JP3638731B2 - 多剤耐性ブドウ球菌抗原の抽出方法 - Google Patents

多剤耐性ブドウ球菌抗原の抽出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多剤耐性ブドウ球菌(メチシリン耐性ブドウ球菌(以下、「MRSA」ということがある)を包含する)抗原の抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1960年頃ペニシリン系抗生物質の1つであるメチシリンに対して抵抗性を有する黄色ブドウ球菌が英国で報告されて以来、日本国内でも1980年頃からペニシリン系及びセフェム系抗生物質のβラクタム剤に抵抗性を示すMRSAの検出率が増加してきた。このMRSAはβラクタム剤のみならず他の種々の抗生物質にも抵抗性を示し、難治性で院内感染の原因菌として重要視されてきた。最近ではMRSAに有効な治療法が開発されてはいるが、副作用の問題、あるいは新たな耐性菌出現の予防の観点から、MRSA以外のブドウ球菌感染者を含む全ての患者に画一的にその方法を提供することは好ましくなく、MRSAの有無を知ることにより、MRSA感染者あるいはMRSA汚染箇所に対して適切な処置を行うことが重要であると考えられている。
【0003】
ブドウ球菌感染者又は医療施設若しくは医療器具をはじめとする環境から検出されたブドウ球菌が多剤耐性菌か否かを判定する方法は、希釈法、ディスク感受性試験等の薬剤に対する抵抗性を培養によって計り知る試験方法が一般的に知られている。しかしながら、これら方法は培養時間が35℃で18時間〜24時間必要であること、接種菌濃度、培養温度、培地組成あるいは使用する薬剤等によって試験成績が異なることが知られ、手技的にも熟練が必要であった。
【0004】
MRSAをはじめとする多剤耐性ブドウ球菌の薬剤耐性機構の本質は、ブドウ球菌のムレイン架橋酵素である4種類のペニシリン結合タンパク(PBP1、PBP2、PBP3及びPBP4)に新たな代替酵素(ペニシリン結合タンパク2’(PBP2’))が出現したことによることが知られている(Y. Utsui and T. Yokota Antimicrobial Agents and Chemotherapy Vol. 28, No. 3, p397-403 (1985)) 。すなわち、全てのブドウ球菌が共通に保有するPBP1〜4は細胞壁の構成成分であるムレインを架橋し、細胞壁を合成する酵素であるが、ペニシリン系あるいはセフェム系等のβラクタム系抗生物質により不活性化され、それら抗生物質に抵抗性を持たないブドウ球菌は細胞壁合成が不能となることによりやがて死滅する。しかしながら、MRSAはβラクタム系抗生物質との接触によって、それらにより不活性化されない新たなペニシリン結合タンパク、すなわちPBP2’を合成し、細胞壁合成の役割を代替することにより増殖し続けることが可能となる。
【0005】
MRSAをはじめとする多剤耐性ブドウ球菌の産生するPBP2’を非放射性試験法によって検出しようとする試みはD.M.O'Haraら(FEBS Lett. Vol. 212, No. 2, p237-241 (1987))あるいはJ.L.Gerberdingら(Antimicrobial Agents and Chemotherapy Vol. 35, No. 12, p2574-2579 (1991)) により報告されたウェスタンブロット法による免疫学的検出法が知られている。この方法では抗原を含む細胞膜画分を超遠心分離法によって調製しており、煩雑で一般の検査施設で実施するには困難である。また、PBP2’に対する抗体を用いた放射免疫測定法及び酵素免疫測定法等も知られているが(特開平5−339289号公報、K.Sekiguchi ら(Microbiol. Immunol. Vol. 39, p545-550, 1995)、これらの方法では、抗原の抽出を尿素を変性剤として用いて行っている。このため、その後の免疫測定において、変性剤が反応系に存在することにより、測定時間に数時間を要し、日常の検査に用いるには不便である。
【0006】
一方、多剤耐性ブドウ球菌の産生するPBP2’をコードする遺伝子mecAをPCR法によって遺伝子工学的に検出し、試験菌株における該遺伝子の保有状況を以てMRSAの鑑別を行う方法についても知られている(生方ら、J. Clin. Microbiol., Vol. 30, p.1728-1733 (1992)) 。しかしながら、この遺伝子の保有状況は必ずしもブドウ球菌の多剤耐性を反映しているとは限らず、遺伝子を保有しているにもかかわらず多剤耐性を獲得していないブドウ球菌が存在することが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、迅速、簡便にMRSAをはじめとする多剤耐性ブドウ球菌の抗原を抽出することができ、かつ、抽出された抗原を抗原として用いる免疫測定法により高感度に多剤耐性ブドウ球菌抗原を検出又は定量することができる、多剤耐性ブドウ球菌抗原の抽出方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、特定の塩基性物質の水溶液を抽出用液として用いることにより上記本発明の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、多剤耐性ブドウ球菌を、アルカリ金属の水酸化物若しくは炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物若しくは炭酸塩、又はアミンの水溶液で抽出することから成る、多剤耐性ブドウ球菌抗原の抽出方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の方法に用いることができるアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物の例として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム及び水酸化バリウムを挙げることができ、これらのうち、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。また、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩の例として、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム及び炭酸バリウムを挙げることができ、これらのうち炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムが好ましい。また、本発明の方法に用いることができるアミンの例として、水酸化アミンを挙げることができる。
【0011】
抗原の抽出に用いられる水溶液(以下、「抽出用水溶液」ということがある)のpHは11.0以上が好ましく、12.0〜13.5がさらに好ましい。なお、MRSAの浮遊液等を抽出処理する場合には、菌体液と抽出液の混合物のpHが11.0以上であることが好ましい。また、抽出用水溶液中の上記塩基の濃度は0.05Mないし0.5Mが好ましい。
【0012】
抗原の抽出は、検体を上記抽出用水溶液で抽出処理することにより行うことができる。抽出温度は、25〜100℃が好ましく、抽出時間は1分〜60分程度が好ましいが、これより長くても差し支えない。抽出温度が高いほど抽出時間は短くてよく、例えば100℃ならば1〜3分程度でよく、95℃ならば5分〜10分程度でよく、25℃〜37℃程度ならば60分程度が好ましい。
【0013】
上記の方法により抽出された抗原を検体として用い、かつ、抗PBP2’抗体(ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよい)を用いて通常の免疫測定法を行うことにより、抗原、ひいてはMRSAを検出又は定量することができる。
【0014】
免疫測定に供する前に、抗原を含有する抽出液を適当な緩衝剤又は酸、好ましくはリン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム又は酢酸等を用いて中和し、そのpHを6〜8に下げることが好ましい。また、検体から抗原が抽出された後、細胞残屑、粒状物及び他の不溶物を除去することが好ましい。それらの除去は遠心分離、フィルターろ過等により行うことができる。
【0015】
細胞残屑、粒状物及び他の不溶物を除去した検体は、抗原抗体反応を利用した公知の免疫測定法により検出又は定量することができる。このような方法として、ラテックス凝集法、比濁法、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、ゲル内沈降反応、フローサイトメトリー、ウェスタンブロット法、ドットブロット法、蛍光抗体法等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。なおこれらの免疫測定方法自体はこの分野において周知であり、当業者が容易に行うことができる。
【0016】
これらの免疫測定法に用いる抗体としては、MRSAのPBP2’に対する抗体又はその抗原結合性断片(Fab フラグメントやF(ab')2 フラグメント)が好ましい。このような抗体は市販されており、また、PBP2’を抗原として公知の方法により容易に調製することができる。抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体が好ましい。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1 ラテックススライド凝集法によるMRSAの検出
(1) 免疫原として用いる抗原の調製
PBP2’産生MRSAを200μg/mlセフチゾキシム、2%NaCl含有トリプティックソイブロスを用いて32℃、20時間培養し、集菌した。菌は10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁、続いてリゾスタフィン処理の後、超音波で菌を破砕し、100,000 x g 、1時間の超遠心沈渣を採取した。沈渣をシェーガーらの方法(H. Schagger et al., Anal. Biochem. vol.166,p368-379(1987))に準じて電気泳動し、78kd付近に泳動される蛋白質を集め、これを抗原とした。
【0019】
(2) 抗体調製
(1) で得られた抗原100μgをフロイント完全アジュバントと共に5週齢、雌のBALB/cマウスに免疫し、2週間後同抗原50μgをフロイント不完全アジュバントで追加免疫を行った。さらに2週間後、同抗原25μgを静脈に注射し、その3日後に脾臓細胞を摘出した。摘出された脾臓細胞はケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol.256,p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3X63)と融合し、抗PBP2’抗体産生ハイブリドーマを確立した。確立した細胞をプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。得られた腹水からヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーによってIgGを精製し、これをモノクローナル抗体とした。
【0020】
(3) 抗体感作ラテックスの調製
支持体として直径0.3μmのポリスチレン製球状粒子(市販品)を用いた。(2) により得られたモノクローナル抗体とポリスチレン製球状粒子を各々リン酸緩衝生理食塩液(pH7.0)に溶解し、抗体とポリスチレン製球状粒子の重量比が1:10となるように抗体を支持体に固定化した。これをリン酸緩衝生理食塩液で洗浄し、牛血清アルブミンでブロッキングを行ったものを抗体感作ラテックスとした。
【0021】
(4) 抗原抽出法
寒天培地にて純培養された菌から、定量白金耳を用いて1白金耳(約6x106 細胞)の菌を採取し、マイクロ遠心チューブに分注された0.1N NaOH(pH12.5)100μlに懸濁した。菌懸濁液を沸騰水中で3分間煮沸し、室温にて放冷後、0.5M KH2PO4液25μlを菌懸濁液に添加して中和した。その後、1500 x gで5分間遠心し、上清を検体とした。
【0022】
(5) 免疫測定法
検体50μlをマイクロピペットでとり、ラテックススライド凝集板上で抗体感作ラテックス液25μlと混和した。3分間攪拌後、凝集の有無を観察し、凝集の認められたものを陽性、認められないものを陰性とした。
【0023】
(6) 参照菌株
(i) PCR法及びウェスタンブロット法にてMRSAかつPBP2’産生の確認された以下の菌株をMRSA参照株とした。
Figure 0003638731
【0024】
(ii)PCR法及びウェスタンブロット法にてMSSAかつPBP2’非産生の確認された以下の菌株をMSSA参照株とした。
Figure 0003638731
【0025】
(7) 感度
MRSA参照株ANJ-10について(4) の方法に従って菌の処理を行い、検体を生理食塩液で2倍段階希釈を行った。それらを各々検体として(5) の方法に従って試験し、凝集像を観察したところ、1:8倍まで凝集を認めた。結果を下記表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003638731
【0027】
(8) 再現性
MRSA参照株ANJ-10、MSSA参照株FDA209P について(4) の方法に従って菌の処理を行い、検体を生理食塩液で2倍段階希釈を行った。(5) の方法により測定した。6回試験したところ、良好な再現性を示し、終末価は全て1:8倍を示した。結果を下記表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003638731
【0029】
(9) 特異性
MRSA参照株ANJ-10、ANJ-12及びANJ-131 、MSSA参照株ATCC25923、 FDA209Pについて(4) の方法に従って菌を処理し、(5) の方法に従って試験したところ、MRSA参照株では陽性、MSSA参照株では陰性を示した。結果を下記表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003638731
【0031】
(10)相関性
液体希釈法又はディスク感受性法にて判定された黄色ブドウ球菌臨床分離株219株について(5) の方法に従って試験したところ、以下に示すように従来の薬剤感受性と良好な相関を示した。従来法と一致しなかった1株については、PCR法によるMRSA特異遺伝子mecAの検出を行ったところMSSAと判定された。結果を下記表4に示す。
【0032】
【表4】
Figure 0003638731
*PCR法ではMSSA
【0033】
実施例2 酵素免疫測定法によるMRSAの検出
(1) 抗体固相マイクロプレートの調製
支持体として96ウェルのポリスチレン製マイクロプレート(市販品)を用いた。実施例1において得られたモノクローナル抗体を50mM炭酸緩衝液で1000倍に希釈し、その100μlをウェルに加えて4℃、18時間放置し、抗体を固定化した。これをリン酸緩衝生理食塩液で洗浄し、牛血清アルブミンでブロッキングを行ったものを抗体固相マイクロプレートとした。
【0034】
(2) 抗体調製
実施例1(1) で得られた抗原100μgをフロイント完全アジュバントと共に家兎に免疫し、2週間毎に同抗原100μgをフロイント不完全アジュバントと共に追加免疫した。8週間後に採血、血清を分離後、陰イオン交換クロマトグラフィーによりIgGを精製し、これをポリクローナル抗体とした。
【0035】
(3) ペルオキシダーゼ標識抗体の調製
(2) で得られたウサギポリクローナル抗体に、西洋ワサビペルオキシダーゼ(市販品)をナカネらの方法(Nakane,P.K., et al., J. Histochem., 22, 1084-1091 (1974)) に従って付着し、0.01% チメロサール防腐剤、0.5%牛血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩液に溶解し、使用時まで冷蔵保存した。
【0036】
(4) 測定法
実施例1(4) により得られた検体50μlを抗体固相マイクロプレートのウェルに滴下し、さらにリン酸緩衝生理食塩液50μlを加えて37℃で30分間放置した。その後、0.05% Tween20 (商品名)を含むリン酸緩衝生理食塩液でウェル内を洗浄し、続いて0.05% Tween 20(商品名)を含むリン酸緩衝生理食塩液で100倍に希釈されたペルオキシダーゼ標識抗体100μlを加えて37℃で30分間放置した。放置後、再び0.05% Tween20 (商品名)を含むリン酸緩衝生理食塩液でウェル内を洗浄し、0.018%過酸化水素水、38 mg/mlオルトフェニレンジアミンを含む0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.9)100μlを加えて室温に放置した。10分間放置後、1.5 N H2SO4 を100μl加えて攪拌し、492nmの吸光度を測定した。吸光度が0.2以上示すものを陽性、それ以下を陰性とした。MRSA参照株では陽性、MSSA参照株では陰性を示した。結果を下記表5に示す。
【0037】
【表5】
Figure 0003638731
【0038】
実施例3 ウェスタンブロット法によるMRSAの検出
(1) 抗原抽出法
寒天培地にて純培養された菌から、定量白金耳を用いて1白金耳(約6x106 細胞)の菌を採取し、マイクロ遠心チューブに分注された0.1N NaOH(pH12.5)100μlに懸濁した。菌懸濁液を37℃で60分間インキュベートし、0.5M KH2PO4液25μlを菌懸濁液に添加して中和した。その後、1500 x gで5分間遠心し、上清を検体とした。
【0039】
(2) ウェスタンブロット法
検体をシェーガーらの方法(上掲)に準じて電気泳動した。このとき、実施例1(1) において精製された抗原を対照抗原として同時に泳動した。泳動後、トービンらの方法(Towbin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 76,p.4350-4354(1979)の方法に準じてニトロセルロース膜(市販品)上に泳動された抽出抗原を固定化した。固定化後、ニトロセルロース上の蛋白非固定化部分は1%スキムミルクでブロッキングを行った。
【0040】
(3) 免疫検出法
実施例1(2) で得られたモノクローナル抗体を0.05% Tween 20(商品名)を含むリン酸緩衝生理食塩液で1500倍に希釈し、上記ニトロセルロース膜に滴下した後、室温に1時間放置した。その後、0.05% Tween 20(商品名)を含むリン酸緩衝生理食塩液でニトロセルロース膜を洗浄し、未反応のモノクローナル抗体を除去した。続いて0.05% Tween 20(商品名)を含むリン酸緩衝生理食塩液で5000倍に希釈されたペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(市販品)を滴下して室温で30分間放置した。放置後、再び0.05% Tween 20(商品名)を含むリン酸緩衝生理食塩液でニトロセルロース膜を洗浄し、ブランドら(Brand et al., Biotechniques vol.8,p58-60(1990)) の方法に従って、テトラメチルベンチジンをニトロセルロース膜上に滴下した。室温で約10分間放置して発色させた後、精製水でニトロセルロース膜を洗浄して反応を停止させた。対照抗原の移動位置78kdと同じ泳動位置に発色のバンドが認められるものを陽性、認められないものを陰性とした。結果を下記表6に示す。
【0041】
【表6】
Figure 0003638731
【0042】
【発明の効果】
本発明により、迅速、簡便にMRSAの抗原を抽出することができ、かつ、抽出された抗原を抗原として用いる免疫測定法により高感度にMRSAを検出又は定量することができる、MRSA抗原の抽出方法が初めて提供された。

Claims (4)

  1. 多剤耐性ブドウ球菌を、アルカリ金属の水酸化物若しくは炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物若しくは炭酸塩、又はアミンの水溶液で抽出することから成る、多剤耐性ブドウ球菌抗原の抽出方法。
  2. 前記水溶液のpHは11.0以上である請求項1記載の方法。
  3. 前記水溶液中のアルカリ金属の水酸化物若しくは炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物若しくは炭酸塩、又はアミンの濃度が0.05 Mないし0.5 M である請求項2記載の方法。
  4. 前記水溶液と前記多剤耐性ブドウ球菌との混合物を25℃〜100℃の温度下で1〜60分間インキュベートする請求項1ないし3のいずれか1項記載の方法。
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