JPH05339289A - Mrsa pbp2′及びmrsa感染の検出方法並びにそのための合成ペプチド - Google Patents

Mrsa pbp2′及びmrsa感染の検出方法並びにそのための合成ペプチド

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JPH05339289A
JPH05339289A JP35117892A JP35117892A JPH05339289A JP H05339289 A JPH05339289 A JP H05339289A JP 35117892 A JP35117892 A JP 35117892A JP 35117892 A JP35117892 A JP 35117892A JP H05339289 A JPH05339289 A JP H05339289A
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JP35117892A
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Mitsuhiro Saito
充弘 斎藤
Ryuichi Yajima
隆一 矢嶋
Mitsuyoshi Nagata
満美 永田
Kiyoshi Sekiguchi
潔 関口
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Abbott Japan Co Ltd
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Dainabot Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
及びMRSA PBP2′(メチシリン耐性黄色ブドウ
球菌ペニシリン結合タンパク2′)、あるいはMRSA
抗体の検出、測定を簡便に行う方法を提供し、ヒトおよ
び動物のMRSA感染の簡便かつ特異的な測定並びに診
断をなしうる方法を提供する。 【構成】 MRSA PBP2′の合成ペプチド、例え
ば、 X−Gly−Ser−Thr−Gln−Lys−Ile
−Y または、次式 X′−Lys−Ile−Asp−Gly−Lys−Gl
y−Trp−Gln−Lys−Asp−Lys−Ser
−Trp−Gly−Gly−Tyr で表わされるペプチド、それらペプチド配列中に少なく
とも1個のアミノ酸残基を付加したもの、あるいはそれ
らのペプチド中のアミノ酸配列の一部からなるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、MRSA(メチシリン
耐性黄色ブドウ球菌)に対する抗体と免疫化学的に反応
する合成ペプチドに関するものであり、特にMRSA
PBP2′(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌ペニシリン
結合タンパク2′)に対する抗体と免疫化学的に反応す
る合成ペプチドに関するものである。この合成ペプチド
は人間を含む動物においてMRSAに対する抗体産生を
誘発する免疫原としても使用でき、本発明は当該合成ペ
プチドを含有するMRSA抗体産生誘発組成物及びMR
SA抗体産生誘発方法に関するものである。本発明はま
た、当該合成ペプチドあるいは該合成ペプチドにより作
製されたポリクローナルあるいはモノクローナル抗体、
及びその抗体により作製された菌由来MRSA PBP
2′を利用する、MRSA及びMRSA PBP2′
(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌ペニシリン結合タンパ
ク2′)、あるいはMRSA抗体の検出、測定に関する
ものであり、ヒト及び動物のMRSA感染を知る手段の
提供に関するものである。
【0002】本発明は、被検検体中のMRSA又はMR
SA抗体の検出、あるいはMRSA感染症診断剤に用い
る検出キットに関する。本発明はさらに、当該合成ペプ
チドを免疫原として作製された抗体を用いてアフィニテ
ィー クロマトグラフィーによりMRSA溶菌菌液ある
いは培養液よりMRSA PBP2′を精製する方法、
及び該精製により得られたMRSA PBP2′に関す
るものである。本発明は、またMRSA PBP2′に
特異的に結合するモノクローナル抗体及びその作製法に
関するものでもある。
【0003】
【技術的背景】メチシリンに抵抗性を有する黄色ブドウ
球菌の報告は1960年代初頭になされている(Jev
ons,M.P.,Br.Med.J.1961)。M
RSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)はメチシリン
を含むペニシリン系薬剤及びセフェム系薬剤を中心とす
るベータラクタム剤に耐性を示す黄色ブドウ球菌のこと
であり、MRSAは、又、ベータラクタム剤以外の多く
の抗菌剤及び抗生物質に耐性であることから多剤耐性菌
として知られている。MRSAの分離例が増加するにつ
れ、MRSAは重大な院内感染菌として注目されるよう
になった(Benner,E.J.,and Kays
er,F.H.Lancet 1968,Klime
k,JJ.et al Am.J.Med.197
6)。黄色ブドウ球菌はその感染者及び感染動物におい
て皮膚炎、肺炎、臓器不全等の疾病を誘起し、時にその
症状は重篤なものとなり、感染者及び感染動物を死にい
たらしめることもある。MRSAは疾病の治療に用いら
れる多くの抗菌剤及び抗生物質に耐性であり多くの薬剤
が無効であるため、MRSA感染症の治療は難しく、治
療の第一歩は疾病がMRSA感染によるものであるか否
かを一刻も早く知ることであると言える。したがって、
MRSA感染症であることが判明した時点でMRSAに
有効であるとされる適切な抗菌剤及び抗生物質を選択、
投与することが必要である。また、黄色ブドウ球菌はヒ
トを含む動物の体表部を中心に広く分布し、ヒトにおい
ては特に鼻腔、鼻前部、咽頭部に認められ、疾病患者の
みならず健常者の多くが保菌している。MRSAもまた
同様であり、MRSAを保菌していない者のMRSA保
菌者との接触はMRSA感染にいたる可能性があり、特
に医療従事者のMRSA保菌者は患者への重大な感染源
となり得ることから早期に清浄化に努め、さらに定期的
なスクリーニングを行ない、適切に対処することが必要
である。したがって疾病患者においては治療効果上の理
由からMRSAの有無を知ることが重要であり、健常者
においては自己管理とともに、社会上のMRSA感染の
リスクを減少させる目的でその感染の有無を知ることが
重要である。
【0004】MRSAの薬剤耐性機構については多くの
研究がなされている。メチシリン、クロキサシリン、セ
ファロチン等ベータラクタム剤はD−alanine
carboxypeptidaseおよびpeptid
oglycan transpeptidaseなどの
細菌細胞壁の合成に必須な酵素に結合する。これにより
酵素は不活化され細胞壁の合成はなされなくなり細菌は
死滅する(Waxman,D.J.,and Stro
minger,J.Annu.Rev.Bioche
m.1983)。これらの酵素はペニシリン結合タンパ
ク(PBP)と呼ばれ、黄色ブドウ球菌では4種類また
は5種類の異なった分子量のものが知られている;分子
量79,000−87,000(PBP1)、73,0
00−80,000(PBP2)、70,000−7
5,000(PBP3)、70,000(PBP3′)
および、41,000−46,000(PBP4)(G
eorgopapadakou,N.H.et a
l.,Antimicrob.Agents Chem
other.1986,Georgopapadako
u,N.H.,and Liu,F.Y.,Antim
icrob.AgentsChemother.198
0,Wyke,A.W.,FEMS Microbia
l.Lett.1984)。PBPの数及び分子量の差
異は各研究室で使用している菌株の差異と言うよりは、
ゲル電気泳動条件の違いによるものであろうと考えられ
ている。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は、一般の感受
性黄色ブドウ球菌の産生するPBPに加えてベータラク
タム剤との親和力の低い分子量74,000−78,0
00のPBPを産生していることが明らかとなった(B
rown,D.F.J.,and Reynolds,
P.E.,FEBS Lett.1980,Georg
opapadakou,N.H.et al.,Ant
imicrob.AgentsChemother.1
982,Hayes,M.V.et al.,FEBS
Microbial.Lett.1981)。このPB
Pは、PBP2′、PBP2aあるいはMRSA PB
Pと呼ばれ、transpeptidaseとしての機
能を有し薬剤との親和力が低いために感受性黄色ブドウ
球菌が死滅する濃度のベータラクタム剤存在下において
も飽和されずにその活性を保持し、細胞壁を合成する
(Brown,D.F.J.,and Reynold
s,P.E.,FEBS Lett.1980,Har
tman,B.J.,and Tomasz,A.,
J.Bacteriol.1984)。その結果、薬剤
存在下においてもMRSAは増殖を繰り返し種々の疾病
を引き起こす。PBP2′以外にもMRSA特異的な因
子についての研究が進められ、他のいくつかの因子が提
示されているが、現在までのところ耐性化の最も重要な
因子はPBP2′であるとされている(Murakam
i,K.and Tomasz,A.,J.Bacte
riol.1989)。なお、メチシリンはベータラク
タマーゼ(ベータラクタム剤分解酵素)で不活化されな
い半合成ベータラクタム剤である。
【0005】PBP2′をコードする遺伝子(mec遺
伝子)の存在位置については、ブドウ球菌菌体染色体上
にあることが知られ(Cohen,S.,and Sw
eeney,H.M.,J.Bacteriol.19
70,Kayser,F.H.et al.,Anti
microb.Agents Chemother.1
972,Stiffler,P.W.,et al.,
J.Bacteriol.1973,Sjoestro
em,J.−E.et al.,J.Bacterio
l.1975)、その染色体マップ上の位置が決定され
た(Kuhl,S.A.et al.,J.Bacte
riol.1978)。さらにはmec遺伝子を含む染
色体の制限酵素切断部位も明らかとされ(Beck,
W.D.,et al.,J.Bacteriol.1
986,Ubukata,K.etal.,Antim
icrob.Agents Chemother.19
89)、ベクターへのmec遺伝子のクローニングがな
されるに至った(Beck,W.D.,et al,
J.Bacteriol.1986,Matsuhas
hi,M.et al.,J.Bacteriol.1
986)。Song,M.D.ら(FEBS Lett
ers 1987)はmec遺伝子を含む4Kbの制限
酵素HindIIIフラクションの塩基配列を明らかと
し、mec遺伝子のプロモーター及び上流域はプラスミ
ド性のスタフィロコッカスペニシリナーゼをコードする
遺伝子のそれと類似していることが示された。同時に、
PBP2′の構成ペプチドが670アミノ酸からなるこ
とが判明した。
【0006】コアグラーゼ陰性ブドウ球菌においてもメ
チシリン耐性であり同様にPBP2′を産生する株が報
告され(Chambers,H.F.Antimicr
ob.Agents Chemother.1982,
Ubukata,K.,etal.,Antimicr
ob.Agents Chemother.198
5)、mec遺伝子が決定因子となっていることが報告
された(Tesch,W.,et al.,Antim
icrob.Agents Chemother.19
88,Ubukata,K.,et al.,Anti
microb.Agents Chemother.1
990)。したがって、PBP2′およびmec遺伝子
は広くブドウ球菌におけるメチシリン等抗菌剤及び抗生
物質に対する耐性の因子の1つとなっていると考えられ
ている。
【0007】
【従来の技術】被検検体中のMRSA抗原を検出する方
法として、現在大きく3方法が考えられる。薬剤感受性
試験による方法、抗原抗体反応によりMRSA特異抗原
(主にPBP2′)を知る方法、およびサザーンブロテ
ィング法あるいはPCR法によるMRSA特異的遺伝因
子(主にmec遺伝子)を検出する方法、である。MR
SAに特異的とされるPBP2′を精製する一般的手法
として、SDS−PAGEによる方法が行われている。
SDS−PAGEにおいては、目的物質と分子量が非常
に近似する物質がある場合、目的物質の精製度は不十分
になることが多い。MRSAにおいてはPBP2′を目
的物質とした場合、PBP2が非常に近似している分子
量を有する事は周知である。また、SDSによるタンパ
ク質の変性が起こることにより、本来の目的を達しえな
い可能性がある。さらには、SDS−PAGEによる精
製は手技が面倒であること、一回に行いえる量が小さい
ことから、一定量の回収には多数回の操作を必要とする
という欠点がある。等電点電気泳動においても同様に等
電点の近似する物質を分離精製するのは困難である。
【0008】薬剤感受性試験はディスク拡散法、微量液
体希釈法あるいは自動機器を用いる法によりMIC(最
小発育阻止濃度)を決定し菌がMRSAか否かを判定す
る。この方法においては菌を培地で培養することが必要
となるが、接種菌量、培地のpH、NaCl濃度、ショ
糖濃度、培養温度、培養時間あるいは菌がすでにベータ
ラクタム剤に接しているか否かにより菌の感受性が異な
ることが知られている(Chambers,H.F.,
and Hackbarth,C.J.,Antimi
crob.Agents Chemother.198
7,Hartman,B.J.,and Tomas
z,A.,J.Bacteriol.1984)。すな
わち、PBP2′は42℃以上あるいはpH5.2以下
で失活する。したがって、この方法は必ずしも扱い易い
方法でない。さらにはディスク拡散法においては、用い
る市販ディスクにより判定が不鮮明であることがある
(渡辺、検査と技術 1988、菅野、臨床泌尿器科1
990)。アメリカのNational Commit
tee for Clinical Laborato
ry Standards(NCCLS)や日本化学療
法学会では、感受性測定用培地として2%の食塩を添加
したMueller−Hinton brothを用
い、35℃、24時間培養でのオキサシリンに対するM
ICが4μg/ml以上の黄色ブドウ球菌株をMRSA
としている。
【0009】サザーンブロティング法によるMRSA特
異的遺伝因子(主にmec遺伝子)を検出する方法は近
年大いにその研究が行なわれている。サザーンブロッテ
ィング法のプローブとして合成オリゴヌクレオチド(H
iramatsu,K.etal.,Antiicro
bial.,Agents Chemdhr.199
0)、組み換え体の制限酵素切断断片(Bech,W.
D.et al.,J.Bacteriol.198
6)をラジオアイソトープにより標識して用いている。
このプロープを菌体DNAとハイブリダイズさせ、me
c遺伝子の存在を知ることにより、MRSAを検出でき
るとされている。しかし、mec遺伝子を有しながら薬
剤耐性を示さない、つまりPBP2′を産生していない
と思われる菌株の存在が報告され、その検査結果の取扱
いには十分な注意が必要とされる。PCR法はサザーン
ブロティング法と同様にMRSA特異的遺伝因子(主に
mec遺伝子)を検出するものであるが、遺伝子の増幅
を行なえるため、より高感度の検出が期待されている
(南出ら.第6回日本環境感染症学会総会、199
1)。ただし、PBP2′を産生せず、薬剤耐性を示さ
ない菌株をも陽性と判定してしまう欠点を克服するには
至っていない。
【0010】抗原抗体反応によりMRSA特異抗原(主
にPBP2′)を知る方法に関して、O’Hara,
D.M.,and Reynolds,P.B.(FE
BSLett,1987)はPBP2′を含むMRSA
部分精製抗原を用いてウサギを免疫し得られたポリクロ
ーナル抗体によりPBP2′を検出できることを示し
た。しかしこの抗体はPBP2′以外の抗原に対する抗
体をも含むものであったため、この抗体は一旦感受性黄
色ブドウ球菌による吸収処理をして使用する必要があっ
た。引き続いてO’Haraら(FEMS Micro
biol.Lett.1989)は同様の抗原を免疫原
とし、マウスに免疫し、その脾細胞とマウスミエローマ
細胞とを融合させハイブリドーマを作製し、2種類のモ
ノクローナル抗体、1/235(イソタイプIgG2
a),2/401.43(イソタイプIgG1)を得て
いるが、彼らはその抗体をウエスタンブロティング法に
用いているのみである。しかしながら、ウエスタンブロ
ティング法は日常検査法としては簡便なものではなく、
簡易な検査様式に適用できる抗体等の開発が望まれる。
【0011】
【発明が解決すべき問題点】本発明はこのような状況下
になされたものでありMRSAおよびMRSA PBP
2′の検出、測定を簡便に行う方法、あるいはMRSA
感染抗体の検出、測定を行う手法を提供し、ヒトおよび
動物のMRSA感染の簡便かつ特異的な測定並びに診断
をなしうる方法を提供することを目的としている。本発
明は、その手段として、MRSAに対する抗体と免疫化
学的に反応する合成ペプチド、特にMRSA PBP
2′に対する抗体と免疫化学的に反応する合成ペプチド
あるいは合成ペプチドにより作製された抗体、及びその
抗体により作製された菌由来MRSA PBP2′を利
用する、簡便かつ特異的なMRSAの検出、測定方法お
よびMRSA PBP2′の測定方法を提供するもので
ある。本発明はMRSA検出に非常に優れた特異性を有
するMRSA関連新規合成ペプチド、あるいはMRSA
溶菌菌液等のMRSA含有液より抽出・精製されたMR
SA PBP2′を提供することをも目的としている。
また本発明はこの新規合成ペプチド、あるいは精製され
たMRSA PBP2′を直接使用したMRSA抗体検
出方法を提供することも目的としている。本発明は、被
検検体中のMRSA又はMRSA抗体の検出、あるいは
MRSA感染症診断剤に用いる検出キットにも関する。
本発明はさらに、当該合成ペプチドを免疫原として作製
された抗体を用いてアフィニティー クロマトグラフィ
ーによりMRSA溶菌菌液あるいは培養液よりMRSA
PBP2′を精製する方法、及び該精製により得られ
たMRSA PBP2′に関するものでもある。
【0012】さらに本発明はこの新規合成ペプチド、あ
るいは精製されたMRSA PBP2′を含有するMR
SA抗体産生誘発組成物とこれを使用した抗体産生誘発
方法を提供することにも関する。本発明はまた、この新
規合成ペプチド、あるいは精製されたMRSA PBP
2′を含有する抗体産生誘発組成物により産生された抗
体、特にモノクローナル抗体を用いるMRSA抗原検出
方法を提供することも目的としている。本発明は、また
MRSA PBP2′に特異的に結合するモノクローナ
ル抗体及びその作製法に関するものでもある。さらに、
本発明の合成ペプチド及びそれを用いて産生された抗体
はMRSA感染症の治療薬ないしは予防薬としても有用
と期待されている。
【0013】
【発明の構成】本発明は、式: X−Gly−Ser−Thr−Gln−Lys−Ile
−Y (式中、Xは、Tyr−Asn−Lys−Leu−Th
r−Glu−Asp−Lys−Lys−Glu−Pro
−Leu−Leu−Asn−Lys−Phe−Gln−
Ile−Thr−Thr−Ser−Pro−、または、
そのペプチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から
除いた基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なく
とも1個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わし、Y
は、−Leu−Thr−Ala−Met、またはそのペ
プチド鎖から任意の数のアミノ酸をC末端側から除いた
基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす。)
【0014】または、次式: X′−Lys−Ile−Asp−Gly−Lys−Gl
y−Trp−Gln−Lys−Asp−Lys−Ser
−Trp−Gly−Gly−Tyr (式中、X′はMet−Ile−Gly−Leu−As
n−Asn−Lys−Thr−Leu−Asp−Asp
−Lys−Thr−Ser−Tyr−、または、そのペ
プチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から除いた
基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす)で表わされ
るペプチド、それらペプチド配列中に少なくとも1個の
アミノ酸残基を付加したもの、あるいはそれらのペプチ
ド中のアミノ酸配列の一部からなり且つMRSA PB
P2′(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌ペニシリン結合
タンパク2′)に対する抗体と免疫学的に反応しうるペ
プチドに関する。
【0015】上記本発明のペプチドは、MRSA抗原と
して利用されることができ、合成により得られたもので
ある。本発明に従えば、該ペプチドは670個のアミノ
酸配列からなるMRSA PBP2′(Song,M.
D.et al.,FEBS Letters 198
7)のうちの、MRSAを表現する抗原として特に適し
た配列のペプチドに相当するとすることができる。
【0016】特に具体的な配列としては、該MRSA
PBP2′の382番目のチロシン残基よりC末端側4
13番目のメチオニン残基までの32残基のうちのいず
れかの配列を全部又は一部有するもの及び413番目の
メチオニン残基よりC末端側443番目のチロシン残基
までの31残基のうちのいずれかの配列を全部又は一部
有するものあるいはそのうちの任意の残基を少なくとも
1個を他のアミノ酸残基に変えたものがあげられる。
【0017】特に好ましいものとしては下記の構造を有
するペプチドがMRSA抗原としてあげれらる。 1) で示されるアミノ酸配列を有するペプチド。 2) で示されるアミノ酸配列を有するペプチド。
【0018】
【0019】
【0020】これらのペプチドは一般に知られているB
oc化学、またはFmoc化学の方法により合成し得る
が、その他ペプチド合成法として知られた種々の方法で
合成することができる。たとえばマニュアルによる固相
合成もしくは市販の自動ペプチド合成装置を使用して合
成できる。これらのペプチドはその一部(例えば7残基
程度)であっても抗原性を有する。さらには、ペプチド
をキャリアタンパクへの結合のため、あるいはペプチド
への標識体の結合のため、その末端あるいは一部をシス
ティン、チロシン等で置換することができる。
【0021】この他、本発明の思想に従って、さらに Gly−Ser−Lys−Lys−Phe−Glu−L
ys−Gly−Met−Lys−Lys−Leu−Gl
y−Val−Gly−Glu−Asp−Ile−Pro
−Ser−Asp−Tyr−Pro−Phe,Pro−
His−Leu−Leu−Lys−Asp−Thr−L
ys−Asn−Lys−Val−Trp−Lys−Ly
s−Asn−Ile−Ile−Ser−Lys−Gl
u,Met−Gln−Gln−Val−Val−Asn
−Lys−Thr−His−Lys−Glu−Asp−
Ile−Tyr−Arg−Ser−Tyr−Ala−A
sn−Leu−Ile−Gly,Ile−Gln−As
p−Arg−Lys−Ile−Lys−Lys−Val
−Ser−Lys−Asn−Lys−Lys−Arg−
Val−Asp−Ala−Gln−Tyr−Lys,M
et−Gln−Lys−Asp−Gln−Ser−Il
e−His−Ile−Glu−Asn−Leu−Lys
−Ser−Glu−Arg−Gly−Lys−Ile−
Leu−Asp−Arg,Met−Asp−Glu−T
yr−Leu−Ser−Asp−Phe−Ala−Ly
s−Lys−Phe−His−Leu−Thr−Thr
−Asn−Glu−Thr−Glu−Ser−Arg−
Asn−Tyr−Pro−Leu−Gly,Pro−I
le−Asn−Ser−Glu−Glu−Leu−Ly
s−Gln−Lys−Glu−Tyr−Lys−Gly
−Tyr−Lys−Asp−Asp−Ala−Val−
Ile−Gly−Lys,His−Thr−Leu−I
le−Glu−Lys−Lys−Lys−Lys−As
p−Gly−Lys−Asp−Ile−Gln−Leu
−Thr−Ile−Asp−Ala,あるいはGln−
Asp−Lys−Gly−Met−Ala−Ser−T
yr−Asn−Ala−Lys−Ile−Ser−Gl
y−Lys−Val−Tyr−Asp−Glu−Leu
−Tyr−Glu−Asn−Gly−Asn−Lys−
Lys−Tyr−Asp−Ile−Asp−Glu で表わされるペプチド、それらペプチド配列中に少なく
とも1個のアミノ酸残基を付加したもの、及びそれらペ
プチド配列中の少なくとも1個のアミノ酸残基を他のア
ミノ酸に置き換えたもの又はそのペプチド配列のうちの
少なくとも一部を有し、最大で32個のアミノ酸残基か
らなり且つMRSA PBP2′に対する抗体と免疫学
的に反応しうるペプチドからなる群から選ばれたペプチ
ドも提供される。これらペプチドも、前記ペプチドと同
様にして利用され且つ合成されることができよう。さら
にこれらペプチドは、前記ペプチドと同様の改変などを
行なうことができよう。
【0022】これらペプチドのうち特に好ましいものと
しては Gly−Ser−Lys−Lys−Phe−Glu−L
ys−Gly−Met−Lys−Lys−Leu−Gl
y−Val−Gly−Glu−Asp−Ile−Pro
−Ser−Asp−Tyr−Pro−Phe,Pro−
His−Leu−Leu−Lys−Asp−Thr−L
ys−Asn−Lys−Val−Trp−Lys−Ly
s−Asn−Ile−Ile−Ser−Lys−Gl
u,Met−Gln−Gln−Val−Val−Asn
−Lys−Thr−His−Lys−Glu−Asp−
Ile−Tyr−Arg−Ser−Tyr−Ala−A
sn−Leu−Ile−Gly,Ile−Gln−As
p−Arg−Lys−Ile−Lys−Lys−Val
−Ser−Lys−Asn−Lys−Lys−Arg−
Val−Asp−Ala−Gln−Tyr−Lys,M
et−Gln−Lys−Asp−Gln−Ser−Il
e−His−Ile−Glu−Asn−Leu−Lys
−Ser−Glu−Arg−Gly−Lys−Ile−
Leu−Asp−Arg,Met−Asp−Glu−T
yr−Leu−Ser−Asp−Phe−Ala−Ly
s−Lys−Phe−His−Leu−Thr−Thr
−Asn−Glu−Thr−Glu−Ser−Arg−
Asn−Tyr−Pro−Leu−Gly,Pro−I
le−Asn−Ser−Glu−Glu−Leu−Ly
s−Gln−Lys−Glu−Tyr−Lys−Gly
−Tyr−Lys−Asp−Asp−Ala−Val−
Ile−Gly−Lys,あるいはHis−Thr−L
eu−Ile−Glu−Lys−Lys−Lys−Ly
s−Asp−Gly−Lys−Asp−Ile−Gln
−Leu−Thr−Ile−Asp−Ala のものがあげられる。
【0023】本発明のペプチドは、試料中のMRSA抗
体を検出しようとする場合、有用である。本発明の合成
ペプチドは、そのペプチドと被検検体中のMRSA抗体
との間で免疫学的複合体(抗原抗体結合物)が形成せし
め得る条件下に被検検体と接触させることができる。こ
うして、抗原抗体結合物が形成されれば、それは被検検
体中にMRSA抗体が存在することを示すこととなり、
適当な手段によりこうした変化を検出、測定できる。
【0024】このような方法としては、例えば、ラジオ
イムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、蛍光イム
ノアッセイに代表される免疫学的測定法のほか、濁度
法、凝集法あるいはウエスタンブロティング法など、抗
原抗体反応を利用するあらゆる方法を用いることができ
る。
【0025】本発明のペプチドを用いた場合、ラジオイ
ムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイなどのより簡
便な方法を用いることができる。本発明の合成ペプチド
はアッセイ方法に応じて公知の標識物で標識できる。合
成ペプチドはラジオアイソトープ、蛍光色素、酵素、発
色色素基質、ビオチン、アビジン、金コロイド、磁性粒
子などにより標識できる。例えばラジオアイソトープ
125IはクロラミンT法等により抗原性を損なわずに
標識できる。また合成ペプチドはすでに知られた手段に
より各種の支持体に結合することができる。この際、合
成ペプチドは化学的修飾を加えることもできる。ここで
用いることのできる支持体としては例えば、ポリスチレ
ンやポリビニル製のマイクロタイタープレート、ガラス
管やガラスビーズ、ゼラチンビーズ、ラテックスビー
ズ、また、紙、セルロース、セルロース誘導体やシリカ
のようなクロマトグラフィ用支持体があげられる。
【0026】本発明の合成ペプチドは動物に投与された
場合、抗体を産生させることができ抗体産生誘発剤とし
て有用である。すなわち、抗原としての合成ペプチド
を、牛血清アルブミン(BSA)、キイホールリンペッ
トヘモシアニン(KLH)、卵白アルブミン(OVA)
などのキャリアタンパクにサクシニミジル4−(N−マ
レイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレー
ト(SMCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミ
ノプロピル)−カルボジイミド(ECDI)などの架橋
剤を介して結合させ、次にこの合成ペプチド−キャリア
タンパク結合物を用い、マウス、ラット、ウサギ、ヒツ
ジ等の動物を免疫して本発明の合成ペプチドに対する抗
体を得る。また、この合成ペプチドはキャリアタンパク
なしでペプチドのみを動物に免疫し、所望の抗体を作製
することもできる。さらには、合成ペプチドあるいは合
成ペプチドーキャリアタンパク結合物はフロイントコン
プリートアジュバント、水酸化アルミニウムゲル等と混
合、乳化して抗体産生誘発組成物とすることもできる。
【0027】抗体産生誘発方法は常法にしたがい、組成
物を動物に非経口的に投与することによりなすことがで
きる。この時、細菌感染を防ぐために投与部位はアルコ
ール等で十分消毒することが好ましい。また本発明のペ
プチドは、それを通常の手法により、動物を免疫し、次
に免疫された動物から牌臓細胞をとり出し、次に通常の
細胞融合の手法で、モノクローナル抗体を作製するのに
用いることができる。細胞融合法としては、HVJ法
や、PEG法、電気的融合法等が用いられる。本発明の
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株を培養用
フラスコ内や大量培養用バイオリアクター中で、無血清
あるいは血清を含む一般的な動物細胞用培地で培養した
培養上清、またはプリスタン(2,6,10,14−テ
トラメチルペンタデカン)を前投与したマウス等の動物
に接種し、生体内培養することによって得た生体浸出液
から精製することができる。
【0028】本発明の合成ペプチドで動物を免疫して作
製されたMRSA抗体あるいは抗MRSAモノクローナ
ル抗体を用いて、MRSA菌体及びMRSA PBP
2′、それらの部分抗原を検出する方法が提供される。
特に、本発明の抗MRSA PBP2′モノクローナル
抗体を用いて、MRSA菌体及びMRSA PBP
2′、それらの部分抗原を検出する方法が提供される。
この場合、該抗体は、MRSA抗体と試料中のMRSA
菌体あるいは、MRSA部分抗原との間で免疫学的複合
体(抗原抗体結合物)を形成し得る条件下で、試料と接
触させるのが望ましい。こうして、抗原抗体結合物が形
成されるのであれば、それは試料中にMRSA抗原が存
在することとなり、適当な手段によりそれが検出、測定
される。このような検出方法としては、例えばラジオイ
ムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイに代表される
免疫学的測定法のほか、濁度法、凝集法あるいはウエス
タンブロティング法など、抗原抗体反応を利用するあら
ゆる方法を用いることができる。
【0029】この抗体はアッセイ方法に応じて公知の標
識物で標識できる。抗体はラジオアイソトープ、蛍光色
素、酵素、発色色素基質、ビオチン、アビジン、金コロ
イド、磁性粒子などにより標識できる。例えばラジオア
イソトープ125IはクロラミンT法等により抗体活性
を損なわずに標識できる。また抗体はすでに知られた手
段により各種の支持体に結合することができる。この
際、抗体の化学的修飾を必要とする場合もある。このよ
うな支持体としては例えば、ポリスチレンやポリビニル
製のマイクロタイタープレート、ガラス管やガラスビー
ズ、ゼラチンビーズ、ラテックスピーズ、また、紙、セ
ルロース、セルロース誘導体やシリカのようなクロマト
グラフィ用支持体も用いることができる。
【0030】本発明の合成ペプチドで動物を免疫して作
製されたMRSA抗体は、MRSA溶菌菌液等のMRS
A含有液からMRSA PBP2′を抽出・精製する目
的にも使用することができる。MRSA PBP2′の
精製は、MRSA抗体をカップリングさせたゲルを用い
てアフィニティー クロマトグラフィーにより行うこと
ができる。
【0031】
【実施例】本発明は以下の実施例によって詳細に説明さ
れるが、このような実施例によって本発明の範囲は何等
限定されるものではない。 〔実施例1〕本発明における合成ペプチドの合成方法を
次に例示する。下記構造のペプチドを、アプライドバイ
オシステムズ社製モデル431A自動合成装置を使用し
て合成した。なお、試薬については市販されて容易に入
手できるもの例えば、アプライドバイオシステムズ社製
Fmocアミノ酸及びカップリング剤を使用した。
【0032】 で示されるアミノ酸配列を有する合成ペプチド。
【0033】 で示されるアミノ酸配列を有する合成ペプチド。
【0034】各ペプチドは、0.15mmolスケール
で固相法による合成を行なって、得られたペプチドレジ
ンを一般的な方法、例えば無水フッ化水素処理により脱
保護およびレジンよりの切り出しを行ない粗ペプチドを
得た。上記b)のペプチドの場合、56mgを得た。こ
れらの粗ペプチド40mgは逆相高性能液体クロマトグ
ラフィー(RP−HPLC)により精製した。上記b)
のペプチドは白色羽毛状の粉末(7mg)として得ら
れ、また上記a)のペプチドは白色羽毛状の粉末として
得られた。図1に合成ペプチドa)の、図2に合成ペプ
チドb)のRP−HPLCパターンを示す。
【0035】〔実施例2〕本例は実施例1で合成して得
られた合成ペプチドを使用してMRSA抗体を検出する
方法のEIA法での方法を例に示したものである。 1)合成ペプチド固相化EIAマイクロプレートの作製 合成ペプチドを0.1M 炭酸緩衝液(pH9.6)に
て10μg/ml濃度に溶解する。96穴マイクロプレ
ート(フロウ社製)の各穴に、このペプチド溶解液を
0.1mlずつ分注し、ペプチドが穴に十分に結合する
よう室温にて一夜インキュベートした後、ペプチド溶液
を除去し各穴を0.1%Tween20(ポリオキシエ
チレン−ソルビタンモノラウリル酸)加PBS(リン酸
緩衝生理食塩水)の洗浄液で3回洗浄する。次に5%牛
血清アルブミン、1%カゼイン加PBSを各穴に0.1
mlずつ分注し、37℃、1時間インキュベートし、穴
の非結合部位をブロックする。さらに洗浄を行なった
後、このマイクロプレートを使用に供した。調整された
ペプチド固相化マイクロプレートは、−20℃に保存す
ることによりペプチドの抗原性を損なうことなく数カ月
間保存することができる。
【0036】2)アッセイ法 上記のように作製されたマイクロプレートを用いてEI
Aを行なった。MRSA菌体より抽出し、精製した抗原
を免疫したウサギ血清試料を5%牛血清アルブミン加P
BSで100倍に希釈し各穴に0.05ml滴下して、
37℃、1時間インキュベートした(陰性対照試料に
は、非免疫ウサギの血清を同様に希釈して用いた)。洗
浄後、酵素標識二次抗体としてホースラデイッシュパー
オキシダーゼ標識抗ウサギIgGヤギ血清(カペル社
製)を5%牛血清アルブミン加PBSで1:1000に
希釈し、各穴に0.05ml加え、37℃、1時間反応
させる。洗浄後、基質としてo−フェニレンジアミン
(OPD)を過酸化水素水存在下(20mgのOPD,
10μgの35%過酸化水素水をpH5.0の0.1M
クエン酸緩衝液50mlに溶解)に0.1ml加える。
室温に15分間静置するとホースラディッシュパーオキ
シダーゼの働きにより基質が分解され発色する。1N硫
酸を各穴0.05ml加えると酵素反応が阻止され発色
がそれ以上進行しなくなる。この発色を吸光度測定装置
の492nmで測定した。その結果、本合成ペプチドは
MRSA免疫ウサギ血清と反応することがわかった(第
1表)。
【0037】
【表1】
【0038】同様に以下のペプチド6′〜13′を用い
て測定した結果を示す。 配列番号6のペプチドのアミノ酸1の前にCysを付し
た25アミノ酸からなるペプチド(6′) 配列番号7のペプチドのアミノ酸1の前にCysを付し
た21アミノ酸からなるペプチド(7′) 配列番号8のペプチドのアミノ酸1のMetを除きCy
sを付した22アミノ酸からなるペプチド(8′) 配列番号9のペプチドのアミノ酸1の前にCysを付し
た22アミノ酸からなるペプチド(9′) 配列番号10のペプチドのアミノ酸1のMetを除きC
ysを付した22アミノ酸からなるペプチド(10′) 配列番号11のペプチドのアミノ酸1のMetを除きC
ysを付した27アミノ酸からなるペプチド(11′) 配列番号12のペプチドのアミノ酸1の前にCysを付
した24アミノ酸からなるペプチド(12′) 配列番号13のペプチドのアミノ酸20の後ろにCys
を付した21アミノ酸からなるペプチド(13′)
【0039】
【表2】
【0040】〔実施例3〕本例は実施例1と同様にして
合成された各合成ペプチドを用いてMRSAに対して特
異性を有する抗体の作製法を示したものである。 1)合成ペプチドーキャリアタンパク結合物の作製 実施例1に従い、MRSA PBP2′のペプチドの4
13番目のメチオニンをシスティンに置換した合成ペプ
チドa)およびPBP2′ペプチドの413番目のメチ
オニンをシスティンに置換した合成ペプチドb)を下記
の通り、合成した。
【0041】 で示されるアミノ酸配列を有する合成ペプチド(白色羽
毛状粉末)。
【0042】 で示されるアミノ酸配列を有する合成ペプチド(白色羽
毛状粉末)。
【0043】ウシ血清アルブミン(BSA、クリスタル
シグマ社製)を0.5Mリン酸緩衝液(pH7.5)
500μlに溶解した液に、架橋剤であるサクシニミジ
ル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−
カルボキシレート(SMCC、ピアス社製)2.54m
gのジメチルホルムアミド(DMF)100μl溶液を
添加し室温で30分間反応させた。この混合液をPD−
10 G25セファデックスカラム(ファルマシア社
製)でゲル濾過により遊離の架橋剤を除去した後、上記
合成ペプチド17mg(a)、b)各々について)の
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)100μl溶液を
添加し、室温で3時間反応させた。その後、反応混合液
をゲル濾過により分離し合成ペプチドーキャリア結合物
を得た。本実施例のこの合成ペプチドa),b)をキャ
リアタンパクに結合させたものを、それぞれ、a)−B
SA,b)−BSAとした。
【0044】2)抗体の作製 上記より得られたa)−BSA,b)−BSAそれぞれ
合成ペプチド量に換算して25μg/mlの溶液1ml
をフロイントコンプリートアジュバントの等量と混合し
て乳化し、この乳化混合物を6週令の雌ウサギ(日本白
色種)に2週間に1回、計5回、数カ所に皮下投与し
た。最終投与から1週間後に、このようにして免疫され
たウサギの心臓から注射器を用いて採血し、抗血清を得
た。
【0045】3)抗体活性の測定 得られた抗血清と、MRSAとの抗原抗体反応性を、次
のようなEIAで検討した。細菌培養培地にて、37
℃、一夜振とう培養したMRSA菌株を遠心して集菌
し、100m1の培地から集菌された菌当り2mgのタ
ンパク質溶解酵素であるリゾスタフィン(シグマ社製)
を加えることにより溶菌しMRSA溶菌菌体とした。
【0046】MRSA溶菌菌体を0.1M 炭酸緩衝液
(pH9・6)にて10μg/ml濃度に溶解する。9
6穴マイクロプレート(フロウ社製)の各穴に、この溶
菌菌体溶解液を0.1mlずつ分注し、溶菌菌体が穴に
十分に結合するよう室温にて一夜培養した後、溶菌菌体
溶液を除去し各穴を0.1%TWeen20(ポリオキ
シエチレン−ソルビタンモノラウリル酸)加PBS(リ
ン酸緩衝生理食塩水)の洗浄液で3回洗浄する。次に5
%牛血清アルブミン、1%カゼイン加PBSを各穴に
0.1mlずつ分注し、37℃、1時間培養し、穴の非
結合部位をブロックすることによりEIAアッセイ中に
生じる抗体の非特異的結合が最小限になるようにした。
さらに洗浄を行なった後、このマイクロプレートを使用
に供した。
【0047】前記2)のウサギ血清を5%ウシ血清アル
ブミンと5%ウシ血清グロブリン加PBSで30、10
0、300、1000、3000、10000倍に希釈
した溶液を各穴に0.05mlずつ加え37℃、1時間
静置した(陰性対照試料には、非免疫ウサギの血清を同
様に希釈して用いた)。次に、各穴を洗浄液で洗浄し、
酵素標識二次抗体としてホースラディッシュパーオキシ
ダーゼ標識抗ウサギIgGヤギ血清(カペル社製)溶液
を各穴に0.05mlずつ分注し37℃、1時間静置し
た。これを洗浄後、OPD溶液を0.1mlずつ分注
し、室温で15分間反応後1N硫酸を0.1mlずつ分
注してホースラディッシュパーオキシダーゼの反応を停
止し、このマイクロプレート各穴の492nmにおける
吸光度を吸光度測定装置を用いて測定した。その結果、
本合成ペプチドを免疫原に用いて作製された抗体はMR
SAと抗原抗体反応することがわかった(図3)。
【0048】〔実施例4〕本例は実施例3の2)で得ら
れたウサギ免疫血清を用いてMRSAを検出する方法を
RIAサンドイッチ法での例により示したものである。 1)免疫血清からのMRSA特異抗体の精製 CNBr−SePharose4B(ファルマシア社
製)ゲルに常法にしたがい実施例3で得られた合成ペプ
チドa)をカップリングさせる。ゲルを0.05Mリン
酸緩衝液、pH7.4で洗浄後、カラムに移し、実施例
3の2)で得られた血清をペリスタポンプで循環させな
がら4℃にて一夜置き、ゲルにカップリングした該合成
ペプチドと免疫血清中のMRSA特異抗体とを反応させ
た。ゲルを洗浄し、非吸着の血清成分を洗い流した後、
1M酢酸溶液を加え、MRSA特異抗体a)を溶出し
た。溶出された抗体はKHPO溶液で中和した後、
実施例2の2)に述べられた方法にてその抗体活性が損
なわれていないことを確認した。実施例3で得た合成ペ
プチドb)についても同様に行ない、MRSA特異抗体
b)を得た。
【0049】2)RIA反応ビーズの作製 反応支持体として直径6.25mmポリスチレン製球状
ビーズ(市販品)を用いた。ビーズ1個あたり0.15
MNaCl加0.05Mリン酸緩衝液0.16mlに5
μgの上記精製抗体b)を加え、ビーズ固相化用溶液と
し、ビーズを抗体で固相化する。これを緩衝液で洗浄し
た後、RIA抗体ビーズとした。
【0050】3)RIAトレーサー(125I標識抗
体)の作製 放射性同位体ヨウ素はタンパク質のチロシン残基の芳香
環側鎖に置換できて安定な化合物となり有効なトレーサ
ーを与える。上記精製抗体a)のヨウ素化を公知のクロ
ラミンT法により行なった。すなわち、抗体a)と「
125I」ヨウ化ナトリウムとクロラミンTの溶液を混
合し、十数秒後、還元剤の二亜硫酸ナトリウムを加える
ことで反応を終了する。ヨウ素化された抗体a)はセフ
ァデックスG−25(PD10カラム、ファルマシア社
製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより、遊離
のヨウ素を除く。これを3%牛血清アルブミン、1%牛
血清グロブリン加PBSにて希釈調整し、トレーサーと
した。
【0051】4)アッセイ法 上記のように作製された抗体ビーズ及びトレーサーを用
いてRIAサンドイッチ法を行なった。細菌培養培地に
て、37℃、一夜振とう培養したMRSA菌株を遠心し
て集菌し、タンパク質溶解酵素であるリゾスタフィン
(シグマ社製)を100mlの培地から集菌された菌当
り2mg加えることにより溶菌しMRSA溶菌菌体とし
た。
【0052】MRSA溶菌菌体を、1%牛血清アルブミ
ン、1%牛血清グロブリン加PBSを希釈液とし、30
0、100、30、10、3、1、0.3μg/mlの
溶菌菌体溶液を得た(対照試料として、一般の感受性黄
色ブドウ球菌溶菌菌体(MSSA溶菌菌体)を同様に希
釈して用いた)。60穴反応トレイ(市販品)の各穴に
溶菌菌体溶液0.1ml、緩衝液0.2mlを加え、さ
らに抗体ビーズ1個をいれる。室温にて一夜インキキュ
ベートし、ビーズに固相化されたイムノグロブリンとM
RSA抗原とを十分に反応させた後、生理食塩水でビー
ズを3回洗浄する。次にトレーサー0.2mlを加え、
ビーズに捕獲されたMRSA抗原と125I標識イムノ
グロブリンとを反応させるため、室温で4時間インキュ
ベートした。その後、生理食塩水で3回洗浄し、ビーズ
を測定用試験管に移し、放射線測定装置アロカV(アロ
カ社製)を用いて測定した(図4)。
【0053】〔実施例5〕本例は合成ペプチドを標識抗
原として用いてMRSAを検出する方法をRIA競合法
での例により示したものである。 1)RIAトレーサー(125I標識合成ペプチド)の
作製 実施例3で得た合成ペプチドa)と「125I」ヨウ化
ナトリウムとクロラミンTの溶液を混合し、十数秒後、
還元剤の二亜硫酸ナトリウムを加えることで反応を終了
する。ヨウ素化された該合成ペプチドa)はセファデッ
クスG−25(PD10カラム、ファルマシア社製)を
用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより、遊離のヨウ
素を除く。これを3%牛血清アルブミン、1%牛血清グ
ロブリン化PBSにて希釈調整し、トレーサーとした。
【0054】2)アッセイ法 上記のように作製されたトレーサーを用いてRIA競合
法を行なった。細菌培養培地にて、37℃、一夜振とう
培養したMRSA菌株を遠心して集菌し、タンパク質溶
解酵素であるリゾスタフィン(シグマ社製)を100m
lの培地から集菌された菌当り2mg加えることにより
溶菌しMRSA溶菌菌体とした。
【0055】MRSA溶菌菌体を、0.1%牛血清アル
ブミン、0.1%アジ化ナトリウム加0.1Mほう酸緩
衝液で溶解し、1000,300,100,30,1
0,3,1μg/mlの溶菌菌体溶液を得た(対照試料
として、一般のメチシリン感受性黄色ブドウ球菌溶菌菌
体(MSSA溶菌菌体)を同様に希釈して用いた)。試
験管に溶菌菌体溶液、トレーサー、10%牛血清グロブ
リン溶液、前記のほう酸緩衝液、及び実施例4の1)の
精製抗体a)のほう酸緩衝液溶解液の各々を0.1ml
ずつ加え、かくはんした後、室温に一夜放置した。その
後、25%ポリエチレングリコール6000溶液1.0
mlを加えかくはんし、さらに遠心を行ない、抗原抗体
結合物、グロブリン、及び精製抗体を沈澱させる。遊離
のトレーサーを含む遠心上清を除去した後、沈澱を放射
線測定装置アロカV(アロカ社製)を用いて測定した。
この際、溶菌菌体溶液がMRSA菌体溶液であり、さら
にはMRSA菌体量の増加に従い精製抗体との結合量が
増加する。従って、逆にトレーサーと精製抗体との結合
量は減少し、MRSA菌体量の増加にともない、沈澱の
測定放射線量は減少する。その結果、本合成ペプチドは
標識抗原として有用であり、また、本法はMRSAを有
効に検出することがわかった(図5)。
【0056】〔実施例6〕本例は、実施例1で示した方
法により、7アミノ酸及び12アミノ酸から構成される
ペプチドを作製し、これらのペプチドがMRSA抗体を
検出することから、ペプチドがMRSA特異的な抗原を
提供していることをEIAでの方法を例に示したもので
ある。 1)7アミノ酸及び12アミノ酸から構成されるペプチ
ドの合成 a) Tyr−Gly−Ser−Thr−Gln−Ly
s−Ile b) Gln−Ile−Thr−Thr−Ser−Pr
o−Gly−Ser−Thr−Gln−Lys−Ile 実施例1で示した方法により、上記a),b)のペプチ
ドを合成した。なお、ペプチドa)は実施例1のa)に
示すペプチドの一部を構成する6アミノ酸のN端にTy
rが結合した7アミノ酸からなるものであり、ペプチド
b)は実施例1のa)に示すペプチドの一部を構成する
12アミノ酸からなるものである。 2)EIAの方法 実施例2の1)に示した方法により、上記a),b)の
合成ペプチドの固相化EIAマイクロプレートを作製し
た。さらに実施例2の2)に準じEIAを行った。
【0057】MRSA精製抗原を免疫したウサギ血清試
料を5%牛血清アルブミン加PBSで30,100,3
00,1000倍に希釈し各穴に0.05ml滴下し
て、37℃、1時間インキュベートした(陰性対照試料
には、非免疫ウサギの血清を同様にして希釈して用い
た)。洗浄後、酵素標識二次抗体としてホースラディッ
シュパーオキシダーゼ標識抗ウサギIgGヤギ血清(カ
ペル社製)を5%牛血清アルブミン加PBSで1:10
00に希釈し、各穴に0.05ml加え、37℃、1時
間反応させる。洗浄後、基質としてo−フェニレンジア
ミン(OPD)を過酸化水素水存在下(20mgのOP
D、10μgの35%過酸化水素水をpH5.0の0.
1Mクエン酸緩衝液50mlに溶解)に加える。室温に
15分間静置するとホースラディッシュパーオキシダー
ゼの働きにより基質が分解され発色する。1N硫酸を各
穴0.05ml加えると酸素反応が阻止され発色がそれ
以上進行しなくなる。この発色を吸光度測定装置の49
2nmで測定した。その結果、本合成ペプチドはMRS
A免疫ウサギ血清と反応することがわかった(図6、図
7)。よって、7アミノ酸及び12アミノ酸から構成さ
れる本ペプチドがMRSAに特異的な抗原を提供してい
ることが明らかとなった。
【0058】〔実施例7〕本例はMRSA測定検体液を
得る方法として、リゾスタフィンに替えて尿素を用いる
方法を示したものである。細菌培養培地にて、37℃、
一夜振盪培養したMRSA菌株を遠心して集菌し、細菌
培養液にて希釈し、さらに8M尿素溶液にて10倍に希
釈し、1×10、1×10、1×10、1×10
、および1×10菌数/mlの菌液を得た。対照と
して尿素溶液を用いず0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
4)にて希釈した菌液を同様に作製した。作製された菌
液を実施例4に示した方法に従いRIA法により測定し
た(図8)。
【0059】〔実施例8〕本例は実施例4の1)で得ら
れたMRSA特異抗体を感作したヒツジ赤血球を用い
て、赤血球凝集法によりMRSAを検出する方法を示し
たものである。固定化ヒツジ赤血球(シグマ社製)を
0.05M酢酸緩衝液(pH4.0)で3回遠心洗浄
し、再度同じ緩衝液に分散させ、固形分0.5%とした
懸濁液に合成ペプチドa)に対する抗体の溶液を最終濃
度が10μg/mlとなるように添加し、室温で1時間
攪拌することによりヒツジ赤血球に抗体を結合させた。
この混合物を1500rpmで5分間遠心分離し未結合
の抗体を除去した後、0.1Mグリシン緩衝液(pH
8.2)に再分散させて抗体感作赤血球を調製した。細
菌培養培地にてMRSAを37℃で一夜培養し、MRS
A培養液を得た。対照としてMSSAを同様に培養し
た。
【0060】得られた菌液を用いてマイクロタイター法
により赤血球凝集反応を行った。すなわち、マイクロタ
イタープレートの各穴にPH7.2のリン酸緩衝液を2
5μlずつ分注し、ダイリューターを用いてMRSA培
養液およびMSSA培養液を2倍段階希釈した。段階希
釈した各ウエルに上記の感作赤血球を25μlずつ分注
し、ミキサーで30秒間振盪し室温で1時間静置した
後、結果を目視により判定した(第3表)。
【0061】
【表3】
【0062】〔実施例9〕本例は実施例4の1)で得ら
れた精製抗体を用いて菌体よりMRSAに特異的なタン
パクであるPBP2′を精製する方法を示したものであ
る。CNBr−Sepharose4B(ファルマシア
社製)ゲル0.6gに常法に従いMRSA特異抗体3m
gをカップリングさせた。ゲルを0.05Mリン酸緩衝
液(pH7.4)で平衡化した後、平衡化したゲルに5
0mg(乾量)のMRSAのリゾスタフィン溶菌菌液を
冷所にて一夜反応させた。ゲルを50mMトリス塩酸緩
衝液(pH7.4)100mlにて十分に洗浄し非吸着
の菌体成分を洗い流した後、2.5M塩化マグネシウム
溶液(pH6.0)を加えPBP2′を溶出した。溶出
液は0.5mlずつ採取し、280nmにおける吸光度
の高いフラクションをプールした。プールした溶出液を
リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)にて一夜透析し塩
化マグネシウムを除いた後、乾燥し、精製PBP2′の
0.8mgを獲得した(図9)。
【0063】〔実施例10〕本例は実施例1と同様にし
て合成された各合成ペプチドを用いてMRSA PBP
2′に対するモノクローナル抗体の作製法を示したもの
である。 1)ハイブリドーマの作製 実施例3−1)で得られたa)−BSAの合成ペプチド
量に換算して25μgを0.1mlの生理食塩水に溶解
してから、フロイントコンプリートアジュバントの等量
と混合して乳化し、この乳化混合物を7週齢のBALB
/cマウス(雌)に2週間間隔で、計7回、皮下に注射
して免疫を行った。最終回の免疫後に、実施例1で得ら
れた合成ペプチドa)の25μgを0.5mlの生理食
塩水に溶解したものをマウスの腹腔内に投与した。この
マウスの牌細胞を3日後に摘出し、マウスミエローマ細
胞(P3−X63−Ag8−U1:P3U1)とポリエ
チレングリコール(PEG)法を用いて細胞融合させ
た。この融合細胞をHAT培地で選択後、培養上清の抗
PBP2′抗体活性を、実施例9で得られた菌体由来P
BP2′抗原をホースラディシュパーオキシダーゼ(H
RPO)で標識したPBP2′−HRPOを用いて調
べ、更に限界希釈法を用いてクローニングを行い、抗P
BP2′モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ(DM
2−12、DM2−13、DM2−39、DM2−4
0、DM2−45)を確立した。
【0064】同様に、MRSA菌体由来PBP2′に対
するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ(DM4−
11、DM4−17、DM4−20、DM4−26、D
M4−32)、及び合成ペプチドb)に対するモノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマ(DM3−1、DM3−
19、DM3−26)を確立した。上記ハイブリドーマ
細胞は、工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されて
おり、以下の受託番号がそれぞれに付与されている。 DM2−12;微工研菌寄第13240号 DM4−17;微工研菌寄第13242号 DM3−1 ;微工研条寄第4065号 DM3−19;微工研菌寄第13241号 2)モノクローナル抗体の作製 確立した抗PBP2′モノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマを15%FCS(ウシ胎児血清)含有のDMEM
培地(FLOW社)で大量培養した。その細胞をプリス
タン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカ
ン)処理したBALB/cマウス(雄)に細胞数とし
て、5.0×10個を腹腔内に投与した。2週間後
に、抗体含有腹水を採取した。腹水を45%硫安で塩析
したものをモノクローナル抗体とした。
【0065】〔実施例11〕本例は実施例10において
得られたモノクローナル抗体が、MRSA抗原特異的で
あり、MSSAに対して交差反応しないことをEIA法
により確認したものである。 1)EIA用抗原固相化プレートの作製 MRSAのリゾスタフィン(シグマ社製)溶菌菌体を
0.1M 炭酸緩衝液(pH9.6)に10μg/ml
濃度となるように溶解した。96穴マイクロプレート
(フロウ社製)の各穴に、この溶菌菌体溶解液を0.1
mlずつ分注し、室温で一晩静置し、溶菌菌体をプレー
トの各穴に結合させた。次いで溶菌菌体溶液を除去し、
各穴を洗浄後、ブロッキング溶液(5%牛血清アルブミ
ン含有PBS)を各穴に分注し、37℃で1時間インキ
ュベートした。インキュベート後、さらにプレートを洗
浄し、EIA用抗原固相化プレートとした。同様にして
MSSA溶菌菌体を固相化したプレートも作製した。
【0066】2)アッセイ法 実施例10において確立し得られたモノクローナル抗体
を、前記1)のEIA用抗原固相化プレートの各穴に
0.05mlずつ加え、37℃で1時間インキュベート
した。インキュベート後、各穴を3回洗浄し、HRPO
標識抗マウスIgGヤギ血清(カペル社製)溶液を各穴
に0.05mlずつ分注し、1時間反応させた。各穴を
4回洗浄後、o−フェニレンジアミン(OPD)溶液を
各穴に0.1mlずつ分注し、室温で15分間反応させ
た。次いで1N硫酸を0.05m1ずつ分注し酵素反応
を停止させ、このマイクロプレートの各穴の492nm
における吸光度を測定した。その結果、実施例10で作
製されたモノクローナル抗体は、MRSAと抗原抗体反
応するが、MSSAとは反応しないMRSA特異的な抗
体であることが確認された(第4表〜第6表)。
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】〔実施例12〕本例は実施例10において
得られたモノクローナル抗体を用いて、MRSAを検出
する方法を、RIAサンドイッチ法での例により示した
ものである。 1)RIA反応ビーズの作製 反応支持体として直径6.25mmのポリスチレン製球
状ビーズ(市販品)を用いた。45%硫安により塩析し
たモノクローナル抗体DM3−1を、0.15MNaC
1加0.05Mリン酸緩衝液にビーズ1個あたり5μg
となるように溶解し、ビーズ固相化用溶液として、ビー
ズを抗体で固相化した。これを緩衝液で洗浄した後、R
IA用ビーズとした。
【0071】2)RIAトレーサー(125I標識抗
体)の作製 トレーサーは以下の4種のモノクローナル抗体について
作製した。DM2−12(抗−合成ペプチドa)抗
体)、DM3−1、DM3−191(抗−合成ペプチド
b)抗体)、DM4−17(抗−MRSA菌体由来PB
P2′抗体)。ヨウ素標識は公知のクロラミンT法によ
り行なった。すなわち、標識用抗体と「125I」ヨウ
化ナトリウムとクロラミンTの溶液を混合し、十数秒
後、還元剤の二亜硫酸ナトリウムを加えることにより反
応を停止させる。ヨウ素化されたモノクローナル抗体は
セファデックスG−25(PD10カラム、ファルマシ
ア社製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにより、
遊離のヨウ素を除いた。これを3%牛血清アルブミン、
1%牛血清グロブリン加PBSにて希釈調整したもの
を、トレーサーとして用いた。
【0072】4)RIAサンドイッチアッセイ法 上記のように作製された抗体ビーズ及びトレーサーを用
いてRIAサンドイッチ法を行なった。細菌培養培地に
て、37℃、一夜振とう培養したMRSA菌株を遠心し
て集菌した。これにリゾスタフィン(シグマ社製)を、
100mlの培地から集菌された菌体当り2mg加える
ことにより溶菌し、MRSA溶菌菌体とした。このMR
SA溶菌菌体を、希釈液として1%牛血清アルブミン、
1%牛血清グロブリンを含むPBSを用いて、300、
100、30、10、3、1、0.3菌数/mlに希釈
した。また、対照試料としてMSSA溶菌菌体を同様に
希釈して用いた。市販の60穴反応トレイの各穴に溶菌
菌体溶液0.1ml、緩衝液0.2mlを加え、さらに
抗体ビーズ1個をいれて、室温で一晩インキュベートし
た。インキュベート後、ビーズを生理食塩水で3回洗浄
し、次いでトレーサー0.2mlを加え、室温で4時間
インキュベートした後、生理食塩水で3回洗浄した。ビ
ーズを測定用試験管に移し、放射線測定装置アロカV
(アロカ社製)を用いてビーズの放射線量を測定した
(図10)。
【0073】
【発明の効果】本発明によるMRSAの検出、測定方法
は、MRSAに特異的な合成ペプチドあるいは合成ペプ
チドにより作製された抗体、及びその抗体により作製さ
れた菌由来MRSA PBP2′を用いることから、M
RSAを特異的かつ高感度に検出でき、ヒト及び動物の
MRSA感染を知る簡便な手法になる。本発明による合
成ペプチドはその構造が明らかであり、他の不純のタン
パク質を含んでいないため、免疫原としての使用に適し
ており、それを用いて得られた抗血清は、MRSAと特
異的に反応し、免疫原として有用である。さらに、本発
明による合成ペプチドは、試料中の微量なMRSA抗体
の測定に際し、EIA,RIAなどのイムノアッセイに
用いる抗原として使用できる。一方、本発明による抗体
は、その抗原特異性が明らかであり、MRSAの検出、
試料中の微量なMRSA部分抗原の測定に際し、EI
A,RIAなどのイムノアッセイに用いる抗体として利
用できる。
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:32 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号:2 配列の長さ:31 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号:3 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号4 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号5 配列の長さ:16 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号6 配列の長さ:24 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号7 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号8 配列の長さ:22 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号9 配列の長さ:21 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号10 配列の長さ:22 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号11 配列の長さ:27 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号12 配列の長さ:23 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号13 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号:14 配列の長さ:32 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号:15 配列の長さ:31 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド ペプチド 配列
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た合成ペプチドa)のRP−HP
LCパターン。
【図2】実施例1で得た合成ペプチドb)のRP−HP
LCパターン。
【図3】実施例3で得られた合成ペプチドを用いて得ら
れた抗体の反応性を示す。
【図4】ウサギ免疫血清を用いたRIAサンドイッチ法
の結果を示す。
【図5】合成ペプチドを標識抗原としたRIA競合法の
結果を示す。
【図6】実施例6で得た合成ペプチドa)を固相化して
EIA測定を行なった結果を示す。
【図7】実施例6で得た合成ペプチドb)を固相化して
EIA測定を行なった結果を示す。
【図8】実施例7による尿素で希釈した菌液のRIA法
の結果を示す。
【図9】実施例9で得たMRSA特異抗体カップリング
ゲルでのPBP2′の溶出パターン。
【図10】実施例12で得た各種モノクローナル抗体用
いたRIAサンドイッチアッセイ法の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/53 D 8310−2J 33/569 E 9015−2J 33/577 B 9015−2J // A61K 39/395 D 9284−4C R 9284−4C 39/40 9284−4C C07K 99:00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式: Gly−Ser−Lys−Lys−Phe−Glu−L
    ys−Gly−Met−Lys−Lys−Leu−Gl
    y−Val−Gly−Glu−Asp−Ile−Pro
    −Ser−Asp−Tyr−Pro−Phe,Pro−
    His−Leu−Leu−Lys−Asp−Thr−L
    ys−Asn−Lys−Val−Trp−Lys−Ly
    s−Asn−Ile−Ile−Ser−Lys−Gl
    u,Met−Gln−Gln−Val−Val−Asn
    −Lys−Thr−His−Lys−Glu−Asp−
    Ile−Tyr−Arg−Ser−Tyr−Ala−A
    sn−Leu−Ile−Gly,Ile−Gln−As
    p−Arg−Lys−Ile−Lys−Lys−Val
    −Ser−Lys−Asn−Lys−Lys−Arg−
    Val−Asp−Ala−Gln−Tyr−Lys,M
    et−Gln−Lys−Asp−Gln−Ser−Il
    e−His−Ile−Glu−Asn−Leu−Lys
    −Ser−Glu−Arg−Gly−Lys−Ile−
    Leu−Asp−Arg,Met−Asp−Glu−T
    yr−Leu−Ser−Asp−Phe−Ala−Ly
    s−Lys−Phe−His−Leu−Thr−Thr
    −Asn−Glu−Thr−Glu−Ser−Arg−
    Asn−Tyr−Pro−Leu−Gly,Pro−I
    le−Asn−Ser−Glu−Glu−Leu−Ly
    s−Gln−Lys−Glu−Tyr−Lys−Gly
    −Tyr−Lys−Asp−Asp−Ala−Val−
    Ile−Gly−Lys,あるいはHis−Thr−L
    eu−Ile−Glu−Lys−Lys−Lys−Ly
    s−Asp−Gly−Lys−Asp−Ile−Gln
    −Leu−Thr−Ile−Asp−Ala で表わされるペプチド、それらペプチド配列中に少なく
    とも1個のアミノ酸残基を付加したもの、それらペプチ
    ド配列中の少なくとも1個のアミノ酸残基を他のアミノ
    酸に置き換えたもの又はそのペプチド配列のうちの少な
    くとも一部を有し、最大で32個のアミノ酸残基からな
    り且つMRSA PBP2′(メチシリン耐性黄色ブド
    ウ球菌ペニシリン結合タンパク2′)に対する抗体と免
    疫学的に反応しうるペプチドからなる群から選ばれたペ
    プチド、次式: X−Gly−Ser−Thr−Gln−Lys−Ile
    −Y (式中、Xは、Tyr−Asn−Lys−Leu−Th
    r−Glu−Asp−Lys−Lys−Glu−Pro
    −Leu−Leu−Asn−Lys−Phe−Gln−
    Ile−Thr−Thr−Ser−Pro−、または、
    そのペプチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から
    除いた基あるいは、それらの鎖のアミノ酸残基の少なく
    とも1個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わし、Y
    は、−Leu−Thr−Ala−Met、またはそのペ
    プチド鎖から任意の数のアミノ酸をC末端側から除いた
    基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
    個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす。)または、
    次式: X′−Lys−Ile−Asp−Gly−Lys−Gl
    y−Trp−Gln−Lys−Asp−Lys−Ser
    −Trp−Gly−Gly−Tyr (式中、X′はMet−Ile−Gly−Leu−As
    n−Asn−Lys−Thr−Leu−Asp−Asp
    −Lys−Thr−Ser−Tyr−、または、そのペ
    プチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から除いた
    基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
    個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす)で表わされ
    るペプチド、それらペプチド配列中に少なくとも1個の
    アミノ酸残基を付加したもの、あるいはそれらのペプチ
    ド中のアミノ酸配列の一部からなり且つMRSA PB
    P2′に対する抗体と免疫学的に反応しうるペプチド及
    び/又は該ペプチドに対する抗体を使用することを特徴
    とするMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)ある
    いはその破壊物の検出方法。
  2. 【請求項2】 次式: Gly−Ser−Lys−Lys−Phe−Glu−L
    ys−Gly−Met−Lys−Lys−Leu−Gl
    y−Val−Gly−Glu−Asp−Ile−Pro
    −Ser−Asp−Tyr−Pro−Phe,Pro−
    His−Leu−Leu−Lys−Asp−Thr−L
    ys−Asn−Lys−Val−Trp−Lys−Ly
    s−Asn−Ile−Ile−Ser−Lys−Gl
    u,Met−Gln−Gln−Val−Val−Asn
    −Lys−Thr−His−Lys−Glu−Asp−
    Ile−Tyr−Arg−Ser−Tyr−Ala−A
    sn−Leu−Ile−Gly,Ile−Gln−As
    p−Arg−Lys−Ile−Lys−Lys−Val
    −Ser−Lys−Asn−Lys−Lys−Arg−
    Val−Asp−Ala−Gln−Tyr−Lys,M
    et−Gln−Lys−Asp−Gln−Ser−Il
    e−His−Ile−Glu−Asn−Leu−Lys
    −Ser−Glu−Arg−Gly−Lys−Ile−
    Leu−Asp−Arg,Met−Asp−Glu−T
    yr−Leu−Ser−Asp−Phe−Ala−Ly
    s−Lys−Phe−His−Leu−Thr−Thr
    −Asn−Glu−Thr−Glu−Ser−Arg−
    Asn−Tyr−Pro−Leu−Gly,Pro−I
    le−Asn−Ser−Glu−Glu−Leu−Ly
    s−Gln−Lys−Glu−Tyr−Lys−Gly
    −Tyr−Lys−Asp−Asp−Ala−Val−
    Ile−Gly−Lys,あるいはHis−Thr−L
    eu−Ile−Glu−Lys−Lys−Lys−Ly
    s−Asp−Gly−Lys−Asp−Ile−Gln
    −Leu−Thr−Ile−Asp−Ala で表わされるペプチド、それらペプチド配列中に少なく
    とも1個のアミノ酸残基を付加したもの、それらペプチ
    ド配列中の少なくとも1個のアミノ酸残基を他のアミノ
    酸に置き換えたもの又はそのペプチド配列のうちの少な
    くとも一部を有し、最大で32個のアミノ酸残基からな
    り且つMRSA PBP2′(メチシリン耐性黄色ブド
    ウ球菌ペニシリン結合タンパク2′)に対する抗体と免
    疫学的に反応しうるペプチドからなる群から選ばれたペ
    プチド、次式: X−Gly−Ser−Thr−Gln−Lys−Ile
    −Y (式中、Xは、Tyr−Asn−Lys−Leu−Th
    r−Glu−Asp−Lys−Lys−Glu−Pro
    −Leu−Leu−Asn−Lys−Phe−Gln−
    Ile−Thr−Thr−Ser−Pro−、または、
    そのペプチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から
    除いた基あるいは、それらの鎖のアミノ酸残基の少なく
    とも1個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わし、Y
    は、−Leu−Thr−Ala−Met、またはそのペ
    プチド鎖から任意の数のアミノ酸をC末端側から除いた
    基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
    個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす。)または、
    次式: X′−Lys−Ile−Asp−Gly−Lys−Gl
    y−Trp−Gln−Lys−Asp−Lys−Ser
    −Trp−Gly−Gly−Tyr (式中、X′はMet−Ile−Gly−Leu−As
    n−Asn−Lys−Thr−Leu−Asp−Asp
    −Lys−Thr−Ser−Tyr−、または、そのペ
    プチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から除いた
    基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
    個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす)で表わされ
    るペプチド、それらペプチド配列中に少なくとも1個の
    アミノ酸残基を付加したもの、あるいはそれらのペプチ
    ド中のアミノ酸配列の一部からなり且つMRSA PB
    P2′に対する抗体と免疫学的に反応しうるペプチド及
    び/又は該ペプチドに対する抗体を使用することを特徴
    とする被検検体中のMRSA抗体を検出する方法。
  3. 【請求項3】 該ペプチドが、アミノ酸残基のうちの少
    なくとも1個をシステインまたはチロシンで置き換えた
    ものあるいはアミノ酸残基として少なくとも1個のシス
    テインまたはチロシンを付加したものである請求項1又
    は2のうちのいずれかに記載の方法。
  4. 【請求項4】 次式: Gly−Ser−Lys−Lys−Phe−Glu−L
    ys−Gly−Met−Lys−Lys−Leu−Gl
    y−Val−Gly−Glu−Asp−Ile−Pro
    −Ser−Asp−Tyr−Pro−Phe,Pro−
    His−Leu−Leu−Lys−Asp−Thr−L
    ys−Asn−Lys−Val−Trp−Lys−Ly
    s−Asn−Ile−Ile−Ser−Lys−Gl
    u,Met−Gln−Gln−Val−Val−Asn
    −Lys−Thr−His−Lys−Glu−Asp−
    Ile−Tyr−Arg−Ser−Tyr−Ala−A
    sn−Leu−Ile−Gly,Ile−Gln−As
    p−Arg−Lys−Ile−Lys−Lys−Val
    −Ser−Lys−Asn−Lys−Lys−Arg−
    Val−Asp−Ala−Gln−Tyr−Lys,M
    et−Gln−Lys−Asp−Gln−Ser−Il
    e−His−Ile−Glu−Asn−Leu−Lys
    −Ser−Glu−Arg−Gly−Lys−Ile−
    Leu−Asp−Arg,Met−Asp−Glu−T
    yr−Leu−Ser−Asp−Phe−Ala−Ly
    s−Lys−Phe−His−Leu−Thr−Thr
    −Asn−Glu−Thr−Glu−Ser−Arg−
    Asn−Tyr−Pro−Leu−Gly,Pro−I
    le−Asn−Ser−Glu−Glu−Leu−Ly
    s−Gln−Lys−Glu−Tyr−Lys−Gly
    −Tyr−Lys−Asp−Asp−Ala−Val−
    Ile−Gly−Lys,あるいはHis−Thr−L
    eu−Ile−Glu−Lys−Lys−Lys−Ly
    s−Asp−Gly−Lys−Asp−Ile−Gln
    −Leu−Thr−Ile−Asp−Ala で表わされるペプチド、それらペプチド配列中に少なく
    とも1個のアミノ酸残基を付加したもの、それらペプチ
    ド配列中の少なくとも1個のアミノ酸残基を他のアミノ
    酸に置き換えたもの又はそのペプチド配列のうちの少な
    くとも一部を有し、最大で32個のアミノ酸残基からな
    り且つMRSA PBP2′(メチシリン耐性黄色ブド
    ウ球菌ペニシリン結合タンパク2′)に対する抗体と免
    疫学的に反応しうるペプチドからなる群から選ばれたペ
    プチド、次式: X−Gly−Ser−Thr−Gln−Lys−Ile
    −Y (式中、Xは、Tyr−Asn−Lys−Leu−Th
    r−Glu−Asp−Lys−Lys−Glu−Pro
    −Leu−Leu−Asn−Lys−Phe−Gln−
    Ile−Thr−Thr−Ser−Pro−、または、
    そのペプチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から
    除いた基あるいは、それらの鎖のアミノ酸残基の少なく
    とも1個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わし、Y
    は、−Leu−Thr−Ala−Met、またはそのペ
    プチド鎖から任意の数のアミノ酸をC末端側から除いた
    基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
    個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす。)または、
    次式: X′−Lys−Ile−Asp−Gly−Lys−Gl
    y−Trp−Gln−Lys−Asp−Lys−Ser
    −Trp−Gly−Gly−Tyr (式中、X′はMet−Ile−Gly−Leu−As
    n−Asn−Lys−Thr−Leu−Asp−Asp
    −Lys−Thr−Ser−Tyr−、または、そのペ
    プチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から除いた
    基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
    個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす)で表わされ
    るペプチド、それらペプチド配列中に少なくとも1個の
    アミノ酸残基を付加したもの、あるいはそれらのペプチ
    ド中のアミノ酸配列の一部からなり且つMRSA PB
    P2′に対する抗体と免疫学的に反応しうるペプチドに
    対する抗体を結合したゲルにMRSA培養液あるいはM
    RSA溶菌菌液を作用させた後、前記ゲルの抗体に結合
    した菌体成分を溶出するアフィニティー クロマトグラ
    フィーにより精製することを特徴とするMRSA PB
    P2′抗原。
  5. 【請求項5】 該ペプチドが、アミノ酸残基のうちの少
    なくとも1個をシステインまたはチロシンで置き換えた
    ものあるいはアミノ酸残基として少なくとも1個のシス
    テインまたはチロシンを付加したものである請求項4に
    記載のMRSA PBP2′抗原。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のMRSA PBP2′
    を使用することを特徴とするMRSAの検出方法。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載のMRSA PBP2′
    を使用することを特徴とする被検検体中のMRSA抗体
    を検出する方法。
  8. 【請求項8】 次式: Gly−Ser−Lys−Lys−Phe−Glu−L
    ys−Gly−Met−Lys−Lys−Leu−Gl
    y−Val−Gly−Glu−Asp−Ile−Pro
    −Ser−Asp−Tyr−Pro−Phe,Pro−
    His−Leu−Leu−Lys−Asp−Thr−L
    ys−Asn−Lys−Val−Trp−Lys−Ly
    s−Asn−Ile−Ile−Ser−Lys−Gl
    u,Met−Gln−Gln−Val−Val−Asn
    −Lys−Thr−His−Lys−Glu−Asp−
    Ile−Tyr−Arg−Ser−Tyr−Ala−A
    sn−Leu−Ile−Gly,Ile−Gln−As
    p−Arg−Lys−Ile−Lys−Lys−Val
    −Ser−Lys−Asn−Lys−Lys−Arg−
    Val−Asp−Ala−Gln−Tyr−Lys,M
    et−Gln−Lys−Asp−Gln−Ser−Il
    e−His−Ile−Glu−Asn−Leu−Lys
    −Ser−Glu−Arg−Gly−Lys−Ile−
    Leu−Asp−Arg,Met−Asp−Glu−T
    yr−Leu−Ser−Asp−Phe−Ala−Ly
    s−Lys−Phe−His−Leu−Thr−Thr
    −Asn一Glu−Thr−Glu−Ser−Arg−
    Asn−Tyr−Pro−Leu−Gly,Pro−I
    le−Asn−Ser−Glu−Glu−Leu−Ly
    s−Gln−Lys−Glu−Tyr−Lys−Gly
    −Tyr−Lys−Asp−Asp−Ala−Val−
    Ile−Gly−Lys,あるいはHis−Thr−L
    eu−Ile−Glu−Lys−Lys−Lys−Ly
    s−Asp−Gly−Lys−Asp−Ile−Gln
    −Leu−Thr−Ile−Asp−Ala で表わされるペプチド、それらペプチド配列中に少なく
    とも1個のアミノ酸残基を付加したもの、それらペプチ
    ド配列中の少なくとも1個のアミノ酸残基を他のアミノ
    酸に置き換えたもの又はそのペプチド配列のうちの少な
    くとも一部を有し、最大で32個のアミノ酸残基からな
    り且つMRSA PBP2′(メチシリン耐性黄色ブド
    ウ球菌ペニシリン結合タンパク2′)に対する抗体と免
    疫学的に反応しうるペプチドからなる群から選ばれたペ
    プチド、次式: X−Gly−Ser−Thr−Gln−Lys−Ile
    −Y (式中、Xは、Tyr−Asn−Lys−Leu−Th
    r−Glu−Asp−Lys−Lys−Glu−Pro
    −Leu−Leu−Asn−Lys−Phe−Gln−
    Ile−Thr−Thr−Ser−Pro−、または、
    そのペプチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から
    除いた基あるいは、それらの鎖のアミノ酸残基の少なく
    とも1個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わし、Y
    は、−Leu−Thr−Ala−Met、またはそのペ
    プチド鎖から任意の数のアミノ酸をC末端側から除いた
    基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
    個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす。)または、
    次式: X′−Lys−Ile−Asp−Gly−Lys−Gl
    y−Trp−Gln−Lys−Asp−Lys−Ser
    −Trp−Gly−Gly−Tyr (式中、X′はMet−Ile−Gly−Leu−As
    n−Asn−Lys−The−Leu−Asp−Asp
    −Lys−Thr−Ser−Tyr−、または、そのペ
    プチド鎖から任意の数のアミノ酸をN末端側から除いた
    基、あるいはそれらの鎖のアミノ酸残基の少なくとも1
    個を他のアミノ酸に置き換えた基を表わす)で表わされ
    るペプチド、それらペプチド配列中に少なくとも1個の
    アミノ酸残基を付加したもの、あるいはそれらのペプチ
    ド中のアミノ酸配列の一部からなり且つMRSA PB
    P2′に対する抗体と免疫学的に反応しうるペプチド。
  9. 【請求項9】 該ペプチドが、アミノ酸残基のうちの少
    なくとも1個をシステインまたはチロシンで置き換えた
    ものあるいはアミノ酸残基として少なくとも1個のシス
    テインまたはチロシンを付加したものである請求項8に
    記載のペプチド。
  10. 【請求項10】 MRSA PBP2′に特異的に結合
    することを特徴とするモノクローナルあるいはポリクロ
    ーナル抗体。
  11. 【請求項11】 請求項8または9項に記載のペプチド
    を免疫原として得られたものである請求項10に記載の
    抗体。
  12. 【請求項12】 請求項4に記載のMRSA PBP
    2′を免疫原として得られたMRSA PBP2′に特
    異的に結合するものである請求項10に記載の抗体。
  13. 【請求項13】 モノクローナル抗体が、DM2−1
    2、DM2−13、DM2−39、DM2−40、DM
    2−45、DM4−11、DM4−17、DM4−2
    0、DM4−26、DM4−32、DM3−1、DM3
    −19およびDM3−26である請求項10に記載の抗
    体。
  14. 【請求項14】 請求項10に記載の抗体を使用する請
    求項1に記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995016915A1 (en) * 1993-12-17 1995-06-22 Helsinki University Licensing Ltd. Oy METHODS AND MATERIALS FOR THE DETECTION OF $i(STAPHYLOCOCCUS AUREUS)
WO2011081075A1 (ja) 2009-12-28 2011-07-07 キッコーマン株式会社 黄色ブドウ球菌抗原の抽出方法、黄色ブドウ球菌抗原の抽出用試薬および黄色ブドウ球菌の判定方法

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