JPH069710A - 巨大リポソームの調製方法、lb膜製造装置及び該装置を用いたlb膜の製造方法 - Google Patents

巨大リポソームの調製方法、lb膜製造装置及び該装置を用いたlb膜の製造方法

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JPH069710A
JPH069710A JP4167799A JP16779992A JPH069710A JP H069710 A JPH069710 A JP H069710A JP 4167799 A JP4167799 A JP 4167799A JP 16779992 A JP16779992 A JP 16779992A JP H069710 A JPH069710 A JP H069710A
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liposome
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giant
liposomes
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Yasuko Tomita
康子 富田
Takeshi Nomoto
毅 野本
Junji Oyama
淳史 大山
Masahiro Kawaguchi
正浩 川口
Nobuko Yamamoto
伸子 山本
Yoshinori Tomita
佳紀 富田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分な機械的、物理的強度及び優れた安定性
を有する直径数十μm以上、なかでも数百μmの巨大リ
ポソームを、簡便な工程、かつ緩和な条件下で多量に調
製できる方法を提供する。また、LB膜の成膜と種々の
酸化もしくは還元反応を同時に行なえるLB膜製造装置
および該装置を用いたLB膜製造方法を提供する。 【構成】 重合性脂質を含むリポソームを分散したアル
カリ金属塩水溶液を凍結、融解し、該アルカリ金属塩水
溶液よりも低い塩濃度の水溶液または緩衝液に対して透
析して得た巨大リポソームを更に一定温度条件下に保持
して、その複数を融合させてより大きな直径の巨大リポ
ソームを得たところで、膜中に含まれる重合性脂質を重
合させる。また、LB分子を展開する液相の表面または
相内に対極を設けて、該対極とLB膜成膜用の基板との
間に通電しながらLB膜を成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、十分な機械的、物理的
強度と優れた安定性を有する直径数十μm以上、なかで
も数百μmの巨大リポソームを、簡便な工程、かつ緩和
な条件下で多量に調製できる方法に関する。
【0002】本発明は、また、基板上でラングミュア・
プロジェット膜を電気化学的に酸化もしくは還元する過
程を有するラングミュア・プロジェット膜の製造方法お
よび該方法に用いる装置に関する。
【0003】
【従来の技術】脂質膜による閉鎖小胞であるリポソーム
は、その内腔中あるいは膜中に種々の物質を包含するこ
とができる。そこで、この特性を利用してリポソームを
薬物の生体内運搬体として用いるための数多くの研究が
行なわれている。また、リポソームは生体膜のモデルと
しても有用であり、リポソーム単独で、あるいは様々な
膜蛋白質を脂質膜に固定したプロテオリポソームとし
て、生体膜の生物物理的諸性質の研究に広く利用されて
いる。更に最近では、化粧品や食品分野においてもその
応用が進められている。
【0004】リポソームの製法としては、種々の方法が
知られている。例えば、有機溶媒に脂質を溶かしナス形
フラスコなどのガラス容器中で有機溶媒を除去し容器内
面に脂質薄膜を形成した後、水溶液を加えてボルテック
ス処理を行うボルテックス法[K. Inoue; Biochim. Bio
phys. Acta., 339, 390 (1974)]、脂質薄膜に水溶液を
加えて超音波処理を行う超音波処理法[L. Saunders,
J. Perrin, D. B. Gammack; J. Pharm. Pharmacol., 1
4, 567 (1962) ]、脂質を溶解している有機溶媒中に水
溶液を加えエマルジョンを作成し、次いで有機溶媒を留
去する逆相蒸発法[F. Szoka, F.Olson, T. Heath, W,
Vail, E. Mayhew, D. Papahadjopoulos; Biochim. Biop
hys. Acta., 601, 559 (1980) ]、脂質と界面活性剤の
混合ミセルから透析により界面活性剤を除去する界面活
性剤除去法[L. T. Mimms, G. Zampighi, Y. Nozaki,
C. Tanford, J. A. Reynolds; Biochemistry, 20, 833
(1981) ]、超音波処理法を行った後に凍結融解を行う
凍結融解法[U. Pick; Arch. Biochem. Biophys., 212,
186 (1981) ]及び超音波処理法の後、CaCl2 を添
加しEDTAで処理するカルシウム融合法[D. Papahad
jopoulos, W. J. Vail,K. Jacobson, G. Poste; Biochi
m. Biophys. Acta., 394, 483 (1975) ]等が知られて
おり、これらの方法により多重層リポソーム、小さな一
枚膜リポソーム及び比較的大きな一枚膜リポソームなど
が作製できる。
【0005】又、巨大リポソームの製法としては、脂質
薄膜を長時間かけて水和する静置水和法[A. Darszon,
C. A. Vandenberg, M. Schoufeld, M. H. Ellismau, N.
C.Spitzer, M. Montal; Proc. Natl. Acad. Sci., U.
S.A., 77, 239 (1980)]、高塩濃度存在下で凍結融解を
行った後、緩衝液に対して透析する凍結融解透析法[N.
Oku, R. C. MacDonald; Biochemistry, 22, 855 (198
3) ]等が挙げられ、これらの方法により一枚膜もしく
は一枚〜数枚膜の巨大リポソームを得ることができる。
【0006】更に、最近では、リポソームの力学的強度
や安定性を増大させるために、リポソームを形成してい
る脂質を重合させたポリマーリポソームに関する研究も
盛んに行なわれており、例えば、予め高分子化したジア
ルキル化合物を脂質中に分散する方法(T. Kunitake;
J. Am. Chem., 103, 5945, 1981)や、モノマー脂質を
水に分散させてリポソームを形成させた後、重合する方
法(H. Koch; Macromol.Chem., 182, 255, 1981)等が
報告されている。
【0007】一方、ラングミュア・プロジェット膜(以
下LB膜という)の製造は、トラフと呼ばれる水槽に純
水あるいはカドミウム塩等の水溶液からなる水性媒体を
入れ、一般にLB分子と総称される両親媒性の単分子の
膜を水性媒体の液面に展開させ、これをバリアにより液
面(水平)方向に圧縮し、ガラスやシリコンウエハー等
の基板を液面に対して上下させて、基板面に単分子膜
(LB膜)を写し取る方法によって行われてきた(この
製造方法をLB法と呼ぶ)。
【0008】LB法の用途は種々の分野に拡大されつつ
あり、例えば、電気エネルギーを物質そのものとして、
あるいは構造変化や状態変化として膜内に蓄積でき、2
次電池としての用途が注目されている電界重合膜の作成
への応用が検討されてきた。従来技術におけるLB法に
よる電界重合膜の作成は、導電性基板、例えば白金板や
導電性シリコンウエハーなどの基板上に電界重合用分子
のLB膜をLB法により成膜し、これを硫酸や塩酸等の
電界質水溶液中で電界重合を行ない電界重合LB膜を形
成する方法や、重合用分子の単分子膜を第二酸化鉄水溶
液の液面に展開して、液面で化学的な酸化反応を行ない
これを重合させて電界重合膜としての機能を有する重合
LB膜として、これを基板に移し取る方法によって行わ
れてきた。なお、電界重合LB膜の製法に用いる分子と
しては、電界重合用の分子を両親媒性に修飾したピロー
ル誘導体やアニリン誘導体などが利用されてきた。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】近年、膜を介した
物質移動の研究、生体膜モデルの形成、機能膜の開発な
どにおいてリポソームを人工的に形成する技術の有用性
が高まっている。特に、数μm超える直径の巨大リポソ
ームは、大きな保持容積が確保できる、高分子物質の保
持が可能である、光学顕微鏡での観察、マニピュレーシ
ョンが可能である等の利点を有し、極めて有用性が高
い。ところが、直径が数十nmから数百nmまでのリポ
ソームにおいては、上述の超音波処理法や界面活性剤除
去法など数々の調製法が提供されているのに対し、直径
が数十μmを超える、特に数百μmに達する巨大リポソ
ームに関しては、ごくわずかな調製法が知られているに
すぎない。
【0010】前述の静置水和法によれば直径が数百μm
の巨大リポソームを調製することができるが、この方法
では調製溶液のイオン濃度が10-4M以下に制限されて
しまうこと、さらには、蛋白質やビタミン等の存在下で
はリポソームの形成が阻害される場合があるなどの問題
を有する。従って、蛋白質やビタミン等の種々の物質を
膜内や膜中に存在させたリポソームを形成することが困
難となる場合もあり、そのような用途に十分対応できる
ものとは言えない。
【0011】また、前述の凍結融解透析法は調製時のp
Hにより生成するリポソームの大きさが異なり、生体内
や生化学的反応において多く利用されるpH領域(中性
及びその付近)では最大50μm程度のものしか調製で
きない。この凍結融解透析法においては調製時のpHを
2以下にすれば、直径が数百μmの巨大リポソームも調
製可能であるが、この場合は調製溶液が強酸性であるた
め脂質の劣化やタンパク質の変性といった問題が生じ
る。
【0012】更に、数十μm以上の直径を有する巨大リ
ポソームの場合、機械的強度や物理的強度が非常に弱い
場合が多く、遠心分離等の操作時にその条件によっては
膜構造が簡単に破壊されてしまうという問題があり、こ
の問題が巨大リポソームの実用面における解決すべき課
題となっていた。
【0013】本発明の目的は、機械的強度、物理的強度
および安定性に優れた直径が数十μmから数百μmの巨
大プロテオリポソームを簡便な工程かつ緩和な条件下で
調製できる方法を提供することにある。
【0014】一方、先に述べたLB法による電界重合膜
の製造のうち、基板上に電界重合用分子のLB膜を形成
した後、これを電界重合させる方法では、電界重合に伴
う体積変化によって分子密度が変化し、結果として充電
効率の低下の原因となる導電性の低下が生じる場合があ
るという問題点があった。更に、この方法では、電界重
合時の体積変化の影響とその際に発生するガスの影響
で、電界重合LB膜と基板との密着性が悪くなる場合が
あるという実用面での問題もあった。また、第二酸化鉄
水溶液の液面に重合用分子を展開して、化学的な酸化反
応により重合を行わせる方法では、単分子累積膜を基板
上に形成する場合に、良好な累積状態が得られない場合
があるという問題があった。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の巨大プロテオリ
ポソームの調製方法は、(a)アルカリ金属塩水溶液を
主体とし、重合性脂質を含むリポソーム形成用混合液の
凍結、融解を行なう凍結融解工程と、(b)該凍結融解
工程により得られた融解液を前記リポソーム形成用混合
液よりも低い塩濃度の水溶液または緩衝液からなる透析
用溶媒に対して透析する透析工程と、(c)該透析工程
後の混合液を所望の粒径のリポソームが得られるまで保
持する成熟工程と、(d)所望の粒径が得られたリポソ
ームに含まれる重合性脂質を重合させる重合工程とを有
することを特徴とする。
【0016】本発明の方法は、凍結融解透析法を応用し
たものであり、具体的には凍結融解透析法で調製したリ
ポソームを、所望の直径がリポソームに得られるまでの
一定期間、定温においてそのまま保持すること、すなわ
ち熟成させることにより、直径数十μm〜数百μmへと
巨大化させるものである。このように、リポソームが直
径数十μm〜数百μmへと巨大化するのは、熟成工程中
にリポソームどうしが融合してより巨大なリポソームを
形成するためと推定される。
【0017】なお、一般に、リポソームを形成している
脂質の相転移温度以下におかれたリポソーム、特に直径
が数十nm程度の小さい一枚膜リポソーム(SUVと略
す)は、その複数が融合して大きなマルチラメラリポソ
ーム(MLVと略す)に成長し易いことが知られてい
る。これは、SUVでは曲率が大きく、その歪が過剰の
膜表面エネルギーとなり、この過剰エネルギー解消のた
めにリポソームの融合が進行すると考えられている。
【0018】ところが、このようなSUVを融合させて
MLVを得る方法を利用して巨大リポソームを調製した
場合、所望の特性を維持させつつ巨大化させることが難
しいという問題がある。例えば、所定の水溶性物質を内
包するリポソームでは、MLV化することで該水溶性物
質の保持効率が低下してしまう場合がある。また、所望
の機能を発現させるために膜蛋白質を膜中に含有させた
プロテオリポソームでは、MLV化させることで膜蛋白
質の所望の機能が損なわれる場合がある。これに対し
て、本発明の方法によれば、例えば凍結融解透析法で調
製した巨大一枚膜リポソーム(GUV)から成熟工程で
更に巨大化されたGUVを得ることができ、その際所望
の機能を損なうことがない。この場合、MLV化する割
合は実質的に無視できるほど小さく、ほとんどのGUV
が更に巨大化されたGUVとなる。従って、本発明の方
法を用いることで、例えば所定の水溶性物質を内包する
リポソームにおいては、該水溶性物質の保持効率を低下
させることなく巨大リポソームの調製が可能であり、ま
たプロテオリポソームにおいても目的とする機能を低下
させることなく巨大プロテオリポソームの調製が可能と
なる。
【0019】なお、リポソームを巨大化することで、リ
ポソーム1つ当りの内容積の増加に伴って1つのリポソ
ームへの物質の取り込み効率を向上させて所望の機能を
高めるという効果も期待できる。この効果は特にプロテ
オリポソームのような膜蛋白質等の機能性物質を付加し
た場合に特に有用である。例えば、高度好塩菌の紫膜中
に存在し、光によりプロトンを輸送する蛋白質として知
られるバクテリオロドプシンを含むプロテオリポソーム
では、巨大化による内容積の増加に伴ってリポソーム内
へのプロトンの取り込み効率が増大する。
【0020】一方、リポソームの融合は、前記のSUV
の相転移温度以下における融合のほかに、セルダウイル
スやポリエチレングリコールなどの仲介物質の存在下に
おいても起こることが知られている。また、酸性脂質を
用いて調製したリポソームでは、カルシウムイオンCa
2+によって融合が引き起こされることも報告されてい
る。しかしながら、これらの融合方法では、仲介物質も
形成されるリポソームに一緒に取り込まれるので、これ
らの方法で融合させたリポソームをこれらの仲介物質の
存在が好ましくない用途に利用するとができず、その利
用範囲が制限されるという問題がある。また、酸性脂質
を用いる方法では、利用できる脂質の種類が限定されて
しまう。これに対して、本発明においては、上記の仲介
物質を利用することなくリポソームの融合が可能とな
り、上記のような制限を緩和できる。更に、蛋白質を脂
質とともに用いるプロテオリポソームの調製の場合、蛋
白質の存在自体がリポソームの融合を助長し融合速度を
高めるという効果を得ることができる。
【0021】本発明の方法における凍結融解工程(a)
及び透析工程は(b)は、公知の凍結融解透析法に従っ
て行なうことができる。凍結融解工程(a)に用いるリ
ポソーム形成用混合液は、リポソーム形成用材料として
の重合性脂質をアルカリ金属塩水溶液に加えて得ること
ができる。リポソーム形成用材料としての重合性脂質と
しては、プロテオリポソームを形成でき、かつ重合し得
る脂質であれば制限なく利用できるが、例えば以下のよ
うな公知の両親媒性の化合物が利用できる。 I.重合性官能基としてジアセチレン基を有するもの
【0022】
【化1】 II.重合用官能基としてジエン基を有するもの
【0023】
【化2】 III .重合用官能基としてスチレン基を有するもの
【0024】
【化3】 VI.重合用官能基としてチオール基を有するもの
【0025】
【化4】 重合性脂質のリポソーム形成用混合液での濃度は、特に
限定されるものではないが、好ましくは3〜100m
M、より好ましくは10〜30mMとすることが望まし
い。
【0026】重合性脂質の重合方法は、用いる脂質の種
類によって異なるが、例えばジアセチレン基を有する脂
質の場合は254nmなどの紫外光照射により、ジエン
基やアセチレン基を有する脂質の場合は紫外光照射やA
IBN等のラジカル重合開始剤の作用により、またチオ
ール基を有する脂質の場合は過酸化水素等による酸化重
合が利用できる。重合性脂質の使用にあたっては、それ
が重合した際にプロテオリポソームの膜構造に乱れや損
傷を与えないように、必要に応じて、例えばアルキル基
の長さや重合部位を考慮して重合性脂質の種類を適宜選
定したり、また重合鎖の長さ等を調節するためのスペー
サー基を導入することもできる。重合条件はリポソーム
の所望とする特性や機能を損なわない範囲内で適宜設定
するとよい。
【0027】更に、上記重合性脂質に加えて、所望の特
性を損なわない範囲内でリポソームを構成できる他の脂
質を添加することができ、そのような脂質として、例え
ば以下のような公知の両親媒性をもつリン脂質、糖脂質
及び4級アンモニウム塩からなる脂質などが利用でき
る。
【0028】これらの膜形成能を持つ脂質分子は炭素が
8個以上の長鎖アルキル基と親水基とを有して構成さ
れ、親水基が例えば
【0029】
【化5】 などのカチオン、例えば
【0030】
【化6】 などのアニオン、例えば
【0031】
【化7】 などの非イオン、例えば
【0032】
【化8】 などの双性イオンのいずれでも良い。
【0033】これらの脂質材料のうち、ホスファチジル
コリン(レシチン)やホスファチジルエタノールアミ
ン、ジホスファチジルグリセロールなどのグリセロリン
脂質;スフィンゴミエリンやセラミドシリアチン等のス
フィンゴリン脂質;セレブドシド、スルファチド、セラ
ミドオリゴヘキソシド等のスフィンゴ糖脂質;および親
水基として炭水化物を含むグリコシルジアシルグリセロ
ール等のグリセロ糖脂質は好ましいものであり、中でも
グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質等のリン脂質は
特に好ましいものである。
【0034】アルカリ金属塩水溶液に用いるアルカリ金
属塩には、カリウム、ルビジウム及びナトリウムの塩が
好ましく用いられ、リチウム塩は好ましくない。アルカ
リ金属塩の濃度は、塩の種類により異なるが、リポソー
ムの形成に必要な十分なアルカリ金属イオン濃度が得ら
れるように設定され、用いるアルカリ金属塩の種類に応
じて適宜調節される。例えば、塩化カリウムを用いた場
合には、2M以上、4M以下が好ましい。また、塩化ル
ビジウムの場合は2M以上6M以下、塩化ナトリウムの
場合は2M以上4M以下が好ましい。
【0035】なお、リポソーム形成用混合液には、所望
に応じて種々の物質をリポソームの形成を損なわない範
囲内で添加することができる。例えば、リポソームの膜
中または内腔中に含有させてその機能を利用する物質;
各種金属イオン;コレステロール、コレスタノールなど
のステロール類等の膜安定化剤;ステアリルアミン、ホ
スファチジン酸、ジセチルホスフェート等の荷電物質;
トコフェロール等の酸化防止剤等を挙げることができ
る。リポソームの脂質膜中にまたはその内腔中に含有さ
せてその機能を利用する物質としては、抗細菌性化合物
類、抗ウイルス性化合物類、抗真菌性化合物類、抗寄生
体化合物類、抗腫瘍性化合物類、ビタミン類、膜蛋白
質、酵素等の各種蛋白質、ホルモン類、放射線標識物
質、蛍光化合物類、多糖類、核酸類等を挙げることがで
きる。これらの添加物の含有量は、その使用目的に応じ
て決定される。膜安定化剤、荷電物質、酸化防止剤につ
いては、例えばリポソーム形成用材料1重量部に対し、
ステロール類を0〜2重量部、荷電物質を0〜0.5重
量部、酸化防止剤を0〜0.2重量部とするのが好まし
い。
【0036】これらの中で、プロテオリポソームを形成
し得る蛋白質はリポソームの融合を促進する作用があ
り、その機能を利用しない場合でも、リポソーム融合促
進剤として使用することができる。このプロテオリポソ
ームを形成し得る蛋白質としては、紫膜、膜結合型AT
P分解酵素等の「膜蛋白質」と呼ばれている蛋白質や、
膜蛋白質以外でも、表面の一部に疎水性部分を有し脂質
膜と結合し得る蛋白質等が利用できる。蛋白質をリポソ
ーム融合促進剤として使用する場合の添加量は、0.5
〜20mM、好ましくは1〜10mMとするのがよい。
なお、膜蛋白質を利用する場合、これは純粋な形に精製
されている必要はなく、例えば脂質膜断片が付着した状
態のものなどでも利用可能である。
【0037】一方、リポソーム形成用混合液のpHは、
リポソームの形成に悪影響を及ぼさない範囲内でリポソ
ームの組成及びその用途などに応じて選択されるが、例
えば、好ましくは3以上、より好ましくは4以上とされ
る。また、機能性物質を添加する場合には機能性物質の
変成や破壊を生じないpHが選択される。蛋白質を添加
する場合にも、pHは、例えば、好ましくは3以上、よ
り好ましくは4以上とされる。なお、本発明の方法によ
れば、中性及びその付近においても巨大リポソームの良
好な形成が可能であり、中性付近で行なわれる生体内や
生体外での各種生化学的反応に用いる種々の物質のリポ
ソームを介した利用が可能となる。
【0038】凍結融解工程(a)における凍結工程は、
例えば液体窒素やアセトン−ドライアイスを用いて行う
ことができる。また、融解工程は、例えば5〜40℃の
範囲、通常は室温に静置しながら、あるいは振盪しなが
ら行うことができる。なお、凍結融解工程は、凍結工程
と融解工程をこの順に1回行なって、あるいは2回以上
繰り返して実施することができるが、通常は3回以上繰
り返すのが好ましく、6回程度まで行なえば十分であ
る。更に、凍結融解のあとに、融解液をボルテックスミ
キサー等を用いた攪拌処理を行っても良い。
【0039】凍結融解工程(a)において凍結物の融解
によって得られた融解液は、つぎに透析工程(b)にお
いて、透析溶媒に対して透析処理される。この透析によ
って例えば直径数十μmのGUVを得ることができる。
透析溶媒としては、リポソーム形成用混合液よりも低い
塩濃度の水溶液や緩衝液が用いられる。この透析用溶媒
の塩濃度は、例えば80mM以下、好ましくは50mM
以下、より好ましくは10mM以下とされる。この透析
用溶媒のpHは、リポソーム形成用混合液と同様に、リ
ポソームの形成に悪影響を及ぼさない範囲内でリポソー
ムの組成及びその用途などに応じて選択されるが、例え
ば、好ましくは3以上、より好ましくは4以上とされ
る。なお、透析はリポソーム形成用混合液の塩濃度が透
析用溶媒の塩濃度と同程度になった時に終了する。通常
は、リポソーム形成用混合液に対し2000〜6000
倍の透析用溶媒量を用いて2日間行う。
【0040】最後に、成熟工程(c)において、透析終
了後の液を、例えば0〜40℃、好ましくは5〜20℃
の範囲内の一定温度に保持し、該液に含まれているリポ
ソームを融合させて巨大リポソームを得る。なお、この
温度範囲とすることによってリポソームが分散している
液媒体の主成分である水を凝固させることなく、また脂
質膜の形態を破壊することなく良好なリポソームの融合
を行なわせることができる。また、この成熟工程は、静
置状態でも、振盪状態でも行なうことができる。この成
熟工程は所望の径がリポソームに得られたところで膜構
造を構成する重合性脂質を重合させる重合工程(d)を
行なって終了させ、所望の用途に用いる。重合工程
(d)には用いた重合性脂質の種類に応じて先に挙げた
各種重合工程が適宜用いられる。
【0041】一方、本発明のLB膜製造装置は、水性媒
体の相を形成するための槽と、該水性媒体の相の表面に
展開した単分子膜を写し取る基板とを有するラングミュ
ア・プロジェット膜製造装置において、前記基板に反応
極を、前記水性媒体相の表面または相中に対極を有し、
これら反応極と対極との間に通電可能としたことを特徴
とする。
【0042】また、本発明のLB膜の製造方法は、水性
媒体の相の表面に展開した単分子膜を基板に写し取るこ
とによるラングミュア・プロジェット膜の製造方法にお
いて、前記基板を反応極として構成し、該反応極と前記
水性媒体の相の表面または相内に設けた対極との間に通
電しながら単分子膜を基板へ写し取り、成膜と同時に該
反応極側で酸化もしくは還元反応を起こさせることを特
徴とする。
【0043】本発明のLB膜の製造装置の概要を図1及
び図2に示す。図1は該装置の平面図(液面上方から見
た図)であり、図2は液面に垂直な方向での断面図であ
る。該装置は、LB分子の単分子膜を展開する水性媒体
の液相10を形成するためのトラフ(槽)1と、液相1
0の液面に展開した単分子膜の膜圧(表面圧)を調整す
るためのバリア2と、該表面圧を測定するための表面圧
測定部3と、基板保持手段6とを有する。トラフ1の内
壁、バリア2及び表面圧測定部3は一般にその表面が疎
水性であることが望ましい。一般に金属は酸化されない
状態では疎水性であるので、酸化されにくい貴金属から
これらの部分を形成するのが好ましい。
【0044】トラフ1の底面には、基板保持手段6に保
持された基板5の浸漬操作(ディッピング)用の溝4が
設けられている。この溝4は、液相10の深さが充分で
あるときは必要ないが、液相の深さをできるだけ浅くし
て、水性媒体の使用量等を節約する場合には有用であ
る。
【0045】基板5は通電による反応極として機能する
もので、少なくともLB膜が成膜される面は導電性を有
しており、基板全体が導電性を有するものであっても良
い。基板5の導電性を有する面は、抵抗率が100Ω・
cm以下で平滑、清浄であるものが好ましい。
【0046】基板保持手段6としては、例えば金メッキ
を施したクリップなど、これを介して通電手段(不図
示)によって基板5に電気的に安定に通電でき、かつ基
板5が落下しないようにこれをしっかり保持できる構造
を有するものが用いられる。
【0047】基板5への電気的な導通だけなら基板保持
手段6に導電性を付与する必要はなく、リード線等を基
板5に直接接続して導通を行ってもよいが、電界重合に
要する大電力を接触不良なく基板5に供給するという電
気的な安定性のためには、基板保持手段6に導電性を付
与して用いるのが好ましい。
【0048】なお、基板保持手段6は、基板5との間で
電気化学反応が起こりにくくするために、基板保持手段
自体が貴金属性であるか、または少なくとも液相10中
に浸漬される部分に貴金属によるメッキが施されている
ことが望ましい。
【0049】トラフ1内には、基板5(反応極)に対す
る対極が設けられる。対極を設ける位置は、基板5に形
成するLB膜の種類に応じて液相10と接触する適当な
位置とされる。例えばピロール誘導体やアニリン誘導体
などの電界重合性の化合物を両親媒性に修飾してLB分
子としたものを用いて電界重合LB膜を形成する場合に
は、液相10の液面に展開された単分子膜に接触できる
位置とされる。対極は、別途設けてもよいが、図2に示
すように、バリア2、表面圧測定部3またはトラフ1の
内壁面の適当な面を導電性に加工して、その部分を対極
として利用しても良い。すなわち、バリア2で圧縮され
た単分子膜に接触するのは、原則として、バリア2、表
面圧測定部3及びトラフ1の内壁面の3箇所であるの
で、液相10の表面に展開されたLB分子の配列及び配
向を乱さないために、あるいは不純物の混入を避けるた
めには、これらの3部材のいずれかに対極を設けるのが
好ましい。また、例えば、基板5に液相10から金属を
析出させる場合には、液相10の表面に展開された単分
子膜に対極が接触する必要はないので、対極は適当な位
置に設ければ良いが、この場合でも上記同様の理由から
トラフ1の内壁面に対極を設けるのが好ましい。
【0050】対極は電気化学的に安定な物質から構成さ
れているのが好ましく、例えば貴金属製あるいは貴金属
によるメッキが施されているのが好ましい。また、液相
10をカドミウム塩等の金属塩の水溶液で形成した場合
には、対極側に金属が還元されて析出することがあるの
で、対極を再利用する場合には酸によるエッチング等の
剥離清掃処理に耐えられる金、白金などから対極を構成
するのが好ましい。
【0051】本発明のLB膜製造方法では、LB分子の
単分子膜の液相10の液面への展開、表面圧の調整、基
板の操作は常法に従って行うことができる。その際、対
極11と基板(反応極)5との間を電気的に絶縁できる
構成とし、例えば、図2の基板5側の端子7と、対極1
1側の端子8−1、8−2または8−3を通電手段(不
図示)を介して接続することで基板5と対極(11−
1、11−2または11−3)との間に通電しつつLB
膜の成膜を行う。
【0052】液相10は、目的とするLB膜の種類に応
じて適宜選択される。例えば、純水やカドミウム塩等の
金属塩の水溶液などが用いられる。
【0053】また、LB膜形成用化合物としては、電界
重合LB膜の形成の場合には、従来法によって利用され
ているピロール誘導体やアニリン誘導体などの電界重合
性の化合物を両親媒性に修飾してLB分子としたものな
どが利用できる。ピロール誘導体やアニリン誘導体を用
いる場合には、陽極側で重合するので、基板5の極性を
陽極とする必要がある。更に、還元反応を起こす分子を
用い、基板5を陰極とすることによって還元性電界重合
LB膜を得ることができる。また、アニリンLB分子を
金属塩水溶液の液面に展開して、電極極性を高周波に切
り替えることによって、金属分子がドープされた電界重
合LB膜を得ることもできる。一方、LB分子と基板の
構成材料の種類の組合せによっては、いわゆるZ膜と呼
ばれる累積膜、すなわち基板を浸漬したときのみ累積す
る膜を形成させることもできる。また、アニリンLB分
子を金属塩水溶液の液面に展開して、基板を引き上げる
ときには基板を陽極とし、浸漬するときには陰極とする
低周波の極性切り替えを行うことで、電界重合LB膜と
金属膜が交互に累積した膜を形成することができる。
【0054】上記の方法において、基板(反応極)5と
対極11に印加した電圧は、液相10内に没している基
板5の部分に対して一様である。LB分子として電界重
合用分子を用いた場合には、液面に浮かぶ分子が電気化
学的反応を起こして基板5上に成膜(または累積)し、
この電気化学反応によって反応極と対極との間に電流が
流れる。すなわち、単分子の電界重合と基板5への重合
膜の成膜(累積)が同時に行われる。従って、本発明の
方法によって基板5上に電界重合膜を形成した場合、成
膜後電界重合を行う従来の方法で問題となる電界重合膜
の体積変化が起こらず、高密度で基板への密着性が良好
な電界重合LB膜を得ることができる。また、本発明の
方法において、電界重合時にガスが発生したとしても、
基板5、液相10およびLB膜相互の表面張力および基
板5の液相10に対する浸漬や引き上げといった移動操
作により、基板5と基板5に移し取られる膜との間にガ
スが混入することがなく、基板5とその上に移し取られ
るLB膜との間に極めて良好な密着性を得ることができ
る。
【0055】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。 実施例1 まず、H. Koch ら(Makromol. Chem., 182, 255(1981)
)らの方法によって、下記構造の重合性脂質を合成し
た。
【0056】
【化9】 次に、20mMの上記重合性脂質のクロロホルム溶液
0.5mlをナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポ
レーターで溶媒を留去した後、これをデシケータで真空
乾燥させ、フラスコ内壁面に脂質薄膜を形成した。更
に、3Mの塩化カリウム水溶液(pH5.6)1mlを
加え、ボルテックスミキサーによって2分間処理して脂
質薄膜を溶媒中に分散させた後、60℃で水浴型超音波
発振装置(ソニファイアーB−15型、ホップホーン使
用:Branson 社製)で30分間処理してリポソーム分散
液を得た。
【0057】このリポソーム分散液を、液体窒素での凍
結、室温での融解、ボルテックスミキサー処理30秒と
いう操作をこの順に3回繰り返した。この後、前記処理
液を透析チューブに移し、10mM塩化カリウム水溶液
4リットルに対して2日間透析を行ない、GUVを調製
した。透析処理後の液体(透析チューブ内液)からサン
プリングしたGUVの位相差光学顕微鏡観察による最大
粒径は31μm、平均粒径は10.1μm、標準偏差
4.96μm(サンプル数250)であった。
【0058】次に、透析チューブ内液を容器に移し、1
5℃に30日間保持してGUVを熟成させた。成熟した
GUVの位相差光学顕微鏡観察による最大粒径は42μ
m、平均粒径は16.3μm、標準偏差5.88μm
(サンプル数250)となった。これらの結果の比較か
ら明らかなように、GUVの粒径は時間経過とともに増
大し、直径数十μmの巨大リポソームを多量に調製する
ことができた。
【0059】更に、成熟後のGUVに紫外線ランプ(コ
スモバイオ社、CSV CSL−30G フィルター無
しタイプ、30W)を30分間照射し、GUVの膜構造
を構成する重合性脂質を重合させた。重合によるGUV
の粒径の変化を位相差光学顕微鏡観察によって検査した
ところ、粒径変化はほとんどみられなかった。重合処理
後のGUVの膜安定性を調べるために、重合処理後のG
UV分散液に同容量のエタノールを添加し、攪拌した
後、位相差光学顕微鏡観察を行なってところ、GUVが
破壊されることなく維持されていることが確認された。
【0060】比較例1 実施例1における重合処理前のGUV分散液に同容量の
エタノールを添加し、攪拌した後、位相差光学顕微鏡観
察を行なってその安定性を調べたところ、GUVが破壊
されてその存在が確認できなかった。
【0061】実施例2 成熟温度を15℃から30℃に変更する以外は実施例1
と同様にして重合脂質膜を有するリポソームを得た。な
お、本実施例における成熟工程終了時のGUVの位相差
光学顕微鏡観察による最大粒径は160μm、平均粒径
は40.2μm、標準偏差8.13μm(サンプル数2
50)であり、重合処理後も粒径の変化は認められなか
った。
【0062】実施例3 実施例1で合成した重合性脂質を、20mMの濃度で含
むクロロホルム溶液0.5mlをナス型フラスコに入
れ、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した後、こ
れをデシケータで真空乾燥させ、フラスコ内壁面に脂質
薄膜を形成した。更に、3Mの塩化カリウム水溶液(p
H5.6)1mlを加え、ボルテックスミキサーによっ
て2分間処理して脂質薄膜を溶媒中に分散させた後、6
0℃で水浴型超音波発振装置(ソニファイアーB−15
型、ホップホーン使用:Branson 社製)で30分間処理
してリポソーム分散液を得た。
【0063】これとは別に、P. Oesterhelt および W.
Stoeckenius の方法(Method. Enzymol., 31, (1974),
667-678 )によって、高度好塩菌 Halobacterium hal
obium RJ 株から抽出した紫膜を、K. Huang の方法
(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 77, (1980) , 323 )
にしたがって界面活性剤Triton X-100(和光純薬工業社
製)で処理し、紫膜を脱脂した状態の膜蛋白質バクテリ
ロドプシン(bRと略す)を得た。このbRの120μ
gを先に得たリポソーム分散液に加えて、これに液体窒
素での凍結、20℃での融解、ボルテックスミキサー処
理30秒という操作をこの順に3回繰り返した。この
後、前記処理液を透析チューブに移し、10mM塩化カ
リウム水溶液4リットルに対して2日間透析を行ない、
バクテリオロドプシン巨大プロテオプロテオリポソーム
(bR−GUVと略す)を調製した。透析後の透析チュ
ーブ内からサンプリングしたbR−GUVの位相差光学
顕微鏡観察による最大粒径は21μm、平均粒径は1
0.4μm、標準偏差5.18μm(サンプル数25
0)であった。
【0064】透析チューブ内液を容器に移し、これを1
5℃に15日間保持し、bR−GUVを熟成させた。成
熟したbR−GUVの位相差光学顕微鏡観察による最大
粒径は46μm、平均粒径は19.7μm、標準偏差
6.67μm(サンプル数250)となった。以上の結
果の比較から明らかなように、bR−GUVの粒径は時
間経過とともに増大し、上記の条件で直径が約2倍とな
っ巨大なプロテオプロテオリポソームを多量に調製する
ことができた。
【0065】次に、成熟後のbR−GUVに実施例1と
同様の条件で紫外線を照射し、bR−GUVの膜構造を
構成する重合性脂質を重合させた。重合によるbR−G
UVの粒径の変化を位相差光学顕微鏡観察によって検査
したところ、粒径変化はほとんどみられなかった。さら
に、重合処理後のbR−GUV分散液を10000×
g、10分間の遠心処理にかけ、沈澱物とbRを含む上
清とを分離した。沈澱物からサンプリングした試料を位
相差光学顕微鏡観察によって観察したところ、所望の粒
径のbR−GUVが観察された。また、上清を分析した
ところbR−GUVの膜中に組み込まれなかったbRが
検出された。
【0066】比較例2 重合処理を行なわない以外は実施例1と同様にしてbR
−GUVを調製し、bR−GUVと膜中に組み込まれな
かったbRとの分離のための遠心処理を行なった。とこ
ろが、遠心処理によってbR−GUVが破壊されて消失
してしまい、bR−GUVの沈澱物を得ることができな
かった。
【0067】実施例4 成熟工程を30℃で20日間行なう以外は実施例3と同
様にして重合脂質膜を有するbR−GUVを得た後、b
R−GUVと膜中に組み込まれなかったbRとの分離の
ための遠心処理を行なった。なお、本実施例における成
熟工程終了時のbR−GUVの位相差光学顕微鏡観察に
よる最大粒径は167μm、平均粒径は43.3μm、
標準偏差9.87μm(サンプル数250)であり、重
合処理後も粒径の変化は認められなかった。また、bR
を除くための遠心処理もbR−GUVの膜構造は破壊さ
れずに維持され、重合後のbR−GUVの安定性が確認
された。
【0068】比較例3 重合処理を行なわない以外は実施例4と同様にしてbR
−GUVを調製し、bR−GUVと膜中に組み込まれな
かったbRとの分離のための遠心処理を行なった。とこ
ろが、遠心処理によってbR−GUVが破壊されて消失
してしまい、bR−GUVの沈澱物を得ることができな
かった。
【0069】実施例5 実施例1で合成した重合性脂質を、20mMの濃度で含
むクロロホルム溶液0.5mlをナス型フラスコに入
れ、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した後、こ
れをデシケータで真空乾燥させ、フラスコ内壁面に脂質
薄膜を形成した。更に、3Mの3M塩化ルビジウム水溶
液(pH5.7)1mlを加え、ボルテックスミキサー
によって2分間処理して脂質薄膜を溶媒中に分散させた
後、60℃で水浴型超音波発振装置(ソニファイアーB
−15型、ホップホーン使用:Branson 社製)で30分
間処理してリポソーム分散液を得た。
【0070】これとは別に、The Journal of BIOLOGICA
LCH EMISTRY Vol. 250, No.19, p7910-7916 、および p
7917-7923 (1975)に準じて好熱性細菌であるPS3の培
養ならびにATP分解酵素の抽出、精製を行ない、AT
P分解酵素TF01 を調製した。前記リポソーム分散
液に、TF01 150μgを加えて、これに液体窒素
での凍結、20℃での融解、ボルテックスミキサー処理
30秒という操作をこの順に3回繰り返した。この後、
前記処理液を透析チューブに移し、50mM塩化ルビジ
ウム水溶液4リットルに対して2日間透析を行ない、T
01 巨大プロテオリポソーム(TF01 −GUV
と略す)を調製した。透析処理後の透析チューブ内液か
らサンプリングしたTF01 −GUVの位相差光学顕
微鏡観察による最大粒径は13μm、平均粒径は6.9
μm、標準偏差3.24μm(サンプル数250)であ
った。上記の透析チューブ内液を容器に移し、更に63
℃に10日間保持し、TF01 −GUVを熟成させた
ところ、TF01 −GUVの位相差光学顕微鏡観察に
よる最大粒径は211μm、平均粒径は62.2μm、
標準偏差14.94μm(サンプル数250)となっ
た。
【0071】次に、成熟後のTF01 −GUVに実施
例1と同様の条件で紫外線を照射し、その膜構造を構成
する重合性脂質を重合させた。重合によるTF01
GUVの粒径変化はほとんどみられなかった。更に、実
施例3と同様にして重合処理後のTF01 −GUVと
膜中に組み込まれなかったTF01 との分離のための
遠心処理を行なったところ、遠心処理によるTF01
−GUVの膜構造の破壊は認められず、重合後のTF0
1 −GUVの安定性が確認された。
【0072】比較例4 重合処理を行なわない以外は実施例5と同様にしてTF
01 −GUVを調製し、得られたTF01 −GUV
と膜中に組み込まれなかったbRとの分離のための遠心
処理を行なった。ところが、遠心処理によってbR−G
UVが破壊されて消失してしまい、bR−GUVの沈澱
物を得ることができなかった。
【0073】実施例6 図1、2に示す装置を用いて電界重合LB膜を形成し
た。LB分子としては、3−ヘキサデシルピロールを用
いた。基板5としては、幅1cm、長さ5cm、厚さ
0.3mmの白金板を硝酸及び純水でこの順に洗浄し、
乾燥させたものを用意した。トラフ1内壁面に金メッキ
を施し対極(陰極)11−1を形成し、そこに純水で液
相10を形成してから、該液相10の表面にLB分子の
0.58mg/mlクロロホルム溶液を展開した。クロ
ロホルムが蒸発するまで約10分間静置した後、表面圧
が30mN/mとなるまでバリア2で圧縮した。上下方
向に可動な電極クリップ6で基板5を鋏んでつり下げ、
基板5を陽極とし、トラフ1の内壁面11−1を陰極と
して1.2Vの電圧を不図示の通電手段により印加しな
がら基板5を液相10の液面に対して垂直な方向で上下
に往復運動させて基板上に電界重合LB膜を30層累積
した。その際、表面圧はバリア2を基板5の方向へ移動
させることで上記の値に維持した。得られたLB累積膜
を洗浄、乾燥させ、サイクリックボルタメトリーで該累
積膜の酸化還元電位を測定したところ、単位体積当りの
充放電電荷量は従来の製造法と比べて5割ほど向上して
いた。
【0074】また、液相10を構成する純水内に未修飾
のピロールをほぼ飽和となるように溶解させる以外は上
記と同様の操作を行ったところ、基板5上にピロール分
子と修飾ピロール分子が交互に重合した電界重合LB累
積膜を得ることができ、更に電荷量を改善することがで
きた。
【0075】更に、ピロール分子をLB分子に修飾せず
に、ステアリン酸分子との混合状態で液相10の液面に
展開する以外は上記と同様の操作を行うことによって、
ピロールが重合して基板5上に析出するのと同時に、そ
こにステアリン酸が吸着されたハイブリッド膜を形成す
ることができた。
【0076】実施例7 実施例6において、基板5上にLB膜が累積されるに従
って電極間の電流が低下するという現象が見られた。そ
こで、バリア2の表面を金メッキして、これを陰極とし
て、実施例6と同様の操作によって電界重合LB累積膜
を基板5上に成膜したところ、基板5へのLB膜の累積
に従ってバリア2が基板5に近ずいていくので、実施例
6のような電流の低下はなく、定電圧かつ定電流での電
界重合が可能となった。
【0077】実施例8 実施例6と同様の装置を用い、0.1M硫酸ニッケル水
溶液をトラフ1内に入れて液相10を形成し、そこにス
テアリン酸の0.5mg/mlクロロホルム溶液を展開
し、バリア2によって20mN/mの表面圧とした。白
金板からなる基板5を陰極として、基板5とトラフ内壁
面の対極11−1(陽極)の間に電圧(2V)を印加し
て、基板5を1cm/minの速度でゆっくりと浸漬し
たところ、基板5の表面にニッケルが析出し、それを覆
う形でLB膜が成膜した。基板上に析出したニッケル薄
膜はLB膜で保護され、酸化されることはなかった。
【0078】一般にLB法における金属イオンの使用
は、LB分子の成膜性を向上させるという目的で用いら
れる添加物であったが、本発明の方法によれば、金属イ
オンから金属への還元反応をLB膜の成膜と同時に行
い、金属薄膜上にLB膜が積層した構造を一括して形成
できる。この金属薄層上にLB膜を成膜する方法は、ニ
ッケルだけでなく、酸化され易い金属、例えばアルミニ
ウムや鉄等にも利用でき、例えば金属薄膜上にLB膜を
金属の酸化を防止する保護膜として形成した構造を得る
ことができる。
【0079】
【発明の効果】本発明の巨大リポソームの調製方法によ
り、十分な機械的、物理的強度及び優れた安定性を有す
る直径数十μmから数百μmの巨大リポソームを、簡便
な工程、かつ緩和な条件下で多量に調製することができ
る。また、本発明によれば、所望の機能を損なうことな
く巨大リポソームの調製が可能であり、更に、中性ある
いはその付近のpHでも良好な巨大リポソームの調製が
可能となり、生体内反応や生化学反応のための各種物質
の巨大リポソームを介した利用や研究を効率良く、また
効果的に行なうことができ、リポソームの用途の拡大が
可能となる。
【0080】一方、本発明のLB膜の製造方法によれ
ば、LB膜の成膜と種々の酸化もしくは還元反応を同時
に行なうことができ、例えば電界重合LB膜を液相から
基板への単分子膜の写し取り操作を行なうことで一度に
成膜でき、従来の方法のようにLB膜と電界重合とを別
工程で行なう必要がない。また、本発明で得られた電界
重合膜は、従来の方法によって得られたものに比較して
高品質で高性能である。さらに、本発明によれば、種々
の酸化もしくは還元反応によって得られる各種の化学的
修飾をLB膜に付与することができる。また、金属薄膜
上にLB膜の保護膜を有する構造等の特異な構造を簡単
に得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLB膜製造装置の概要を示す平面図で
ある。
【図2】図1の装置の液相に垂直な方向での断面図であ
る。
【符号の説明】
1 槽(トラフ) 2 バリア 3 表面圧測定部 4 溝 5 基板 6 基板保持手段 7 基板側端子 8−1、8−2、8−3 対極側端子 9 LB分子 10 液相 11−1、11−2、11−3 対極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08F 12/26 MJY 7211−4J 36/14 MPL 8416−4J 38/00 MPU 8416−4J (72)発明者 川口 正浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山本 伸子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 富田 佳紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アルカリ金属塩水溶液を主体と
    し、重合性脂質を含むリポソーム形成用混合液の凍結、
    融解を行なう凍結融解工程と、(b)該凍結融解工程に
    より得られた融解液を前記リポソーム形成用混合液より
    も低い塩濃度の水溶液または緩衝液からなる透析用溶媒
    に対して透析する透析工程と、(c)該透析工程後の混
    合液を所望の粒径のリポソームが得られるまで保持する
    成熟工程と、(d)所望の粒径が得られたリポソームに
    含まれる重合性脂質を重合させる重合工程とを有するこ
    とを特徴とする巨大リポソームの調製方法。
  2. 【請求項2】 前記透析用溶媒の塩濃度が80mM以下
    である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方法。
  3. 【請求項3】 前記透析用溶媒の塩濃度が50mM以下
    である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方法。
  4. 【請求項4】 前記透析用溶媒の塩濃度が10mM以下
    である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方法。
  5. 【請求項5】 前記リポソーム形成用混合液のpHが3
    以上である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方
    法。
  6. 【請求項6】 前記リポソーム形成用混合液のpHが4
    以上である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方
    法。
  7. 【請求項7】 前記リポソーム形成用混合液がプロテオ
    リポソーム形成用の蛋白質を含む請求項1〜6に記載の
    巨大リポソームの調製方法。
  8. 【請求項8】 水性媒体の相を形成するための槽と、該
    水性媒体の相の表面に展開した単分子膜を写し取る基板
    を保持する基板保持手段とを有するラングミュア・プロ
    ジェット膜製造装置において、前記基板に反応極を、前
    記水性媒体相の表面または相中に対極を有し、これら反
    応極と対極との間に通電可能としたことを特徴とするラ
    ングミュア・プロジェット膜製造装置。
  9. 【請求項9】 水性媒体の相の表面に展開した単分子膜
    を基板に写し取ることによるラングミュア・プロジェッ
    ト膜の製造方法において、前記基板を反応極として構成
    し、該反応極と前記水性媒体の相の表面または相内に設
    けた対極との間に通電しながら単分子膜を基板へ写し取
    り、成膜と同時に該反応極側で酸化もしくは還元反応を
    起こさせることを特徴とするラングミュア・プロジェッ
    ト膜の製造方法。
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