JP3087902B2 - 情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

情報記録媒体及びその製造方法

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JP3087902B2
JP3087902B2 JP02252240A JP25224090A JP3087902B2 JP 3087902 B2 JP3087902 B2 JP 3087902B2 JP 02252240 A JP02252240 A JP 02252240A JP 25224090 A JP25224090 A JP 25224090A JP 3087902 B2 JP3087902 B2 JP 3087902B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は、レーザ光による情報の記録及び/又は再生
が可能な情報記録媒体、及びその製造方法に関するもの
である。
[発明の技術的背景] 近年において、レーザ光等の高エネルギー密度のビー
ムを用いる情報記録媒体が開発され、実用化されてい
る。この情報記録媒体は光ディスクと称され、ビデオ・
ディスク、オーディオ・ディスク、さらには大容量静止
画像ファイルおよび大容量コンピュータ用ディスク・メ
モリーとして使用され得るものである。
情報の書き込み(記録)が可能なDRAW(Direct Read
After Write)型の情報記録媒体が開発され一部実用化
されている。このようなDRAW型の情報記録媒体(光ディ
スク)は、基本構造として、プラスチック、ガラス等か
らなる円盤状の透明基板と、この上に設けられたBi、S
n、In、Te等の金属または半金属からなる記録層又は色
素からなる記録層とを有する。光ディスクへの情報の記
録は、例えば、レーザビームを光ディスクに照射するこ
とにより行なわれ、記録層の照射部分がその光を吸収し
て局所的に温度上昇する結果、ピット形成等の物理的変
化あるいは相変化等の化学的変化を生じてその光学的特
性を変えることにより情報が記録される。光ディスクか
らの情報の読み取り(再生)もまた、レーザビームを光
ディスクに照射することなどにより行なわれ、記録層の
光学的特性の変化に応じた反射光または透過光を検出す
ることにより情報が再生される。
上記光ディスクへの情報の記録及び再生のためのレー
ザビームの照射は、通常ディスク表面の所定の位置に行
われる。レーザビームを案内して照射予定位置に正確に
たどる(一般にトラッキングと呼ばれる)ようにするた
め、凹溝のトラッキングガイド(プリグルーブ)が基板
の表面に設けられることが一般的である。
ところで、色素を含む記録層は、一般にプリグルーブ
が形成された基板上に色素を含む溶液を塗布し乾燥する
ことによって形成されているが、その場合、グルーブ底
部の色素記録層膜厚はランド部の色素記録層膜厚よりも
厚くなる。そのため、基板のプリグルーブ溝の形状を反
映して形成された色素記録層の表面の溝の深さは、基板
のプリグルーブ溝の深さよりも浅くなり、記録層に情報
を記録してプリグルーブに記録ピットを形成させたと
き、色素記録層の表面の溝の上部(基板のランド部を反
映した部分)と溝の底部との位相差が小さくなるため
に、記録ピットの変調度が小さくなるという問題点があ
る。
そのために、基板のプリグルーブの深さを大きくして
色素記録層の表面に形成される溝の深さを相対的に深く
することによって記録ピットの変調度を大きくすること
が考えられるが、その場合は一般に反射率が低下する傾
向にある。
基板のグルーブ底部の色素記録層膜厚とランド部の色
素記録層膜厚とがほぼ同じになると、基板のプリグルー
ブの深さを小さくすることができ、これらの問題点を同
時に解決した変調度及び反射率が共に大きい情報記録媒
体になる。
また、基板上に予めピットが形成されたROM領域と、
レーザ光の照射によりデータ再生用のピットが形成され
る記録可能領域とを有する情報記録媒体が提案されてい
る(特開平2−42652号公報参照)。この情報記録媒体
においては、色素からなるレーザ吸収層が記録可能領域
にのみ設けられ、プリピットが形成されたROM領域には
色素からなるレーザ吸収層は設けられていない。その理
由は、プリピットが形成された領域に色素からなるレー
ザ吸収層を設けると、プリピット信号の変調度が小さく
なりROM領域の情報を実用的に再生することができなく
なるためである。
即ち、色素からなるレーザ吸収層は一般に色素の溶液
を塗布し乾燥することによって形成されるものであり、
プリピット形成領域に色素溶液を塗布すると、前記のプ
リグルーブ形成領域への色素溶液の塗布の場合と同様
に、ピット部(穴部)のレーザ吸収層の膜厚がピット間
部(ピットとピットとの間の部分で、前記ランド部に相
当する)のレーザ吸収層の膜厚よりも大きくなり、その
ために、基板のピット部の形状を反映して形成されたレ
ーザ吸収層の表面の穴の深さは、基板のピットの深さよ
りも浅くなり、ピット部とピット間部との位相差が小さ
くなるために、プリピットの変調度が小さくなるのであ
る。
しかしながら、特開平2−42652号公報に記載されて
いるような、プリピット部(ROM領域)に色素層を設け
ず、記録可能領域にのみ色素層を設けた情報記録媒体に
おいては、色素層が設けられた部分と色素層が設けられ
ていない部分との境界部において、境界を再現性よく形
成することが困難であるとか、色素層のエッジ部で膜厚
が不均一になり易いとかの問題があり、円環状の色素層
の偏心が生じ易いなどの問題がある。更に、実際上、RO
M領域とその外周側の記録可能領域との二つの領域に分
かれた情報記録媒体しか製造することができず、ROM領
域の内周側にも追加して記録可能領域を設けたり、ROM
領域と記録可能領域を混在させて設けたりすることが極
めて困難であり、ROM領域へ予め記録しておくアプリケ
ーションソフトやその利用方法などが制限され、実用上
不便であるという問題点もある。
基板のプリピット部の色素層膜厚とピット間部の色素
層膜厚とがほぼ同じになると、プリピットの位相差が大
きくなり従ってプリピットの変調度の大きい情報記録媒
体になる。
プリピット部に色素からなるレーザ光吸収層を形成し
てもプリピットの変調度が大きいと、プリピット形成領
域(ROM領域)及びプリグルーブ形成領域(記録可能領
域)の両方に、色素を含む光吸収層を形成することが可
能になり、上記のような問題点が解消される。
[発明の目的] 本発明は、レーザ光を照射して情報を記録した後、変
調度の高い再生信号を得ることができ、トラッキング特
性が良好な情報記録媒体を提供することを目的とする。
また、本発明は、プリピットが形成された領域にも色
素を含む光吸収層が形成されており、しかもプリピット
が形成された領域から変調度の高い再生信号を得ること
ができる情報記録媒体を提供することを目的とする。
更に、本発明は、上記のような優れた特長を有する情
報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
[発明の要旨] 本発明は、プリピット及びプリグリーブが形成された
円盤状の基板上に、レーザ光を照射してピットを形成す
ることにより情報の記録が可能な色素を含む光吸収層が
設けられ、該光吸収層上に金属反射層が設けられていな
い情報記録媒体であって、該プリピットが0.2〜1.4μm
の範囲内の半値幅と、60〜300nmの範囲内にあって、該
プリグルーブの深さよりも、光路長で表わしてλ/16
(但し、λは再生用レーザ光の波長)以上深い深さを有
し、かつ、該プリピット部の光吸収層の光学的膜厚とプ
リピット間部の光吸収層の光学的膜厚との差がλ/8(但
し、λは再生用レーザ光の波長)以下であり、該プリグ
ルーブ底部の光吸収層の光学的膜厚とプリグルーブ間の
ランド部の光吸収層との光学的膜厚との差がλ/8(但
し、λは再生用レーザ光の波長)以下であることを特徴
とする情報記録媒体にある。
本発明はまた、プリグルーブ及び0.2〜1.4μmの範囲
内の半値幅と、60〜300nmの範囲内にあって、該プリグ
ルーブの深さよりも、光路長で表わしてλ/16(但し、
λは再生用レーザ光の波長)以上深い深さを有するプリ
ピットが形成された円盤状の基板上野該プリグルーブ及
び該プリピットが形成された部分を含む領域に、色素を
溶剤に溶解して調製した色素溶液であって、該色素溶液
の塗布温度において該色素溶液から該溶剤を蒸発させる
ことにより色素の析出が始まったときの色素懸濁溶液の
体積の、該色素溶液の元の体積に対する比率として定義
される濃縮限界が99〜50%である色素溶液を、スピンコ
ート法により塗布し、乾燥することによって、該プリピ
ット部の光吸収層の光学的膜厚とプリピット間部の光吸
収層の光学的膜厚との差がλ/8(但し、λは再生用レー
ザ光の波長)以下であり、該プリグルーブ底部の光吸収
層の光学的膜厚とプリグルーブ間のランド部の光吸収層
との光学的膜厚との差がλ/8(但し、λは再生用レーザ
光の波長)以下である光吸収層を形成することを特徴と
する情報記録媒体の製造方法にもある。
上記本発明の情報記録媒体の好ましい態様は以下の通
りである。
1)上記グルーブ底部の光吸収層の光学的膜厚とランド
部の光吸収層の光学的膜厚との差がλ/16(但し、λは
再生用レーザ光の波長)以下であることを特徴とする上
記情報記録媒体。
2)上記ピット部の光吸収層の光学的膜厚とピット間部
の光吸収間の光学的膜厚との差がλ/16(但し、λは再
生用レーザ光の波長)以下であることを特徴とする上記
情報記録媒体。
3)上記光吸収層の、上記ランド部及び上記ピット間部
の膜厚が、40〜400nmであることを特徴とする上記情報
記録媒体。
4)上記プリグルーブが0.2〜1.4μmの半値幅と、5〜
80nmの深さを有することを特徴とする上記情報記録媒
体。
5)ミラー部(=プリピット間の領域で、信号が記録さ
れていない部分)の反射率に対するグルーブ底部の反射
率の比率が、70%以上であることを特徴とする上記情報
記録媒体。
6)上記光吸収層の上に、更に保護層が形成されている
ことを特徴とする上記情報記録媒体。
上記本発明の情報記録媒体の製造方法の好ましい態様
は以下の通りである。
1)上記グルーブ底部の光吸収層の光学的膜厚とランド
部の光吸収層の光学的膜厚との差がλ/16(但し、λは
再生用レーザ光の波長)以下であることを特徴とする上
記情報記録媒体の製造方法。
2)上記ピット部の光吸収層の光学的膜厚とピット間部
の光吸収層の光学的膜厚との差がλ/16(但し、λは再
生用レーザ光の波長)以下であることを特徴とする上記
情報記録媒体の製造方法。
3)上記光吸収層の、上記ランド部及び上記ピット間部
の膜厚が、40〜400nmであることを特徴とする上記情報
記録媒体の製造方法。
4)上記プリグルーブが0.2〜1.4μmの半値幅と、5〜
80nmの深さを有することを特徴とする上記情報記録媒体
の製造方法。
5)上記色素溶液の濃縮限界が、90〜50%であることを
特徴とする上記情報記録媒体の製造方法。
6)上記溶剤が単一の溶剤であることを特徴とする上記
情報記録媒体の製造方法。
7)上記溶剤が、使用する色素の良溶剤(好ましくは、
色素溶液の塗布温度において使用する色素を2重量%以
上溶解し得る溶剤)と、該良溶剤と相溶性である使用す
る色素の貧溶剤(好ましくは、色素溶液の塗布温度にお
いて使用する色素を2重量%以上溶解しない溶剤)との
混合物であることを特徴とする上記情報記録媒体の製造
方法。
8)上記色素溶液中の上記色素の濃度が0.5〜15重量%
であることを特徴とする上記情報記録媒体の製造方法。
9)上記色素溶液を、0〜100℃の温度で、300〜10,000
r.p.m.の上記基板の回転数で乾燥することを特徴とする
上記情報記録媒体の製造方法。
10)ミラー部の反射率に対するプリグルーブ部の反射率
の比率が、70%以上である情報記録媒体を製造すること
を特徴とする上記情報記録媒体の製造方法。
11)上記光吸収層の上に、更に保護層を形成させること
を特徴とする上記情報記録媒体の製造方法。
[発明の効果] 本発明の情報記録媒体は、色素を含む光吸収層の光学
的膜厚が、グルーブ底部とランド部とで差が少ないの
で、プリグルーブの深さを浅くしても光吸収層の表面の
溝の深さが十分大きく、感度が高く、レーザ光を照射し
て情報を記録した後、変調度の高い再生信号を得ること
ができ、トラッキング特性が良好であるという顕著に優
れた情報記録媒体である。
また、本発明の情報記録媒体は、プリピットが形成さ
れた領域にも色素を含む光吸収層が形成されており、し
かもプリピットが形成された領域から変調度の高い再生
信号を得ることができるので、上記光吸収層の膜厚を情
報記録媒体の全面に亙って均一にすることができ、プリ
ピットが形成されたROM領域と、プリグルーブが形成さ
れた記録可能領域とを、例えば両領域を混在させるなど
任意の場所に設けることが可能であり、アプリケーショ
ンソフトの種類や利用方法に制限がなく広範囲の用途に
使用できるという顕著に優れた情報記録媒体である。
更に、本発明の情報記録媒体の製造方法は、溶剤の種
類及び色素の濃度を制御して調製した特定の性質を有す
る光吸収層形成用塗布液を使用する他は従来採用されて
いる手段を使用して、上記のような優れた特長を有する
情報記録媒体を容易に製造することができるという顕著
に優れた効果を奏する情報記録媒体の製造方法である。
[発明の詳細な記述] 本発明の情報記録媒体は、プレピットとプリグルーブ
とを有する基板上に、色素を含む光吸収層設けられた基
本構成を有する。
本発明における円盤状の基板の材料としては、従来の
情報記録媒体の基板として用いられている各種の材料か
ら任意に選択することができる。基板の光学的特性、平
面性、加工性、取扱い性、経時安定性および製造コスト
などの点から、基板材料の例としては、ガラス、ポリメ
チルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニ
ル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキ
シ樹脂;ポリカーボネート樹脂;アモルファスポリオレ
フィンおよびポリエステルを挙げることができる。好ま
しくは、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ガラスお
よびポリメチルメタクリレートを挙げることができる。
光吸収層が設けられる側の基板表面には、平面性の改
善、接着力の向上、基板の耐溶剤性の改善および記録層
の変質の防止の目的で、下塗層が設けられもよい。下塗
層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、
アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マ
レイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロ
ールアクリルアミド、スチレン・スルホン酸共重合体、
スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化
ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩
素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸
ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共
重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、エポキシ樹脂等の高分子物質;シランカップリン
グ剤、チタネート系カップリング剤などの有機物質;お
よび無機誘電体(SiO2、ZnS、AlN、Si3N4等)、無機フ
ッ化物(MgF2)などの無機物質を挙げることができる。
下塗層は、例えば上記物質を適当な溶剤に溶解または
分散して塗布液を調製したのち、この塗布液をスピンコ
ート、ディップコート、エクストルージョンコートなど
の塗布法により基板表面に塗布することにより形成する
ことができる。下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの
範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
本発明においては、上記基板表面(または下塗層表
面)に、記録又は再生時のトラッキングを良好に行なう
ために、プリグルーブ(トラッキング用溝)が形成され
ている。プリグルーブの形状は、グルーブの深さ(添付
する第1図のd1)が5〜80nmの範囲にあり且つグルーブ
の半値幅(グルーブの深さの1/2の深さにおけるグルー
ブの幅)が0.2〜1.4μmであるものが好ましく、グルー
ブの深さが15〜60nmの範囲にあり且つグルーブの半値幅
が0.3〜0.7μmであるものが更に好ましく、グルーブの
深さが20〜50nmの範囲にあり且つグルーブの半値幅が0.
35〜0.6μmであるものが最も好ましい。アドレッシン
グ、或は線速制御用にグルーブをウォブリングさせても
良い。
本発明においては、更に、上記基板表面(または下塗
層表面)に、種々のアプリケーションソフト、アドレス
信号などの情報を予め記録したプリピット(ROM領域)
が形成されている。プリピットの形状は、ピットの深さ
(添付する第2図のd2)が60〜300nmの範囲にあり且つ
ピットの半値幅(ピットの深さの1/2の深さにおけるピ
ットの幅)が0.2〜1.4μmであるものが好ましく、ピッ
トの深さが70〜250nmの範囲にあり且つピットの半値幅
が0.3〜1.0μmであるものが更に好ましく、ピットの深
さが90〜200nmの範囲にあり且つピットの半値幅が0.4〜
0.7μmであるものが最も好ましい。
また、プリグルーブの深さは、プリピットの深さより
も光路長で表わしてλ/16(但し、λは再生用レーザ光
の波長であって、以下の記載において同じである)以上
短いことが好ましく、λ/14以上短いことが更に好まし
く、λ/12以上短いことが特に好ましい。その理由は、
プリグルーブの深さを、変調度が十分大きくなるプリピ
ットの深さと同じように大きくすると、プリグルーブの
反射率が低くなり過ぎるからである。
基板材料がプラスチックの場合は、射出成形あるいは
押出成形などにより基板表面に上記プリグルーブとプリ
ピットとを直接設けてもよい。また、基板の表面上に、
上記プリグルーブとプリピットとを形成するためのプリ
グルーブ層を設けてもよい。
プリグルーブ層の材料としては、アクリル酸のモノエ
ステル、ジエステル、トリエステルおよびテトラエステ
ルのうちの少なくとも一種のモノマー(またはオリゴマ
ー)と光重合開始剤との混合物を用いることができる。
プリグルーブ層の形成は、まず精密に作られた母型
(スタンパー)上に上記のアクリル酸エステルおよび重
合開始剤からなる混合液を塗布し、さらにこの塗布液層
上に基板を載せたのち、基板または母型を介して紫外線
の照射により液層を硬化させて基板と液相とを固着させ
る。次いで、基板を母型から剥離することによりプリグ
ルーブ層の設けられた基板が得られる。プリグルーブ層
の層厚は一般に0.1〜100μmの範囲にあり、好ましくは
0.1〜50μmの範囲である。
プリグルーブ及びプリピットを形成した基板(または
プリグルーブ層)上に、前記下塗層を形成する材料と同
様の材料を使用して、光吸収層を形成するための塗布液
中の溶剤から保護するための耐溶剤層を設けてもよい。
基板(または下塗層)上には、色素を含む光吸収層が
設けられている。基板側からレーザ光を照射して光吸収
層に再生用のピットを形成することにより、光吸収層に
情報を記録する。従って、基板のプリグルーブが形成さ
れた領域の光吸収層は、記録層として機能する。
本発明に使用される色素は特に限定されるものではな
く、どのようなものでも良い。例えば、シアニン系色
素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、
ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウ
ム系色素、スクワリリウム系色素、Ni,Crなどの金属錯
塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色
素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、
トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、
アミニウム系色素、ジインモニウム系色素、ニトロソ系
色素、ロイコ系色素、クロコニウム系色素、等々の色素
を挙げることができる。
これらの色素は、ライト・ワンス(WO)型に限らず、
リライタブル(RW)型(又は可塑型)のものであっても
よい。
これらの色素のうちでも記録再生用レーザーとして近
赤外光を発振する半導体レーザーの利用が実用化されて
いる点から、700〜900nmの近赤外領域の光に対する吸収
率が高い色素が好ましい。
特に、シアニン系色素、アズレニウム系色素及びスク
ワリリウム系色素が好ましく、シアニン系色素の中で
も、ナフトインドレニン系色素及びイミダゾキノキサリ
ン系色素が好ましい。
これらの色素は単独でもあるいは二種以上の混合物と
して用いてもよい。また、シアニン系色素を用いる場合
に、上記金属錯塩系色素またはアミニウム系色素又はジ
インモニウム系色素をクエンチャーとして一緒に用いる
ことが好ましい。その場合、クエンチャーとして金属錯
塩系色素などを全色素1モルに対して0.001〜0.3モルの
割合で含むことが好ましい。
本発明の情報記録媒体においては、光吸収層のグルー
ブ底部の光学的膜厚とランド部の光学的膜厚との差が、
λ/8以下であることを特徴とする。また、本発明の情報
記録媒体は基板上に更にプリピットを有している、光吸
収層のピット部の光学的膜厚とピット間部の光学的膜厚
との差が、λ/8以下であることを特徴とする。
本発明の情報記録媒体における光吸収層の光学的膜厚
について、添付する図面を参照して詳細に説明する。
第1図は、本発明の情報記録媒体の一実施例の、プリ
グルーブ領域における断面の一部を模式的に示す断面図
である。第2図は、本発明の情報記録媒体の一実施例
の、プリピット領域における断面の一部を模式的に示す
断面図である。第3図は、従来公知の情報記録媒体の、
プリグルーブ領域における断面の一部を模式的に示す断
面図である。
第3図において、プラスチックからなる基板31の表面
に色素からなる光吸収層32が形成されている。基板31に
は、プリグルーブ33が形成されている。光吸収層32は色
素をその溶剤に溶解して調製した光吸収層形成用溶液を
スピンコート法により塗布し乾燥することによって形成
されたものである。プリグルーブ33のグルーブ底部35の
光吸収層32の膜厚t6は、基板31のランド部34の光吸収層
32の膜厚t5よりも大きくなっている。その結果、光吸収
層32の空気と接触する外表面における溝形状の深さがグ
ルーブ34の深さd3よりも小さくなり、情報を記録するた
めにレーザ光を照射してプリグルーブ33に記録ピットを
形成したとき、光吸収層32の溝の上部(基板のランド部
に対応する部分)と底部との位相差が小さくなるため
に、記録ピットの変調度が小さくなるという問題があっ
た。この問題を解消するために、グルーブの深さを大き
くしている。しかし、グルーブの深さを大きくし過ぎる
とグルーブ部の反射率が低下するという問題が生じる。
第1図において、プラスチックからなる基板11の表面
に色素からなる光吸収層12が形成されている。基板11に
は、プリグルーブ13が形成されている。光吸収層12は色
素を溶剤に溶解して調製した前記のように特定の性状を
有する光吸収層形成用溶液を、スピンコート法により塗
布し乾燥することによって形成されたものである。プリ
グルーブ13のグルーブ底部15の光吸収層12の光学的膜厚
(nr・t2)(但し、nrは光吸収層の屈折率であり、t2
グルーブ底部15の光吸収層12の膜厚である)と、基板11
のランド部14の光吸収層12の光学的膜厚(nr・t1)(但
し、nrは光吸収層の屈折率であり、t1はランド部14の光
吸収層12の膜厚である)との差は、λ/8以下であるよう
に形成されている。その結果、光吸収層12の空気と接触
する外表面における溝形状の深さはグルーブ13の深さd1
と同じか又は光学的膜厚でλ/8以下ほど小さくなってお
り、光吸収層12のグルーブ部とランド部とで位相差が大
きく記録ピットの変調度が大きいのもである。更にnr
t1とnr・t2との差を上記のようにすることにより、グル
ーブ13の深さd1を小さくすることが可能となりグルーブ
部の反射率が大きくなる。
上記のnr・t1とnr・t2との差は、λ/11以下であるこ
とが好ましく、λ/13以下であることが更に好ましく、
λ/16以下であることがより一層好ましい。
また、ミラー部の反射率に対するグルーブ底部の反射
率の比率が、70%以上、特に80%以上、更に特に90%以
上にすることが好ましい。ミラー部の反射率に対するグ
ルーブ底部の反射率の比率を増大させるためには、グル
ーブ部の光路長とランド部の光路長との差を小さくすれ
ばよい。
第2図において、プラスチックからなる基板21の表面
に色素からなる光吸収層22が形成されている。基板21に
は、プリピット23が形成されている。光吸収層22は色素
を溶剤に溶解して調製した前記のように特定の性状を有
する光吸収層形成用溶液を、スピンコート法により塗布
し乾燥することによって形成されたものである。プリピ
ット23のピット部25の光吸収層22の光学的膜厚(nr
t4)(但し、nrは光吸収層の屈折率であり、t4はピット
部25の光吸収層22の膜厚である)と、基板21のピット間
部24の光吸収層22の光学的膜厚(nr・t3)(但し、nr
光吸収層の屈折率であり、t3はピット間部24の光吸収層
22の膜厚である)との差は、λ/8以下であるように形成
されている。その結果、光吸収層22の空気と接触する外
表面における穴形状の深さはピット24の深さd2と同じか
又は光学的膜厚でλ/8以下ほど小さくなっており、光吸
収層22のピット部とピット間部とで位相差が大きくピッ
トの変調度が大きいものである。その結果、基板のピッ
ト形成領域に光吸収層が形成されていても、基板のピッ
トを高い変調度で再生することが可能となる。
上記のnr・t3とnr・t4との差は、λ/11以下であるこ
とが好ましく、λ/13以下であることが更に好ましく、
λ/16以下であることがより一層好ましい。
基板にプリグルーブとプリピットとの両方が形成され
ている場合は、グルーブの深さd1はピット部の深さd2
りも、光路長(n・d:nは基板の屈折率で、dは深さ寸
法である)で表わしてλ/16以上、特にλ/14以上、更に
特にλ/12以上小さいことが好ましい。
上記光吸収層の、上記ランド部及び上記ピット間部の
膜厚は、40〜400nm、特に60〜300nm、更に特に80〜250n
mであることが好ましい。
本発明の情報記録媒体における特定の光学的膜厚を有
する光吸収層、即ち、グルーブ底部の光吸収層の光学的
膜厚とランド部の光吸収層の光学的膜厚との差がλ/8以
下であり、ピット部の光吸収層の光学的膜厚とピット間
部の光吸収層の光学的膜厚との差がλ/8以下である光吸
収層は、本発明の情報記録媒体の製造方法によって形成
することができる。
本発明の製造方法において光吸収層の形成は、前記の
ような色素を溶剤に溶解して色素溶液を調製し、次いで
この色素溶液を基板の表面にスピンコート法により塗布
して塗膜を形成した後乾燥することにより行なう。
本発明の製造方法において使用される上記の色素溶液
は、特定の性状を有するもの、即ち、濃縮限界が99〜20
%である色素溶液である。本明細書において、「濃縮限
界」の用語は、色素溶液の塗布温度において該色素溶液
から該溶剤を蒸発させることにより色素の析出が始まっ
たときの色素懸濁溶液の体積の、該色素溶液の元の体積
に対する比率と意味するものとして定義される。例え
ば、色素を溶剤に溶解した色素溶液を光吸収層を形成す
るための塗布温度に維持して溶剤を蒸発させたとき、溶
剤の蒸発に伴なってその体積が減少し、やがて溶解して
いた色素が析出してくるが、色素の析出が始まったとき
の色素溶液(厳密には色素懸濁溶液である)の体積が、
元の色素溶液の体積の90%である色素溶液を、濃縮限界
(以下、限界濃度ということがある)が90%の色素溶液
という。
従って、色素溶液の濃縮限界は、色素と溶剤(単一溶
剤又は混合溶剤)との組合せ、溶剤を二種以上の溶剤の
組合せとしたときその種類と比率、色素溶液中の色素の
濃度、塗布温度、等々によって変化する。そのために、
特定の濃縮限界を有する色素溶液を特定の色素について
一律に定めることはできないが、上記のような条件を種
々変えて所望の濃縮限界を有する色素溶液を調製するこ
とは、当業者が容易になし得ることである。
本発明の製造方法において使用する色素溶液は、濃縮
限界が99〜20%である色素溶液であるが、濃縮限界が99
〜30%、特に95〜40%、更に特に90〜50%である色素溶
液であることが好ましい。色素溶液の濃縮限界が、上記
範囲よりも大きいと光吸収層の膜厚が全体的に不均一に
なり、また上記範囲よりも小さいとグルーブ底部とラン
ド部との光吸収層と光学的膜厚の差及びピット部とピッ
ト間部との光吸収層の光学的膜厚の差が大きくなる。
上記色素溶液を調製するために使用する溶剤は、色素
溶液の濃縮限界を満足するものである限り、単一の溶剤
であってもよく、二種以上の溶剤の混合溶剤であっても
よい。上記溶剤が混合溶剤である場合、使用する色素の
良溶剤(好ましくは、色素溶液の塗布温度において使用
する色素を2重量%以上溶解し得る溶剤)と、使用する
色素の貧溶剤(好ましくは、色素溶液の塗布温度におい
て使用する色素を2重量%以上溶解しない溶剤)との混
合物であることが好ましい。その際に、該良溶剤と該貧
溶剤とは相溶性であり、上記塗布温度において該貧溶剤
の蒸発速度が該良溶剤の蒸発速度よりも大きくないこと
が必要である。一般に該貧溶剤の混合割合を増大させる
ほど濃縮限界は大きくなる。
上記の溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼンなどのような芳香族炭化水素系溶
剤;ヘキサン、オクタン、ノナン、シクロヘキサンなど
のような脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸のような有機酸系
溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、エチレン
グリコールモノエチルエーテルアセテート、セロソルブ
アセテートなどのようなエステル系溶剤;アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノンなどのようなケトン系溶剤;ジクロルメタン、
1,2−ジクロルエタン、クロロホルム、メチルクロロホ
ルム、トリクレン、四塩化炭素、デトラクロロエチレン
などのようなハロゲン化炭化水素系溶剤;テトラヒドロ
フラン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオ
キサン、ダイグライムなどのようなエーテル系溶剤;エ
タノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−
ブタノール、アミルアルコール、ジアセトンアルコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのような
アルコール系溶剤;ジメチルホルムアミドのようなアミ
ド系溶剤;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのよ
うなフッ素化アルコール、フッ素置換ケトン、フッ素置
換エステル、フッ素置換アミド、フッ素置換エーテル、
フッ素置換芳香族炭化水素、フッ素置換脂肪族炭化水素
などのようなフッ素系溶剤などを挙げることができる。
本発明の製造方法において、上記色素溶液が上記濃縮
限界を満足するものである限り特に限定されるものでは
ないが、その取扱いの便宜上及びスピンコート法により
基板状の全体的に均一な膜厚の光吸収層を形成させるた
めに、上記色素溶液中の上記色素の濃度は0.5〜14重量
%、特に1〜10重量%、更に特に1.5〜8重量%である
ことが好ましい。
上記色素溶液中には、さらに酸化防止剤、UV吸収剤、
可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加し
てもよい。
結合剤を使用する場合に結合剤としては、例えばゼラ
チン、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロー
ス誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機
高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、ポリイソブチレン等の炭酸水素系樹脂、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポ
リ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル
酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、
ポリビニルアルコール、塩素化ポリオレフィン、エポキ
シ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホ
ルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物など
の合成有機高分子物質を挙げることができる。
上記色素溶液をスピンコート法により基板上に塗布す
るに際しては、それ自体公知の装置及び方法を使用して
行なうことができる。上記色素溶液を、一般に0〜100
℃、特に5〜80℃、更に特に10〜60℃の温度で塗布する
ことが好ましい。基板の回転数は、色素溶液を塗布する
ときには、一般に10〜1000r.p.m.、特に100〜500r.p.m.
にすることが好ましく、色素塗膜を乾燥するときは、一
般に300〜10000r.p.m.、特に500〜7000r.p.m.、更に特
に700〜4000r.p.m.にすることが好ましい。
この光吸収層の上に、情報記録媒体全体、特に光吸収
層を物理的及び化学的に保護する目的で保護層を設けて
もよい。また、この保護層は、基板の光吸収層が設けら
れていない側にも耐傷性、耐湿性を高めるために設けて
もよい。
保護層に用いられる材料の例としては、無機物質とし
ては、SiO、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2等を挙げることが
できる。また、有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬
化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができ、好まし
くはUV硬化性樹脂である。
保護層は、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを
適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのち、この塗布
液を塗布し、乾燥することによって形成することができ
る。UV硬化性樹脂の場合には、そのままもしくは適当な
溶剤に溶解して塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布
し、UV光を照射して硬化させることによって保護層を形
成することができる。UV硬化性樹脂としては、ウレタン
(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレー
ト、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)ア
クリレートのオリゴマー類、(メタ)アクリル酸エステ
ル等のモノマー類等と光重合開始剤等との通常のUV硬化
性樹脂を使用することができる。これらの塗布液中に
は、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添
加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層の材料とし
てUV硬化性樹脂を用いることが好ましい。
保護層の層厚は一般には0.1〜100μm、好ましくは0.
5〜20μmの範囲にある。
上記以外にも、保護層は、たとえばプラスチックの押
出し加工で得られたフィルムを接着層を介して光吸収層
の上にラミネートすることにより形成することができ
る。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法
により設けられてもよい。
また、本発明の情報記録媒体の二枚を、それらの光吸
収層が内側になるように対面させ、二枚の情報記録媒体
の間に空間が形成されるようにリング状内側スペーサと
リング状外側スペーサとを介在させて二枚の情報記録媒
体を接合して、エアーサンドイッチ構造の情報記録媒体
にすることができる。このエアーサンドイッチ構造の情
報記録媒体は、光吸収層は直接外気に接することがな
く、情報の記録、再生は基板を透過するレーザ光で行な
われるために、光吸収層が物理的又は化学的な損傷を受
けたり、或いはその表面に塵埃が付着して情報の記録、
再生の障害となることがない。エアーサンドイッチ構造
の情報記録媒体の片方の情報記録媒体は光吸収層が設け
られていない基板(プリピットが設けられていてもよ
い)であってもよく、また、情報記録媒体は光吸収層の
上に及び/又は基板の光吸収層が設けられていない面に
保護層が設けられたものであってもよい。
本発明の情報記録媒体への情報の記録は、情報記録媒
体を定線速度(好ましくは1.2〜2.8m/秒、特に好ましく
は1.2〜1.4m/秒)にて回転させながら、基板側から該プ
レグルーブの底部にレーザー光を照射してグルーブ上に
ある光吸収層に再生用のピットを形成して信号を記録す
ることにより行なう。信号としてはCDフォーマットのEF
M信号を記録することが本発明の効果を得る上で好まし
い。一般に、記録光としては700〜900nmの範囲の発振波
長を有する半導体レーザービームが用いられる。本発明
の情報記録媒体では、10mW以下のレーザーパワーで記録
することができる。
上記の記録後のピットは、基板及び/又は色素がレー
ザ光の照射により発熱し、溶融、蒸発、昇華、変形或る
いは変質することにより、基板−色素間に凸状、波状、
凹状等の変化が起こったり、色素内で変化が起こった
り、色素−金属反射層間で変化が起こったりするなどの
形態のものである。
上記記録方法により、本発明の情報記録媒体にCDフォ
ーマット信号などを定線速度で記録を行うことにより、
信号の変調度、再生C/Nなどの優れた記録再生特性を得
ることができ、さらに記録時のトラッキング性、特にプ
ッシュプル法によるトラッキング性が優れたものとな
る。更にROM領域が設けられた本発明の情報記録媒体の
場合は、ROM領域においても高い変調度の再生信号を得
ることができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を記載する。ただ
し、これらの各例は本発明を制限するものではない。
[実施例1(参考例)] ほぼ全面にプリグルーブが設けられた円盤状のポリカ
ーボネート基板(外径:120mm、内径:15mm、厚さ:1.2m
m、トラックピッチ:1.6μm、グルーブの半値幅:0.55μ
m、グルーブの深さ:40nm)を用意した。
一方、下記構造式: を有する色素(A)を、プロピレングリコールモノエチ
ルエーテルに溶解して、色素(A)を2.3重量%含有す
る色素溶液を調製した。この色素溶液の23℃における濃
縮限界は60%であった。
この色素溶液を23℃に維持し、23℃の上記基板のプリ
グルーブ形成面上に、上記色素溶液をスピンコート法に
より基板回転数200r.p.m.の速度で4秒間塗布した後、
回転数700r.p.m.で30秒間乾燥して光吸収層を形成し
た。
このようにして、基板に光吸収層が設けられた情報記
録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について、グルーブ底部の光吸
収層の光学的膜厚、ランド部の光吸収層の光学的膜厚、
ピット部の光吸収層の光学的膜厚、ピット間部の光吸収
層の光学的膜厚、トラックエラー信号振幅、そしてプリ
ピットの11T変調度を、下記の評価方法により測定し
た。評価結果を第1表に記載する。
[実施例2(参考例)] 実施例1において、プレグルーブのグルーブの半値幅
が0.45μm、グルーブの深さが30nmである他は実施例1
で使用した基板と同じ基板を使用し、光吸収層を実施例
1におけると同様にして基板上に形成して情報記録媒体
を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例1におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[比較例1] 実施例1で使用した基板と同じ基板を使用し、色素溶
液を調製するための溶剤としてプロピレングリコールモ
ノエチルエーテルの代わりに2,2,3,3−テトラフロロプ
ロパノールを使用して調製した、色素(A)を2.3重量
%含有する色素溶液(この色素溶液の23℃における濃縮
限界は20%未満であった)を使用した他は実施例1にお
けると同様にして光吸収層を形成して情報記録媒体を製
造した。
得られた情報記録媒体について実施例1におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[実施例3] 直径46mm〜80mmの領域にEFM信号を記録したプリピッ
ト(ピットの半値幅:0.6μm、ピットの深さ:100nm)が
形成され、直径80nm〜118mmの領域にプリグルーブ(ト
ラックピッチ:1.6μm、グルーブの半値幅:0.55μm、
グルーブの深さ:40nm)が形成された円盤状のポリカー
ボネート基板(外径:120mm、内径:15mm、厚さ:1.2mm)
を用意した。
上記の基板を使用し、光吸収層を実施例1におけると
同様にして形成して情報記録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について、プリピット形成領域
では、ピット部の光吸収層の光学的膜厚、ピット間部の
光吸収層の光学的膜厚、及び11T変調度を下記の評価方
法により測定し、プリグルーブ形成領域では、実施例1
におけると同様にして各項目に関して評価した。評価結
果を第1表に記載する。
[実施例4] 実施例3で使用した基板と同じ基板を使用し、色素溶
液として、下記構造式: を有する色素(B)を、2,2,3,3−テトラフロロプロパ
ノールとプロピレングリコールモノエチルエーテルとの
92:8の体積比を混合溶剤に溶解して調製した、色素
(B)を2.3重量%含有する色素溶液(この色素溶液の2
3℃における濃縮限界は90%であった)を使用した他は
実施例3におけると同様にして光吸収層を形成して情報
記録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[実施例5] 実施例3で使用した基板と同じ基板を使用し、色素溶
液として、色素(B)を、2,2,3,3−テトラフロロプロ
パノールとブタノールとの70:30の体積比の混合溶剤に
溶解して調製した。色素(B)を2.3重量%含有する色
素溶液(この色素溶液の23℃における濃縮限界は90%で
あった)を使用した他は実施例3におけると同様にして
光吸収層を形成して情報記録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[実施例6] プリピットのピットの半値幅が0.5μm、ピットの深
さが120nmである他は実施例3で使用した基板と同じ基
板を使用し、これに光吸収層を実施例3におけると同様
にして形成して情報記録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[実施例7] プリピットのピットの半値幅が0.5μm、ピットの深
さが90nmである他は実施例3で使用した基板と同じ基板
を使用し、これに光吸収層を実施例3におけると同様に
して形成して情報記録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[実施例8] 実施例3で使用した基板と同じ基板を使用し、色素溶
液として、色素(B)を、2,2,3,3−テトラフロロプロ
パノールとエチルセルソルブとの90:10の体積比の混合
溶剤に溶解して調製した、色素(B)を2.3重量%含有
する色素溶液(この色素溶液の23℃における濃縮限界は
70%であった)を使用した他は実施例3におけると同様
にして光吸収層を形成して情報記録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[実施例9] 実施例3で使用した基板と同じ基板を使用し、色素溶
液として色素(B)を、2,2,3,3−テトラフロロプロパ
ノールとイソアミルアルコールとの70:30の体積比の混
合溶剤に溶解して調製した、色素(B)を2.3重量%含
有する色素溶液(この色素溶液の23℃における濃縮限界
は55%であった)を使用した他は実施例3におけると同
様にして光吸収層を形成して情報記録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[実施例10] 色素(B)を、下記構造式: を有する色素(C)に変えた他は実施例4におけると同
様にして(色素溶液の23℃における濃縮限界は90%であ
った)、情報記録媒体を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[比較例2] 実施例3で使用した基板と同じ基板を使用し、色素溶
液を比較例1で使用した色素溶液に変えた他は実施例3
におけると同様にして光吸収層を形成して情報記録媒体
を製造した。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[比較例3] 実施例3で使用した基板と同じ基板を使用し、色素溶
液として色素(B)を2,2,3,3−テトラフロロプロパノ
ールに溶解して調製した、色素(B)を2.3重量%含有
する色素溶液(この色素溶液の23℃における濃縮限界は
20%未満であった)を使用した他は実施例3におけると
同様にして光吸収層を形成して情報記録媒体を製造し
た。
得られた情報記録媒体について実施例3におけると同
様にして評価した。評価結果を第1表に記載する。
[情報記録媒体の評価] 上記で得られた情報記録媒体を、ディスク評価装置
(NA:0.5、レーザー波長:780nm)及びEFMエンコーダ(K
EN−WOOD)を用いて、記録する際のレーザーパワー(記
録パワー)を4mW、定線速度:1.3m/秒にてプレグルーブ
の底部に記録を行なった。
1)グルーブ底部の光吸収層の光学的膜厚 光吸収層の絶対膜厚を、断面部の超高分解電子顕微鏡
(株式会社日立製作所製S900)観察によって測定し、光
吸収層の屈折率を、別に形成した色素簿膜の反射率、透
過率、及び絶対膜厚を測定した結果から求め、これらの
絶対膜厚と屈折率とから光学的膜厚を算出した。
2)ランド部の光吸収層の光学的膜厚 上記1)の方法と同様にして求めた。
3)ピット部の光吸収層の光学的膜厚 上記1)の方法と同様にして求めた。
4)ピット間部の光吸収層の光学的膜厚 上記1)の方法と同様にして求めた。
5)トラックエラー信号振幅(TE) ディスク評価装置のPPトラックエラー信号振幅(V) 6)11T変調度 プリピットとして記録されたCDフォーマット信号(EF
M信号)のうち記録長11Tの直流再生信号について、信号
部分(プリピット部)とミラー部(プリピット間の信号
記録が無い領域部分)の信号強度を測定し、その変調度
(C)を次式により求めた。
(SH:信号の最大強度(ミラー部の信号強度)、SL:信号
の最小強度(プリピット部の信号強度) 第1表より明らかなように、次の情報記録媒体は、プ
リグルーブ形成領域(情報記録領域)でトラックエラー
信号振幅が大きく、プリピット形成領域(ROM領域)で
もトラックエラー信号振幅及び11T変調度が大きく優れ
た性能を有するものである。
これに対して、比較例の情報記録媒体は、プリグルー
ブ形成領域でトラックエラー信号振幅が小さくトラッキ
ングが極めて不安定であった。またプリピット形成領域
(ROM領域)でもトラックエラー信号振幅が小さくトラ
ッキングが極めて不安定であった。トラッキングが不安
定であったためにプリピットの変調度を測定することが
できなかったが、トラッキングをはずして変調度を測定
したところ、11T変調度は何れも50%以下であった。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の情報記録媒体の一実施例のプリグル
ーブ領域における断面の一部を模式的に示す断面図であ
る。 第2図は、本発明の情報記録媒体の一実施例のプリピッ
ト領域における断面の一部を模式的に示す断面図であ
る。 第3図は、従来公知の情報記録媒体のプリグルーブ領域
における断面の一部を模式的に示す断面図である。 11、21、31:基板、 12、22、32:光吸収層、 13、33:プリグルーブ、 23:プリピット、 14、34:ランド部、 24:ピット間部、 15、35:グルーブ底部、 25:ピット部。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プリピット及びプリグリーブが形成された
    円盤状の基板上に、レーザ光を照射してピットを形成す
    ることにより情報の記録が可能な色素を含む光吸収層が
    設けられ、該光吸収層上に金属反射層が設けられていな
    い情報記録媒体であって、該プリピットが0.2〜1.4μm
    の範囲内の半値幅と、60〜300nmの範囲内にあって、該
    プリグルーブの深さよりも、光路長で表わしてλ/16
    (但し、λは再生用レーザ光の波長)以上深い深さを有
    し、かつ、該プリピット部の光吸収層の光学的膜厚とプ
    リピット間部の光吸収層の光学的膜厚との差がλ/8(但
    し、λは再生用レーザ光の波長)以下であり、該プリグ
    ルーブ底部の光吸収層の光学的膜厚とプリグルーブ間の
    ランド部の光吸収層との光学的膜厚との差がλ/8(但
    し、λは再生用レーザ光の波長)以下であることを特徴
    とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】プリグルーブ及び0.2〜1.4μmの範囲内の
    半値幅と、60〜300nmの範囲内にあって、該プリグルー
    ブの深さよりも、光路長で表わしてλ/16(但し、λは
    再生用レーザ光の波長)以上深い深さを有するプリピッ
    トが形成された円盤状の基板上の該プリグルーブ及び該
    プリピットが形成された部分を含む領域に、色素を溶剤
    に溶解して調製した色素溶液であって、該色素溶液の塗
    布温度において該色素溶液から該溶剤を蒸発させること
    により色素の析出が始まったときの色素懸濁溶液の体積
    の、該色素溶液の元の体積に対する比率として定義され
    る濃縮限界が99〜50%である色素溶液を、スピンコート
    法により塗布し、乾燥することによって、該プリピット
    部の光吸収層の光学的膜厚とプリピット間部の光吸収層
    の光学的膜厚との差がλ/8(但し、λは再生用レーザ光
    の波長)以下であり、該プリグルーブ底部の光吸収層の
    光学的膜厚とプリグルーブ間のランド部の光吸収層との
    光学的膜厚との差がλ/8(但し、λは再生用レーザ光の
    波長)以下である光吸収層を形成することを特徴とする
    情報記録媒体の製造方法。
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