JP2002209579A - 抗ヒトヘモグロビンモノクローナル抗体、およびそれを産生する細胞株またはそれを含むヒトヘモグロビン検出用キット - Google Patents

抗ヒトヘモグロビンモノクローナル抗体、およびそれを産生する細胞株またはそれを含むヒトヘモグロビン検出用キット

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JP2002209579A
JP2002209579A JP2001008329A JP2001008329A JP2002209579A JP 2002209579 A JP2002209579 A JP 2002209579A JP 2001008329 A JP2001008329 A JP 2001008329A JP 2001008329 A JP2001008329 A JP 2001008329A JP 2002209579 A JP2002209579 A JP 2002209579A
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antibody
cell line
cell
monoclonal antibody
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JP2001008329A
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Hiroshi Nakayama
浩 中山
Osayuki Shigefuji
修行 重藤
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 HBの定量を正確かつ簡便に行う手段を提供
する。 【解決手段】 HBに特異的なモノクローナル抗体を産
生する細胞株であって、HBで免疫した哺乳動物の脾臓
細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融合し
て、融合細胞を得る工程;および、HBに対して特異的
なモノクローナル抗体を産生する細胞株を該融合細胞の
中からクローニングする工程であって、該融合細胞から
産生される抗体を、HB対する結合能について免疫測定
法により検定する工程を包含する方法により得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト由来のヘモグ
ロビンに特異的なモノクローナル抗体、およびこのモノ
クローナル抗体を産生する細胞株、およびこのモノクロ
ーナル抗体を含むキットに関する。
【0002】
【従来の技術】結腸と直腸の癌は、肺を除けば他のどの
解剖学的位置よりも多くの新しい症例を毎年数えている
といわれ、米国では、1989年には、約75,000
人の人々がこれらの癌で死亡している。
【0003】ヘモグロビン(HB)は、赤血球中に存在
するタンパク質である。ヒトヘモグロビンの種類は、2
個のα鎖と2個の非α鎖(β、γ、δ鎖)からなるテト
ラマーで、α2β2(Hb A)、α2γ2(Hb F)お
よびα2δ2(Hb A2)で構成される。便中のHBに
ついての検査は、結腸や直腸などの癌の存在を検出する
ために非常に有用である。HBに対する抗体を用いて、
HB量の定量による病態スクリーニング、治療効果の確
認、予後の判定等を行なうことが出来る。
【0004】従来、HBを免疫学的手法により特異的に
検出するために、ポリクローナル抗体である抗ヒトHB
血清が用いられてきた。従来の検査法のほとんどは、抗
血清とHBとの凝集反応による沈降線の有無または濁度
の増加によってHBを検査する。しかし、未精製の抗血
清は、血清中の種々の抗原に対する種々の抗体を含むこ
とが多いため、HB以外の抗原を検出する可能性があ
る。そこで、検査においてHB以外の抗原を誤って検出
することを防ぐために、アフィニティークロマトグラフ
ィーなどの手法を用いて抗血清中からヒト標準血清中の
タンパク質に結合する抗体を取り除くことによって、ヒ
ト標準血清においてHB以外の抗原に由来する反応が起
こらないようにすることが普通である。
【0005】しかし、抗ヒトHB血清は、作製される血
清毎に得られる抗ヒトHB抗体群が異なり、HBとの反
応性が変動するという問題がある。さらに、抗ヒトHB
血清を用いたヒトHBの検出は、操作が煩雑であり、ま
たHBの定量も容易ではない。そのため、HBの定量を
より正確かつ簡便に行うための方法が望まれてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、HBの定量
を正確かつ簡便に行う手段を提供することを目的とす
る。本発明は、HBに特異的なモノクローナル抗体を提
供し、これを用いたサンドイッチ方式の免疫クロマトグ
ラフィーによる簡便なHBの定量法を提供する。
【0007】HBは、2個のα鎖と2個の非α鎖(β、
γ、δ鎖)からなるヘテロテトラマーであり、HBを介
してサンドイッチ状に結合できる抗体のペアを得ること
は比較的容易である。しかし、モノクローナル抗体を用
いる場合、抗体が均一であるため、抗体の交叉反応性
は、ポリクローナル抗体のみを用いる場合と比較して非
常に大きな問題となる。HBに対するモノクローナル抗
体の中には、HBだけでなく、その他の成分に対しても
高い結合能を有する抗体が存在し得る。このような抗体
をサンドイッチ法に用いると、HBの正確な定量に支障
をきたす恐れがある。従って、その他の成分に対する交
叉反応性が低い抗HB抗体を用いる必要がある。
【0008】本発明は、上記問題点の解決を意図するも
のであり、HBに対して高い結合能を有するが、他成分
に対する交叉反応性が低い抗体、およびこれを産生する
細胞株、ならびにこの抗体を含むHB検出用キットを提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヒトヘモグロ
ビン(HB)に特異的なモノクローナル抗体を産生する
細胞株に関し、この細胞株は、HBで免疫した哺乳動物
の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄腫由来の細胞とを細胞融
合して、融合細胞を得る工程;およびHBに対して特異
的なモノクローナル抗体を産生する細胞株を該融合細胞
の中からクローニングする工程であって、該融合細胞か
ら産生される抗体を、HBに対する結合能について免疫
測定法により検定する工程を包含する方法により得られ
る。
【0010】好ましくは、上記モノクローナル抗体産生
細胞株は、工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号
FERM BP−7288号、またはFERM BP−
7289号である。
【0011】好ましくは、上記哺乳動物の骨髄腫由来の
細胞は、マウス骨髄腫由来P3X63−Ag8.653
株の細胞である。
【0012】好ましくは,上記免疫測定法は、酵素免疫
測定法(ELISA法)である。
【0013】好ましくは、上記免疫した哺乳動物は、マ
ウスまたはラットである。
【0014】好ましくは、上記免疫した哺乳動物は、B
ALB/C系統マウスである。
【0015】本発明は、1つの局面で、上記の細胞株に
より産生される抗HBモノクローナル抗体であって、H
Bに高い結合能を有する、モノクローナル抗体に関す
る。
【0016】本発明は、1つの局面で、HBを検出する
ためのキットに関し、このキットは、固相に結合された
第1の抗体、および第2の抗体を含み、この第1の抗体
は、上記のモノクローナル抗体であり、そして上記第2
の抗体はHBに特異的に結合する標識抗体である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、より具体
的に説明する。
【0018】本発明においては、特に指示のない限り、
当該分野で公知である、タンパク質の分離および分析
法、ならびに免疫学的手法が採用され得る。これらの手
法は、市販の酵素、キット、抗体、標識物質などを使用
して行い得る。
【0019】本発明の抗HBモノクローナル抗体産生細
胞株の作製を、以下に作製手順に沿って説明する。
【0020】(免疫)まず、哺乳動物をHBで免疫する
ことによって、動物体内で抗体産生細胞を調製する。
【0021】「哺乳動物」の例として、マウス、ラッ
ト、ウシ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、モルモットが挙げら
れる。哺乳動物は、好ましくはマウスおよびラットであ
り、より好ましくはマウスである。マウスの例として、
A/J系統、BALB/C系統、DBA/2系統、C5
7BL/6系統、C3H/He系統、SJL系統、NZ
B系統、CBA/JNCrj系統のマウスが挙げられ
る。BALB/C系統のマウスは、免疫後に血清中に高
い抗体力価を示すので、HBとの親和性が極めて高いモ
ノクローナル抗体を得ることが可能である。血中抗体力
価が、特異的なハイブリドーマの出来易さと関係してい
ることは公知である。また、細胞株の確立後の腹水によ
る抗体大量作製においては、BALB/C系統マウスが
一般によく使用される。以上により、BALB/C系統
のマウスは、HBの免疫に好ましい例である。実験動物
の齢は、特に限定されないが、代表的には約4週齢〜約
12週齢であり、好ましくは約6〜約10週齢、より好
ましくは約7週齢のマウスまたはラットである。
【0022】免疫に用いられるHBは、人工のヒトH
B、天然のヒトHB、それらのモノマーサブユニットま
たはそれらのフラグメントであり得る。好ましくは、天
然のヒトHBが用いられる。HBは、ヒトの血清から精
製してもよいし、市販のものを用いてもよい。HBは、
通常、約80%以上の純度、好ましくは約90%以上の
純度、さらに好ましくは約95%以上の純度、そして最
も好ましくは約98%以上の純度で用いられる。
【0023】免疫の前に、HBは、免疫応答を増強させ
るためにアジュバントと混合され得る。アジュバントの
例としては、油中水型乳剤(例えば、不完全フロイント
アジュバント)、水中油中水型乳剤、水中油型乳剤、リ
ポソーム、水酸化アルミニウムゲル、シリカアジュバン
ト、粉末ベントナイト、およびタピオカアジュバントの
他に、BCG、Propionibacterium
acnesなどの菌体、細胞壁およびトレハロースダイ
コレート(TDM)などの菌体成分;グラム陰性菌の内
毒素であるリポ多糖体(LPS)およびリピドA画分;
β−グルカン(多糖体);ムラミルジペプチド(MD
P);ベスタチン;レバミゾールなどの合成化合物;胸
腺ホルモン、胸腺ホルモン液性因子およびタフトシンな
どの生体成分由来のタンパク質またはペプチド性物質;
ならびにそれらの混合物(例えば、完全フロイントアジ
ュバント)などが挙げられる。
【0024】これらのアジュバントは、投与経路、投与
量、投与時期などに依存して免疫応答の増強または抑制
に効果を示す。さらにアジュバントの種類によって、抗
原に対する血中抗体産生、細胞性免疫の誘導、免疫グロ
ブリンのクラスなどに差が認められる。それゆえ、目的
とする免疫応答に応じて、アジュバントを適切に選択す
ることが好ましい。選択されたアジュバントの取扱い、
例えばHBとの混合方法などは当該分野で公知である。
【0025】哺乳動物の免疫は、当該分野で公知の方法
に従って行われる。例えば、抗原であるHBは、哺乳動
物の皮下、皮内、静脈、または腹腔内に注射され得る。
免疫応答は、免疫される哺乳動物の種類および系統によ
って異なるので、免疫スケジュールは、使用される動物
に合わせて適切に変更され得る。抗原投与は、最初の免
疫の後に、何回か繰り返される。追加免疫は、例えば、
最初の免疫から4週間後、6週間後、および半年後に行
われ得る。
【0026】(抗体産生の確認)免疫後、哺乳動物から
採血し、得られた血液をHB結合活性の存在についてア
ッセイすることにより、哺乳動物の体内でHBに対する
抗体が産生されていること、および免疫末期にはIgM
からIgGへのクラススイッチが起こっていることを確
認する(例えば、HarlowおよびLane、ANT
IBODIES:A LABORATORY MANU
AL、COLD SPRING HARBOR LAB
ORATORY、New York(1988)を参照
のこと)。適切なアッセイ方法の例として、酵素免疫測
定法(ELISA法)、放射免疫アッセイ法(RI
A)、蛍光抗体法が挙げられる。本発明では、HBに対
して高親和性を有する抗HBモノクローナル抗体を得る
ことが望ましい。高親和性のモノクローナル抗体産生細
胞を得るためには、抗血清の時点で高い抗体価を示して
いる必要がある。
【0027】(ブースト)HB結合性抗体の産生を確認
した後、脾臓を肥大させるために、ブースト(免疫原の
追加注射)を行い得る。ブーストで投与されるHBの量
は、最初に免疫されるHBの量の約4〜5倍の量が望ま
しいがこれに限定されない。
【0028】ブーストは、代表的には、HBと不完全フ
ロイントアジュバントとのエマルジョンを用いて行われ
る。ただし、最終免疫(細胞融合数日前の免疫原の追加
注射)で投与されるHBとしては、アジュバントを加え
ず純粋品を用いることが好ましい。投与経路は、皮下、
皮内、静脈、または腹腔内それぞれの投与によって、H
Bの異なった部位を認識する抗体が得られる可能性があ
ることを考慮して、適宜決定される。
【0029】(細胞融合)最終免疫後、免疫した哺乳動
物から脾臓細胞を摘出し、骨髄腫由来の細胞株の細胞と
細胞融合する。
【0030】融合細胞の増殖能力は、細胞融合時に用い
られる骨髄腫由来の細胞株の種類に依存するので、細胞
融合には、増殖能力の優れた細胞株を用いることが好ま
しい。また、骨髄腫由来の細胞株は、融合する脾臓細胞
の由来する哺乳動物と適合性があることが好ましい。骨
髄腫由来の細胞株は、新たに調製してもよいし、市販の
ものを使用してもよい。マウスの骨髄腫由来の細胞株と
しては、P3X63−Ag8.653、Sp2/O−A
g14、FO・1、S194/5.XX0 BU.l、
P3/NS1/1−Ag4−1などが挙げられる。抗体
の断片を産生せず、かつ融合細胞の増殖能力が優れたも
のとなるため、P3X63−Ag8.653の使用が好
ましい。ラット骨髄腫由来の細胞株としては、210、
RCY3.Ag.1.2.3、YB2/0などが挙げら
れる。
【0031】細胞融合は、当該分野で公知の方法に従っ
て行われる(KoehlerおよびMilstein、
Nature 256:495[1975]、Kosb
orら、1983、Immunol. Today
4:72、Coteら、1983、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA、80:2026、Co
leら、MONOCLONAL ANTIBODIES
AND CANCERTHERAPY、Alan R
Liss Inc.、New York、NY、77
−96頁[1985]などを参照のこと)。細胞融合法
の例として、例えば、ポリエチレングリコール法、セン
ダイウイルスを用いた方法、電流を利用する方法などが
挙げられる。細胞毒性も比較的少なく、融合操作も容易
で再現性が高いため、ポリエチレングリコール法が好ま
しい。
【0032】得られた融合細胞は、当該分野で公知の条
件に従って増殖させ得る。産生される抗体の結合能に基
づいて、所望の融合細胞を選択し得る。
【0033】(細胞選別およびクローニング)融合細胞
から産生される抗体の結合能は、当該分野で公知の方法
に基づいてアッセイされ得る。本発明においては、HB
に高い結合能を有し、その他の成分に対して結合能を有
さないか、もしくは低い結合能を有する抗体を産生する
融合細胞を得るために、HBに対する結合能に基づく選
別を利用して、目的の細胞株をクローニングする。従っ
て、本明細書中で用語「HBに対して特異的なモノクロ
ーナル抗体」とは、HBに高い結合能を有し、その他の
成分に対して結合能を有さないか、もしくは低い結合能
を有する抗体を意味する。HBに高い結合能を有し、そ
の他の成分に対して「結合能を有さない」抗体は、交叉
反応性がない。
【0034】用語「高い結合能を有する」とは、下記の
実施例に記載されたインヒビションELISA法と実質
的に同一の条件での測定においてインヒビションがかか
り、インヒビションの半値が約10-6M以下であること
をいう。用語「低い結合能を有する」とは、同じ測定に
おいてインヒビションがかかるが、インヒビションの半
値が約10-5M以上(例えば、10-4M、10-3Mな
ど)であることをいう。用語「結合能を有さない」と
は、同じ測定においてインヒビションがかからないこと
をいう。用語「インヒビションがかかる」とは、固相に
固定されたHBに結合する抗体の量が、競合物質(イン
ヒビター)の存在下で、インヒビターの不存在下と比較
して減少することをいう。用語「インヒビションがかか
らない」とは、固相に固定されたHBに結合する抗体の
量が、インヒビターの存在下および不存在下で実質的に
同等であることをいう。「インヒビションの半値」と
は、インヒビターの不存在下での吸光度(抗体結合量を
反映する)の半分の吸光度が測定されるインヒビターの
濃度をいう。
【0035】抗体の結合能は、抗体産生の確認に関して
上述したのと同様に、ELISA法、RIA法、蛍光抗
体法などの方法を用いてアッセイされる。簡便に感度よ
く抗体を検出し得ることから、ELISA法が好まし
い。
【0036】融合細胞のクローニングには、当該分野で
公知の方法が用いられ得る。クローニングの方法の例と
しては、限界希釈法、軟寒天法などが挙げられる。操作
も容易で数多くの実績があり、再現性が高いため、限界
希釈法が好ましい。
【0037】細胞融合により得られた多くの融合細胞の
中から、効率よく有用な細胞を選択するために、細胞選
別は、クローニングの初期の段階から行うことが好まし
い。
【0038】このようにして、望ましい結合能を有する
抗体を産生する融合細胞株が最終的に選別される。選別
された細胞株は、液体窒素中で半永久的に保存され得
る。
【0039】(抗体の精製)上記のようにして選別され
たモノクローナル抗体産生細胞株を大量培養することに
より、HBに対して特異的なモノクローナル抗体を大量
に産生し得る。モノクローナル抗体産生細胞株の大量培
養方法として、インビボおよびインビトロでの培養が挙
げられる。インビボでの大量培養の例としては、哺乳動
物の腹腔内に融合細胞を注射して増殖させ、腹水中に抗
体を産生させる方法が挙げられる。インビトロでの培養
では、融合細胞が培地中で培養され、抗体が培地中に産
生される。
【0040】大量培養により得られた腹水または培養上
清から、当該分野で公知の方法を用いて、本発明のモノ
クローナル抗体を精製し得る。精製のためには、例え
ば、DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィ
ニティークロマトグラフィー、硫安分画法、PEG分画
法、エタノール分画法などが適宜組み合わせて用いられ
る。本発明の抗体は、通常、約90%の純度、好ましく
は約95%の純度、より好ましくは約98%の純度とな
るように精製される。
【0041】(抗体の評価)精製されたモノクローナル
抗体の結合能を評価することにより、得られたいくつか
の抗体の中から、HB上の異なるエピトープを認識する
抗体の組合せを選択し得る。異なるエピトープを認識す
る、任意の2種の抗体の組合せは、サンドイッチ法のた
めに有用である。
【0042】本発明においては、HBを検出するための
キットが提供される。本発明のキットは、例えば、抗原
抗体結合反応に基づいて水性試料中の抗原を検出する免
疫クロマトグラフィーを実施するために提供され得る。
本発明のキットは、固相に結合された第1の抗体および
移動相に含められて用いられる第2の抗体を含む。
【0043】固相に結合される第1の抗体としては、受
託番号FERM BP−7288号または受託番号FE
RM BP−7289号の細胞株により産生されるモノ
クローナル抗体が使用され得る。好適には、受託番号F
ERM BP−7288号の細胞株により産生されるモ
ノクローナル抗体が第1の抗体として使用され得る。
【0044】第2の抗体としては、HBに高い結合能を
有する限り任意の抗体を使用し得、これは、ポリクロー
ナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であっ
てもよい。好ましくはモノクローナル抗体が用いられ
る。第2の抗体として受託番号FERM BP−728
8号または受託番号FERM BP−7289号の細胞
株により産生されるモノクローナル抗体が好適に用いら
れる。この場合、受託番号FERM BP−7288号
および受託番号FERM BP−7289号の細胞株に
より産生されるモノクローナル抗体を第1の抗体および
第2の抗体の一組のペアとして用い、それによってサン
ドイッチアッセイを実施し得る。
【0045】第2の抗体として、その他の抗体を用いる
場合、上記受託番号FERM BP−7288号または
FERM BP−7289号の細胞株により産生される
モノクローナル抗体が結合するエピトープに結合能を有
さない抗体であることが好ましい。
【0046】第2の抗体は、当該分野で公知の方法によ
り任意の標識により標識され得る。標識の例としては、
酵素標識、色素標識、磁性標識、放射性標識、色の付い
た粒子(金コロイド、ラテックスなど)による標識など
が挙げられる。
【0047】本発明のキットは、当該分野で公知の方法
により適切に作製され得る。本発明のキットは、1つま
たはそれ以上の容器中に上記第1の抗体および上記第2
の抗体を含み得る。キットはまた、HBのサンドイッチ
アッセイにおける、抗体の使用を教示する説明教材を含
み得る。キットは、標識の検出のため、または陽性コン
トロールおよび陰性コントロールを検出するための適切
な試薬、洗浄溶液、希釈緩衝液などを含み得る。
【0048】上記のように、第1の抗体は、通常、固相
に固定化されており、そして第2の抗体は標識されてい
る。HBの測定にあたっては、まず、第2の抗体を液相
でHBと反応させ、標識−抗体−HB複合体を形成させ
る。そして、この複合体を含む反応液を移動相として固
体化された第1の抗体と反応させる。その結果、第1の
抗体および第2の抗体は、HBを介してサンドイッチ状
に結合する。従って、HBが存在する場合にのみ、HB
を介して固相上に標識が固定化される。
【0049】受託番号FERM BP−7288号の細
胞株により産生される抗HBモノクローナル抗体は、H
Bに高い結合能を有し、他の成分には結合能を有しな
い。受託番号FERM BP−7289号の細胞株によ
り産生される抗HB抗体も同様に、HBに高い結合能を
有し、他の成分には結合能を有しない。
【0050】本発明による「抗HBモノクローナル抗
体」には、その結合特性を保持した機能性の断片もまた
含まれる。これらの断片は、それらが由来するインタク
トな抗体とHBへの特異的結合について競合し得、少な
くとも107、108、109- 1、または1010-1
親和性で結合し得る。抗体の断片は、免疫グロブリンの
重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、(ab’)2、Fab
cおよびFvを含み得る。抗体の断片は、インタクトな
免疫グロブリンの酵素的または化学的分離によって生じ
得る。例えば、F(ab’)2断片は、Harlowお
よびLane、ANTIBODIES:A LABOR
ATORY MANUAL、COLD SPRING
HARBOR LABORATORY、New Yor
k(1988)に記載されたような標準的な方法を用
い、pH3.0〜3.5においてペプシンでタンパク質
消化することによってIgG分子から得ることができ
る。Fab断片は、限定的還元によってF(ab’)2
断片から、あるいは還元剤の存在下パパイン消化によっ
て全抗体から得ることができる(Paul、W.編、F
UNDAMENTAL IMMUNOLOGY第2版
Ravan Press、N.Y.、1989、第7章
を参照のこと)。
【0051】
【実施例】以下、本発明のモノクローナル抗体産生細胞
株の作製についてさらに具体的に説明する。本発明は以
下の実施例によって限定されるものではない。
【0052】<酵素免疫測定法(ELISA法)>以下
の実施例においては、得られた抗血清、培養上清および
モノクローナル抗体の評価は、ELISA法により行な
った。その操作法を以下に記載する。
【0053】(A)抗原(HB)のコーティング HBを、0.1mg/mL・BSA−PBS−Az
(0.04重量%ナトリウムアジドPBS溶液にウシ血
清アルブミン(以下BSAという)を0.1mg/mL
の濃度で溶解したもの)を用いて2μg/mLの濃度に
調製した。マイクロプレート(ポリスチレン製高結合型
平底#2580、コスター社製)に抗原溶液を100μ
l/ウェル注入し、室温で飽和水蒸気中に一晩保存し
た。実験直前に、アスピレータで抗原溶液を除去した。
【0054】(B)ブロッキング 1重量%BSA−PBS−Az(Az:アザイドナトリ
ウム塩)を200μl/ウェル注入し、30分間室温で
放置した。その後、アスピレータで1重量%BSA−P
BS−Azを除去した。以降の実験を即日に行わないと
きは、この状態で、飽和水蒸気中に4℃で保存した。
【0055】(C)抗体の反応 1重量%BSA−PBS−Azで種々の濃度に希釈した
抗体溶液(抗血清、培養上清、精製抗体等)を50μl
/ウェル、および1重量%BSA−PBS−Azを50
μl/ウェルで注入した。相対的な親和性を測定する目
的でインヒビション(阻害)実験を行うときは、インヒ
ビター溶液(HBを含む溶液)を50μl/ウェル注入
した後、抗体溶液50μl/ウェルをさらに加え、振盪
した。常温で1時間半放置した後、PBSで3回洗浄
し、アスピレータで残存するPBSを除去した。
【0056】(D)第2抗体の反応 0.2μg/mLのペルオキシダーゼ標識したヤギ由来
の抗マウスIgG抗体(KPL社製)を1重量%BSA
のPBS溶液に溶解したもの、または0.2μg/mL
のペルオキシダーゼ標識したヤギ由来の抗マウスIgM
抗体(KPL社製)を1重量%BSAのPBS溶液に溶
解したものを50μl/ウェル注入し、常温で30分放
置した。PBSで3回洗浄し、さらにアスピレータで残
存するPBSを除去した。
【0057】(E)基質の反応と停止 O−フェニレンジアミン(生化学用)40mgを10m
Lのクエン酸−リン酸バッファー(pH5)に溶解し、
使用直前に30重量%過酸化水素水4μLを加えた溶液
(基質溶液)を100μl/ウェル注入し、室温放置し
た。約3分後、4N硫酸を25μl/ウェル注入して反
応を停止した。
【0058】(F)測定 マイクロプレートリーダ(東洋ソーダ社製)を用いて4
92nmの吸光度を測定した。
【0059】なお、本実施例では免疫測定法として酵素
免疫測定法を用いたが、他にRIA法、蛍光抗体法等を
用いてもよい。
【0060】<実施例>本実施例においては、本発明者
らの研究所で実績があること、およびモノクローナル抗
体産生細胞株確立後の腹水による抗体大量培養において
はBALB/C系統マウスが最もよく使用されることを
考慮に入れ、BALB/C系統マウスを免疫に使用し
た。
【0061】(免疫)免疫原であるヘモグロビン(H
B)(Sigma INC.製)を、生理食塩濃度リン
酸緩衝液(PBS)を用いて2mg/mLに調製した。
このHBのPBS溶液に、同体積のアジュバント(ヒト
結核死菌含有完全フロイントアジュバント、和光純薬
製、H37Rv)を添加し、ホモジナイザで回転数10
00rpmで充分に乳化することにより、免疫原を含む
アジュバントエマルジョンを得た。
【0062】生後約7週間の雌のマウス(BALB/
C)15匹に、免疫原を合むアジュバントエマルジョン
を100μlずつ腹腔内、あるいは皮下に注射した。2
週間後、PBSを用いて2mg/mLに調製したHB溶
液およびこれと同体積の不完全フロイントアジュバント
をホモジナイザで乳化し、このエマルジョンをBALB
/Cマウスに前回と同じ部位に100μlずつ注射し
た。
【0063】その後、免疫開始より4週間後、6週間
後、および半年後に、2週間後の免疫と同じ組成、濃度
のHBを含む不完全フロイントアジュバントエマルジョ
ンを、マウスに100μlずつ前回と同じ部位に注射し
た。2回目の注射の1週間後と4回目の注射の1週間後
にそれぞれ採血し、以下に示す抗体産生を確認した。
【0064】(抗体産生の確認)採取した血液から血清
を分離し、得られた血清を用いて、酵素免疫測定法(E
LISA法)により抗体産生の確認をした。固相として
0.1mg/mL・BSA−PBS−Azで調製した2
μg/mL・HBを、100μl/ウェルずつ分注し、
室温で一晩コートしたマイクロプレートを使用した。第
二抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗
体、またはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM抗体を
使用した。ウェル中での発色により、抗体サンプル中に
HBに結合する抗体が存在することが確認される。
【0065】その結果、15匹すべてのマウスにおいて
抗HB抗体の産生が認められた。さらに、いずれのマウ
スにおいても、2回目の注射後に抗体産生がIgGから
IgMへシフトしていることが確認され、4回目の注射
後にはIgG/IgM比が100以上でありクラススイ
ッチが充分起こっていることを確認した。
【0066】(細胞融合)免疫したマウスの中で特に力
価の高かった3匹の脾臓を肥大させるために、最終免疫
を行なった。免疫開始から6ヶ月後、免疫原のHBを、
PBSを用いて5mg/mLの濃度に調製し、アジュバ
ントを加えずにマウスに100μlずつ注射した。
【0067】最終免疫後3日を経過したマウスのうち1
匹の脾臓細胞を摘出した。平均分子量1,500のポリ
エチレングリコールを用いて、常法により、脾臓細胞と
マウス骨髄腫由来細胞株(P3X63−Ag8.65
3)とを融合させ、融合細胞を得た。
【0068】融合細胞を、15重量%のウシ胎児血清
(以下、FCS)を含むイシコフ培地で調製したヒポキ
サンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)培地に
浮遊させた後、96ウェルプレート1枚にまいた(20
0μl/ウェル)。この際、フィーダー細胞(培養開始
時に成長因子を供給する細胞)は同じマウス個体の脾臓
細胞を用いた。CO2インキュベータ(CO2濃度:5体
積%、温度:37℃、湿度:95%)内で培養を開始し
た。以下の培養では、他に示さない限り、これと同じ条
件で培養を行なった。
【0069】(細胞選別およびクローニング)1週間
後、融合細胞の培養上清を100μl採取した後、融合
細胞を含む残りの培養液を4枚の24ウェルプレートに
継代し、各ウェルに1mlの15重量%のFCSを含む
ヒポキサンチン/チミジン(HT)培地を加えた。融合
細胞を24ウェルプレートに継代した4日後、細胞培養
上清を150μl/ウェルずつ採取した。この培養上清
と、培養開始後1週間目に採取した培養上清を用いて以
下に示すELISA法により、HBに対する結合能を測
定した。
【0070】固相として0.1mg/mL・BSA−P
BS−Azで2μg/mLの濃度に調製したHBを、1
00μl/ウェルずつ使用した。抗体液として、細胞培
養上清を使用した。第二抗体としてペルオキシダーゼ標
識抗マウスIgG抗体を使用した。
【0071】2回採取した培養上清のELISA法結果
を合わせて、HBに対して高い結合能を有する、増殖状
態の良い10ウェルを確認した。第1段階の選択とし
て、これらのウェルの細胞を、すべて2枚の6ウェルプ
レートに継代し、各ウェルに4mlの15重量%のFC
Sを合むHT培地を加えた。
【0072】第1段階の細胞選別の2日後、培養上清を
採取し、以下に示すELISA法(インヒビションEL
ISA法)によりHBに対する結合能を測定した。
【0073】固相として0.1mg/mL・BSA−P
BS−Azで2μg/mLの濃度に調製したHBを、1
00μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてHB
を使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。第
二抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗
体を使用した。細胞培養上清中に、HBに結合する抗体
が存在すると、インヒビターとして添加された可溶性H
Bと結合してインヒビションがかかる(固相HBへの結
合が阻害される)ので、ウェル中の発色は確認されな
い。
【0074】この結果、第2段階の選択として、HBに
対して高い結合能を有し、インヒビションELISA法
においてインヒビションがかかったウェルを、5ウェル
選別した。これらのウェルの細胞を、それぞれ、中フラ
スコ(容量50ml)に継代した。培地は15重量%の
FCSを含むHT培地を45mlずつ加えた。
【0075】第2段階の選択を受けた細胞の継代3日
後、培養上清を採取し、以下に示すELISA法により
HBに対する結合能を測定した。
【0076】固相として、0.1mg/mL・BSA−
PBS−Azで2μg/mLの濃度に調製したHBを、
100μl/ウェルずつ使用し、インヒビターとしてH
Bを使用した。抗体液として細胞培養上清を使用した。
第二抗体として、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG
抗体を使用した。細胞培養上清中に、インヒビターに結
合する抗体が存在するとインヒビションがかかるので、
ウェル上の発色は確認されない。HBでのみインヒビシ
ョンがかかった2ウェル選別した。
【0077】上記2ウェルの細胞について、15重量%
のFCSを含むHT培地を用いて、1ウェルあたり2ケ
の細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェ
ルのマイクロプレート各2枚に分注した。フィーダーと
して生後4週の雌のマウス(BALB/C)の胸腺細胞
を用いて初期増殖を促した。プレートのサイズを上げな
がら培養を進め、適時細胞培養上清について上記のEL
ISA法によるスクリーニングを繰り返した。HBに対
して高い力価を示し、かつ良好な増殖を示している細胞
株を最終的に選別し、200mLの培地中で5×105
細胞/mLの濃度に至るまで培養を進めた。最終的に、
HBに対して高い結合能を有した株を1株選定した。
【0078】HBに対して高い結合能を示した株を細胞
株名:Hb1と命名し、工業技術院生命工学工業技術研
究所に平成12年8月31日に国内寄託した(受託番号
FERM BP−7288号)。
【0079】同様に、HBに対して高い結合能を有した
もう一つの株を細胞株名:Hb2と命名し、生命研に平
成12年8月31日に国内寄託した(受託番号FERM
BP−7289号)。
【0080】HB1株およびHB2株の産生する抗体
を、それぞれ、HB1抗体およびHB2抗体と称する。
【0081】(細胞の保存)最終的に選別された細胞株
は、遠心分離して上清を取り除き、1×107細胞/m
Lの濃度でFCS:ジメチルスルフォキシド=9:1
(体積比)の溶液1mLに浮遊させ、−80℃で予備凍
結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0082】(抗体の精製)選択した2株を、それぞ
れ、15重量%FCSを含むイシコフ培地で大量培養
し、その上清を遠心分離した。また、選択した2株を、
それぞれ、雌のBALB/Cマウスの腹腔内に注射して
増殖させ、腹水を蓄積させた。蓄積した腹水を採取し
た。各株の培養上清あるいは腹水を、プロテインA結合
ゲル(プロテインAセファロース4FF、ファルマシア
製)を用いたアフィニティークロマトグラフィにかけ、
以下の条件で各モノクローナル抗体(HB1抗体および
HB2抗体)を精製した。
【0083】プロテインA結合ゲルを充填したカラム
を、結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaC
l、pH8.9)で平衡化した。培養上清あるいは腹水
を、結合緩衝液で約3倍に希釈した後、平衡化したカラ
ムにアプライした。カラムからの溶出液を280nmで
モニターしながら、不純物の溶出が終了するまで、カラ
ムを結合緩衝液で洗浄した。洗浄後、溶出緩衝液(10
0mMクエン酸、pH4)をカラムにアプライ(線流
速:約20cm/時間)し、IgG含有溶出液を回収し
た。回収したIgG含有溶出液について、吸光光度計で
280nmの吸光度を測定し、測定された吸光度を吸光
係数で換算することにより、抗体の濃度を決定した。
【0084】SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に
よる標準タンパク質との比較から、これらのモノクロー
ナル抗体(HB1およびHB2)の精製分画は、いずれ
も分子量約50,000のH鎖と約25,000のL鎖
からなるIgGであることを確認した。なお、電気泳動
上で、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0085】(抗体の評価)上記のアフィニティークロ
マトグラフィにより精製した2種類のモノクローナル抗
体について、HBの希釈系列を用いて、上記第2段階の
選択におけるインヒビションELISA法と同一条件で
抗体評価を行った。
【0086】図1は、HB1抗体について、図2は、同
様にHB2抗体について、それぞれHBに対する結合能
を測定した結果を示すグラフである。図1、2におい
て、縦軸は吸光度を、横軸は各抗原の濃度(mole/
L、以下M、又はmg/ml)の対数値を示す。
【0087】図1に示すように、HB1抗体では、イン
ヒビションの半値が約2×10-7Mであり、約10-8
のHBを検出し得る可能性が示された。
【0088】図2に示すように、HB2抗体では、イン
ヒビションの半値が約10-7Mであり、1×10-8M以
上のHBの検出感度を持つ可能性が示された。
【0089】(サンドイッチ反応)ELISA法におい
てHB1抗体をプレートにコートし、HBを結合させ、
酵素ラベルしたHB2抗体を反応させた後に余分な抗体
を除去し、発色基質を添加してインキュベートしたとこ
ろ、充分な発色が得られた。つまり、HB1抗体と、H
B2抗体またはポリクローナル抗体との組合せは、免疫
クロマトグラフィーなどのサンドイッチ反応を利用した
検査方法に有用であることが確認できた。
【0090】(免疫クロマトグラフィーにおける検出感
度)常法に従ってHB1抗体を濾紙上に固定化し、金コ
ロイド標識したHB2抗体を移動相に置いて、免疫クロ
マトグラフィー装置を作製した。種々の濃度でHBを含
むサンプルをアプライしたところ、この免疫クロマトグ
ラフィー装置の最高検出感度は、約7×10-8Mであっ
た。
【0091】一般に、健常人の血中HBレベルは、約1
-4Mであることが知られている。従って、本発明の抗
体を用いて作製された免疫クロマトグラフィー装置は、
血中HBを検出するために十分な感度を有する。
【0092】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体産生細胞株
の作製方法によれば、細胞株のクローニングにおいて、
融合細胞から産生される抗体のHBに対する結合能を検
定し、目的の細胞を選別する。そのため、細胞融合の
後、初期に存在する多くの細胞から、効率よく有用な細
胞を選択し得る。そして、HBに対する高い親和性を達
成しながら、特異性の高い抗体を産生する細胞株を作製
し得る。
【0093】免疫測定法が酵素免疫測定法(ELISA
法)である場合、抗体の結合能を簡便に感度よく検定し
得る。
【0094】哺乳動物の骨髄腫由来の細胞株が、マウス
骨髄腫由来P3X63−Ag8.653である場合、抗
体の断片を産生せず、さらに得られる融合細胞の増殖能
力が特に優れているため、短時間に多くの細胞を検定し
得る。
【0095】免疫する哺乳動物がマウスまたはラットで
ある場合、動物の取り扱い、免疫感作の点で都合がよ
い。免疫する哺乳動物がBALB/C系統マウスである
場合、HBとの親和性が極めて高いモノクローナル抗体
を得ることが可能となる。
【0096】本発明のモノクローナル抗体産生細胞株に
よれば、それを培養することによりHBに対する高い親
和性を有し特異性の高い抗HBモノクローナル抗体を半
永久的に提供し得る。
【0097】本発明のモノクローナル抗体である、HB
1抗体とHB2抗体とを組み合わせて、あるいは、本発
明のモノクローナル抗体と、抗HBポリクローナル抗体
とを組み合わせてサンドイッチ法に使用すれば、高感度
かつ高特異的なHB検出キットを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】HB1抗体を用いた、インヒビションELIS
A法の結果を示すグラフである。グラフのデータは、本
発明の抗HBモノクローナル抗体(HB1抗体)のHB
に対する結合能を示す。
【図2】HB2抗体を用いた、インヒビションELIS
A法の結果を示すグラフである。グラフのデータは、本
発明の抗HBモノクローナル抗体(HB1抗体)のHB
に対する結合能を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/577 C12N 15/00 C //(C12N 5/10 5/00 B C12R 1:91) C12R 1:91) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA44 GA03 GA09 GA18 GA27 HA03 4B064 AG27 CA10 CA20 CC01 CC24 CD30 CE12 DA01 DA13 4B065 AA91X AC14 AC15 BA08 BA24 BB01 BC01 BD14 CA25 CA44 CA46 4H045 AA11 AA20 AA30 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72 GA26 HA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトヘモグロビン(HB)に特異的なモ
    ノクローナル抗体を産生する細胞株であって、 HBで免疫した哺乳動物の脾臓細胞と、哺乳動物の骨髄
    腫由来の細胞とを細胞融合して、融合細胞を得る工程;
    および、 HBに対して特異的なモノクローナル抗体を産生する細
    胞株を該融合細胞の中からクローニングする工程であっ
    て、該融合細胞から産生される抗体を、HBに対する結
    合能について免疫測定法により検定する工程を包含する
    方法により得られる、細胞株。
  2. 【請求項2】 工業技術院生命工学工業技術研究所受託
    番号FERM BP−7288号、またはFERM B
    P−7289号である、請求項1に記載のモノクローナ
    ル抗体産生細胞株。
  3. 【請求項3】 前記哺乳動物の骨髄腫由来の細胞が、マ
    ウス骨髄腫由来P3X63−Ag8.653株の細胞で
    ある、請求項1に記載の細胞株。
  4. 【請求項4】 前記免疫測定法が、酵素免疫測定法(E
    LISA法)である、請求項1に記載の細胞株。
  5. 【請求項5】 前記免疫した哺乳動物が、マウスまたは
    ラットである、請求項1に記載の細胞株。
  6. 【請求項6】 前記免疫した哺乳動物が、BALB/C
    系統マウスである、請求項1に記載の細胞株。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の細胞株により産生され
    る抗HBモノクローナル抗体であって、HBに高い結合
    能を有する、モノクローナル抗体。
  8. 【請求項8】 HBを検出するためのキットであって、
    固相に結合された第1の抗体、および第2の抗体を含
    み、該第1の抗体が請求項7に記載のモノクローナル抗
    体であり、そして該第2の抗体がHBに特異的に結合す
    る標識抗体である、キット。
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