地を1分間かけ
て添加しながら激しく振とうし、更に、8mlのRPM
I1640培地を3分間かけて添加し、遠心後、上清液
を除いた。30mlのHAT選択培地(1×10-4Mヒ
ポキサンチン、4×10-7Mアミノプテリン、1.6×
10-5Mチミジン、20%ウシ胎児血清を含むRPMI
1640培地)を添加し、細胞をよく懸濁した後、96
ウェルの培養プレート3枚に分注した。すなわち、1ウ
ェルあたり約4.7×105個の細胞を分注し、CO2
ンキュベータ(5%CO2、95%空気、37℃、湿度
100%)を用いて培養した。 (3)ハイブリドーマの選択 各ウェルに細胞が増殖しているかどうかを肉眼にて確認
し、更に、このウェルの上清液中にメタンフェタミンを
認識する抗体が存在しているかどうかを、次に示すEL
ISA法を用いて検討した。96ウェルのELISA用
プレート(ポリスチレン製、Immulon Dyna
tech社)に、(I)で調製した0.1mgのMA−
AB−BSA−GAを10mlの50mM炭酸緩衡液
(pH9.6)に溶解させ、各ウェルに0.1mlずつ
分注し、4℃で一晩静置した。すなわち、1ウェルあた
り1μgのMA−AB−BSA−GAが存在しているこ
とになり、この操作によりウェルの内壁に吸着する。次
に、このプレートの各ウェルを洗浄用PBS(pH7.
2、0.05%Tween20を含む)を用いて4回洗
浄し、未吸着のMA−AB−BSA−GAを除いた。更
に、各ウェルに0.5%BSAを含むPBSを0.1m
lずつ分注し、37℃で1時間静置した。各ウェルを洗
浄用PBSで4回洗浄し、細胞の増殖が確認されたウェ
ルの上清液を0.1ml添加した。37℃、2時間静置
した後、各ウェルを洗浄用PBSで4回洗浄し、マウス
免疫グロブリンに対する抗体溶液(アルカリフォスファ
ターゼ結合、Sigma社、0.5%BSAを含むPB
Sに1/500になるように希釈した)を0.1ml添
加し、37℃、1時間静置した。各ウェルを洗浄用PB
Sで4回洗浄し、P−ニトロフェニルリン酸ナトリウム
・6H2Oを1mg/mlに調製した基質溶液を0.1
mlずつ添加後、室温で30分間静置した。陽性ウェル
はアルカリフォスファターゼの酵素活性により、P−ニ
トロフェニルリン酸ナトリウムが分解され、黄色発色を
呈する。各ウェルに50μlの3M NaOHを添加し
て反応を停止し、マイクロプレート用吸光度測定器を用
いて405nmの吸光度を測定した。次に、陽性ウェル
の上清液を、MAを用いた競合阻害試験(先述の各ウェ
ルの上清と共に、1μg/mlになるようにMAを添加
した)を行った。これらのELISA法により、抗体を
産生している51個の陽性ウェルが得られた。 (4)ハイブリドーマのクローニング (3)で得られた51個の陽性ウェル中のハイブリドー
マ細胞を、限界希釈法を用いてモノクローン化した。す
なわち、ハイブリドーマ細胞を200個/ml、50個
/ml、10個/mlとなるように20%FCSを含む
RPMI1640培地で希釈し、各々の希釈液を96ウ
ェルプレート上の3、45、48ウェルに0.1mlず
つ分注した。このプレートをCO2インキュベータ中で
培養し、一つのコロニーが一つのハイブリドーマ細胞由
来であることが確認されるようなウェルを選択した。こ
れらのウェルの上清液中に存在する抗体(モノクローナ
ル抗体)がMAを認識するかどうかを、先述のELIS
A法により再検討した。この操作により、MAに対する
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞が、
24株得られた。III.24種のハイブリドーマ細胞の
産生する抗MAモノクローナル抗体が、MAの構造類似
化合物に対してどの様な反応性を有するかについて、
(II)の(3)の工程で用いたELISA法により検討
した。すなわち、各ハイブリドーマの産生するモノクロ
ーナル抗体を添加するときに、多段階に希釈した類似化
合物を添加し、プレート上のMAとモノクローナル抗体
の抗原抗体反応に対して、この類似化合物がどの程度、
競合的に阻害反応を起すかを調べたものである。その結
果、24種のハイブリドーマ株から得られるモノクロー
ナル抗体のうちMAとDBEDのみに反応する4B2株
または2H3株で表わされるモノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマ株を選別した。表1にMAに対する
反応性を100として、他の類似化合物に対する反応性
について各々示した。表中 MAは、メタンフェタミン DBEDは、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン Aは、アンフェタミン MPAは、メトキシフェナミン NOR−EP(+)は、ノルエフェドリン(+) OH−MAは、P−ヒドロキシメタンフェタミン OH−NOREPは、P−ヒドロキシノルエフェドリン OH−EPは、P−ヒドロキシエフェドリン OH−Aは、P−ヒドロキシアンフェタミン MEは、メチルエフェドリン NOR−EP(−)は、ノルエフェドリン(−) EPは、エフェドリン PHEは、フェンテルミン MESは、メスカリン である。
【表1】
【表2】 IV.前記選別された抗MA−DEBDモノクローナル抗
体(請求項1)のクラス、サブクラスの検討 得られたハイブリドーマ細胞の内、2H3株の産生する
モノクローナル抗体が、どのクラス、サブクラスに属す
るかを検討するため、アルカリフォスファターゼの結合
した8種類の抗マウスクラス、サブクラス、(Ig
1、IgG2a,IgG2b、IgG3、IgM、Ig
A、κ型L鎖、λ型L鎖)抗体を用いて、II.(3)の
ELISA法により検討した。この結果、2H3株の産
生するモノクローナル抗体はκ鎖のL鎖を有するIgG
1に属する抗体するであることがわかった。 V.マウス腹腔内での請求項2のハイブリドーマ細胞の
培養と請求項1のモノクローナル抗体の精製 一週間前にプリスタン処理をしたマウス(BALB/c
系、♀、6週齢)に、II.で得られたハイブリドーマ細
胞を腹腔内に1×107個注入した。1−2週間後、ハ
イブリドーマ細胞の増殖とともに、マウス腹部の肥大化
が確認され、シリンジを用いて腹腔中より腹水を採取し
た。この操作を1日おきに1−2週間程度行うことによ
り、一匹のマウスから10−20mlの腹水が得られ
た。この腹水に飽和硫酸アンモニウム溶液を40%にな
るように添加し、IgGを含むタンパク質画分を沈殿さ
せた。この沈殿物を遠心(12,000rpm、4℃、
20分間)により回収し、20mlのPBSに再懸濁し
た。懸濁液をPBSに対して一晩透析し、硫酸アンモニ
ウムを除いた。この状態で、7−8mgのモノクローナ
ル抗体が得られ、MAの判定、定量に充分使用できる
が、更にDEAE−Sepharose陰イオン交換樹
脂、G−150 Sephadexゲル濾過樹脂等を用
いて精製することもできる。
【0007】
【効果】本発明の新規モノクローナル抗体は、新規なハ
イブリドーマ株より産生されるものであり、メタンフェ
タミンのみでなくN,N′−ジベンジルエチレンジアミ
ンに対しても特異的に反応することができるので、覚醒
剤検出のための測定用キット中に使用するメタンフェタ
ミンの変わりにN,N′−ジベンジルエチレンジアミン
を使用することができる。したがって本発明のモノクロ
ーナル抗体を利用した測定用キットは、キット中にMA
を使用していないので、国内法にふれず国内での販売、
使用が可能となり、メタンフェタミンを簡便、かつ高感
度で測定することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 21/08 C12R 1:91) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 5/00 - 5/28 C12P 21/00 - 21/08 G01N 33/53 G01N 33/577 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタンフェタミンおよびN,N′−ジベ
    ンジルエチレンジアミンの両者に対してのみ特異的な免
    疫反応を示すことを特徴とするメタンフェタミン覚醒剤
    検出用モノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモノクローナル抗体を産
    生する能力を有することを特徴とするハイブリドーマ
    株。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のハイブリドーマ株を培養
    することを特徴とするモノクローナル抗体の製法。
  4. 【請求項4】 メタンフェタミンの免疫用抗原を哺乳動
    物(人を除く)に接種し、抗メタンフェタミン抗体産生
    能力をもつリンパ細胞を得、このリンパ細胞とミエロー
    マ細胞とを細胞融合させ、得られた融合細胞を培養し、
    そのなかからメタンフェタミンおよびN,N′−ジベン
    ジルエチレンジアミンの両者に対して特異的な免疫反応
    を示すモノクローナル抗体を産生する能力をもつ請求項
    2記載のハイブリドーマ株を選び出すことを特徴とする
    請求項2記載のハイブリドーマ株の製法。
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