JP3159744B2 - 抗腎抗体、それを含有する腎疾患診断薬、腎疾患診断キットおよび腎疾患由来抗原の測定法 - Google Patents

抗腎抗体、それを含有する腎疾患診断薬、腎疾患診断キットおよび腎疾患由来抗原の測定法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腎疾患患者の尿中に特
異的に存在するヒト腎疾患由来抗原に対して高い選択性
を有する抗腎抗体、該抗体を含有する腎疾患診断薬、腎
疾患診断用キット、および該抗体を利用する腎疾患由来
抗原の測定法に関する。
【0002】特に、日常スクリーニング検査(集団一次
検診)に有用な抗腎抗体、腎疾患診断薬、腎疾患診断用
キットおよび腎疾患由来抗原の測定法に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、腎機能の日常スクリーニング検査
において、尿蛋白、尿沈渣成分の検査法などが実用化さ
れている。このうち、尿蛋白の検査法としては、試験紙
にしみ込ませた指示薬(テトラブロモフェノール・ブル
ー)の蛋白誤差を応用して色調の変化をみる蛋白誤差
法、熱もしくはスルホサリチル酸による変性混濁度をみ
る煮沸法、スルホサリチル酸法などが知られている
(「腎炎のすべて」、1976年1月15日、(株)南
江堂発行)。
【0004】一方、血中の腎疾患マーカーを免疫学的測
定法によって測定して腎疾患を診断する方法が知られて
いる。このような腎疾患マーカーとしては抗腎糸球体基
底膜抗体(抗GBM抗体)、抗α2 −マクログロブリン
抗体、補体などが挙げられる(「結合組織」、6 (3)、26
3-264(1974) ;「医学のあゆみ」、105(9)、812(1978);
特開昭59−35144号公報;特開昭60−1422
58号公報;特開昭61−117456号公報)。さら
に、尿中の腎疾患マーカーを免疫学的測定法によって測
定して腎疾患を診断する方法も知られている。このよう
な腎疾患マーカーとしては腎組織抗原、タム・ホールス
フォール蛋白(THP)、ヒト組織因子、補体もしくは
その分解産物などが挙げられる(特開昭63−1129
94号公報;特開昭60−115864号公報;特開平
2−275359号公報;特開平2−293665号公
報)。さらにまた、以上のような免疫学的測定法に使用
する各腎疾患マーカーに対する抗体も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蛋白誤
差法、煮沸法、スルホサリチル酸法などの尿蛋白の検査
法は腎疾患に特異的な方法ではなく、肝疾患、骨髄腫、
リンパ性白血病等の腎の損傷を伴わない疾患の場合にも
陽性を呈する問題点を有していた。さらに、血中の腎疾
患マーカーを免疫学的に測定する場合、採血が容易でな
いこと、特定の腎疾患にのみ特異的で、日常スクリーニ
ング検査には適用できない方法もあること(例えば、抗
GBM抗体)などの問題点を有していた。
【0006】さらにまた、上記のような尿中の公知の腎
疾患マーカーを免疫学的に測定する方法には種々の問題
点がある。例えば、ヒト尿細管内腔壁、ヒト腎糸球体基
底膜などのヒト正常腎組織抗原を免疫原として作成した
モノクローナル抗体を使用して尿中の抗原量を測定する
方法は、抗体を作成する際にヒト正常組織を使用するた
め抗原の入手が極めて困難である欠点を有している。ま
た、酵素処理によって可溶化した豚腎基底膜抗原で免疫
して、得られた抗体は、特定腎疾患に由来する抗原のみ
に反応するので各種腎疾患の診断には利用できず、さら
に腎疾患以外の疾患に対しても反応し、非特異的(偽陽
性)反応が認められる場合がある。
【0007】本発明は、入手および調製の容易な抗原を
免疫原として利用し、腎疾患由来抗原を選択的に認識
し、腎に障害のない者の尿中の物質とは反応しない抗体
を提供すること、ならびにこのような抗体を利用して検
体中の腎疾患由来抗原を選択的かつ特異的に測定するこ
とによって各種の腎疾患を診断することのできる診断薬
の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、血
液成分を除去した野猪科動物の腎の破砕物で異種動物を
免疫することによって得られ、腎疾患患者の尿中に特異
的に存在するヒト腎疾患由来抗原を選択的に認識する抗
腎抗体を提供するものである。
【0009】また、本発明は、上記の抗腎抗体を含有す
る腎疾患診断薬を提供するものである。
【0010】さらに、本発明は、上記の抗腎抗体を含有
する抗体試薬と、抗原抗体反応を検出する検出試薬とか
らなる腎疾患診断用キットを提供するものである。
【0011】さらにまた、本発明は、尿由来の測定対象
試料と上記の抗腎抗体とを接触させ、抗原抗体反応によ
りヒト腎疾患由来抗原を測定する方法を提供するもので
ある。
【0012】(腎疾患)本発明において腎疾患とは、腎
炎、腎症(ネフローゼ)など、腎臓の糸球体、尿細管ま
たは間質組織などの炎症、変性病変を伴う疾患を指称す
る。このような腎疾患としては、自己抗体、免疫複合体
などの結合、沈着によるもの、細菌の感染によるもの、
薬物の使用、カドミウム中毒、水銀中毒などの中毒性病
変によるもの、原因不明のものなど、種々の原因による
疾患が知られているが、具体的には、例えばグッドパス
ツール症候群、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス
(SLE)腎炎、IgA腎炎などの糸球体腎炎;有毒物
質によって起こる間質性腎炎(イタイイタイ病、水俣病
などによる);ネフローゼ症候群;尿細管障害などが挙
げられる。
【0013】(腎疾患由来抗原)本発明の抗体が認識す
る腎疾患由来抗原とは、このような各種のタイプの腎疾
患患者の尿中に共通に存在し、腎臓に炎症、変性病変の
ない健常人または他の疾患の患者の尿中には、実質的に
存在しない抗原である。
【0014】(抗体)本発明の抗体は、血液成分を除去
した野猪科動物の腎の破砕物で異種動物を免疫すること
によって得られ、上記の腎疾患由来抗原を選択的に認識
し、特異的に反応する抗体である。本発明の抗体は上記
の条件を満足するものであればよく、免疫動物、製法等
は限定されず、ポリクローナル抗体(抗血清など)およ
びモノクローナル抗体を包含する。また、このような抗
体をパパイン、ペプシン、トリプシンなどのプロテアー
ゼで限定分解して得られたフラグメント(例えば、F
(ab’)2 、Fab’、Fabなど)であって本発明
の抗体の特徴を保持するものは本発明の抗体に包含され
る。
【0015】本発明の抗体は、上記腎疾患の患者の尿中
に存在する腎疾患由来抗原を選択的に認識して特異的に
反応するが、健常人ならびに急性肝炎、肝硬変、腎盂炎
など腎臓に炎症、変性病変のない疾患の患者尿とは反応
しない。
【0016】(免疫原)本発明の抗体を調製するための
免疫原は、野猪科動物の腎(腎臓)の破砕物であって、
免疫動物に対して免疫原となり得る血液成分(血液細
胞、血漿タンパク質、血液色素、血液型物質、血液凝固
因子等を含む)を実質的に除去したものであればよい。
【0017】本発明の抗体の免疫原として使用される野
猪科動物の腎とは、豚、野猪、猪豚などの野猪科動物ま
たはこれらと免疫学的に同等な動物学的分類に属する動
物の腎(腎臓)である。破砕物を調製する際には皮膜は
除去しても良いが、他の部分は全て使用することが好ま
しい。
【0018】腎の破砕物は、腎をワーリングブレンダ
ー、ホモジナイザー、乳鉢等で機械的に破砕し、好まし
くは180〜200メッシュ程度のメタルメッシュまた
はこれと同等の分別手段(例えば遠心分離、傾瀉など)
によって分取されるものである。
【0019】また、腎の破砕物は非特異的免疫原となり
得る血液成分が実質的に除去されている必要があり、こ
のために上記機械的破砕処理、分別処理と同時もしくは
前後して、脱イオン水、生理的塩類溶液(生理的食塩
水、リンゲル液など)などの洗浄液を用いて洗浄するこ
とが好ましい。
【0020】このような処理によって調製される腎の破
砕物は、糸球体、尿細管を主体とする混合物と考えられ
る。
【0021】なお、豚腎を可溶化して基底膜抗原を調製
する際に従来採用されていた酵素処理(トリプシン、コ
ラゲナーゼなどの蛋白分解酵素による処理)あるいは化
学修飾(還元−アルキル化など)は、本発明の抗体を得
るための腎破砕物の調製には適しておらず、本発明の目
的である各種の腎疾患の診断には利用できない(比較例
参照)。
【0022】(免疫原の感作)上記免疫原を野猪科動物
以外の異種動物に投与することによって免疫し、常法に
したがってポリクローナル抗体またはモノクローナル抗
体を調製することができる。
【0023】免疫原を免疫感作する異種動物は、上記免
疫原によって感作されて本発明の抗体を産生できる動物
であれば良く、特に限定されない。例えば、ウサギ、マ
ウス、ラット、モルモット、ハムスター、ヤギ、ヒツ
ジ、ウシ、ウマ、ニワトリ、アヒル等が挙げられ、特に
ウサギ、ラット、マウス、ヤギが好適である。
【0024】異種動物への免疫原の投与に際し、好まし
くは常法により上記免疫原とアジュバント(完全フロイ
ントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、ア
ルミニウムアジュバント、百日咳菌アジュバントなど)
との混合物(懸濁液)を調製し、これを上記動物の皮
下、皮内、静脈内または腹腔内に投与する。
【0025】投与量は、動物としてウサギを使用する場
合には血液を除去した後の腎の破砕物として5mg程度が
好適である。
【0026】初回投与後、1〜5週間に一度、1〜5回
程度同様に追加免疫を行うと上記免疫原に対する抗体が
免疫感作された動物の体内に産生される。このように産
生された抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクロー
ナル抗体として常法により採取される。
【0027】(ポリクローナル抗体)上記動物の体内に
産生された抗体は、動物の血液から適当な分離精製手段
によって抗血清として採取される。また、鳥類の卵から
採取しても良い(特開昭62−215534号、特開平
1−7163号、特開平3−151853号公報参
照)。
【0028】血液からの抗血清の分離は、採血した血液
を放置後、遠心分離することによって行うことができ
る。このような抗血清をさらに精製する必要があるとき
は、溶解度差を利用した選択的分別法(硫酸ナトリウ
ム、硫酸アンモニウム等の中性塩による塩析、低温アル
コール沈澱など)、電荷の差を利用した分別法(等電点
沈澱、電気泳動、イオン交換クロマトグラフィーな
ど)、抗体、イムノグロブリンとの特異的親和性の差を
利用する分別方法(プロテインA等によるアフィニティ
ークロマトグラフィーなど)、担体への吸着係数の差を
利用する方法(ハイドロキシアパタイト吸着体等による
吸着クロマトグラフィーなど)、分子量の差を利用する
分別法(ゲル濾過法、超遠心法など)など、抗血清の精
製法として通常用いられる方法を適宜組み合わせて分離
精製を行うことができる。
【0029】得られた抗体の保存には、必要に応じて加
温(加熱)処理、保存剤(アジ化ナトリウムなど)の添
加を行い、さらに凍結または乾燥処理(凍結乾燥法な
ど)を行って保存することができる。なお、乾燥に際
し、安定化剤(サッカロース、マルトース、ラクトー
ス、デキストラン、血清アルブミンなど)を添加しても
良い。
【0030】(モノクローナル抗体)本発明によるモノ
クローナル抗体の調製は、免疫原として前述の腎の破砕
物を使用する他は、基本的に全て公知の方法を利用する
ことができる(G. Kohler etal, Eur. J. Immunol., 6,
511-519(1976);M.Shulman et al, Nature, 276, 269-2
70(1978);「単クローン抗体−ハイブリドーマとELI
SA−」,(株)講談社,1983年2月20日発行な
ど参照)。抗体産生細胞の単一クローンを作製する方法
としては、細胞融合法、EBウイルスなどによるトラン
スホーメーション法など公知の方法を適用することがで
きる。以下に細胞融合法による方法を一例として説明す
る。
【0031】a)抗体産生細胞の調製 前記の方法によって免疫原を感作して抗体産生能を獲得
した動物(好ましくはマウス、ラット)から、常法によ
って抗体産生細胞(脾細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞
など)を採取する。例えば、免疫動物から抗体価の上昇
の認められた個体を選択し、最終免疫の2〜5日後に脾
臓、リンパ節などを採取し、それらに含まれる抗体産生
細胞をミエローマ細胞との細胞融合に供する。
【0032】b)ミエローマ細胞 ミエローマ(骨髄腫)細胞としては、マウス、ラット、
ヒトなどの種々の動物に由来し、当業者が入手可能な株
化細胞を使用できる。このような細胞株としては、薬剤
抵抗性を有し、未融合の状態では選択培地で生存でき
ず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質
を有するものが好ましい。通常、8−アザグアニン耐性
株が用いられ、この細胞株はヒポキサンチン−ホスホリ
ボシルトランスフェラーゼを欠損し、ヒポキサンチン・
アミノプテリン・チミジン(HAT)培地中では生育で
きない。また、細胞の性質として免疫グロブリンを分泌
しない、いわゆる非分泌型の細胞株であることが好まし
い。
【0033】ミエローマ細胞の具体例としては、P3−
X63−Ag8(ATCC TIB−9)〔Nature, 256,
495-497(1975)〕、P3−X63−Ag8−U1(P3
1 )(ATCC CRL−1597)〔Current Topics
in Microbiology and Immunology, 81, 1-7(1978)〕、
P3−X63−Ag8−6.5.3(ATCC CRL−
1580)〔J. Immunology, 123, 1548-1550(1979)
〕、P2/NSI/1−Ag4 −1(ATCC TIB
−18)〔J. Immunology, 123, 1548-1550(1979)〕、
SP2/O−Ag14(ATCC CRL−1581)〔Na
ture, 277, 131-133(1979)〕などのマウス由来のミエロ
ーマ細胞;210.RCY.Ag1.2.3(Y3−Ag
1.2.3)(ATCC CRL−1631)〔Natur
e, 277, 131-133(1979)〕などのラット由来のミエロー
マ細胞を例示することができる。
【0034】c)細胞融合/ハイブリドーマの選択的増
殖 抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合は公知の方
法、例えばケーラーとミルスタインの方法〔Nature, 25
6, 495-497(1975)〕に従って実施し、両細胞を融合させ
てハイブリドーマを形成させることができる。
【0035】細胞融合剤を使用する方法の場合、細胞融
合剤としてはポリエチレングリコール(PEG)、セン
ダイウイルスなどを使用することができるが、PEGが
好ましい。PEGの具体例としては、平均分子量100
0〜6000のものが用いられる。
【0036】細胞融合は、上記細胞融合剤(PEGの場
合、10〜80%)を含む動物細胞培養用培地(PRM
I1640培地、イーグル最少基本培地(MEM)な
ど)中、ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを、混合比
1:1〜20、好ましくは1:4〜10の比率で混合
し、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で3〜10
分間インキュベートすることによって実施できる。
【0037】なお、細胞融合方法としては、細胞融合剤
を使用する方法だけでなく、電気パルスを使用する公知
の細胞融合装置を使用する方法を採用することもでき
る。
【0038】上記細胞融合操作後、培地をハイブリドー
マの生育にのみ適したものに交換して培養することによ
って、ハイブリドーマだけを含む培養物を得る。このよ
うな選択培地としては、使用するミエローマ細胞が8−
アザグアニン耐性株であるときは通常HAT培地(ヒポ
キサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する
上記動物細胞培養用培地)が使用される。例えば、細胞
をウシ胎児血清(FCS)を含むHAT培地に懸濁して
マイクロプレート上に分注し、以後適当にHAT培地を
交換して培養を行うことによって、ハイブリドーマのみ
を選択的に生育させることができる。
【0039】d)目的抗体産生ハイブリドーマの選択/
クローニング 上記のように生育させたハイブリドーマから、腎疾患由
来抗原を選択的に認識してこれと特異的に反応する本発
明の抗体を自体公知の方法を応用して選択する。例え
ば、前記免疫原と同様の方法で得られた抗原をマイクロ
プレートのウェルに吸着させ、これにハイブリドーマの
培養上清を添加し、産生されたモノクローナル抗体とプ
レートに吸着した抗原を反応させて免疫複合体を形成さ
せる。これと酵素などで標識した標識抗免疫グロブリン
抗体を反応させる。次いでウェルに結合した標識物質ま
たは遊離の標識物質の何れかを測定する。標識物質が酵
素(例、ペルオキシダーゼ)である場合、すなわち酵素
標識免疫定量法(ELISA)による場合、使用した酵
素の基質(例、過酸化水素)と発色剤(例、3,3´,
5,5´- テトラメチルベンジジン(TMB)、O−フ
ェニレンジアミンなど)を加えて反応させ、吸光度の変
化を測定する。これによって抗原と免疫複合体を形成し
たウェル、すなわち目的の抗体を産生するハイブリドー
マを含むウェルを選別する。
【0040】限界希釈法、蛍光活性化セルソーター法な
ど常法によって選別されたハイブリドーマのクローニン
グを行い、本発明の抗体を産生するハイブリドーマを得
る。得られたハイブリドーマは、継代培養すれば、本発
明の抗体の製造にそのまま使用でき、必要に応じて公知
の方法によって凍結保存することもできる。
【0041】e)モノクローナル抗体の製造 上記ハイブリドーマを用いて本発明の抗体を製造する場
合、動物細胞の培養に使用される通常の栄養培地または
無血清培地中でハイブリドーマを大量培養して培地中に
本発明の抗体を分泌、蓄積させるか、あるいはハイブリ
ドーマを、主要組織適合性が一致する動物、例えばBA
LB/cマウスなどに、プリスタン(2,6,10,1
4−テトラメチルペンタデカン)を予め投与した後、腹
腔内に投与し、腹水腫瘍を形成させて腹水中に本発明の
抗体を蓄積させることができる。
【0042】培養上清または腹水として得られたモノク
ローナル抗体をそのまま本発明による腎疾患由来抗原の
イムノアッセイ(免疫測定法)に使用できるが、抗血清
の精製法として前記した方法と同様の方法によってさら
に精製して使用してもよい。
【0043】(腎疾患由来抗原の測定法/腎疾患の診
断) 本発明による腎疾患由来抗原の測定法は、採取した尿そ
のもの、または尿に前処理を施したもの(本明細書にお
いて、これらを「尿由来の測定対象試料」という)を使
用し、上記の本発明の抗体と尿中に存在する腎疾患由来
抗原との抗原抗体反応を利用して該抗原を定量的または
定性的に測定する方法であれば、イムノアッセイ(免疫
測定法)の測定系の種類に関わらず全てを包含する。す
なわち、沈降反応や凝集反応を光学的に検出する免疫比
濁法(Turbidimetric Immunoas
say)、ゲルを支持体として用いて抗原と抗体を拡散
させ、沈降線または沈降輪を形成させる免疫拡散法(I
mmunodiffusion)、または分別検出の容
易な物質で標識した抗原または抗体を用いる標識化免疫
測定法(Labeled Immunoassay)の
何れの測定系も本発明の測定法に適用できる。より具体
的には、免疫比濁法としては、本発明の抗体を結合した
ポリスチレン微粒子(ラテックス)、赤血球などを担体
粒子として使用する凝集反応法などが例示され;免疫拡
散法としては、本発明の抗体の担体として寒天ゲル、ア
ガロースゲル、セルロースアセテート膜、デキストラン
ゲルなどを使用するオクタロニー拡散法、ウーダン拡散
法などが例示され;標識化免疫測定法としては、酵素を
標識物質として使用するエンザイムイムノアッセイ(酵
素免疫測定法,EIAまたはELISA(Enzyme
Linked Immunosorbent Ass
ay));放射性同位元素を標識物質として使用するラ
ジオイムノアッセイ(放射線免疫測定法,RIA)、蛍
光物質を標識物質として使用する蛍光イムノアッセイ
(蛍光免疫測定法)などが例示される。これらの測定法
は、公知の方法[入江 實編、「続ラジオイムノアッセ
イ」、(株)講談社、1979年5月1日発行;石川栄
治ら編、「酵素免疫測定法」、第2版、(株)医学書
院、1982年12月15日発行;Methods i
n Enzymology,Vol.92(198
3),ImmunochemicalTechniqu
es,Part E: Monoclonal Ant
ibodies and General Immun
oassay Methods,アカデミックプレス社
発行 参照]に準じて実施される。
【0044】これらの方法のうち、免疫拡散法は簡便
で、迅速に測定を行うことができ、腎疾患由来抗原の定
性または半定量的測定に好適であり、標識化免疫測定法
は測定試薬をキット化すれば簡便な測定も可能で、同時
に定量性もあるので、腎疾患由来抗原の定量的測定に好
適である。
【0045】なお、標識化免疫測定法による場合、本発
明の抗体を、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスフ
ァターゼ、β−ガラクトシダーゼなど)、放射性同位元
素( 125 I、131 I、3 Hなど)、蛍光物質(フルオレ
セインイソチオシアネート、ウンベリフェロンなど)、
化学発光物質(ルミノールなど)などの標識物質で直接
標識するか、または他の物質(ビオチン−アビジン(も
しくはストレプトアビジン)系、抗免疫グロブリン抗体
など)を介して間接的にこれらの標識物質で標識して測
定に供する。
【0046】抗体の標識方法は、標識物質に適した公知
の方法、例えば、酵素で標識する際にはグルタルアルデ
ヒド法、過ヨウ素酸架橋法、マレイミド架橋法、カルボ
ジイミド法など、放射性同位元素で標識する際にはクロ
ラミンT法、ラクトペルオキシダーゼ法など[「続生化
学実験講座 5 免疫生化学研究法」、(株)東京化学
同人、1986年発行;ヨーロッパ特許EP,B1,0
163041参照]から適宜選択できる。
【0047】抗原抗体反応後、検体中の抗原と結合した
抗体(サンドイッチ結合物を含む)と、未結合の遊離の
状態の抗体との分離(BF分離)が必要な場合、液相法
(二次抗体、ポリエチレングリコール、デキストラン炭
末などを使用する)または固相法(固相化した本発明の
抗体を使用する)のいずれの方法によってもよいが、固
相法が好適である。
【0048】本発明抗体を試験管、ビーズ、マイクロプ
レート、濾紙、ラテックスなどの固相に固定化する方法
としては、物理的吸着法、共有結合法、包括法など固定
化酵素の調製法として一般的な方法[「固定化酵素」、
1975年3月20日、(株)講談社発行、第9〜75
頁参照]を応用することができる。特に物理的吸着法は
簡便な点で好ましい。なお、抗体が結合していない部分
を血清アルブミン、ゼラチンなどによってブロッキング
することが好ましい。
【0049】
【実施例】
実施例1(抗血清の調製) 正常豚腎3850g の皮膜を除いた後、生理食塩水で洗
浄し、ワーリングブレンダーで20秒間破砕し、懸濁液
450mlを得た。得られた懸濁液をメタルメッシュ#4
0(#番号は、網目の大きさを示すJIS規格番号)に
通し、素通り部分をさらにメタルメッシュ#115、#
150及び#180の順に段階的に通過させた。メタル
メッシュ#180を素通りしなかった残渣を脱イオン水
で洗浄して血液成分を除去した。この残渣を脱イオン水
に懸濁して懸濁液30mlを調製し、豚腎ホモジネート
(破砕物)とした。
【0050】豚腎ホモジネート1.0mlに等量の完全フ
ロイントアジュバント((株)ヤトロン 販売)を加
え、ウサギ(JW、体重2.5kg)の背中、尻、横腹に計
1mlを皮下注射(感作)した。感作は2週間に1度計5
回行い、ゲル内二重拡散法(オクタロニー拡散法)によ
り抗体価の上昇を確認した。
【0051】最終感作日より1週間後に、頸静脈切開に
より全採血した。ひきつづき室温で1時間、4℃で一晩
放置後、2000rpm で、5分間遠心分離を行い、得ら
れた血清62mlを56℃で30分間加熱処理を行い非働
化した後、防腐剤として0.06g のアジ化ナトリウム
を添加し(0.1%(w/v))、抗血清を得た。
【0052】(抗血清のゲル内二重拡散法(オクタロニ
ー拡散法)による評価)得られた抗血清について、ゲル
内二重拡散法(オクタロニー拡散法)によって種々の腎
疾患患者の尿検体および対照(健常人および肝疾患患
者)尿検体を用いて抗原特異性を調べた。
【0053】ゲル内二重拡散法は以下の操作法に従って
行った。すなわち、清浄なガラス板(5cm×5cm)を水
平に保ち、ベロナール緩衝液(pH8.6,イオン強度
0.05)に溶解した0.8%アガロース溶液をガラス
の全面に広がるように注ぎ、厚さ2mmのゲル平板を作っ
た。完全にゲル化後、円形の穴(ウェル;径2mm,間隔
9mm)を作り、各ウェルに抗血清、標準抗原溶液および
各尿検体をそれぞれ20μl加え、ゲルの乾燥を避ける
ために湿潤箱に静置し、12時間反応させた。その後、
沈降線の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0054】なお、標準抗原溶液としては、上記豚腎ホ
モジネートを音波処理(4ヘルツ、5分間)し遠心分離
(150×G、15分間)した後の上澄液(1mg蛋白/
ml)を使用した。
【0055】
【表1】
【0056】表1中の沈降線の有無について判定は以下
の基準によった。 − ・・・・ 沈降線を形成しない + ・・・・ 沈降線が明瞭 ++ ・・・・沈降線が非常に明瞭 また、表1中の「カドミウム中毒による腎炎」とは尿細
管障害を伴うイタイイタイ病である。
【0057】表1から明らかなように、健常人の尿、従
来の腎疾患の検査法では偽陽性の出る場合がある肝疾患
患者の尿、および腎の外部病変である腎盂炎(本発明に
いう腎疾患には該当しない)には本抗血清と反応する成
分は全く検出されなかった。一方、種々の腎疾患患者の
尿は本抗血清と反応して明瞭な沈降線を形成し、各腎疾
患の沈降線は互いに融合し、同一の抗原性を有すること
が示された。
【0058】(抗血清の重層法(定性的沈降反応)によ
る評価)得られた抗血清について、重層法(定性的沈降
反応)によって種々の腎疾患患者の尿検体および対照
(健常人および肝疾患患者)尿検体を用いて抗原特異性
を調べた。
【0059】重層法は以下の操作法に従って行った。す
なわち、上記抗血清をリン酸緩衝生理食塩水(以下、P
BSという)で2倍ずつ段階的に希釈し(128倍希釈
まで)、毛細試験管(2×40mm)の底部に150μl
ずつ注入した。次いで標準抗原溶液(前記、1mg/m
l)、健常人尿および腎疾患(急性糸球体腎炎、ネフロ
ーゼ)患者尿を各50μl 、抗血清の上に界面を乱さぬ
ように重層した。20分後に現れたリング状の沈降線を
蛍光灯の明りに透かして観察した。結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】表2の沈降線の有無についての判定は以下
の基準によった。 - ・・・・ 沈降線を形成しない 1+ ・・・・ 沈降線が明瞭 2+ ・・・・ 沈降線が非常に明瞭 3+ ・・・・ 太い沈降線を形成(時間が経過すると沈澱)
【0062】表2から明らかなように、健常人尿中には
本抗血清と反応する成分は全く検出されなかった。一
方、糸球体腎炎およびネフローゼの患者の尿中には希釈
倍率4〜8倍において本抗血清と反応して明瞭な沈降線
を形成する成分が存在した。
【0063】実施例2(精製抗体の調製) 実施例1で得られた抗血清48mlに対して34%(W/V)
硫酸ナトリウム溶液48mlを添加した。生じた沈澱を1
0,000rpm 、30分間、遠心分離し、沈澱を17%
(W/V)硫酸ナトリウム溶液で2回洗浄した。洗浄した沈
澱を0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解
し、全量を50mlとした。固形の硫酸ナトリウムを7.
5g/50ml添加して再沈澱操作を2回繰り返し、最終沈
澱を上記トリス−塩酸緩衝液に溶解した。次いで50mM
炭酸水素アンモニウム溶液で平衡化したセルロファイン
GH−25m(生化学工業株式会社販売)カラム(2.
2×50cm)に通過させ、脱塩した後、凍結乾燥し、実
施例1の抗血清のIgG(イムノグロブリンG)画分の
乾燥物250mgを得た。
【0064】実施例3(ビオチン標識抗体の調製) 実施例2で得られた精製抗体10mgをPBS(pH7.
2)1mlに溶解し、(N−ヒドロキシサクシンイミド)
ビオチン20mg(58.5μmol)を含有するPBS12
mlを加え、氷酢酸でpH3.0に調整し、20℃で5時
間反応させた。次いで50mM炭酸水素アンモニウム溶液
で平衡化したセルロファインGH−25mカラム(2.
2×50cm)を通過させ、脱塩した後、凍結乾燥し、ビ
オチン標識抗体の精製物7mgを得た。
【0065】実施例4(抗体固定化赤血球の調製) 洗浄したヒツジ赤血球4%浮遊液12mlに、実施例2で
得られた精製抗体50mgを含む0.01M PBS(pH
7.2)2mlを混合した。これに2.5%グルタルアル
デヒド溶液3mlを滴下し、25℃、1時間攪拌した。次
いで遠心分離操作を行いながら沈澱をPBSで洗浄し、
残渣に1M グリシン溶液(pH8.0)5mlを加え、4
℃で12時間反応させた。反応後、PBSで洗浄し、ゼ
ラチン−ベロナール緩衝液を加えて10%抗体固定化赤
血球浮遊液5mlを得た。
【0066】実施例5(モノクローナル抗体の調製) 実施例1で得られた豚腎ホモジネート0.5mlと完全フ
ロイントアジュバント0.5mlとを混合し、マウス(BA
LB/c、5週令、体重25g )の背中、尻に計0.5ml皮
下注射(感作)した。2週間後に2度目の感作を行い、
抗体価の上昇をマイクロプレートを用いる二抗体サンド
イッチ法ELISAにより確認した。さらに3週間後、
最終免疫として、豚腎ホモジネートを音波処理(4ヘル
ツ、5分間)し、遠心分離(150×G、15分間)し
た後の上澄0.3mlを、静脈内投与した。
【0067】これより4日後に脾細胞(9.0×107
個)を分離し、マウスミエローマSP2/0細胞〔アザ
グアニン耐性、IgG非分泌;ATCC CRL−15
81〕(2.0×107 個)と混合し、45%ポリエチ
レングリコール#4000(シグマ社販売)にて自然融
合させ、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリ
ン、チミジン含有、20%FCS培地)に懸濁後、24
穴マイクロプレートに分注した。ひきつづきCO2 イン
キュベータ(5%CO2 、37℃)で培養し、2〜3日
ごとに培地の半量を交換した。融合後、10日目にHT
培地(HAT培地からアミノプテリンを除いたもの)に
切り換え、コロニー形成の有無をチェックした後、ウエ
ルの上澄みを一部採取し、前記ELISAにより抗体活
性を測定した。特異性の異なる数種類の抗体を産生する
ハイブリドーマが確認された。これらハイブリドーマに
ついて限界希釈法によってクローニングを繰り返し、腎
疾患由来抗原と特異的に反応する目的の抗体を産生する
クローンを得た。
【0068】つづいてマウス腹腔内にプリスタン(和光
純薬工業株式会社販売)0.1mlを投与し、1週間後に
上記のクローン化したハイブリドーマ3×107 個を同
マウス腹腔内に投与し、さらに2週間後、腹水の大量貯
留が認められた時点に腹水を回収し、最終的な腹水型モ
ノクローナル抗体とした。
【0069】得られたモノクローナル抗体について、種
々の腎疾患患者の尿検体および対照尿検体を用いて抗原
特異性を調べたところ、実施例1の抗血清と同様に腎疾
患患者の尿中の抗原とは反応したが、健常人および肝疾
患患者の尿中の抗原とは反応しなかった。
【0070】なお、二抗体サンドイッチ法ELISAは
以下の方法で行った。すなわち、抗原としては豚腎ホモ
ジネートを音波処理(4ヘルツ、5分間)し、遠心分離
(150×G、15分間)した後の上澄液を使用し、こ
れを常法に従ってマイクロプレートに吸着させた。感作
したマウスの血清またはハイブリドーマの培養上清(一
次抗体)を上記マイクロプレート上の抗原と反応させ、
さらに二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスイ
ムノグロブリン(IgA+IgG+IgM)抗体(Ca
ppel社製造)を反応させ、BF分離後、標識酵素の
基質としてH22 水溶液を含むTMB溶液を使用し、
450nmの吸光度を測定することによって酵素活性を測
定した。
【0071】実施例6(赤血球凝集反応法による腎疾患
由来抗原の測定) 実施例4で得られた抗体固定化赤血球を用いる赤血球凝
集反応法によって各種の腎疾患患者尿、健常人尿(対
照)、腎盂炎患者尿(対照)および標準抗原(実施例1
参照)溶液中の腎疾患由来抗原を測定した。すなわち、
1%抗体固定化赤血球浮遊液25μl と検体25μl の
それぞれをマイクロプレート(ヌンク社製)のウェルに
加えて振盪後、37℃、2時間加温し、4℃、12時間
静置後、凝集の程度を判定した。結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】表3中の凝集の程度について判定は以下の
基準によった。 - ・・・・ 赤血球のボタン状沈澱 ± ・・・・ ボタン状沈澱の周辺に若干の顆粒状の沈澱 1+ ・・・・ ボタン状沈澱の周辺に広がった顆粒状の沈澱 2+ ・・・・ ボタン状沈澱の周辺に大きく広がった顆粒状の
沈澱 3+ ・・・・ ボタン状沈澱が消失し、ウェル全体に広がった
沈澱 4+ ・・・・ ウェル一面に広がった顆粒状の沈澱
【0074】表3から明らかなように、健常人および腎
盂炎患者の尿中には本抗体固定化赤血球と反応して凝集
する成分は全く検出されなかったが、種々の腎疾患患者
尿では明らかな顆粒状沈澱の凝集像(×256まで)を
認めた。従って、本方法は腎疾患由来抗原を選択的に測
定することができ、腎疾患の特異的な診断法として有用
である。
【0075】実施例7(ELISA法による腎疾患由来
抗原の測定) 実施例2の精製抗体(5μg/ml−炭酸水素ナトリウ
ム−炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.6)100μlを
96穴マイクロプレート(ポリスチレン製)に分注し、
4℃で一晩放置した。ウェルを0.05%ツィーン20
含有PBS(洗浄液)で十分洗浄し、2%牛血清アルブ
ミン含有PBS200μlを加えて37℃で2時間放置
し、上記洗浄液で洗浄した後、実施例1と同様の標準抗
原溶液及び種々患者尿各100μlを加え、37℃、2
時間加温した。ウェルを上記の緩衝液で洗浄後、実施例
3で得られたビオチン標識抗体(5μg/ml−1%牛
血清アルブミン含有PBS)溶液100μlを加え、さ
らに37℃で1時間加温した。ひきつづきペルオキシダ
ーゼ標識アビジン溶液(シグマ社、1μg/ml−0.
05%ツイーン20含有PBS)を100μlずつ加
え、37℃、30分間反応させ、ウェルを上記の緩衝液
で十分洗浄後、基質溶液(0.002%H、1%
TMB、0.1M酢酸ナトリウム・クエン酸緩衝液、p
H6.0)100μlを加え、室温で15分間反応させ
た。さらに2M硫酸50μlを加え、マイクロプレート
リーダーで450nmの吸光度を測定した。結果を表4
に示す。
【0076】
【表4】
【0077】実施例8(比較試験) 以下の手法(a)および(b)により調製した豚腎由来
の抗体2種と、実施例1で得られた本発明の抗体の種々
腎疾患尿に対する反応性をオクタロニー拡散法(実施例
1参照)により比較した。結果を表5に示す。
【0078】(a)豚腎糸球体および尿細管基底膜のト
リプシン消化可溶性抗原に対する抗体の調製 実施例1に示した方法で豚腎からメッシュ操作により最
終的に得られた残渣を、音波処理により均一に分散さ
せ、2,000rpm 、5分間遠心し、その沈澱を0.1
M ホウ酸緩衝液(pH8.2)に懸濁させ、60℃、3
0分間の加熱処理を行い、熱変性基底膜を得た。ひきつ
づき沈澱10g に対して10mgのトリプシン(ウシ膵由
来)を加え、37℃、20時間消化後、60℃、30分
間処理により、消化を停止し、消化物を47,300×
G、50分間超遠心して、その上澄液を0.01M 炭酸
水素アンモニウム溶液に対して透析後、凍結乾燥した。
以後、実施例1と同様にウサギに免疫し、ポリクローナ
ル抗体(抗TR−BM抗体)を得た。
【0079】(b)還元−アルキル化による豚腎由来可
溶性基底膜抗原に対する抗体の調製 (a)と同様に調製した音波処理残渣12g に8M 尿
素、5%メルカプトエタノールを含む1M トリス−塩酸
緩衝液(pH9.1)を20ml加え、42℃、24時間
加温し、20%(W/V)モノヨード酢酸を20ml加え、暗
所で15分間反応後、50%(V/V) 酢酸に対して透析、
10mM炭酸水素アンモニウム溶液で平衡化したセファデ
ックスG−75(ファルマシア社製)カラム(5×50
cm)に通し、ボイドボリューム画分を集め、実施例1と
同様にウサギに免疫し、ポリクローナル抗体(抗RA−
BM抗体)を得た。
【0080】
【表5】
【0081】表5から明らかなように、基底膜をトリプ
シン処理によって可溶化した上記(a)の基底膜抗原
(低分子化トリプシン消化可溶性基底膜抗原)を免疫し
て得られた抗TR−BM抗体、またはS−S結合を還元
して切断後、SH基をアルキル化することにより保護し
た基底膜抗原(化学修飾可溶性基底膜抗原)を免疫して
得られた抗RA−BM抗体を用いた場合、いずれも特定
の腎疾患に由来する抗原のみに反応し、すべての腎疾患
患者の尿中の抗原とは反応しなかった。
【0082】一方、本発明の腎破砕物で免疫して得られ
た抗体は、多種類の腎疾患患者の尿中の抗原と反応し、
腎疾患由来抗原に対する選択性と感度が高かった。した
がって、本発明の測定法は、腎疾患の特異的診断法とし
て有用であった。
【0083】
【発明の効果】本発明の抗体は、豚など野猪科動物の腎
の破砕物を免疫原として得られるので入手および調製が
容易であって、しかも腎疾患由来抗原に対する選択性と
感度が高い。また、従来の腎基底膜抗原で免疫して得ら
れた抗体は特定の腎疾患に由来する抗原としか反応しな
いか、または腎疾患以外の疾患においても偽陽性を呈す
る場合もあるのに比べ、本発明の抗体は腎疾患に由来す
る抗原と特異的に反応し、かつ腎疾患以外の疾患におい
ては偽陽性を示さなかったことから汎用性を有する抗体
である。
【0084】上記抗体を使用する本発明の測定法は、尿
中の腎疾患由来抗原を選択的に測定することができ、腎
疾患の特異的な診断に役立つ測定法である。本測定法は
多種類の腎疾患に由来する抗原を測定できるので、広範
囲の腎疾患の診断を目的とする一次検診に特に有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−112994(JP,A) 特開 昭56−158945(JP,A) Int.J.Biochem.,Vo l.8,No.11,(1977)p.763− 768 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 16/18 G01N 33/53 C12P 21/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮膜及び血液成分を除去した野猪科動物
    の腎の残り全ての破砕物で異種動物を免疫することによ
    って得られ、腎疾患患者の尿中に特異的に存在するヒト
    腎疾患由来抗原を選択的に認識する抗腎抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の抗腎抗体を含有する腎疾
    患診断薬。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の抗腎抗体を含有する抗体
    試薬と、抗原抗体反応を検出する検出試薬とからなる腎
    疾患診断用キット。
  4. 【請求項4】 尿由来の測定対象試料と請求項1記載の
    抗腎抗体とを接触させ、抗原抗体反応により腎疾患由来
    抗原を測定する方法。
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Int.J.Biochem.,Vol.8,No.11,(1977)p.763−768

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