【発明の詳細な説明】
ヒト心室ミオシン軽鎖に対するモノクローナル抗体
発明の分野
本発明は、ヒトミオシン軽鎖に特異的に結合し、同様の軽鎖の心筋のイソ型に
対し高親和性を示す、モノクローナル抗体に関する。更に詳しくは、本発明は、
39-15(ATCCHB11709)と称する、ハイブリドーマ細胞株、およびそれによ
り製造されるモノクローナル抗体に関する。本発明のモノクローナル抗体は、心
筋のミオシン軽鎖の血液、血清または血漿レベルを決定するために使用すること
ができる。本抗体は心筋障害に対する迅速な形式診断試験に特に有用である。
背景および先行技術
ミオシンはサルコメアの大型で不溶性の構造タンパク質である。しかし、軽鎖
のある種のサイトゾル前駆体プールは筋細胞にも存在するように見える。そのよ
うなサイトゾルプールは心筋障害に続いて循環中に直ちに漏出する。更に、もし
、細胞のpHが6.0以下に降下すると全ミオシン複合体からMLCsが解離するよ
うである(T.C.Smitherman,et al.,J Mol Cell Cardiol,12,149-164,1980
)。筋肉細胞障害は解離したMLCsが循環中に遊離すると考えられる。それゆ
え、循環中のMLCsの検出は心筋障害の生化学的マーカーとして提示されてき
た。
ミオシン分子は、心筋および骨格筋の両者に見い出されており、一対の軽鎖(
分子量27KdのMLC-1および分子量20KdのMLC-2)
から成り立っている。骨格筋および心筋MLCsはそれらの高い相同性にも拘わ
らず化学的ならびに免疫学的に性質を異にしている(A.G.Weeds,et al.,Natur
e 234 85-88,1971: T.Masaki,J Biochem,76,441-449,1974)。MLC-1
およびMLC-2両者のカルボキシル末端は高度に保存されているように見える
が、心筋または骨格筋特異的配列はアミノ末端に見い出されている(E.Hoffman
n,et al.,Nucleic Acids Res,16,2353,1988)。
最近、心筋障害の新しい生化学的マーカーとしてヒト心室ミオシン軽鎖(HV
MLCs)に対する興味が増加している。
ミオシン軽鎖は、心筋壊死に続いて、急速に血清中に出現し、そのレベルは上
昇したまま10日間まで残存する(J.Wanq,et al.,C1in Chimica,Acta,181,3
25-336,1989; G,Jackowski,et al.,Circulation Suppl,11,355,1989)。
HVMLCの測定は不安定なアンギナや心筋梗塞における診断情報を提供するよ
うにみえる。
種々の免疫学的測定がヒト血清中のMLCs測定するのに確立されてきた。初
期の研究では、ポリクロナール抗体を用いたラジオイムノアッセイが行われてい
た(J.B.Gere,etal.,Am.J clin pathol,71,309-318,1979: H.A.Katus,
et al.,Am J Cardiol.,54,964-970,1984; M.Isobe,et al.,Circulation
,76,1251-1261,1987; J.Wanq,et al.,Clin Chim Acta,81,325-336,198
9; H.A.Katus,et al.,Mol Immunol,19,451-455,1982)。ポリクローナル
抗体を使用しては、心筋と骨格筋のMLCsのイソ型の著しい相同性のゆえに、
交差反応性の問題は避けられなかった。
MLC分子のエピトープを認識するモノクローナル抗体を使用し
て、これらの問題を克服する試みがなされた(S.Looser,et al.,Clin Chem,3
4,1273,1988; Y.Uji,et al.,J Clin.Lab Anal,5,242-246,1991; H.Ka
toh,et al.,Clin Chem,37,1030,1991; A.Hirayama,et al.,Clin Bioche
m,23,515-522,1990)。これらのモノクローナル抗体は、心筋組織から精製さ
れたヒト心室ミオシン軽鎖(HVMLCs)に対して、とりあげられてきた。そ
のようなモノクローナル抗体の骨格筋MLCとの交又反応性は10%以上であると
報告されている。
最近、Nicol,P.D.,et al.(J Nucl Med,34,2144-2155,1993)は、モノク
ローナル抗体を製造するための免疫原としてキーホールリンペットヘモシアニン
(KLH)に結合する合成ペプチド(HVMLC-1の残基5-14)を使用した。
しかしながら、このモノクローナル抗体の親和性は、現在の目的には充分には高
くない。
心筋ミオシン軽鎖に対し高い親和性を示すヒトミオシン軽鎖モノクローナル抗
体に対する要望は、いぜんとして残されている。そのような免疫測定系は、米国
特許第5,290,678号に開示された迅速形式方法(rapid format procedure)によ
り心筋壊死および梗塞を診断し定量化するのに使用することができる。
発明の要約
先行技術の限界は、本発明においてミオシン軽鎖に特異的であり、心筋のイソ
型に高い親和性を有するモノクローナル抗体を提供することにより、取り扱われ
ている。特に、本発明はMLC-1の心筋の特異的合成ペプチドに対して産生さ
れるモノクローナル
抗体に関するものである。
本発明の一実施態様によれば、合成ペプチドはHVMLC-1の残基34-44に相
当している。このペプチドは、KLHあるいはアルブミンのようなキャリアータ
ンパク質を必要とせずに本発明のモノクローナル抗体の調製に使用することがで
きる。
本発明によれば、更に、上記した合成ペプチドを認識するばかりでなく、心筋
障害(例えば心筋梗塞、不安定アンギナ)の患者の血液、血清または血漿中の心
筋ミオシン軽鎖に対して認識し、高い親和性を有している、モノクローナル抗体
が提供される。
本発明の一実施態様によれば、American Type Culture Collection に1994年8
月25日で寄託され、寄託番号HB11709を有するハイブリドーマ細胞株39-15が提
供される。このハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体は未変性HV
MLC-1分子のアミノ酸残基34-44内に存在するエピトープを認識する。
更に、本発明の実施態様によれば、American Type Culture Collection に寄
託番号HB1170で9寄託された、ハイブリドーマ細胞株から製造されるモノクロ
ーナル抗体を使用して、試料中の心筋ミオシン軽鎖を検出する方法において、試
料を、試料中の心筋ミオシン軽鎖とモノクローナル抗体間の免疫反応に作用する
、モノクローナル抗体と接触させ:そしてその免疫反応を検出することよりなる
方法が提供される。
図面の簡単な説明
第1図は分枝ポリリジンコアを有するB39のペプチド配列の8量体構造を示す
。
第2図はHVMLC-1のサンドイッチアッセイの結果を示す。ここにおいて
、MAb 39-15が捕捉抗体として使用され、アフィニティ精製したニワトリ抗M
LC-1が検出抗体として使用された。
発明の詳細な説明
本発明のモノクローナル抗体は、ミオシン軽鎖に対するその特異性および感受
性、および心筋ミオシン軽鎖に対する高い親和性の故に、診断上の価値で特徴付
けられ、公知の抗体から区別することができる。
E.Hoffmanら(Nucleic Acid Res.16,2353,1988)により開示されているよ
うに、ミオシン軽鎖-1およびミオシン軽鎖-2両者のカルポキシル末端は高度に
保存されている、それに対し心筋または骨格筋特異的配列はミオシン軽鎖のアミ
ノ末端に見い出されている。それゆえ、ミオシン軽鎖の心筋イソ型に対し高い親
和性を有するモノクローナル抗体は、本発明により、ミオシン軽鎖-1の位置34-
44にわたるミオシン軽鎖-1のアミノ末端の合成ペプチドを使用して調製された
。
合成ペプチドを調製する方法は公知であり、以下の文献に詳細に記載されてい
る(C.Y.Wang et al.,Science 254,285-288,1991; G.W.McLean et al.,Jo
urnal of Immunological Methods,137,149-157,1991またはP.D.Nicol et al
.,The Journal of
Nuclear Medicine,34,2144-2151,1993)。
単一ペプチド鎖は通常実験動物においてそれ程免疫原性はなく、一般的にその
ようなペプチドは、KLHやウシ血清アルブミンのようなキャリアータンパク質
と共有結合させる必要がある。しかし、タンパ-複合体ペプチドを用いて製造し
た抗血清はしばしば力価が低い。合成ペプチドに対する抗血清を製造する方法は
D.N.Posnett et al.(J.Biol.Chem.263,1719,1988);J.P.Tam(Proc.N
atl.Acad.Sci.,U.S.A.,85,5409,1988);およびG.W.McLean,et al.(J
.Immunol.Methods,137,149,1991)により記載されている。リジンのαおよ
びεアミノ基は複数の分枝ポリリジンコア、この中に目的とするペプチドが合成
されている、を合成するのに使われている。分枝ペプチドを用いて、彼等は高力
価の抗血清の製造を提示している。
本発明のモノクローナル抗体は通常の方法、一般的にはKohlersおよびMilst
ein の方法(Nature,256,495-497,1975; Eur.J.Immnunol.6,511-519,19
76)により調製される。この方法によると、組織培養に適合したマウスミエロー
マ細胞を、単一抗体分子を大量に産生するハイブリッド細胞を得るために、免疫
マウスから得た抗体産生細胞に融合させる。一般的に、抗体産生細胞は動物、例
えばマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウマまたはウシを抗原で免疫することに
よって調製される。懸濁液中の抗原の免疫スケジュールおよび濃度は適当に準備
された抗体産生細胞の有用な量が得られるようにすればよい。これら抗体産生細
胞は脾臓細胞、胸腺細胞、リンパ節細胞および/または末梢血リンパ
球のいずれかである。
抗体産生細胞は次にミエローマ細胞、種々の動物例えばマウス、ラット、ウ
サギおよびヒト由来の細胞株が使用可能である、と適当な融合促進剤を用いて融
合される。多くのマウスミエローマ細胞が知られており、一般に学術団体や種々
の寄託機関、例えばAmerican Type Culture Collection,Rockville,Haryland
から入手可能である。使用されるミエローマ細胞株はHAT感受性であればよい
、そうすれば未融合ミエローマ細胞は選択培地中で生存できないで、ハイブリッ
ド細胞は生存できる。最も普通に使用される細胞株は8アザグアニン抵抗性細胞
株であり、酵素ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシル−トランスフェラー
ゼを欠如しているので、HAT(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン)
培地により保持されない。一般的に、細胞株は、また好ましくは、「非分泌型」
がよく、それは抗体を産生しない。好ましい融合促進剤は平均分子量約1000から
4000を有するポリエチレングリコールである。その他の融合促進剤例えばポリビ
ニルアルコール、ウイルスあるいは電場もまた使用可能である。
固定化細胞(ハイブリドーマ)は正確な特異性の抗体を分泌するものを選別
しなければならない。始めの選別は一般的に固相酵素免疫測定法(ELISA)
で行われる。特に、ハイブリドーマ培養上清が、前以て抗原、この場合は分枝ペ
プチドまたはヒト心筋から精製されたミオシン軽鎖である、で被覆されたミクロ
タイタープレートに加えられる。培養上清からの結合特異抗体は標識第2抗体、
例えば、市販品のペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス
IgGを使用して検出できる。ペプチド抗原およびミオシン軽鎖抗原の両者に対
し陽性の培養物は特定の希釈法によりクローニングに付される。第2のハイブリ
ドーマ培養は上記したようにして再選別され、更に陽性の培養をBIAcore
システム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、スエーデン国)を用いて試験す
る。培養は抗体が抗原を結合しているかどうか、および抗原結合の動態状態を評
価する。これらの結果を基にして選択した培養を更に培養の安定性およびクロー
ン性が得られるまでクローニングを行う。ハイブリダイゼーション直後、融合産
物は約80染色体を有しており、これらの細胞は分裂を行うので、それらの染色体
のいくつかを不規則に失っていく。クローニング処理はこれら抗体産生のための
染色体コーディングを保持している細胞を選択するためである。クローニング処
理は、ハイブリドーマの「安定性」の指標である特異性抗体の産生を、特定集団
が100%示すまで繰り返される。さらに、ハイブリドーマ培養ウエルはしばしば
複数のコロニーを有しているが、それらのいくつかは抗体非産生である。クロー
ニング処理は単一細胞から誘導された陽性のハイブリッドの選択を可能にする。
本発明のモノクローナル抗体はバイオリアクターを使用しても、あるいは腹水
からでも産生され得、両者の方法は公知である。
本発明のモノクローナル抗体はミオシン軽鎖の血液、血清あるいは血漿レベル
を検出するための免疫測定系として使用することができる。
現時点のイムノアッセイは分析体の存在を検出するために2
抗体法を利用している。これらの技術は"Basic Principals of Antigen-Antibod
y Reaction"Elvin A.Labat,(Methods in Enzymology,70,3-70,1980)に総
説がある。そのようなシステムはしばしば分析体の存在を急速に検出するのに適
しているから高速フォーマットシステム(fast format systems)と称される。
本発明の一実施態様によれば、ミオシン軽鎖の存在は、各々ミオグロビンに特異
性のある、そして少なくともミオシン軽鎖に対し特異性のある一つの抗体の、一
対の抗体を使用して、検出される。該一対の抗体の一つは、ここにおいて「検出
抗体」と称し、該一対の抗体の他の一つは、ここにおいて「捕捉抗体」と称する
。本発明のモノクローナル抗体は捕捉抗体あるいは検出抗体のいずれとして使用
可能である。本発明のモノクローラル抗体は、また捕捉あるいは検出抗体として
、共に単一のアッセイにおいて使用可能である。本発明の一実施態様では生休体
液試料中のミオシン軽鎖を検出するために二抗体サンドイッチ法が使用される。
この方法では、分析物(ミオシン軽鎖)は検出抗体と捕捉抗体の間にサンドイッ
チされ、捕捉抗体は固体支持体上に不可逆的に固定化されている。検出抗体は、
抗体−分析物−抗原サンドイッチの存在、即ち分析物の存在を同定するために、
検出可能な標識を含んでいる。
通常の固体支持体の初期の形はプレート、管あるいはビーズであり、これらは
ラジオイムノアッセイおよび酵素免疫測定法の分野で公知である。最近では、多
くの多孔性物質、例えばナイロン、ニトロセルロース、セルロースアセテート、
ガラス繊維およびそ
の他の多孔性ポリマーが固体支持体として使われている。
本発明の一実施態様では流動-通過型免疫測定法(flow-throuqh tyPe immunoa
ssay)装置を使用している。Valkirsら(米国特許第第4,632,901号)は、抗原分
析物に特異的な、多孔性膜またはフィルター、これには液体試料が加えられる、
に結合した抗体からなる装置を開示している。液体が膜を通って流れるので、標
的の分析物は抗体に結合する。試料の添加は標識抗体の添加に続いて行われる。
標識抗体の可視検出は試料中の標的分析物の存在の支持となる。
他の流動−通過型装置の例はKromerら(ヨーロッパ特許第0229359号)に開示
されている。これにはマトリックスの下に位置する反応マトリックスに対する、
運搬試薬の溶解速度を制御するための水可溶性ポリマー中に分散された試薬また
はその成分で飽和された、マトリックスからなる試薬運搬システムが記載されて
いる。
移動型測定においては、膜は測定に必要な試薬で浸漬されている。分析物検出
領域は、分析物が結合し、測定指示が読まれる。例えば、Tomeら(米国特許第4,
366,241号)、およびzuk(ヨーロッパ特許第0143574号)を見よ。移動型測定装
置は通常着色試薬に付属した試薬が取り込まれており、更に物質を加えなくても
測定結果の可視検出が可能である。例えば、Bernstein(米国特許第4,770,853号
)、Mayら(WO88/08534)およびChingら(ヨーロッパ特許第0299428号)を見
よ。本発明のモノクローナル抗体はこれらの全ての流動−通過型装置において使
用可能である。
直接標識は本発明によって使用することができる標識の一例である。直接標識
は、その自然の状態で、実体が肉眼あるいは光学フィルターおよび/または蛍光
を促進する紫外線などの刺激によって、見ることができるものとして定義される
。本発明において使用することができる着色標識の例としては、金属ゾル粒子、
例えばLeuveringにより記載された金ゾル粒子(米国特許第4,313,734号);Grib
nauら(米国特許第4,373,932号)およびMayら(WO88/08534)により記載され
た色素ゾル粒子;May、上記、Snyder(ヨーロッパ特許第0280559号および第0281
327号):またはCampbellらによって記載されたリポソームにカプセル化された
色素(米国特許第4,703,017号)がある。その他の直接標識は放射性ヌクレオチ
ド、蛍光体あるいはルミネセンスを含む。これら直接標識装置に加えるに、酵素
からなる間接標識も本発明において使用することができる。種々の型の酵素結合
イムノアッセイは公知である、例えばアルカリ性ホスファターゼと西洋ワサビパ
ーオキシダーゼ、リゾチーム、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸
脱水素酵素、これらおよびその他はEva EnqvallによりEnzyme Immunoassay ELI
SA and EMIT in Methods in Enzymology,70.419-439,1980および米国特許4,8
57,453において詳細に記載されている。
本発明のモノクローナル抗体を使用して、心筋ミオグロビンの検出に使用する
ことのできる生体診断装置のその他の例は、米国特許第4,906,439号および第4,9
18,025号においてG.Grenner,P.B.Diagnostics systems,Inc.により記載され
たものを含む。
本発明の一実施態様においては、患者から血液を引き抜くのに使用される通
常の血液試料チューブを診断試験に使用する。このチューブの内壁はモノクロー
ナルまたはポリクローナル抗体の担体として作用し、測定し得る信号を産出する
ために必要な検出用試薬を必要とする。この実施態様において、捕捉抗体は試験
管の壁に固定化されている。患者から試料を採取した後、使用者は試料を単にチ
ューブ内で検出抗体と振盪することにより、検出抗体は血中のミオシン軽鎖と反
応する。この例において、本発明のモノクローナル抗体は捕捉抗体か検出抗体の
いづれかであり得る。赤血球細胞を除去した試料を使う必要があるが、それによ
り赤血球細胞は分析結果に影響しない。もし分析物が血液中に存在すれば、捕捉
抗体と、直接検出のための適当な標識を含むか、あるいは間接測定における試薬
と反応する検出抗体の間にサンドイッチされる。固体支持体(試験管)は次いで
非結合標識物質を除くために洗滌される。この方法では、種々の固体支持体を使
用することができる、例えば試験管壁、プラスチックキャップ、ビーズ、プラス
チックボールおよびミクロタイタープレート、紙およびガラス繊維を含むシリン
ダー。
現時点で使用し得る、多くの試料を同時に高速フォーマットアッセイができる
幾種類かの自動測定装置がある。これらの自動測定装置は連続/ランダムアクセ
ス測定装置を含む。そのようなシステムの例は、PB Diagnostic Systems,Inc.
のopusTMおよびAbbott Laboratories of North Chicago,Illinnoisにより1988
年に導入されたIMXTM Analyzerがある。一般的に、試験検液の試料は試料容器
に供給され、測定試験要素への試料のピペッティング、培養および得られた信号
の読みを含む全ての操作工程が自動的に行われる。自動化測定システムは一般的
に、試験行程の一段階を行う夫々の一連のワークステーションを含む。測定要素
は一つのワークステーションから次へ種々の手段、例えば連続的に試験段階が完
成するように回転ラック(carousel)や移動棚により運搬される。測定要素は試
薬貯蔵受け器、混合液、希釈試料等を含む。測定要素はまた試験液の前以て定め
られた量を投与できる開口部、そしてもし必要ならば多孔性物に必要な他の試薬
を含む。試料要素は、行程の結果として得られた信号、典型的には多孔性物に存
在する試薬中での蛍光または色調の変化を、例えば分光学的または蛍光光度計、
これらは測定系に含まれているが、で読み取ることができるような窓を含む。
PB Diagnositic Systems,Inc.の自動測定機は米国特許第5,051,237号:第5,
138,868号;第5,141,871号および第5,147,609号に記載されている。
IMX Analyzerの記載は Fiore,M.et al.,Clinical Chemistry,35,No.9,1
988 の"Abott IMX Automated Bench Top Immunoachemistry Analyzer System"に
含まれている。更にこれら分析器の例は米国第特許4,956,148号「自動棚および
使い捨て試料カートリッジ」C.J.Grandone、1990年9月1日、Abbott Laborator
ies に譲渡、これにはAbbott IMXTMsystemに関して使用される複数の反応セルを
運ぶ回転ラックが記載されている。更なる改良はカナダ特許出願第2,069,531号
、Chadwick M.Dunn et
al.,Abbott Laboratoriesに譲渡、に記載されている。これには、先行特許出願
に記載されている免疫化学分析系が、現時点で得られる装置を使って一回の行程
操作で3ないし4分析物を試験する能力があることを記載している。上記したカナ
ダ特願に記載されたシステムは使用者が3つの別々の分析を行うよりも3つの小
単位の測定をまとめて行うことができる。本発明のモノクローナル抗体はこれら
の自動化分析器において使用することができる。
本発明のモノクローナル抗体が使用可能な更に別の免疫化学分析システムはバ
イオセンサーあるいは光学免疫センサーシステムである。一般的に、光学バイオ
センサーは、光学原理を使って定量的に問題とする化学的あるいは生化学的濃度
または活性を電気信号に変換する装置である。これらのシステムは4つの主なカ
テゴリーに群分けできる:反射技術;表面プラズモン共鳴;光ファイバー技術お
よび集積光学装置。反射技術は楕円偏光法、多重積分反射分光法(multiple int
egral reflection spectroscopy)および蛍光キャピラリー充填装置(fluoresce
nt capillary fill devices)を含む。光ファイバー技術は一過性フイールド蛍
光(evanescent field fluorescence)、光ファイバー毛管(optical fiber cap
illary tube)、および光ファイバー蛍光センサーを含む。集積光学装置はプラ
ナー・エバンセント・フィールドフルオレッセンス(planer evanescent field
fluorescence)、インプット・グレーディング・カプラー・イムノセンサー(in
put grading coupler immunosensor)、Mach-Zehnder干渉計、Hartman干渉計お
よび示差干渉計センサー(diference interferometer sensors)を
含む。これらの光学イムノセンサーの例は一般的にG.A.Robins(Advances in Bi
osensors),Vol.1,pp.229-256,1991の総説に記載されている。これらの装置
のより特定の記載は例えば米国特許第4,810,658号;第4,978,503号;第5,186,89
7号; R.A.Brady et al.(Phil.Trans.R.Soc.Land.B316,143-160,1987)
およびG.A.Robinson et al.(in Sensors and Actuators,Elsevier,1992)に
記載されている。
本発明の一実施態様においては、ミオシン軽鎖は血液、血清または血漿の試料
で、本発明のモノクローナル抗体を使用して、検出部および捕捉部を有するフィ
ルター膜または固体支持体からなる装置において検出される。検出部はミオシン
軽鎖と反応する抗体(検出抗体)を含んでいる。検出抗体は固体支持体上に可逆
的に固相化されており、使用時に試料と共に移動する。検出抗体は、例えば公知
技術に記載され、上記で論じたような、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光体、ル
ミネセントあるいは色素体で、標識されていることが好ましい。捕捉部は固体支
持体に不可逆的に固相化された捕捉抗体からなっている。抗体、捕捉および検出
抗体、および必要な試薬は、既に論じた流動-通過型免疫測定装置で開示したよ
うな、標準的既知技術を用いて固体支持体上に固相化されている。一般的に、抗
体は非極性タンパク質と非極性支持マトリックスの間の疎水性反応の結果として
、固体支持体上に吸収される。
本発明のこの実施態様においては、もしミオシン軽鎖が血液中に存在するなら
ば、検出部の検出抗体と反応し、捕捉部のフィルター膜の方に移動し、そこで分
析物は捕捉抗体と結合する。かく
して、ミオシン軽鎖は捕捉抗体と適当な標識を有する検出抗体の間にサンドイッ
チされる。
本発明のこの実施例において、もし検出抗体が色素標識または色素標識を生じ
る酵素で標識されていれば、患者の血液は赤血球を除去するため最初遠心または
前ろ過を行うことにより、赤血球の色が色素標識を妨害することはない。もし、
放射性標識または蛍光標識が使われるならば、前ろ過または遠心は不要である。
本実施態様において、本発明のモノクローナル抗体は捕捉抗体か検出抗体である
。一実施態様において、本発明のモノクローナル抗体は捕捉抗体である。検出抗
体は他の心筋特異性ミオシン軽鎖モノクローナル抗体、ミオシン軽鎖の他のイソ
型に反応性のモノクローナル抗体、あるいはポリクローナル抗ミオシン軽鎖抗体
であり得る。ニワトリ、ウサギ、ヤギまたはマウスポリクローナル抗体が使用可
能である。多くのそのような抗体は公知であり、公知の方法により調製され標識
される。
この免疫測定系は一般的に米国特許第5,290,678号に記載されている。本発明
の抗体は、心筋ミオシン軽鎖に対し高い親和性を有しているので、本システムに
おいてとくに有用である。
以下の詳細な実施例は本発明を更に説明するものであるが、限定的に解釈され
るものではない。
実施例
実施例1: 抗原の調製
分枝したポリリジンコアを有するペプチド、B39(残基34-44)は、前記したT
am法を用いてBiotecnology Service Centre,Toronto,Ontario,Canadaによ
り合成された。残記34-44は、分子内に免疫原領域があると予言されるコンピュ
ータープログラムによって選んだ。第1図は分枝ペプチドの8量体構造を示し、
そして心筋MLC-1に相当するB39のペプチド配列は表1に示される。凍結乾燥
ペプチドは-20℃でデシケーターに保存された。使用直前に、ペプチドの必要量
を計り、10mMリン酸生理食塩水(PBS)、pH7.4に溶解した。ペプチドの
最終濃度は約2mg/mlであった。
実施例2: モノクローナル抗体の調製
本発明のモノクローナル抗体はポリエチレングリコール(PEG)媒介細胞融
合法により製造された。
i) 免疫細胞の調製
Balb/cマウス、系統Hー2dハロタイプ、Charles River Canada,St.Consta
nt,Quebec,Canada、雌、7−9週令、を第1回注射として等量のフロインド完
全アジュバント(FCA)でエッマルジョ
ンにした分枝ペプチドで免疫し、対でペプチド100μgとフロインド不完全アジ
ュバント(FIA)と共に2週間間隔で注射して免疫した。免疫マウスはリン酸
緩衝生理食塩液(PBS)、pH7.4で、静脈注射および/または腹腔内投与を
行って最終免疫後3−4日で屠殺した。
ii) ミエローマ細胞の調製
Sp2/0-Ag14(Sp2/0)マウスミエローマ細胞はATCC(ATCCCR
L-1581)から入手した。
iii) ハイブリドーマの調製
分枝ペプチドで免疫したマウスから得た脾細胞とSp2/0細胞を、Fuller,S.A
.,Takahashi,M.,and Hurrel,J.G.R.(Preparation of Monoclonal Antib
odies: In: Ausubel F,Brent B.kingston R.,et al.,eds.Current Protoco
ls in Molecular Biology,New York: Green PubliShing Associates,1987: Un
it 11)により記載された方法にしたがって42%PEGの存在か融合させた。で
き上がった融合細胞はHAT選択培地に懸濁し、そしてFuller et al.(上記文
献を見よ)により記載されたようにして、前以て、支持細胞、PEC(腹水浸出
細胞)で予備的に播種した5つの96孔プレートに蒔いた。新鮮なHAT培地を、
融合後、約7日に加え、そして第9日目に50%の培地を除き、新鮮なHAT培地
で置換した。
iv) MLC-1特異的抗体分泌ハイブリドーマの選別
最初のハイブリッド培養の選別は固相ELISAを用いて行った。コンフルエ
ントバイブリドーマ培養上清を、分枝ペプチドあるいはヒト心筋から精製したミ
オシン軽鎖で被覆した96−ウエルマイクロタイタープレートに加えた。特に、抗
体は、96−ウエルImmunolon-4、平底面マイクロタイタープレート(Dynatech La
bs,Chantilly,VA)のプラスチックの表面に、100mM炭酸緩衝液、pH9.6の
タンパク質溶液 μg/mlを100μl/ウエル、4℃にて一夜インキュベートす
ることにより、直接固相化した。過剰の結合部位はリン酸緩衝生理食塩液(PB
S)、pH7.2、0.05%Tween-20含有PBSでプレートを洗滌後、モノクローナ
ル抗体を含む培養上清100μlを固相化抗原と1時間37℃にてインキュベートし
た。洗滌後、ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResear
ch Lab.Inc.,west Grove,penn.)を加え、30分37℃にてインキュベートした
。最終洗滌後、125μl3%H2SO4を含む、オルトフェイレンジアミン(OP
D)(sigma Chemicals,St Louis Missouri)、10mgの0.1モル/Lクエン酸
緩衝液12.5mlを加え、490nmでO.D.を測定した。陽性の培養は新鮮な培地を
加え、24時間後、ELISAと同じかそれより大きいOD信号を与えた培養物を
、支持細胞を前もって植えた24−ウエル培養プレートに、上記の方法で、移した
。
ペプチドプレートとMLCプレートの両方で培養が陽性のものを、Fullerら(
前記文献を参照)により記載されたようにして、限界希釈培養法によりクローニ
ングを行った。第2回ハイブリドーマ培養の固相ELISA選別をMLC-およ
びペプチドプレートの両者を
使って繰り返した。両方のプレートで陽性の培養物を24−ウエルカルチャープレ
ートに拡大した。ハイブリドーマがコンフルエントに達したとき、培養上清を、
BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,スウェーデン国
)を用いて、抗体が抗原、即ち溶液中のミオシン軽鎖、と結合しているか否かを
評価するため、および抗原結合動態のプロフィールを決定するために、試験した
。BIAcoreシステムは表面プラズモン共鳴を利用しており、ガラス支持体
上の薄い金膜の表面での光学特性の変化を検出する。詳細な理論的背景および方
法はR.Kar1ssonら(J.Immunol.Methods,145,229,1991)により記載されて
いる。
モノクローナル抗体、10mM-Hepes溶液、30μg/ml、0.15M NaCl
、3.4mMエチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩、0.05%サーファクタン
ト20(HBS、pH7.4)をウサギ抗マウスIgGFc(Jackson ImmunoResearc
h Lab,Inc,West Grove,Penn.より入手)が固相化されたセンサー表面と反応
させた。抗原、ミオシン軽鎖、1.25−20μg/mlを結合したモノクローナル抗
体と反応させた。実行は25℃、5μl/分の流速で6分間(30μl注入)行った
。実行後、表面を1Mギ酸溶液を1分間(5μl注入)注入するこtにより再生
した。BIAcoreシステムにより、抗体のミオシン軽鎖特異性のみならず、
こたいが溶液中のミオシン軽鎖を捕捉する能力も確認することができる。後者は
抗体の有用性の決定的確認となり得る。固相ELISAで選別され単離されたク
ローンは、しばしば溶液中の抗原を認識するのを誤ることがある。そのような抗
体は診断免疫系に使用することはできない。
固相ELISAおよびBIAcore分析により得られた結果に基いて選択し
た培養は、更に培養安定性およびクローン性が得られるまでクローニングに付さ
れた。このハイブリドーマ細胞株はAmericn Type Culture Collectionに1994年8
月25日寄託番号HB1170で寄託された。
v) モクローナル抗体の製造
ミオシン軽鎖特異的モノクローナル抗体はバイオリアクターを使用しても腹水
からも製造された。腹水は前以0.5mlプリスタンで処理したBalb/cマウスに1-
5×106ハイブリドーマ細胞PBS、pH7.4、0.5mlを腹腔内投与することに
より生産された。約2週間後、腹水を集めた。バイオリアクターあるいは腹水か
ら得られたモノクローナル抗体はアフィニティカラム(Protein A,Proteln G,
AVID AL)で公知の方法により精製される。精製したモノクローナル抗体は免疫
化学研究に使用される。
実施例3: HVMLCに対するモノクロナール抗体の特異性
i) 固相ELISA
通常の固相ELISAが本発明のモノクローナル抗体の特異性を検出するため
に使用された。全ての精製心筋および骨格筋イソ型MLCs、分枝ペプチドを平
底マイクロタイタープレート(Dynatech Labs,Chantilly,VA)のプラスチック
表面に100mM炭酸緩衝液、pH9.6、のタンパク質またはペプチド溶液5μg/
mlを100μl/ウエルにて4℃、一夜インキュベートすることにより直接固相化
し
た。過剰の結合部位は、ウシ血清アルブミン(BSA)のPBS溶液、pH7.2
、でMLCについては4℃、一夜ブロックした。ペプチドプレートは5%(w/v
)スキムミルクPBS溶液、pH7.2、で一夜室温でブロックした。0.05%Twee
n20含有PBSでプレートを洗滌後、10μg/mlモノクローナル抗体100μlを
1時間、37℃で加えた。プレートを濯いだ後、ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウ
スIgG(Jackson ImmunoResearch Lab,Inc.,West Grove,penn.)を加え、3
0分、37℃にてインキュベートした。プレートの最後の洗滌後、オルトフェニレ
ンジアミン(OPD、3%H2SO4125μlを含む、0.1モル/Lクエン酸緩衝液1
2.5ml中10mg)を加え、O.D.490nmで測定した。
表2に要約したように、39-15モノクローナル抗体は、合成ペプチドおよび未
変性タンパク質の両者に等しく良好に反応した。モノクローナル抗体と骨格筋イ
ソ型の交叉反応性は明らかである。モノクローナル抗体はヒトIgGまたはヒト
血清アルブミンとは反応しない。
実際上のこととして、本発明の抗体と心筋ミオシン軽鎖および骨格筋ミオシン
軽鎖の両方の間の交叉反応性は、迅速形式診断が適用できる患者には問題になら
ない。骨格筋ミオシン軽鎖は通常、骨格支持筋にある障害、例えば外科手術また
は骨折、が生じたときにのみ出現する。胸痛を訴えるほとんどの患者は、そのよ
うな骨格筋外傷はない。そのような患者は検査士あるいは医師に明らかであるか
ら、迅速形式診断は行わなければよい。本発明の本質は心筋ミオシン軽鎖に対す
るモノクローナル抗体の高親和性にあ
る。このことが、迅速形式診断に非常に価値あらしめる特質である。心筋ミオシ
ン軽鎖とその反応性で以て結合したこの特定の抗体の高い親和性は驚くべきこと
である。というのは、骨格筋とは交又反応性がない心筋ミオシン軽鎖に特異的な
、公知の抗体は心筋ミオシン軽鎖に対し高い親和性を有しておらず、そして、迅
速形式診断には有用でないからである。
ii) サンドイッチELISA
39-15モノクローナル抗体を、固相ELISAにおいて記載したように、捕捉
抗体として、プラスチック表面に固相化した。心筋MLC-1を、濃度0.1ないし1
00ng/ml、PBS、pH7.2、溶液、0.25%アルブミン、0.05%Tween20およ
び0.05%チメロサール中で測定した。標準MLC-1溶液を、シェーカーで30分室
温にてインキュベートした。プレートをTTBS(0.05%Tween含有PBS、p
H7.2)ですすいだ後、ペルオキシダーゼ結合、アフィニティ精製ニワトリ抗M
LC-1を加え、30分室温でシェーカーにてインキュベートした。これは、標準
的方法で調製した、ミオシン軽鎖免疫ニワトリから得られたポリクロナール抗体
である。IgGをデキストランサルフェート洗滌、次いで固相心筋ミオシン軽鎖
1を用いたアフィニティ精製により卵黄から精製した。プレートを洗滌後、結合
した酵素活性を前記したように、OPDを「加えて測定した。暗所、室温で10分
インキュベートした後、反応を2MH2SO4で止め、結果をA490nmで読んだ。
第2図に示すように、捕捉抗体としてモノクローナル39-15を使うと、サンド
イッチELISAでcMLC-1の最小検出量は0.5ng/mlであった。
実施例4: ハイブリドーマ細胞株39-15により産生される
モノクローナル抗体の物理化学的性質
ハイブリドーマ細胞株(モノクローナル39-15)により産生するモノクローナ
ル抗体の物理化学的性質は表3にまとめられる。
i) 抗体クラスおよびサブクラス決定
抗体クラスおよびサブクラス決定を市販キット(Bio-Rad,Hercules Californ
ia,Cat.No.172-2055)を使い、製造者の記載に従ってELISAにより測定
した。モノクローナル39-15はIgG1,kである。
ii) 等電点
モノクローナル39-15の等電点はBio-Rad Mini IEF cell Åi Bio-Rad,Hercul
es,Callifornia Cat.No.1702975)を用い、製造者の指定に従って測定した。
39-15のpI値は6.9と測定された。
iii) 親和定数
モノクローナル39-15と心筋MLC-1のはんのうの反応速度定数と親和定数を
BIAcore system *pharmacia Biosensor AB,Uppsala,スウェーデン国)を使
用して決定した。システムは表面プラズモン共鳴を利用しており、ガラス支持体
上の薄い金膜の表面におけ
る光学的性質の変化を検出する。R.Karlssonら(J.Immunol Methods,145,229
,1991)による詳細な記載に基いて測定した。
動態の経過測定は以下によりなされた:一定濃度、10mM Hepe,0.15M
NaCl,3.4mMエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩、0.05%サーファ
クタント20(HBS、pH7.4)中30μg/ml、のモノクローナル抗体を、
ウサギ抗マウスIgGFc(Jackson ImmunoResesearch Lab,Inc.)が固相化され
ているセンサー表面に作用させる。抗原、心筋ミオシン軽鎖-1、を、1.25μg/
mlから20μg/mlの範囲の濃度で結合モノクローナル抗体に作用させる。ラ
ンは25℃、流速5μl/分で6分間(30μl注入)、全24点報告、で行った。抗
原の注入が完成した後、抗体から抗原の解離を18報告点をモニターした。ラン
の後、表面を1分間かけて、IMギ酸を注入して(5μl注入)再生した。機器の
ソフトウエアでプロッティングプログラム(Microsoft Excel)に直接使用でき
るdRA/dtおよびRA値を出した。
表3に示すように、モノクローナル39-15のKa(M-1)は5.0×108であり、
Kd(M)は2.0×10-9である。BIAcoreの使用者で一般的に観察される
のであるが、BIAcoreでlog親和定数を測定すると、実際の値よりも1.
0低く表われる。モノクローナル39-15抗原、心筋MLC-1に対し非常に高い親和
性を示す。
iv) ウエスタンブロトによる抗原特異性
ウエスタンブロットをBio-Rad装置(Mini Trans Blot Cell,No.170-39
30)を使用し、製造者の試薬と指示に従って行った。モ
ノクロナール39-15は心筋MLC-1に特異性を示し、ニトロセルロース膜にブロ
ットしたミオシン重鎖あるいはMLC-2には結合しない。従って抗原特異性測定
にウエスタンブロットを使うと、モノクロナール39-15はミオシン軽鎖特異性で
あるように表われる。
実施例5 生体試料中のミオシン軽鎖の検出
本実施例において、ハイブリドーマ細胞株39-15から産生したモノクローナル
抗体を、二抗体サンドイッチアッセイに基いて、流動通過測定システム(flow t
hrough assay system)において、捕捉抗体として、使用した。
患者血清の試料(50μlから150μl)を試料口から測定系に加える、試料口
は標識抗ミオグロビンウサギポリクロナール検出抗体を含む試薬パッドと液体で
連絡している。検出抗体は、前記の実施例において記載したように、ミオシン軽
鎖−免疫ニワトリから調製したポリルロナール抗体である。もし、試料の量が小
さければ試料を加えた後にキャリアー液が加えられる。キャリアー液は適当な緩
衝液である;例えばリン酸緩衝液、生理食塩水、Tris-HClまたは水であ
る。もし、試料がミオシン軽鎖を含むならば、試薬パッド内の検出抗体と結合す
る。検出抗体は可逆的に固相化され、試料と共に移動する。試料は試薬パッドか
ら流出しフィルター膜へと続く、その上には本発明のモノクローナル抗体が不可
逆的に固相化されている(捕捉抗体)。標識検出抗体−ミオシン軽鎖複合体は、
もし存在するなら、フィルター膜上の捕捉抗体と結合する。分析物、それは標識
された検出抗体により標識され
ている、の存在は捕捉抗体の場所に配置され、それは一般的に測定系の標示窓の
位置に一致している。
ここに挙げた全ての文献は引用文献として取り入れられる。
本開示は本発明の好ましい実施態様を記載し例示しているが、本発明はこれら
の特定の実施態様に限定されないと解釈されるべきである。多くの変形や修飾は
当業者によって行われる。本発明の定義のために、付録する請求範囲が参照され
る。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
// C12N 15/02 9282−4B C12N 15/00 C
(72)発明者 ジャックオースキー,ジョージ
カナダ国、エル0エヌ 1ケイ0 オンタ
リオ、イングレウッド、ダーリン ストリ
ート 16098番地、アールアール シャー
プ1