JP3092817B2 - 制限酵素の製造方法 - Google Patents

制限酵素の製造方法

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賢二 稲垣
佳子 野村
裕章 佐川
浩之 伊藤
房夫 君塚
郁之進 加藤
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寳酒造株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は遺伝子工学用試薬として
有用な制限酵素の製造方法に関し、更に詳細にはアシデ
ィフィリウム属の細菌の生産する制限酵素の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】制限酵素とはデオキシリボ核酸(DN
A)上のある特定の塩基配列を認識し、二本鎖を切断す
るエンド型ヌクレアーゼである。分子遺伝学や生化学等
の発達により、DNAが遺伝をつかさどる本体であるこ
とが明らかになって以来、制限酵素は遺伝病解明のため
の利用や、遺伝子操作による遺伝物質の大量生産への利
用等現在広く用いられている有用な酵素である。制限酵
素は種々の微生物より単離されており、その認識する塩
基配列、切断様式により現在までに約150種類が知ら
れている。これまでに
【0003】
【化2】
【0004】(式中Aはアデノシン、Gはグアノシン、
Tはチミジン、Cはシチジンを示す。)という塩基配列
を認識し、矢印の位置で切断する制限酵素(以下本酵素
と称する)として、エスシェリシア コリ RFL47
(Escherichia coli RFL47)が生産するEco 47III
が知られている〔フェブス レターズ(FEBS Letters)
161巻、P213〜216、1983年〕。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はEco 4
7III と同様の塩基配列の認識部位および切断部位を有
する制限酵素の工業的生産に適した製造方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】概説すれば、本発明はア
シディフィリウム属に属し、下記ヌクレオチド配列を認
識し、式中矢印の部位で特異的に切断する制限酵素生産
能を有する細菌を培養し、得られた培養物より下記ヌク
レオチド配列を認識し、式中矢印の部位で特異的に切断
する制限酵素を採取することを特徴とする制限酵素の製
造方法に関する。
【0007】
【化3】
【0008】(式中Aはアデノシン、Gはグアノシン、
Tはチミジン、Cはシチジンを示す。)
【0009】本発明者らはEco 47III 同様の塩基配列
の認識部位および切断部位を有する制限酵素が新たにア
シディフィリウム属細菌によって生産されること、かつ
該細菌は該制限酵素以外の制限酵素を生成しないことか
ら精製を容易に行うことができることを見出し本発明を
完成した。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明で使
用する微生物はアシディフィリウム属に属する本酵素生
産菌は全て使用できるが、例えばアシディフィリウム
オルガノフォルム(Acidiphilium organovorum)51H
がある。本菌は、鉱山廃液中より分離された菌株で、そ
の菌学的性質は、以下の通りである。
【0011】本菌は、好気性菌で、グラム陰性、胞子形
成能はない。本菌は、pH 3.0で生育し、pH 8.1では生育
しない。カタラーゼ活性(+)、オキシダーゼ活性
(−)、ウレアーゼ活性(−)であり、馬尿酸は加水分
解される。0.25mM酢酸、2mM乳酸、4mMコハク酸で、生
育は完全に阻害される。炭素源として、D−グルコー
ス、D−マンノース、イノシトール、グリセロール、D
−及びL−アラビノース、リボース、D−及びL−キシ
ロース、ガラクトース、D−フルクトース、ラムノー
ス、ソルビトール、アドニトール、マニトール、L−プ
ロリン、L−ヒスチジン、L−オルニシン、L−アルギ
ニン、及びL−グルタミン酸が利用されるが、メタノー
ルは利用されない。DNAのGC含量は、67.2%であ
る。主要なイソプレノイドとして検出されるのは、ユビ
キノン−10である。主な脂肪酸は、C182 である
が、ラウリン酸(C120 )も検出される。
【0012】以上の性質により本菌株は、アシディフィ
リウム オルガノフォルムに属する菌株と要約される。
【0013】本菌株はAcidiphilium organovorum51H
と表示し、工業技術院微生物工業技術研究所に、微工研
菌寄12020号(FERM P−12020)とし
て、寄託されている。
【0014】この菌の培養を行う場合には、培地組成と
しては使用微生物が資化でき、かつ本酵素を生産する炭
素源、窒素源および無機塩等を適宜組合わせて使用す
る。培地のpHは2.5 〜5.5 が好ましい。培養法としては
振盪培養、攪拌培養、通気培養を用いることができる
が、大量に培養するには通気攪拌培養が好ましい。培養
温度は酵素を生産する範囲で変更することができるが、
特に好ましくは28℃〜39℃である。培養時間は、培
養条件により異なり、本酵素の生産量が最高に達するま
で培養を行う。本酵素は主として菌体内に生産される。
【0015】培養液からの菌体の分離はたとえば遠心分
離により行うことができる。本酵素の抽出、精製は一般
の制限酵素精製法に従った方法で行える。例えば、菌体
を緩衝液に懸濁後、超音波破砕機により破砕し、細胞内
酵素の抽出を行う。次に細胞残渣を超遠心分離により除
去後、抽出液をポリエチレンイミンにて除核酸後、硫酸
アンモニウムで塩析する。沈殿物をリン酸カリウム緩衝
液(pH7.5)に溶解し、同緩衝液にて透析を行う。得ら
れる透析内液をフォスフォセルロース、DEAE−セル
ロースのイオン交換クロマトグラフィー、ヘパリンセフ
ァロースのアフィニティクロマトグラフィーを用いた精
製法で本制限酵素を得る。
【0016】次に本酵素の活性測定法を示す。下記表1
に示す組成の反応液50μlを予め37℃で予熱した
後、本酵素を加え酵素反応を進める。60分後に酵素反
応停止液(1%SDS、50%グリセロール、0.02%ブ
ロムフェノールブルー)を5μl添加して反応を停止さ
せる。
【0017】
【0018】反応液を1%アガローススラブゲルに重層
し、10V/cmの定電圧下で約1時間から2時間、電気
泳動を行う。電気泳動用緩衝液は90mMトリス−ほう酸
緩衝液(pH 8.3)2.5mM EDTAを用いる。ゲルに前も
って0.5 μg/mlのエチジウムブロマイドを含ませてお
くことによりUV照射でDNAのバンドが検出可能であ
る。DNAフラグメントのバンドの数と量が変化しなく
なった時を終点とする。
【0019】活性の定義は37℃で1時間に1μgのλ
−DNAを完全に分解する酵素活性を1単位とする。
【0020】本発明により得られた本酵素は以下のよう
な理化学的性質を持っている。
【0021】(1)作用および基質特異性 本酵素は、2本鎖デオキシリボ核酸中の
【0022】
【化4】
【0023】という塩基配列を認識し、矢印の位置で切
断する酵素で、公知の制限酵素Eco 47III のアイソシ
ゾマーである。その根拠は、以下の通りである。
【0024】本酵素は、λ−DNA、M13mp18DN
Aを各2カ所、pBR 322DNAを4カ所切断した。し
かし、φx174DNA、ColE1DNAは切断しなかっ
た。さらに既知の制限酵素Eco 47III をそれら基質に
作用させ、本酵素の切断数及び、それらの切断パターン
と比較したところ、同一の結果を示した。以上の結果か
ら、本酵素は、DNA配列中の5’−AGCGCT−
3’を認識している事が示唆された。
【0025】本酵素の切断部位の決定は以下の通り行っ
た。Sma Iサイトに、Hae IIリンカ−(5’−AAGC
GCTT−3’)を挿入したM13mp18一本鎖DNA
と、5’末端塩基を放射性リン酸化したプライマー(M
13プライマーM4:宝酒造製品)をアニール後、大腸
菌DNAポリメラーゼIクレノー断片により、2本鎖を
合成し、その2本鎖DNAを本酵素により切断し、変性
ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、切断断片の鎖
長を測定する方法を用い行った。この時、生成物として
得られた鎖長は
【0026】
【化5】
【0027】の矢印の所で切断されたスポットとして検
出され、またT4DNAポリメラーゼによるブランティ
ング処理を行っても、同じ所で切断されたスポットとし
て検出されたことより、本酵素は、
【0028】
【化6】
【0029】という塩基配列を認識し、矢印の位置で切
断する酵素で、公知の制限酵素Eco 47III のアイソシ
ゾマーである。
【0030】(2)至適酵素活性条件 I )至適温度 本酵素の至適温度は約45℃であった。 II)至適pH 本酵素の至適pHは、pH 8.0〜9.0 の範囲にある。 III)至適NaCl濃度 本酵素の至適NaCl濃度は60〜80mMであった。 IV)MgCl2 濃度 本酵素のMgCl2 濃度が5mM〜10mMの存在下で酵素反応
が活性化される。
【0031】(3)分子量 本酵素の分子量はゲル濾過法〔スーパーロース(ファル
マシア製品12)〕による測定で約82000である。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0033】実施例 1 200l容のジャーファーメンターに下記表2に示す培
地160lを仕込み、常法により培地を滅菌した。上記
と同じ培地で30℃で24時間振盪培養したアシディフ
ィリウム オルガノフォルム51H(FERM P−1
2020)の種培養液4.5 lを上記ジャーファーメンタ
ーに移植し、通気量2/3vvm 、攪拌数250rpm 、3
0℃で39時間培養を行った。次いで冷却遠心機を用い
て菌体を得た。培養液160lから湿重量にして約20
2gの菌体が得られた。
【0034】
【0035】得られた100gの菌体を1000mlの抽
出緩衝液(10mMトリス−HCl 、pH7.5、10mM 2−
メルカプトエタノール)に懸濁し、超音波破砕機を用い
て破砕後、100000×gで1時間遠心分離を行い、
残渣を除去、抽出液を得た。得られた抽出液に10%ポ
リエチレンイミン溶液を終濃度1%になるように加え、
析出した沈殿物を遠心分離にて除去した。その上清に硫
酸アンモニウムを70%飽和になるように加え、沈殿物
を遠心分離にて集め、緩衝液A(10mMリン酸カリウム
緩衝液、pH7.5、10mM 2−メルカプトエタノール、
5%グリセロール)に溶解後、同緩衝液で一晩透析を行
った。次に透析内液を予め緩衝液Aで平衡化させておい
たフォスフォセルロース(ワットマン製品P11)のカ
ラム(30×140mm)に吸着させ、緩衝液Aで洗浄
後、0〜1.0 Mの塩化カリウムの直線濃度勾配を持つ緩
衝液Aで溶出させると0.2 〜0.5 Mの塩化カリウム濃度
画分に本酵素の活性が検出できた。次に得られた活性画
分を合わせ緩衝液Aで透析後、透析内液を予め緩衝液A
で平衡化させておいたDEAE−セルロース(ワットマ
ン製品DE52)のカラム(20×65mm)に吸着さ
せ、緩衝液Aで洗浄後、0〜0.5 Mのリン酸緩衝液の直
線濃度勾配にて溶出させると50〜100mMのリン酸緩
衝液の濃度画分に本酵素の活性が検出できた。次に得ら
れた活性画分を合わせ緩衝液Aで一晩透析後、透析内液
を予め緩衝液Aで平衡化させておいたヘパリンセファロ
ース(ファルマシア製品、CL6B)のカラム(10×
130mm)に吸着させ、緩衝液Aで洗浄後、0〜0.5 M
の塩化カリウムの直線濃度勾配を持つ緩衝液Aで溶出さ
せると0.3 〜0.4 Mの塩化カリウム濃度画分に本酵素の
活性が検出できた。次に得られた活性画分を合わせ50
%グリセロールを含む緩衝液Aで透析を行い、2倍に濃
縮し、本酵素の最終標品として得た。この酵素標品には
非特異的なDNA分解酵素およびフォスファターゼは夾
雑していなかった。以上述べた方法により100gの湿
菌体より5000000単位の活性単位を得た。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したとおり、本発明によ
りEco 47III と同様の塩基配列の認識部位および切断
部位を有する制限酵素の工業的に有利な製造法が提供さ
れた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 浩之 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 君塚 房夫 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/16 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アシディフィリウム属に属し、下記ヌク
    レオチド配列を認識し、式中矢印の部位で特異的に切断
    する制限酵素生産能を有する細菌を培養し、得られた培
    養物より下記ヌクレオチド配列を認識し、式中矢印の部
    位で特異的に切断する制限酵素を採取することを特徴と
    する制限酵素の製造方法。 【化1】 (式中Aはアデノシン、Gはグアノシン、Tはチミジ
    ン、Cはシチジンを示す。)
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