JPH0564739A - 巨大リポソームの調製方法 - Google Patents

巨大リポソームの調製方法

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JPH0564739A
JPH0564739A JP22616891A JP22616891A JPH0564739A JP H0564739 A JPH0564739 A JP H0564739A JP 22616891 A JP22616891 A JP 22616891A JP 22616891 A JP22616891 A JP 22616891A JP H0564739 A JPH0564739 A JP H0564739A
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liposome
dialysis
giant
liposomes
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JP22616891A
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Yasuko Tomita
康子 富田
Takeshi Nomoto
毅 野本
Junji Oyama
淳史 大山
Masahiro Kawaguchi
正浩 川口
Nobuko Yamamoto
伸子 山本
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 数十μm以上、なかでも数百μmの直径を有
する巨大リポソームを、簡便な工程、かつ緩和な条件下
で多量に調製できる方法を提供する。 【構成】 リポソームを分散したアルカリ金属塩水溶液
を凍結、融解し、該アルカリ金属塩水溶液よりも低い塩
濃度の水溶液または緩衝液に対して透析して得た巨大リ
ポソームを更に0〜40℃の範囲の一定温度条件下に保
持して、その複数を融合させてより大きな直径の巨大リ
ポソームを得る。膜蛋白質を脂質膜に含有させたプロテ
オリポソームの場合は、膜蛋白質の共存によってリポソ
ームの融合が促進される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、数十μm以上の、なか
でも数百μmの直径を有する巨大リポソームを、簡便な
工程、かつ緩和な条件下で多量に調製できる方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】脂質膜による閉鎖小胞であるリポソーム
は、その内腔中あるいは膜中に種々の物質を包含するこ
とができる。そこで、この特性を利用してリポソームを
薬物の生体内運搬体として用いるための数多くの研究が
行なわれている。また、リポソームは生体膜のモデルと
しても有用であり、リポソーム単独で、あるいは様々な
膜蛋白質を脂質膜に固定したプロテオリポソームとし
て、生体膜の生物物理的諸性質の研究に広く利用されて
いる。更に最近では、化粧品や食品分野においてもその
応用が進められている。
【0003】リポソームの製法としては、種々の方法が
知られている。例えば、有機溶媒に脂質を溶かしナス形
フラスコなどのガラス容器中で有機溶媒を除去し容器内
面に脂質薄膜を形成した後、水溶液を加えてボルテック
ス処理を行うボルテックス法[K. Inoue; Biochim. Bio
phys. Acta., 339, 390 (1974)]、脂質薄膜に水溶液を
加えて超音波処理を行う超音波処理法[L. Saunders,
J. Perrin, D. B. Gammack; J. Pharm. Pharmacol., 1
4, 567 (1962) ]、脂質を溶解している有機溶媒中に水
溶液を加えエマルジョンを作成し、次いで有機溶媒を留
去する逆相蒸発法[F. Szoka, F.Olson, T. Heath, W,
Vail, E. Mayhew, D. Papahadjopoulos; Biochim. Biop
hys. Acta., 601, 559 (1980) ]、脂質と界面活性剤の
混合ミセルから透析により界面活性剤を除去する界面活
性剤除去法[L. T. Mimms, G. Zampighi, Y. Nozaki,
C. Tanford, J. A. Reynolds; Biochemistry, 20,833
(1981) ]、超音波処理法を行った後に凍結融解を行う
凍結融解法[U. Pick; Arch. Biochem. Biophys., 212,
186 (1981) ]及び超音波処理法の後、CaCl2 を添
加しEDTAで処理するカルシウム融合法[D.Papahadj
opoulos, W. J. Vail,K. Jacobson, G. Poste; Biochi
m. Biophys. Acta., 394, 483 (1975) ]等が知られて
おり、これらの方法により多重層リポソーム、小さな一
枚膜リポソーム及び比較的大きな一枚膜リポソームなど
が作製できる。
【0004】又、巨大リポソームの製法としては、脂質
薄膜を長時間かけて水和する静置水和法[A. Darszon,
C. A. Vandenberg, M. Schoufeld, M. H. Ellismau, N.
C.Spitzer, M. Montal; Proc. Natl. Acad. Sci., U.
S.A., 77, 239 (1980)]、高塩濃度存在下で凍結融解を
行った後、緩衝液に対して透析する凍結融解透析法[N.
Oku, R. C. MacDonald; Biochemistry, 22, 855 (198
3) ]等が挙げられ、これらの方法により一枚膜もしく
は一枚〜数枚膜の巨大リポソームを得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】近年、膜を介した
物質移動の研究、生体膜モデルの形成、機能膜の開発な
どにおいてリポソームを人工的に形成する技術の有用性
が高まっている。特に、数μm超える直径の巨大リポソ
ームは、大きな保持容積が確保できる、高分子物質の保
持が可能である、光学顕微鏡での観察、マニピュレーシ
ョンが可能である等の利点を有し、極めて有用性が高
い。ところが、直径が数十nmから数百nmまでのリポ
ソームにおいては、上述の超音波処理法や界面活性剤除
去法など数々の調製法が提供されているのに対し、直径
が数十μmを超える、特に数百μmに達する巨大リポソ
ームに関しては、ごくわずかな調製法が知られているに
すぎない。
【0006】前述の静置水和法によれば直径が数百μm
の巨大リポソームを調製することができるが、この方法
では調製溶液のイオン濃度が10-4M以下に制限されて
しまうこと、さらには、蛋白質やビタミン等の存在下で
はリポソームの形成が阻害される場合があるなどの問題
を有する。従って、蛋白質やビタミン等の種々の物質を
膜内や膜中に存在させたリポソームを形成することが困
難となる場合もあり、そのような用途に十分対応できる
ものとは言えない。
【0007】また、前述の凍結融解透析法は調製時のp
Hにより生成するリポソームの大きさが異なり、生体内
や生化学的反応において多く利用されるpH領域(中性
及びその付近)では最大50μm程度のものしか調製で
きない。この凍結融解透析法においては調製時のpHを
2以下にすれば、直径が数百μmの巨大リポソームも調
製可能であるが、この場合は調製溶液が強酸性であるた
め脂質の劣化やタンパク質の変性といった問題が生じ
る。
【0008】本発明の目的は、直径が数十μmから数百
μmの巨大プロテオリポソームを簡便な工程かつ緩和な
条件下で調製できる方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の巨大リポソーム
の調製方法は、(a)アルカリ金属塩水溶液を主体と
し、脂質を含むリポソーム形成用混合液の凍結、融解を
行なう凍結融解工程と、(b)該凍結融解工程により得
られた融解液を前記リポソーム形成用混合液よりも低い
塩濃度の水溶液または緩衝液からなる透析用溶媒に対し
て透析する透析工程と、(c)該透析工程後の混合液を
0℃〜40℃の範囲の一定温度条件下に保持する成熟工
程とを有することを特徴とする。
【0010】本発明の方法は、凍結融解透析法を応用し
たものであり、具体的には凍結融解透析法で調製したリ
ポソームを、所望の直径がリポソームに得られるまでの
一定期間、定温においてそのまま保持すること、すなわ
ち熟成させることにより、直径数十μm〜数百μmへと
巨大化させるものである。このように、リポソームが直
径数十μm〜数百μmへと巨大化するのは、熟成工程中
にリポソームどうしが融合してより巨大なリポソームを
形成するためと推定される。
【0011】なお、一般に、リポソームを形成している
脂質の相転移温度以下におかれたリポソーム、特に直径
が数十nm程度の小さい一枚膜リポソーム(SUVと略
す)は、その複数が融合して大きなマルチラメラリポソ
ーム(MLVと略す)に成長し易いことが知られてい
る。これは、SUVでは曲率が大きく、その歪が過剰の
膜表面エネルギーとなり、この過剰エネルギー解消のた
めにリポソームの融合が進行すると考えられている。
【0012】ところが、このようなSUVを融合させて
MLVを得る方法を利用して巨大リポソームを調製した
場合、所望の特性を維持させつつ巨大化させることが難
しいという問題がある。例えば、所定の水溶性物質を内
包するリポソームでは、MLV化することで該水溶性物
質の保持効率が低下してしまう場合がある。また、所望
の機能を発現させるために膜蛋白質を膜中に含有させた
プロテオリポソームでは、MLV化させることで膜蛋白
質の所望の機能が損なわれる場合がある。これに対し
て、本発明の方法によれば、例えば凍結融解透析法で調
製した巨大一枚膜リポソーム(GUV)から成熟工程で
更に巨大化されたGUVを得ることができ、その際所望
の機能を損なうことがない。この場合、MLV化する割
合は実質的に無視できるほど小さく、ほとんどのGUV
が更に巨大化されたGUVとなる。従って、本発明の方
法を用いることで、例えば所定の水溶性物質を内包する
リポソームにおいては、該水溶性物質の保持効率を低下
させることなく巨大リポソームの調製が可能であり、ま
たプロテオリポソームにおいても目的とする機能を低下
させることなく巨大プロテオリポソームの調製が可能と
なる。
【0013】なお、リポソームを巨大化することで、リ
ポソーム1つ当りの内容積の増加に伴って1つのリポソ
ームへの物質の取り込み効率を向上させて所望の機能を
高めるという効果も期待できる。この効果は特にプロテ
オリポソームのような膜蛋白質等の機能性物質を付加し
た場合に特に有用である。例えば、高度好塩菌の紫膜中
に存在し、光によりプロトンを輸送する蛋白質として知
られるバクテリオロドプシンを含むプロテオリポソーム
では、巨大化による内容積の増加に伴ってリポソーム内
へのプロトンの取り込み効率が増大する。
【0014】一方、リポソームの融合は、前記のSUV
の相転移温度以下における融合のほかに、セルダウイル
スやポリエチレングリコールなどの仲介物質の存在下に
おいても起こることが知られている。また、酸性脂質を
用いて調製したリポソームでは、カルシウムイオンCa
2+によって融合が引き起こされることも報告されてい
る。しかしながら、これらの融合方法では、仲介物質も
形成されるリポソームに一緒に取り込まれるので、これ
らの方法で融合させたリポソームをこれらの仲介物質の
存在が好ましくない用途に利用するとができず、その利
用範囲が制限されるという問題がある。また、酸性脂質
を用いる方法では、利用できる脂質の種類が限定されて
しまう。これに対して、本発明においては、上記の仲介
物質を利用することなくリポソームの融合が可能とな
り、上記のような制限を緩和できる。更に、蛋白質を脂
質とともに用いるプロテオリポソームの調製の場合、蛋
白質の存在自体がリポソームの融合を助長し融合速度を
高めるという効果を得ることができる。
【0015】本発明の方法における凍結融解工程(a)
及び透析工程は(b)は、公知の凍結融解透析法に従っ
て行なうことができる。凍結融解工程(a)に用いるリ
ポソーム形成用混合液は、リポソーム形成用材料として
の脂質をアルカリ金属塩水溶液に加えて得ることができ
る。リポソーム形成用材料としての脂質には、リポソー
ムを形成できる脂質であれば制限なく利用できるが、例
えば以下のような公知の両親媒性をもつリン脂質、糖脂
質及び4級アンモニウム塩からなる脂質などが利用でき
る。
【0016】これらの膜形成能を持つ脂質分子は炭素が
8個以上の長鎖アルキル基と親水基とを有して構成さ
れ、親水基が
【0017】
【化1】 これらの脂質材料のうち、ホスファチジルコリン(レシ
チン)やホスファチジルエタノールアミン、ジホスファ
チジルグリセロールなどのグリセロリン脂質:スフィン
ゴミエリンやセラミドシリアチン等のスフィンゴリン脂
質:セレブロシド、スルファチド、セラミドオリゴヘキ
ソシド等のスフィンゴ糖脂質:および親水基として炭水
化物を含むグリコシルジアシルグリセロール等のグリセ
ロ糖脂質は好ましい脂質材料であり、中でもグリセロリ
ン脂質、スフィンゴリン脂質等のリン脂質は特に好まし
いものである。該脂質のリポソーム形成用混合液での濃
度は、特に限定されるものではないが、好ましくは3〜
100mM、より好ましくは10〜30mMとすること
が望ましい。
【0018】アルカリ金属塩水溶液に用いるアルカリ金
属塩には、カリウム、ルビジウム及びナトリウムの塩が
好ましく用いられ、リチウム塩は好ましくない。アルカ
リ金属塩の濃度は、塩の種類により異なるが、リポソー
ムの形成に必要な十分なアルカリ金属イオン濃度が得ら
れるように設定され、用いるアルカリ金属塩の種類に応
じて適宜調節される。例えば、塩化カリウムを用いた場
合には、2M以上、4M以下が好ましい。また、塩化ル
ビジウムの場合は2M以上6M以下、塩化ナトリウムの
場合は2M以上4M以下が好ましい。
【0019】なお、リポソーム形成用混合液には、所望
に応じて種々の物質をリポソームの形成を損なわない範
囲内で添加することができる。例えば、リポソームの膜
中または内腔中に含有させてその機能を利用する物質;
各種金属イオン;コレステロール、コレスタノールなど
のステロール類等の膜安定化剤;ステアリルアミン、ホ
スファチジン酸、ジセチルホスフェート等の荷電物質;
トコフェロール等の酸化防止剤等を挙げることができ
る。リポソームの脂質膜中にまたはその内腔中に含有さ
せてその機能を利用する物質としては、抗細菌性化合物
類、抗ウイルス性化合物類、抗真菌性化合物類、抗寄生
体化合物類、抗腫瘍性化合物類、ビタミン類、膜蛋白
質、酵素等の各種蛋白質、ホルモン類、放射線標識物
質、蛍光化合物類、多糖類、核酸類等を挙げることがで
きる。これらの添加物の含有量は、その使用目的に応じ
て決定される。膜安定化剤、荷電物質、酸化防止剤につ
いては、例えばリポソーム形成用材料1重量部に対し、
ステロール類を0〜2重量部、荷電物質を0〜0.5重
量部、酸化防止剤を0〜0.2重量部とするのが好まし
い。
【0020】これらの中で、プロテオリポソームを形成
し得る蛋白質はリポソームの融合を促進する作用があ
り、その機能を利用しない場合でも、リポソーム融合促
進剤として使用することができる。このプロテオリポソ
ームを形成し得る蛋白質としては、紫膜、膜結合型AT
P分解酵素等の「膜蛋白質」と呼ばれている蛋白質や、
膜蛋白質以外でも、表面の一部に疎水性部分を有し脂質
膜と結合し得る蛋白質等が利用できる。蛋白質をリポソ
ーム融合促進剤として使用する場合の添加量は、0.5
〜20mM、好ましくは1〜10mMとするのがよい。
なお、膜蛋白質を利用する場合、これは純粋な形に精製
されている必要はなく、例えば脂質膜断片が付着した状
態のものなどでも利用可能である。
【0021】一方、リポソーム形成用混合液のpHは、
リポソームの形成に悪影響を及ぼさない範囲内でリポソ
ームの組成及びその用途などに応じて選択されるが、例
えば、好ましくは3以上、より好ましくは4以上とされ
る。また、機能性物質を添加する場合には機能性物質の
変成や破壊を生じないpHが選択される。蛋白質を添加
する場合にも、pHは、例えば、好ましくは3以上、よ
り好ましくは4以上とされる。なお、本発明の方法によ
れば、中性及びその付近においても巨大リポソームの良
好な形成が可能であり、中性付近で行なわれる生体内や
生体外での各種生化学的反応に用いる種々の物質のリポ
ソームを介した利用が可能となる。
【0022】凍結融解工程(a)における凍結工程は、
例えば液体窒素やアセトン−ドライアイスを用いて行う
ことができる。また、融解工程は、例えば5〜40℃の
範囲、通常は室温に静置しながら、あるいは振盪しなが
ら行うことができる。なお、凍結融解工程は、凍結工程
と融解工程をこの順に1回行なって、あるいは2回以上
繰り返して実施することができるが、通常は3回以上繰
り返すのが好ましく、6回程度まで行なえば十分であ
る。更に、凍結融解のあとに、融解液をボルテックスミ
キサー等を用いた攪拌処理を行っても良い。
【0023】凍結融解工程(a)において凍結物の融解
によって得られた融解液は、つぎに透析工程(b)にお
いて、透析溶媒に対して透析処理される。この透析によ
って例えば直径数十μmのGUVを得ることができる。
透析溶媒としては、リポソーム形成用混合液よりも低い
塩濃度の水溶液や緩衝液が用いられる。この透析用溶媒
の塩濃度は、例えば80mM以下、好ましくは50mM
以下、より好ましくは10mM以下とされる。この透析
用溶媒のpHは、リポソーム形成用混合液と同様に、リ
ポソームの形成に悪影響を及ぼさない範囲内でリポソー
ムの組成及びその用途などに応じて選択されるが、例え
ば、好ましくは3以上、より好ましくは4以上とされ
る。なお、透析はリポソーム形成用混合液の塩濃度が透
析用溶媒の塩濃度と同程度になった時に終了する。通常
は、リポソーム形成用混合液に対し2000〜6000
倍の透析用溶媒量を用いて2日間行う。
【0024】最後に、成熟工程(c)において、透析終
了後の液を0〜40℃、好ましくは5〜20℃の範囲内
の一定温度に保持し、該液に含まれているリポソームを
融合させて巨大リポソームを得る。なお、この温度範囲
とすることによってリポソームが分散している液媒体の
主成分である水を凝固させることなく、また脂質膜の形
態を破壊することなく良好なリポソームの融合を行なわ
せることができる。また、この成熟工程は、静置状態で
も、振盪状態でも行なうことができる。この成熟工程は
所望の径がリポソームに得られたところで終了し、所望
の用途に用いる。
【0025】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。 実施例1 20mMのアゾレクチン(大豆フォスファチジルコリ
ン、type IV-S: Sigma社)のクロロホルム溶液0.5m
lをナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレータを
用いて溶媒を留去した後、デシケータに入れ真空ポンプ
を用いて溶媒を完全に除いて脂質薄膜を作製した。次い
で、3Mの塩化カリウム水溶液(pH5.6)1ミリリ
ットルを加えボルテックスミキサーにて2分間処理して
脂質薄膜を分散させた後、水浴型超音波発振装置(ソニ
ファイアーB−15型、ホップホーン使用:Branson 社
製)で30分処理してリポソーム分散液を得た。このリ
ポソーム分散液を、液体窒素で凍結、20℃にて融解、
ボルテックスミキサー処理30秒という操作を3回繰り
返した。この後、前記処理液を透析チューブに移し、1
0mM塩化カリウム水溶液4リットルに対して2日間透
析を行ない、GUVを調製した。透析処理後の液体(透
析チューブ内液)からサンプリングしたGUVの位相差
光学顕微鏡観察による最大粒径は33μm、平均粒径は
13.9μm、標準偏差5.74μm(サンプル数25
0)であった。
【0026】一方、透析チューブ内液を容器に移し、5
℃に20日間保持してGUVを熟成させた。成熟したG
UVの位相差光学顕微鏡観察による最大粒径は48μ
m、平均粒径は15.1μm、標準偏差6.87μm
(サンプル数250)となった。これらの結果の比較か
ら明らかなように、GUVの粒径は時間経過とともに増
大し、直径数十μmの巨大リポソームを多量に調製する
ことができた。
【0027】実施例2 実施例1と同様にして凍結融解透析法により、位相差光
学顕微鏡観察による最大粒径が33μm、平均粒径が1
3.9μm、標準偏差5.74μm(サンプル数25
0)のGUVの分散液(透析チューブ内液)を調製し
た。次に、この分散液を15℃に30日間保持しGUV
を熟成させた。成熟したGUVの位相差光学顕微鏡観察
による最大粒径は118μm、平均粒径は31.2μ
m、標準偏差9.27μm(サンプル数250)であっ
た。
【0028】実施例3 20mMのアゾレクチン(大豆フォスファチジルコリ
ン、type IV-S: Sigma社)のクロロホルム溶液0.5m
lをナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレータを
用いて溶媒を留去した後、デシケータに入れ真空ポンプ
を用いて溶媒を完全に除いて脂質薄膜を作製した。次い
で、3Mの塩化カリウム水溶液(pH5.6)1ミリリ
ットルを加えボルテックスミキサーにて2分間処理して
脂質薄膜を分散させた後、水浴型超音波発振装置(ソニ
ファイアーB−15型、ホップホーン使用:Branson 社
製)で30分処理してリポソーム分散液を得た。
【0029】次に、P. Oesterhelt および W. Stoecken
ius の方法(Method. Enzymol., 31, (1974), 667-678
)によって、高度好塩菌 Halobacterium halobium RJ
株から抽出した紫膜を、K. Huang の方法(Proc. Na
tl. Acad.Sci., USA, 77, (1980) , 323 )にしたがっ
て界面活性剤Triton X-100(和光純薬工業社製)で処理
し、紫膜を脱脂した状態の膜蛋白質バクテリロドプシン
(bRと略す)を得た。このbRの120μgを先に得
たリポソーム分散液に加えて、これに液体窒素で凍結、
20℃にて融解、ボルテックスミキサー処理30秒とい
う操作を3回繰り返した。この後、前記処理液を透析チ
ューブに移し、10mM塩化カリウム水溶液4リットル
に対して2日間透析を行ない、バクテリオロドプシン巨
大プロテオリポソーム(bR−GUVと略す)を調製し
た。透析後の透析チューブ内からサンプリングしたbR
−GUVの位相差光学顕微鏡観察による最大粒径は30
μm、平均粒径は14.4μm、標準偏差5.49μm
(サンプル数250)であり、その粒径分布は図1に示
すとおりであった。
【0030】透析チューブ内液を容器に移し、これを5
℃に15日間保持し、bR−GUVを熟成させた。成熟
したbR−GUVの位相差光学顕微鏡観察による最大粒
径は70μm、平均粒径は24.0μm、標準偏差1
2.96μm(サンプル数250)となり、その粒径分
布は図1に示すとおりであった。以上の結果の比較から
明らかなように、bR−GUVの粒径は時間経過ととも
に増大し、上記の条件で直径が2倍以上となっ巨大なプ
ロテオリポソームを多量に調製することができた。
【0031】次に、凍結融解透析法により調製した直後
のbR−GUV(平均粒径14.4μm)と、5℃にて
15日間熟成させた後のbR−GUV(平均粒径24.
0μm)とを、光照射によるプロトンポンプ能について
比較した。bRは光が照射されることによって、膜を横
切ってプロトンを輸送する働きを持つことが知られてい
る。そこで、上述の透析処理直後と成熟させた後の2種
のR−GUV分散液をそれぞれ同量とり、10mM塩化
カリウム水溶液で100倍希釈した後、これらにバンド
パスフィルター(多層膜フィルター、朝日分光社製、中
心波長555nm、半値幅30nm)を通したハロゲン
光源(TECHNO LIGHT, KLS-2150: kenko社製)を照射
し、bR−GUV分散液の外液pHを変化測定によるプ
ロトンポンプ能を測定した。その測定結果を図2、図3
に示す。図示した結果の比較から明らかなように、bR
−GUVを熟成して巨大化したことにより、bR−GU
Vのプロトンポンプ能が増大した。
【0032】実施例4 実施例3と同様にして凍結融解透析法により、位相差光
学顕微鏡観察による最大粒径が30μm、平均粒径が1
4.4μm、標準偏差5.49μm(サンプル数25
0)のbR−GUVの分散液(透析チューブ内液)を調
製した。次に、このbR−GUV分散液を10℃に20
日間保持しbR−GUVを熟成させたところ、位相差光
学顕微鏡観察による最大粒径が185μm、平均粒径が
53.0μm、標準偏差14.29μm(サンプル数2
50)のbR−GUVが得られた。 実施例5 実施例3と同様にして脂質薄膜を形成した後、3Mの塩
化ルビジウム(pH5.7)を加え、実施例1と同様に
超音波処理してリポソーム分散液を得た。次ぎに、The
Journal of BIOLOGICALCH EMISTRY Vol. 250, No.19, p
7910-7916 、および p7917-7923 (1975)に準じて好熱性
細菌であるPS3の培養ならびにATP分解酵素の抽
出、精製を行ない、ATP分解酵素TF01 を調製し
た。前記リポソーム分散液に、TF01 150μgを
加えて液体窒素で凍結、20℃にて融解、ボルテックス
ミキサー処理30秒という操作を3回繰り返した。この
後、前記処理液を透析チューブに移し、50mM塩化ル
ビジウム水溶液4リットルに対して2日間透析を行な
い、TF01 巨大プロテオリポソーム(TF01
GUVと略す)を調製した。透析処理後の透析チューブ
内液からサンプリングしたTF01 −GUVの位相差
光学顕微鏡観察による最大粒径は17μm、平均粒径は
8.4μm、標準偏差3.48μm(サンプル数25
0)であった。上記の透析チューブ内液を容器に移し、
更に15℃に15日間保持し、TF01 −GUVを熟
成させたところ、TF01 −GUVの位相差光学顕微
鏡観察による最大粒径は47μm、平均粒径は13.2
μm、標準偏差5.43μm(サンプル数250)とな
った。
【0033】
【発明の効果】本発明により、直径数十μmから数百μ
mの巨大リポソームを、簡便な工程、かつ緩和な条件下
で多量に調製することができる。また、本発明によれ
ば、所望の機能を損なうことなく巨大リポソームの調製
が可能であり、更に、中性あるいはその付近のpHでも
良好な巨大リポソームの調製が可能となり、生体内反応
や生化学反応のための各種物質の巨大リポソームを介し
た利用や研究を効率良く、また効果的に行なうことがで
き、リポソームの用途の拡大が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で透析処理直後に得たバクテリオロト
゛プシン−プロテオリポソーム(平均粒径14.4μ
m)と、成熟させたバクテリオロト゛プシン−プロテオ
リポソーム(平均粒径24.0μm)の粒径分布を比較
した図である。
【図2】実施例3で透析処理直後に得たバクテリオロト
゛プシン−プロテオリポソーム(平均粒径14.4μ
m)の分散液の光照射を行なった場合の経時的なpHの
変化を示す図である。
【図3】実施例3で成熟させたバクテリオロト゛プシン
−プロテオリポソーム(平均粒径24.0μm)の分散
液の光照射を行なった場合の経時的なpHの変化を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 正浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山本 伸子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属塩水溶液を主体とし、脂質
    を含むリポソーム形成用混合液の凍結、融解を行なう凍
    結融解工程と、該凍結融解工程により得られた融解液を
    前記リポソーム形成用混合液よりも低い塩濃度の水溶液
    または緩衝液からなる透析用溶媒に対して透析する透析
    工程と、該透析工程後の混合液を0℃〜40℃の範囲の
    一定温度条件下に保持する成熟工程とを有することを特
    徴とする巨大リポソームの調製方法。
  2. 【請求項2】 前記該透析工程後の混合液の保持温度
    が、5℃から20℃の範囲である請求項1に記載の巨大
    リポソームの調製方法。
  3. 【請求項3】 前記透析用溶媒の塩濃度が80mM以下
    である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方法。
  4. 【請求項4】 前記透析用溶媒の塩濃度が50mM以下
    である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方法。
  5. 【請求項5】 前記透析用溶媒の塩濃度が10mM以下
    である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方法。
  6. 【請求項6】 前記リポソーム形成用混合液のpHが3
    以上である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方
    法。
  7. 【請求項7】 前記リポソーム形成用混合液のpHが4
    以上である請求項1に記載の巨大リポソームの調製方
    法。
  8. 【請求項8】 リポソーム形成用混合液が更にプロテオ
    リポソームを形成し得る蛋白質を含む請求項1〜7のい
    ずれかに記載のの巨大リポソームの調製方法。
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Cited By (4)

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