JPH055737A - 新規な酵素標識モノクローナル抗体、それを用いたメタンフエタミン測定用キツトおよび測定法 - Google Patents

新規な酵素標識モノクローナル抗体、それを用いたメタンフエタミン測定用キツトおよび測定法

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JPH055737A
JPH055737A JP3183294A JP18329491A JPH055737A JP H055737 A JPH055737 A JP H055737A JP 3183294 A JP3183294 A JP 3183294A JP 18329491 A JP18329491 A JP 18329491A JP H055737 A JPH055737 A JP H055737A
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monoclonal antibody
enzyme
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methamphetamine
antibody
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JP3183294A
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English (en)
Inventor
Takao Matsumoto
孝夫 松本
Hisayuki Shibazaki
久幸 柴崎
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Showa Shell Sekiyu KK
Original Assignee
Showa Shell Sekiyu KK
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】メタンフェタミン測定用キット中にメタンフェ
タミンを使用しなくても、簡単かつ正確にメタンフェタ
ミンを検知できるメタンフェタミン測定用キットの提供
およびそのキットに使用する新規モノクローナル抗体の
開発。 【構成】 (A)メタンフェタミンおよびN,N′−ジ
ベンジルエチレンジアミンの両者に対して特異的な免疫
反応を示すモノクローナル抗体を酵素標識して得られた
酵素標識モノクローナル抗体と、(B)N,N′−ジベ
ンジルエチレンジアミンと支持蛋白質との複合体を担持
させた担体とを含有するメタンフェタミン測定用キッ
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、メタンフェタミンとN,N′−
ジベンジルエチレンジアミンの両者に対して、特異的に
認識するモノクローナル抗体を酵素標識化したモノクロ
ーナル抗体、それを利用したメタンフェタミンの測定用
キットおよび測定方法に関する。
【0002】
【従来技術】覚醒剤に関連する事件の増加に伴い、メタ
ンフェタミン(以下MAと略称することがある)の使用
者を簡便、迅速かつ正確に認知する必要性が高まり、簡
便、高感度、高選択的にメタンフェタミンを測定する方
法および測定用キットが望まれている。特開平1−96
198号公報には、動物に免疫して得られた細胞株を培
養することによって、覚醒剤であるメタンフェタミン
(MA)に対して非常に高い特異的な反応性を示すモノ
クローナル抗体を得ることが提案されている。そして、
現在、MAだけを特異的に認識するモノクローナル抗体
を用いた測定システムには、ELISA法を基本にした
競合法によるものが商品化されている。しかし、この測
定システム法では製品の中にMAそのものを使用する必
要があり、日本の覚醒剤取締り法により、これらの製品
は製造、販売、使用が認められていないのが実情であ
る。
【0003】
【目的】本発明の目的は、MAに対するモノクローナル
抗体を誘導する時にMA以外に日本の法律に抵触しない
特定物質を選択特異的に認識する新規酵素標識モノクロ
ーナル抗体の提供およびそれを用いたMA測定用キット
と測定法を提供する点にある。
【0004】
【構成】本発明の第1は、メタンフェタミンおよびN,
N′−ジベンジルエチレンジアミンの両者に対して特異
的な免疫反応を示すモノクローナル抗体を酵素標識する
ことにより得られた酵素標識モノクローナル抗体に関す
る。本発明の第2は、 (A)請求項1記載の酵素標識モノクローナル抗体と、 (B)N,N′−ジベンジルエチレンジアミンと支持蛋
白質との複合体を担持させた担体 とを含有することを特徴とするメタンフェタミン測定用
キットに関する。前記担体は、容器、とくに吸引可能な
構造の容器またはスティックであることが好ましいが、
それ以外にも球体状、立方体状、針状など任意の形体の
ものが使用でき、材質としては格別の制限はないが、蛋
白質が付着しやすい性質をもつものが適当で、合成樹脂
(たとえば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリエ
ステルなど)、ゴム、ガラス、ニトロセルロースなどを
挙げることができる。本発明の第3は (A)請求項1記載の酵素標識モノクローナル抗体、 (B)N,N′−ジベンジルエチレンジアミンと支持蛋
白質との複合体を担持させた担体 (C)尿または唾液 (D)基質溶液 とを混合反応後、生成したアンモニア成分を検知するこ
とを特徴とする尿または唾液中のメタンフェタミンの測
定法に関する。前記アンモニア成分の検知は系のpH変
化による方法がもっとも簡便であり、適当なpH指示薬
を使用することができる。本発明の第4は、N,N′−
ジベンジルエチレンジアミンと支持蛋白質との複合体を
その上に固定した担体に関する。
【0005】〔モノクローナル抗体の製造プロセス〕 A.免疫用抗原の調整 メタンフェタミン(MA)をアミノブチル化またはカル
ボキシメチル化してアミノブチル化またはカルボキシメ
チル化メタンフェタミンをつくり、これに任意の支持蛋
白質を結合させて複合体を得、これを免疫用抗原とし
た。前記支持蛋白質としては、ウシ血清アルブミン、卵
白アルブミン、陣笠貝ヘモシアニン、サイログロブリ
ン、γ−グロブリン等を挙げることができる。また、ア
ミノブチル化もしくはカルボキシメチル化メタンフェタ
ミンと支持蛋白質を結合させる架橋剤としては、グルタ
ルアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド、ジメチルホルムアミド、マ
レイミドベンゾイルオキシサクシンイミド等が用いられ
る。 B.リンパ細胞の調整 前記免疫用抗原を哺乳動物(例えば、マウス、ラット
等)に1週間おきに3〜5回投与し、抗原に対する抗体
が充分生成しているのを確認後、その動物の血液リンパ
節、脾臓等からリンパ細胞を得る。この時、免疫賦活剤
としてアジュバンド(ミュウバン、結核死菌、核酸等を
含む)を抗原物質と共にエマルジョンとして動物に投与
することが好ましい。抗体の生成を確認する手段として
は、免疫した動物から静脈血を採取し、後述する(II)−
(3)のハイブリドーマの選択の項にあるELISA法
を用いることにより判定する手段があげられる。 C.細胞融合とハイブリドーマ株の選択 細胞融合に用いたミエローマ細胞としては、例えばマウ
ス由来のP3−X63Ag8−U1(P3−U1)、S
P2/0−Ag14(SP−2)、P3−NS1/1−
Ag4.1(NS−1)、P3−X63−Ag8.65
3(653)、P3−X63−Ag8(X63)、MP
C−11、ラット由来の210、RCY3、AG1、
2、3(Y3)、ヒト由来のSKO−007、GH15
006TG−A12などを挙げることができる。細胞融
合は、前述したような免疫された動物のリンパ球とミエ
ローマ細胞を約2〜10:1になるように混合し、これ
を遠心分離してリンパ球とミエローマ細胞の混合沈殿物
を得、これにポリエチレングリコール(PEG)または
センダイウィルス(HVJ)を含む細胞培養用培地(R
PMI1640、MEM、DMEM等)を加え、懸濁す
ることにより行うことができるが、操作上の点から、3
0%〜60%のPEG(分子量1000〜8000)を
用いることが好ましい。ハイブリドーマ株の選択は、融
合後の細胞懸濁液を遠心して上清を除き、これにヒポキ
サンチン、アミノプテリン、チミジン(HAT)と10
%〜20%のウシ胎児血清(FCS)を含む細胞培養用
培地に再懸濁して、この懸濁液を培養用プレートに分注
することにより行うことができる。この操作により選択
されたハイブリドーマ細胞をさらにヒポキサンチン、ア
ミノプテリン(HT)と10%〜20%のウシ胎児血清
(FCS)を含む細胞培養用培地で培養し、最終的には
10%〜20%のウシ胎児血清(FCS)を含む細胞培
養用培地で培養する。この間、増殖したハイブリドーマ
細胞は培地上清中に抗体を産生するため、ELISA
(酵素免疫測定)法、RIA(ラジオアイソトープ免疫
測定)法、プラーク測定法、凝集反応法等を用いて目的
の抗体の有無を調べることができるが、ELISA法を
用いることが望ましい。このELISA法は以下のよう
にして行なうことができる。A.で調整した免疫用抗原
をELISAプレートの各ウェルに固定化して、次にブ
ロッキング剤としてウシ血清アルブミン(BSA)、卵
白アルブミン(OVA)、陣笠貝ヘモシアニン(KL
H)、免疫グロブリン等の生体高分子蛋白質を各ウェル
に固定化する。これは次の操作中、ハイブリドーマ細胞
の産生した抗体がウェルに非特異的に吸着するのを防ぐ
ためである。一定時間静置した後、上清液を捨て洗浄液
(リン酸緩衝液と生理食塩水溶液の混合液、界面活性剤
を含む場合もある)で各ウェルを洗浄する。これに、ハ
イブリドーマ細胞培養上清液を添加し一定時間静置す
る。同様に洗浄液で各ウェルを洗浄し、次に酵素標識抗
体、例えばマウスを用いた場合には抗マウスIgG抗体
にアルカリフォスファターゼや西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ、βガラクトシダーゼ等の酵素が結合したものを各
ウェルに添加し、一定時間静置する。洗浄液で各ウェル
を洗浄し、次に、用いた酵素に各々対応した基質溶液を
添加し反応させる。培養上清液中に目的とする抗体が存
在していた場合、酵素反応により生じた基質の色の変化
を、肉眼かもしくはプレートリーダーにより確認するこ
とができる。このようにして、抗体を産生しているハイ
ブリドーマ細胞を得ることができる。 D.ハイブリドーマ細胞のクローニング C.で確認されたウェル中には、遺伝的に異なるハイブ
リドーマ細胞の混合物である可能性があるため、クロー
ニング操作により単一な遺伝子からなるハイブリドーマ
細胞群を得る必要がある。この方法には限界希釈法、シ
ングルセルマニュピュレーション法、軟寒天上のコロニ
ーを一つずつ拾い上げる方法、FACS法(Fluorecent
Activated Cell Sorter)が挙げられるが、特別な装置
を使わない点で、限界希釈法を用いることが望ましい。
この限界希釈法は以下のようにして行なうことができ
る。上記ハイブリドーマ細胞を200個/ml、50個
/ml、10個/mlとなるように0〜20%FCSを
含む細胞培養用培地(RPMI1640、MEM、DM
EM等)で調整し、各々の調整液を96ウェルプレート
上の3、45、48ウェルに0.1mlずつ分注する。
このプレートをCO2インキュベータ中で培養し、一つ
のコロニーが一つのハイブリドーマ細胞由来であること
が確認されるようなウェルを選択する。これらのウェル
の上清液中に存在するモノクローナル抗体がMAを認識
するかどうかを、C.のELISA法により再検討す
る。このようにして、単一な遺伝子からなるハイブリド
ーマ細胞群が得られ、この細胞から産生された抗体はモ
ノクローナル抗体であるといえる。 E.モノクローナル抗体の調整 MAに対するモノクローナル抗体の調整には、D.で得
たハイブリドーマ細胞をフラスコ内、もしくは腹腔内で
培養することにより行なうことができる。ハイブリドー
マ細胞のフラスコ内での培養は、0〜20%のFCSを
含む細胞培養用培地(RPMI1640、MEM、DM
EM等)を用いて行なう。この時、ハイブリドーマ細胞
を最大限増殖させ、その後遠心分離を行えば、分泌され
たモノクローナル抗体が上清中に得られる。ハイブリド
ーマ細胞の腹腔内での培養は、1〜10×106個の細
胞を、プリスタン等の鉱物油を投与した動物の腹腔内に
注入する。この時用いる動物種は、ハイブリドーマ細胞
の作成に用いたミエローマ細胞が増殖し易いように、由
来となっているミエローマ細胞と同種、同系の動物を用
いることが望ましい。例えばマウスを用いた場合、この
操作により1〜2週間後から腹腔内にハイブリドーマ細
胞の増殖が認められ、それにともない腹腔内に腹水が蓄
積する。目的のモノクローナル抗体は腹水中に存在して
いるため腹腔より腹水を回収し、さらに、塩析、透析、
イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマト
グラフィー等の操作によりモノクローナル抗体を分離精
製することができる。 F.酵素標識モノクローナル抗体の調整 精製したモノクローナル抗体と酵素とを緩衡溶液中で処
理し、酵素標識モノクローナル抗体を得た。酵素として
は、アルカリフォスファターゼ、西洋ワサビ、ヘルオキ
シダーゼ、ウレアーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコ
ースオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、乳酸
デヒドロゲナーゼ、グリコアミラーゼ、チロシナーゼな
どが挙げられる。 G.担体上へのDBED−支持蛋白質複合体の固定 (a)吸着による結合方法 ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメ
チルメタクリレート、スチレン等の合成樹脂は、物理的
に蛋白質を吸着するため、これらを材質とする担体の表
面上に前記DBED−支持蛋白質複合体やモノクローナ
ル抗体を効率よく結合させることができる。この時の担
体は、一般に透明か、曇りガラス様であるが、青、黄、
紫、赤等の着色を施してあるものもある。しかし、視認
性に優れているという点で着色を施してある担体の方が
望ましい。また、この反応は室温、1〜10時間で終了
するが、反応終了後グルタールアルデヒド、1−エチル
−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド、ジメチルホルムアミド、マレインイミド、ベンゾイ
ルオキシサクシンイミド等の架橋剤を用いることによ
り、複合体あるいはモノクローナル抗体が担体から剥離
しないように、また複合体あるいはモノクローナル抗体
がより多く担体に吸着するように調整することもでき
る。 (b)架橋による結合方法 担体の表面上にカルボキシル基、アミノ基が付与されて
いるものを用いた場合、これらの官能基を利用して、前
記DBED−支持蛋白質複合体やモノクローナル抗体を
前記架橋剤を用いて共有結合させることができる。また
担体と複合体あるいはモノクローナル抗体との間に、ジ
アミノブタン、ジアミノヘキサン、5−アミノカプロン
酸等のスペーサーを挿入することにより、担体と複合体
あるいはモノクローナル抗体との距離を任意に変化させ
ることもできる。
【0006】
【実施例】以下に、本発明の実施例を具体的に説明す
る。尚、これらの実施例は本発明を例示するためのもの
であって、本発明の範囲を限定するものではない。 実施例1 I.免疫用抗原の調整 1.アミノブチル化メタンフェタミンの調整 メタンフェタミン(MA)を適当な蛋白質に結合させる
ために、例えばChengらの方法〔FEBS LETTERS 36,339(1
973)〕に準じ、MAにアミノ基の導入を行なった。40
0mgのメタンフェタミン(MA)を40mlの脱水し
たエタノールに溶解し、2.272gのN−(4−ブロ
モブチル)フタルイミドと852mgの炭酸ナトリウム
を添加して4日間還流した。次に0.5mlの85%含
水ヒドラジンを添加して2日間撹拌した。反応液に1N
の塩酸を添加し酸性にした後、生じた沈殿物を濾過によ
り除いた。濾液を50mlのクロロホルムを用いて3回
抽出し、さらに水層を1Nの水酸化ナトリウムを用いて
pHを10に調整後、50mlのクロロホルムを用いて
4回抽出した。クロロホルム層をあわせ、硫酸マグネシ
ウムで脱水し、クロロホルムを減圧留去した。このよう
にして、1.27gのN−(4−アミノブチル)メタン
フェタミンを得た。
【化1】 2.カルボキシメチル化メタンフェタミンの調整 MAを適当な蛋白質に結合させるために、たとえばIn
ayamaらの方法〔Chem.Pharm. Bull 28,2779(198
0)〕に準じ、MAにカルボキシル基の導入を行なった。
以下の反応は全て室温で行なった。600mgのメタン
フェタミン、852mgの炭酸ナトリウム、1.5ml
のエチルブロモ酢酸を40mlのエタノール中に溶解
し、窒素ガス充填下で5日間還流した。反応終了後、濾
過により沈殿物を除き、濾液を減圧濃縮した。次に、3
0mlの5%の水酸化カリウム−メタノール溶液を添加
し、窒素ガス充填下で2日間撹拌した。反応終了後、反
応液を2Nの塩酸で酸性にし、約1mlにまで減圧濃縮
した。これに5mlの飽和塩化ナトリウム水溶液を添加
し、25mlのクロロホルムで5回抽出した。このクロ
ロホルム層を硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮し
た。このようにして691.1mgのN−カルボキシメ
チルメタンフェタミンを得た。
【化2】 3.免疫用抗原もしくは酵素免疫測定法(以下ELIS
Aと略)に用いた抗原の調整は、上記のアミノブチル
化、もしくはカルボキシメチル化メタンフェタミンを用
いて行った。25mgのN−(4−アミノブチル)メタ
ンフェタミンを1mlのPBS(10mM−リン酸緩衝
液、150mM−塩化ナトリウム、pH7.2)に溶解
後、1Nの塩酸を用いてpHを6.5〜7.0に調整し
た。一方、50mgのBSAを1mlのPBSに溶解
後、撹拌しながら上記溶液に滴下した。これに、2〜5
μlの25%グルタールアルデビトPBS溶液を添加
し、室温で90分間撹拌した。次に全溶液を4℃、24
時間、PBSに対して透析した。これにより70mgの
N−(4−アミノブチル)メタンフェタミン−ウシ血清
アルブミン−グルタールアルデヒド複合体(MA−AB
−BSA−GA)が得られた。または、25mgのKL
Hを1mlの蒸留水に溶解し、0.5mlのジメチルホ
ルムアミドに溶かした15mgのN−(4−アミノブチ
ル)メタンフェタミンを滴下し、撹拌した。これに1m
lの蒸留水に溶かした500mgの1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ED
C)を添加し、室温で6時間撹拌した。全反応液を4
℃、2日間、蒸留水に対して透析してEDCを除き、3
4mgのN−(4−アミノブチル)メタンフェタミン−
陣笠貝ヘモシアニン(MA−AB−KLH−EDC)を
得た。また、同様の操作で、KLHの代わりに卵白アル
ブミン(OVA)やBSAを用いてMA−AB−OVA
−EDC、MA−AB−BSA−EDCをそれぞれ得
た。更に、N−(4−アミノブチル)メタンフェタミン
の代わりにN−カルボキシメチルメタンフェタミンとB
SA、KLHを用いて、MA−CM−BSA−EDC、
MA−CM−KLH−EDCをそれぞれ得た。
【0007】II.MAに対するモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマ株の作製 (1)マウスへの抗原の投与と脾臓細胞の調整 I.で調製したメタンフェタミンと支持蛋白質との複合
体を、4匹のマウスに投与した。例えば、0.1mgの
MA−CM−KLH−GAを0.1mlのPBSに溶か
し0.1mlのフロイントの完全アジュバンドとよく混
合し、この乳化混合液0.2mlをBALB/c系、
♀、7週齢のマウス腹腔内に投与した。投与後の各々の
マウスから無菌的に脾臓を摘出し、RPMI1640組
織培養用培地中で洗浄し、余分な脂肪組織を除いた。次
に、新しいRPMI1640培地に移してハサミで細断
後、ゴム栓を用いて脾臓内のリンパ細胞を押しだした。
浮遊しているリンパ細胞を遠心し(1,000rpm、
5分間、室温)集め、RPMI1640培地で再懸濁
し、次の細胞融合に用いた。この操作により、マウス一
匹から約1×108個のリンパ細胞が得られた。 (2)細胞融合 約4×107個の対数増殖期にあるミエローマ細胞(6
53株)と(1)で得られた約1×108個リンパ細胞
をRPMI1640培地中で混合し、遠心後(1,00
0rpm、5分間、室温)上清液を除いた。沈降したミ
エローマ細胞とリンパ細胞に、1mlの50%ポリエチ
レングリコール(BoehringerMannhei
m社)−RPMI1640培地を1ml容ピペットを用
いて、30秒間徐々に加えながら激しく振とうし混合し
た。次に、1mlのRPMI1640培地を1分間かけ
て添加しながら激しく振とうし、更に、8mlのRPM
I1640培地を3分間かけて添加し、遠心後、上清液
を除いた。30mlのHAT選択培地(1×10-4Mヒ
ポキサンチン、4×10-7Mアミノプテリン、1.6×
10-5Mチミジン、20%ウシ胎児血清を含むRPMI
1640培地)を添加し、細胞をよく懸濁した後、96
ウェルの培養プレート3枚に分注した。すなわち、1ウ
ェルあたり約4.7×105個の細胞を分注し、CO2
ンキュベータ(5%CO2、95%空気、37℃、湿度
100%)を用いて培養した。 (3)ハイブリドーマの選択 各ウェルに細胞が増殖しているかどうかを、肉眼にて確
認し、更に、このウェルの上清液中にメタンフェタミン
を認識する抗体が存在しているかどうかを、次に示すE
LISA法を用いて検討した。各ウェルのELISA用
プレート(ポリスチレン製、Immunolon Dy
natech社)に、I.で調整した0.1mgのMA
−AB−BSA−GAを10mlの50mM炭酸緩衡液
(pH9.6)に溶解させ、各ウェルに0.1mlずつ
分注し、4℃で一晩静置した。すなわち、1ウェルあた
り1μgのMA−AB−BSA−GAが存在しているこ
とになり、この操作によりウェルの内壁に吸着する。次
に、このプレートの各ウェルを洗浄用PBS(pH7.
2、0.05%Tween20を含む)を用いて4回洗
浄し、未吸着のMA−AB−BSA−GAを除いた。更
に、各ウェルに0.5%BSAを含むPBSを0.1m
lずつ分注し、37℃で1時間静置した。各ウェルを洗
浄用PBSで4回洗浄し、細胞の増殖が確認されたウェ
ルの上清液を0.1ml添加した。37℃、2時間静置
した後、各ウェルを洗浄用PBSで4回洗浄し、マウス
免疫グロブリンに対する抗体溶液(アルカリフォスファ
ターゼ結合、Sigma社、0.5%BSAを含むPB
Sに1/500になるように希釈した)を0.1ml添
加し、37℃、1時間静置した。各ウェルを洗浄用PB
Sで4回洗浄し、P−ニトロフェニルリン酸ナトリウム
・6H2Oを1mg/mlに調整した基質溶液を0.1
mlずつ添加後、室温で30分間静置した。陽性ウェル
はアルカリフォスファターゼの酵素活性により、P−ニ
トロフェニルリン酸ナトリウムが分解され、黄色発色を
呈する。各ウェルに50μlの3MNaOHを添加して
反応を停止し、マイクロプレート用吸光度測定器を用い
て405nmの吸光度を測定した。次に、陽性ウェルの
上清液を、MAを用いた競合阻害試験(先述の各ウェル
の上清と共に、1μg/mlになるようにMAを添加し
た)を行った。これらのELISA法により、抗体を産
生している51個の陽性ウェルが得られた。 (4)ハイブリドーマのクローニング (3)で得られた51個の陽性ウェル中のハイブリドー
マ細胞を、限界希釈法を用いてモノクローン化した。す
なわち、ハイブリドーマ細胞を200個/ml、50個
/ml、10個/mlとなるように20%FCSを含む
RPMI1640培地で希釈し、各々の希釈液を96ウ
ェルプレート上の3、45、48ウェルに0.1mlず
つ分注した。このプレートをCO2インキュベータ中で
培養し、一つのコロニーが一つのハイブリドーマ細胞由
来であることが確認されるようなウェルを選択した。こ
れらのウェルの上清液中に存在する抗体(モノクローナ
ル抗体)がMAを認識するかどうかを、先述のELIS
A法により再検討した。この操作により、MAに対する
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞が、
24個得られた。
【0008】III.MAの類似化合物に対する抗MAモ
ノクローナル抗体の選択性の検討およびMAとDBED
の両者に特異的免疫反応を示す請求項1のモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマ株(請求項2の選別)
24種のハイブリドーマ細胞の産生する抗MAモノクロ
ーナル抗体が、MAの構造類似化合物に対してどの様な
反応性を有するかについて、II.の(3)の工程で用い
たELISA法により検討した。すなわち、各ハイブリ
ドーマの産生するモノクローナル抗体を添加するとき
に、多段階に希釈した類似化合物を添加し、プレート上
のMAとモノクローナル抗体の抗原抗体反応に対して、
この類似化合物がどの程度、競合的に阻害反応を起すか
を調べたものである。その結果、24種のハイブリドー
マ株から得られるモノクローナル抗体のうちMAとDB
EDのみに反応する4B2株または2H3株で表わされ
るモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ株を選
別した。表1にMAに対する反応性を100として、他
の類似化合物に対する反応性について各々示した。 表中 MAは、メタンフェタミン DBEDは、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン Aは、アンフェタミン MPAは、メトキシフェナミン NOR−EP(+)は、ノルエフェドリン(+) OH−MAは、P−ヒドロキシメタンフェタミン OH−NOREPは、P−ヒドロキシノルエフェドリン OH−EPは、P−ヒドロキシエフェドリン OH−Aは、P−ヒドロキシアンフェタミン MEは、メチルエフェドリン NOR−EP(−)は、ノルエフェドリン(−) EPは、エフェドリン PHEは、フェンテルミン MESは、メスカリン である。
【表1】
【表2】
【0009】IV.マウス腹腔内での請求項2のハイブリ
ドーマ細胞の培養と請求項1のモノクローナル抗体の精
製 一週間前にプリスタン処理をしたマウス(BALB/c
系、♀、6週齢)に、II.で得られたハイブリドーマ細
胞を腹腔内に1×107個注入した。1−2週間後、ハ
イブリドーマ細胞の増殖とともに、マウス腹部の肥大化
が確認され、シリンジを用いて腹腔中より腹水を採取し
た。この操作を1日おきに1−2週間程度行なうことに
より、一匹のマウスから10−20mlの腹水が得られ
た。この腹水に飽和硫酸アンモニウム溶液を40%にな
るように添加し、IgGを含むタンパク質画分を沈澱さ
せた。この沈澱物を遠心(12,000rpm、4℃、
20分間)により回収し、20mlのPBSに再懸濁し
た。懸濁液をPBSに対して一晩透析し、硫酸アンモニ
ウムを除いた。この状態で、7−8mgのモノクローナ
ル抗体が得られ、MAの判定、定量に十分使用できる
が、更にDEAE−Sepharose陰イオン交換樹
脂、G−150 Sephadexゲル濾過樹脂等を用
いて精製することもできる。
【0010】V.ウレアーゼ標識モノクローナル抗体を
用いたMAの測定法 (1)酵素ウレアーゼのモノクローナル抗体への結合 Avrameasらの方法(Scand.J.Immu
nol.8 Suppl. 7.7. 1978)に準
じ、グルタールアルデヒドを用いて、ウレアーゼとモノ
クローナル抗体を以下の方法で結合させた。得られたウ
レアーゼ標識モノクローナル抗体を更に、G−150
Sephadexゲル濾過カラム法により精製し、これ
をMAとDBEDに対するモノクローナル抗体の標準抗
体として用いた。すなわち、このモノクローナル抗体5
mgとウレアーゼ2.5mg(酵素活性600−1,2
00U/mg)を6mlのPBSに懸濁し、0.05%
になるようにグルタールアルデヒドを添加した。室温
で、3時間静置し、ウレアーゼ標識モノクローナル抗体
とした。 (2)ELISA法を用いたMAの測定法 先述の現行の問題点で触れたように、測定法の中に覚醒
剤であるMAを組み込むことは国内の麻薬取締り法に抵
触することから、MAの代わりにDBEDを使用する新
規な方法を用いた。すなわち、DBEDにアミノブチル
基(AB)を導入し、これにBSAをグルタールアルデ
ヒド(GA)を用いて結合させた(DBED−AB−B
SA−GA)。得られたDBED−AB−BSA−GA
をウェルあたり0.4μgになるように50mM炭酸緩
衡液(pH9.6)で調整し、96穴のELISA用プ
レートImmunolon (Dynatech社 商
品名)に0.1mlずつ分注した。4℃、一晩静置した
後、洗浄用PBS(pH7.2、0.05%Tween
20を含む)で3回洗浄し、次に、タンパク質の非特異
的吸着を防ぐために、各ウェルに1%BSA、0.05
%アジ化ナトリウムを含むPBS(pH7.2)を0.
2mlずつ分注した。37℃で2時間静置した後、洗浄
用PBSで3回洗浄した。VI.の(1)で調整した50
μlのウレアーゼ標識モノクローナル抗体と、標準サン
プルとして様々な濃度のMAに調整したPBS(0.5
%BSA、0.05%アジ化ナトリウムを含む)を50
μl混合し、計0.1mlの反応液を37℃、8分間静
置した。次に、洗浄用PBSで3回洗浄し、0.1ml
の基質溶液(0.008%ブロモクレゾールパープル、
0.017M尿素、0.2mMEDTA、pH5.0)
を添加した。仮に、サンプル中にMAがなければ、ウレ
アーゼ標識モノクローナル抗体はそのほとんどがウェル
中のDBEDと反応しウェル中に残るため、尿素を分解
しアンモニアが生成する。そのため、基質溶液中のpH
を上昇させその変化をブロモクレゾールパープルの色の
変化として確認することができる。一方、サンプル中に
MAが存在する場合は、競合的に抗体と反応するため、
ウェル中に残るウレアーゼ標識モノクローナル抗体が減
少する。そのため、基質溶液の色の変化は確認できな
い。すなわち、ブロモクレゾールパープルを用いた今回
の実験系では、黄色の基質溶液が陰性の場合紫色に変化
し、陽性の場合では黄色のまま変化しない。上記の発色
反応は2分以内に終了し、10μlの1%チメロザール
を添加することにより酵素反応を停止することができ、
色の変化を肉眼観察か、もしくはマイクロプレート用の
吸光度測定器を用いて570nmの吸光度を測定した。
以上の操作により、すべての工程を11−13分間で行
うことができ、また測定感度としては、肉眼観察では4
0ng/mlのMAを、吸光度測定器では6ng/ml
のMAを判定することができた。
【0011】VI.MAの類似化合物に対するウレアーゼ
標識モノクローナル抗体の選択性ハイブリドーマ細胞2
H3株の産生する抗MAモノクローナル抗体のウレアー
ゼ標識物が、MAの類似化合物に対してどの様な反応を
有するかについて、II.の(3)の工程で用いたELI
SA法により検討した。すなわち、ウレアーゼ標識モノ
クローナル抗体(2H3)を添加するときに、多段階に
希釈したMAの類似化合物を添加し、ウェル内のDBE
Dとの抗原抗体反応に対して、この類似化合物がどの程
度、競合的に阻害反応を起こすかを調べたものである。
結果については、表3に示した。この表では、MAに対
する反応性を100として、他の類似化合物に対する反
応性を示した。この結果、ウレアーゼ標識モノクローナ
ル抗体(2H3)がMAとDBED以外の化合物に対し
て反応性が低く、MAの測定に極めて適していることが
わかった。
【表3】
【0012】〔測定用キットとその使用法〕 (I)担体として容器を使用する場合について(図1→
2) 容器内壁にDBED−支持蛋白質(この支持蛋白質につ
いては、MAの支持蛋白質についての説明と同じであ
る)との複合体および支持蛋白質よりなる組成物を塗着
させる。好ましくは、ポリスチレン製試験管に塗着させ
る。一方、本発明の酵素標識モノクローナル抗体液(例
えばウレアーゼ標識モノクローナル抗体)を用意する。
通常、モノクローナル抗体液は、0.1〜2wt%の蛋
白質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、陣笠貝ヘ
モシアニン(KLH)、卵白アルブミン等の生体高分
子、1〜100μg/mlの濃度のモノクローナル抗体
をリン酸、トリス緩衝液あるいは生理食塩水等に含有さ
せたものである。この抗体液は冷蔵保存が望ましい。こ
の液は腐敗することがあるので、例えば0.01〜0.
1%のアジ化ナトリウムやエチル水銀チオサルチル酸ナ
トリウム等の防腐剤を添加しておくことができる。測定
用キットは、少なくとも、前記DBED支持体複合体を
容器内壁に塗着した試験用容器と酵素標識モノクローナ
ル抗体液含有容器を含む。好ましい測定用キットとして
は、 1.DBED−支持蛋白質複合体含有層で内壁が、コー
ティングされている試験管 2.本発明の酵素標識モノクローナル抗体液含有容器 3.基質溶液含有容器 4.洗浄液含有洗浄びん 5.定量用スポイト 6.採尿用カップまたは唾液採取用容器 よりなる。覚醒剤使用容疑者から採取した尿または唾液
(適当濃度に希釈してもよい)と酵素標識モノクローナ
ル抗体液とを前記試験用容器に入れ、7〜10分間反応
させる(図1参照)。反応終了後、内容液を捨て洗浄液
で充分洗浄して未反応の酵素標識モノクローナル抗体を
除去する。ついで、アンモニア検知用の溶液、例えばp
H指示薬と尿素含有溶液を加えて反応させる。pH指示
薬としてブロモクレゾールパープルを用いた場合には約
1分後に陽性(MA含有)の場合は初めの黄色のまま変
化せず、陰性の場合は紫色に変化する(図2参照)。な
お、発色を固定したい場合には例えば1%チメロザール
溶液を加えることができる。
【0013】II.担体としてスティックを使用する場合 スティックたとえばポリスチレン製スティックに、DB
ED−支持蛋白質複合体及び支持蛋白質よりなる組成物
を塗着し、測定用スティックとする。一方、本発明の酵
素標識モノクローナル抗体液を用意する。測定用キット
は、少なくとも、前記測定用スティックと本発明の酵素
標識モノクローナル抗体液を含有する容器を含む。好ま
しい測定用キットとしては 1.DBED−支持蛋白質複合体含有層をもつスティッ
ク 2.本発明の酵素標識モノクローナル抗体含有容器 3.基質溶液含有容器 4.洗浄液含有容器 5.洗浄用試験管 6.定量用スポイト 7.採尿用カップまたは唾液採取用容器 よりなる。覚醒剤使用容疑者から採取した尿または唾液
(適当濃度に希釈してもよい)と酵素標識モノクローナ
ル抗体液とを任意の試験用容器、たとえば、試験管にい
れ、ここへ前記スティックを浸す。浸漬時間は7〜10
分間で充分反応する(図3〜4参照)。反応終了後、洗
浄液を含む試験管内に前記スティックを浸漬して洗浄す
る。この洗浄方法を1〜4回繰返す。ついで、別途、基
質溶液を試験管に入れ、この中に前記洗浄ずみのスティ
ックを浸漬処理する。前記基質溶液は水にその酵素に適
した基質を加えたものである。標識に使用した酵素がウ
レアーゼの場合はブロモクレゾールパープルと尿素を含
むpH5.0の溶液が使用できるが、これに限るもので
はない。目的にかなう試薬であれば、それを基質溶液と
して使用できることは勿論である。つぎに酵素と代表的
な基質の組合せ例を示す。 標 識 酵 素 基 質 (A)西洋ワサビペルオキシ (イ)ジアミノベンジジン ダーゼ (ロ)O−フェニレンジアミン (ハ)4−クロロ−1−ナフトール (ニ)3−アミノ−9−エチルカルバゾ ール (ホ)3,3′,5,5′−テトラメチル ベンジジン (ヘ)2,2−ジアミノ−ビス−(3− エチルベンズチアゾリン−6−ス ルホン酸) (ト)5−アミノサルチル酸 (B)アルカリホスファターゼ (イ)P−ニトロフェニルリン酸 (ロ)5−ブロモ−4−クロロ−3−イ ンドリルリン酸 (ハ)ニトロブルーテトラゾリウム (C)β−ガラクトシダーゼ (イ)4−メチルウンベリフェリル− β−ガラクトシダーゼ (D)ウレアーゼ (イ)尿素 前記浸漬処理約1分間で試験管内の溶液は陽性の場合は
黄色のまま、陰性の場合は紫色に変化する(図4参
照)。
【0014】III.担体として吸引可能な容器を使用す
る場合について(図5→6) 図5、6に示すような吸引可能な容器内壁にDBED−
支持蛋白質(この支持蛋白質については、MAの支持蛋
白質についての説明と同じである)との複合体および支
持蛋白質よりなる組成物を塗着させる。好ましくは、ポ
リスチレン製のピペット用容器の内壁に塗着させる。一
方、本発明の酵素標識モノクローナル抗体液(例えばウ
レアーゼ標識モノクローナル抗体)を用意する。この抗
体液は冷蔵保存が望ましい。測定用キットは、少なくと
も、前記DBED支持体複合体をその内壁に塗着したピ
ペット用容器と酵素標識モノクローナル抗体液含有容器
を含む。好ましい測定用キットとしては、 1.DBED−支持蛋白質複合体含有層で内壁が、コー
ティングされているピペット用容器 2.本発明の酵素標識モノクローナル抗体液含有容器 3.基質溶液含有容器 4.洗浄液含有洗浄びん 5.定量用スポイト 6.採尿用カップまたは唾液採取用容器 よりなる。覚醒剤使用容疑者から採取した尿または唾液
(適当濃度に希釈してもよい)と酵素標識モノクローナ
ル抗体液とを前記ピペット用容器を注射器などに接続し
て吸引、注入し、7〜10分間反応させる(図5参
照)。反応終了後、内容液を捨て洗浄液で充分洗浄して
未反応の酵素標識モノクローナル抗体を除去する。つい
で、アンモニア検知用の溶液、例えばpH指示薬と尿素
含有溶液を加えて反応させる。pH指示薬としてブロモ
クレゾールパープルを用いた場合には約1分後に陽性
(MA含有)の場合は初めの黄色のまま変化せず、陰性
の場合は紫色に変化する(図6参照)。なお、発色を固
定したい場合には例えば1%チメロザール溶液を加える
ことができる。
【0015】
【効果】本発明の新規な酵素標識モノクローナル抗体の
提供により、MA測定用キット中にMAを使用する必要
がないので、国内でも使用が可能であり、しかも、簡単
なキットにより短時間で適確にMAを検知することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMA測定用キットの1使用態様を示す
図面であり、図1と図2により、その使用手順の全体を
示すものである。
【図2】図1の使用手順のつづきを示す。
【図3】本発明のMA測定用キットの他の使用態様を示
す図面であり、図3と図4により、その使用手順の全体
を示すものである。
【図4】図3の使用手順のつづきを示す。
【図5】本発明のMA測定用キットのもう1つの使用態
様を示す図面であり、図5と図6により、その使用手順
の全体を示すものである。
【図6】図5の使用手順のつづきを示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年7月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】V.ウレアーゼ標識モノクローナル抗体を
用いたMAの測定法 (1)酵素ウレアーゼのモノクローナル抗体への結合 Avrameasらの方法(Scand.J.Immu
nol.8 Suppl. 7.7. 1978)に準
じ、グルタールアルデヒドを用いて、ウレアーゼとモノ
クローナル抗体を以下の方法で結合させた。すなわち、
このモノクローナル抗体5mgとウレアーゼ2.5mg
(酵素活性600−1,200U/mg)を6mlのP
BSに懸濁し、0.05%になるようにグルタールアル
デヒドを添加した。室温で、3時間静置し、ウレアーゼ
標識モノクローナル抗体とした。得られたウレアーゼ標
識モノクローナル抗体を更に、G−150 Sepha
dexゲル濾過カラム法により精製し、これをMAとD
BEDに対するモノクローナル抗体の標準抗体として用
いた。 (2)ELISA法を用いたMAの測定法 先述の現行の問題点で触れたように、測定法の中に覚醒
剤であるMAを組み込むことは国内の麻薬取締り法に抵
触することから、MAの代わりにDBEDを使用する新
規な方法を用いた。すなわち、DBEDにアミノブチル
基(AB)を導入し、これにBSAをグルタールアルデ
ヒド(GA)を用いて結合させた(DBED−AB−B
SA−GA)。得られたDBED−AB−BSA−GA
をウェルあたり0.4μgになるように50mM炭酸緩
衡液(pH9.6)で調整し、96穴のELISA用プ
レートImmunolon (Dynatech社 商
品名)に0.1mlずつ分注した。4℃、一晩静置した
後、洗浄用PBS(pH7.2、0.05%Tween
20を含む)で3回洗浄し、次に、タンパク質の非特異
的吸着を防ぐために、各ウェルに1%BSA、0.05
%アジ化ナトリウムを含むPBS(pH7.2)を0.
2mlずつ分注した。37℃で2時間静置した後、洗浄
用PBSで3回洗浄した。V.の(1)で調整した50
μlのウレアーゼ標識モノクローナル抗体と、標準サン
プルとして様々な濃度のMAに調整したPBS(0.5
%BSA、0.05%アジ化ナトリウムを含む)を50
μl混合し、計0.1mlの反応液を37℃、8分間静
置した。次に、洗浄用PBSで3回洗浄し、0.1ml
の基質溶液(0.008%ブロモクレゾールパープル、
0.017M尿素、0.2mMEDTA、pH5.0)
を添加した。仮に、サンプル中にMAがなければ、ウレ
アーゼ標識モノクローナル抗体はそのほとんどがウェル
中のDBEDと反応しウェル中に残るため、尿素を分解
しアンモニアを生成する。そのため、基質溶液中のpH
を上昇させその変化をブロモクレゾールパープルの色の
変化として確認することができる。一方、サンプル中に
MAが存在する場合は、競合的に抗体と反応するため、
ウェル中に残るウレアーゼ標識モノクローナル抗体が減
少する。そのため、基質溶液の色の変化は確認できな
い。すなわち、ブロモクレゾールパープルを用いた今回
の実験系では、黄色の基質溶液が陰性の場合紫色に変化
し、陽性の場合では黄色のまま変化しない。上記の発色
反応は2分以内に終了し、10μlの1%チメロザール
を添加することにより酵素反応を停止することができ、
色の変化を肉眼観察か、もしくはマイクロプレート用の
吸光度測定器を用いて570nmの吸光度を測定した。
以上の操作により、すべての工程を11−13分間で行
うことができ、また測定感度としては、肉眼観察では4
0ng/mlのMAを、吸光度測定器では6ng/ml
のMAを判定することができた。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】II.担体としてスティックを使用する場合 スティックたとえばポリスチレン製スティックに、DB
ED−支持蛋白質複合体及び支持蛋白質よりなる組成物
を塗着し、測定用スティックとする。一方、本発明の酵
素標識モノクローナル抗体液を用意する。測定用キット
は、少なくとも、前記測定用スティックと本発明の酵素
標識モノクローナル抗体液を含有する容器を含む。好ま
しい測定用キットとしては 1.DBED−支持蛋白質複合体含有層をもつスティッ
ク 2.本発明の酵素標識モノクローナル抗体含有容器 3.基質溶液含有容器 4.洗浄液含有容器 5.洗浄用試験管 6.定量用スポイト 7.採尿用カップまたは唾液採取用容器 よりなる。覚醒剤使用容疑者から採取した尿または唾液
(適当濃度に希釈してもよい)と酵素標識モノクローナ
ル抗体液とを任意の試験用容器、たとえば、試験管にい
れ、ここへ前記スティックを浸す。浸漬時間は7〜10
分間で充分反応する(図3〜4参照)。反応終了後、洗
浄液を含む試験管内に前記スティックを浸漬して洗浄す
る。この洗浄方法を1〜4回繰返す。ついで、別途、基
質溶液を試験管に入れ、この中に前記洗浄ずみのスティ
ックを浸漬処理する。前記基質溶液は水にその酵素に適
した基質を加えたものである。標識に使用した酵素がウ
レアーゼの場合はブロモクレゾールパープルと尿素を含
むpH5.0の溶液が使用できるが、これに限るもので
はない。目的にかなう試薬であれば、それを基質溶液と
して使用できることは勿論である。つぎに酵素と代表的
な基質の組合せ例を示す。 標 識 酵 素 基 質 (A)西洋ワサビペルオキシ (イ)ジアミノベンジジン ダーゼ (ロ)O−フェニレンジアミン (ハ)4−クロロ−1−ナフトール (ニ)3−アミノ−9−エチルカルバゾ ール (ホ)3,3′,5,5′−テトラメチル ベンジジン (ヘ)2,2−ジアミノ−ビス−(3− エチルベンズチアゾリン−6−ス ルホン酸) (ト)5−アミノサルチル酸 (B)アルカリホスファターゼ (イ)P−ニトロフェニルリン酸 (ロ)5−ブロモ−4−クロロ−3−イ ンドリルリン酸 (ハ)ニトロブルーテトラゾリウム (C)β−ガラクトシダーゼ (イ)4−メチルウンベリフェリル− β−ガラクトシダーゼ (D)ウレアーゼ (イ)尿素 これら標識酵素と基質の組合せは、担体としてスティッ
クを使用する場合に限らず、いずれの場合(I,II,II
I)にも適用できることは勿論である。前記浸漬処理約
1分間で試験管内の溶液は陽性の場合は黄色のまま、陰
性の場合は紫色に変化する(図4参照)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/543 P 7906−2J 33/577 B 9015−2J // C12N 5/20 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 メタンフェタミンおよびN,N′−ジベ
    ンジルエチレンジアミンの両者に対して特異的な免疫反
    応を示すモノクローナル抗体を酵素標識することにより
    得られた酵素標識モノクローナル抗体。 【請求項2】 (A)請求項1記載の酵素標識モノクロ
    ーナル抗体と、 (B)N,N′−ジベンジルエチレンジアミンと支持蛋
    白質との複合体を担持させた担体 とを含有することを特徴とするメタンフェタミン測定用
    キット。 【請求項3】 前記担体が、容器またはスティックであ
    る請求項2記載のメタンフェタミン測定用キット。 【請求項4】 前記容器が、吸引可能な容器である請求
    項3記載のメタンフェタミン測定用キット。 【請求項5】 (A)請求項1記載の酵素標識モノクロ
    ーナル抗体。 (B)N,N′−ジベンジルエチレンジアミンと支持蛋
    白質との複合体を担持させた担体 (C)尿または唾液 (D)基質溶液 とを混合反応後、生成したアンモニア成分を検知するこ
    とを特徴とする尿または唾液中のメタンフェタミンの測
    定法。 【請求項6】 前記アンモニア成分の検知は系のpH変
    化によるものである請求項5記載の尿または唾液中のメ
    タンフェタミンの測定法。 【請求項7】 N,N′−ジベンジルエチレンジアミン
    と支持蛋白質との複合体をその上に固定してなる担体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019520571A (ja) * 2016-06-17 2019-07-18 シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド 流体試料の再使用により流体試料を多重化するための装置、方法およびキット
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