JP3089456B2 - 車両用サスペンションアーム - Google Patents

車両用サスペンションアーム

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JP3089456B2
JP3089456B2 JP07168820A JP16882095A JP3089456B2 JP 3089456 B2 JP3089456 B2 JP 3089456B2 JP 07168820 A JP07168820 A JP 07168820A JP 16882095 A JP16882095 A JP 16882095A JP 3089456 B2 JP3089456 B2 JP 3089456B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1板状部材及び
第2板状部材を中心面を挟むように重ね合わせて周縁部
で一体に溶接し、その基端側及び先端側にそれぞれ車体
取付部及びナックル取付部を前記中心面上に位置するよ
うに設けるとともに、その中間部にスタビライザー取付
手段が接続されるスタビライザー取付部を設けてなり、
第1板状部材又は第2板状部材を上側にして左側サスペ
ンションアーム又は右側サスペンションアームとして使
用可能な車両用サスペンションアームに関する。
【0002】
【従来の技術】上下一対の板状部材を溶接して車両用サ
スペンションアームを構成する場合、左右のサスペンシ
ョンアームについて各々上下2種類の板状部材が必要で
あるため、それぞれ形状の異なる合計4種類の板状部材
を製作しなくてはならず、金型のコストが嵩む問題があ
る。
【0003】そこで、上下2種類の板状部材を溶接して
実質的に1種類のサスペンションアームを構成し、その
実質的に1種類のサスペンションアームを上下反転して
左側サスペンションアーム及び右側サスペンションアー
ムに共用することにより、コストの削減を図るものが知
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上下反転し
て使用可能なサスペンションアームを採用した場合、左
右のサスペンションアームの対称性を維持するために、
車体やナックルに接続するジョイントをサスペンション
アームの中心面上に配置することが必要である。更に、
左右のサスペンションアームについて、スタビライザー
が接続されるスタビライザー取付部を前記中心面から等
しい距離に設けることが必要であるばかりか、上下一対
の板状部材を溶接して断面ボックス状になったサスペン
ションアームの一方の板状部材にスタビライザー取付部
を設けたときに、他方の板状部材がスタビライザー取付
手段と干渉するのを防止する必要がある。
【0005】そこで従来は、左右のサスペンションアー
ムのそれぞれについて、前記中心面から等しい距離とな
るようにブラケットを溶接し、このブラケットにスタビ
ライザー取付部を形成していたが、このようにすると前
記ブラケットが必要になるために部品点数が増加するば
かりか、ブラケットが外部に張り出してサスペンション
アームが大型化する問題がある。
【0006】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、上下反転して左右のサスペンションアームに共用可
能な車両用サスペンションアームにおいて、左右のサス
ペンションアームについて対称なスタビライザー取付部
を特別の部材を用いることなく形成することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明は、第1板状部材及び第
2板状部材を中心面を挟むように重ね合わせて周縁部で
一体に溶接し、その基端側及び先端側にそれぞれ車体取
付部及びナックル取付部を前記中心面上に位置するよう
に設けるとともに、その中間部にスタビライザー取付手
段が接続されるスタビライザー取付部を設けてなり、第
1板状部材又は第2板状部材を上側にして左側サスペン
ションアーム又は右側サスペンションアームとして使用
可能な車両用サスペンションアームにおいて、前記第1
板状部材及び第2板状部材に前記中心面からの距離が等
しいスタビライザー支持面をそれぞれ設け、前記第1板
状部材及び第2板状部材の一方に設けたスタビライザー
支持面に前記スタビライザー取付部を形成するととも
に、前記第1板状部材及び第2板状部材の他方に設けた
スタビライザー支持面に前記スタビライザー取付手段と
の干渉を防止する開口部を形成したことを特徴とする。
【0008】また請求項2に記載された発明は、請求項
1の構成に加えて、前記スタビライザー取付部がスタビ
ライザー取付ボルトが挿通される小径の孔であり、前記
開口部が前記スタビライザー取付ボルトに支持されて前
記スタビライザー取付部を上下から挟持する一対のゴム
ブッシュのうちの一方のゴムブッシュが遊嵌する大径の
孔であることを特徴とする。
【0009】また請求項3に記載された発明は、請求項
2の構成に加えて、前記スタビライザー取付部の周囲
に、前記一対のゴムブッシュのうちの他方のゴムブッシ
ュが当接する座面を一体に形成したことを特徴とする。
【0010】
【作用】請求項1の構成によれば、第1板状部材及び第
2板状部材に中心面からの距離が等しくなるように設け
た一対のスタビライザー支持面の一方にスタビライザー
取付部が形成され、他方にスタビライザー取付手段との
干渉を防止する開口部が形成される。これにより、サス
ペンションアームを上下反転して使用した場合であって
も、スタビライザー取付部の高さが左右同じになって対
称性が維持され、しかも開口部によってスタビライザー
取付手段とサスペンションアームとの干渉が防止され
る。
【0011】請求項2の構成によれば、一方の板状部材
に形成した小径の孔にスタビライザー取付ボルトが挿通
され、このスタビライザー取付ボルトに支持された上下
一対のゴムブッシュによって一方の板状部材が挟持され
るとともに、一対のゴムブッシュのうちの一方が他方の
板状部材に形成した大径の孔に遊嵌する。
【0012】請求項3の構成によれば、スタビライザー
取付部の周囲に一体に形成された座面に、一対のゴムブ
ッシュのうちの他方が当接する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0014】図1〜図16は本発明の一実施例を示すも
ので、図1は車両の左前輪の正面図、図2は左側サスペ
ンションアームの上面図、図3は左側サスペンションア
ームの下面図、図4は図2の4−4線矢視図、図5は図
4の要部拡大図、図6は図2の6方向矢視図、図7は図
6の要部拡大図、図8は図2の8A−8A線、8B−8
B線及び8C−8C線断面図、図9は図2の9D−9D
線、9E−9E線及び9F−9F線断面図、図10は右
側サスペンションアームの上面図、図11は右側サスペ
ンションアームの下面図、図12は図10の12方向拡
大矢視図、図13は図10の13方向拡大矢視図、図1
4は左右のサスペンションアームの加工手順を説明する
図、図15はスタビライザー取付部の加工手順を説明す
る図、図16はスタビライザーの取付状態を示す図であ
る。
【0015】図1に示すように、車両の左前輪Wfを懸
架するマクファーソン式サスペンションSは、基端側が
前後2ヵ所で図示せぬ車体フレームに上下揺動自在に枢
支されたA型の左側サスペンションアームALと、左側
サスペンションアームALの先端側に枢支されたナック
ル1と、ナックル1の上部を図示せぬ車体フレームに接
続するフロントダンパー2とを備える。フロントダンパ
ー2は、伸縮自在な油圧シリンダよりなるダンパーユニ
ット3と、ダンパーユニット3の外周に巻回されたコイ
ルばね4とを備える。車体右側のサスペンションSは前
記左側サスペンションアームALと実質的に同一構造の
右側サスペンションアームARを備えており、左右のサ
スペンションアームAL,ARはスタビライザー5によ
って相互に接続される。
【0016】次に、左側サスペンションアームALの構
造を説明する。
【0017】図2、図3及び図14に示すように、左側
サスペンションアームALの本体部は、その上面を構成
する第1板状部材A1と、その下面を構成する第2板状
部材A2とを溶接で一体に結合してなる。図14(A)
における符号A1′は第1板状部材A1の素材を示して
おり、第1板状部材A1及び第2板状部材A2の溶接に
先立って、第1板状部材素材A1′の先端側の切除部1
1 がカットライン121 を介して切除されるととも
に、スタビライザー支持面101 に小径のスタビライザ
ー取付孔131 が穿設される。一方、図14(A)にお
ける符号A2′は第2板状部材A2の素材を示してお
り、第1板状部材A1及び第2板状部材A2の溶接に先
立って、第2板状部材素材A2′のスタビライザー支持
面102 に1個の大径のスタビライザー取付用逃げ孔1
2 と、2個の溶接孔152 ,152とが穿設されると
ともに、他の所定の部位に2個の水抜き孔162 ,16
2 と、1個のボールハウジング取付孔172 とが穿設さ
れる。
【0018】図14(A)に示すように、第1板状部材
素材A1′の外周には第1エッジ部181 、第2エッジ
部191 及び第3エッジ部201 が形成されており、こ
れらエッジ部181 ,191 ,201 にそれぞれ対応し
て第2板状部材素材A2′の外周に第1エッジ部1
2 、第2エッジ部192 及び第3エッジ部202 が形
成される。第1板状部材A1及び第2板状部材A2を結
合する際に、第1板状部材A1の第1〜第3エッジ部1
1 ,191 ,201 が、それぞれ第2板状部材A2の
第1〜第3エッジ部182 ,192 ,202 に溶接され
る。
【0019】図2、図3、図8及び図9を併せて参照す
ると明らかなように、第1板状部材A1の第1エッジ部
181 と第2板状部材A2の第1エッジ部182 とは上
下に突き合わされた状態で溶接W1 され、また第1板状
部材A1の第2エッジ部19 1 と第2板状部材A2の第
2エッジ部192 とは上下に突き合わされた状態で溶接
2 される。一方、第1板状部材A1の第3エッジ部2
1 は第2板状部材A2の第3エッジ部202 の外側に
嵌合した状態で溶接W3 される。
【0020】第1板状部材A1のインナシャフト支持部
211 の内面に、左側サスペンションアームALの基端
側後部を車体フレームに枢支するゴムブッシュジョイン
トのインナシャフト22が溶接W4 される(図8
(A),(B)参照)。尚、前記溶接W4 は第1板状部
材A1及び第2板状部材A2を溶接W1 〜W3 する前に
行われる。このとき、インナシャフト22のフランジ2
3が第1板状部材A1及び第2板状部材A2の端面に溶
接W5 されて補強される(図2及び図3参照)。
【0021】第1板状部材A1のアウタパイプ支持部2
1 及び第2板状部材A2のアウタパイプ支持部252
に、左側サスペンションアームALの基端側前部を車体
フレームに枢支するゴムブッシュジョイントのアウタパ
イプ26が溶接W6 される(図2及び図3参照)。
【0022】前述したように第1板状部材の切除部11
1 (図14(A)参照)が予め切除されているため、そ
こに対応する第2板状部材A2のボールハウジング支持
部272 の裏面は上向きに露出している(図5及び図7
参照)。ボールハウジング支持部272 に穿設された前
記ボールハウジング取付孔172 に、左側サスペンショ
ンアームALの先端をナックル1に枢支するボールジョ
イントのボールハウジング28が溶接W7 される。
【0023】図3及び図9(F)において鎖線で囲んだ
当接部aにおいて、第1板状部材A1及び第2板状部材
A2が相互に当接しており、両板状部材A1,A2は前
記当接部aに位置するように第2板状部材A2に穿設し
た前記溶接孔152 ,152を介して一体に溶接W8
れる。また、図4及び図8(A)において鎖線で囲んだ
当接部bにおいて、第1板状部材A1及び第2板状部材
A2が相互に当接している。
【0024】上述したように、第1板状部材A1及び第
2板状部材A2を相互に重ね合わせて溶接W1 〜W3
る際に、第1板状部材A1の第1、第2エッジ部1
1 ,191 を第2板状部材A2の第1、第2エッジ部
182 ,192 にそれぞれ付き合わせているので、両板
状部材A1,A2の厚さ方向の位置決めを確実に行うこ
とができる(図8及び図9参照)。一方、第1板状部材
A1の第3エッジ部201は第2板状部材A2の第3エ
ッジ部202 の外側に嵌合しているため、これら第3エ
ッジ部201 ,202 では両板状部材A1,A2の厚さ
方向の位置決めを確実に行うことができず、溶接W1
3 の際に位置決め用の特別な治具が必要となる。
【0025】しかしながら、実際には第1板状部材A1
及び第2板状部材A2が前記2つの当接部a,b(図8
(A)及び図9(F)参照)において相互に当接して厚
さ方向に位置決めされているため、前述した特別の治具
を使用しなくとも、第1板状部材A1の第3エッジ部2
1 及び第2板状部材A2の第3エッジ部202 を厚さ
方向に位置決めして溶接W1 〜W3 の作業性を向上させ
ることができる。
【0026】また、第1エッジ部181 ,182 及び第
2エッジ部191 ,192 の如くフランジによって付き
合わせを行うと、サスペンションアームALの断面積が
減少して強度上不利であるが、第3エッジ部201 ,2
2 はフランジを持たずに相互に嵌合しているため、こ
の部分で断面積を稼いでサスペンションアームALの強
度を増加させることができる。
【0027】図16(A)に示すように、左側サスペン
ションアームALの第1板状部材A1に穿設したサスペ
ンションアーム取付孔131 にスタビライザー取付ボル
ト29が上向きに挿通され、その上端にナット30が羅
着される。スタビライザー取付ボルト29の頭部31と
ナット30との間に、下から上にワッシャ32a、ゴム
ブッシュ33a、ワッシャ32b、第1板状部材A1、
ゴムブッシュ33b、ワッシャ32c、カラー34、ワ
ッシャ32d、ゴムブッシュ33c、スタビライザー
5、ゴムブッシュ33d、ワッシャ32eが挟持され、
これにより左側サスペンションアームALに対してスタ
ビライザー5の端部が弾性的に支持される。前記スタビ
ライザー取付ボルト29、ナット30、ワッシャ32a
〜32e、ゴムブッシュ33a〜33d及びカラー34
はスタビライザー取付手段38を構成する。
【0028】ゴムブッシュ33bの下面は、ワッシャを
使用することなく、第1板状部材A1の上面に形成した
座面351 に支持される。また、ゴムブッシュ33cの
上面及びゴムブッシュ33eの下面も、ワッシャを使用
することなく、スタビライザー5に形成した上下一対の
座面36,37に支持される。
【0029】ところで、上述のようにして第1板状部材
A1及び第2板状部材A2を結合して左側サスペンショ
ンアームALを製作するとき、図5及び図7から明らか
なように、予め第1板状部材A1から切除部111 が切
除されているため、第1板状部材A1及び第2板状部材
A2が相互に干渉することがない。また第1板状部材A
1及び第2板状部材A2を結合して左側サスペンション
アームALを製作するとき、図15(A)に示すよう
に、予め下側の第2板状部材A2に大径のスタビライザ
ー取付用逃げ孔142 が穿設されているため、その部分
に上側の第1板状部材A1が干渉することがない。
【0030】次に、右側サスペンションアームARの構
造を説明する。
【0031】右側サスペンションアームARは、左側サ
スペンションアームALの素材である第1板状部材素材
A1′及び第2板状部材素材A2′と同じ素材を使用し
て製作されるもので、その概略の構造は左側サスペンシ
ョンアームALを表裏反転したものに類似している。
【0032】図14(A)に示すように左側サスペンシ
ョンアームALは第1板状部材素材A1′を上面側に使
用し、第2板状部材素材A2′を下面側に使用している
が、図14(B)に示すように右側サスペンションアー
ムARは第1板状部材素材A1′を下面側に使用し、第
2板状部材素材A2′を上面側に使用している。
【0033】従って、右側サスペンションアームAR
は、その下面を構成する第1板状部材A1が、第1板状
部材素材A1′に1個の大径のスタビライザー取付用逃
げ孔141 と、2個の溶接孔151 ,151 と、2個の
水抜き孔161 ,161 と、1個のボールハウジング取
付孔171 とを穿設することにより製作され、また上面
を構成する第2板状部材A2が、第2板状部材素材A
2′の先端側の切除部11 2 をカットライン122 を介
して切除するとともに、小径のスタビライザー取付孔1
2 を穿設することにより製作される。
【0034】而して、第1板状部材A1及び第2板状部
材A2は、左側サスペンションALと同様にして、それ
らの外周のエッジ部181 ,191 ,201 ;182
19 2 ,202 が溶接W1 ,W2 ,W3 される。そし
て、第1板状部材A1のインナシャフト支持部211
内面にインナシャフト22が溶接W4 されるともに、イ
ンナシャフト22のフランジ23が第1板状部材A1及
び第2板状部材A2の端面に溶接W5 され、更に第1、
第2板状部材A1,A2 のアウタパイプ支持部251
252 にアウタパイプ26が溶接W6 され、更に第1板
状部材A1のボールハウジング支持部271 に穿設され
たボールハウジング取付孔171 にボールハウジング2
8が溶接W7 される。
【0035】第1板状部材A1及び第2板状部材A2を
結合して右側サスペンションアームARを製作すると
き、図12及び図13から明らかなように、予め第2板
状部材A2から切除部112 が切除されているため、第
1板状部材A1及び第2板状部材A2が相互に干渉する
ことがない。同様に、第1板状部材A1及び第2板状部
材A2を結合して右側サスペンションアームARを製作
するとき、図15(B)に示すように、予め下側の第1
板状部材A1に大径のスタビライザー取付用逃げ孔14
1 が穿設されているため、その部分に上側の第1板状部
材A2が干渉することがない。
【0036】図16(B)に示すように、前述した左側
サスペンションアームALと実質的に同じやり方で、右
側サスペンションアームARにスタビライザー取付手段
38を介してスタビライザー5が接続されるが、左側サ
スペンションアームALとは、下側の2個のゴムブッシ
ュ33a,33bにより挟持されるのが第1板状部材A
1ではなく第2板状部材A2である点で異なっている。
【0037】このようにして製作された左右のサスペン
ションアームAL,ARは、何れも共通の第1板状部材
素材A1′及び第2板状部材素材A2′(図14参照)
を用いているので、それら板状部材素材A1′,A2′
を成形するプレス金型の数を最小限に抑えてコストの削
減に寄与することができる。
【0038】しかも、上述の構造を備えた左側サスペン
ションアームAL及び右側サスペンションアームARに
おいて、図4及び図6から明らかなように、前記インナ
シャフト22、アウタパイプ26及びボールハウジング
28は、第1板状部材A1及び第2板状部材A2間に延
びる中心面P上に位置するように配置される。従って、
相互に表裏反転した関係にある左側サスペンションアー
ムAL及び右側サスペンションアームARは、インナシ
ャフト22、アウタパイプ26及びボールハウジング2
8の位置関係において実質的に同一であり、左右のサス
ペンションS,Sの特性に差異が出る虞はない。
【0039】また、スタビライザー支持面101 ,10
2 の近傍においてスタビライザー取付用逃げ孔141
142 により第1板状部材A1及び第2板状部材A2の
干渉を防止しているので、図15(A),(B)を比較
すると明らかなように、左側サスペンションアームAL
及び右側サスペンションアームARの何れにおいても、
スタビライザー取付孔131 ,132 の位置を中心面P
上に位置させて左右のサスペンションS,Sの対称性を
維持することができる。
【0040】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0041】例えば、実施例ではスタビライザー取付孔
131 ,132 を中心面P上に位置させているが、それ
らは必ずしも中心面P上に位置する必要はなく、左右の
サスペンションアームAL,ARについてそれぞれのス
タビライザー取付孔131 ,132 が中心面Pから同じ
高さにあれば良い。そのためには、図15において、一
対のスタビライザー支持面101 ,102 を中心面Pの
上下に同じ距離で配置し、その一方にスタビライザー取
付孔131 ,132 を穿設し、その他方にスタビライザ
ー取付用逃げ孔141 ,142 を穿設すれば良い。この
とき、スタビライザー取付孔131 ,132 及びスタビ
ライザー取付用逃げ孔141 ,142 の位置関係を上下
反転し、下側にスタビライザー取付孔131 ,13
2 を、上側にスタビライザー取付用逃げ孔141 ,14
2 を配置しても良い。
【0042】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載された発
明によれば、第1板状部材及び第2板状部材に中心面か
らの距離が等しいスタビライザー支持面をそれぞれ設
け、前記第1板状部材及び第2板状部材の一方に設けた
スタビライザー支持面にスタビライザー取付部を形成す
るとともに、前記第1板状部材及び第2板状部材の他方
に設けたスタビライザー支持面にスタビライザー取付手
段との干渉を防止する開口部を形成したので、サスペン
ションアームを上下反転して使用しても一方の板状部材
に形成したスタビライザー取付部の高さが左右同じにな
って対称性が維持されるばかりか、他方の板状部材に形
成した開口部によってスタビライザー取付手段が該他方
の板状部材と干渉することが防止される。また、スタビ
ライザー取付部を設けるために特別の部材を付加する必
要がないため、部品点数及び製造コストを削減すること
ができ、しかもサスペンションアームをコンパクト化す
ることができる。
【0043】また請求項2に記載された発明によれば、
スタビライザー取付部がスタビライザー取付ボルトが挿
通される小径の孔であり、開口部が前記スタビライザー
取付ボルトに支持されて前記スタビライザー取付部を上
下から挟持する一対のゴムブッシュのうちの一方のゴム
ブッシュが遊嵌する大径の孔であるため、一方の板状部
材とスタビライザーとを一対のゴムブッシュを介して弾
性的に接続することができるばかりか、スタビライザー
取付ボルトに支持したゴムブッシュと他方の板状部材と
の干渉を効果的に回避することができる。
【0044】また請求項3に記載された発明によれば、
スタビライザー取付部の周囲に、一対のゴムブッシュの
うちの他方のゴムブッシュが当接する座面を一体に形成
したので、ゴムブッシュが当接するワッシャを特別に設
ける必要がなくなって部品点数が削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の左前輪の正面図
【図2】左側サスペンションアームの上面図
【図3】左側サスペンションアームの下面図
【図4】図2の4−4線矢視図
【図5】図4の要部拡大図
【図6】図2の6方向矢視図
【図7】図6の要部拡大図
【図8】図2の8A−8A線、8B−8B線及び8C−
8C線断面図
【図9】図2の9D−9D線、9E−9E線及び9F−
9F線断面図
【図10】右側サスペンションアームの上面図
【図11】右側サスペンションアームの下面図
【図12】図10の12方向拡大矢視図
【図13】図10の13方向拡大矢視図
【図14】左右のサスペンションアームの加工手順を説
明する図
【図15】スタビライザー取付部の加工手順を説明する
【図16】スタビライザーの取付状態を示す図
【符号の説明】
101 ,102 スタビライザー支持面 131 ,132 スタビライザー取付孔(スタビラ
イザー取付部) 141 ,142 スタビライザー取付用逃げ孔(開
口部) 22 インナシャフト(車体取付部) 26 アウタパイプ(車体取付部) 28 ボールハウジング(ナックル取付部) 29 スタビライザー取付ボルト 33a,33b ゴムブッシュ 351 ,352 座面 38 スタビライザー取付手段 A1 第1板状部材 A2 第2板状部材 AL 左側サスペンションアーム AR 右側サスペンションアーム P 中心面 W1 〜W3 溶接

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1板状部材(A1)及び第2板状部材
    (A2)を中心面(P)を挟むように重ね合わせて周縁
    部で一体に溶接(W1 〜W3 )し、その基端側及び先端
    側にそれぞれ車体取付部(22,26)及びナックル取
    付部(28)を前記中心面(P)上に位置するように設
    けるとともに、その中間部にスタビライザー取付手段
    (38)が接続されるスタビライザー取付部(131
    132 )を設けてなり、第1板状部材(A1)又は第2
    板状部材(A2)を上側にして左側サスペンションアー
    ム(AL)又は右側サスペンションアーム(AR)とし
    て使用可能な車両用サスペンションアームにおいて、 前記第1板状部材(A1)及び第2板状部材(A2)に
    前記中心面(P)からの距離が等しいスタビライザー支
    持面(101 ,102 )をそれぞれ設け、前記第1板状
    部材(A1)及び第2板状部材(A2)の一方に設けた
    スタビライザー支持面(101 ,102 )に前記スタビ
    ライザー取付部(131 ,132 )を形成するととも
    に、前記第1板状部材(A1)及び第2板状部材(A
    2)の他方に設けたスタビライザー支持面(101 ,1
    2 )に前記スタビライザー取付手段(38)との干渉
    を防止する開口部(141 ,142 )を形成したことを
    特徴とする、車両用サスペンションアーム。
  2. 【請求項2】 前記スタビライザー取付部(131 ,1
    2 )がスタビライザー取付ボルト(29)が挿通され
    る小径の孔であり、前記開口部(141 ,142 )が前
    記スタビライザー取付ボルト(29)に支持されて前記
    スタビライザー取付部(131 ,132 )を上下から挟
    持する一対のゴムブッシュ(33a,33b)のうちの
    一方のゴムブッシュ(33a)が遊嵌する大径の孔であ
    ることを特徴とする、請求項1記載の車両用サスペンシ
    ョンアーム。
  3. 【請求項3】 前記スタビライザー取付部(131 ,1
    2 )の周囲に、前記一対のゴムブッシュ(33a,3
    3b)のうちの他方のゴムブッシュ(33b)が当接す
    る座面(351 ,352 )を一体に形成したことを特徴
    とする、請求項2記載の車両用サスペンションアーム。
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